JP2009079097A - 脂環構造含有開環重合体の水素添加物及びその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)50〜55重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)35〜40重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)5〜15重量%(但し、構造単位(A)+構造単位(B)+構造単位(C)の合計量は100である)を有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物を用いて位相差フィルムを得る。
【選択図】 なし
Description
例えば視野角特性を向上させるためには、位相差フィルムとして、光弾性係数が小さくて低複屈折性に優れた熱可塑性飽和ノルボルネン樹脂のような脂環構造含有重合体の水素添加物を用いることが提案されている。例えば、このような脂環構造含有重合体の水素添加物製フィルムを位相差フィルムとして用いるに当たり、高い複屈折性を確保するため、当該フィルムを一軸又は二軸延伸加工を施すことが提案されている(特許文献1)。また、脂環構造含有重合体の水素添加物製フィルムを延伸した位相差フィルムの光学特性を維持したまま、シワや厚みムラや寸法変化のないフィルムを容易に得るために、脂環構造含有重合体の水素添加物として、テトラシクロドデセンなどに由来するトリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位が10重量%以上と、ジシクロペンタジエンなどに由来するビシクロ[3.3.0]オクタン2,4−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位が55〜90重量%とを含有するもの用いることが提案されている(特許文献2)。
ところで、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン構造を有するテトラシクロドデセン化合物由来の構造単位とトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン構造を有するジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位とテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン化合物由来の構造単位とからなる脂環構造含有重合体の水素添加物が耐酸化性、溶液安定性、低複屈折性及び皮脂付着時の強度に優れた成形体を与えることが知られている(特許文献3)。
この脂環構造含有重合体の水素添加物の重量平均分子量が30,000〜45,000であるものが、位相差フィルムなどの光学フィルムに好適である。
ジシクロペンタジエン化合物、テトラシクロドデセン化合物、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物は、いずれも直鎖、分岐又は環状の炭素数1〜6の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、アルケニル基、又はアルキリデン基を置換基として有していてもよい。
通常、脂環構造含有モノマーをメタセシス重合触媒の存在下に開環重合することにより開環重合体を得ることができる。
構造単位(B)を与えるテトラシクロドデセン化合物としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
構造単位(C)を与えるメタノテトラヒドロフルオレン化合物としては、テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう)、11−メチル−テトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(1,4−メタノ−4−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンともいう)などが挙げられる。
これらの成分の配合比は、(a)成分:(b)成分が金属元素のモル比で、通常1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:10の範囲である。また、(a)成分:第三成分がモル比で、通常1:0.005〜1:50、好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
これらの中でも、工業的に汎用されている芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及びエーテル類が好ましい。
用いる分子量調節剤としては特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン類;スチレン、ビニルトルエン等のスチレン類;エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のエーテル類;アリルクロライド等のハロゲン含有ビニル化合物;グリシジルメタクリレート等酸素含有ビニル化合物;アクリルアミド等の窒素含有ビニル化合物;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン、又は1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン等を挙げることができる。これらの中で、分子量調節のし易さから、α−オレフィン類が好ましい。
開環重合を行う温度は、特に限定されないが、通常−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃で重合を行う。温度が低すぎると反応速度が低下し、高すぎると副反応により、分子量分布が広がるおそれがある。
重合時間は、1分間〜100時間で、特に制限はない。
重合時の圧力条件は特に限定されないが、加圧条件下で重合する場合、加える圧力は通常1MPa以下である。
反応終了後においては、通常の後処理操作により目的とする脂環構造含有開環重合体を単離することができる。
また開環重合を行った反応溶液に水素化触媒を添加して、脂環構造含有開環重合体を単離することなく、連続的に水素化反応を行うこともできる。
均一系触媒としては、例えば、酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセンジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロリド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせ等の遷移金属化合物とアルカリ金属化合物の組み合わせからなる触媒系;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリジンルテニウム(IV)ジクロリド等の貴金属錯体触媒;等が挙げられる。
不均一触媒としては、例えば、ニッケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、ニッケル/アルミナ、パラジウム/カーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ土、パラジウム/アルミナ等の、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム、又はこれらの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒系が挙げられる。
触媒の使用量は、脂環構造含有開環重合体100重量部に対し、通常0.05〜10重量部である。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaである。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となるので好ましくない。
開環重合体水素添加物の水素化率は、溶媒に重クロロホルムを用い、1H−NMRスペクトルにより測定して求めることができる。
溶媒等の揮発成分を除去する方法としては、凝固法や直接乾燥法等公知の方法を採用することができる。
凝固して得られた粒子状の成分は、例えば、真空中又は窒素中若しくは空気中で加熱して乾燥させて粒子状にするか、さらに必要に応じて溶融押出機から押し出してペレット状にすることができる。
Mwが高い場合、フィルムの脆さは抑制されるが、フィルム成形性が低下し、逆にMwが低い場合は、フィルムの脆さが生じる上、複屈折が発現しにくくなるため、いずれも好ましくない。
分子量分布がこの範囲にあると、フィルムの成形性に優れ、フィルムの機械的強度も確保できる上、複屈折も発現しやすくなり好ましい。
ちなみに、MnはMwと同様にゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される数平均分子量である。
配合剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;帯電防止剤;他の種類の重合体;離型剤;などが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
角度θ任意の値に設定することにより、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzを所望の値となるようにすることができる。
斜め延伸する方法としては公知の方法を採用することができる。
また、延伸に用いる延伸機は特に制限されず、従来公知のテンター式延伸機を使用することができる。
実施例及び比較例において、各種物性の測定法は、次のとおりである。
MwとMnは、シクロヘキサンを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による標準ポリイソプレン換算値として40℃において測定した。
測定装置としては、東ソー社製HLC8120GPCを用いた。
標準ポリイソプレンとしては、東ソー社製標準ポリイソプレン、Mw=602、1390、3920、8050、13800、22700、58800、71300、109000、280000の計10点を用いた。
サンプルは、サンプル濃度4mg/mlになるように、40℃にて測定試料をシクロヘキサンに加熱溶解させて調製した。
測定は、カラムとして東ソー社製TSKgel G5000HXL、TSKgel G4000HXL、TSKgel G2000HXL計3本直列に繋いで用い、流速1.0ml/分、サンプル注入量100μml、カラム温度40℃の条件で行った。
示差走査熱量分析計を用いて、JIS K 6911に基づいて測定した。
(3)水素添加率
溶媒として重クロロホルム/四塩化炭素の混合溶液(1/1重量比)を用いて、1H−NMRスペクトルにより測定した。
JIS K 7161に準拠して測定した。サンプルが降伏を伴わずに破壊する場合は、引張破壊ひずみ、降伏後に破壊する場合は、引張破壊時呼びひずみの測定値をもって破断伸度とした。この値が25%以上であると、基材破壊が生じにくくなる。
(5)未延伸フィルムの耐熱性試験
耐熱性試験は、120℃のオーブン中で、高さ150mmの試料シート吊下げ用架台に、作製した未延伸フィルムの上部を、クリップで挟んで吊下げ、さらに、未延伸フィルムの下部に重りを吊るしたクリップで挟んで、未延伸フィルムに20gの重さがかかるようにして吊るし、1時間放置した後のフィルムの伸びを観察し、以下の基準で評価した。
○:変形せず、
△:若干の伸びがある、
×:10mm以上の伸びがある。
(6)延伸フィルムの複屈折発現性
550nmの位相差を自動複屈折計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
○:延伸した際のレタデーションの発現性が特に優れる(位相差(550nm)の値が240nm以上)。
△:延伸した際のレタデーションの発現性が良好(位相差(550nm)の値が200nm以上240nm未満)。
×:延伸した際のレタデーションの発現性に劣る(位相差(550nm)の値が200nm未満)。
<開環重合>
窒素で置換した反応器に、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(以下、「DCP」という)とテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「TCD」という)とテトラシクロ[9.2.1.02,10.03,8]テトラデカ−3,5,7,12−テトラエン(以下、「MTF」という)の混合物(重量比52/38/10)7部(重合に使用するモノマー全量に対して重量1%)とシクロヘキサン1600部を加え、トリ−i−ブチルアルミニウム0.55部とイソブチルアルコール0.21部、反応調整剤としてジイソプロピルエーテル0.84部、及び分子量調節剤として1−ヘキセン3.24部を添加した。ここに、シクロヘキサンに溶解させた0.65%の六塩化タングステン溶液24.1部を添加して、55℃で10分間攪拌した。次いで、反応系を55℃に保持しながら、DCPとTCDとMTF(重量比52/38/10)の混合物を693部とシクロヘキサンに溶解させた0.65%の六塩化タングステン溶液48.9部とをそれぞれ系内に150分かけて連続的に滴下した。その後、30分間反応を継続し重合を終了した。
重合終了後、ガスクロマトグラフィーにより測定したモノマーの重合転化率は重合終了時で100%であった。
得られた開環重合反応液を耐圧性の水素化反応器に移送し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(日揮化学社製、製品名「T8400RL」、ニッケル担持率57%)1.4部及びシクロヘキサン167部を加え、180℃、水素圧4.6MPaで6時間反応させた。この反応溶液を、ラジオライト#500を濾過床として、圧力0.25MPaで加圧濾過(石川島播磨重工社製、製品名「フンダフィルター」)して水素化触媒を除去し、無色透明な溶液を得た。次いで前記水素添加物100部あたり0.5部の酸化防止剤:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、製品名「イルガノックス1010」)を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、ゼータープラスフィルター30H(キュノーフィルター社製、孔径0.5〜1μm)にて順次濾過しさらに別の金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて濾過して微小な固形分を除去した。開環重合体水素添加物の水素転化率は99.9%であった。
次いで、上記溶液を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去し、濃縮機に直結したダイから溶融状態でストランド状に押出し、冷却後、開環重合体水素添加物のペレットAを得た。ペレットAを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは129℃であった。
尚、開環重合体合成時の重合転化率が100%であり、水素転化率も99.9%と高水準であることから、開環重合体水素添加物中の、DCP由来の構造単位(DCP単位)、TCD由来の構造単位(TCD単位)、及びMTF由来の構造単位(MTF単位)は、開環重合体の製造に用いたモノマーの使用量に等しいと推定される。
得られたペレットAを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去した後、65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出し成形機(Tダイ幅500mm)を使用し、クラス10,000以下のクリーンルーム内で、溶融樹脂温度229℃、Tダイ温度229℃の成形条件にて、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムAを押出し成形した。得られたシートはロールに巻き取り回収した。得られた未延伸フィルムAを用いて破断伸度、耐熱性試験を評価した。結果を表1に示した。
<延伸フィルム作成>
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比55/40/5)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットBを得た。ペレットBを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は37,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、Tgは127℃であった。
ペレットBを用いて、溶融樹脂温度227℃、Tダイ温度227℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムBを作成し、延伸温度を137℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムBを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比50/35/15)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットCを得た。ペレットCを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは130℃であった。
ペレットCを用いて、溶融樹脂温度230℃、Tダイ温度230℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムCを作成し、延伸温度を140℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムCを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、分子量調節剤の添加量を3.88部に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットDを得た。ペレットDを構成する開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は32,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.2、Tgは126℃であった。
ペレットDを用いて、溶融樹脂温度226℃、Tダイ温度226℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムDを作成し、延伸温度を136℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムDを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPと8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(以下、「ETD」という)(重量比85/15)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットEを得た。ペレットEを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,100、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは102℃であった。
ペレットEを用いて、溶融樹脂温度202℃、Tダイ温度202℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムEを作成し、延伸温度を112℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムEを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比38/35/27)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットFを得た。ペレットFを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は37,800、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、Tgは138℃であった。
ペレットFを用いて、溶融樹脂温度238℃、Tダイ温度238℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムFを作成し、延伸温度を148℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムFを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比60/35/5)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットGを得た。ペレットGを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは123℃であった。
ペレットGを用いて、溶融樹脂温度223℃、Tダイ温度223℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムGを作成し、延伸温度を133℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムGを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比45/40/15)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットHを得た。ペレットHを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は38,300、分子量分布(Mw/Mn)は2.6、Tgは133℃であった。
ペレットHを用いて、溶融樹脂温度233℃、Tダイ温度233℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムHを作成し、延伸温度を143℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムHを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比50/45/5)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットIを得た。ペレットIを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は37,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、Tgは130℃であった。
ペレットIを用いて、溶融樹脂温度230℃、Tダイ温度230℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムIを作成し、延伸温度を140℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムIを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
実施例1において、モノマーをDCPとTCDとMTF(重量比55/30/15)の混合物に代えた以外は、実施例1と同様に開環重合を行い、重合転化率100%で脂環構造含有開環重合体を得た。また、この脂環構造含有開環重合体について、実施例1と同様にして水素化反応を行い、水素添加率は99.9%であった。実施例1と同様にしてペレットJを得た。ペレットJを構成する脂環構造含有重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)は37,900、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、Tgは122℃であった。
ペレットJを用いて、溶融樹脂温度222℃、Tダイ温度222℃の成形条件に代えた以外は実施例1と同様にし、厚さ100μm、幅500mmの未延伸フィルムJを作成し、延伸温度を132℃(Tg+10℃)に変えた以外は実施例1と同様にして延伸フィルムJを作成し、実施例1と同様の評価を行った。得られたフィルムの厚みは55μmであった。結果を表1に示した。
一方、比較例1でモノマーをDCPとETDからなる開環重合体水素化物(特許文献2)を用いたフィルムは、破断伸度、耐熱性に劣っていた。
また、比較例2でDCP単位がとMTF単位が本発明の規定外である(特許文献3)と、破断伸度、複屈折発現性に劣っていることが判る。
比較例3でDCP単位が本発明の規定の上限外であると、耐熱性が劣っていることが判る。
比較例4でDCP単位が本発明の規定の下限外であると、複屈折の発現性が劣っていることが判る。
比較例5でTCD単位が本発明の規定の上限外であると、破断伸度が25%以下となり、実用性に劣ることが判る。
比較例6でTCD単位が本発明の規定の下限外であると、複屈折の発現性が劣っていることが判る。
Claims (4)
- ジシクロペンタジエン化合物由来の構造単位(A)50〜55重量%、テトラシクロドデセン化合物由来の構造単位(B)35〜40重量%、及びメタノテトラヒドロフルオレン化合物由来の構造単位(C)5〜15重量%(但し、構造単位(A)+構造単位(B)+構造単位(C)の合計量は100である)を有する脂環構造含有開環重合体の水素添加物。
- 重量平均分子量が30,000〜45,000である請求項1記載の脂環構造含有開環重合体の水素添加物。
- 請求項1又は2記載の脂環構造含有開環重合体の水素添加物からなるフィルム。
- 請求項3記載のフィルムを延伸してなる延伸フィルム。
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