JP2007302717A - スルホン化芳香族ポリイミド、電解質膜及び燃料電池用固体電解質、並びに燃料電池 - Google Patents
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Abstract
Description
このような触媒電極を用いて前記MEAを形成する場合、触媒電極と電解質膜との接合性の観点から、芳香族炭化水素系高分子で形成された電解質膜に、前記触媒電極の触媒層との親和性を付与することが好ましい。
本発明は、前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、プロトン伝導性及び疎水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高い電解質膜を提供することを目的とする。
本発明は、前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制し、高性能かつ信頼性の高い燃料電池用固体電解質及びこれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
また、前記シロキサン結合を有する構造単位は、燃料電池の膜電極接合体における、触媒電極に用いられるイオノマーに対して親和性の高い構造を有し、前記スルホン化芳香族ポリイミドを用いて形成した電解質膜は、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質及びその他の疎水性−親水性ブロックを有する高分子電解質を前記イオノマーとして用いた、従来の触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有することを特徴とする。
該電解質膜においては、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含むので、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、例えば、陽イオン交換膜に好適であり、燃料電池用固体電解質に特に好適である。
該燃料電池用固体電解質は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むので、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質及びその他の疎水性−親水性ブロックを有する高分子電解質をイオノマーとして用いた、従来の触媒電極との接合性も良好である。また、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制可能であるため、燃料電池の利用効率の向上及びセル電圧の低下抑制を実現することができ、高性能かつ信頼性が高い。このため、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に好適に使用可能である。
本発明の燃料電池は、本発明の前記固体電解質を有することを特徴とする。このため、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーが抑制され、利用効率が高く、高性能かつ信頼性が高く、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に特に好適である。
本発明によると、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高い電解質膜を提供することができる。
本発明によると、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制し、高性能かつ信頼性の高い燃料電池用固体電解質及びこれを用いた燃料電池を提供することができる。
本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを少なくとも有し、好ましくは下記一般式(3)で表される構造単位を更に有してなる。
前記一般式(1)で表される構造単位(以下、「スルホン化芳香族ユニット」と称することがある。)は、下記構造式(10)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物と、スルホン酸基を有する芳香族ジアミンとを反応させて得られ、ポリイミド骨格を有する。
また、高温耐水性に優れたスルホン化芳香族ポリイミドが得られる点で、前記スルホン酸基は、側鎖の芳香族核に結合しているのが好ましい。
前記一般式(2)で表される構造単位(以下、「シロキサンユニット」と称することがある。)は、前記構造式(10)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物と、下記構造式(19)で表され、主鎖にシロキサン結合を有する芳香族ジアミンとを反応させて得られ、シロキサン結合及びポリイミド骨格を有する。
前記一般式(3)で表される構造単位(以下、「非スルホン化芳香族ユニット」と称することがある。)は、前記構造式(10)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物と、スルホン酸基を有しない芳香族ジアミンとを反応させて得られ、イミド基を有する。
前記スルホン酸基を有しない芳香族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(20)から(23)で表される化合物が好適に挙げられる。
前記スルホン酸基を有しない3価の芳香族基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(24)で表されるトリアミンから形成される基が好適に挙げられる。
前記モル比率が、30モル%を超えると、スルホン化芳香族ポリイミドの合成時に、ポリマー溶液がゲル化してしまうことがある。
ただし、前記スルホン化芳香族ポリイミドにおける、前記一般式(2)で表されるシロキサンユニットの割合が高い場合、例えば、15質量%以上の場合には、前記一般式(1)で表されるスルホン化芳香族ユニットは、シークエンスブロックとして共重合するのが好ましく、前記一般式(3)で表される非スルホン化芳香族ユニットを用いる場合には、前記スルホン化芳香族ユニットは、ランダムあるいはシークエンスに共重合するのが好ましい。
なお、前記スルホン化芳香族ユニットのブロック鎖が長い場合、例えば、8以上である場合には、前記一般式(1)で表される構造単位におけるR1の一部に、トリアミン、テトラミン等による分岐構造を形成してもよい。
本発明の電解質膜は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、溶媒等のその他の成分を含んでなる。
前記電解質膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを前記溶媒に溶解させた後、キャスト等の製膜方法を用いて、容易に形成することができる。
前記厚みが、20μm未満であると、電解質膜の強度が弱く、燃料のクロスオーバーの影響が出易いことがあり、200μmを超えると、燃料電池に用いた場合、該燃料電池運転時における膜抵抗が大きくなり過ぎることがある。
本発明の燃料電池用固体電解質は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、溶媒等のその他の成分を含んでなる。
本発明の前記燃料電池用固体電解質は、燃料電池に用いられる電解質膜であって、負極において生成したプロトンを正極に輸送するための機能を有する。
前記電解質膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを前記溶媒に溶解させた後、キャスト等の製膜方法を用いて、容易に形成することができる。
前記厚みが、20μm未満であると、固体電解質の膜強度が弱く、燃料のクロスオーバーの影響が出易いことがあり、200μmを超えると、燃料電池運転時における膜抵抗が大きくなりすぎることがある。
本発明の燃料電池は、本発明の前記燃料電池用固体電解質を有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有してなる。
本発明の燃料電池は、上述した本発明のスルホン化芳香族ポリイミドを含む燃料電池用固体電解質を有しているので、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーが抑制され、利用効率が高く、高性能かつ信頼性が高く、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に特に好適である。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−s)の合成−
酸二無水物として、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)(信越化学工業(株)製、「KF−8010」;分子量900、m=9.8)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素気流下で、BAPBDS1.056g(2.0ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)0.78mlを、m−クレゾール13mlに添加して溶解させた。次いで、NTDA0.671g(2.5ミリモル)、及び安息香酸0.43gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間、更に180℃で10時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却し、APPDMS1を0.450g(0.5ミリモル)加え、80℃で4時間攪拌した後、イソキノリン0.23gを添加し、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を80℃まで冷却し、m−クレゾールを10ml加えて希釈した後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体を、アセトンで洗浄後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA‐BAPBDS/APPDMS1(4/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.5dl/gであった。
得られた生成物を、m−クレゾールに溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで、1M硫酸溶液に3日間浸漬してプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPPSDS/BAPPS/APPDMS1(6/1/1)−s)の合成−
酸二無水物として、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸(BAPPSDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)を、非スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン(BAPPS)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素気流下で、BAPPSDS2.370g(4.0ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)1.56mlを、m−クレゾール20mlに添加して溶解させた。次いで、NTDA1.430g(5.34ミリモル)、及び安息香酸0.91gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間、更に180℃で10時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却し、BAPPSを0.288g(0.68ミリモル)と、APPDMS1を0.594g(0.66ミリモル)加え、80℃で4時間攪拌した後、イソキノリン0.50g、及びm−クレゾール6mLを添加し、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を80℃まで冷却し、m−クレゾール20mlを加え希釈した後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体をアセトンで洗浄した後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPPSDS/BAPPS/APPDMS1(6/1/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.0dl/gであった。
得られた生成物を、m−クレゾールに溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで1M硫酸溶液に3日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPPSDS/BAPPS/APPDMS1(6/1/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−r)の合成−
まず、下記合成工程に基づいて、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を合成した。
触媒として、塩化アルミニウムを、溶媒として、1,1,2,2−テトラクロルエタンを、それぞれ用い、アセナフテンを塩化アセチルと反応させて、4−アセチルナフテン(AAN)を合成した。これを、苛性ソーダ水と臭素とを反応させて合成したNaBrOを用いて酸化し、4−アセナフテンカルボン酸(ANCA)を生成した。更に、塩化チオニルを用いてカルボン酸クロリド(ANCC)を生成した。次いで、AANとANCCとをフリーデルクラフト反応させて、4,4‘−ジアセナフチルケトン(DANK)を合成した。これを、酢酸溶液中にて、重クロム酸カリにより酸化し、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸(KDNTA)を生成し、次いで、無水酢酸で脱水してテトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を得た。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素ガス気流下で、BAPBDS1.901g(3.6ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)1.2mlを、m−クレゾール26mlに添加して溶解させた。次いで、APPDMS1を0.810g(0.90ミリモル)添加して溶解させた後、KDNTDA1.899g(4.5ミリモル)、及び安息香酸0.77gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間攪拌した後、m−クレゾール16mLと、イソキノリン0.40gとを添加し、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を室温まで冷却した後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体をアセトンで洗浄した後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.5dl/gであった。
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで、1M硫酸溶液に3日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−r膜(前記電解質膜)を作製した。
図1より、実施例3で得られたスルホン化芳香族ポリイミドのスペクトルと、APPDMS1のスペクトルとを比較すると、スルホン化芳香族ポリイミドのピークに加えて、スルホン化芳香族ポリイミド中に、ジメチルシロキサン部のメチルプロトンと、プロピレン部のメチレンプロトンとが更に組み込まれていることが判った。また、ナフタレン環プロトン(1,2,5)と、スルホン酸ジアミン残基のプロトン(6,7,8,9)との強度比から求めたイオン交換容量IECは、1.65meq/gであり、仕込みモノマー比から計算したIEC値と略一致した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA‐BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s)の合成−
酸二無水物として、実施例3で合成した、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)1.823g(4.32ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.901g(3.6ミリモル)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)0.648g(0.72ミリモル)を、それぞれ用い、実施例1と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のスルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−sを合成した。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.8dl/gであった。
得られたスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで、1M硫酸溶液に3日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BSPOB/APPDMS1(5/1)−s)の合成−
まず、「ポリマープレプリント、ジャパン」,第54巻,p.1751−1752(2005)に記載の方法により、2,2‘−ビス(4−スルホフェノキシ)ベンジジン(BSPOB)を合成した。
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BSPOB/APPDMS1(5/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APPDMS2(8/0.28/1)−s)の合成−
酸二無水物として、実施例3で合成した、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS2)(信越化学工業(株)製、「X−22−161A」;分子量1600、m=19.3)を、3官能の非スルホン化ジアミンとして、1,3,5-トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPB)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素気流下で、BAPBDS2.114g(4.0ミリモル)、TAPB0.071g(0.14ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)1.56mlを、m−クレゾール20mlに添加して溶解させた。次いで、KDNTDA1.988g(4.71ミリモル)、及び安息香酸0.81gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間攪拌した後、更に180℃で10時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、APPDMS2を0.800g(0.50ミリモル)加え、80℃で4時間攪拌し、イソキノリン0.43g、及びm−クレゾール7.5mLを加え、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を80℃まで冷却した後、m−クレゾール20mlを加えて希釈し、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体をアセトンで洗浄した後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APPDMS2(8/0.28/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.2dl/gであった。
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APPDMS2(8/0.28/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APOPPDMS(8/0.28/1)−s)の合成−
まず、α,ω−ヒドロキシプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(信越化学工業(株)製、「X−22−160AS」;分子量933、m=11.4)を、p−フルオロアニリン及び炭酸カリウムの存在下、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で反応させて、α,ω−(4−アミノフェノキシ)プロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APOPPDMS)を合成した。
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APOPPDMS(8/0.28/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s)の合成−
まず、上記非特許文献2(「アクタ ポリメリカ」,第39巻,p.460−464(1988))に記載の方法と同様にして、アセナフテンとイソフタロイルクロリドとのフリーデルークラフトアシル化反応を行い、得られた4,4‘−イソフタロイルジアセナフテンのテトラカルボン酸への酸化、更に、その酸二無水物への脱水の三段階プロセスにより、4,4‘−イソフタロイルジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(IPDNTDA)を合成した。
得られたスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/BAPB(2/1)−r)の合成−
酸二無水物として、1,4,5,8、‐ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)1.609g(6.0ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’‐ジスルホン酸(BAPBDS)2.114g(4.0ミリモル)を、非スルホン酸ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.737g(2.0ミリモル)を、それぞれ用い、実施例3と同様にして、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/BAPB(2/1)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.8dl/gであった。
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、m−クレゾールに溶解させ、ガラス板状にキャスト製膜し、実施例3と同様にして、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/BAPB(2/1)−r膜(電解質膜)を作製した。
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BSPB/BAPB(2/1)−r)の合成−
酸無水物としての1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)1.609g(6.0ミリモル)、2,2’−ビス(3−スルホプロポキシ)ベンジジン(BSPB)1.842g(4.0ミリモル)、及び非スルホン酸ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.736g(2.0ミリモル)を用い、比較例1と同様にして、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BSPB/BAPB(2/1)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、4.0dl/gであった。
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、m−クレゾールに溶解させ、比較例1と同様にして製膜し、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BSPB/BAPB(2/1)−r膜(電解質膜)を作製した。
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BDSA/mBAPPS(3/2)−r)の合成−
酸二無水物としての1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)1.341g(5.0ミリモル)、2,2‘−ベンジジンジスルホン酸(BDSA)1.032g(3.0ミリモル)、及び3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン(mBAPPS)0.847g(2.0ミリモル)を用い、比較例1と同様にして、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BDSA/mBAPPS(3/2)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.0dl/gであった。
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、m−クレゾールに溶解させ、比較例1と同様にして製膜し、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BDSA/mBAPPS(3/2)−r膜(電解質膜)を作製した。
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−s)の合成−
酸二無水物としての4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)1.688g(4.0ミリモル)、スルホン化ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.586g(3.0ミリモル)、及び非スルホン酸ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.369g(1.0ミリモル)を用い、実施例1と同様にして、TEA塩型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.0dl/gであった。
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、ガラス板上に流延し、実施例1と同様にして、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA‐BAPBDS/BAPB(3/1)−s膜(電解質膜)を得た。
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−s)の合成−
酸二無水物としての4,4‘−イソフタロイルジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(IPDNTDA)2.106g(4.0ミリモル)、スルホン化ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.586g(3.0ミリモル)、及び非スルホン酸ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.369g(1.0ミリモル)を用い、実施例1と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のスルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.7dl/gであった。
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、ガラス板上に流延し、実施例1と同様にして、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−s膜(電解質膜)を得た。なお、イオン交換容量は、1.53meq/gであった。
比較例6の電解質膜として、従来より、一般的に使用されている燃料電池用固体電解質として、市販のナフィオン(登録商標)112膜(デュポン社製、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体、プロトン型)を用いた。
前記プロトン伝導度は、プロトン伝導度測定セルに、膜シート(電解質膜サンプル)(1.0cm×0.5cm)と、4枚の白金黒電極板とを取り付け、60℃に温度制御した水中と、温度を60℃に、湿度を70%RHに、それぞれ制御したチャンバー内とにセットし、LCRメーター(日置電気(株)製、「HIOKI3552‐80」)を用いて、100Hzから100kHzの周波数範囲で複素インピーダンス法により電気抵抗Rを測定した。そして、プロトン伝導度σを、下記式1により算出した。
σ=d/(ts×ws×R)・・・式1
前記式1中、dは、2電極間距離(0.5cm)を表し、ts及びwsは、室温で70%RHにおける膜シートの厚さと幅とをそれぞれ表す。なお、水中でのプロトン伝導度の計算には、水中でのts値、及びws値を用いた。
図2より、実施例4の電解質膜は、高温になるほどプロトン伝導度が高いことが判った。また、実施例4の電解質膜のプロトン伝導度は、水中及び湿度70%の雰囲気中で比較例4の電解質膜のプロトン伝導度よりも高いことが判った。
前記収着量は、室温での吸水率(Water uptake)とメタノール収着量とを測定した。
各電解質膜サンプル約80mgを乾燥して、乾燥質量Wdを測定した。次いで、各サンプルを、30℃で2〜4時間水に浸漬した後、水から取り出し、手早く表面に付着した水をティシュペーパーで拭き取り、膨潤時の膜質量Wsを測定した。そして、吸水率(Water uptake; WU)を下記式2により算出した。
WU={(Ws‐Wd)/Wd}×100(%)・・・式2
前記耐久性は、膜厚30〜40μmの各電解質膜サンプルを、加圧下にて130℃の熱水に192時間浸漬した後、得られた膜サンプル(フイルム片)の膜形状及び強度を、下記基準に基づいて評価した。なお、下記評価基準におけるフイルム片は、各電解質膜サンプルの浸漬処理後、風乾し、幅5mm、長さ20mmの形状に切断した。
〔評価基準〕
A:折り目を付けて曲げても、さらに曲げ戻しても破断しなかった。
B:折り目を付けて曲げても破断しないが、元に曲げ戻すと破断した。
C:折り目の角度が0°となるようにフイルム片を折り目をつけて曲げると破断した。
D:フイルム片の両端を、掴み代5mmとなるように掴んで折り曲げるとフイルム片が破断した。
E:膜形状を保持しておらず、膜(フイルム片)が多くの小片に破れていた。
〔評価基準〕
A:加圧水浸漬処理を行っても、実験誤差(±5%)範囲内で変化しなかった。
B:加圧水浸漬処理により、プロトン伝導度が5〜20%低下した。
C:加圧水浸漬処理により、プロトン伝導度が20%以上低下した。
前記メタノール透過係数は、各50℃にてイオン交換水と30質量%メタノール水溶液とを直径50mmのフィルムサンプルを介して接触させ、イオン交換水側のメタノール濃度の時間変化を、1時間かけてガスクロマトグラフにより測定した。得られたメタノール濃度の傾きよりメタノール透過係数を計算した。
前記溶解性は、膜を溶剤に添加し、50℃で加熱攪拌したときの溶解性として、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)に対する溶解性(TEA(トリエチルアミン)塩型)と、ジメチルスルホキシド(DMSO)に対する溶解性(H+型)とを、それぞれ下記基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
A:易溶
B:可溶
C:部分的に可溶
D:不溶
一方、比較例6の従来のナフィオン膜は、プロトン伝導性に優れるものの、メタノールの透過性が高く、燃料としてメタノールを使用する燃料電池においては、メタノールのクロスオーバーが生じ、利用効率が低下することが推認される。
(付記1) 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有することを特徴とするスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記3) 下記一般式(3)で表される構造単位を更に有する付記1から2のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記5) スルホン酸基を有しない3価の芳香族基が、一般式(3)で表される構造単位に対して30モル%以下である付記4に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記6) ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれかである付記1から5のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記7) 付記1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする電解質膜。
(付記8) 付記1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする燃料電池用固体電解質。
(付記9) 付記8に記載の燃料電池用固体電解質を有することを特徴とする燃料電池。
本発明の電解質膜は、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、陽イオン交換膜に好適である。
本発明の燃料電池用固体電解質は、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制し、高性能かつ信頼性が高い。
本発明の燃料電池は、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に好適である。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有することを特徴とするスルホン化芳香族ポリイミド。
- 一般式(1)で表される構造単位に対する一般式(2)で表される構造単位のモル比(一般式(1)/(一般式(2))が、99/1〜10/90である請求項1に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
- 一般式(3)で表される構造単位におけるR3が、スルホン酸基を有しない3価の芳香族基で置換された請求項3に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
- スルホン酸基を有しない3価の芳香族基が、一般式(3)で表される構造単位に対して30モル%以下である請求項4に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
- ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
- 請求項1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする電解質膜。
- 請求項1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする燃料電池用固体電解質。
- 請求項8に記載の燃料電池用固体電解質を有することを特徴とする燃料電池。
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