本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細をさまざまに変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。なお、以下の実施の形態で示す生産システムにおける各装置の配置は一例を示し、同様の作用効果を奏する配置であれば図示されるものに限定解釈されるべきものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの作製工程について、図1乃至図20を用いて説明する。図1、3、5、7、8、12、13、15、17、18は、薄膜トランジスタの作製工程を示す断面図であり、図14、及び19は、一画素における薄膜トランジスタ及び画素電極の接続領域の上面図である。
微結晶半導体膜を有する薄膜トランジスタは、p型よりもn型の方が、移動度が高いので駆動回路に用いるのにより適している。同一の基板上に形成する薄膜トランジスタを全て同じ極性にそろえておくことが、工程数を抑えるためにも望ましい。ここでは、nチャネル型の薄膜トランジスタを用いて説明する。
図1(A)に示すように、基板50上にゲート電極51を形成し、ゲート電極51上に、ゲート絶縁膜52a、52bを形成する。
基板50は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用しても良い。
ゲート電極51は、金属材料で形成される。金属材料としてはアルミニウム、クロム、チタン、タンタル、モリブデン、銅などが適用される。ゲート電極51の好適例は、アルミニウム又はアルミニウムとバリア金属の積層構造体によって形成される。バリア金属としては、チタン、モリブデン、クロムなどの高融点金属が適用される。バリア金属はアルミニウムのヒロック防止、酸化防止のために設けることが好ましい。ここでは、基板50上に導電膜としてモリブデン膜をスパッタリング法により成膜し、第1のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを用いて基板50上に形成された導電膜をエッチングしてゲート電極を形成する。
ゲート電極51は厚さ50nm以上300nm以下で形成する。ゲート電極51の厚さを50nm以上100nm以下とすることで、後に形成される半導体膜や配線の段切れ防止が可能である。また、ゲート電極51の厚さを150nm以上300nm以下とすることで、ゲート電極51の抵抗を低減することが可能であり、大面積化が可能である。
なお、ゲート電極51上には半導体膜や配線を形成するので、段切れ防止のため端部がテーパー状になるように加工することが望ましい。また、図示しないがこの工程でゲート電極に接続する配線や容量配線も同時に形成することができる。
ゲート絶縁膜52a、52bはそれぞれ、CVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、または窒化酸化珪素膜で形成することができる。ここでは、ゲート絶縁膜52aとして窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を形成し、ゲート絶縁膜52bとして酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成して積層する形態を示す。なお、ゲート絶縁膜を2層とせず、ゲート絶縁膜を、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、または窒化酸化珪素膜の単層で形成することができる。
また、ゲート絶縁膜を、3層の絶縁膜で形成し、ゲート電極上に、窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を形成し、その上に酸化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成し、その上に厚さ1nm〜5nm程度の窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を形成することができる。
また、厚さ1nm〜5nm程度の窒化珪素膜の形成方法としては、ゲート絶縁膜52bに対し、高密度プラズマを用いて窒化処理して、ゲート絶縁膜52bの表面に窒素珪素層を形成することができる。高密度プラズマ窒化を行うことで、より高い濃度の窒素を含有する窒化珪素層を得ることも可能である。高密度プラズマは、高い周波数のマイクロ波、たとえば2.45GHzを使うことによって生成される。低電子温度が特徴である高密度プラズマは、活性種の運動エネルギーが低いため、従来のプラズマ処理に比べプラズマダメージが少なく欠陥が少ない層を形成することができる。また、ゲート絶縁膜52bの表面の粗さが小さくできるため、キャリア移動度を大きくすることができる。
ゲート絶縁膜52aを窒化珪素膜、または窒化酸化珪素膜を用いて形成することで、基板50とゲート絶縁膜52aの密着力が高まり、基板50としてガラス基板を用いた場合、基板50からの不純物が微結晶半導体膜に拡散するのを防止することが可能であり、さらにゲート電極51の酸化防止が可能である。即ち、膜剥れを防止することができると共に、後に形成される薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、ゲート絶縁膜52a、52bはそれぞれ厚さ50nm以上であると、ゲート電極51の凹凸による被覆率の低減を緩和することが可能であるため好ましい。
ここでは、酸化窒化珪素膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が1〜20原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化珪素膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、濃度範囲として酸素が15〜30原子%、窒素が20〜35原子%、Siが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲で含まれるものをいう。
次に、ゲート絶縁膜52b上に微結晶半導体及び非晶質半導体を含む半導体膜57をシリコン、またはゲルマニウムを含む堆積ガス及び水素を用いてプラズマCVD法により形成する。堆積ガスに対して水素の流量を多くして半導体膜を形成すると、ゲート絶縁膜52bとの界面においては、非晶質半導体膜が形成されるが、一定の膜厚以上では、半導体膜中に微結晶半導体が形成される。
半導体膜57の膜厚は微結晶半導体が含まれる膜厚であればよい。このため10〜5nm、好ましくは20〜30nmの厚さで形成する。
次に、微結晶半導体及び非晶質半導体を含む半導体膜57を、水素プラズマ、フッ素プラズマ、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスプラズマ等でプラズマ処理し、非晶質半導体を選択的にエッチングして、図1(B)に示すように、微結晶半導体58を残存させる。微結晶半導体と比較して非晶質半導体はエッチング速度が速いため、水素プラズマ、フッ素プラズマ、希ガスプラズマ等のプラズマ処理により、エッチングされる。このため、微結晶半導体58を残存させることができる。
次に、微結晶半導体58を結晶核として結晶成長させて、図1(C)に示すように、微結晶半導体膜53を形成する。
ここでの微結晶半導体膜とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造の半導体を含む膜である。この半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質なものであり、粒径が0.5〜20nmの柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。また、複数の微結晶半導体の間に非単結晶半導体が存在している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520.5cm−1よりも低周波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520.5cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体膜が得られる。このような微結晶半導体膜に関する記述は、例えば、米国特許4,409,134号で開示されている。
微結晶半導体膜53は、1nm以上厚く200nm以下、好ましくは1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上50nm以下で形成する。微結晶半導体膜53は後に形成される薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能する。更には、微結晶半導体膜53をエッチングして、微結晶半導体膜53の厚さを薄くしてもよい。微結晶半導体膜53の厚さを1nm以上50nm以下とすることで、完全空乏型の薄膜トランジスタを作製することができる。
また、微結晶半導体膜は、価電子制御を目的とした不純物元素を意図的に添加しないときに弱いn型の電気伝導性を示すので、薄膜トランジスタのチャネル形成領域として機能する微結晶半導体膜に対しては、p型を付与する不純物元素を、成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、しきい値制御をすることが可能となる。p型を付与する不純物元素としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppm、好ましくは1〜100ppmの割合で水素化珪素に混入させると良い。そしてボロンの濃度を、例えば1×1014〜6×1016atoms/cm3とすると良い。
また、微結晶半導体膜の酸素濃度を、5×1019atoms/cm3以下、更に好ましくは1×1019atoms/cm3以下、窒素及び炭素の濃度それぞれを3×1018atoms/cm3以下とすることが好ましい。酸素、窒素、及び炭素が微結晶半導体膜に混入する濃度を低減することで、微結晶半導体膜がn型化になることを防止することができる。
以下に、ゲート絶縁膜との界面における結晶性の高い微結晶半導体膜を形成する方法として、代表例として微結晶シリコン膜を成膜する工程について、図2を参照して時系列的に説明する。また、ゲート絶縁膜及び微結晶半導体膜の界面の拡大断面図である図3及び図4を用いて、結晶核形成処理及び成膜処理について、詳細に説明する。
図2は微結晶半導体膜を形成する工程を説明するタイムチャートであり、代表的な一例を示す。図2の説明は反応室を大気圧から真空排気440する段階から示されており、その後に行われる基板搬入441、下地前処理442、半導体膜形成処理443、非晶質半導体エッチング処理444、結晶成長処理445、基板搬出446、クリーニング447の各処理が時系列的に示されている。
まず、反応室内を所定の真空度まで真空排気する。高真空排気する場合には、ターボ分子ポンプ等による排気を行い、真空度として10−1Paよりも低い圧力に真空排気する。また、クライオポンプによる排気により、反応室の圧力を10−5Paよりも低い圧力の超高真空としてもよい。また、反応室を加熱処理して内壁からの脱ガス処理を行うことが好ましい。また、基板を加熱するヒータも動作させて温度を安定化させる。基板の加熱温度は100℃〜300℃、好ましくは120℃〜220℃で行う。
基板搬入441において、反応室に接続されるロードロック室から基板が反応室に搬入される。このときの反応室の圧力はロードロック室と同じ圧力となる。
下地前処理442は、反応室の内壁に吸着した気体(酸素及び窒素などの大気成分、若しくは反応室のクリーニングに使用したエッチングガス)を除去するために水素、さらにはアルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガスを導入してプラズマ処理をすることが好ましい。アルゴン、クリプトン、キセノンなど質量数の大きい希ガス元素のプラズマを用いることで、表面に付着した酸素、水分、有機物、金属元素などをスパッタリングの効果で除去するため好ましい。水素を用いたプラズマ処理は、水素ラジカルにより、表面に吸着した前記不純物の除去と、絶縁膜に対するエッチング作用により清浄表面を形成するのに有効である。なお、このときの反応室の圧力は、反応室内にガスが導入されるため、設定圧力となる。
半導体膜形成処理443は、反応室内において、水素と、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガス、ここではシランを混合し、グロー放電プラズマにより、微結晶半導体及び非晶質半導体を有する半導体膜を形成する。図3(A)に示すように、不純物や格子不整合などの要因により半導体膜堆積初期段階において非晶質半導体59が形成されるが、一定の膜厚を経ると、非晶質半導体59の間に微結晶半導体58が形成される。
図2に示す非晶質半導体エッチング処理444は、半導体膜形成処理443に続いて行われる処理である。反応室内へのシリコンまたはゲルマニウムを含む堆積ガスの流入を止め、水素、及び/またはフッ素を含む気体、及び/または希ガスを混合し、プラズマを発生させる。微結晶半導体と比較して非晶質半導体は、水素ラジカル、フッ素ラジカル、希ガスラジカルによりエッチング作用を受けやすいため、選択的にエッチングされる。このため、図3(B)に示すように、ゲート絶縁膜52b上に微結晶半導体58を残存させることができる。
フッ素を含む気体としては、フッ素、フッ化臭素、フッ化ヨウ素、若しくは、水素、シリコン、ゲルマニウム等のフッ化物等を用いることができる。フッ素プラズマでは、フッ素ラジカルが発生する。なお、非晶質半導体エッチング処理444においては、希ガスは質量数が大きい希ガス元素、代表的にはクリプトン、キセノン等は用いないほうが好ましい。質量数が大きい希ガス元素ラジカルは、非晶質半導体だけでなく、微結晶半導体をもエッチングする可能性があるためである。
図2に示す結晶成長処理445は、非晶質半導体エッチング処理444に続いて行われる処理である。シランガスと水素及び/又は希ガスを混合して、グロー放電プラズマにより微結晶半導体膜を成膜する。シランは水素及び/又は希ガスで10倍から2000倍に希釈される。そのため多量の水素及び/又は希ガスが必要とされる。基板の加熱温度は100℃〜300℃、好ましくは120℃〜220℃で行う。微結晶シリコン膜の成長表面を水素で不活性化し、微結晶シリコンの成長を促進するためには120℃〜220℃で成膜を行うことが好ましい。結晶成長処理445において、活性種であるSiHラジカル、SiH2ラジカル、SiH3ラジカルが微結晶半導体58に結合して結晶成長する。この結果、微結晶半導体膜53を形成することができる。このとき、微結晶半導体は、微結晶半導体58を結晶成長の種として縦成長するため、ゲート絶縁膜52bに対して法線方向に結晶が成長し、図3(C)に示すように、柱状の微結晶半導体53aが並んだ微結晶半導体膜53を形成することができる。即ち、界面において、非晶質層を形成することなく、ゲート絶縁膜上に微結晶半導体膜を形成することができる。
また、シラン等のガス中にGeH4、GeF4などの水素化ゲルマニウム、フッ化ゲルマニウムを混合して、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。シリコンにゲルマニウムを加えると薄膜トランジスタの温度特性を変えることができる。
従来の微結晶半導体膜の形成方法では、図4に示すように、不純物や格子不整合などの要因により堆積初期段階において非晶質半導体59が形成されてしまう。逆スガタ型の薄膜トランジスタにおいては、ゲート絶縁膜の近傍の微結晶半導体膜においてキャリアが流れるため、界面において非晶質半導体59が形成されると、移動度が低下すると共に、電流量が少なく、薄膜トランジスタの電気特性が低下してしまう。
しかしながら、本形態に示すように、半導体膜形成処理、非晶質半導体エッチング処理、及び結晶成長処理を行うことで、微結晶半導体58を種として、微結晶半導体が縦成長するため、膜の厚さ方向における結晶性を高めると共に、ゲート絶縁膜及び微結晶半導体膜の界面の結晶性を高めることができる。
なお、図1乃至図4においては、半導体膜の形成工程と、半導体膜中の非晶質半導体のエッチング工程を別にしたが、同時に行ってもよい。その形態について、以下に示す。
シリコン、またはゲルマニウムを含む堆積ガス、水素、及び/またはフッ素を含む気体、及び/または希ガスを混合したプラズマCVD法により、ゲート絶縁膜52b上に微結晶半導体及び非晶質半導体を含む半導体膜を形成しながら、水素プラズマ、フッ素プラズマ、または希ガスプラズマ等でプラズマ処理し、非晶質半導体を選択的にエッチングして、図5(A)に示すように、ゲート絶縁膜52b上に微結晶半導体58を残存させる。微結晶半導体と比較して非晶質半導体は水素ラジカル、フッ素ラジカル、希ガスラジカルにエッチングされやすいため、一旦ゲート絶縁膜上に非晶質半導体が形成されても、すぐに水素ラジカル、フッ素ラジカル、希ガスラジカルによりエッチングされる。このため、微結晶半導体58をゲート絶縁膜52b上に残存させることができる。
フッ素を含む気体としては、フッ素、フッ化臭素、フッ化ヨウ素、若しくは、水素、シリコン、ゲルマニウム等のフッ化物等を用いることができる。フッ素プラズマでは、フッ素ラジカルが発生する。なお、非晶質半導体エッチング処理444においては、希ガスは質量数が大きい希ガス元素、代表的にはクリプトン、キセノン等は用いないほうが好ましい。質量数が大きい希ガス元素ラジカルは、非晶質半導体だけでなく、微結晶半導体をもエッチングする可能性があるためである。
次に、微結晶半導体58を結晶核として結晶成長させて、図5(B)に示すように、微結晶半導体膜53を形成する。
以下に、微結晶半導体膜を形成する方法として、代表例として微結晶シリコン膜を成膜する工程について、図6を参照して時系列的に説明する。また、ゲート絶縁膜及び微結晶半導体膜の界面の拡大断面図である図7を用いて、結晶核形成処理及び成膜処理について、詳細に説明する。
図6は微結晶半導体膜を形成する工程を説明するタイムチャートであり、代表的な一例を示す。図6の説明は反応室を大気圧から真空排気440する段階から示されており、その後に行われる基板搬入441、下地前処理442、結晶核形成処理448、結晶成長処理445、基板搬出446、クリーニング447の各処理が時系列的に示されている。なお、真空排気440、基板搬入441、下地前処理442、結晶成長処理445、基板搬出446、及びクリーニング447は、図2に示す工程と同様であり、下地前処理442及び結晶成長処理445の間に結晶核形成処理448が入る。
結晶成長処理445は、微結晶シリコン膜を形成する下地前処理442に続いて行われる処理である。はじめに、水素と、シリコンまたはゲルマニウムを含む堆積性ガス、ここではシランを混合し、グロー放電プラズマにより、微結晶半導体及び非晶質半導体を有する半導体膜を形成する。このとき、結晶成長処理445よりもシランに対する水素の流量を臆する。または、堆積性ガスと共に、フッ素を含む気体、及び/または希ガスを混合し、プラズマを発生させる。この結果、一旦ゲート絶縁膜52b上に形成された半導体膜のうち、非晶質半導体が選択的にエッチングされる。このため、図7(A)に示すように、ゲート絶縁膜52b上に微結晶半導体58を残存させることができる。
次に、図2と同様に、結晶成長処理445により、ゲート絶縁膜52bに対して法線方向に結晶が成長し、図7(B)に示すように、柱状の微結晶半導体53aが並んだ微結晶半導体膜53を形成することができる。即ち、界面において、非晶質層を形成することなく、ゲート絶縁膜上に微結晶半導体膜を形成することができる。
プラズマの生成は、本形態で示されるように、1MHzから20MHz、代表的には13.56MHzの高周波電力、または20MHzより大きく120MHz程度までのVHF帯の高周波電力を印加することで行われる。
なお、基板搬入441の前にプラズマCVD装置の反応室内に半導体膜をプレコートすることで、微結晶シリコン膜中に反応室を構成する金属を不純物として取り込んでしまうのを防ぐことができる。すなわち、反応室内をシリコンで被覆しておくことで、反応室内がプラズマにより食刻されるのを防ぐことができ、微結晶シリコン膜中に含まれる不純物濃度を低減することができる。
結晶成長処理445においては、シラン及び水素の他、反応ガスにヘリウムを加えても良い。ヘリウムは24.5eVとすべての気体中で最も高いイオン化エネルギーを持ち、そのイオン化エネルギーよりも少し低い、約20eVの準位に準安定状態があるので、放電持続中においては、イオン化にはその差約4eVしか必要としない。そのため放電開始電圧も全ての気体中最も低い値を示す。このような特性から、ヘリウムはプラズマを安定的に維持することができる。また、均一なプラズマを形成することができるので、微結晶シリコン膜を堆積する基板の面積が大きくなってもプラズマ密度の均一化を図る効果を奏する。
微結晶シリコン膜の成膜が終了した後、シラン、水素などの反応ガス及び高周波電力の供給を止めて基板搬出446を行う。引き続き別基板に対して成膜処理を行う場合には、基板搬入441の段階に戻り同じ処理が行われる。反応室内に付着した被膜や粉末を除去するには、クリーニング447を行う。
クリーニング447はNF3、SF6に代表されるエッチングガスを導入してプラズマエッチングを行う。また、ClF3のようにプラズマを利用しなくてもエッチングが可能なガスを導入して行う。クリーニング447においては基板加熱用のヒータを切って、温度を下げて行うことが好ましい。エッチングによる反応副生成物の生成を抑えるためである。クリーニング447の終了後は基板搬入441に戻り、以下同様の処理を行えば良い。
微結晶半導体膜53は微結晶半導体で構成されているため、非晶質半導体膜と比較して抵抗が低い。このため、微結晶半導体膜53を用いた薄膜トランジスタは、電流電圧特性を示す曲線の立ち上がり部分の傾きが急峻となり、スイッチング素子としての応答性が優れ、高速動作が可能となる。また、薄膜トランジスタのチャネル形成領域に微結晶半導体膜53を用いることで、薄膜トランジスタの閾値の変動を抑制することが可能である。このため、電気特性のばらつきの少ない表示装置を作製することができる。
また、本実施の形態で形成する微結晶半導体膜はゲート絶縁膜との界面における結晶性が高い。このため、微結晶半導体膜53を用いた薄膜トランジスタは、非晶質半導体膜や従来の微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタと比較して移動度が高い。このため、表示素子のスイッチングとして、チャネル形成領域が微結晶半導体膜53で形成される薄膜トランジスタを用いることで、チャネル形成領域の面積、即ち薄膜トランジスタの面積を縮小することが可能である。このため、一画素あたりに示す薄膜トランジスタの面積が小さくなり、画素の開口率を高めることが可能である。この結果、解像度の高い表示装置を作製することができる。
次に、図1(D)に示すように、微結晶半導体膜53上にバッファ層54及び一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55を形成する。次に、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55上にレジストマスク56を形成する。
バッファ層54としては、シリコン、またはゲルマニウムを含む堆積ガスを用いたプラズマCVD法により非晶質半導体膜を形成することができる。また、シリコン、またはゲルマニウムを含む堆積ガスに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して非晶質半導体膜を形成することができる。シランガスの流量の1倍以上10倍以下、更に好ましくは1倍以上5倍以下の流量の水素を用いて、水素を含む非晶質半導体膜を形成することができる。また、上記水素化半導体膜に、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素等のハロゲン、または窒素を添加してもよい。
また、バッファ層54は、ターゲットにシリコン、ゲルマニウム等の半導体ターゲットを用いて水素、または希ガスでスパッタリングして非晶質半導体膜を形成することができる。
バッファ層54は、結晶粒を含まない非晶質半導体膜で形成することが好ましい。このため、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、またはマイクロ波プラズマCVD法で形成する場合は、結晶粒を含まない非晶質半導体膜となるように、成膜条件を制御することが好ましい。
バッファ層54は、後のソース領域及びドレイン領域の形成プロセスにおいて、一部エッチングされる場合があるが、そのときに、バッファ層54の一部が残存する厚さで形成することが好ましい。代表的には、30nm以上500nm以下、好ましくは50nm以上100nm以下の厚さで形成することが好ましい。薄膜トランジスタの印加電圧の高い(例えば15V程度)表示装置、代表的には液晶表示装置において、バッファ層54を厚く形成すると、耐圧が高くなり、薄膜トランジスタに高い電圧が印加されても、薄膜トランジスタが劣化することを回避することができる。
微結晶半導体膜53の表面に、非晶質半導体膜、更には水素、窒素、またはハロゲンを含む非晶質半導体膜を形成することで、微結晶半導体膜53に含まれる結晶粒の表面の自然酸化を防止することが可能である。特に、非晶質半導体と微結晶粒が接する領域では、局部応力により亀裂が入りやすい。この亀裂が酸素に触れると結晶粒は酸化され、酸化珪素が形成される。しかしながら、微結晶半導体膜53の表面にバッファ層54を形成することで、微結晶粒の酸化を防ぐことができる。
また、バッファ層54は、非晶質半導体膜を用いて形成する、または、水素、窒素、若しくはハロゲンを含む非晶質半導体膜で形成するため、エネルギーギャップが微結晶半導体膜53に比べて大きく、また抵抗が高く、移動度が微結晶半導体膜53の1/5〜1/10と低い。このため、後に形成される薄膜トランジスタにおいて、ソース領域及びドレイン領域と、微結晶半導体膜53との間に形成されるバッファ層は高抵抗領域として機能し、微結晶半導体膜53がチャネル形成領域として機能する。このため、薄膜トランジスタのオフ電流を低減することができる。当該薄膜トランジスタを表示装置のスイッチング素子として用いた場合、表示装置のコントラストを向上させることができる。
なお、微結晶半導体膜53を形成した後、プラズマCVD法によりバッファ層54を300℃〜400℃の温度にて成膜することが好ましい。この成膜処理により水素が微結晶半導体膜53に供給され、微結晶半導体膜53を水素化したのと同等の効果が得られる。すなわち、微結晶半導体膜53上にバッファ層54を堆積することにより、微結晶半導体膜53に水素を拡散させて、ダングリングボンドの終端をすることができる。
一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55は、nチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合には、代表的な不純物元素としてリンを添加すれば良く、水素化珪素にPH3などの不純物気体を加えれば良い。また、pチャネル型の薄膜トランジスタを形成する場合には、代表的な不純物元素としてボロンを添加すれば良く、水素化珪素にB2H6などの不純物気体を加えれば良い。一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55は、微結晶半導体膜体、または非晶質半導体で形成することができる。一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55は2nm以上50nm以下の厚さで形成する。一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜の膜厚を、薄くすることでスループットを向上させることができる。
次に、上記反応室が適用されるプラズマCVD装置の一例として、ゲート絶縁膜及び微結晶半導体膜の成膜に適した構成の一例を示す。
図10は複数の反応室を備えたマルチ・チャンバ・プラズマCVD装置の一例を示す。この装置は共通室423と、ロード/アンロード室422、第1反応室400a、第2反応室400b、第3反応室400cを備えた構成となっている。ロード/アンロード室422のカセットに装填される基板は、共通室423の搬送機構426によって各反応室に搬出入される枚葉式の構成である。共通室423と各室の間にはゲートバルブ425が備えられ、各反応室で行われる処理が、相互に干渉しないように構成されている。
各反応室は形成する薄膜の種類によって区分されている。例えば、第1反応室400aはゲート絶縁膜などの絶縁膜を成膜し、第2反応室400bはチャネルを形成する微結晶半導体膜及びバッファ層を成膜し、第3反応室400cはソース及びドレインを形成する一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜を成膜する反応室として充当される。勿論、反応室の数はこれに限定されるわけではなく、必要に応じて任意に増減することができる。また、一の反応室で一の膜を成膜するようにしても良いし、一の反応室で複数の膜を成膜するように構成しても良い。
各反応室には排気手段としてターボ分子ポンプ419とドライポンプ420が接続されている。排気手段はこれらの真空ポンプの組み合わせに限定されるものではなく、概略10−1Paから10−5Paの真空度にまで排気できるものであれば他の真空ポンプを適用することができる。排気手段430と各反応室との間にはバタフライバルブ417が設けられており、これによって真空排気を遮断させることができ、コンダクタンスバルブ418によって排気速度を制御して、それぞれの反応室の圧力を調節することができる。
なお、微結晶半導体膜を形成する第2反応室400bは超高真空まで真空排気するものとして、クライオポンプ421を連結してもよい。クライオポンプ421を用いることで、反応室の圧力を10−5Paよりも低い圧力の超高真空とすることができる。本実施の形態では、半導体膜の形成処理、非晶質半導体のエッチング処理、微結晶半導体を結晶核とした微結晶半導体の結晶成長処理等の複数の工程を経て、微結晶半導体膜を形成しているため、反応室内を10−5Paよりも低い圧力の超高真空とすることで、微結晶半導体膜中の酸素濃度の低減に効果的である。この結果、微結晶半導体膜53に含まれる酸素の濃度を1×1016atoms/cm3以下とすることができる。微結晶半導体膜中の酸素濃度を低減することで、膜中の欠陥を低減することが可能となるため、キャリアの移動を向上させることが可能である。
ガス供給手段408はシランに代表される半導体材料ガス若しくは希ガスなどプロセスに用いるガスが充填されるシリンダ410、ストップバルブ412、マスフローコントローラ413などで構成されている。ガス供給手段408gは第1反応室400aに接続され、ゲート絶縁膜を成膜するためのガスを供給する。ガス供給手段408iは第2反応室100bに接続され、結晶核、微結晶半導体膜、及びバッファ層用のガスを供給する。ガス供給手段408nは第3反応室400cに接続され、例えはn型半導体膜用のガスを供給する。ガス供給手段408aは水素を供給し、ガス供給手段408fは反応室内のクリーニングに用いるエッチングガスを供給する系統であり、これらは各反応室共通のラインとして構成されている。
各反応室にはプラズマを形成するための高周波電力供給手段403が連結されている。高周波電力供給手段403は高周波電源404と整合器406が含まれる。
図11は、図10のマルチ・チャンバ・プラズマCVD装置の構成に、第4反応室400dを追加した構成を示す。第4反応室400dには、ガス供給手段408bが連結されている。その他、高周波電力供給手段、排気手段の構成は同様である。各反応室は形成する薄膜の種類によって使い分けることが可能である。例えば、第1反応室400aはゲート絶縁膜などの絶縁膜を成膜し、第2反応室400bは半導体膜及びチャネル形成領域用の微結晶半導体膜を成膜し、第4反応室400dではチャネル形成領域用の微結晶半導体膜を保護するバッファ層を形成し、第3反応室400cはソース及びドレインを形成する一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜を成膜する反応室として用いることができる。それぞれの薄膜は最適な成膜温度があるので、反応室を個別に分けておくことで成膜温度を管理することが容易となる。さらに、同じ膜種を繰り返し成膜することができるので、成膜履歴に係る残留不純物の影響を排除することができる。
なお、ここでは、図1(C)及び(D)に示すように、微結晶半導体膜53及びバッファ層54を別工程で形成した形態を示したが、図8に示すように、微結晶半導体膜53及びバッファ層54を連続的に形成してもよい。具体的には、図1(A)に示すように、ゲート絶縁膜52b上に半導体膜57を形成し、図1(B)に示すように半導体膜57の非晶質半導体を選択的にエッチングして微結晶半導体58を形成し、図1(C)に示すように微結晶半導体58を結晶核として微結晶半導体膜53を形成する。次に、図8(A)に示すように、微結晶半導体を種として結晶成長させて微結晶半導体膜53を形成した後、大気に触れさせることなく、連続的にバッファ層54を形成する。この後、図1(D)に示すように、バッファ層54上に一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55を形成する。
図9は、微結晶半導体膜53及びバッファ層54を連続的に形成する場合の工程を説明するタイムチャートであり、代表的な一例を示す。図9の説明は反応室を大気圧から真空排気440する段階から示されており、その後に行われる基板搬入441、下地前処理442、半導体膜形成処理443、非晶質半導体エッチング処理444、結晶成長処理445、バッファ層形成処理449、基板搬出446、クリーニング447の各処理が時系列的に示されている。なお、真空排気440、基板搬入441、下地前処理442、半導体膜形成処理443、非晶質半導体エッチング処理444、基板搬出446、及びクリーニング447は、図2に示す工程と同様である。ここでは、結晶成長処理445、及び基板搬出446の間にバッファ層形成処理449が入る。
バッファ層形成処理449は、微結晶シリコン膜を形成する結晶成長処理445に続いて行われる処理である。バッファ層は、シランガスと水素及び/又は希ガスを混合してグロー放電プラズマにより成膜する。シランは水素及び/又は希ガスで1倍以上10倍未満、更に好ましくは1倍以上5倍以下に希釈して、非晶質半導体膜を形成することができる。基板の加熱温度は100℃〜300℃、好ましくは120℃〜220℃で行う。
なお、水素を反応室内に導入せず、シランでバッファ層を形成してもよい。また、微結晶半導体膜を形成する結晶成長処理445と比較して、バッファ層形成処理449はシランの流量が大幅に増えるため、微結晶半導体膜の結晶成長処理445の後、電力をオフにし、シラン、水素等の流量を再設定した後、電源をオンにし、バッファ層を形成してもよい。
微結晶半導体膜53及びバッファ層54を連続的に成膜することにより大気成分や大気中に浮遊する汚染不純物元素に汚染されることなく各積層界面を形成することができるので、薄膜トランジスタ特性のばらつきを低減することができる。
次に、図1(D)に示すように、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55上にレジストマスク56を形成する。
レジストマスク56は、フォトリソグラフィ技術により形成する。ここでは、第2のフォトマスクを用いて、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55上に塗布されたレジストを露光現像して、レジストマスク56を形成する。
次に、レジストマスク56を用いて微結晶半導体膜53、バッファ層54、及び導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55をエッチングし分離して、図12(A)に示すように、微結晶半導体膜61、バッファ層62、及び導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63を形成する。この後、レジストマスク56を除去する。なお、図12(A)(レジストマスク56は除く。)は、図14(A)のA−Bの断面図に相当する。
微結晶半導体膜61、バッファ層62の端部側面が傾斜していることにより、バッファ層62上に形成されるソース領域及びドレイン領域と微結晶半導体膜61との間にリーク電流が生じること防止することが可能である。また、配線層と、微結晶半導体膜61との間にリーク電流が生じるのを防止することが可能である。微結晶半導体膜61及びバッファ層62の端部側面の傾斜角度は、90°〜30°、好ましくは80°〜45°である。このような角度とすることで、段差形状による配線層の段切れを防ぐことができる。
次に、図12(B)に示すように、導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63及びゲート絶縁膜52b上に導電膜65a〜65cを形成し、導電膜65a〜65c上にレジストマスク66を形成する。導電膜65a〜65cは、アルミニウム、若しくは銅、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性向上元素若しくはヒロック防止元素が添加されたアルミニウム合金の単層または積層で形成することが好ましい。また、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜と接する側の膜を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、またはこれらの元素の窒化物で形成し、その上にアルミニウムまたはアルミニウム合金を形成した積層構造としても良い。更には、アルミニウムまたはアルミニウム合金の上面及び下面を、チタン、タンタル、モリブデン、タングステン、またはこれらの元素の窒化物で挟んだ積層構造としてもよい。ここでは、導電膜としては、導電膜65a〜65cの3層が積層した構造の導電膜を示し、導電膜65a、65cにモリブデン膜、導電膜65bにアルミニウム膜を用いた積層導電膜や、導電膜65a、65cにチタン膜、導電膜65bにアルミニウム膜を用いた積層導電膜を示す。導電膜65a〜65cは、スパッタリング法や真空蒸着法で形成する。
レジストマスク66は、レジストマスク56と同様に形成することができる。
次に、図12(C)に示すように、導電膜65a〜65cの一部をエッチングし、一対の配線層71a〜71c(ソース電極及びドレイン電極として機能する。)を形成する。ここでは、第3のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスク66を用いて、導電膜65a〜65cをウエットエッチングすると、導電膜65a〜65cの端部が選択的にエッチングされる。この結果、レジストマスク66より面積の小さい配線層71a〜71cを形成することができる。
次に、レジストマスク66を用いて一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63をエッチングし分離する。この結果、図13(A)に示すような、一対のソース領域及びドレイン領域72を形成することができる。なお、当該エッチング工程において、バッファ層62の一部もエッチングする。一部エッチングされた、凹部が形成されたバッファ層をバッファ層73と示す。ソース領域及びドレイン領域の形成工程と、バッファ層の凹部とを同一工程で形成することができる。バッファ層の凹部の深さをバッファ層の一番膜厚の厚い領域の1/2〜1/3とすることで、ソース領域及びドレイン領域の距離を離すことが可能であるため、ソース領域及びドレイン領域の間でのリーク電流を低減することができる。この後、レジストマスク66を除去する。
次に、露出しているバッファ層にダメージが入らず、且つ該バッファ層に対するエッチングレートが低い条件でドライエッチングする。この工程により、ソース領域及びドレイン領域間のバッファ層上のエッチング残渣物、レジストマスクの残渣、及びレジストマスクの除去に用いる装置内の汚染源を除去することが可能であり、ソース領域及びドレイン領域間の絶縁を確実なものとすることができる。この結果、薄膜トランジスタのリーク電流を低減することが可能であり、オフ電流が小さく、耐圧の高い薄膜トランジスタを作製することが可能である。なお、エッチングガスには例えば塩素ガスを用いればよい。
なお、図13(A)(レジストマスク66は除く。)は、図14(B)のA−Bの断面図に相当する。図14(B)に示すように、ソース領域及びドレイン領域72の端部は、配線層71cの端部の外側に位置することが分かる。また、バッファ層73の端部は配線層71c及びソース領域及びドレイン領域72の端部の外側に位置する。また、配線層の一方はソース領域及びドレイン領域の他方を囲む形状(具体的には、U字型、C字型)である。このため、キャリアが移動する領域の面積を増加させることが可能であるため、電流量を増やすことが可能であり、薄膜トランジスタの面積を縮小することができる。また、ゲート電極上において、微結晶半導体膜、配線層が重畳されているため、ゲート電極の凹凸の影響が少なく、被覆率の低減及びリーク電流の発生を抑制することができる。
以上の工程により、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ74を形成することができる。
次に、図13(B)に示すように、配線層71a〜71c、ソース領域及びドレイン領域72、バッファ層73、微結晶半導体膜61、及びゲート絶縁膜52b上に保護絶縁膜76を形成する。保護絶縁膜76は、ゲート絶縁膜52a、52bと同様に形成することができる。なお、保護絶縁膜76は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。また、保護絶縁膜76に窒化珪素膜を用いることで、バッファ層87中の酸素濃度を5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下とすることができ、バッファ層87の酸化を防止することができる。
次に、保護絶縁膜76に第4のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを用いて保護絶縁膜76の一部をエッチングしてコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールにおいて配線層75cに接する画素電極77を形成する。なお、図13(C)は、図14(C)のA−Bの断面図に相当する。画素電極77に接続する配線層71a〜71cをドレイン電極とし、半導体層上において当該配線層と対向する配線層71a〜71cをソース電極(ソース配線)とすることで、薄膜トランジスタのIonを高くすることが可能であり、または繰り返し動作による劣化を低減することができる。また、ゲート配線とドレイン電極との間に寄生容量が発生しにくく、画素電極77に電荷を溜めやすい。このため、当該薄膜トランジスタを液晶表示装置に用いる場合、液晶の高速動作が可能である。
画素電極77は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
また、画素電極77として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
ここでは、画素電極77としては、スパッタリング法によりITOを成膜した後、ITO上にレジストを塗布する。次に、第5のフォトマスクを用いてレジストを露光及び現像し、レジストマスクを形成する。次に、レジストマスクを用いてITOをエッチングして画素電極77を形成する。
以上により、薄膜トランジスタ、及び表示装置に用いることが可能な素子基板を形成することができる。
次に、上記形態とは異なる薄膜トランジスタの作製方法について、図15乃至図18を用いて説明する。ここでは、上記形態よりフォトマスク数を削減することが可能なプロセスを用いて薄膜トランジスタを作製する工程について示す。
図1(A)と同様に、基板50上に導電膜を形成し、導電膜上にレジストを塗布し、第1のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程により形成したレジストマスクを用いて導電膜の一部をエッチングして、ゲート電極51を形成する。次に、図15(A)に示すように、ゲート電極51上に、ゲート絶縁膜52a、52bを形成する。図1(B)及び(C)と同様の工程により、微結晶半導体膜53を形成する。次に、微結晶半導体膜53上に、バッファ層54、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55、及び導電膜65a〜65cを順に形成する。次に、導電膜65a上にレジスト80を塗布する。
レジスト80は、ポジ型レジストまたはネガ型レジストを用いることができる。ここでは、ポジ型レジストを用いて示す。
次に、第2のフォトマスクとして多階調マスク159を用いて、レジスト80に光を照射して、レジスト80を露光する。
ここで、多階調マスク159を用いた露光について、図16を用いて説明する。
多階調マスクとは、露光部分、中間露光部分、及び未露光部分に3つの露光レベルを行うことが可能なマスクであり、一度の露光及び現像工程により、複数(代表的には二種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを形成することが可能である。このため、多階調マスクを用いることで、フォトマスクの枚数を削減することが可能である。
多階調マスクの代表例としては、図16(A)に示すようなグレートーンマスク59a、図16(C)に示すようなハーフトーンマスク59bがある。
図16(A)に示すように、グレートーンマスク59aは、透光性を有する基板163及びその上に形成される遮光部164並びに回折格子165で構成される。遮光部164においては、光の透過量が0%である。一方、回折格子165はスリット、ドット、メッシュ等の光透過部の間隔を、露光に用いる光の解像度限界以下の間隔とすることにより、光の透過量を制御することができる。なお、回折格子165は、周期的なスリット、ドット、メッシュ、または非周期的なスリット、ドット、メッシュどちらも用いることができる。
透光性を有する基板163は、石英等の透光性を有する基板を用いることができる。遮光部164及び回折格子165は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて形成することができる。
グレートーンマスク59aに露光光を照射した場合、図16(B)に示すように、遮光部164においては、光透過量166は0%であり、遮光部164及び回折格子165が設けられていない領域では光透過量166は100%である。また、回折格子165においては、10〜70%の範囲で調整可能である。回折格子165における光の透過量の調整は、回折格子のスリット、ドット、またはメッシュの間隔及びピッチの調整により可能である。
図16(C)に示すように、ハーフトーンマスク59bは、透光性を有する基板163及びその上に形成される半透過部167並びに遮光部168で構成される。半透過部167は、MoSiN、MoSi、MoSiO、MoSiON、CrSiなどを用いることができる。遮光部168は、クロムや酸化クロム等の光を吸収する遮光材料を用いて形成することができる。
ハーフトーンマスク59bに露光光を照射した場合、図16(D)に示すように、遮光部168においては、光透過量169は0%であり、遮光部168及び半透過部167が設けられていない領域では光透過量169は100%である。また、半透過部167においては、10〜70%の範囲で調整可能である。半透過部167に於ける光の透過量の調整は、半透過部167の材料により調整により可能である。
多階調マスクを用いて露光した後、現像することで、図15(B)に示すように、膜厚の異なる領域を有するレジストマスク81を形成することができる。
次に、レジストマスク81により、微結晶半導体膜53、バッファ層54、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜55、及び導電膜65a〜65cをエッチングし分離する。この結果、図17(A)に示すような、微結晶半導体膜61、バッファ層62、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63、及び導電膜85a〜85cを形成することができる。なお、図17(A)(レジストマスク81を除く。)は図19(A)のA−Bにおける断面図に相当する。
次に、レジストマスク81をアッシングする。この結果、レジストの面積が縮小し、厚さが薄くなる。このとき、膜厚の薄い領域のレジスト(ゲート電極51の一部と重畳する領域)は除去され、図17(A)に示すように、分離されたレジストマスク86を形成することができる。
次に、レジストマスク86を用いて、導電膜85a〜85cをエッチングし分離する。この結果、図17(B)に示すような、一対の配線層92a〜92cを形成することができる。レジストマスク86を用いて導電膜89a〜89cをウエットエッチングすると、導電膜89a〜89cの端部が選択的にエッチングされる。この結果、レジストマスク86より面積の小さい配線層92a〜92cを形成することができる。
次に、レジストマスク86を用いて、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63をエッチングして、一対のソース領域及びドレイン領域88を形成する。なお、当該エッチング工程において、バッファ層62の一部もエッチングされる。一部エッチングされたバッファ層をバッファ層87と示す。なお、バッファ層87には凹部が形成される。ソース領域及びドレイン領域の形成工程と、バッファ層の凹部とを同一工程で形成することができる。ここでは、バッファ層87の一部が、レジストマスク81と比較して面積が縮小したレジストマスク86で一部エッチングされたため、ソース領域及びドレイン領域88の外側にバッファ層87が突出した形状となる。また、配線層92a〜92cの端部と、ソース領域及びドレイン領域88の端部は一致せずずれており、配線層92a〜92cの端部の外側に、ソース領域及びドレイン領域88の端部が形成される。この後、レジストマスク66を除去する。
次に、露出しているバッファ層にダメージが入らず、且つ該バッファ層に対するエッチングレートが低い条件でドライエッチングする。この工程により、ソース領域及びドレイン領域間のバッファ層上のエッチング残渣物、レジストマスクの残渣、及びレジストマスクの除去に用いる装置内の汚染源を除去することが可能であり、ソース領域及びドレイン領域間の絶縁を確実なものとすることができる。この結果、薄膜トランジスタのリーク電流を低減することが可能であり、オフ電流が小さく、耐圧の高い薄膜トランジスタを作製することが可能である。なお、エッチングガスには例えば塩素ガスを用いればよい。
図17(C)に示すように、配線層92a〜92cの端部と、ソース領域及びドレイン領域88の端部は一致せずずれた形状となることで、配線層92a〜92cの端部の距離が離れるため、配線層間のリーク電流やショートを防止することができる。このため逆スタガ型の薄膜トランジスタを作製することができる。
以上の工程により、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタ83を形成することができる。また、2枚のフォトマスクを用いて薄膜トランジスタを形成することができる。
次に、図17(A)に示すように、配線層92a〜92c、ソース領域及びドレイン領域88、バッファ層87、微結晶半導体膜90、及びゲート絶縁膜52b上に保護絶縁膜76を形成する。保護絶縁膜76は、ゲート絶縁膜52a、52bと同様に形成することができる。
次に、第3のフォトマスクを用いて形成したレジストマスクを用いて保護絶縁膜76の一部をエッチングしてコンタクトホールを形成する。次に、当該コンタクトホールにおいて配線層75cに接する画素電極77を形成する。ここでは、画素電極77としては、スパッタリング法によりITOを成膜した後、ITO上にレジストを塗布する。次に、第4のフォトマスクを用いてレジストを露光及び現像し、レジストマスクを形成する。次に、レジストマスクを用いてITOをエッチングして画素電極77を形成する。なお、図18(B)は、図19(C)のA−Bの断面図に相当する。
以上により、薄膜トランジスタ、及び当該薄膜トランジスタを有し、表示装置に用いることが可能な素子基板を形成することができる。
また、図12(C)または図17(B)において、配線層92a〜92cを形成した後、レジストマスク86を除去し、配線層92a〜92cをマスクとして一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63をエッチングしてもよい。この結果、配線層71a〜71cと、ソース領域及びドレイン領域88の端部が一致した薄膜トランジスタを形成することができる。ここでは、図12(B)のレジストマスク86を除去した後、配線層92a〜92cをマスクとして、一導電型を付与する不純物が添加された半導体膜63をエッチングして、ソース領域及びドレイン領域89の端部と配線層92a〜92cの端部が揃っている薄膜トランジスタを図20(B)に示す。
以上の工程により、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタを形成することができる。チャネルエッチ型の薄膜トランジスタは、作製工程数が少なく、コスト削減が可能である。また、微結晶半導体膜でチャネル形成領域を構成することにより1〜20cm2/V・secの電界効果移動度を得ることができる。従って、この薄膜トランジスタを画素部の画素のスイッチング用素子として、さらに走査線(ゲート線)側の駆動回路を形成する素子として利用することができる。
なお、本実施の形態では、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタを用いて示したが、チャネル保護型薄膜トランジスタのチャネル形成領域に、微結晶半導体膜を用いることができる。
本実施の形態により、電気特性が優れた逆スタガ型の薄膜トランジスタ、及びそれを有する表示基板を作製することができる。
なお、本実施の形態では、薄膜トランジスタとして逆スタガ型薄膜トランジスタを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、順スタガ型薄膜トランジスタ、トップゲート型薄膜トランジスタ等にも適用することが可能である。具体的には、下地膜として機能する絶縁膜上に、本実施の形態と同様に絶縁膜上に微結晶半導体を残存させ、微結晶半導体を種として結晶成長させて微結晶半導体膜を形成し、微結晶半導体膜上にゲート絶縁膜及びゲート電極を形成すると、絶縁膜との界面の結晶性を高めた微結晶半導体膜を有する薄膜トランジスタを作製することができる。このため、電気特性に優れた薄膜トランジスタを形成することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、表示装置の一形態として、実施の形態1で示す薄膜トランジスタを有する液晶表示装置について、以下に示す。ここでは、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置について、図21乃至図23を用いて説明する。VA型の液晶表示装置とは、液晶パネルの液晶分子の配列を制御する方式の一種である。VA型の液晶表示装置は、電圧が印加されていないときにパネル面に対して液晶分子が垂直方向を向く方式である。本実施の形態では、特に画素(ピクセル)をいくつかの領域(サブピクセル)に分け、それぞれ別の方向に分子を倒すよう工夫されている。これをマルチドメイン化あるいはマルチドメイン設計という。以下の説明では、マルチドメイン設計が考慮された液晶表示装置について説明する。
図21と図22は、VA型液晶パネルの画素構造を示している。図22は基板600の平面図であり、図中に示す切断線Y−Zに対応する断面構造を図21に表している。以下の説明ではこの両図を参照して説明する。
この画素構造は、一つの画素に複数の画素電極が有り、それぞれの画素電極に平坦化膜622を介して薄膜トランジスタが接続されている。各薄膜トランジスタは、異なるゲート信号で駆動されるように構成されている。すなわち、マルチドメイン設計された画素において、個々の画素電極に印加する信号を、独立して制御する構成を有している。
画素電極624はコンタクトホール623において、配線618で薄膜トランジスタ628と接続している。また、画素電極626はコンタクトホール627において、配線619で薄膜トランジスタ629と接続している。薄膜トランジスタ628のゲート配線602と、薄膜トランジスタ629のゲート配線603には、異なるゲート信号を与えることができるように分離されている。一方、データ線として機能する配線616は、薄膜トランジスタ628と薄膜トランジスタ629で共通に用いられている。薄膜トランジスタ628及び薄膜トランジスタ629は実施の形態1で示す方法を用いて作製することができる。
画素電極624と画素電極626の形状は異なっており、スリット625によって分離されている。V字型に広がる画素電極624の外側を囲むように画素電極626が形成されている。画素電極624と画素電極626に印加する電圧のタイミングを、薄膜トランジスタ628及び薄膜トランジスタ629により異ならせることで、液晶の配向を制御している。ゲート配線602とゲート配線603は異なるゲート信号を与えることで、薄膜トランジスタ628と薄膜トランジスタ629の動作タイミングを異ならせることができる。また、画素電極624、626上に配向膜646が形成されている。
対向基板601には、遮光膜632、第2の着色膜636、対向電極640が形成されている。また、第2の着色膜636と対向電極640の間には平坦化膜637が形成され、液晶の配向乱れを防いでいる。また、対向電極640上に配向膜646が形成される。図23に対向基板側の構造を示す。対向電極640は異なる画素間で共通化されている電極であるが、スリット641が形成されている。このスリット641と、画素電極624及び画素電極626側のスリット625とを交互に咬み合うように配置することで、斜め電界が効果的に発生させて液晶の配向を制御することができる。これにより、液晶が配向する方向を場所によって異ならせることができ、視野角を広げている。
画素電極624と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、第1の液晶素子が形成されている。また、画素電極626と液晶層650と対向電極640が重なり合うことで、第2の液晶素子が形成されている。また、一画素に第1の液晶素子と第2の液晶素子が設けられたマルチドメイン構造である。
なお、ここでは、液晶表示装置として、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置を示したが、実施の形態1を用いて形成した素子基板を、FFS型の液晶表示装置、IPS型の液晶表示装置、TN型の液晶表示装置、その他の液晶表示装置に用いることができる。
以上の工程により、液晶表示装置を作製することができる。本実施の形態の液晶表示装置は、オフ電流が少なく、電気特性が優れた逆スタガ型の薄膜トランジスタを用いているため、コントラストが高く、視認性の高い液晶表示装置を作製することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、表示装置の一形態として、実施の形態1で示す薄膜トランジスタを有する発光表示装置について、以下に示す。ここでは、発光表示装置が有する画素の構成について説明する。図27(A)に、画素の上面図の一形態を示し、図27(B)に図27(A)のA−Bに対応する画素の断面構造の一形態を示す。
発光装置としては、ここではエレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を用いて示す。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。また、ここでは、薄膜トランジスタの作製工程として実施の形態1を用いることができる。
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。また、画素電極への信号の入力を制御するためのスイッチング用の薄膜トランジス、及び発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタとして、チャネルエッチ型の薄膜トランジスタを用いて示すが、チャネル保護型の薄膜トランジスタを適宜用いることができる。
図27(A)及び図27(B)において、第1の薄膜トランジスタ74aは画素電極への信号の入力を制御するためのスイッチング用の薄膜トランジスタであり、第2の薄膜トランジスタ74bは発光素子94への電流または電圧の供給を制御するための駆動用の薄膜トランジスタに相当する。
第1の薄膜トランジスタ74aのゲート電極は走査線51aに、ソースまたはドレインの一方は信号線71a〜71cに接続され、ソースまたはドレインの他方は第2の薄膜トランジスタ74bのゲート電極51bに接続する。第2の薄膜トランジスタ74bのソースまたはドレインの一方は電源線93a〜93cに接続され、ソースまたはドレインの他方は表示装置の画素電極79に接続される。第2の薄膜トランジスタ74bのゲート電極、ゲート絶縁膜、及び電源線93aで容量素子96を構成し、第1の薄膜トランジスタ74aのソースまたはドレインの他方は容量素子96に接続される。
なお、容量素子96は、第1の薄膜トランジスタ74aがオフのときに第2の薄膜トランジスタ74bのゲート/ソース間電圧またはゲート/ドレイン間電圧(以下、ゲート電圧とする)を保持するための容量素子に相当し、必ずしも設ける必要はない。
本実施の形態では、第1の薄膜トランジスタ74a及び第2の薄膜トランジスタ74bを実施の形態1を用いて形成することができる。また、第1の薄膜トランジスタ74a及び第2の薄膜トランジスタ74bはここではnチャネル型薄膜トランジスタで形成するが、第1の薄膜トランジスタ74aをnチャネル型薄膜トランジスタで形成し、第2の薄膜トランジスタ74bをpチャネル型薄膜トランジスタで形成してもよい。さらには、第1の薄膜トランジスタ74a及び第2の薄膜トランジスタ74bをpチャネル型の薄膜トランジスタで形成してもよい。
第1の薄膜トランジスタ74a及び第2の薄膜トランジスタ74b上に保護絶縁膜76を形成し、保護絶縁膜76上に平坦化膜78を形成し、平坦化膜78及び保護絶縁膜65に形成されるコンタクトホールにおいて、配線64cに接続する陰極79が形成される。平坦化膜78は、アクリル、ポリイミド、ポリアミドなどの有機樹脂、またはシロキサンポリマーを用いて形成することが好ましい。コンタクトホールにおいては、陰極79が凹凸を有するため、当該領域を覆い、且つ開口部を有する隔壁91を設ける。隔壁91の開口部において陰極79と接するように、発光層92が形成され、発光層92を覆うように陽極93が形成され、陽極93及び隔壁91を覆うように保護絶縁膜95が形成される。
ここでは、発光素子として上面射出構造の発光素子94を示す。上面射出構造の発光素子94は、第1の薄膜トランジスタ74a、第2の薄膜トランジスタ74b上でも発光することが可能であるため、発光面積を増大することが可能である。しかしながら、発光層92の下地膜が凹凸を有すると、当該凹凸において膜厚分布が不均一となり陽極93及び陰極79がショートし、表示欠陥となってしまう。このため、平坦化膜78を設けることが好ましい。
陰極79及び陽極93で発光層92を挟んでいる領域が発光素子94に相当する。図27(A)に示した画素の場合、発光素子94から発せられる光は、白抜きの矢印で示すように陽極93側に射出する。
陰極79は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば公知の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、CaF、MgAg、AlLi等が望ましい。発光層92は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陰極79に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なお、これらの層を全て設ける必要はない。陽極93は、光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、ITO、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性導電膜を用いても良い。
ここでは、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出構造の発光素子について示したが、基板側の面から発光を取り出す下面射出構造の発光素子や、基板側及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子を適宜適用することができる。
また、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機EL素子を設けることも可能である。
なお、本実施の形態では、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用薄膜トランジスタ)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用薄膜トランジスタと発光素子との間に電流制御用薄膜トランジスタが接続されている構成であってもよい。
以上の工程により、発光表示装置を作製することができる。本実施の形態の発光装置は、オフ電流が少なく、電気特性が優れた逆スタガ型の薄膜トランジスタを用いているため、コントラストが高く、視認性の高い発光表示装置を作製することができる。
(実施の形態4)
次に、本発明の表示装置の一形態である表示パネルの構成について、以下に示す。
図25に、信号線駆動回路6013のみを別途形成し、基板6011上に形成された画素部6012と接続している表示パネルの形態を示す。画素部6012及び走査線駆動回路6014は、微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタを用いて形成する。微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタよりも高い移動度が得られるトランジスタで信号線駆動回路を形成することで、走査線駆動回路よりも高い駆動周波数が要求される信号線駆動回路の動作を安定させることができる。なお、信号線駆動回路6013は、単結晶の半導体を用いたトランジスタ、多結晶の半導体を用いた薄膜トランジスタ、またはSOIを用いたトランジスタであっても良い。画素部6012と、信号線駆動回路6013と、走査線駆動回路6014とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6015を介して供給される。
なお、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を、共に画素部と同じ基板上に形成しても良い。
また、駆動回路を別途形成する場合、必ずしも駆動回路が形成された基板を、画素部が形成された基板上に貼り合わせる必要はなく、例えばFPC上に貼り合わせるようにしても良い。図25(B)に、信号線駆動回路6023のみを別途形成し、基板6021上に形成された画素部6022及び走査線駆動回路6024と接続している表示装置パネルの形態を示す。画素部6022及び走査線駆動回路6024は、微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路6023は、FPC6025を介して画素部6022と接続されている。画素部6022と、信号線駆動回路6023と、走査線駆動回路6024とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6025を介して供給される。
また、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを、微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタを用いて画素部と同じ基板上に形成し、残りを別途形成して画素部と電気的に接続するようにしても良い。図25(C)に、信号線駆動回路が有するアナログスイッチ6033aを、画素部6032、走査線駆動回路6034と同じ基板6031上に形成し、信号線駆動回路が有するシフトレジスタ6033bを別途異なる基板に形成して貼り合わせる表示装置パネルの形態を示す。画素部6032及び走査線駆動回路6034は、微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタを用いて形成する。信号線駆動回路が有するシフトレジスタ6033bは、FPC6035を介して画素部6032と接続されている。画素部6032と、信号線駆動回路と、走査線駆動回路6034とに、それぞれ電源の電位、各種信号等が、FPC6035を介して供給される。
図25に示すように、本実施の形態の表示装置は、駆動回路の一部または全部を、画素部と同じ基板上に、微結晶半導体膜を用いた薄膜トランジスタを用いて形成することができる。
なお、別途形成した基板の接続方法は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。また接続する位置は、電気的な接続が可能であるならば、図25に示した位置に限定されない。また、コントローラ、CPU、メモリ等を別途形成し、接続するようにしても良い。
なお本発明で用いる信号線駆動回路は、シフトレジスタとアナログスイッチ有する。なたは、シフトレジスタとアナログスイッチに加え、バッファ、レベルシフタ、ソースフォロワ等、他の回路を有していても良い。また、シフトレジスタとアナログスイッチは必ずしも設ける必要はなく、例えばシフトレジスタの代わりにデコーダ回路のような信号線の選択ができる別の回路を用いても良いし、アナログスイッチの代わりにラッチ等を用いても良い。
(実施の形態5)
本発明により得られる表示装置等によって、アクティブマトリクス型表示装置パネルに用いることができる。即ち、それらを表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ及びデジタルカメラ等のカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図26に示す。
図26(A)はテレビジョン装置である。表示パネルを、図26(A)に示すように、筐体に組みこんで、テレビジョン装置を完成させることができる。表示パネルにより主画面2003が形成され、その他付属設備としてスピーカ部2009、操作スイッチなどが備えられている。このように、テレビジョン装置を完成させることができる。
図26(A)に示すように、筐体2001に表示素子を利用した表示用パネル2002が組みこまれ、受信機2005により一般のテレビ放送の受信をはじめ、モデム2004を介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、又は受信者間同士)の情報通信をすることもできる。テレビジョン装置の操作は、筐体に組みこまれたスイッチ又は別体のリモコン操作機2006により行うことが可能であり、このリモコン装置にも出力する情報を表示する表示部2007が設けられていても良い。
また、テレビジョン装置にも、主画面2003の他にサブ画面2008を第2の表示パネルで形成し、チャネルや音量などを表示する構成が付加されていても良い。この構成において、主画面2003を視野角の優れた液晶表示パネルで形成し、サブ画面を低消費電力で表示可能な発光表示パネルで形成しても良い。また、低消費電力化を優先させるためには、主画面2003を発光表示パネルで形成し、サブ画面を発光表示パネルで形成し、サブ画面は点滅可能とする構成としても良い。
図27はテレビ装置の主要な構成を示すブロック図を示している。表示パネル900には、画素部921が形成されている。信号線駆動回路922と走査線駆動回路923は、表示パネル900にCOG方式により実装されていても良い。
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ924で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像信号増幅回路925と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路926と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路927などを有している。コントロール回路927は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路928を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
チューナ924で受信した信号のうち、音声信号は、音声信号増幅回路929に送られ、その出力は音声信号処理回路930を経てスピーカ933に供給される。制御回路931は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部932から受け、チューナ924や音声信号処理回路930に信号を送出する。
勿論、本発明はテレビジョン装置に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など大面積の表示媒体としても様々な用途に適用することができる。
主画面2003、サブ画面2008において、上記実施の形態で説明した表示装置を適用することで、テレビ装置の量産性を高めることができる。
図26(B)は携帯電話機2301の一例を示している。この携帯電話機2301は、表示部2302、操作部2303などを含んで構成されている。表示部2302においては、上記実施の形態で説明した表示装置を適用することで、携帯電話の量産性を高めることができる。
また、図26(C)に示す携帯型のコンピュータは、本体2401、表示部2402等を含んでいる。表示部2402に、上記実施の形態に示す表示装置を適用することにより、コンピュータの量産性を高めることができる。
図26(D)は卓上照明器具であり、照明部2501、傘2502、可変アーム2503、支柱2504、台2505、電源2506を含む。本発明の発光装置を照明部2501に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。上記実施の形態に示す表示装置を適用することにより、量産性を高めることができ、安価な卓上照明器具を提供することができる。