JP2009070694A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料電池1に、燃料としてヒドラジンを供給する固定化部2に、ヒドラジン貯留槽12からヒドラジン水溶液を供給する原料供給ライン13と、ヒドラジン貯留槽12へヒドラジンを含む排水を還流する還流ライン20とを接続して、原料供給ライン13および還流ライン20に、ヒドラジン濃度を検知するための供給側センサ21および還流側センサ22を設ける。そして、検出部26において、供給側センサ21および還流側センサ22で検知された濃度値に基づいて、固定化部2に固定化されているヒドラジンの量を検出する
【選択図】図1
Description
特許文献1および特許文献2の燃料電池では、燃料側電極で窒素のみが生成され、直接メタノール型燃料電池のように、炭酸ガスの生成がなく、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
また、燃料電池は、燃料の供給方法などを含めて、システムとして効率的かつ経済的に構築する必要がある。
本発明の目的は、ヒドラジンを燃料とする燃料電池において、ヒドラジンを安全に利用することができながら、効率的かつ経済的なシステムとして構築することのできる、燃料電池システムを提供することにある。
また、本発明の燃料電池システムでは、前記排出ラインが、前記固定化部からの排水を、前記ヒドラジン供給源へ還流するための還流ラインであることが好適である。
また、本発明の燃料電池システムでは、供給ラインに第1検知部が設けられ、排出ラインに第2検知部が設けられている。さらに、これら検知部で検知された濃度値に基づいて、固定化部に固定化されているヒドラジンの量を検知する検出部が備えられている。各検知部からの濃度値を検出部で検出することにより、固定化部に固定化されているヒドラジンの量を検出することができるので、固定化されずに排水とともに排出されるヒドラジンの量を低減することができる。その結果、ヒドラジンの有効利用を図ることができるので、燃料電池システムを、効率的かつ経済的なシステムとして構築することができる。
図1は、本発明の燃料電池システムの一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、燃料電池システムS1は、ヒドラジンが燃料として供給される燃料電池1と、ヒドラジンを固定化する固定化部2と、ヒドラジンを固定化部2へ供給するヒドラジン供給部3と、水系脱離液を固定化部2へ供給する脱離液供給部4と、固定化部2から燃料電池1へヒドラジンを燃料として供給する燃料供給部5と、固定化部2からのヒドラジンをヒドラジン供給部3へ還流するための還流部6と、固定化部2に固定化されているヒドラジンの量を検知する検出部26とを備えている。
(A)固定化部
固定化部2は、ケーシング7と、ケーシング7内に収容される固定化部材8とを備えている。
ケーシング7内には、攪拌機9が設けられている。攪拌機9によって、ケーシング7内に供給されるヒドラジンや水系脱離液が適宜攪拌される。
固定化部材8は、ケーシング7内に収容されている。固定化部材8は、ヒドラジンを固定化および脱離する合成樹脂(以下、固定化樹脂という。)からなり、ヒドラジンを脱離可能に固定化するヒドラジン固定基を有している。
そして、ヒドラジン固定基にヒドラジンが脱離可能に固定化されると、ヒドラジン脱離基が形成される。
また、固定化樹脂は、ヒドラジンが親水性であることから、親水性が付与されていることが好適である。固定化樹脂に親水性を付与するには、例えば、ポリオキシエチレンなどの親水性ユニットを主鎖に導入するか、あるいは、主鎖から枝分れする側鎖に、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、第4級アンモニウム基などの親水性基を導入する。
(1)炭化水素系固定化樹脂
炭化水素系固定化樹脂は、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーを単独重合させるか、あるいは、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと、そのヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合ビニルモノマーとを共重合させることにより、得ることができる。
(1−1)炭化水素系固定化樹脂の合成
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、ヒドラジン固定基とビニル基とを併有するモノマーであって、例えば、アクロレイン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、p−アセチルメチルスチレン、p−アセチルスチレン、アクリル酸メチル、p−クロルメチルスチレン、o−アセチルメチルビニルアルコール、o−アセチルメチルアリルアルコール、N−アセチルメチルビニルピリジンなどが挙げられる。これらヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
親水性ビニルモノマーは、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基とビニル基とを併有するモノマーであって、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。これら親水性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
架橋性ビニルモノマーは、複数のビニル基を有するモノマーであって、例えば、ジビニルベンゼン、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジまたはトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)メタクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどが挙げられる。これら架橋性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーに対する共重合ビニルモノマーの配合割合は、ヒドラジンの供給量や要求物性などにより、適宜選択されるが、例えば、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーの固定基に対して、共重合ビニルモノマーが、当量比で、例えば、1:0.01〜100、好ましくは、1:0.1〜10、さらに好ましくは、1:0.5〜2である。より具体的には、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーの固定基に対して、親水性ビニルモノマーが、当量比で、例えば、1:0.01〜100、好ましくは、1:0.1〜10、さらに好ましくは、1:0.5〜2である。また、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと親水性ビニルモノマーの合計100重量部に対して、架橋性ビニルモノマーが、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、1〜10重量部である。
ラジカル重合開始剤は、特に制限されず、例えば、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)などのアゾ系重合開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどのパーオキサイド系重合開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、例えば、過酸化水素と還元剤(アスコルビン酸など)とを組合せるレドックス系開始剤などが挙げられる。
(1−2)炭化水素系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
炭化水素系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、例えば、炭化水素系固定化樹脂の固定化基(ケトン基)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給し、ヒータ11で、例えば、室温〜100℃に温め、攪拌機9で、例えば、10分〜48時間攪拌する。すると、固定化基(ケトン基)にヒドラジンが固定化される。
(1−3)炭化水素系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
炭化水素系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、炭化水素系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、炭化水素系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(2)ポリアクリルアミド系固定化樹脂
ポリアクリルアミド系固定化樹脂は、アクリルアミドのラジカル重合により得ることができる。
(2−1)ポリアクリルアミド系固定化樹脂の合成
ポリアクリルアミド系固定化樹脂は、アクリルアミドを水に配合して、アクリルアミド水溶液を調製した後、そのアクリルアミド水溶液にラジカル重合開始剤を添加して、アクリルアミドをラジカル重合させることにより、合成することができる。
(2−2)ポリアクリルアミド系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリアクリルアミド系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリアクリルアミド系固定化樹脂の固定化基(アミド基)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給し、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(アミド基)にヒドラジンが固定化されて、ポリアクリル酸ヒドラジッドが得られる。
(2−3)ポリアクリルアミド系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリアクリルアミド系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリアクリルアミド系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリアクリルアミド系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(3)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂は、まず、(メタ)アクリル酸エステルをラジカル重合することにより、得ることができる。
(3−1)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂の合成
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルにラジカル重合開始剤を添加して、重合させることによって得ることができる。得られたポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂は、微粉砕して、ケーシング7内に収容する。
(3−2)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂の固定化基(エステル基)に対して、当量以上のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給し、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(エステル基)にヒドラジンが固定化されて、ポリアクリル酸ヒドラジッドが得られる。
(3−3)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(4)ポリビニルアルコール系固定化樹脂
ポリビニルアルコール系固定化樹脂は、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと、酢酸ビニルとを共重合させることにより、ヒドラジン固定基含有ポリ酢酸ビニル共重合体を合成し、次いで、これをケン化することにより、得ることができる。
(4−1)ポリビニルアルコール系固定化樹脂の合成
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、ヒドラジン固定基とビニル基とを併有するモノマーであって、例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトンなどのアルキルまたはアリールビニルケトン、p−アセチルメチレンオキシスチレン、p−アセチルエチレンオキシスチレンなどのp−アセチルアルキレンオキシスチレン、p−クロルメチルスチレンなどが挙げられる。これらヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
ラジカル重合は、特に制限されず、上記と同様の方法により実施することができる。また、例えば、ラジカル重合開始剤として、アゾ系重合開始剤やパーオキサイド系重合開始剤が用いられる。
その後、ヒドラジン固定基含有ポリ酢酸ビニルを、溶媒(例えば、アルコール類)に配合した後、アルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して、ケン化し、再度、水中に沈殿させ、これを単離および乾燥して、ポリビニルアルコール系固定化樹脂を得る。
(4−2)ポリビニルアルコール系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリビニルアルコール系固定化樹脂に、ヒドラジンを固定化するには、ポリビニルアルコール系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)にヒドラジンが固定化される。
(4−3)ポリビニルアルコール系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリビニルアルコール系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリビニルアルコール系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリビニルアルコール系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(5)ポリエステル系固定化樹脂
ポリエステル系固定化樹脂は、まず、ヒドラジン固定基含有多価アルコールと多塩基酸とを縮合重合させることにより、得ることができる。また、多価アルコールとヒドラジン固定基含有多塩基酸とを縮合重合させることにより、得ることもできる。さらに、ヒドラジン固定基含有多価アルコール(および必要により多価アルコール)と、ヒドラジン固定基含有多塩基酸(必要により多塩基酸)とを縮合重合させることにより、得ることもできる。
(5−1)ポリエステル系固定化樹脂の合成
ヒドラジン固定基含有多価アルコールは、ヒドラジン固定基と少なくとも2つの水酸基とを併有する多価アルコールであって、例えば、アセチルエチルエチレングリコールなどが挙げられる。また、必要により、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコールを併用することもできる。
そして、ポリエステル系固定化樹脂は、ヒドラジン固定基含有多価アルコール(および必要により多価アルコール)と多塩基酸とを配合して、縮合重合することにより、得ることができる。
(5−2)ポリエステル系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリエステル系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリエステル系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)にヒドラジンが固定化される。
(5−3)ポリエステル系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリエステル系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリエステル系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエステル系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(6)ポリアミド系固定化樹脂
ポリアミド系固定化樹脂は、多価アミンおよび多塩基酸(但し、多価アミンおよび多塩基酸の少なくとも一方にヒドラジン固定基が含まれていることが必要である。)の重合により、得ることができる。
(6−1)ポリアミド系固定化樹脂の合成
脂肪族多価アミンとしては、少なくとも2個のアミノ基を有し、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。
脂肪族多塩基酸は、少なくとも2つのカルボン酸を有し、例えば、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などが挙げられる。
多価アミンと多塩基酸との重合は、これらをほぼ当量で配合して、必要により、不活性ガス雰囲気下、減圧して、反応させる。反応温度は、例えば、30〜400℃、好ましくは、70〜300℃の範囲である。
ポリアミド系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、ポリアミド系固定化樹脂を適宜の溶媒(例えば、N−メチルピロリドン)に溶解した後、ハロゲノメチル基に対して当量以上のアセトンを添加し、さらに、アルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して攪拌することにより、ハロゲノメチル基をアセチルエチル基に変換することもできる。
(6−2)ポリアミド系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリアミド系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリアミド系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、当量以上のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(6−3)ポリアミド系固定化樹脂のヒドラジンの脱離およびヒドラジンの供給
ポリアミド系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリアミド系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリアミド系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(7)ポリエーテル系固定化樹脂
ポリエーテル系固定化樹脂は、フェノール誘導体を、銅触媒および塩基の存在下で重合させることにより芳香環含有ポリエーテルを合成し、次いで、芳香環含有ポリエーテルの芳香環をハロゲノメチル化することにより、得ることができる。
(7−1)ポリエーテル系固定化樹脂の合成
フェノール誘導体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールなどが挙げられる。
ポリエーテル系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、ポリエーテル系固定化樹脂を適宜の溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解した後、ハロゲノメチル基に対して当量以上のアセトンを添加し、さらにアルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して攪拌して、ハロゲノメチル基を、例えば、アセチルエチル基に変換することもできる。さらに、モノクロルアセトン、モノクロルメチルアルキルケトン、モノクロルメチルアリルケトン、モノクロルメチルアラルキルケトンなどを反応させ、アセチルメチル基などのケトン基含有側鎖を導入することもできる。
(7−2)ポリエーテル系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリエーテル系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(7−3)ポリエーテル系固定化樹脂のヒドラジンの脱離およびヒドラジンの供給
ポリエーテル系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリエーテル系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエーテル系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(8)ポリエーテルケトン系固定化樹脂
ポリエーテルケトン系固定化樹脂は、ジハロゲノベンゾフェノンとジフェノールとをアルカリ存在下に重合させることにより、得ることができる。
(8−1)ポリエーテルケトン系固定化樹脂の合成
ジハロゲノベンゾフェノンとしては、例えば、4,4′−ジハロベンゾフェノン、2,4′−ジハロベンゾフェノン、ビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン、ビス−1,3−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン、ビス−4,4′−(4−ハロベンゾイル)ビフェニル、ビス−4,4′−(4−ハロベンゾイル)ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
アルカリとしては、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の重炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
なお、ジハロゲノベンゾフェノンとジフェノールとの配合割合は、ほぼ当量でよく、また、重合には、公知の触媒および溶媒が添加される。また、反応温度は、例えば、10〜300℃、好ましくは、50〜200℃の範囲である。
溶媒としては、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルフォランなどの脂肪族スルホン類、例えば、ジフェニルスルホン、ジトリルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジベンゾチオフェンオキサイド、フェノキサチンジオキシド、4ーフェニルスルフォニルビフェニルなどの芳香族スルホン類、例えば、ベンゾフェノン、イソフタロフェノン、テレフタロフェノン、4ーベンゾイルジフェニルエーテル、フルオレノン、キサントン、チオキサントンなどの芳香族ケトン類などが挙げられる。
(8−2)ポリエーテルケトン系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリエーテルケトン系固定化樹脂に、ヒドラジンを固定化するには、ポリエーテルケトン系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(8−3)ポリエーテルケトン系固定化樹脂のヒドラジンの脱離
ポリエーテルケトン系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリエーテルケトン系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエーテルケトン系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(9)ポリチオエーテル系固定化樹脂
ポリチオエーテル系固定化樹脂は、ジハロゲノベンゼンと、硫化ナトリウムとを反応させることにより芳香環含有ポリチオエーテルを合成し、次いで、芳香環含有ポリチオエーテルの芳香環をハロゲノメチル化することにより、得ることができる。
(9−1)ポリチオエーテル系固定化樹脂の合成
ジクロロベンゼンとしては、例えば、p−ジクロロベンゼンなどが挙げられる。
ポリチオエーテル系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、ポリチオエーテル系固定化樹脂を適宜の溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)に溶解した後、ハロゲノメチル基に対して当量以上のアセトン、メチルアルキルケトン、メチルアリルケトンまたはメチルアラルキルケトンを添加し、さらにアルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して攪拌し、ハロゲノメチル基を、例えば、アセチルエチル基に変換することもできる。
(9−2)ポリチオエーテル系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリチオエーテル系固定化樹脂に、ヒドラジンを固定化するには、ポリチオエーテル系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(9−3)ポリチオエーテル系固定化樹脂のヒドラジンの脱離
ポリチオエーテル系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリチオエーテル系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエーテルケトン系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
(B)ヒドラジン供給部
ヒドラジン供給部3は、ヒドラジンを貯留するヒドラジン貯留槽12と、ヒドラジン貯留槽12内に収容される固定化部材25と、ヒドラジン貯留槽12からケーシング7へヒドラジンを供給する原料供給ライン13とを備えている。
固定化部材25は、ヒドラジン貯留槽12内に収容されている。固定化部材25は、ヒドラジンを固定化および脱離する合成樹脂(以下、固定化樹脂という。)からなり、例えば、上記した固定化部材8と同様の合成樹脂からなる。なお、図1では図示していないが、ヒドラジン貯留槽12には、上記した攪拌機9、フィルタ10およびヒータ11に相当する部材が設けられていてもよい。
原料供給ライン13は、上記と同様の材料から形成されるパイプからなり、ヒドラジン貯留槽12とケーシング7とに接続されている。原料供給ライン13の途中には、原料側開閉弁14が設けられている。
供給側センサ21は、原料供給ライン13内に配置され、原料供給ライン13を流れるヒドラジン水溶液に含まれるヒドラジン濃度を検知して、その濃度値を制御部30(後述)へ入力する。供給側センサ21としては、例えば、赤外分光法によりヒドラジンの赤外吸光度を測定するIRセンサ(赤外線センサ)など、公知の濃度センサを適用することができる。
(C)脱離液供給部
脱離液供給部4は、水系脱離液を貯留する脱離液貯留槽15と、脱離液貯留槽15からケーシング7へ水系脱離液を供給する脱離液供給ライン16とを備えている。
水系脱離液は、固定化部材8に固定化されているヒドラジンを脱離させるための水または水溶液であり、上記したように、例えば、水、例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液などのアルカリ水溶液などが挙げられる。
(D)燃料供給部
燃料供給部5は、上記と同様の材料から形成され、ケーシング7と燃料電池1とを接続する燃料供給ライン18を備えている。燃料供給部5の途中には、燃料側開閉弁19が設けられている。
(E)燃料電池
燃料電池1は、ヒドラジンを燃料とする燃料電池であれば、特に制限されず、例えば、固体高分子膜型燃料電池であって、例えば、国際公開パンフレットWO2003/056649(特許文献2参照)に記載されている燃料電池が挙げられる。
そして、ヒドラジンは、水系脱離液(水またはアルカリ水溶液)とともに、燃料供給ライン18から燃料電池1の燃料側電極へ流入される。また、酸素側電極には、酸素(空気)が流入される。すると、下記式の反応が生じて、起電力が発生する。
NH2NH2+H2O+O2→N2+3H2O
(F)還流部
還流部6は、ケーシング7とヒドラジン貯留槽12とを接続する還流ライン20(排出ライン)と、還流側センサ22とを備えている。
(G)検出部
検出部26は、固定化部材8に固定化されているヒドラジンの量を検出するための制御部30と、検出されたヒドラジンの量を表示するためのインジケータ24とを備えている。
なお、燃料電池システムS1において、原料供給ライン13、脱離液供給ライン16、燃料供給ライン18、および、還流ライン20には、そのレイアウトにもよるが、重力輸送が困難な場合などには、適宜、公知の送液ポンプが設けられる。
II.作用効果
次に、この実施形態の燃料電池システムS1の作用効果について詳述する。
CH3COCHCH2+N2H4・H2O→CH3CN2H2+2H2O
第1および第2のヒドラジン供給工程においては、原料供給ライン13を流れるヒドラジンの濃度が、供給側センサ21から制御部30に入力される。一方、ヒドラジン還流工程においては、還流ライン20を流れるヒドラジンの濃度が、還流側センサ22から制御部30に入力される。
また、燃料電池システムS1では、原料供給ライン13に供給側センサ21が設けられ、還流ライン20に還流側センサ22が設けられており、各センサ21,22が、制御部30に電気的に接続されている。各センサ21,22で検知される各濃度値(供給側濃度値および還流側濃度値)を制御部30に入力することにより、固定化部材8に固定化されているヒドラジンの量を検出することができるので、固定化されずに排出されるヒドラジンの量を低減することができる。その結果、ヒドラジン水溶液(ヒドラジン)の有効利用を図ることができるので、燃料電池システムS1を、効率的かつ経済的なシステムとして構築することができる。
(車載する実施形態)
図2は、図1に示す実施形態の燃料電池システムS1を、車両に搭載したときの概略説明図である。なお、図2において、上記と同様の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
また、還流部6では、還流ライン20の下流側は、供給口36の下方近傍に設けられた還流口23へ接続されている。なお、還流口23は、常時は蓋により閉塞されている。
また、ケーシング7は、車両35の前後方向中央よりもやや後側に配置されている。また、脱離液貯留槽15は、燃料電池1の上方に配置されている。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することが可能である。
具体例1(炭化水素系アミド架橋固定化樹脂(固定基:ケトン基))
1)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂の合成
メチルビニルケトン20g、p−スチレンスルホン酸Na59g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド2.3g、イオン交換水79gを均一に混合して重合水溶液を作製し、重合槽に投入した。重合水溶液に窒素ガスを導入して、重合水溶液中の溶存酸素量を0.2ppmにし、また、溶液温度を5℃にした。
得られた含水ゲル状重合体を、ミートチョッパーを用いて小片に粉砕し、得られた小片含水ゲル重合体を、通気熱風乾燥機(井上金属工業社製)を用いて、供給風温120℃、風速1.5m/秒の条件下で70分間通気乾燥して、水分含量が約4%の乾燥物を得た。
この親水性固定化樹脂の吸収倍率は、9倍であった。なお、吸収倍率は、250メッシュのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に親水性固定化樹脂1gを入れ、生理食塩水(NaCl濃度0.90%のイオン交換水溶液)中に60分間浸漬した後、15分間吊るして水切りしてから、余剰水を取り除き、遠心脱水後の増加質量を測定することにより求めた。
2)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
上記1)で得られた親水性固定化樹脂に、その樹脂2g中に含有するケトン基の2倍のモル数のヒドラジンを含有する100%ヒドラジンヒドラートを添加して、60分間攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、親水性固定化樹脂を得た。
3)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂のヒドラジンの脱離
3−1)アルカリによる脱離
上記2)で得られた親水性固定化樹脂0.8gを、1N−KOH水溶液に室温で分散して、攪拌した。1N−KOH水溶液中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、72.1%であった。
3−2)再固定化
上記3−1)でヒドラジンを脱離した親水性固定化樹脂に、その樹脂0.6g中に含有するケトン基の2倍のモル数のヒドラジンを含有する100%ヒドラジンヒドラートを添加して、60分間攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、再度、親水性固定化樹脂を得た。
3−3)水による脱離
上記2)で得られた親水性固定化樹脂0.8gを、水に室温で分散して、攪拌した。水中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、固定化されているヒドラジンの72.8%の脱離を確認した。これは、最初のケトン基に対するヒドラジンの変換率として、78.8%に相当する。
具体例2(炭化水素系アミド架橋固定化貯蔵樹脂(固定基:ケトン基))
1)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
具体例1の1)で得られた親水性固定化樹脂に、その樹脂に含有するケトン基と等モル数のヒドラジンを添加し、具体例1の2)と同様の操作を行った。その結果、濾液のイソプロピルアルコール中のヒドラジン量が13.9%であった。つまり、固定化されたヒドラジンは、86.1%であった。これは、樹脂の最初のケトン基を基準とすると、86.1%のヒドラジン吸着率に相当する。
2)炭化水素系アミド架橋固定化貯蔵樹脂のヒドラジンの脱離
上記1)で得られた親水性固定化貯蔵樹脂0.8gを、1N−KOH水溶液に室温で分散して、攪拌した。1N−KOH水溶液中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、18.8%であった。これは、最初のケトン基を基準とすると、21.8%のヒドラジンの脱離に相当する。
具体例3(炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂)
1)炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂の合成
N,N′−メチレンビスアクリルアミドに代替して、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルを用いた以外は、具体例1の1)と同様の操作により、親水性固定化樹脂(炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂)を得た。
2)炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
上記1)で得られた親水性固定化樹脂に、その樹脂2g中に含有するケトン基と等モル数のヒドラジンを含有する100%ヒドラジンヒドラートを添加して、60分間攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、親水性固定化樹脂を得た。
3)炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂のヒドラジンの脱離
上記2)で得られた親水性固定化樹脂0.8gを、1N−KOH水溶液に室温で60分間、分散して、攪拌した。その後、メタノール40mlを添加して、親水性固定化樹脂をゲル化させた後、濾過分離して、濾液のアルコール溶液中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、固定化されているヒドラジンの19.4%の脱離を確認した。これは、最初のケトン基に対するヒドラジンの変換率として、22.3%に相当する。
具体例4(炭化水素系アミド架橋固定化樹脂(固定基:アルデヒド基))
アクロレイン16g、p−スチレンスルホン酸Na59g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド2.3g、イオン交換水79gを均一に混合して重合水溶液を作製し、重合槽に投入した。重合水溶液に窒素ガスを導入して、重合水溶液中の溶存酸素量を0.2ppmにし、また、溶液温度を5℃にした。
具体例5(アクリルアミド系固定化樹脂)
アクリルアミド10gと水25.9mlとを混合してアクリルアミド水溶液を調製し、そのアクリルアミド水溶液に35%過酸化水素4.1gを加えて、85〜90℃で16時間攪拌した。反応液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過して分離した。その後、乾燥してポリアクリルアミドを得た(平均分子量:22,000)。
具体例6(ビニルアルコール系固定化樹脂)
500mlの三つ口フラスコに、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を装備し、酢酸ビニール86gと、p−アセチルメチレンオキシスチレン152gと、メタノール50mlを仕込み、攪拌しながら湯浴温度を60〜63℃に上昇させた。
次いで、メタノールを滴下しながら加熱を継続し、未反応のモノマーを留去した。重合物を含む溶液を、大量の水の中に注入して重合物を沈殿させた。沈殿物を濾過して希釈メタノールおよび水で洗浄し、固形物をメタノールに溶解して、その溶液に1N−KOH溶液を滴下して、十分に攪拌してケン化し、酢酸カリウムとして除去した。ケン化された重合物を含む溶液を、大量の氷水に注入して重合物(固形物)を単離した。
具体例7(ポリエステル系固定化樹脂)
精留塔を備えた500mlの三つ口フラスコに、テレフタル酸75.5g、アセチルエチルエチレングリコール101.6g、チタン酸テトラ−n−ブチルエステル0.075g、ブチルヒドロキシスズオキシド0.03gを仕込んだ。
具体例8(ポリアミド系固定化樹脂−1)
窒素導入管および減圧用コックが装備された試験管中で、4,4′−ジアミノジフェニルメタン9.91gと、セバチン酸10.62gとを仕込み、その混合物を窒素気流下285℃に加熱して溶融させた。次に、反応系を1.33kPa程度に減圧し、1時間反応させた後、再び窒素気流下常圧で室温まで冷却した。その後、試験管を破壊し、得られたポリアミドを粉砕機で粉砕した。粉砕された粉末をN−メチルピロリドンに溶解させ、水で洗浄した。この溶液を、多量のメタノールに投入すると縮合物の粉末が析出した。この縮合物をN−メチルピロリドンに溶解して、縮合物と2倍等量のモル数のホルマリンと塩酸を添加して、5時間攪拌反応した(これにより、4,4′−ジアミノジフェニルメタンに対し2つのクロルメチルが導入された。)この反応物を多量のメタノールに投入して、クロルメチル化された縮合物の粉末を得た。
具体例9(ポリアミド系固定化樹脂−2)
具体例8と同様の操作により、クロルメチル化された縮合物の粉末を得た。その後、この縮合物のクロルメチル基と等モル数の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、2時間攪拌し、メタノールに投入して、ヒドラジノメチル基を有する沈殿物(ポリアミド系固定化樹脂)を得た。この沈殿物を、ヨード滴定法で定量すると、理論計算量の76.8%に相当するヒドラジノ基が確認された。
具体例10(ポリエーテル系固定化樹脂−1)
攪拌機、酸素導入管、温度計を備えた500mlの三つ口フラスコを30℃の水浴中に置き、これに、ニトロベンゼン200ml、ピリジン70ml、塩化第一銅1gを加えた。激しく攪拌しながら酸素を吹き込み、2,6−ジメチルフェノール15gを加えた。温度が33℃に上昇し、反応混合物が粘性を帯びるようになった。さらに、反応を12分間継続した後、クロロホルム100mlで希釈し、濃塩酸3mlを含むメタノール1.1lに投入した。析出した縮合物を濾別し、メタノール250ml、濃塩酸10mlを含むメタノール250ml、メタノール250mlの順で洗浄した。さらに、縮合物をクロロホルム500mlに溶解し、濃塩酸3mlを含むメタノール1.2l中に投入して、再沈殿させた。得られた縮合物をメタノール洗浄後、110℃3時間減圧乾燥した。これにより、ポリフェニレンエーテルを得た。収率は91%であり、平均分子量は28000であった。
この固体を濾別して、メタノールで洗浄した後、減圧下乾燥した。この固形物をクロロホルムに溶解して高分子中の芳香環の4倍モル数のアセトンと苛性ソーダを加えて、2時間攪拌した。反応液に大量のメタノールに投入して、高分子の芳香環にアセチルエチル基が導入された固形物を得た。これを濾別した後、減圧下乾燥した。この固形物に、上記反応の理論量に相当する60%ヒドラジンヒドラートを添加して3時間攪拌し、その後、メタノールで洗浄して濾過し、濾別された固形物を減圧乾燥することにより、ポリエーテル系固定化樹脂を得た。濾液のメタノール中のヒドラジンをヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンは、51.5%であることが確認された。
具体例11(ポリエーテル系固定化樹脂−2)
具体例10と同様の操作により、クロルメチル化された固体(高分子)を得た。その後、この高分子の芳香環の4倍モル等量の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、3時間攪拌し、メタノールに投入して、ヒドラジノメチル基を有する沈殿物(ポリエーテル系固定化樹脂)を得た。この沈殿物を、ヨード滴定法で定量すると、理論計算量の68.6%に相当するヒドラジノ基が確認された。
具体例12(ポリエーテルケトン系固定化樹脂)
攪拌機、窒素導入管および排出管を備えた1lのステンレス製反応管に、4,4′−ジクロロベンゾフェノン125g、微粉末炭酸ナトリウム59.2g、触媒としてシリカ(アエロジル)10g、塩化第二銅0.27gおよび溶媒としてジフェニルスルホン300gを加えた。
具体例13(ポリチオエーテル系固定化樹脂−1)
攪拌機を装備する内容積2Lのオートクレーブに、N−メチルピロリドン480g、硫化ナトリウム2.7gを仕込み、攪拌下加熱して、内温が120℃に到達するまで脱水した。79.3gの主として水からなる留出液が留去した。この際、0.069モルの硫化ナトリウムが硫化水素に分解して、消失した。
具体例14(ポリチオエーテル系固定化樹脂−2)
具体例13と同様の操作により、クロルメチル化された固形物を得た。その後、この固形物を、ジメチルスルホキシドに溶解し、固形物のクロルメチル基と等モル数の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、5時間攪拌し、メタノールに投入して、ヒドラジノメチル基を有する沈殿物(ポリチオエーテル系固定化樹脂)を得た。この沈殿物を、HPLCで定量すると、理論計算量の58.5%に相当するヒドラジノ基が確認された。
具体例15(アクリルアミド系固定化樹脂から脱離されたヒドラジンを燃料とする燃料電池の燃料側電極の活性測定)
1)試験溶液および標準液の調製
具体例5で得られたポリアクリル酸ヒドラジッド2gに1N−KOHを38g添加して、ポリアクリル酸ヒドラジッドの5重量%1N−KOH水溶液を調製し、70℃で30分間加熱溶解した後、室温まで冷却して、試験溶液とした。
2)燃料側電極の活性測定
電気化学アナライザ(BAS株式会社製)を用い、LSV(リニアスイープボルタンメトリー)により、燃料側電極の活性を、以下の測定条件で測定した。結果を図3に示す。
活性測定条件:
試験溶液: 5重量%ポリアクリル酸ヒドラジッド/1N−KOH水溶液
燃料側電極 Co(コバルト)電極(BAS株式会社製)
参照電極 Ag/AgCl(銀−塩化銀)電極(BAS株式会社製)
対極 Pt(白金)電極(BAS株式会社製)
溶液温度 30度
走査範囲 走査速度
前処理 −1.6〜0.6V 前処理 0.1V/s
ブランク測定 −1.6〜0V ブランク測定 0.02V/s
活性測定 −1.6〜0V 活性測定 0.02V/s
なお、各測定前にAr(アルゴン)ガスによるバブリングを行なった。
2 固定化部
3 ヒドラジン供給部
6 還流部
7 ケーシング
8 固定化部材
12 ヒドラジン貯留槽
13 原料供給ライン
20 還流ライン
21 供給側センサ
22 還流側センサ
23 還流口
26 検出部
25 固定化部材
30 制御部
35 車両
36 供給口
Claims (3)
- ヒドラジンを固定化または脱離する固定化部と、
前記固定化部において脱離されたヒドラジンが、燃料として供給される燃料電池と、
ヒドラジン供給源からのヒドラジン水溶液を、前記固定化部へ供給するための供給ラインと、
前記固定化部からの排水を排出するための排出ラインと、
前記供給ラインを流れるヒドラジン水溶液に含まれるヒドラジン濃度を検知するための第1検知部と、
前記排出ラインを流れる排水に含まれるヒドラジン濃度を検知するための第2検知部と、
前記第1検知部および前記第2検知部で検知された濃度値に基づいて、前記固定化部に固定化されているヒドラジンの量を検出する検出部と、を備えていることを特徴とする、燃料電池システム。 - 前記検出部は、前記第1検知部で検知された濃度値と、前記第2検知部で検知された濃度値とが、同じであるときに、前記固定化部に固定化されているヒドラジンが満杯であると判断することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記排出ラインが、前記固定化部からの排水を、前記ヒドラジン供給源へ還流するための還流ラインであることを特徴とする、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
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