JP2009074219A - 糸条巻取機、及び仮撚加工機 - Google Patents

糸条巻取機、及び仮撚加工機 Download PDF

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Abstract

【課題】単一のクレードルに挟持される巻取管に対して複数のパッケージを同時に生産できると共に、その巻取管に対して形成されるパッケージの数を容易に切り換えられる糸巻取装置を提供する。
【解決手段】巻取管19を回転自在に挟持する単一のクレードル20と、給糸パッケージ11a・11bから供給され前記巻取管19に巻き取られる糸Ya・Ybをトラバースさせるトラバース装置21と、を備える。前記トラバース装置21は、駆動モータ25によって往復走行するベルト体26と、このベルト体26に設けられ、前記糸Ya・Ybを案内する、2つのトラバースガイド27a・27bと、を含む。
【選択図】図3

Description

本発明は、糸条巻取機、及び仮撚加工機
この種の技術として、特許文献1は、給糸パッケージから解舒された糸を仮撚加工した上で合糸し、巻取管に巻き取る合糸用仮撚加工機を開示する。この合糸用仮撚加工機は、各錘に合糸用の空気ノズルを備える。給糸パッケージから解舒される一対の糸は、上記の空気ノズルの上流側では別個独立に延伸仮撚加工され、この空気ノズルにおいて合糸され、この空気ノズルの下流側では合糸された状態でトラバース装置でトラバースされながら上記の巻取管に巻き取られる。
このような合糸用仮撚加工機を所有する現場においては、昨今、給糸パッケージから解舒される糸を合糸することなく別個に巻取管に巻き取りたいというニーズがある。しかし、各錘に一つずつ備えられる従来のトラバース装置は、外周に螺旋状の溝が形成される綾振ドラム式のトラバース装置であれ、ベルト体に鉤状のトラバースガイドが設けられるベルト式のトラバース装置であれ、巻取管に対して単一の巻取パッケージを形成するよう設計されたものである。それ故、給糸パッケージから解舒される一対の糸を合糸することなく別個に巻取管に巻き取る場合は、各錘が有する一対の給糸パッケージの何れか一方のみから糸を解舒することとし、他方の給糸パッケージは停止させておかなければならない。同様に、上記空気ノズルの上流側に一対で設けられる装置(例えば、一次ヒータ装置や冷却装置、仮撚装置など)は、何れも一方を、巻取パッケージの生産に寄与しない状態としておかなければならない。
かかる事情を踏まえ、単一のクレードルに支持された巻取管に対して同時に2つの巻取パッケージを生産できる方式が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。
特許文献2に開示されるワインダーは、溝付ドラムを回転させると共に、この溝付ドラムの回転によってボビンを回転させ、複数の実ボビンから夫々繰り出された複数の糸を、1つのボビンにその幅方向に多列のパッケージ部として巻き付けてラージパッケージとするものである。上記の溝付ドラムの周面には、一対の綾振り溝がその幅方向において別個独立して形成されている。
同様に、特許文献3は、コーン型ボビンに2個の巻玉を巻装する巻取装置を開示する。この巻取装置は、クレードルに保持したコーン型ボビンに対するトラバース手段として、ボビン上に巻装する巻玉位置に対応する2組の螺旋状トラバース溝を有する綾振ドラムを備える。そして、該綾振ドラムをモータからベルト伝動機構を介して駆動させ、該綾振ドラム上にボビンを接触させて回転させることにより下部に設けた2個の給糸パッケージから夫々引き出される糸を綾振ドラムの各トラバース溝で綾振させつつボビン上に巻き取り、適宜間隔を存させて所定径の巻玉を形成させる。
特開2002−294527号公報 特開平10−212069号公報 特許第2893470号公報
一見すると、上記特許文献1の前述したトラバース装置を、上記の特許文献2及び特許文献3に開示された溝付ドラム(乃至綾振ドラム、以下溝付ドラム等と称する。)に交換すれば、上述したニーズを満たせると共に高い生産性を確保できるようにも思える。しかし、溝付ドラム等を交換することは簡単ではなく、周知の通り、1錘あたり約1時間程度の作業を要し、現実的ではない。更に言えば、溝付ドラム等は綾振幅が固定であるから、チーズ巻き以外の他の巻形状に対応できなくなる。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、単一のクレードルに挟持される巻取管に対して複数のパッケージを同時に生産できると共に、その巻取管に対して形成されるパッケージの数を容易に切り換えられる糸巻取装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の第一の観点によれば、以下のように構成される、糸巻取装置が提供される。即ち、巻取管を回転自在に挟持する単一のクレードルと、給糸パッケージから供給され前記巻取管に巻き取られる糸をトラバースさせるトラバース装置と、を備える。前記トラバース装置は、駆動モータによって往復走行するベルト体と、このベルト体に設けられ、前記糸を案内する、少なくとも2つ以上のトラバースガイドと、を含む。以上の構成によれば、各トラバースガイドに前記糸を把持させることにより、前記単一のクレードルに挟持される前記巻取管に対して少なくとも2つ以上のパッケージを同時に生産できる。もし前記単一のクレードルに挟持される前記巻取管に対して1つのパッケージのみを生産したい場合は、前記ベルト体を、前記トラバースガイドが1つだけ設けられた他のベルト体に代えるだけで足りるので、この意味で、前述した溝付ドラム等を採用する場合と比較して、前記巻取管に対して形成されるパッケージの数を容易に切り換えられる。また、前記トラバースガイドを前記ベルト体の往復走行によって往復運動させる構成であって、当該トラバースガイドの往復距離は可変であるから、例えば側面が傾斜した所謂テーパ巻きに代表される多品種のパッケージに対応できる。
上記の糸巻取装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記トラバースガイドは、前記ベルト体に対して着脱可能に構成される。以上の構成によれば、前記ベルト体に対して装着される前記トラバースガイドの数を簡単に増減できるので、前述した溝付ドラム等を採用する場合と比較して、前記巻取管に対して形成されるパッケージの数を切り換えるのに要する時間を大幅に短縮できる。
上記の糸巻取装置は、更に、以下のように構成される。即ち、前記ベルト体は歯付きベルトであり、前記トラバースガイドには前記ベルト体の少なくとも一部を収容するベルト収容溝が形成される。前記ベルト収容溝の内面には前記ベルト体の歯と嵌合する嵌合部が形成される。以上の構成によれば、前記ベルト体に対する前記トラバースガイドの円滑で且つ確実な着脱を簡素な構造で両立できる。
本発明の第二の観点によれば、以下のように構成される、仮撚加工機が提供される。即ち、前記給糸パッケージを複数で有し、複数の前記糸を送出する給糸部と、前記給糸部から送出された前記複数の糸に対して仮撚加工を施す仮撚加工部と、前記仮撚加工部によって仮撚加工が施された前記複数の糸を前記巻取管に巻き取る、上記の糸巻取装置を含む巻取部と、を含む仮撚加工錘を複数で備える。以上の構成によれば、前記巻取管に対して形成されるパッケージの数を容易に切り換えられる仮撚加工機を提供できる。
上記の仮撚加工機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記仮撚加工部によって仮撚加工が施された前記複数の糸を合糸する合糸部を更に備える。以上の構成によれば、前記仮撚加工部において仮撚加工が施された前記複数の糸を別個独立して巻き取る生産と、合糸して巻き取る生産と、を容易に切り換えられる仮撚加工機を提供できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る合糸用延伸仮撚加工機の側面図である。図2は、本発明の一実施形態に係る合糸用延伸仮撚加工機が有する各装置を糸の経路に沿って展開した模式図である。なお、図2には、仮撚加工錘を2錘分のみ表している。仮撚加工錘は、以下、単に錘と称する。
本実施形態において合糸用延伸仮撚加工機1000は、図2において紙面左右方向に多数で列設される錘100と、この複数の錘100の作動を制御する後述の制御装置と、を含んで構成される。
図1及び図2に示されるように、各錘100は、給糸部1と、仮撚加工部2と、合糸部3と、後処理部4と、巻取部5と、から成る。給糸部1は後述する第一フィードローラ6a・6bよりも上流側の区間を指し、仮撚加工部2は該第一フィードローラ6a・6bから後述する上流側第二フィードローラ7a・7bに至るまでの区間を指す。同様に、合糸部3は上流側第二フィードローラ7a・7bから後述する下流側第二フィードローラ8a・8bに至るまでの区間を指し、後処理部4は下流側第二フィードローラ8a・8bから後述する第三フィードローラ9a・9bに至るまでの区間を指す。そして、巻取部5は第三フィードローラ9a・9bよりも下流側の区間を指す。
給糸部1は、略示のクリールスタンド10に支持される給糸パッケージ11を一対で有し、一対の糸Ya・Ybを送出するものである。給糸パッケージ11a・11bから送出された糸Ya・Ybは、パイプ12a・12bと、第一フィードローラ6a・6bと、を経て仮撚加工部2に至る。
仮撚加工部2は、給糸部1から送出された一対の糸Ya・Ybに対して仮撚加工を施すものである。仮撚加工部2は、糸Ya・Ybの上流側から順に、糸Ya・Ybを加熱する一次ヒータ13と、糸Ya・Ybを冷却する冷却装置14a・14bと、糸Ya・Ybに対して撚りを付与する仮撚装置15a・15bと、から成る。
合糸部3は、仮撚加工部2によって仮撚加工が施された糸に交絡部を形成するものであって、インタレースノズル16a・16bを備える。上記一対の糸Ya・Ybがインタレースノズル16a・16bのうち何れか一方のインタレースノズル16b(又は16a、以下同様。)に一緒に通される場合は、このインタレースノズル16bが糸Ya・Ybに対して交絡部を形成することにより、糸Ya・Ybは合糸される。一方、上記一対の糸Ya・Ybが別個にインタレースノズル16a・16bに通される場合は、インタレースノズル16aが糸Yaに対して交絡部を形成すると共に、インタレースノズル16bが糸Ybに対して交絡部を形成する。
後処理部4は、糸Ya・Ybに対して熱処理を施すものであって、二次ヒータ17a・17bから成る。
巻取部5は、仮撚加工部2によって仮撚加工が施された一対の糸Ya・Ybを巻取管に巻き取るものであって、巻取装置18(糸巻取装置)を含んで構成される。この巻取装置18については、合糸用延伸仮撚加工機1000のコンパクト性の観点から、他の錘100の巻取装置18と上下に重なり合うレイアウトが採用される。この巻取装置18については、後に詳しく説明する。
以上の構成で、図2において左側に示される錘100は、以下のように作動する。
給糸パッケージ11aから送出された糸Yaは、パイプ12aと、第一フィードローラ6aと、一次ヒータ13と、冷却装置14aと、仮撚装置15aと、上流側第二フィードローラ7aと、インタレースノズル16aと、下流側第二フィードローラ8aと、二次ヒータ17aと、第三フィードローラ9aと、を順に介して、巻取装置18に巻き取られる。
詳しくは、上流側第二フィードローラ7aの糸送り速度は第一フィードローラ6aの糸送り速度よりも大となるように設定される。これにより、糸Yaは、第一フィードローラ6aと上流側第二フィードローラ7aとの間で延伸され、この状態で、仮撚装置15aによって、第一フィードローラ6aと上流側第二フィードローラ7aとの間で加撚される。延伸されつつ加撚された糸Yaは、一次ヒータ13で熱セットされた後、冷却装置14aで冷却される。加撚及び熱セット、冷却された糸Yaは、仮撚装置15aを通過した後、上流側第二フィードローラ7aに至るまでに解撚される。
本実施形態において上流側第二フィードローラ7aを通過した糸Yaは、インタレースノズル16aへ導かれ、このインタレースノズル16aによって交絡部が形成された後、下流側第二フィードローラ8aへ送られる。
下流側第二フィードローラ8aの糸送り速度は第三フィードローラ9aの糸送り速度よりも大となるように設定される。これにより、糸Yaは、下流側第二フィードローラ8aと第三フィードローラ9aとの間で弛緩され、この状態で、糸Yaは、二次ヒータ17aにおいて弛緩熱処理され、第三フィードローラ9aへ送られる。
以上に、錘100の作動のうち、特に糸Yaの経路に沿ったものを説明した。糸Ybの経路に沿った錘100の作動は同じである。即ち、給糸パッケージ11bから送出された糸Ybは、パイプ12bと、第一フィードローラ6bと、一次ヒータ13と、冷却装置14bと、仮撚装置15bと、上流側第二フィードローラ7bと、インタレースノズル16bと、下流側第二フィードローラ8bと、二次ヒータ17bと、第三フィードローラ9bと、を順に介して、巻取装置18に巻き取られる。
次に、上記の巻取部5の巻取装置18について詳細に説明する。図3は、図2の部分拡大図であって、巻取装置の構成概略図である。
本図に示されるように、巻取装置18は、巻取管19を回転自在に挟持する単一のクレードル20と、給糸パッケージ11a・11bから供給され巻取管19に巻き取られる糸Ya・Ybをトラバースさせるトラバース装置21と、を備える。錘100とクレードル20は、一対一の関係にある。
クレードル20は、一対のボビンホルダ22・22を備え、このボビンホルダ22・22を介して略円筒状の巻取管19はクレードル20に回転自在に挟持される。クレードル20は、図示しない機台に一端が枢支され、上記のボビンホルダ22・22に挟持される巻取管19が回転する巻取ドラム23と共に連れ回るよう、巻取管19を巻取ドラム23に向かって付勢する図示しない付勢手段を備える。付勢手段としては例えばコイルバネなどが用いられる。巻取ドラム23は、略示の駆動モータ24により所定方向に回転する。なお、本実施形態において、巻取ドラム23は、他の錘100においても用いられる。即ち、図示される巻取ドラム23は、実際には、紙面の左右何れかの方向に更に延在する。
トラバース装置21は、略示の駆動モータ25によって往復走行するベルト体26と、このベルト体26に設けられ、糸Ya・Ybを案内する、2つのトラバースガイド27a・27bと、を含む。本実施形態においてベルト体26は内周に多数の歯を有する歯付きベルトとされ、上記駆動モータ25によって正逆回転される駆動プーリ28と、一対の従動プーリ29・29と、に巻き掛けられる。この一対の従動プーリ29・29間におけるベルト体26の走行経路は巻取管19の軸と略平行とされる。上記のトラバースガイド27a・27bは、従動プーリ29の一方と他方の間において、所定の間隔を空けて、ベルト体26に設けられる。本実施形態において「所定の間隔」とは、巻取管19に対して一対で形成されるパッケージP・Pのピッチと等しくなるように定められる。即ち、この「所定の間隔」の如何によって、巻取管19に対して一対で形成されるパッケージP・Pのピッチが決まる。トラバース装置21の上流側には、第三フィードローラ9aから送出される糸Yaの糸道をトラバースガイド27aのトラバース中心の正面へと変化させるための糸ガイド30aと、第三フィードローラ9bから送出される糸Ybの糸道をトラバースガイド27bのトラバース中心の正面へと変化させるための糸ガイド30bと、が設けられる。これら糸ガイド30a・30bの間には、糸ガイド30cが更に設けられる。
上記のトラバースガイド27a・27bは、ベルト体26に対して着脱可能に構成される。ここで、図4を参照されたい。図4は、本発明の一実施形態に係るトラバース装置の部分拡大図である。符号40は、従動プーリ29・29を軸支する巻取装置18の機枠である。本図に示されるように、トラバースガイド27aとトラバースガイド27bは、略同一形状とされるので、以下、トラバースガイド27aの構成について説明する。
トラバースガイド27aは、糸Yaを案内するための鉤状のガイド部31と、このガイド部31をベルト体26に対して固定するガイド支持部32と、から構成される。ガイド支持部32には、ベルト体26を収容するベルト収容溝33が形成される。ガイド支持部32の側面には、ベルト体26の走行方向に対して平行に延在する突部34が突設される。この突部34は、トラバースガイド27aが巻取管19の軸に対して平行に安定して往復運動できるよう、巻取管19の軸に対して平行に延在する図示しないレールに挿入され、もって、ガイド部31のブレが防止されるようになっている。次に、図5を参照されたい。図5は、図4のI−I線における水平断面図である。本図に示されるように、上記のベルト収容溝33の内面には、ベルト体26の内周に所定のピッチで突設される複数の歯ゴム26aと嵌合する嵌合部35が形成される。そして、ベルト収容溝33は、該ベルト収容溝33内に挿嵌されたベルト体26がその厚み方向で若干圧縮されるように幅狭に形成される。このベルト体26の圧縮変形により、ベルト収容溝33とベルト体26は強力に密着し、この密着は、ベルト収容溝33からのベルト体26の抜け防止に大きく寄与することとなる。
次に、各錘100共通の制御装置1001について説明する。再度、図3を参照されたい。本図に示されるように、制御装置1001は、所定の演算処理を行う例えばCPUなどの演算処理器50と、例えばRAMやROMなどの記憶器51と、駆動モータ24の動作を制御するドラム用モータドライバ52と、駆動モータ25の動作を制御するプーリ用モータドライバ53と、演算処理器50に各種の設定値などを入力するための入力手段54と、を有する。入力手段54は、例えばキーボードやマウスなどである。その他、制御装置1001は、各種の設定値などを表示する表示器を有する。この表示器は、例えば液晶ディスプレイなどである。演算処理器50は、記憶部51、ドラム用モータドライバ52、プーリ用モータドライバ53、入力手段54、と接続される。記憶部51には、トラバース装置21の運転条件が記憶される。この運転条件は、パッケージPの巻き幅を含み、この運転条件は、複数の錘100に対して共用される。
上記の入力手段54は、合糸用延伸仮撚加工機1000のオペレータが、トラバース装置21の運転条件を制御装置1001に入力可能に構成される。そして、オペレータによって入力手段54を介して制御装置1001に上記設定値が入力されると、演算処理器50は、入力された設定値に基づいて、記憶部51内に既に記憶されている現在の設定値を変更するようになっている。また、この入力手段54は、オペレータが、仮撚加工機1000の全錘に共通する玉揚げ条件の設定、糸の走行速度・巻幅・綾角・パッケージの端面形状等の巻取条件を入力し、全錘を一括制御するようになっている。
以上の構成で、糸Ya・Ybの巻き取りは、以下のようにして行われる。図3は、巻取装置18において巻取管19上に既にパッケージP・Pがある程度形成されている状態を示す。図3に示される状態で、第三フィードローラ9aから繰り出された糸Yaは、糸ガイド30aを通過し、ベルト体26の往復走行により巻取管19の軸と平行に往復運動するトラバースガイド27aによって綾振られながら、回転する巻取ドラム23に当接して連れ回るパッケージPに巻き取られる。糸Ybも同様である。やがてパッケージP・Pが満巻きとなると、糸Ya・Ybが第三フィードローラ9a・9bとパッケージP・Pとの間で切断された上で、図略の玉揚機構がクレードル20を回動させ、パッケージP・Pが巻取ドラム23から離反されて玉揚される。この玉揚と前後して、トラバースガイド27a・27bの往復運動が低速な運動に切り換わる。そして、空の巻取管19がクレードル20に供給されてボビンホルダ22・22に挟持されると、クレードル20を回動させ、巻取管19を巻取ドラム23に対して当接させた状態とする。巻取ドラム23に対する当接により巻取管19が回転し始めると、演算処理器50は、記憶部51に記憶されているトラバース装置21の運転条件の設定値を参照し、この設定値に基づいて、トラバースガイド27a・27bを所定の往復距離で高速に往復運動させる。その後、オペレータは、糸Ya・Ybの糸端を巻取管19に糸掛けする。こうして、所望の巻き幅の巻き取りが再開される。なお、パッケージP・Pを形成する前に予め巻取管19上にバンチ巻きB・Bを形成するには、巻取管19に対して糸端を糸掛けする際、その糸掛けする位置をトラバース中心から適宜離れた位置とすればよい。
以上に、糸Ya・Ybを合糸することなく別個独立して巻取管19に巻き取り、巻取管19に対して2つのパッケージP・Pを同時に形成する際の、錘100の作動を説明した。
次に、巻取管19に対して形成されるパッケージPの数を2つから1つへ変更する手順を説明する。図6は、図3に類似する図である。
かかる場合、機台停止状態でオペレータは、制御装置1001において運転条件の設定入力を行い、各錐のトラバースガイドを1個に変更する。その後、機台の運転をスタートさせ、オペレータは、給糸パッケージ11a・11bから引き出した糸Ya・Ybを通常の手段で糸掛けし、合糸した合糸Ygを図6に示すように一つのパッケージPへ巻き取る。
なお、上記運転条件変更の際には、設定した巻き幅でトラバースガイド27bが往復動するように運転開始時に自動的にトラバースガイドの原点認識が実行される。例えば、運転開始時に駆動プーリ28を低速で正逆回転させ、トラバース幅の両端部近傍に設けられる位置確認部材間を一往復させることにより、トラバース幅の中心位置(原点)の認識をする。そして、その原点位置から左右へのトラバースガイドの移動距離、即ち、駆動プーリ28の駆動モータ25の回転角度が演算処理され、新しいパッケージの巻き幅にしたがって、駆動モータ25の正逆回転が制御される。
以上に、巻取管19に対して形成されるパッケージPの数を2つから1つへ変更する手順を説明した。次に、巻取管19に対して形成されるパッケージPの数を1つから2つへ変更する手順を説明する。上記の説明と重複する説明については、適宜割愛する。
かかる場合、機台停止状態でオペレータは、制御装置1001において運転条件の設定入力を行い、各錐のトラバースガイドを2個に変更する。その後、機台の運転をスタートさせ、オペレータは、給糸パッケージ11a・11bから引き出した糸Ya・Ybを通常の手段で糸掛けし、糸Ya・Ybを図3に示すように二つのパッケージP・Pへ巻き取る。
なお、上記運転条件変更の際には、設定した巻き幅でトラバースガイド27a・27bが往復動するように運転開始時に自動的にトラバースガイドの原点認識が実行される。
以上のようにして2つのパッケージP・Pが形成された巻取管19は、所定の後工程において、その長手方向略中央で切断されて利用される。
以上説明したように上記実施形態において巻取装置18は、以下のように構成される。即ち、巻取管19を回転自在に挟持する単一のクレードル20と、給糸パッケージ11a・11bから供給され前記巻取管19に巻き取られる糸Ya・Ybをトラバースさせるトラバース装置21と、を備える。前記トラバース装置21は、駆動モータ25によって往復走行するベルト体26と、このベルト体26に設けられ、前記糸Ya・Ybを案内する、2つのトラバースガイド27a・27bと、を含む。以上の構成によれば、各トラバースガイド27a・27bに前記糸Ya・Ybを把持させることにより、前記単一のクレードル20に挟持される前記巻取管19に対して2つのパッケージP・Pを同時に生産できる。もし前記単一のクレードル20に挟持される前記巻取管19に対して1つのパッケージPのみを生産したい場合は、前記ベルト体26を、前記トラバースガイドが1つだけ設けられた他のベルト体に代えるだけで足りるので、この意味で、溝付ドラム等を採用する場合と比較して、前記巻取管19に対して形成されるパッケージPの数を容易に切り換えられる。また、前記トラバースガイド27a・27bを前記ベルト体26の往復走行によって往復運動させる構成であって、当該トラバースガイド27a・27bの往復距離は可変であるから、例えば側面が傾斜した所謂テーパ巻きに代表される多品種のパッケージPに対応できる。
上記の巻取装置18は、更に、以下のように構成される。即ち、前記トラバースガイド27a・27bは、前記ベルト体26に対して着脱可能に構成される。以上の構成によれば、前記ベルト体26に対して装着される前記トラバースガイド(27a、27b)の数を簡単に増減できるので、溝付ドラム等を採用する場合と比較して、前記巻取管19に対して形成されるパッケージPの数を切り換えるのに要する時間を大幅に短縮できる。
上記の巻取装置18は、更に、以下のように構成される。即ち、前記ベルト体26は歯付きベルトであり、前記トラバースガイド27a・27bには前記ベルト体26を収容するベルト収容溝33が形成される。前記ベルト収容溝33の内面には前記ベルト体26の歯ゴム26aと嵌合する嵌合部35が形成される。以上の構成によれば、前記ベルト体26に対する前記トラバースガイド27a・27bの円滑で且つ確実な着脱を簡素な構造で両立できる。
また、合糸用延伸仮撚加工機1000は、以下のように構成される。即ち、前記給糸パッケージ(11a、11b)を複数で有し、複数の前記糸Ya・Ybを送出する給糸部1と、前記給糸部1から送出された前記複数の糸Ya・Ybに対して仮撚加工を施す仮撚加工部2と、前記仮撚加工部2によって仮撚加工が施された前記複数の糸Ya・Ybを前記巻取管19に巻き取る、上記の巻取装置18を含む巻取部5と、を含む錘100を複数で備える。以上の構成によれば、前記巻取管19に対して形成されるパッケージPの数を容易に切り換えられる合糸用延伸仮撚加工機1000を提供できる。
上記の合糸用延伸仮撚加工機1000は、更に、以下のように構成される。即ち、前記仮撚加工部2によって仮撚加工が施された前記複数の糸Ya・Ybを合糸する合糸部3を更に備える。以上の構成によれば、前記仮撚加工部2において仮撚加工が施された前記複数の糸Ya・Ybを別個独立して巻き取る生産と、合糸して巻き取る生産と、を容易に切り換えられる合糸用延伸仮撚加工機1000を提供できる。
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
◆ 即ち、例えば、上記実施形態においてベルト体26は歯付きベルトとしたが、これに代えて、紐やワイヤ、チェーン、金属製ケーブルなどでもよい。
◆ また、上記実施形態では、第三フィードローラ(9a、9b)から送出された糸(Y、Ya、Yb)をパッケージPの正面に好適に案内するための糸ガイドを巻取管19と第三フィードローラ9a・9bとの間に3つ設けた。これは、巻取管19に対してパッケージPを一つのみ形成する場合と、二つ形成する場合と、の両方に円滑に対応するためであるが、これに代えて、糸ガイドは2つのみ設けることとし、2つの糸ガイドのうち少なくとも何れか一方を巻取管19の軸方向に対して平行な方向に移動可能に構成することとしてもよい。即ち、巻取管19に対してパッケージPを2つ形成する場合を示す図3において、糸ガイド30aを巻取管19の軸方向に対して平行な方向に移動可能に構成すると共に、巻取管19に対して形成するパッケージPの数を2つから1つへ変更する際は、この糸ガイド30aを符号30cで示される位置へ移動させればよい。
◆ また、トラバースガイド27a・27bは、ベルト体26に対して着脱可能に構成されることとしたが、これに代えて、トラバースガイド27a・27bはベルト体26に対して着脱不能に固定されたものとすると共に、1つのトラバースガイドが装着されたベルト体26と、2つのトラバースガイドが装着されたベルト体26と、を予め用意しておき、巻取管19に対して形成するパッケージPの数を変更する際には、ベルト体26を交換することで対応するようにしてもよい。
◆ 以上に、本発明が合糸用延伸仮撚加工機に適用される場合を例示したが、本発明は、合糸用延伸仮撚加工機に限らず、如何なる種類の仮撚機にも適用してもよいし、スパン糸用の自動ワインダや紡糸機などに適用することもできる。
本発明の一実施形態に係る合糸用延伸仮撚加工機の側面図 本発明の一実施形態に係る合糸用延伸仮撚加工機が有する各装置を糸の経路に沿って展開した模式図 図2の部分拡大図であって、巻取装置の構成概略図 本発明の一実施形態に係るトラバース装置の部分拡大図 図4のI−I線における水平断面図 図3に類似する図
符号の説明
11a・11b 給糸パッケージ
19 巻取管
20 クレードル
21 トラバース装置
25 駆動モータ
26 ベルト体
27a・27b トラバースガイド
Ya・Yb 糸
1000 合糸用延伸仮撚加工機

Claims (5)

  1. 巻取管を回転自在に挟持する単一のクレードルと、
    給糸パッケージから供給され前記巻取管に巻き取られる糸をトラバースさせるトラバース装置と、
    を備える糸巻取装置において、
    前記トラバース装置は、駆動モータによって往復走行するベルト体と、このベルト体に設けられ、前記糸を案内する、少なくとも2つ以上のトラバースガイドと、を含む、
    ことを特徴とする糸巻取装置
  2. 請求項1に記載の糸巻取装置において、
    前記トラバースガイドは、前記ベルト体に対して着脱可能に構成される、
    ことを特徴とする糸巻取装置
  3. 請求項2に記載の糸巻取装置において、
    前記ベルト体は歯付きベルトであり、
    前記トラバースガイドには前記ベルト体の少なくとも一部を収容するベルト収容溝が形成され、
    前記ベルト収容溝の内面には前記ベルト体の歯と嵌合する嵌合部が形成される、
    ことを特徴とする糸巻取装置
  4. 前記給糸パッケージを複数で有し、複数の前記糸を送出する給糸部と、
    前記給糸部から送出された前記複数の糸に対して仮撚加工を施す仮撚加工部と、
    前記仮撚加工部によって仮撚加工が施された前記複数の糸を前記巻取管に巻き取る、請求項1〜3の何れか一に記載の糸巻取装置を含む巻取部と、
    を含む仮撚加工錘を複数で備える、
    ことを特徴とする仮撚加工機
  5. 請求項4に記載の仮撚加工機において、
    前記仮撚加工部によって仮撚加工が施された前記複数の糸を合糸する合糸部を更に備える、
    ことを特徴とする仮撚加工機
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