JP2013049937A - 紡績機 - Google Patents

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Abstract

【課題】牽伸する繊維束に応じて、ドラフトローラ対に対して繊維束の移動又は停止の制御を行なうことで紡績糸の品質を低下させることなく、ドラフトローラ対の寿命を延ばすことができる紡績機を提供する。
【解決手段】案内部28と紡績部3とが取り付けられる可動ベース部25と、可動ベース部25をドラフトローラ対21・22・23・24の回転軸方向に対して平行に移動させる駆動部26と、案内部28と紡績部3と可動ベース部25との少なくともいずれかの位置を検出する検出部29と、検出部29からの検出信号に基づいて駆動部26に位置指令信号を送信して可動ベース部25を位置制御することによって、ドラフトローラ対21・22・23・24に対する案内部28と紡績部3の相対的な位置関係を調整してドラフトローラ対21・22・23・24による繊維束Fの把持位置を変更する制御部7と、を備えるとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、紡績機の技術に関する。
従来より、繊維束を牽伸するとともに、牽伸された繊維束を撚ることで紡績糸を製造する紡績機が知られている(例えば特許文献1参照)。紡績機には、繊維束を牽伸する複数のドラフトローラ対が設けられている。ドラフトローラ対は、把持した繊維束を回転によって送り出すため、隣接するドラフトローラ対との送り出し速度の差異によって繊維束を牽伸できる。
ドラフトローラ対は、動力機構を介して回転されるボトムローラと該ボトムローラに接触した状態で従動回転するトップローラで構成される。トップローラは、ゴム等で形成された弾性体ローラであることから、該トップローラの表面が摩耗するという問題を有していた。特に、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置が一定である場合においては、繊維束と接触している部分の摩耗が早く進行するという問題があった。
このため、繊維束の案内部(トランペット)をドラフトローラ対の回転軸に対して平行に移動させ、繊維束(粗糸)の把持位置を変更する構造が提案されている(例えば特許文献2参照)。しかし、かかる構造は、繊維束が太い場合に該繊維束を構成する繊維がドラフトローラ対から脱落するという問題があった。また、ドラフトローラ対の回転が停止しているときに案内部が移動すると、ドラフトローラ対によって把持された状態の繊維束を引き伸ばし、該繊維束が意図せずに切断されるという問題もあった。
特開2011−99192号公報 特開平8−291429号公報
本発明は、牽伸する繊維束に応じて、ドラフトローラ対に対して繊維束の移動又は停止の制御を行なうことで紡績糸の品質を低下させることなく、ドラフトローラ対の寿命を延ばすことができる紡績機を提供することを目的としている。
次に、この課題を解決するための手段を説明する。
第1の発明は、繊維束を牽伸するとともに、牽伸された繊維束を撚ることで紡績糸を製造する紡績機に関する。本発明の実施形態に係る紡績機は、繊維束を牽伸するドラフトローラ対と、ドラフトローラ対によって牽伸される繊維束の幅(太さ)を規定して案内する案内部と、ドラフトローラ対によって牽伸された繊維束を撚って紡績糸を紡出する紡績部と、案内部と紡績部とが取り付けられる可動ベース部と、可動ベース部をドラフトローラ対の回転軸方向に対して平行に移動させる駆動部と、案内部と紡績部と可動ベース部との少なくともいずれかの位置を検出する検出部と、検出部からの検出信号に基づいて駆動部に位置指令信号を送信して可動ベース部を位置制御することによって、ドラフトローラ対に対する案内部と紡績部の相対的な位置関係を調整して、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を変更する制御部と、を備える。
第2の発明は、繊維束を牽伸するとともに、牽伸された繊維束を撚ることで紡績糸を製造する紡績機に関する。本発明の実施形態に係る紡績機は、繊維束を牽伸するドラフトローラ対と、ドラフトローラ対によって牽伸される繊維束の幅(太さ)を規定して案内する案内部と、ドラフトローラ対によって牽伸された繊維束を撚って紡績糸を紡出する紡績部と、案内部と紡績部とが取り付けられる可動ベース部と、可動ベース部をドラフトローラ対の回転軸方向に対して平行に移動させる駆動部と、案内部と紡績部と可動ベース部との少なくともいずれかの位置を検出する検出部と、検出部からの検出信号に基づいて駆動部に位置指令信号と速度指令信号を送信して可動ベース部を位置制御及び速度制御することによって、ドラフトローラ対に対する案内部と紡績部の相対的な位置関係を調整して、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を変更する制御部と、を備える。
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る紡績機に関する。紡績機において、制御部は、駆動部を制御することによって、可動ベース部を連続的に往復移動させる。
第4の発明は、第1又は第2の発明に係る紡績機に関する。紡績機において、制御部は、駆動部を制御することによって、可動ベース部を間欠的に送り移動させる。
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績機において、制御部は、駆動部を制御することによって、紡績開始時における紡績部の位置を原点位置にあわせる。
第6の発明は、第1から第5のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績機において、制御部は、繊維束の太さ又は/及びドラフトローラ対の回転軸方向の幅寸法に応じて可動ベース部の移動を制御する。
第7の発明は、第1から第6のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績機において、制御部は、ドラフトローラ対が回転している場合に駆動部を作動させ、ドラフトローラ対が回転していない場合に駆動部を停止させる。
第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績機において、制御部は、前記ドラフトローラ対が牽伸する繊維束が所定の値よりも大きい場合に駆動部を停止させる。
第9の発明は、第1から第8のいずれかの発明に係る紡績機に関する。駆動部は、ステッピングモータを用いて構成される。
第10の発明は、第1から第9のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績部は、旋回空気流によって繊維束を撚って紡績糸を紡出する。
第11の発明は、第1から第10のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績機は、駆動部の制御態様を設定できる設定部を具備する。
第12の発明は、第1から第11のいずれかの発明に係る紡績機に関する。紡績機は、紡績糸をパッケージへと巻き取る巻取部を具備する。
第13の発明は、第1から第12のいずれかの発明に係る紡績機に関する。本発明の実施形態に係る紡績機は、駆動部の駆動量を記憶する記憶部と、ドラフトローラ対の耐久閾値を格納する格納部と、を具備する。制御部は、記憶部に記憶される駆動量と格納部に格納されている耐久閾値に基づいて、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を変更する。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
第1の発明によれば、可動ベース部を位置制御するため、可動ベース部を正確に移動させることができる。これにより、紡績糸の品質を低下させることなく、ドラフトローラ対(詳細にはドラフトローラ対を構成するトップローラ又は/及びボトムローラ)の寿命を延ばすことが可能となる。また、繊維束が太い場合であっても該繊維束を構成する繊維がドラフトローラ対から脱落することを防止できる。
第2の発明によれば、可動ベース部を位置制御及び速度制御するため、可動ベース部を正確に移動させることができる。これにより、紡績糸の品質を低下させる周期ムラの発生等を低減させることが可能となる。また、繊維束が太い場合であっても該繊維束を構成する繊維がドラフトローラ対から脱落することを防止できる。
第3の発明によれば、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を連続的に変更できる。これにより、ドラフトローラ対(詳細にはドラフトローラ対を構成するトップローラ又は/及びボトムローラ)の一部で摩耗が進行することを防止でき、該ドラフトローラ対の長寿命化を図ることが可能となる。
第4の発明によれば、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を間欠的に変更できる。これにより、ドラフトローラ対(詳細にはドラフトローラ対を構成するトップローラ又は/及びボトムローラ)の摩耗が許容範囲を超える前に把持位置を変更することができ、該ドラフトローラ対の長寿命化を図ることが可能となる。また、把持位置を連続的に変化させる場合、駆動部を超低速で制御することは難しい。そこで、ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を間欠的に変更させることで糸品質の低下を防ぐことができる。
第5の発明によれば、紡績を開始する際に紡績部を原点位置に配置できる。紡績を開始する際は、ドラフトローラ対により牽伸された繊維束Fを紡績部へ導入する必要がある。このため、紡績部を原点位置に配置した状態で紡績を開始することにより、紡績をスムーズに開始させることができる。
第6の発明によれば、ドラフトローラ対による繊維束の把持可能領域を最大限広く確保できる。これにより、更にドラフトローラ対の長寿命化を図ることが可能となる。また、繊維束が太い場合であっても該繊維束を構成する繊維がドラフトローラ対から脱落することを確実に防止できる。
第7の発明によれば、ドラフトローラ対が回転していない場合に可動ベース部の移動を停止できる。これにより、ドラフトローラ対によって把持された状態の繊維束を可動ベース部が引き伸ばすことがなく、繊維束の意図しない切断を回避することができる。
第8の発明によれば、繊維束が所定の値よりも太い場合に可動ベース部の移動を停止できる。これにより、繊維束が太い場合であっても該繊維束を構成する繊維がドラフトローラ対から脱落することを確実に防止できる。
第9の発明によれば、ステッピングモータを用いることで簡素な制御システムを実現することができる。これにより、駆動部及び制御システムのコストを低減することが可能となる。
第10の発明によれば、旋回空気流によって繊維束を撚るため、高い紡績速度を実現できる。紡績速度が高速化すると、繊維束の繊維の挙動も外部変化の影響を受け易くなる。また、高速で牽伸される繊維束によりドラフトローラ対(詳細にはドラフトローラ対を構成するトップローラ又は/及びボトムローラ)の摩耗の進行も早くなる。可動ベース部の位置制御を行なって該可動ベース部を移動させることにより、繊維束の繊維の挙動に影響を与えずに、少なくともドラフトローラ対の長寿命化を適切に図ることができる。
第11の発明によれば、設定部を操作することで制御態様を設定したり選択したりすることができる。これにより、紡績機は、繊維束の特性に応じた最適な制御を行なうことが可能となる。
第12の発明によれば、紡績機によるパッケージの生産能力を向上させることが可能となる。
第13の発明によれば、ドラフトローラ対(詳細にはドラフトローラ対を構成するトップローラ又は/及びボトムローラ)を限界まで使用することができる。
紡績機100の全体構成を示す図。 ドラフトユニット2の構成を示す図。 ドラフトユニット2を矢印X方向から見た図。 ドラフトユニット2を矢印Y方向から見た図。 ドラフトユニット2を矢印Z方向から見た図。 駆動部26の他の構成を示す図。 紡績部3等の経時変位を示す図。 紡績部3等の経時変位を示す図。 空気紡績装置(紡績部)3の構成を示す図。
まず、紡績機100の全体構成について簡単に説明する。図1は、紡績機100の全体構成を示す図である。
紡績機100は、繊維束Fから紡績糸Yを製造してパッケージPを作成する紡績機械である。紡績機100は、繊維束Fならびに紡績糸Yの送り方向に沿って以下の順に配置された、スライバ供給部1と、ドラフトユニット2と、紡績部3と、欠点検出部4と、張力安定部5と、巻取部6と、を備えている。また、紡績機100は、各部に制御信号を送信可能とする制御部7と接続されている(図2参照)。
スライバ供給部1は、紡績糸Yの原料となる繊維束F(スライバ)をドラフトユニット2へ供給する。スライバ供給部1は、スライバケース11と、スライバガイド(図示せず)と、を備えている。スライバケース11に貯溜された繊維束Fは、スライバガイドによって案内されてドラフトユニット2へ導かれる。
ドラフトユニット2は、繊維束Fを牽伸して該繊維束Fを所定の太さに引きそろえる。ドラフトユニット2は、繊維束Fの送り方向に沿って以下の順に配置された、バックローラ対21と、サードローラ対22と、ミドルローラ対23と、フロントローラ対24と、の四組のドラフトローラ対21・22・23・24を備えている。ドラフトローラ対21・22・23・24は、把持した繊維束Fを回転によって送り出すため、隣接するドラフトローラ対との送り出し速度の差異によって繊維束Fを牽伸できる。
紡績部3は、所定の太さに牽伸された繊維束Fを撚ることで紡績糸Yを製造する。紡績部3は、ドラフトユニット2を構成するフロントローラ対24の下流側に配置されている。このため、紡績部3は、所定の太さに牽伸された繊維束Fから紡績糸Yを製造することができる。なお、紡績部3の詳細な構成については後述する。
欠点検出部4は、製造された紡績糸Yの欠点部を検出する。具体的に説明すると、欠点検出部4は、発光ダイオードを光源として紡績糸Yを照射し、該紡績糸Yからの反射光量を検出する。欠点検出部4は、アナライザを介して制御部7に接続されており、該制御部7に検出信号を送信できる。このため、制御部7は、欠点検出部4からの検出信号に基づいて欠点部の有無を判断することができる。なお、欠点検出部4が検出できる欠点部には、紡績糸Yの太さの異常のほか、紡績糸Yにポリプロピレン等の異物が介在する場合も含まれる。欠点検出部4は、本実施形態に係る光学式センサ以外にも、静電容量式のセンサを採用することも可能である。
張力安定部5は、紡績糸Yに掛かる張力を適度に保ち安定させる。張力安定部5は、解舒部材51と、ローラ52と、を備えている。解舒部材51は、紡績糸Yに掛かる張力が低い場合にローラ52とともに回転し、該ローラ52に紡績糸Yを巻き付ける。また、解舒部材51は、紡績糸Yに掛かる張力が高い場合にローラ52から独立して回転し、該ローラ52に巻き付けられた紡績糸Yを解舒する。このため、張力安定部5は、紡績糸Yに掛かる張力を適度に保ち安定させることができる。
巻取部6は、紡績糸Yを巻き取ってパッケージPを作成する。巻取部6は、駆動ローラ61と、クレードル(図示せず)と、を備えている。駆動ローラ61は、クレードルに把持されたボビンBを回転させる。このため、巻取部6は、紡績糸Yを巻き取ってパッケージPを作成することができる。なお、巻取部6は、図示しない綾振装置によって紡績糸Yを綾振するため、パッケージPにおける紡績糸Yの偏りを防いでいる。
以上が本発明の実施形態に係る紡績機100の全体構成である。但し、本紡績機100の特徴部分であるドラフトユニット2を備えていれば詳細な構成については問わない。つまり、本紡績機100の特徴部分であるドラフトユニット2を備えていればスライバ供給部1や紡績部3、欠点検出部4、張力安定部5、巻取部6、その他の構成について限定しない。また、各部が配置される位置等についても限定しない。
次に、ドラフトユニット2の構成について詳細に説明する。図2は、ドラフトユニット2の構成を示す図である。図3は、ドラフトユニット2を矢印X方向から見た図である。図4は、ドラフトユニット2を矢印Y方向から見た図である。図5は、ドラフトユニット2を矢印Z方向から見た図である。
ドラフトローラ対21・22・23・24は、それぞれボトムローラ21A・22A・23A・24Aと、トップローラ21B・22B・23B・24Bと、で構成される。また、ミドルローラ対23を構成するボトムローラ23A及びトップローラ23Bには、合成ゴム製のエプロンバンド23C・23Cが巻回されている。
ボトムローラ21A・22A・23A・24Aは、図示しない動力機構によって繊維束Fの走行方向に向けて回転される。トップローラ21B・22B・23B・24Bは、ボトムローラ21A・22A・23A・24Aに接触した状態で従動回転される。各ドラフトローラ対21・22・23・24は、繊維束Fの送り方向に沿って、順次、ドラフトローラ対21・22・23・24の周速度が速くなるように設定されている。
このような構成により、ドラフトローラ対21・22・23・24に把持された繊維束Fは、各ドラフトローラ対21・22・23・24を通過する度に送り速度が増していき、隣接するドラフトローラ対21・22・23・24との間で牽伸されることとなる。このようにして、ドラフトユニット2は、繊維束Fの幅(太さ)を徐々に細くし、所定の太さにすることができる。
紡績部3は、該紡績部3を保持するブラケットを介して可動ベース部25に取り付けられている。可動ベース部25は、ドラフトローラ対21・22・23・24の回転軸に対して平行に設けられた二つの案内軸251によって支持されている。可動ベース部25は、該可動ベース部25の摺動孔に案内軸251が挿通された状態で支持されている。
可動ベース部25の下方(ドラフトローラ対21・22・23・24が配置されている側とは反対側)には、駆動部26が配置されている。本実施形態に係る駆動部26は、ステッピングモータ261と、カム262と、カムフォロア263と、で構成される。ステッピングモータ261は、カム262を回転させることによって可動ベース部25に取り付けられたカムフォロア263を従動させる。可動ベース部25は、案内軸251に環装されたスプリング253によって付勢されているため、カム262の形状に追従することができる。
このような構成により、可動ベース部25は、ドラフトローラ対21・22・23・24の回転軸に対して平行にスムーズに移動することができる(図3、図4矢印T参照)。このため、可動ベース部25に取り付けられた紡績部3も可動ベース部25と一体となってドラフトローラ対21・22・23・24の回転軸に対して平行に移動できる。
このように、本実施形態に係る駆動部26は、カム機構によって回転運動を直線運動に変換する構成を採用している。但し、図6Aに示すように、スパイラル軸264とナット265によって回転運動を摺動運動に変換することも可能である。また、図6Bに示すように、ラックギヤ266とピニオンギヤ267によって回転運動を摺動運動に変換することも可能である。
なお、本実施形態に係る駆動部26は、ステッピングモータではなくサーボモータ等であっても実現できる。しかし、駆動部26の動力源としてステッピングモータを用いたのは、簡素な制御システムとなるからである。これにより、駆動部26及び制御システムのコストを低減することが可能となる。
本ドラフトユニット2は、バックローラ対21の上流側に第一案内部27を備えている。第一案内部27は、スライバ供給ユニット1から供給された繊維束Fをバックローラ対21へ案内する。第一案内部27は、該第一案内部27を支持するブラケットを介して可動ベース部25に取り付けられている。
また、本ドラフトユニット2は、サードローラ対22とミドルローラ対23の間に第二案内部28を備えている。第二案内部28は、サードローラ対22から送り出された繊維束Fをミドルローラ対23へ案内する。第二案内部28は、該第二案内部28を支持するブラケットを介して可動ベース部25に取り付けられている。
このような構成により、可動ベース部25に取り付けられた第一案内部27と第二案内部28は、可動ベース部25と一体となってドラフトローラ対21・22・23・24の回転軸に対して平行に移動できる(図3、図4矢印T参照)。つまり、第一案内部27と第二案内部28は、紡績部3に対する位置を一定に保った状態でドラフトローラ対21・22・23・24の回転軸に対して平行に移動できる。
このように、本実施形態に係る第一案内部27は、可動ベース部25に取り付けられることによって紡績部3と同様に移動する構成を採用している。但し、第一案内部27は、紡績機100本体のフレーム等に取り付けられて移動しない構成とすることも可能である。
なお、図3に示すように、本実施形態において第一案内部27と第二案内部28と紡績部3は、直線上に配置されている。しかし、第一案内部27と第二案内部28と紡績部3を略直線上に配置しても良い。また、第一案内部27がフレームに固定される場合では、第一案内部27は、第二案内部28と紡績部3に対して直線上に配置されなくても良い。
第一案内部27を移動しない構成とする場合として、繊維束Fが太い場合が挙げられる。つまり、バックローラ対21に把持された際の繊維束Fの幅(太さ)がバックローラ対21の幅寸法に対して余裕がない場合である。このような状態で第一案内部27を移動させると、繊維束Fを構成する繊維がバックローラ対21から脱落してしまう。従って、繊維束Fが太い場合は、第一案内部27を移動しないように設けるのが望ましい。
本ドラフトユニット2には、可動ベース部25の近傍に検出部29が取り付けられている。検出部29は、可動ベース部25に取り付けられた磁石Mの磁力を検出できる磁力センサ(ホールIC)である。具体的に説明すると、検出部29は、磁束密度の変化に応じて出力電圧を変換し、出力電圧の値から磁石Mの位置を検出できる。検出部29は、アナライザを介して制御部7に接続されている。このため、制御部7は、検出部29からの検出信号に基づいて磁石Mの位置、即ち、可動ベース部25の位置を把握することができる。なお、磁石Mの取り付け位置等について限定するものではない。
このような構成により、制御部7は、検出部29からの検出信号に基づいて駆動部26に制御信号を送信できる。つまり、制御部7は、検出部29からの検出信号に基づいて可動ベース部25の位置、即ち、紡績部3等の位置を制御することができる。
なお、図6Aに示したように、スパイラル軸264とナット265によって回転運動を摺動運動に変換する構成においては、可動ベース部25のオーバーランを防止する必要がある。そのため、検出部29を可動ベース部25の移動範囲両側に設けても良い。また、当該実施形態の他、他の実施形態においても、検出部29の取り付け位置について限定するものではない。更に、検出部29の数量についても限定するものではない。
次に、本紡績機100の制御態様について説明する。図7は、紡績部3等の経時変位を示す図である。本図の縦軸は、経過時間tを示している。本図の横軸は、紡績部3等の変位を示している。なお、紡績部3等の変位とは、紡績部3、第一案内部27及び第二案内部28の原点位置Oからの移動距離である。
本制御態様は、制御部7が駆動部26を制御することによって、可動ベース部25を連続的に往復移動させることを特徴としている。本紡績機100は、駆動部26の制御態様を設定できる設定部8を具備しているため(図2参照)、繊維束Fの種類に応じた制御態様を設定することができる。従って、本制御態様は、制御部7が設定部8の設定に基づいて駆動部26を制御することで、可動ベース部25を連続的に往復移動させることができる。
このような制御態様により、本紡績機100は、ドラフトローラ対21・22・23・24による繊維束Fの把持位置を連続的に変更できる。これにより、ドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の一部で摩耗が許容範囲を超えることを防止でき、該トップローラ21B・22B・23B・24Bの長寿命化を図ることが可能となる。なお、本実施形態においては、ミドルローラ対23にエプロンバンド23C・23Cが巻回されているため、ミドルローラ対23について言及すると、正確にはエプロンバンド23Cの長寿命化を図ることが可能となる。
なお、紡績部3の目標位置とは、繊維束Fの特性に応じて変化する理想的な制御に基づいて決定された単位時間毎の紡績部3の理想位置をいう。制御部7は、単位時間毎に紡績部3を理想位置まで移動させることによって、繊維束Fの特性に応じた最適な制御、即ち、位置制御を実現できる。即ち、本実施形態においては、可動ベース部25を介して紡績部3と第一案内部27と第二案内部28の位置制御を実現できる。
これにより、例えば繊維束Fの太さに応じて振幅や周期を変更できるため、紡績糸Yの品質を低下させることなく、ドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の寿命を延ばすことが可能となる。また、繊維束Fの特性に応じた最適な位置制御を実現できるため、繊維束Fが太い場合であっても該繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落することを防止できる。
更に、本制御態様は、制御部7が紡績部3の目標位置と目標速度を設定して駆動部26を制御することで、可動ベース部25を連続的に往復移動させることも可能である。
紡績部3の目標速度とは、繊維束Fの特性に応じて変化する理想的な制御に基づいて決定された単位時間毎の紡績部3の理想速度をいう。制御部7は、単位時間毎に紡績部3を理想速度まで加速又は減速させることによって、繊維束Fの特性に応じた最適な制御、即ち、速度制御を実現できる。即ち、本実施形態においては、可動ベース部25を介して紡績部3と第一案内部27と第二案内部28の速度制御を実現できる。
これにより、例えば繊維束Fの太さに応じて振幅や周期、移動速度を変更できるため、紡績糸Yの品質を低下させる周期ムラの発生等を低減させることが可能となる。また、繊維束Fの特性に応じた最適な位置制御及び速度制御を実現できるため、繊維束Fが太い場合であっても該繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落することを防止できる。
また、本制御態様において、制御部7は、紡績開始時における紡績部3の位置を原点位置Oにあわせるように駆動部26を制御する。本紡績機100では、紡績糸Yを吸引する吸引パイプの位置等に起因して紡績部3が原点位置Oにある場合に紡績糸Yを引き出す成功率が向上するからである。つまり、紡績開始時に紡績部3の位置を原点位置Oに配置した状態で紡績を開始することにより、紡績をスムーズに開始させることができる。
ここで紡績を開始するとは、新たなボビンBに紡績糸Yを巻き始める場合のほか、欠点検出部4が欠点部を検出したことによる糸切断や巻取り途中の糸切れによって巻取りを中断した後に再開する場合を含む。以下に新たなボビンBに紡績糸Yを巻き始める場合と、巻取りを再開する場合と、について詳細に説明する。
ボビンBに紡績糸Yを巻き始める場合、ドラフトユニット2で牽伸された繊維束Fを紡績部3に導入し、紡績部3内で二つの異なる方向の旋回気流で紡績して、紡績糸Yを紡出する。そして、紡績部3から紡出された紡績糸Yを不図示の吸引パイプにより、吸引して、紡績糸YをボビンBに対して位置決めして、上述のような方法でパッケージPを巻き取っていく。
巻取りを再開する場合は、紡績部3から紡出された紡績糸Yを不図示の吸引パイプにより吸引して、不図示の糸継装置に案内する。これと同時又は前後して、別の吸引パイプがパッケージP側の紡績糸Yを吸引して、糸継装置に案内する。糸継装置は、案内された紡績糸Y同士の糸継作業を行なう。
このような場合に、紡績部3の位置を原点位置Oにあわせて繊維束Fを紡績部3に導入すると、繊維束Fは紡績部3に対して常に一定の位置関係で導入される。その結果、繊維束Fの導入の成功率が安定する。また、紡績部3が原点位置Oにあると、不図示の吸引パイプが紡績糸Yを吸引するときの位置の常に一定となる。その結果、吸引パイプによる紡績部3からの紡績糸Yの吸引の成功率が安定する。
なお、例えば糸切断や糸切れ等が起こった場合には、紡績部3の位置を原点位置Oにあわせた後にドラフトローラ対21・22・23・24を停止させることができる。しかし、糸切断や糸切れ等が起こった場合は、直ちにドラフトローラ対21・22・23・24を停止させ、紡績開始時(紡績再開時)に紡績部3の位置を原点位置Oにあわせるとしても良い。
更に、図7に示すように、本実施形態において原点位置Oは、ドラフトローラ対21・22・23・24の軸方向中央部とされている。しかし、原点位置Oは、ドラフトローラ対21・22・23・24の軸方向中央部でなくとも良く、例えば軸方向端部としても良い。つまり、原点位置Oの位置について限定しない。なお、原点位置Oは、例えば紡績開始前にオペレータが駆動部26の原点出し操作を行なうことにより、予め設定される位置である。
図7に示す実施形態では、紡績部3等の変位が原点位置Oから出発後、図面の左側(繊維束Fの走行方向に対して右側)に移動している。本発明は、当該実施形態に限らず、紡績部3等の変位が原点位置Oを出発後、図面の右側(繊維束Fの走行方向に対して左側)に移動させても良い。
次に、本紡績機100の別の制御態様について説明する。図8は、紡績部3等の経時変位を示す図である。本図の縦軸は、経過時間tを示している。本図の横軸は、紡績部3等の変位を示している。なお、紡績部3等の変位とは、紡績部3、第一案内部27及び第二案内部28の原点位置Oからの移動距離である。
本制御態様は、制御部7が駆動部26を制御することによって、可動ベース部25を間欠的に送り移動させることを特徴としている。具体的に説明すると、本制御態様は、制御部7が紡績部3の目標位置を設定して駆動部26を制御することで、可動ベース部25を間欠的に送り移動させるのである。
このような制御態様により、本紡績機100は、ドラフトローラ対21・22・23・24による繊維束Fの把持位置を間欠的に変更できる。これにより、ドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の摩耗が許容範囲を超える前に把持位置を変更することができ、該ドラフトローラ対21・22・23・24の長寿命化を図ることが可能となる。なお、本実施形態においては、ミドルローラ対23にエプロンバンド23C・23Cが巻回されているため、ミドルローラ対23について言及すると、正確にはエプロンバンド23Cの長寿命化を図ることが可能となる。
紡績部3の目標位置とは、繊維束Fの特性に応じて変化するドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の摩耗の進行速度に基づいて決定された所定時間毎の紡績部3の理想位置をいう。制御部7は、所定時間毎に紡績部3を理想位置まで移動させることによって、繊維束Fの特性に応じた最適な制御、即ち、位置制御を実現できる。即ち、本実施形態においては、可動ベース部25を介して紡績部3と第一案内部27と第二案内部28の位置制御を実現できる。
これにより、例えば繊維束Fの太さに応じて移動距離や移動時期を変更できるため、トップローラ21B・22B・24Bの寿命を延ばすことが可能となる。また、繊維束Fの特性に応じた最適な位置制御を実現できるため、繊維束Fが太い場合であっても該繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落することを防止できる。
なお、繊維束Fの把持位置を間欠的に変更するとした場合、例えばステッピングモータ261により構成される駆動部26をステップ状に駆動することにより、把持位置の移動と保持とを随時切り換えることも含まれる。また、図8では、把持位置が原点位置Oから移動可能距離Lまで段階的に移動する実施形態が図示されている。把持位置が移動可能距離Lに到達した後、到達前に保持しなかった位置に把持位置を保持しながら原点位置Oに再度到達するように、制御部7は可動ベース部25の位置制御を行なっても良い。
駆動部26がステッピングモータ261により構成される場合、ステッピングモータ261のロータは正逆回転するように駆動される。ロータの正回転量と逆回転量は等しいことが望ましいが、異なっていても良い。また、検出部29の取り付け位置に応じて、ロータが原点位置に復帰するまでの回転量の補正値を制御部7に予め設定しておき、検出部29の検出誤差を吸収するようにしても良い。
更に、本制御態様は、制御部7が紡績部3の目標位置と目標速度を設定して駆動部26を制御することで、可動ベース部25を間欠的に送り移動させることも可能である。
紡績部3の目標速度とは、繊維束Fの特性に応じて変化するドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の摩耗の進行速度に基づいて決定された所定時間毎の紡績部3の理想速度をいう。制御部7は、ドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の摩耗が許容範囲を超える手前に紡績部3を理想速度まで加速させることによって、繊維束Fの特性に応じた最適な制御、即ち、速度制御を実現できる。即ち、本実施形態においては、可動ベース部25を介して紡績部3と第一案内部27と第二案内部28の速度制御を実現できる。
これにより、例えば繊維束Fの太さに応じて移動距離と移動時期と移動速度との少なくともいずれかを変更できるため、ドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の寿命を延ばすとともに、紡績糸Yの品質を低下させる周期ムラの発生等を低減させることが可能となる。また、繊維束Fの特性に応じた最適な位置制御及び速度制御を実現できるため、繊維束Fが太い場合であっても該繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落することを防止できる。
上述したように、本実施形態における紡績機100は、ゴム等で形成されたトップローラ21B・22B・24Bの寿命を延ばすことが可能である。しかし、ボトムローラ21A・22A・24Aがゴム等で形成されている場合は、該ボトムローラ21A・22A・24Aの寿命を延ばすことができる。また、トップローラ21B・22B・24Bとボトムローラ21A・22A・24Aが共に摩耗する材料で形成されている場合においても寿命を延ばすことができる。従って、本発明の技術的特徴は、所定のローラ(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)の寿命を延ばす目的に限定するものではない。
次に、上述した制御態様に付加されている他の特徴点について説明する。
本実施形態において制御部7は、繊維束Fの太さ又はドラフトローラ対21・22・23・24の幅寸法W(本実施形態においてはトップローラ24Bの幅寸法:図3参照)に応じて可動ベース部25の移動可能距離Lを設定する(図7、図8参照)。また、繊維束Fの太さ及びドラフトローラ対21・22・23・24の幅寸法Wに応じて可動ベース部25の移動可能距離Lを設定しても良い。
ここで、移動可能距離Lとは、繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落しない原点位置Oからの最大距離をいう。繊維束Fの太さ等に基づいて移動可能距離Lを設定するため、ドラフトユニット2が牽伸する繊維束Fの種類が変更された場合であっても、本実施形態に係る紡績機100は、対応することが可能となる。
このような制御態様により、本紡績機100は、ドラフトローラ対21・22・23・24による繊維束Fの把持可能領域を最大限広く確保できる。これにより、更にトップローラ21B・22B・24Bの長寿命化を図ることが可能となる。また、繊維束Fが太い場合であっても該繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落することを確実に防止できる。
制御部7は、ドラフトローラ対21・22・23・24が回転している場合に駆動部26を作動させ、ドラフトローラ対21・22・23・24が回転していない場合に駆動部26を停止させる。これは、繊維束Fを牽伸している場合に紡績部3等の移動を実施させ、繊維束Fを牽伸していない場合に紡績部3等の移動を停止させることを意味する。本実施形態においては、バックローラ対21が回転している場合に駆動部26を作動させ、バックローラ対21が回転していない場合に駆動部26を停止させている。即ち、複数のドラフトローラ対21・22・23・24のうち、少なくとも繊維束Fを把持しているドラフトローラ対が回転している場合に駆動部26を作動させていることが望ましい。
このような制御態様により、本紡績機100は、ドラフトユニット2が停止している場合にドラフトローラ対21・22・23・24によって把持された状態の繊維束Fが意図せずに切断されることを回避できる。
更に、制御部7は、繊維束Fが所定の値よりも太い場合に駆動部26を停止させる。具体的には、オペレータは、紡績機100が紡績する繊維束Fの種類を設定部8から入力する。制御部7は、入力された繊維束Fの情報に基づいて該繊維束Fの太さが所定の値を超えているか否かを判断する。そして、制御部7は、繊維束Fの太さが所定値を超えている場合に駆動部26が停止するように制御する。
このような制御態様により、本紡績機100は、繊維束Fが太い場合であっても該繊維束Fを構成する繊維がドラフトローラ対21・22・23・24から脱落することを確実に防止できる。
次に、本実施形態に係る紡績機100の他の特徴点について説明する。
本紡績機100を構成する紡績部3は、旋回空気流によって繊維束Fを撚る、いわゆる空気紡績装置3である。図9は、空気紡績装置3の構成を示す図である。
空気紡績装置3は、紡績室SC内に旋回空気流を形成し、該旋回空気流によって繊維束Fを撚る。紡績室SCは、ファイバーガイド31とスピンドル32の間に構成される空間SC1と、スピンドル32とノズルブロック33の間に構成される空間SC2と、に分けられる。
空間SC1において、繊維束Fを構成する繊維の後端部が旋回空気流によって反転される(図中二点鎖線参照)。空間SC2において、反転された各繊維の後端部が旋回空気流によって回転される(図中二点鎖線参照)。回転される繊維の後端部は、次々と中心部の繊維に巻き付いていく。このようにして、空気紡績装置3は、繊維束Fから紡績糸Yを紡出することができる。
なお、図9に示すように、本実施形態に係る空気紡績装置3では、ファイバーガイド31にニードルが設けられている。ニードルは、繊維束Fをスピンドル32に導くとともに、繊維の撚りが上流側に伝わらないようにするために設けられる。しかし、ファイバーガイド31にニードルを設けない構成であったとしても、本発明の目的及び効果に差異はない。
このような構成により、本紡績機100は、高い紡績速度を維持できる。紡績速度が高速化すると、繊維束Fの繊維の挙動も外部変化の影響を受け易くなる。また、高速で牽伸される繊維束Fによりドラフトローラ対(本実施形態では、トップローラ21B・22B・24B)21・22・23・24の摩耗の進行も早くなる。可動ベース部25の位置制御を行なって該可動ベース部25を移動させることにより、繊維束Fの繊維の挙動に影響を与えずに、ドラフトローラ対21・22・23・24の長寿命化を適切に図ることができる。
なお、旋回空気流によって繊維束Fを撚る構成であれば、詳細な構成について限定しない。例えば互いに異なる方向に流れる旋回空気流を二つ形成し、これらの旋回空気流によって繊維束Fを撚る構成であっても良い(例えば特開平5−86510、特開2006−161171等)。
このような構成により、本紡績機100は、繊維束Fの特性に応じた最適な制御を行なうことが可能となる。
更に、上述したように、本紡績機100は、紡績糸Yを巻き取ってパッケージPを作成する巻取部6を具備している(図1参照)。本紡績機100は、トップローラ21B・22B・23B・24Bの寿命を延ばすことができるため、長期にわたって連続してパッケージPを製造できる。即ち、本紡績機100によるパッケージPの生産能力を向上させることが可能となる。
上記実施形態では、検出部29は可動ベース部25の位置を検出し、制御部7は、検出部29の検出結果に基づいて、可動ベース部25の位置又は/及び速度を制御している。制御部7は、検出部29の検出結果からフロントローラ対24による繊維束Fの把持位置の履歴と把持位置の変化(速度と時間)を示す駆動部26の駆動量を記憶する記憶部(不図示)と、フロントローラ対24の耐久閾値を格納する格納部(不図示)と、を更に備えても良い。
この場合、制御部7は、記憶部に記憶される駆動量と格納部に格納されている耐久閾値を比較し、フロントローラ対24によって更なる牽伸を行なうことが可能である部分が残っているかを判断する。制御部7が残っている部分があると判断した場合、制御部7は、当該部分を牽伸するように可動ベース部25の位置又は/及び速度を制御する。これにより、高速紡績によって摩耗し易いフロントローラ対24(本実施形態では、トップローラ24B)を限界まで使用することができる。
なお、オペレータは、トップローラ24Bを新しいトップローラ24Bに交換した場合、制御部7に交換したことを入力し、記憶部に記憶されている内容をリセットするようにしても良い。
本実施形態では、紡績機100が一台設けられている。しかし、複数の紡績機100を並べて配置して、繊維機械を構成しても良い。この場合、隣り合う紡績機100で可動ベース部25を同じ方向に移動させても良いし、異なる方向に移動させても良い。異なる方向に移動させる場合、可動ベース部25が同じ方向に移動することによる振動を抑制することができる。
100 紡績機
1 スライバ供給部
2 ドラフトユニット
21 バックローラ対(ドラフトローラ対)
21A ボトムローラ
21B トップローラ
22 サードローラ対(ドラフトローラ対)
22A ボトムローラ
22B トップローラ
23 ミドルローラ対(ドラフトローラ対)
23A ボトムローラ
23B トップローラ
24 フロントローラ対(ドラフトローラ対)
24A ボトムローラ
24B トップローラ
25 可動ベース部
26 駆動部
27 第一案内部
28 第二案内部
29 検出部
3 紡績部
4 欠点検出部
5 張力安定部
6 巻取部
7 制御部
F 繊維束(スライバ)
Y 紡績糸

Claims (13)

  1. 繊維束を牽伸するドラフトローラ対と、
    前記ドラフトローラ対によって牽伸される繊維束の幅を規定して案内する案内部と、
    前記ドラフトローラ対によって牽伸された繊維束を撚って紡績糸を紡出する紡績部と、
    前記案内部と前記紡績部とが取り付けられる可動ベース部と、
    前記可動ベース部を前記ドラフトローラ対の回転軸方向に対して平行に移動させる駆動部と、
    前記案内部と前記紡績部と前記可動ベース部との少なくともいずれかの位置を検出する検出部と、
    前記検出部からの検出信号に基づいて前記駆動部に位置指令信号を送信して前記可動ベース部を位置制御することによって、前記ドラフトローラ対に対する前記案内部と前記紡績部の相対的な位置関係を調整して、前記ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を変更する制御部と、を備える、ことを特徴とする紡績機。
  2. 繊維束を牽伸するドラフトローラ対と、
    前記ドラフトローラ対によって牽伸される繊維束の幅を規定して案内する案内部と、
    前記ドラフトローラ対によって牽伸された繊維束を撚って紡績糸を紡出する紡績部と、
    前記案内部と前記紡績部とが取り付けられる可動ベース部と、
    前記可動ベース部を前記ドラフトローラ対の回転軸方向に対して平行に移動させる駆動部と、
    前記案内部と前記紡績部と前記可動ベース部との少なくともいずれかの位置を検出する検出部と、
    前記検出部からの検出信号に基づいて前記駆動部に位置指令信号と速度指令信号を送信して前記可動ベース部を位置制御及び速度制御することによって、前記ドラフトローラ対に対する前記案内部と前記紡績部の相対的な位置関係を調整して、前記ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を変更する制御部と、を備える、ことを特徴とする紡績機。
  3. 前記制御部は、前記駆動部を制御することによって、前記可動ベース部を連続的に往復移動させる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紡績機。
  4. 前記制御部は、前記駆動部を制御することによって、前記可動ベース部を間欠的に送り移動させる、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の紡績機。
  5. 前記制御部は、前記駆動部を制御することによって、紡績開始時における前記ドラフトローラ対と前記紡績部の相対位置を原点位置にあわせる、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の紡績機。
  6. 前記制御部は、繊維束の太さ又は/及び前記ドラフトローラ対の回転軸方向の幅寸法に応じて前記可動ベース部の移動を制御する、ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の紡績機。
  7. 前記制御部は、前記ドラフトローラ対が回転している場合に前記駆動部を作動させ、前記ドラフトローラ対が回転していない場合に前記駆動部を停止させる、ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の紡績機。
  8. 前記ドラフトローラ対が牽伸する繊維束が所定の値よりも大きい場合に前記駆動部を停止させる、ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の紡績機。
  9. 前記駆動部は、ステッピングモータを用いて構成される、ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の紡績機。
  10. 前記紡績部は、旋回空気流によって繊維束を撚って紡績糸を紡出する、ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の紡績機。
  11. 前記駆動部の制御態様を設定できる設定部を具備する、ことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の紡績機。
  12. 前記紡績糸をパッケージへと巻き取る巻取部を具備する、ことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の紡績機。
  13. 前記駆動部の駆動量を記憶する記憶部と、
    前記ドラフトローラ対の耐久閾値を格納する格納部と、を具備し、
    前記制御部は、前記記憶部に記憶される駆動量と前記格納部に格納されている前記耐久閾値に基づいて、前記ドラフトローラ対による繊維束の把持位置を変更する、ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の紡績機。
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