JP2007302717A - スルホン化芳香族ポリイミド、電解質膜及び燃料電池用固体電解質、並びに燃料電池 - Google Patents

スルホン化芳香族ポリイミド、電解質膜及び燃料電池用固体電解質、並びに燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高いスルホン化芳香族ポリイミド、これを含む電解質膜及び燃料電池用固体電解質、並びに燃料電池の提供。
【解決手段】本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有する。
Figure 2007302717

【選択図】なし

Description

本発明は、シロキサン結合を有する、新規なスルホン化芳香族ポリイミド、該スルホン化芳香族ポリイミドを含む、電解質膜及び燃料電池用固体電解質、並びに該燃料電池用固体電解質を用いた燃料電池に関する。
従来より、固体高分子型燃料電池においては、プロトンを伝導し、かつ燃料及び酸化剤の透過を阻止する機能を有する電解質膜や、触媒層で3相界面を形成しプロトンを輸送する機能を有する触媒層イオノマーの材料として、高分子電解質が使用されており、該高分子電解質は、これらの機能を発現するための重要な要素である。また、該高分子電解質としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質のほか、多くの芳香族炭化水素系高分子電解質が開発されており、これらの高分子電解質を用いて、電解質膜、触媒電極、電解質膜と触媒電極との接合体(膜電極接合体)(以下、「MEA(Membrane Electrode Assembly)」と称することがある。)などを作製する場合、前記高分子電解質は、燃料電池の発電性能、耐久性などに大きな影響を及ぼしていた。
前記電解質膜としては、一般的に、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質で形成されたものが知られている。このような電解質膜は、プロトン伝導性が良好であり、燃料として水素を用いた燃料電池用の固体電解質としては良好に機能する。しかし、燃料としてメタノールを用いた直接メタノール型燃料電池では、水との親和性が高いメタノールが、アノード側からカソード側へ透過(クロスオーバー)する傾向が高い。供給された燃料(メタノール)のクロスオーバーが生じると、酸化剤(カソード酸素)と直接反応し、利用効率及びセル電圧が低下するという問題がある。
前記触媒電極としては、触媒層イオノマーに、パーフルオロスルホン酸系高分子を用いたものが主に知られている。しかし、この種の高分子電解質で形成された触媒電極と、芳香族炭化水素系高分子で形成された電解質膜とを用いて、前記MEAを作製する場合、その接合不良が問題となることが多かった。前記触媒層イオノマーには、高温耐水性及びプロトン伝導性に優れるだけでなく、Pt等の触媒ナノ粒子を担持したカーボン層との親和性、触媒層2次細孔の水による閉塞回避などが必要とされ、親水性及び疎水性のコントラストと適度なバランスとが求められる。
このような触媒電極を用いて前記MEAを形成する場合、触媒電極と電解質膜との接合性の観点から、芳香族炭化水素系高分子で形成された電解質膜に、前記触媒電極の触媒層との親和性を付与することが好ましい。
前記芳香族炭化水素系高分子電解質の中でも、薄膜形成能、機械的強度、耐熱性、耐溶剤性及び化学的安定性に優れる材料として、スルホン化ポリイミドが知られており、その代表例としては、下記一般式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2007302717
ただし、前記一般式(I)中、Ar、X、及びArは、それぞれ下記構造式で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Arは、スルホン酸基を有しない芳香族又は脂肪族ジアミンを表す。k及びlは、整数を表す。
Figure 2007302717
イミド環の加水分解性を改良するため、ナフタレン系テトラカルボン酸二無水物を用い、上記に例示したようなスルホン酸ジアミンを用いて、高温耐水性に優れるスルホン化ポリイミド系電解質が開発されている(特許文献1〜4参照)。該テトラカルボン酸二無水物としては、ナフタレン骨格を有するナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を始め、多くのものが知られており、該NTDAと、芳香族ジアミン、芳香族テトラミン等とから合成されたポリイミド、ポリピロロン等のポリマーが知られている(特許文献5及び非特許文献1〜4参照)。しかし、これらのポリマーはいずれも、スルホン酸基を有しておらず、また、これらは、耐熱性高強度高分子として開発されたものであり、前記電解質膜としての用途については、何ら開示されていない。
したがって、プロトン伝導性及び耐水性に優れた材料及びこれを用いた電解質膜、並びに、燃料電池における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノール)のクロスオーバーを抑制可能な燃料電池用固体電解質は、未だ提供されていないのが現状である。
特開平2004−83864号公報 特開2002−201269号公報 特開2003−64181号公報 特開2003−234014号公報 欧州特許出願公開第0047069号明細書 「マクロモレキュールズ」,第16巻,p.522−526(1983) 「アクタ ポリメリカ」,第39巻,p.460−464(1988) 「ジャーナル ポリマー サイエンス ポリマー ケミストリ」,第35巻,p.539−545(1997) 「ポリマー」,第33巻,p.190−193(1992)
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高いスルホン化芳香族ポリイミドを提供することを目的とする。
本発明は、前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、プロトン伝導性及び疎水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高い電解質膜を提供することを目的とする。
本発明は、前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制し、高性能かつ信頼性の高い燃料電池用固体電解質及びこれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、スルホン化ポリイミドにおけるポリマー鎖中に、シロキサン結合を有する構造単位を導入することにより、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高い、新規なスルホン化芳香族ポリイミドが得られることを知見した。
また、前記シロキサン結合を有する構造単位は、燃料電池の膜電極接合体における、触媒電極に用いられるイオノマーに対して親和性の高い構造を有し、前記スルホン化芳香族ポリイミドを用いて形成した電解質膜は、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質及びその他の疎水性−親水性ブロックを有する高分子電解質を前記イオノマーとして用いた、従来の触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段は、後述の付記に記載の通りである。即ち、
本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有することを特徴とする。
Figure 2007302717
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有する2価の芳香族基を表す。Rは、下記構造式(6)で表される基を表す。
Figure 2007302717
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(6)中、X及びXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基及びフェニル基のいずれかを表す。Aは、下記構造式(7)から(9)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。mは、1〜130の整数を表し、nは、1〜4の整数を表す。
Figure 2007302717
該スルホン化芳香族ポリイミドにおいては、前記一般式(1)で表される構造単位(以下、「スルホン化芳香族ユニット」と称することがある。)が親水性を示すのに対し、前記一般式(2)で表される構造単位(以下、「シロキサンユニット」と称することがある。)が、フレキシブルで疎水性の高いシロキサン鎖を有するので、ミクロ相分離した構造を採り易い。このため、親水性と疎水性とのバランスが良好で、プロトン伝導性に優れ、比較的低イオン交換容量においても高いプロトン伝導性が得られる。また、前記スルホン化芳香族ポリイミドにおける各構造単位を構成するモノマーは、いずれも高い反応性を有するので、前記スルホン化芳香族ポリイミドは、分子量が大きく、耐水性及び耐久性に優れる。
本発明の電解質膜は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする。
該電解質膜においては、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含むので、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、例えば、陽イオン交換膜に好適であり、燃料電池用固体電解質に特に好適である。
本発明の燃料電池用固体電解質は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする。
該燃料電池用固体電解質は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むので、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質及びその他の疎水性−親水性ブロックを有する高分子電解質をイオノマーとして用いた、従来の触媒電極との接合性も良好である。また、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制可能であるため、燃料電池の利用効率の向上及びセル電圧の低下抑制を実現することができ、高性能かつ信頼性が高い。このため、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に好適に使用可能である。
本発明の燃料電池は、本発明の前記固体電解質を有することを特徴とする。このため、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーが抑制され、利用効率が高く、高性能かつ信頼性が高く、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に特に好適である。
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高いスルホン化芳香族ポリイミドを提供することができる。
本発明によると、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高い電解質膜を提供することができる。
本発明によると、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含み、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制し、高性能かつ信頼性の高い燃料電池用固体電解質及びこれを用いた燃料電池を提供することができる。
(スルホン化芳香族ポリイミド)
本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、下記一般式(1)で表される構造単位と、下記一般式(2)で表される構造単位とを少なくとも有し、好ましくは下記一般式(3)で表される構造単位を更に有してなる。
Figure 2007302717
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有する2価の芳香族基を表す。Rは、下記構造式(6)で表される基を表す。
Figure 2007302717
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(6)中、X及びXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基及びフェニル基のいずれかを表す。Aは、下記構造式(7)から(9)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。mは、1〜130の整数を表し、nは、1〜4の整数を表す。
Figure 2007302717
Figure 2007302717
ただし、前記一般式(3)中、Arは、前記一般式(1)及び一般式(2)におけるArと同様であり、前記構造式(1)〜(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有しない2価の芳香族基を表す。
−一般式(1)で表される構造単位−
前記一般式(1)で表される構造単位(以下、「スルホン化芳香族ユニット」と称することがある。)は、下記構造式(10)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物と、スルホン酸基を有する芳香族ジアミンとを反応させて得られ、ポリイミド骨格を有する。
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(10)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種である。
Figure 2007302717
前記構造式(1)から(5)で表される置換基においては、ナフタレン環が含まれているので、ポリイミドの耐水性を向上させることができる。前記構造式(1)から(5)で表される置換基の中でも、溶媒に対する溶解性に優れる点で、構造式(3)から(5)で表される置換基が好ましく、構造式(4)から(5)で表される置換基がより好ましい。カルボニル基、フタロイル基等の電子吸引性基が存在すると、前記スルホン酸基を有する芳香族ジアミンとの反応性が高く、より高分子量のポリイミドが形成され易く、高温耐水性に優れたスルホン化芳香族ポリイミドが得られる。
前記スルホン酸基を有する芳香族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式(11)から(14)で表されるものが挙げられる。
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(11)から(14)中、Yは、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、メチレン基(−CH−)、イソプロピリデン基(−C(CH))−)、及びジ(トリフルオロメチル)メチレン基(−C(CF−)から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。
前記Rで表されるスルホン酸基を有する2価の芳香族基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(15)から(18)で表されるものが挙げられる。
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(15)から(18)中、Yは、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、メチレン基(−CH−)、イソプロピリデン基(−C(CH))−)、及びジ(トリフルオロメチル)メチレン基(−C(CF−)から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。この場合、より柔軟性が高く、かつ高分子量のスルホン化芳香族ポリイミドが得られる。
また、高温耐水性に優れたスルホン化芳香族ポリイミドが得られる点で、前記スルホン酸基は、側鎖の芳香族核に結合しているのが好ましい。
−一般式(2)で表される構造単位−
前記一般式(2)で表される構造単位(以下、「シロキサンユニット」と称することがある。)は、前記構造式(10)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物と、下記構造式(19)で表され、主鎖にシロキサン結合を有する芳香族ジアミンとを反応させて得られ、シロキサン結合及びポリイミド骨格を有する。
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(19)中、X及びXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基及びフェニル基のいずれかを表し、一般的には、メチル基、フェニル基の順に好ましい。Aは、下記構造式(7)から(9)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。mは、1〜130の整数を表し、5〜30が好ましく、nは、1〜4の整数を表し、2〜4が好ましい。この場合、高分子骨格がフレキシブルで、重合度の高いポリイミドを合成することができる。
Figure 2007302717
ただし、構造式(7)から(9)において、−(CH−側が、前記シロキサン鎖と結合する。
−一般式(3)で表される構造単位−
前記一般式(3)で表される構造単位(以下、「非スルホン化芳香族ユニット」と称することがある。)は、前記構造式(10)で表される芳香族テトラカルボン酸無水物と、スルホン酸基を有しない芳香族ジアミンとを反応させて得られ、イミド基を有する。
前記スルホン酸基を有しない芳香族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(20)から(23)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(23)中、nは、1〜20の整数を表し、高分子骨格がフレキシブルで、分子量の高いポリイミドを合成することができる点で、6〜12が好ましい。
また、前記一般式(3)で表される構造単位においては、前記Rで表されるスルホン酸基を有しない2価の芳香族基が、スルホン酸基を有しない3価の芳香族基で置換されているのが好ましい。この場合、前記スルホン化芳香族ポリイミド中に、分岐構造が形成されることにより、耐久性が向上する。
前記スルホン酸基を有しない3価の芳香族基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(24)で表されるトリアミンから形成される基が好適に挙げられる。
Figure 2007302717
前記スルホン酸基を有しない3価の芳香族基による置換のモル比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(3)で表される構造単位に対して30モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましい。
前記モル比率が、30モル%を超えると、スルホン化芳香族ポリイミドの合成時に、ポリマー溶液がゲル化してしまうことがある。
本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドにおける、前記一般式(1)で表される構造単位(xモル)に対する前記一般式(2)で表される構造単位(zモル)のモル比(x/z)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、99/1〜10/90であるのが好ましい。該モル比が、前記数値範囲内であると、所望のプロトン伝導度を得ることができる。
また、前記一般式(2)で表される構造単位の一部を、前記一般式(3)で表される構造単位に置換することにより、前記一般式(3)で表される構造単位を更に有するスルホン化芳香族ポリイミドが得られる。この場合、得られるスルホン化芳香族ポリイミドを用いた電解質膜の膜強度(耐久性)を増大させることができるほか、イオン交換基濃度を調整することができる。
前記スルホン化芳香族ポリイミドは、前記一般式(1)から(3)で表される各構造単位がランダムに共重合したランダム共重合体であってもよいし、各構造単位が複数個ずつ連結してブロック(以下、「シークエンスブロック」と称することがある。)として共重合したブロック共重合体(以下、「シークエンス共重合体」と称することがある。)であってもよい。
ただし、前記スルホン化芳香族ポリイミドにおける、前記一般式(2)で表されるシロキサンユニットの割合が高い場合、例えば、15質量%以上の場合には、前記一般式(1)で表されるスルホン化芳香族ユニットは、シークエンスブロックとして共重合するのが好ましく、前記一般式(3)で表される非スルホン化芳香族ユニットを用いる場合には、前記スルホン化芳香族ユニットは、ランダムあるいはシークエンスに共重合するのが好ましい。
なお、前記スルホン化芳香族ユニットのブロック鎖が長い場合、例えば、8以上である場合には、前記一般式(1)で表される構造単位におけるRの一部に、トリアミン、テトラミン等による分岐構造を形成してもよい。
前記スルホン化芳香族ポリイミドの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般的なポリイミドの合成方法を、そのまま使用することができる。
前記スルホン化芳香族ポリイミドにおける、ポリイミド骨格、スルホン酸基及びシロキサン鎖の存在を確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、核磁気共鳴分析装置(NMR)を用いて吸収ピークを測定することにより、これらの構造を分析する方法が挙げられる。
本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、フレキシブルで疎水性の高いシロキサン鎖を有するので、ミクロ相分離した構造を採り易く、疎水性と親水性とのバランスが良好であるため、プロトン伝導性及び耐水性に優れる。また、前記スルホン化芳香族ポリイミドは、分子量が大きく、耐熱性及び耐久性が高い。更に、前記スルホン化芳香族ポリイミドは、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)等の溶媒に可溶であり、成膜性が良好であり、しかも前記フレキシブルな主鎖構造であり、薄膜形成が可能である。このため、電解質膜の材料として好適であり、以下の本発明の電解質膜及び燃料電池用固体電解質に好適に使用することができる。
(電解質膜)
本発明の電解質膜は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、溶媒等のその他の成分を含んでなる。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)などが挙げられる。
前記電解質膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを前記溶媒に溶解させた後、キャスト等の製膜方法を用いて、容易に形成することができる。
前記電解質膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
前記厚みが、20μm未満であると、電解質膜の強度が弱く、燃料のクロスオーバーの影響が出易いことがあり、200μmを超えると、燃料電池に用いた場合、該燃料電池運転時における膜抵抗が大きくなり過ぎることがある。
本発明の前記電解質膜は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含んでいるので、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高い。このため、例えば、陽イオン交換膜に好適であり、燃料電池用固体電解質に特に好適である。
(燃料電池用固体電解質)
本発明の燃料電池用固体電解質は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択した、溶媒等のその他の成分を含んでなる。
本発明の前記燃料電池用固体電解質は、燃料電池に用いられる電解質膜であって、負極において生成したプロトンを正極に輸送するための機能を有する。
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMAc(ジメチルアセトアミド)などが挙げられる。
前記電解質膜の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを前記溶媒に溶解させた後、キャスト等の製膜方法を用いて、容易に形成することができる。
前記燃料電池用固体電解質の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20〜200μmが好ましく、30〜150μmがより好ましい。
前記厚みが、20μm未満であると、固体電解質の膜強度が弱く、燃料のクロスオーバーの影響が出易いことがあり、200μmを超えると、燃料電池運転時における膜抵抗が大きくなりすぎることがある。
本発明の燃料電池用固体電解質は、本発明の前記スルホン化芳香族ポリイミドを含んでいるので、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好である。また、パーフルオロスルホン酸系高分子電解質及びその他の疎水性−親水性ブロックを有する高分子電解質をイオノマーとして用いた、従来の触媒電極との接合性が良好である。また、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制可能であるため、燃料電池の利用効率の向上及びセル電圧の低下抑制を実現することができ、高性能かつ信頼性が高い。このため、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池の固体電解質に特に好適である。
(燃料電池)
本発明の燃料電池は、本発明の前記燃料電池用固体電解質を有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、その他の部材を有してなる。
本発明の燃料電池は、上述した本発明のスルホン化芳香族ポリイミドを含む燃料電池用固体電解質を有しているので、燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーが抑制され、利用効率が高く、高性能かつ信頼性が高く、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に特に好適である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−s)の合成−
酸二無水物として、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)(信越化学工業(株)製、「KF−8010」;分子量900、m=9.8)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素気流下で、BAPBDS1.056g(2.0ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)0.78mlを、m−クレゾール13mlに添加して溶解させた。次いで、NTDA0.671g(2.5ミリモル)、及び安息香酸0.43gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間、更に180℃で10時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却し、APPDMS1を0.450g(0.5ミリモル)加え、80℃で4時間攪拌した後、イソキノリン0.23gを添加し、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を80℃まで冷却し、m−クレゾールを10ml加えて希釈した後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体を、アセトンで洗浄後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA‐BAPBDS/APPDMS1(4/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.5dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/z=4/1、m=9.8であり、シロキサンの含有量は、18.8質量%である。
−電解質膜の作製−
得られた生成物を、m−クレゾールに溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで、1M硫酸溶液に3日間浸漬してプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(実施例2)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPPSDS/BAPPS/APPDMS1(6/1/1)−s)の合成−
酸二無水物として、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸(BAPPSDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)を、非スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン(BAPPS)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素気流下で、BAPPSDS2.370g(4.0ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)1.56mlを、m−クレゾール20mlに添加して溶解させた。次いで、NTDA1.430g(5.34ミリモル)、及び安息香酸0.91gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間、更に180℃で10時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却し、BAPPSを0.288g(0.68ミリモル)と、APPDMS1を0.594g(0.66ミリモル)加え、80℃で4時間攪拌した後、イソキノリン0.50g、及びm−クレゾール6mLを添加し、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を80℃まで冷却し、m−クレゾール20mlを加え希釈した後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体をアセトンで洗浄した後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPPSDS/BAPPS/APPDMS1(6/1/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.0dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/y/z=6/1/1、m=9.8であり、シロキサンの含有量は、11.6質量%である。
−電解質膜の作製−
得られた生成物を、m−クレゾールに溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで1M硫酸溶液に3日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPPSDS/BAPPS/APPDMS1(6/1/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(実施例3)
−スルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−r)の合成−
まず、下記合成工程に基づいて、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を合成した。
触媒として、塩化アルミニウムを、溶媒として、1,1,2,2−テトラクロルエタンを、それぞれ用い、アセナフテンを塩化アセチルと反応させて、4−アセチルナフテン(AAN)を合成した。これを、苛性ソーダ水と臭素とを反応させて合成したNaBrOを用いて酸化し、4−アセナフテンカルボン酸(ANCA)を生成した。更に、塩化チオニルを用いてカルボン酸クロリド(ANCC)を生成した。次いで、AANとANCCとをフリーデルクラフト反応させて、4,4‘−ジアセナフチルケトン(DANK)を合成した。これを、酢酸溶液中にて、重クロム酸カリにより酸化し、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸(KDNTA)を生成し、次いで、無水酢酸で脱水してテトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を得た。
Figure 2007302717
酸二無水物として、合成工程1に基づいて合成した4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素ガス気流下で、BAPBDS1.901g(3.6ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)1.2mlを、m−クレゾール26mlに添加して溶解させた。次いで、APPDMS1を0.810g(0.90ミリモル)添加して溶解させた後、KDNTDA1.899g(4.5ミリモル)、及び安息香酸0.77gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間攪拌した後、m−クレゾール16mLと、イソキノリン0.40gとを添加し、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を室温まで冷却した後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体をアセトンで洗浄した後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.5dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/z=4/1、m=9.8であり、シロキサンの含有量は、15.9質量%である。
−電解質膜の作製−
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで、1M硫酸溶液に3日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(4/1)−r膜(前記電解質膜)を作製した。
得られたスルホン化芳香族ポリイミドのDMSO−d中でのHNMRスペクトルを図1に示す。なお、ジメチルシロキサン含有ジアミン(APPDMS1)のスペクトルを、図1に併せて示す。
図1より、実施例3で得られたスルホン化芳香族ポリイミドのスペクトルと、APPDMS1のスペクトルとを比較すると、スルホン化芳香族ポリイミドのピークに加えて、スルホン化芳香族ポリイミド中に、ジメチルシロキサン部のメチルプロトンと、プロピレン部のメチレンプロトンとが更に組み込まれていることが判った。また、ナフタレン環プロトン(1,2,5)と、スルホン酸ジアミン残基のプロトン(6,7,8,9)との強度比から求めたイオン交換容量IECは、1.65meq/gであり、仕込みモノマー比から計算したIEC値と略一致した。
(実施例4)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA‐BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s)の合成−
酸二無水物として、実施例3で合成した、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)1.823g(4.32ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.901g(3.6ミリモル)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)0.648g(0.72ミリモル)を、それぞれ用い、実施例1と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のスルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−sを合成した。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.8dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/z=5/1、m=9.8であり、シロキサンの含有量は、13.4質量%である。
−電解質膜の作製−
得られたスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、テフロン(登録商標)板上に流延し、120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに2日間浸漬し、次いで、1M硫酸溶液に3日間浸漬しプロトン交換した。次いで、水に2日間浸漬し、洗浄した後、150℃で1時間、更に200℃で1時間真空乾燥して、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(実施例5)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BSPOB/APPDMS1(5/1)−s)の合成−
まず、「ポリマープレプリント、ジャパン」,第54巻,p.1751−1752(2005)に記載の方法により、2,2‘−ビス(4−スルホフェノキシ)ベンジジン(BSPOB)を合成した。
酸二無水物として、実施例3で合成した、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)1.823g(4.32ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、合成したBSPOB1.901g(3.6ミリモル)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)0.648g(0.72ミリモル)を、それぞれ用い、実施例4と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のスルホン化ポリイミドKDNTDA−BSPOB/APPDMS1(5/1)−sを合成した。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.6dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/z=5/1、m=9.8であり、シロキサンの含有量は、13.4質量%である。
−電解質膜の作製−
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BSPOB/APPDMS1(5/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(実施例6)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APPDMS2(8/0.28/1)−s)の合成−
酸二無水物として、実施例3で合成した、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS2)(信越化学工業(株)製、「X−22−161A」;分子量1600、m=19.3)を、3官能の非スルホン化ジアミンとして、1,3,5-トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPB)を、それぞれ用いた。
まず、乾燥した100mlの四口フラスコ中、窒素気流下で、BAPBDS2.114g(4.0ミリモル)、TAPB0.071g(0.14ミリモル)、及びトリエチルアミン(TEA)1.56mlを、m−クレゾール20mlに添加して溶解させた。次いで、KDNTDA1.988g(4.71ミリモル)、及び安息香酸0.81gを加え、窒素ガス雰囲気下にて混合物を80℃で4時間攪拌した後、更に180℃で10時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、APPDMS2を0.800g(0.50ミリモル)加え、80℃で4時間攪拌し、イソキノリン0.43g、及びm−クレゾール7.5mLを加え、180℃で20時間攪拌した。得られた重合反応液を80℃まで冷却した後、m−クレゾール20mlを加えて希釈し、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別した。更に、得られた固体をアセトンで洗浄した後、イソプロパノールでソックスレー抽出し、乾燥し、下記構造式で表される、シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APPDMS2(8/0.28/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.2dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、(x+x+x)/y/z=8/0.28/1、m=19.3であり、シロキサンの含有量は、15.5質量%である。
−電解質膜の作製−
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APPDMS2(8/0.28/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(実施例7)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APOPPDMS(8/0.28/1)−s)の合成−
まず、α,ω−ヒドロキシプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(信越化学工業(株)製、「X−22−160AS」;分子量933、m=11.4)を、p−フルオロアニリン及び炭酸カリウムの存在下、N−メチルピロリドン(NMP)溶液中で反応させて、α,ω−(4−アミノフェノキシ)プロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APOPPDMS)を合成した。
酸二無水物として、実施例3で合成した、4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)1.988g(4.71ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)2.114g(4.0ミリモル)を、3官能の非スルホン化ジアミンとして、1,3,5-トリス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(TAPB)0.071g(0.14ミリモル)を、シロキサン含有ジアミンとして、合成したAPOPPDMS0.558g(0.5ミリモル)を、それぞれ用い、実施例6と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APOPPDMS(8/0.28/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.5dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、(x+x+x)/y/z=8/0.28/1、m=11.4であり、シロキサンの含有量は、9.2質量%である。
−電解質膜の作製−
得られた生成物を、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/TAPB/APOPPDMS(8/0.28/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(実施例8)
−スルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s)の合成−
まず、上記非特許文献2(「アクタ ポリメリカ」,第39巻,p.460−464(1988))に記載の方法と同様にして、アセナフテンとイソフタロイルクロリドとのフリーデルークラフトアシル化反応を行い、得られた4,4‘−イソフタロイルジアセナフテンのテトラカルボン酸への酸化、更に、その酸二無水物への脱水の三段階プロセスにより、4,4‘−イソフタロイルジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(IPDNTDA)を合成した。
酸二無水物として、得られた4,4‘−イソフタロイルジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(IPDNTDA)1.579g(3.0ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.321g(2.5ミリモル)を、シロキサン含有ジアミンとして、α,ω−アミノプロピルポリジメチルシロキサンオリゴマー(APPDMS1)0.450g(0.5ミリモル)を、それぞれ用い、実施例4と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のスルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、1.5dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/z=5/1、m=9.8であり、シロキサンの含有量は、12.1質量%である。
−電解質膜の作製−
得られたスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、実施例4と同様にして製膜し、プロトン型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/APPDMS1(5/1)−s膜(前記電解質膜)を作製した。
(比較例1)
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/BAPB(2/1)−r)の合成−
酸二無水物として、1,4,5,8、‐ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)1.609g(6.0ミリモル)を、スルホン化ジアミンとして、4,4’‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ビフェニル3,3’‐ジスルホン酸(BAPBDS)2.114g(4.0ミリモル)を、非スルホン酸ジアミンとして、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.737g(2.0ミリモル)を、それぞれ用い、実施例3と同様にして、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/BAPB(2/1)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.8dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/y=2/1である。
−電解質膜の作製−
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、m−クレゾールに溶解させ、ガラス板状にキャスト製膜し、実施例3と同様にして、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BAPBDS/BAPB(2/1)−r膜(電解質膜)を作製した。
(比較例2)
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BSPB/BAPB(2/1)−r)の合成−
酸無水物としての1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)1.609g(6.0ミリモル)、2,2’−ビス(3−スルホプロポキシ)ベンジジン(BSPB)1.842g(4.0ミリモル)、及び非スルホン酸ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.736g(2.0ミリモル)を用い、比較例1と同様にして、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BSPB/BAPB(2/1)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、4.0dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/y=2/1である。
−電解質膜の作製−
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、m−クレゾールに溶解させ、比較例1と同様にして製膜し、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BSPB/BAPB(2/1)−r膜(電解質膜)を作製した。
(比較例3)
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BDSA/mBAPPS(3/2)−r)の合成−
酸二無水物としての1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)1.341g(5.0ミリモル)、2,2‘−ベンジジンジスルホン酸(BDSA)1.032g(3.0ミリモル)、及び3,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)フェニルスルホン(mBAPPS)0.847g(2.0ミリモル)を用い、比較例1と同様にして、下記構造式で表される、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BDSA/mBAPPS(3/2)−rを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、3.0dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/y=3/2である。
−電解質膜の作製−
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、m−クレゾールに溶解させ、比較例1と同様にして製膜し、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA−BDSA/mBAPPS(3/2)−r膜(電解質膜)を作製した。
(比較例4)
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−s)の合成−
酸二無水物としての4,4‘−ケトンジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(KDNTDA)1.688g(4.0ミリモル)、スルホン化ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.586g(3.0ミリモル)、及び非スルホン酸ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.369g(1.0ミリモル)を用い、実施例1と同様にして、TEA塩型のシークエンス化共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.0dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/y=3/1である。
−電解質膜の作製−
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、ガラス板上に流延し、実施例1と同様にして、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドKDNTDA‐BAPBDS/BAPB(3/1)−s膜(電解質膜)を得た。
(比較例5)
−シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミド(シークエンス化共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−s)の合成−
酸二無水物としての4,4‘−イソフタロイルジナフタレン−1,1’,8,8‘−テトラカルボン酸二無水物(IPDNTDA)2.106g(4.0ミリモル)、スルホン化ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(BAPBDS)1.586g(3.0ミリモル)、及び非スルホン酸ジアミンとしての4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(BAPB)0.369g(1.0ミリモル)を用い、実施例1と同様にして、下記構造式で表される、TEA塩型のスルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−sを得た。得られた生成物の還元粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5質量%、35℃)は、2.7dl/gであった。
Figure 2007302717
なお、前記構造式中、x/y=3/1である。
−電解質膜の作製−
得られたシロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、ガラス板上に流延し、実施例1と同様にして、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドIPDNTDA−BAPBDS/BAPB(3/1)−s膜(電解質膜)を得た。なお、イオン交換容量は、1.53meq/gであった。
(比較例6)
比較例6の電解質膜として、従来より、一般的に使用されている燃料電池用固体電解質として、市販のナフィオン(登録商標)112膜(デュポン社製、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフルオロエチレン共重合体、プロトン型)を用いた。
以上の実施例1〜8及び比較例1〜6の各電解質膜について、プロトン伝導度、収着量、耐水性(耐水性及び耐熱性)、メタノール透過係数、及び溶媒に対する溶解性を、下記方法により測定した。結果を表1及び表2に示す。
<プロトン伝導度>
前記プロトン伝導度は、プロトン伝導度測定セルに、膜シート(電解質膜サンプル)(1.0cm×0.5cm)と、4枚の白金黒電極板とを取り付け、60℃に温度制御した水中と、温度を60℃に、湿度を70%RHに、それぞれ制御したチャンバー内とにセットし、LCRメーター(日置電気(株)製、「HIOKI3552‐80」)を用いて、100Hzから100kHzの周波数範囲で複素インピーダンス法により電気抵抗Rを測定した。そして、プロトン伝導度σを、下記式1により算出した。
σ=d/(t×w×R)・・・式1
前記式1中、dは、2電極間距離(0.5cm)を表し、t及びwは、室温で70%RHにおける膜シートの厚さと幅とをそれぞれ表す。なお、水中でのプロトン伝導度の計算には、水中でのt値、及びw値を用いた。
ここで、実施例4及び比較例4で得られた電解質膜について、水中及び70%RH中におけるプロトン伝導度の温度依存性を図2に示す。
図2より、実施例4の電解質膜は、高温になるほどプロトン伝導度が高いことが判った。また、実施例4の電解質膜のプロトン伝導度は、水中及び湿度70%の雰囲気中で比較例4の電解質膜のプロトン伝導度よりも高いことが判った。
<収着量>
前記収着量は、室温での吸水率(Water uptake)とメタノール収着量とを測定した。
各電解質膜サンプル約80mgを乾燥して、乾燥質量Wdを測定した。次いで、各サンプルを、30℃で2〜4時間水に浸漬した後、水から取り出し、手早く表面に付着した水をティシュペーパーで拭き取り、膨潤時の膜質量Wsを測定した。そして、吸水率(Water uptake; WU)を下記式2により算出した。
WU={(Ws‐Wd)/Wd}×100(%)・・・式2
<耐久性(耐水性及び耐熱性)>
前記耐久性は、膜厚30〜40μmの各電解質膜サンプルを、加圧下にて130℃の熱水に192時間浸漬した後、得られた膜サンプル(フイルム片)の膜形状及び強度を、下記基準に基づいて評価した。なお、下記評価基準におけるフイルム片は、各電解質膜サンプルの浸漬処理後、風乾し、幅5mm、長さ20mmの形状に切断した。
〔評価基準〕
A:折り目を付けて曲げても、さらに曲げ戻しても破断しなかった。
B:折り目を付けて曲げても破断しないが、元に曲げ戻すと破断した。
C:折り目の角度が0°となるようにフイルム片を折り目をつけて曲げると破断した。
D:フイルム片の両端を、掴み代5mmとなるように掴んで折り曲げるとフイルム片が破断した。
E:膜形状を保持しておらず、膜(フイルム片)が多くの小片に破れていた。
また、前記耐久性として、加圧水浸漬処理した各電解質膜サンプルを風乾後、60℃、100〜80%RHで、プロトン伝導度を測定し、下記基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
A:加圧水浸漬処理を行っても、実験誤差(±5%)範囲内で変化しなかった。
B:加圧水浸漬処理により、プロトン伝導度が5〜20%低下した。
C:加圧水浸漬処理により、プロトン伝導度が20%以上低下した。
<メタノール透過係数>
前記メタノール透過係数は、各50℃にてイオン交換水と30質量%メタノール水溶液とを直径50mmのフィルムサンプルを介して接触させ、イオン交換水側のメタノール濃度の時間変化を、1時間かけてガスクロマトグラフにより測定した。得られたメタノール濃度の傾きよりメタノール透過係数を計算した。
<溶解性>
前記溶解性は、膜を溶剤に添加し、50℃で加熱攪拌したときの溶解性として、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミド(DMAc)に対する溶解性(TEA(トリエチルアミン)塩型)と、ジメチルスルホキシド(DMSO)に対する溶解性(H型)とを、それぞれ下記基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
A:易溶
B:可溶
C:部分的に可溶
D:不溶
Figure 2007302717
なお、表1中、イオン交換容量は、計算値及び測定値(括弧内)を表す。また、収着量は、室温での吸水率及びメタノール収着量(括弧内)を表す。
Figure 2007302717
表1及び表2より、シロキサン鎖を有するスルホン化芳香族ポリイミドを含む、実施例1〜8の電解質膜は、シロキサン鎖を有しないスルホン化芳香族ポリイミドを含む、比較例1〜5の電解質膜に比して、全体的に、プロトン伝導性、耐水性及び耐熱性に優れ、膜強度も高く、しかも、メタノールの透過係数は同等か少し小さく、ナフィオン膜に比べて十分小さいことが判った。このため、本発明の電解質膜は、陽イオン交換膜に好適であり、メタノールのクロスオーバーを抑制可能な点で、燃料電池用固体電解質に特に好適であり、該燃料電池用固体電解質を用いた燃料電池は、利用効率が高いものと認められる。
一方、比較例6の従来のナフィオン膜は、プロトン伝導性に優れるものの、メタノールの透過性が高く、燃料としてメタノールを使用する燃料電池においては、メタノールのクロスオーバーが生じ、利用効率が低下することが推認される。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有することを特徴とするスルホン化芳香族ポリイミド。
Figure 2007302717
ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有する2価の芳香族基を表す。Rは、下記構造式(6)で表される基を表す。
Figure 2007302717
Figure 2007302717
ただし、前記構造式(6)中、X及びXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基及びフェニル基のいずれかを表す。Aは、下記構造式(7)から(9)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。mは、1〜130の整数を表し、nは、1〜4の整数を表す。
Figure 2007302717
(付記2) 一般式(1)で表される構造単位に対する一般式(2)で表される構造単位のモル比(一般式(1)/(一般式(2))が、99/1〜10/90である付記1に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記3) 下記一般式(3)で表される構造単位を更に有する付記1から2のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
Figure 2007302717
ただし、前記一般式(3)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有しない2価の芳香族基を表す。
Figure 2007302717
(付記4) 一般式(3)で表される構造単位におけるRが、スルホン酸基を有しない3価の芳香族基で置換された付記3に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記5) スルホン酸基を有しない3価の芳香族基が、一般式(3)で表される構造単位に対して30モル%以下である付記4に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記6) ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれかである付記1から5のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
(付記7) 付記1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする電解質膜。
(付記8) 付記1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする燃料電池用固体電解質。
(付記9) 付記8に記載の燃料電池用固体電解質を有することを特徴とする燃料電池。
本発明のスルホン化芳香族ポリイミドは、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、電解質膜に好適に使用可能である。
本発明の電解質膜は、プロトン伝導性及び耐水性に優れ、耐熱性及び耐久性が高く、陽イオン交換膜に好適である。
本発明の燃料電池用固体電解質は、燃料電池の膜電極接合体における触媒電極との接合性が良好であり、しかも燃料(例えば、メタノールや水素)のクロスオーバーを抑制し、高性能かつ信頼性が高い。
本発明の燃料電池は、直接メタノール型燃料電池及び水素燃料電池に好適である。
図1は、実施例3の電解質膜のHNMRスペクトルの分析結果を示すグラフである。 図2は、実施例4及び比較例4の電解質膜における、プロトン伝導度の温度依存性を示すグラフである。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位、及び下記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有することを特徴とするスルホン化芳香族ポリイミド。
    Figure 2007302717
    ただし、前記一般式(1)及び一般式(2)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有する2価の芳香族基を表す。Rは、下記構造式(6)で表される基を表す。
    Figure 2007302717
    Figure 2007302717
    ただし、前記構造式(6)中、X及びXは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基及びフェニル基のいずれかを表す。Aは、下記構造式(7)から(9)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。mは、1〜130の整数を表し、nは、1〜4の整数を表す。
    Figure 2007302717
  2. 一般式(1)で表される構造単位に対する一般式(2)で表される構造単位のモル比(一般式(1)/(一般式(2))が、99/1〜10/90である請求項1に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
  3. 下記一般式(3)で表される構造単位を更に有する請求項1から2のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
    Figure 2007302717
    ただし、前記一般式(3)中、Arは、下記構造式(1)から(5)で表される置換基から選択される少なくとも1種を表す。Rは、スルホン酸基を有しない2価の芳香族基を表す。
    Figure 2007302717
  4. 一般式(3)で表される構造単位におけるRが、スルホン酸基を有しない3価の芳香族基で置換された請求項3に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
  5. スルホン酸基を有しない3価の芳香族基が、一般式(3)で表される構造単位に対して30モル%以下である請求項4に記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
  6. ランダム共重合体及びブロック共重合体のいずれかである請求項1から5のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミド。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする電解質膜。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のスルホン化芳香族ポリイミドを少なくとも含むことを特徴とする燃料電池用固体電解質。
  9. 請求項8に記載の燃料電池用固体電解質を有することを特徴とする燃料電池。
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