JP2009099273A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒドラジンを燃料とする燃料電池において、ヒドラジンを安全に利用することができながら、効率的かつ経済的なシステムとして構築することのできる、燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】ヒドラジンを燃料とする燃料電池1とヒドラジンを固定化または脱離する固定化部2とを、循環ライン22で接続する。循環ライン22は、熱媒体を、燃料電池1から固定化部2へ流すための第1ライン20と、第1ライン20から燃料電池1へ流すための第2ライン21とを有しており、燃料電池1で発生した熱の熱量を吸収した熱媒体を、第1ライン20を介して固定化部2へ供給する。一方、固定化部2で冷却された熱媒体を、第2ライン21を介し、ラジエータ23またはバイパスライン25を経由させて、燃料電池1へ供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒドラジンを燃料とする燃料電池システムに関する。
従来、ヒドラジンを燃料として燃料側電極に直接供給する直接燃料供給型燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。特許文献1および特許文献2の燃料電池では、燃料側電極で窒素のみが生成され、直接メタノール型燃料電池のように、炭酸ガスの生成がなく、実質的なゼロエミッションを実現することができる。
また、燃料電池とラジエータとが、冷却管を介してクローズドラインで接続されている燃料電池装置を搭載した自動車が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3の自動車では、車体の後側上部にラジエータが取り付けられ、このラジエータと燃料電池との間に冷却水を循環させることにより、燃料電池を冷却することができる。
特開2006−244961号公報 国際公開パンフレットWO2003/056649 特開2001−93556号公報
しかし、燃料であるヒドラジンは、火災や爆発のおそれがあり、また、強アルカリ性であることから、慎重な取り扱いが要求される。
また、燃料電池は、燃料電池への冷却水の供給方法などを含めて、システムとして効率的かつ経済的に構築する必要がある。
本発明の目的は、ヒドラジンを燃料とする燃料電池において、ヒドラジンを安全に利用することができながら、効率的かつ経済的なシステムとして構築することのできる、燃料電池システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の燃料電池システムは、ヒドラジンが燃料として供給される燃料電池と、前記燃料電池に供給するためのヒドラジンを脱離して前記燃料電池に供給する供給部と、熱媒体を、前記燃料電池から前記供給部へ流すための第1ライン、および、前記供給部から前記燃料電池へ流すための第2ラインを有する循環ラインと、前記第2ラインの途中に設けられるラジエータとを備えることを特徴としている。
本発明の燃料電池システムでは、前記供給部は、ヒドラジンを固定化または脱離する固定化部と、前記固定化部で固定化されているヒドラジンを脱離させるための水系脱離液を、前記固定化部へ供給する脱離液供給部と、を備え、前記第1ラインおよび前記第2ラインが、前記燃料電池と前記固定化部との間を接続していることが好適である。
また、本発明の燃料電池システムでは、前記供給部は、ヒドラジンを固定化または脱離する固定化部と、前記固定化部で固定化されているヒドラジンを脱離させるための水系脱離液を、前記固定化部へ供給する脱離液供給部と、を備え、前記第1ラインおよび前記第2ラインが、前記燃料電池と前記脱離液供給部との間を接続していることが好適である。
本発明の燃料電池システムでは、ヒドラジンを、供給部から脱離させて燃料電池に供給するまで、供給部に固定化させておくことができるので、ヒドラジンを安定して貯蔵することができる。その結果、ヒドラジンを安全に利用することができる。
また、本発明の燃料電池システムでは、熱媒体を、燃料電池と供給部との間を循環させることができるので、燃料電池で発生する熱の熱量を、熱媒体を介して供給部で放出することにより、ヒドラジンを脱離させるために必要な熱量として利用することができる。一方、供給部では、熱量の放出により熱媒体が冷却されるので、燃料電池の冷却前における、ラジエータでの冷却を不要とすることができるか、あるいは、ラジエータでの冷却を低減することができる。そのため、ラジエータを小型化することができ、システムの構築コストを低減することができる。
すなわち、本発明の燃料電池システムでは、システム内における熱量の有効利用を図ることができる。その結果、燃料電池システムを、効率的かつ経済的なシステムとして構築することができる。
(第1実施形態)
I.装置構成
図1は、本発明の燃料電池システムの第1実施形態を示す概略構成図である。
図1において、燃料電池システムS1は、ヒドラジンが燃料として供給される燃料電池1と、本発明の供給部を構成する、ヒドラジンを固定化する固定化部2と、ヒドラジンを固定化部2へ供給するヒドラジン供給部3と、本発明の供給部を構成する、水系脱離液を固定化部2へ供給する脱離液供給部4と、固定化部2から燃料電池1へヒドラジンを燃料として供給する燃料供給部5と、燃料電池1と固定化部2との間に熱媒体を循環させる循環部6とを備えている。
(A)固定化部
固定化部2は、ケーシング7と、ケーシング7内に収容される固定化部材8とを備えている。
ケーシング7は、固定化部材8を収容する容器であり、ヒドラジンに対する耐食性(耐アルカリ性)を有する材料、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などから形成されている。
ケーシング7内には、攪拌機9が設けられている。攪拌機9によって、ケーシング7内に供給されるヒドラジンや水系脱離液が適宜攪拌される。
また、ケーシング7内には、燃料供給ライン18(後述)の接続部分において、フィルタ10が設けられている。フィルタ10は、ヒドラジンと固定化部材8などとを、分子サイズにより分離する分離膜(例えば、限外濾過膜などの公知の分子篩膜など)や、ケーシング7内の不純物や劣化して浮遊する樹脂などを捕獲できる濾材などから形成されている。フィルタ10により、固定化部材8、不純物、劣化により浮遊する樹脂などが燃料供給ライン18(後述)へ流出することを防止できる。
ケーシング7には、その外周面を被覆するヒータ11が設けられている。ヒータ11は、熱媒の循環によりケーシング7内の温度を適宜調整できるジャケットなどから形成されている。また、ヒータ11内には、熱媒が循環する流路(図示せず)とは別に、後述する熱媒体が循環するための流路(図示せず)が形成されている。
固定化部材8は、ケーシング7内に収容されている。固定化部材8は、ヒドラジンを固定化および脱離する合成樹脂(以下、固定化樹脂という。)からなり、ヒドラジンを脱離可能に固定化するヒドラジン固定基を有している。
ヒドラジン固定基は、ヒドラジンを固定化できれば、特に制限されないが、例えば、ケトン基、ホルミル基、アセタール基、ハロゲノメチル基、ハロゲノアルキル基、アミド基、エステル基、スルフォニルクロライド基、アミジノ基、第4級アンモニウム基などが挙げられる。
そして、ヒドラジン固定基にヒドラジンが脱離可能に固定化されると、ヒドラジン脱離基が形成される。
ヒドラジン脱離基は、ヒドラジンを脱離可能に固定化していれば、特に制限されず、例えば、ヒドラゾン基(C=N−NH2)、ヒドラジッド基(−CONH−NH2)、ヒドラジノ基(C−NH−NH2)、アジン基(−C=N−N=C−)などが挙げられる。
また、固定化樹脂は、ヒドラジンが親水性であることから、親水性が付与されていることが好適である。固定化樹脂に親水性を付与するには、例えば、ポリオキシエチレンなどの親水性ユニットを主鎖に導入するか、あるいは、主鎖から枝分れする側鎖に、例えば、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミド基、第4級アンモニウム基などの親水性基を導入する。
次に、固定化樹脂と、その固定化樹脂に対応するヒドラジンの固定化および脱離とを、具体的に例示する。
(1)炭化水素系固定化樹脂
炭化水素系固定化樹脂は、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーを単独重合させるか、あるいは、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと、そのヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合ビニルモノマーとを共重合させることにより、得ることができる。
(1−1)炭化水素系固定化樹脂の合成
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、ヒドラジン固定基とビニル基とを併有するモノマーであって、例えば、アクロレイン、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、ヘキシルビニルケトン、p−アセチルメチルスチレン、p−アセチルスチレン、アクリル酸メチル、p−クロルメチルスチレン、o−アセチルメチルビニルアルコール、o−アセチルメチルアリルアルコール、N−アセチルメチルビニルピリジンなどが挙げられる。これらヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
共重合ビニルモノマーとしては、ビニル基を有し、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと共重合可能であれば、特に制限されず、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンおよびその誘導体、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸エステル誘導体、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン系ビニル類、例えば、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類、例えば、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物、例えば、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどの芳香族ビニル類、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸およびその誘導体などが挙げられる。これら共重合ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
また、上記したように、炭化水素系固定化樹脂に、親水性を付与すべく、共重合ビニルモノマーとして、親水性ビニルモノマーを共重合させることが好適である。
親水性ビニルモノマーは、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基とビニル基とを併有するモノマーであって、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。これら親水性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
さらに、炭化水素系固定化樹脂に、機械強度を付与すべく、共重合ビニルモノマーとして、架橋性ビニルモノマーを共重合させることもできる。
架橋性ビニルモノマーは、複数のビニル基を有するモノマーであって、例えば、ジビニルベンゼン、N,N′−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリン(ジまたはトリ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)メタクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどが挙げられる。これら架橋性ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
そして、炭化水素系固定化樹脂は、必須成分として、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーを配合し、任意成分として、共重合ビニルモノマー(好ましくは、親水性ビニルモノマーおよび/または架橋性ビニルモノマー)を配合して、ラジカル重合することにより、得ることができる。
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーに対する共重合ビニルモノマーの配合割合は、ヒドラジンの供給量や要求物性などにより、適宜選択されるが、例えば、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーの固定基に対して、共重合ビニルモノマーが、当量比で、例えば、1:0.01〜100、好ましくは、1:0.1〜10、さらに好ましくは、1:0.5〜2である。より具体的には、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーの固定基に対して、親水性ビニルモノマーが、当量比で、例えば、1:0.01〜100、好ましくは、1:0.1〜10、さらに好ましくは、1:0.5〜2である。また、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと親水性ビニルモノマーの合計100重量部に対して、架橋性ビニルモノマーが、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、1〜10重量部である。
ラジカル重合は、特に制限されず、例えば、ラジカル重合開始剤を添加して、水溶液重合法、逆相懸濁重合法など公知の方法により実施することができる。
ラジカル重合開始剤は、特に制限されず、例えば、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)などのアゾ系重合開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどのパーオキサイド系重合開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、例えば、過酸化水素と還元剤(アスコルビン酸など)とを組合せるレドックス系開始剤などが挙げられる。
また、ラジカル重合では、その反応温度は、上記したラジカル重合開始剤のラジカル生成温度以上であれば、特に制限されないが、例えば、−10〜200℃、好ましくは、10〜100℃の範囲とされる。但し、レドックス系開始剤を用いれば、室温程度で重合することもできる。
(1−2)炭化水素系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
炭化水素系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、例えば、炭化水素系固定化樹脂の固定化基(ケトン基)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給し、ヒータ11で、例えば、室温〜100℃に温め、攪拌機9で、例えば、10分〜48時間攪拌する。すると、固定化基(ケトン基)にヒドラジンが固定化される。
(1−3)炭化水素系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
炭化水素系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、炭化水素系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、炭化水素系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(2)ポリアクリルアミド系固定化樹脂
ポリアクリルアミド系固定化樹脂は、アクリルアミドのラジカル重合により得ることができる。
(2−1)ポリアクリルアミド系固定化樹脂の合成
ポリアクリルアミド系固定化樹脂は、アクリルアミドを水に配合して、アクリルアミド水溶液を調製した後、そのアクリルアミド水溶液にラジカル重合開始剤を添加して、アクリルアミドをラジカル重合させることにより、合成することができる。
その後、例えば、アルコール類を加えて沈殿させ、これを濾過により分離して、ポリアクリルアミド系固定化樹脂を得る。
(2−2)ポリアクリルアミド系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリアクリルアミド系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリアクリルアミド系固定化樹脂の固定化基(アミド基)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給し、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(アミド基)にヒドラジンが固定化されて、ポリアクリル酸ヒドラジッドが得られる。
(2−3)ポリアクリルアミド系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリアクリルアミド系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリアクリルアミド系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリアクリルアミド系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(3)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂は、まず、(メタ)アクリル酸エステルをラジカル重合することにより、得ることができる。
(3−1)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂の合成
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルにラジカル重合開始剤を添加して、重合させることによって得ることができる。得られたポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂は、微粉砕して、ケーシング7内に収容する。
(3−2)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂の固定化基(エステル基)に対して、当量以上のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給し、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(エステル基)にヒドラジンが固定化されて、ポリアクリル酸ヒドラジッドが得られる。
(3−3)ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリ(メタ)アクリレート系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(4)ポリビニルアルコール系固定化樹脂
ポリビニルアルコール系固定化樹脂は、ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと、酢酸ビニルとを共重合させることにより、ヒドラジン固定基含有ポリ酢酸ビニル共重合体を合成し、次いで、これをケン化することにより、得ることができる。
(4−1)ポリビニルアルコール系固定化樹脂の合成
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、ヒドラジン固定基とビニル基とを併有するモノマーであって、例えば、メチルビニルケトン、エチルビニルケトンなどのアルキルまたはアリールビニルケトン、p−アセチルメチレンオキシスチレン、p−アセチルエチレンオキシスチレンなどのp−アセチルアルキレンオキシスチレン、p−クロルメチルスチレンなどが挙げられる。これらヒドラジン固定基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
ヒドラジン固定基含有ビニルモノマーと酢酸ビニルとの共重合は、これらを適宜の溶媒(例えば、アルコール類)に配合した後、ラジカル重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる。
ラジカル重合は、特に制限されず、上記と同様の方法により実施することができる。また、例えば、ラジカル重合開始剤として、アゾ系重合開始剤やパーオキサイド系重合開始剤が用いられる。
その後、例えば、重合停止剤(例えば、ニトロベンゼンなど)を添加して、重合を停止した後、アルコール類を加えながら未反応モノマーを留去し、水中に沈殿させ、これを濾過により分離して、ヒドラジン固定基含有ポリ酢酸ビニルを得る。
その後、ヒドラジン固定基含有ポリ酢酸ビニルを、溶媒(例えば、アルコール類)に配合した後、アルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して、ケン化し、再度、水中に沈殿させ、これを単離および乾燥して、ポリビニルアルコール系固定化樹脂を得る。
(4−2)ポリビニルアルコール系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリビニルアルコール系固定化樹脂に、ヒドラジンを固定化するには、ポリビニルアルコール系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13(後述)から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)にヒドラジンが固定化される。
(4−3)ポリビニルアルコール系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリビニルアルコール系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリビニルアルコール系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリビニルアルコール系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(5)ポリエステル系固定化樹脂
ポリエステル系固定化樹脂は、まず、ヒドラジン固定基含有多価アルコールと多塩基酸とを縮合重合させることにより、得ることができる。また、多価アルコールとヒドラジン固定基含有多塩基酸とを縮合重合させることにより、得ることもできる。さらに、ヒドラジン固定基含有多価アルコール(および必要により多価アルコール)と、ヒドラジン固定基含有多塩基酸(必要により多塩基酸)とを縮合重合させることにより、得ることもできる。
(5−1)ポリエステル系固定化樹脂の合成
ヒドラジン固定基含有多価アルコールは、ヒドラジン固定基と少なくとも2つの水酸基とを併有する多価アルコールであって、例えば、アセチルエチルエチレングリコールなどが挙げられる。また、必要により、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの多価アルコールを併用することもできる。
多塩基酸は、少なくとも2つのカルボン酸を有し、例えば、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族多塩基酸、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの脂肪族多塩基酸などが挙げられる。また、ヒドラジン固定基含有多塩基酸を多塩基酸に含有させることもできる。
そして、ポリエステル系固定化樹脂は、ヒドラジン固定基含有多価アルコール(および必要により多価アルコール)と多塩基酸とを配合して、縮合重合することにより、得ることができる。
なお、ヒドラジン固定基含有多価アルコール(および必要により多価アルコール)と多塩基酸との配合割合は、ほぼ当量でよく、また、縮合重合には、公知の有機金属触媒が添加される。反応は、例えば、30〜300℃、好ましくは、50〜250℃の範囲で実施でき、原料の安定性が低い場合には、減圧下で実施することができる。
(5−2)ポリエステル系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリエステル系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリエステル系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノ基、ホルミル基、アミド基、エステル基など)にヒドラジンが固定化される。
(5−3)ポリエステル系固定化樹脂からのヒドラジンの脱離
ポリエステル系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリエステル系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエステル系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(6)ポリアミド系固定化樹脂
ポリアミド系固定化樹脂は、多価アミンおよび多塩基酸(但し、多価アミンおよび多塩基酸の少なくとも一方にヒドラジン固定基が含まれていることが必要である。)の重合により、得ることができる。
具体的には、脂肪族多価アミンと脂肪族多塩基酸との縮重合による脂肪族ポリアミドの合成、芳香族多価アミンと脂肪族多塩基酸の縮合重合による芳香環含有ポリアミドの合成、脂肪族多価アミンと芳香族多塩基酸との縮重合による芳香環含有ポリアミドの合成、芳香族多価アミンと芳香族多塩基酸との縮重合による芳香環含有ポリアミドの合成により、得ることができる。
(6−1)ポリアミド系固定化樹脂の合成
脂肪族多価アミンとしては、少なくとも2個のアミノ基を有し、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミンなどが挙げられる。
芳香族多価アミンは、芳香環に少なくとも2つのアミノ基を有し、例えば、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
脂肪族多塩基酸は、少なくとも2つのカルボン酸を有し、例えば、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などが挙げられる。
芳香族多塩基酸は、芳香環に少なくとも2つのカルボン酸を有し、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
多価アミンと多塩基酸との重合は、これらをほぼ当量で配合して、必要により、不活性ガス雰囲気下、減圧して、反応させる。反応温度は、例えば、30〜400℃、好ましくは、70〜300℃の範囲である。
次いで、得られた重合体を適宜の溶媒(例えば、N−メチルピロリドン)に溶解した後、ホルムアルデヒドおよび塩酸、臭化水素酸または沃化水素酸を添加して、ハロゲノメチル基を導入する。その後、適宜の溶媒(例えば、アルコール類)中に沈殿させて、ポリアミド系固定化樹脂を得る。
ポリアミド系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、ポリアミド系固定化樹脂を適宜の溶媒(例えば、N−メチルピロリドン)に溶解した後、ハロゲノメチル基に対して当量以上のアセトンを添加し、さらに、アルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して攪拌することにより、ハロゲノメチル基をアセチルエチル基に変換することもできる。
さらには、ポリアミド系固定化樹脂に、メチルアルキルケトン、メチルアリルケトン、メチルアラルキルケトンなど、活性水素を有するケトン化合物を反応させて、側鎖にケトン基を導入することもできる。また、ハロゲノアセトンやハロゲノメチルアルキルケトン、ハロゲノアリルケトン、ハロゲノアラルキルケトンなどを直接反応させて、側鎖にケトン基を導入することもできる。
(6−2)ポリアミド系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリアミド系固定化樹脂にヒドラジンを固定化するには、ポリアミド系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、当量以上のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(6−3)ポリアミド系固定化樹脂のヒドラジンの脱離およびヒドラジンの供給
ポリアミド系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリアミド系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリアミド系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(7)ポリエーテル系固定化樹脂
ポリエーテル系固定化樹脂は、フェノール誘導体を、銅触媒および塩基の存在下で重合させることにより芳香環含有ポリエーテルを合成し、次いで、芳香環含有ポリエーテルの芳香環をハロゲノメチル化することにより、得ることができる。
(7−1)ポリエーテル系固定化樹脂の合成
フェノール誘導体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールなどが挙げられる。
フェノール誘導体の重合は、フェノール誘導体に、必要により、ニトロベンゼンなどの溶媒に溶解して、例えば、塩化銅(I)や塩化銅(II)などの銅触媒と、例えば、ピリジンなどの塩基とを添加し、攪拌しつつ酸素を吹き込みながら反応させる。反応温度は、例えば、50〜400℃、好ましくは、60〜200℃の範囲である。その後、適宜の溶媒(クロロホルムやメタノール)にて洗浄し、減圧乾燥することにより、芳香環含有ポリエーテルを得ることができる。
次いで、芳香環含有ポリエーテルを、適宜の溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解した後、ホルムアルデヒドおよび塩酸、臭化水素酸または沃化水素酸を添加して、芳香環含有ポリエーテルの芳香環にハロゲノメチル基を導入する。その後、濾過により、ポリエーテル系固定化樹脂を得る。
ポリエーテル系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、ポリエーテル系固定化樹脂を適宜の溶媒(例えば、クロロホルム)に溶解した後、ハロゲノメチル基に対して当量以上のアセトンを添加し、さらにアルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して攪拌して、ハロゲノメチル基を、例えば、アセチルエチル基に変換することもできる。さらに、モノクロルアセトン、モノクロルメチルアルキルケトン、モノクロルメチルアリルケトン、モノクロルメチルアラルキルケトンなどを反応させ、アセチルメチル基などのケトン基含有側鎖を導入することもできる。
(7−2)ポリエーテル系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリエーテル系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(7−3)ポリエーテル系固定化樹脂のヒドラジンの脱離およびヒドラジンの供給
ポリエーテル系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリエーテル系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエーテル系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(8)ポリエーテルケトン系固定化樹脂
ポリエーテルケトン系固定化樹脂は、ジハロゲノベンゾフェノンとジフェノールとをアルカリ存在下に重合させることにより、得ることができる。
(8−1)ポリエーテルケトン系固定化樹脂の合成
ジハロゲノベンゾフェノンとしては、例えば、4,4′−ジハロベンゾフェノン、2,4′−ジハロベンゾフェノン、ビス−1,4−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン、ビス−1,3−(4−ハロベンゾイル)ベンゼン、ビス−4,4′−(4−ハロベンゾイル)ビフェニル、ビス−4,4′−(4−ハロベンゾイル)ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
ジフェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンなどが挙げられる。
そして、ポリエーテルケトン系固定化樹脂は、ジハロゲノベンゾフェノンとジフェノールとをアルカリ存在下に重合させることにより、得ることができる。
アルカリとしては、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の重炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
なお、ジハロゲノベンゾフェノンとジフェノールとの配合割合は、ほぼ当量でよく、また、重合には、公知の触媒および溶媒が添加される。また、反応温度は、例えば、10〜300℃、好ましくは、50〜200℃の範囲である。
触媒としては、例えば、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属塩などが挙げられ、金属としては、銅やクロムが挙げられる。また、触媒として、シリカなどの層状ケイ酸塩なども挙げられる。
溶媒としては、例えば、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルフォランなどの脂肪族スルホン類、例えば、ジフェニルスルホン、ジトリルスルホン、メチルフェニルスルホン、ジベンゾチオフェンオキサイド、フェノキサチンジオキシド、4ーフェニルスルフォニルビフェニルなどの芳香族スルホン類、例えば、ベンゾフェノン、イソフタロフェノン、テレフタロフェノン、4ーベンゾイルジフェニルエーテル、フルオレノン、キサントン、チオキサントンなどの芳香族ケトン類などが挙げられる。
ポリエーテルケトン系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、側鎖にケトン基を導入するため、ハロゲノメチル化して、これにアセトン、メチルアルキルケトン、メチルアリルケトン、メチルアラルキルケトンなどを反応させ、例えば、アセチルエチル基を導入することもできる。さらに、モノクロルアセトンなどのモノハロゲノメチルアルキルケトン、モノハロゲノメチルアリルケトン、モノハロゲノアラルキルケトンなどを反応させて、例えば、アセチルメチル基を導入して、そのケトン基にもヒドラジンを導入することができる。
(8−2)ポリエーテルケトン系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリエーテルケトン系固定化樹脂に、ヒドラジンを固定化するには、ポリエーテルケトン系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(8−3)ポリエーテルケトン系固定化樹脂のヒドラジンの脱離
ポリエーテルケトン系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリエーテルケトン系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエーテルケトン系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(9)ポリチオエーテル系固定化樹脂
ポリチオエーテル系固定化樹脂は、ジハロゲノベンゼンと、硫化ナトリウムとを反応させることにより芳香環含有ポリチオエーテルを合成し、次いで、芳香環含有ポリチオエーテルの芳香環をハロゲノメチル化することにより、得ることができる。
(9−1)ポリチオエーテル系固定化樹脂の合成
ジクロロベンゼンとしては、例えば、p−ジクロロベンゼンなどが挙げられる。
ジハロゲノベンゼンと硫化ナトリウムとの反応は、まず、硫化ナトリウムをN−メチルピロリドンなどの極性溶媒に溶解後、加熱して、硫化ナトリウムを硫化水素に分解し、その後、ジハロゲノベンゼンを加えて反応させる。反応温度は、例えば、5〜200℃、好ましくは、25〜150℃の範囲である。その後、適宜の溶媒(例えば、アルコール類など)にて洗浄し、乾燥することにより、芳香環含有ポリチオエーテルを得る。
次いで、芳香環含有ポリチオエーテルを、適宜の溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)に溶解した後、ホルムアルデヒドおよび塩酸、臭化水素酸または沃化水素酸を添加して、芳香環含有ポリエーテルの芳香環にハロゲノメチル基を導入する。その後、濾過により、ポリチオエーテル系固定化樹脂を得る。
ポリチオエーテル系固定化樹脂は、そのまま使用することができるが、さらに、ポリチオエーテル系固定化樹脂を適宜の溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)に溶解した後、ハロゲノメチル基に対して当量以上のアセトン、メチルアルキルケトン、メチルアリルケトンまたはメチルアラルキルケトンを添加し、さらにアルカリ(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)を添加して攪拌し、ハロゲノメチル基を、例えば、アセチルエチル基に変換することもできる。
(9−2)ポリチオエーテル系固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
ポリチオエーテル系固定化樹脂に、ヒドラジンを固定化するには、ポリチオエーテル系固定化樹脂の固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)に対して、適当量(好ましくは当量以上)のヒドラジンを原料供給ライン13から供給して、上記と同様に攪拌する。すると、固定化基(ケトン基、ハロゲノメチル基など)にヒドラジンが固定化される。
(9−3)ポリチオエーテル系固定化樹脂のヒドラジンの脱離
ポリチオエーテル系固定化樹脂からヒドラジンを脱離させるには、例えば、ケーシング7内に、脱離液供給部4から水系脱離液を供給する。すると、ポリチオエーテル系固定化樹脂が、水系脱離液によって分散され、ポリエーテルケトン系固定化樹脂からヒドラジンが脱離される。
水系脱離液としては、例えば、水、アルカリ水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液など)が挙げられる。
(B)ヒドラジン供給部
ヒドラジン供給部3は、ヒドラジンを貯留するヒドラジン貯留槽12と、ヒドラジン貯留槽12からケーシング7へヒドラジンを供給する原料供給ライン13とを備えている。
ヒドラジン貯留槽12は、ヒドラジンを貯留するタンクであり、ヒドラジンに対する耐食性(耐アルカリ性)を有する材料、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などから形成されている。
ヒドラジンには、水加ヒドラジン(ヒドラジンヒドラート)および無水ヒドラジンのいずれも含まれる。
原料供給ライン13は、上記と同様の材料から形成されるパイプからなり、ヒドラジン貯留槽12とケーシング7とに接続されている。原料供給ライン13の途中には、原料側開閉弁14が設けられている。
(C)脱離液供給部
脱離液供給部4は、水系脱離液を貯留する脱離液貯留槽15と、脱離液貯留槽15からケーシング7へ水系脱離液を供給する脱離液供給ライン16とを備えている。
脱離液貯留槽15は、水系脱離液を貯留するタンクであり、水系脱離液に対する耐食性(耐アルカリ性)を有する材料、例えば、ステンレス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などから形成されている。
水系脱離液は、固定化部材8に固定化されているヒドラジンを脱離させるための水または水溶液であり、上記したように、例えば、水、例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液などのアルカリ水溶液などが挙げられる。
脱離液供給ライン16は、上記と同様の材料から形成されるパイプからなり、脱離液貯留槽15とケーシング7とに接続されている。脱離液供給ライン16の途中には、脱離液側開閉弁17が設けられている。
(D)燃料供給部
燃料供給部5は、上記と同様の材料から形成され、ケーシング7と燃料電池1とを接続する燃料供給ライン18を備えている。燃料供給部5の途中には、燃料側開閉弁19が設けられている。
(E)燃料電池
燃料電池1は、ヒドラジンを燃料とする燃料電池であれば、特に制限されず、例えば、固体高分子膜型燃料電池であって、例えば、特開2001−93556号公報(特許文献3)に記載されている燃料電池が挙げられる。
固体高分子型燃料電池では、固体高分子膜の両側に、燃料側電極および酸素側電極が対向配置されている単セルが、多数積層されるスタック構造として装備されている。
そして、ヒドラジンは、水系脱離液(水またはアルカリ水溶液)とともに、燃料供給ライン18から燃料電池1の燃料側電極へ流入される。また、酸素側電極には、酸素(空気)が流入される。すると、下記式の反応が生じて、起電力が発生する。
NH2NH2+H2O+O2→N2+3H2
その後、上記反応により生成した窒素、および、水(水系脱離液がアルカリを含有する場合には、水にはアルカリが含まれる)が、排水として排出される。
(F)循環部
循環部6は、熱媒体を、燃料電池1と固定化部2との間を循環させる循環ライン22を備えている。
循環ライン22は、熱媒体を、燃料電池1から固定化部2へ流すための第1ライン20と、固定化部2から燃料電池1へ流すための第2ライン21とを有している。なお、熱媒体としては、例えば、エチレングリコールに防食剤や消泡剤などを添加した公知の不凍液などが用いられる。
第1ライン20は、熱媒体に対する耐食性を有する材料から形成されるパイプからなり、燃料電池1と固定化部2とを接続している。より具体的には、第1ライン20の一端は、例えば、特開2001−93556号公報(特許文献3)の燃料電池の構成においては、燃料電池の排水孔に接続されている。一方、第1ライン20の他端は、固定化部2のヒータ11内の流路の流入口(図示せず)に接続されている。
第2ライン21は、第1ライン20と同様の材料から形成されるパイプからなり、固定化部2と燃料電池1とを接続している。より具体的には、第2ライン21の一端は、固定化部2のヒータ11内の流路の流出口(図示せず)に接続されており、上記流路(図示せず)を介して、第1ライン20に連通している。一方、第2ライン21の他端は、例えば、特開2001−93556号公報(特許文献3)の燃料電池の構成においては、燃料電池の給水孔に接続されている。第2ライン21は、燃料電池1内に形成された冷却水路(図示せず)を介して、第1ライン20に連通している。また、第2ライン21の途中には、ラジエータ23が設けられている。
ラジエータ23は、第2ライン21を流れる熱媒体を冷却するものであって、例えば、表面に多数のフィンが形成された、公知のラジエータを適用することができる。
また、第2ライン21には、おけるラジエータ23を挟んで、バイパスライン25が接続されている。
バイパスライン25は、上記と同様の材料から形成されるパイプからなり、第2ライン21から分岐している。バイパスライン25の一端は、第2ライン21におけるラジエータ23の上流側に接続され、その他端は、第2ライン21におけるラジエータ23の下流側に接続されている。そして、バイパスライン25の一端と第2ライン21との接続部分には、サーモスタット24が設けられている。
サーモスタット24は、例えば、サーミスタ、熱電対などの公知の温度検知器を備えており、これら温度検知器により、第2ライン21を流れる熱媒体の温度を検知する。そして、サーモスタット24は、検知温度(熱媒体の温度)に応じて、内部の弁を、熱媒体が第2ライン21へ流れる方向(ラジエータ23が配置されている方向)か、あるいは、熱媒体がバイパスライン25へ流れる方向に選択的に切り替える。
なお、燃料電池システムS1において、原料供給ライン13、脱離液供給ライン16、燃料供給ライン18、および、循環ライン22には、そのレイアウトにもよるが、重力輸送が困難な場合などには、適宜、公知の送液ポンプが設けられる。また、ラジエータ23における冷却(熱交換)を補助する必要がある場合などには、適宜、公知の冷却ファンが設けられる。
II.作用効果
次に、第1実施形態の燃料電池システムS1の作用効果について詳述する。
燃料電池システムS1では、まず、原料側開閉弁14を、一定時間、一定開度で開放することにより、ヒドラジン貯留槽12から、ヒドラジンを、原料供給ライン13を介してケーシング7へ供給する。すると、ケーシング7内では、固定化樹脂の種類に対応した固定化条件によって、ヒドラジンが固定化部材8に固定化される。ヒドラジンを、燃料電池1に供給するまで(固定化部材8から脱離するまで)固定化部2に固定化させておくことができるので、ヒドラジンを安定して貯蔵することができる。その結果、ヒドラジンを安全に利用することができる。
次いで、脱離液側開閉弁17を、燃料電池1の運転条件に対応するように、一定時間、一定開度で開放することにより、脱離液貯留槽15から、水系脱離液を、脱離液供給ライン16を介してケーシング7へ供給する。すると、ケーシング7内では、固定化樹脂の種類に対応した脱離条件によって、ヒドラジンが固定化部材8から脱離される。
そして、燃料側開閉弁19を、燃料電池1の運転条件に対応するように、一定時間、一定開度で開放することにより、ケーシング7から、ヒドラジンを水系脱離液とともに、燃料供給ライン18を介して燃料電池1へ供給する。すると、燃料電池1では、上記したように、発電を生じるとともに、排水が排出される。
燃料電池1の運転中、燃料電池1、循環ライン22および固定化部2のヒータ11には、熱媒体が循環する。熱媒体は、燃料電池1においては、その内部に形成された冷却水路(図示せず)を流れる。このとき、熱媒体は、燃料電池1の運転により発生する熱の熱量を吸収(燃料電池1と熱交換)し、例えば、50℃〜80℃まで加熱される。そして、加熱された熱媒体は、第1ライン20を流れ、ヒータ11内の流路(図示せず)に流入する。
ヒータ11内では、熱媒体は、固定化部材8からヒドラジンを脱離させるために必要な熱量を放出(ケーシング7と熱交換)し、例えば、40℃〜60℃まで冷却される。その後、第2ライン21へ流出する。
そして、第2ライン21を流れる熱媒体は、サーモスタット24でその温度が検知される。サーモスタット24は、その検知温度(熱媒体の温度)が、燃料電池1の冷却のために適当な温度以下、例えば、40℃〜50℃であるか、あるいは、この温度より低い場合には、内部の弁を、熱媒体がバイパスライン25へ流れる方向に切り替える。こうして、第2ライン21を流れる熱媒体は、バイパスライン25へ流れ、ラジエータ23を経由せずに、再び燃料電池1内の流路に流入する。
一方、検知温度(熱媒体の温度)が、上記温度より高い温度である場合には、熱媒体をラジエータ23で冷却する必要がある。そのため、サーモスタット24は、内部の弁を、ラジエータ23が配置されている方向に切り替える。こうして、第2ライン21を流れる熱媒体は、ラジエータ23で、燃料電池1の冷却のために適当な温度(例えば、40℃〜50℃)まで冷却されて、再び燃料電池1内の流路に流入する。
以上のように、燃料電池システムS1では、燃料電池1の運転時に発生する熱の熱量を吸収した熱媒体が、例えば、50℃〜80℃の温度で燃料電池1から流出され、固定化部2で熱量を放出する(ケーシングと熱交換する)。そのため、ヒータ11での加熱を不要とすることができるか、または、ヒータ11での加熱を低減することができる。したがって、ヒータ11を設けることを不要とすることができるか、あるいは、加熱のためのランニングコストを低減することができる。なお、ケーシング7内を所望の温度にするための熱量として、熱媒体から放出される熱量だけでは不十分である場合には、ヒータ11内の熱媒流路に熱媒を循環させて、ケーシング7内の温度を適宜調整する。
また、固定化部2では、熱量の放出により、熱媒体が、例えば、40℃〜60℃の温度まで冷却されるので、燃料電池1の冷却前における、ラジエータ23での冷却を不要することができるか、あるいは、ラジエータ23での冷却を低減することができる。そのため、ラジエータ23を小型化することができ、システムの構築コストを低減することができる。
すなわち、燃料電池システムS1では、システム内における熱量の有効利用を図ることができる。その結果、燃料電池システムS1を、効率的かつ経済的なシステムとして構築することができる。
(第2実施形態)
I.装置構成
図2は、本発明の燃料電池システムの第2実施形態を示す概略構成図である。
図2において、第1実施形態の燃料電池システムS1と同様の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図2において、第2実施形態の燃料電池システムS2では、循環ライン22が燃料電池1と脱離液貯留槽15との間に接続されている。つまり、第1ライン20が、燃料電池1と脱離液貯留槽15とを接続している。一方、第2ライン21は、脱離液貯留槽15と燃料電池1とを接続している。
脱離液貯留槽15には、その外周面を被覆するヒータ26が設けられている。ヒータ26は、熱媒の循環により脱離液貯留槽15の温度を適宜調整できるジャケットなどから形成されている。また、ヒータ26内には、熱媒が循環する流路(図示せず)とは別に、熱媒体が循環するための流路(図示せず)が形成されている。この流路を介して、第1ライン20および第2ライン21は連通している。そのため、熱媒体は、燃料電池1、第1ライン20、ヒータ26および第2ライン21(バイパスライン25)を循環する。
II.作用効果
燃料電池システムS2では、燃料電池1の運転中、燃料電池1、循環ライン22および脱離液貯留槽15のヒータ26に、熱媒体が循環する。熱媒体は、燃料電池1においては、その内部に形成された冷却水路(図示せず)を流れる。このとき、熱媒体は、燃料電池1の運転により発生する熱の熱量を吸収(燃料電池1と熱交換)し、例えば、50℃〜80℃まで加熱される。そして、加熱された熱媒体は、第1ライン20を流れ、ヒータ26内の流路(図示せず)に流入する。
ヒータ26内では、熱媒体は、固定化部材8からヒドラジンを脱離させるために必要な熱量を放出(脱離液貯留槽15と熱交換)する。これにより、脱離液貯留槽15に貯留された水系脱離液が、例えば、40℃〜80℃まで加熱されるとともに、熱媒体が、例えば、40℃〜60℃まで冷却される。冷却された熱媒体は、その後、第2ライン21へ流出する。
そして、第2ライン21を流れる熱媒体は、サーモスタット24の検知温度により、ラジエータ23を経由するか、あるいは、バイパスライン25を経由して、再び燃料電池1内の冷却水路に流入する。
以上のように、燃料電池システムS2では、燃料電池1の運転時に発生する熱の熱量を吸収した熱媒体が、例えば、50℃〜80℃の温度で燃料電池1から流出され、この熱媒体によって、水系脱離液が加熱されるので、ヒータ26での加熱を不要とすることができるか、または、ヒータ26での加熱を低減することができる。そのため、ヒータ26を設けることを不要とすることができるか、あるいは、加熱のためのランニングコストを低減することができる。なお、脱離液貯留槽15内を所望の温度にするための熱量として、熱媒体から放出される熱量だけでは不十分である場合には、脱離液貯留槽15内の熱媒流路に熱媒を循環させて、脱離液貯留槽15内の温度を適宜調整する。
また、脱離液貯留槽15では、熱量の放出により、熱媒体が、例えば、40℃〜60℃まで冷却されるので、燃料電池1の冷却前における、ラジエータ23での冷却を不要することができるか、あるいは、ラジエータ23での冷却を低減することができる。そのため、ラジエータ23を小型化することができ、システムの構築コストを低減することができる。
すなわち、燃料電池システムS2では、システム内における熱量の有効利用を図ることができる。その結果、燃料電池システムS2を、効率的かつ経済的なシステムとして構築することができる。
(車載する実施形態)
図3は、図1に示す第1実施形態の燃料電池システムS1を、車両に搭載したときの概略説明図である。
図4は、図2に示す第2実施形態の燃料電池システムS2を、車両に搭載したときの概略説明図である。
なお、図3および図4において、上記と同様の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3および図4において、燃料電池システムS1およびS2を車載する場合には、ヒドラジン供給部3では、ヒドラジン貯留槽12は装備されず、原料供給ライン13(原料側開閉弁14は装備されない。)のみが装備される。原料供給ライン13の上流側は、車両35の後側の供給口36へ接続されている。なお、供給口36は、常時は蓋により閉塞されている。
この場合、ヒドラジン貯留槽12は、原料補給ステーションに装備される。車両において、固定化部2で固定化されているヒドラジンがエンプティ状態となったときには、原料補給ステーションにおいて、ヒドラジン貯留槽12からのヒドラジンが、供給口36から原料供給ライン13へ注入される。
車両35において、燃料電池1は、車両35の前側に配置されている。燃料電池1は、モータ(図示せず)と電気的に接続されており、燃料電池1で発電された電力は、モータに送電され、モータによって、車両35の駆動力に変換される。
また、ケーシング7は、車両35の前後方向中央に配置されている。また、脱離液貯留槽15は、ケーシング7の上方に配置されている。
また、ラジエータ23は、燃料電池1の前方、より具体的には、車両35の最前部に配置されている。ラジエータ23を車両35の最前部に配置することにより、走行中、ラジエータ23は、車両35の速度が増した分だけ向かい風を強く受けるので、熱媒体を効率よく冷却することができる。
燃料電池システムS1およびS2が、車載される場合には、例えば、停車時(発電停止時)に、原料補給ステーションでヒドラジンを補給して、ヒドラジンを固定化部材8に固定化しておき、走行時(発電時)に、脱離液貯留槽15から水系脱離液をケーシング7に供給して、ヒドラジンを脱離させ、燃料電池1へ供給する。
なお、車載される場合には、原料供給ライン13を設けずに、ケーシング7を車両35に対して着脱自在に装着できるカートリッジ方式とすることもできる。
具体例
以下に、上記した固定化樹脂の具体例を説明するが、本発明は、何ら具体例に制限されない。
具体例1(炭化水素系アミド架橋固定化樹脂(固定基:ケトン基))
1)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂の合成
メチルビニルケトン20g、p−スチレンスルホン酸Na59g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド2.3g、イオン交換水79gを均一に混合して重合水溶液を作製し、重合槽に投入した。重合水溶液に窒素ガスを導入して、重合水溶液中の溶存酸素量を0.2ppmにし、また、溶液温度を5℃にした。
この重合水溶液に、0.1%過酸化水素10g、0.1%アスコルビン酸水溶液5g、V−50(アゾ系重合開始剤、和光純薬工業社製)2.3gを添加した。約20分後に重合開始を示す温度上昇が確認された。その後、温度を65℃に昇温し、その温度で約8時間重合を継続して含水ゲル状重合体を得た。
得られた含水ゲル状重合体を、ミートチョッパーを用いて小片に粉砕し、得られた小片含水ゲル重合体を、通気熱風乾燥機(井上金属工業社製)を用いて、供給風温120℃、風速1.5m/秒の条件下で70分間通気乾燥して、水分含量が約4%の乾燥物を得た。
乾燥物を、家庭用ミキサーで粉砕し、篩別して22メッシュの金網(径:710μm)を通過し、100メッシュの金網(径:125μm)を通過しない部分を採取して、親水性固定化樹脂(炭化水素系アミド架橋固定化樹脂(固定基:ケトン基))を得た。
この親水性固定化樹脂の吸収倍率は、9倍であった。なお、吸収倍率は、250メッシュのナイロン網で作製したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に親水性固定化樹脂1gを入れ、生理食塩水(NaCl濃度0.90%のイオン交換水溶液)中に60分間浸漬した後、15分間吊るして水切りしてから、余剰水を取り除き、遠心脱水後の増加質量を測定することにより求めた。
2)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
上記1)で得られた親水性固定化樹脂に、その樹脂2g中に含有するケトン基の2倍のモル数のヒドラジンを含有する100%ヒドラジンヒドラートを添加して、60分間攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、親水性固定化樹脂を得た。
反応終了後、イソプロピルアルコール40mlを添加し、1時間攪拌後に濾過洗浄し、親水性固定化樹脂を濾過により分離して減圧乾燥した。濾液のイソプロピルアルコール中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、遊離ヒドラジンが45.9%であった。つまり、固定化されたヒドラジンは、54.1%であった。これは、樹脂の最初のケトン基を基準とすると、108.2%のヒドラジン吸着率に相当する。
3)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂のヒドラジンの脱離
3−1)アルカリによる脱離
上記2)で得られた親水性固定化樹脂0.8gを、1N−KOH水溶液に室温で分散して、攪拌した。1N−KOH水溶液中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、72.1%であった。
3−2)再固定化
上記3−1)でヒドラジンを脱離した親水性固定化樹脂に、その樹脂0.6g中に含有するケトン基の2倍のモル数のヒドラジンを含有する100%ヒドラジンヒドラートを添加して、60分間攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、再度、親水性固定化樹脂を得た。
反応終了後、イソプロピルアルコール40mlを添加し、1時間攪拌後に濾過洗浄し、親水性固定化樹脂を濾過により分離して減圧乾燥した。濾液のイソプロピルアルコール中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、遊離ヒドラジンが64.8%であった。つまり、固定化されたヒドラジンは、ケトン基を基準として、50.8%であった。これは、再固定化前の残存ケトン基に対するヒドラジンの変換率として、70.4%に相当する。
3−3)水による脱離
上記2)で得られた親水性固定化樹脂0.8gを、水に室温で分散して、攪拌した。水中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、固定化されているヒドラジンの72.8%の脱離を確認した。これは、最初のケトン基に対するヒドラジンの変換率として、78.8%に相当する。
具体例2(炭化水素系アミド架橋固定化貯蔵樹脂(固定基:ケトン基))
1)炭化水素系アミド架橋固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
具体例1の1)で得られた親水性固定化樹脂に、その樹脂に含有するケトン基と等モル数のヒドラジンを添加し、具体例1の2)と同様の操作を行った。その結果、濾液のイソプロピルアルコール中のヒドラジン量が13.9%であった。つまり、固定化されたヒドラジンは、86.1%であった。これは、樹脂の最初のケトン基を基準とすると、86.1%のヒドラジン吸着率に相当する。
2)炭化水素系アミド架橋固定化貯蔵樹脂のヒドラジンの脱離
上記1)で得られた親水性固定化貯蔵樹脂0.8gを、1N−KOH水溶液に室温で分散して、攪拌した。1N−KOH水溶液中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、18.8%であった。これは、最初のケトン基を基準とすると、21.8%のヒドラジンの脱離に相当する。
具体例3(炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂)
1)炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂の合成
N,N′−メチレンビスアクリルアミドに代替して、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルを用いた以外は、具体例1の1)と同様の操作により、親水性固定化樹脂(炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂)を得た。
この親水性固定化樹脂の吸収倍率は、0.1倍であった。
2)炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂に対するヒドラジンの固定化
上記1)で得られた親水性固定化樹脂に、その樹脂2g中に含有するケトン基と等モル数のヒドラジンを含有する100%ヒドラジンヒドラートを添加して、60分間攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、親水性固定化樹脂を得た。
反応終了後、イソプロピルアルコール40mlで洗浄し、親水性固定化樹脂を濾過により分離して減圧乾燥した。濾液のイソプロピルアルコール中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、遊離ヒドラジンが13.0%であった。つまり、固定化されたヒドラジンは、87.0%であった。
3)炭化水素系エーテル架橋固定化樹脂のヒドラジンの脱離
上記2)で得られた親水性固定化樹脂0.8gを、1N−KOH水溶液に室温で60分間、分散して、攪拌した。その後、メタノール40mlを添加して、親水性固定化樹脂をゲル化させた後、濾過分離して、濾液のアルコール溶液中のヒドラジンを、HPLCで定量した結果、固定化されているヒドラジンの19.4%の脱離を確認した。これは、最初のケトン基に対するヒドラジンの変換率として、22.3%に相当する。
具体例4(炭化水素系アミド架橋固定化樹脂(固定基:アルデヒド基))
アクロレイン16g、p−スチレンスルホン酸Na59g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド2.3g、イオン交換水79gを均一に混合して重合水溶液を作製し、重合槽に投入した。重合水溶液に窒素ガスを導入して、重合水溶液中の溶存酸素量を0.2ppmにし、また、溶液温度を5℃にした。
この重合水溶液に、0.1%過酸化水素10g、0.1%アスコルビン酸水溶液5g、V−50(アゾ系重合開始剤、和光純薬工業社製)2.3gを添加した。約20分後に重合開始を示す温度上昇が確認された。その後、温度を65℃に昇温し、その温度で約8時間重合を継続して水溶性重合体からなる親水性固定化樹脂(炭化水素系アミド架橋固定化樹脂(固定基:アルデヒド基))を得た。
この親水性固定化樹脂に含有されているアルデヒド基と等量のモル数の60%ヒドラジンヒドラート水溶液を添加して30分攪拌反応させることにより、親水性固定化樹脂にヒドラジンを固定化し、これによって、親水性固定化樹脂を得た。この反応液にメタノール100gを添加し、攪拌して、固化する親水性固定化樹脂を濾過分離して減圧下乾燥した。濾液のメタノール中のヒドラジンを、ヨード滴定法で定量したが、遊離ヒドラジンを検出できなかった。つまり、固定化された(反応してヒドラゾンになった)ヒドラジンは、100%であった。
次いで、分離乾燥した親水性固定化樹脂に水を添加して攪拌し、分子量1000以下の分子を通過する分子篩膜を用いて親水性固定化樹脂を分離した。濾過液を、HPLCで定量した結果、ヒドラゾンとして固定化されているヒドラジンの97.7%に相当する遊離のヒドラジンを検出した。
具体例5(アクリルアミド系固定化樹脂)
アクリルアミド10gと水25.9mlとを混合してアクリルアミド水溶液を調製し、そのアクリルアミド水溶液に35%過酸化水素4.1gを加えて、85〜90℃で16時間攪拌した。反応液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾過して分離した。その後、乾燥してポリアクリルアミドを得た(平均分子量:22,000)。
得られたポリアクリルアミド10gと水17mlとを混合してポリアクリルアミド水溶液を調製し、そのポリアクリルアミド水溶液に100%ヒドラジンヒドラート21.12gを加えて80〜85℃で15時間攪拌した。反応液を10倍量のメタノール中に注入し、析出した白色沈殿物を濾別し、乾燥してポリアクリル酸ヒドラジッド(アクリルアミド系固定化樹脂)を得た。得られたポリアクリル酸ヒドラジッドの平均分子量は23,000であり、ヒドラジッド化率は82%であった。
このポリアクリル酸ヒドラジッドを、ポリアクリル酸ヒドラジッドのモル数以上の1N−KOH水溶液に溶解した。すると、ヒドラジッドが加水分解されてヒドラジンヒドラートが遊離した。その後、HPLC分析した結果、ヒドラジッドとして固定化されているヒドラジンの14.7%に相当する遊離のヒドラジンを検出した。なお、ポリアクリル酸ヒドラジッドは、ポリアクリル酸カリウムに変換された。
具体例6(ビニルアルコール系固定化樹脂)
500mlの三つ口フラスコに、攪拌機、コンデンサーおよび温度計を装備し、酢酸ビニル86gと、p−アセチルメチレンオキシスチレン152gと、メタノール50mlを仕込み、攪拌しながら湯浴温度を60〜63℃に上昇させた。
フラスコ内で混合液が沸騰して還流するのを確認してから、予めメタノール10gに溶解させておいたAIBN(アゾビスイソブチロニトリル、大塚化学社製)0.10gを加えた。直ちに発泡して重合が開始された。そのまま5時間重合して、微量のジニトロベンゼン(重合停止剤)を加えて重合を停止した。
次いで、メタノールを滴下しながら加熱を継続し、未反応のモノマーを留去した。重合物を含む溶液を、大量の水の中に注入して重合物を沈殿させた。沈殿物を濾過して希釈メタノールおよび水で洗浄し、固形物をメタノールに溶解して、その溶液に1N−KOH溶液を滴下して、十分に攪拌してケン化し、酢酸カリウムとして除去した。ケン化された重合物を含む溶液を、大量の氷水に注入して重合物(固形物)を単離した。
単離した重合物を減圧乾燥し、p−アセチルメチレンオキシスチレンが完全に反応したと仮定して、それと等量のモル数の60%ヒドラジンヒドラートを加えて5時間攪拌した。反応液をメタノールで洗浄し、濾過後、減圧乾燥して、ビニルアルコール系固定化樹脂を得た。濾液中のヒドラジンヒドラートをヨード滴定により定量した結果、ビニルアルコール系固定化樹脂中に含まれるケトン基の理論量の43.8%が、ヒドラゾンとして固定化されていることが確認された。
このビニルアルコール系固定化樹脂に、1N−KOHを添加して攪拌した。その後、ヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンの88.1%に相当する遊離のヒドラジンを検出した。
具体例7(ポリエステル系固定化樹脂)
精留塔を備えた500mlの三つ口フラスコに、テレフタル酸75.5g、アセチルエチルエチレングリコール101.6g、チタン酸テトラ−n−ブチルエステル0.075g、ブチルヒドロキシスズオキシド0.03gを仕込んだ。
混合物をよく攪拌し、220〜250℃に保ちながら生成した水を留去し、反応混合物が透明になるまでエステル化させた。この生成物とチタン酸テトラ−n−ブチルエステル0.02gをオートクレーブに入れて混合し、減圧下(1mmHg)、250℃で2時間加熱した。得られた縮合物を、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)に溶解し、大量の水の中に強い攪拌下、投入すると縮合物が沈殿した。縮合物を濾別し、メタノールで洗浄して減圧下乾燥した。
この縮合物に、ケトン基(理論量)と等モル数の60%ヒドラジンヒドラートを加えて、1昼夜攪拌した。メタノールを加えて縮合物を濾別し、さらにメタノールで洗浄して、減圧下乾燥することにより、ポリエステル系固定化樹脂を得た。濾液のメタノール中のヒドラジンヒドラートを、ヨード滴定法で定量した結果、遊離ヒドラジンヒドラートが72.8%であった。つまり、固定化されたヒドラジンヒドラートは、27.2%であった。
ポリエステル系固定化樹脂を、1N−KOH水溶液に分散して1時間攪拌した。その後、ポリエステル系固定化樹脂を濾別して、濾液のヒドラジンをヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンの80.5%に相当する遊離のヒドラジンを検出した。
具体例8(ポリアミド系固定化樹脂−1)
窒素導入管および減圧用コックが装備された試験管中で、4,4′−ジアミノジフェニルメタン9.91gと、セバチン酸10.62gとを仕込み、その混合物を窒素気流下285℃に加熱して溶融させた。次に、反応系を1.33kPa程度に減圧し、1時間反応させた後、再び窒素気流下常圧で室温まで冷却した。その後、試験管を破壊し、得られたポリアミドを粉砕機で粉砕した。粉砕された粉末をN−メチルピロリドンに溶解させ、水で洗浄した。この溶液を、多量のメタノールに投入すると縮合物の粉末が析出した。この縮合物をN−メチルピロリドンに溶解して、縮合物と2倍等量のモル数のホルマリンと塩酸を添加して、5時間攪拌反応した(これにより、4,4′−ジアミノジフェニルメタンに対し2つのクロルメチルが導入された。)この反応物を多量のメタノールに投入して、クロルメチル化された縮合物の粉末を得た。
この縮合物をN−メチルピロリドンに溶解して、4,4′−ジアミノジフェニルメタンに対し過剰のアセトンを添加し、さらに、4,4′−ジアミノジフェニルメタンの2倍等量のモル数の1N−KOH水溶液を攪拌下滴下した。反応終了後、大量のメタノールに反応液を投入して、縮合物の粉末を得た。この縮合物は、芳香環−脂肪酸ポリアミドの芳香環に平均1つのアセチルエチル基が導入された。
この縮合物の粉末に、カルボニル基と等量のモル数の60%ヒドラジンヒドラートを添加して2時間攪拌し、メタノールに投入した。すると、ヒドラゾン基を有する粉末沈殿物を得た。この固形物を濾別して減圧下乾燥して、ヒドラジン脱離基(ヒドラゾン基)を有するポリアミド系固定化樹脂を得た。
具体例9(ポリアミド系固定化樹脂−2)
具体例8と同様の操作により、クロルメチル化された縮合物の粉末を得た。その後、この縮合物のクロルメチル基と等モル数の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、2時間攪拌し、メタノールに投入して、ヒドラジノメチル基を有する沈殿物(ポリアミド系固定化樹脂)を得た。この沈殿物を、ヨード滴定法で定量すると、理論計算量の76.8%に相当するヒドラジノ基が確認された。
具体例10(ポリエーテル系固定化樹脂−1)
攪拌機、酸素導入管、温度計を備えた500mlの三つ口フラスコを30℃の水浴中に置き、これに、ニトロベンゼン200ml、ピリジン70ml、塩化第一銅1gを加えた。激しく攪拌しながら酸素を吹き込み、2,6−ジメチルフェノール15gを加えた。温度が33℃に上昇し、反応混合物が粘性を帯びるようになった。さらに、反応を12分間継続した後、クロロホルム100mlで希釈し、濃塩酸3mlを含むメタノール1.1lに投入した。析出した縮合物を濾別し、メタノール250ml、濃塩酸10mlを含むメタノール250ml、メタノール250mlの順で洗浄した。さらに、縮合物をクロロホルム500mlに溶解し、濃塩酸3mlを含むメタノール1.2l中に投入して、再沈殿させた。得られた縮合物をメタノール洗浄後、110℃3時間減圧乾燥した。これにより、ポリフェニレンエーテルを得た。収率は91%であり、平均分子量は28000であった。
このポリフェニレンエーテル10gをクロロホルム100mlに溶解させ、攪拌下、ポリフェニレンエーテル中の芳香環の4倍モル等量のホルマリンを添加し、次いで濃塩酸を滴下した。さらに2時間攪拌した後、大量のメタノールに投入した。すると、ポリフェニレンエーテルの芳香環がクロルメチル化された固体(高分子)が析出した。
この固体を濾別して、メタノールで洗浄した後、減圧下乾燥した。この固形物をクロロホルムに溶解して高分子中の芳香環の4倍モル数のアセトンと苛性ソーダを加えて、2時間攪拌した。反応液に大量のメタノールに投入して、高分子の芳香環にアセチルエチル基が導入された固形物を得た。これを濾別した後、減圧下乾燥した。この固形物に、上記反応の理論量に相当する60%ヒドラジンヒドラートを添加して3時間攪拌し、その後、メタノールで洗浄して濾過し、濾別された固形物を減圧乾燥することにより、ポリエーテル系固定化樹脂を得た。濾液のメタノール中のヒドラジンをヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンは、51.5%であることが確認された。
具体例11(ポリエーテル系固定化樹脂−2)
具体例10と同様の操作により、クロルメチル化された固体(高分子)を得た。その後、この高分子の芳香環の4倍モル等量の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、3時間攪拌し、メタノールに投入して、ヒドラジノメチル基を有する沈殿物(ポリエーテル系固定化樹脂)を得た。この沈殿物を、ヨード滴定法で定量すると、理論計算量の68.6%に相当するヒドラジノ基が確認された。
具体例12(ポリエーテルケトン系固定化樹脂)
攪拌機、窒素導入管および排出管を備えた1lのステンレス製反応管に、4,4′−ジクロロベンゾフェノン125g、微粉末炭酸ナトリウム59.2g、触媒としてシリカ(アエロジル)10g、塩化第二銅0.27gおよび溶媒としてジフェニルスルホン300gを加えた。
反応系を窒素置換した後、混合物を200℃まで昇温し、再度窒素置換した後、攪拌を開始した。昇温して280℃で2時間、300℃で1時間、320℃でさらに2時間反応させた。縮合中には少量の窒素を流下させた。反応終了後、冷却し固化した縮合物を取り出した。この固形物(縮合物)をミキサーで粉砕した後、アセトン、4%苛性ソーダ、水で数回洗浄し溶媒と触媒を除去した。この固形物を乾燥すると、定量的に芳香族ポリエーテルケトンの粉末が得られた。
この粉末10gを100mlのジメチルスルホキシドに分散して、超高圧衝突粉砕機(ジェットマイザー、スギノマシン社製)で平均粒子径300nmの微粉に粉砕した。この微粉を含む分散液を、計算値から得られる縮合物中のカルボニル基に相当するモル等量の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、一昼夜100℃で攪拌し、縮合物を濾別し、アセトン、水で洗浄し乾燥した。これによって、ポリエーテルケトン系固定化樹脂を得た。
次いで、ポリエーテルケトン系固定化樹脂に、1N−KOHを添加して60℃で2時間攪拌した。その後、ヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンの28.9%に相当する遊離のヒドラジンを検出した。
具体例13(ポリチオエーテル系固定化樹脂−1)
攪拌機を装備する内容積2Lのオートクレーブに、N−メチルピロリドン480g、硫化ナトリウム2.7gを仕込み、攪拌下加熱して、内温が120℃に到達するまで脱水した。79.3gの主として水からなる留出液が留去した。この際、0.069モルの硫化ナトリウムが硫化水素に分解して、消失した。
次いで、p−ジクロルベンゼン2.0モルおよびN−メチルピロリドン150gを添加し、攪拌1時間かけて250℃まで昇温し、さらに250℃で3時間反応させた後、一部スラリーをサンプリングして分析した。転化率は100%であった。引き続きN−メチルピロリドン150gを添加し、250℃で15分間攪拌下保持した後、冷却して反応を停止した。得られたスラリーをメタノール、温水で十分洗浄した後、100℃で一晩乾燥し、固形物(ポリフェニレンスルフィド)を得た。得られた固形物の粒度は、22メッシュ以下であった。
得られたポリフェニレンスルフィドを、ジメチルスルホキシドに溶解し、ポリフェニレンスルフィド中に含有される芳香環の分子数に相当する等量のモル数のホルマリンおよび塩酸を滴下して、クロルメチル化した。反応液を大量のメタノールに投入して、固形物を得た。固形物を濾別、メタノール、水、メタノールで洗浄し一昼夜減圧乾燥した。得られた固体をジメチルスルホキシドに溶解して、クロルメチル基のモル数以上のアセトンを添加し、次いで、等モルの苛性ソーダ水溶液を添加して60℃で5時間攪拌し、反応液を大量のメタノールに投入して固形物を得た。固形物を濾別してメタノール、水、メタノールで十分に洗浄した。固形物を減圧下一昼夜乾燥した。得られた固形物が、アセチルエチル基がポリフェニレンスルフィドの芳香環に導入された高分子であることを、IR,NMRにより確認した。
この高分子を、ジメチルスルホキシドに溶解し、カルボニル基と等モルの60%ヒドラジンヒドラートを添加して10時間攪拌した。分離してきた固形物を濾別し、メタノールで洗浄し、ポリチオエーテル系固定化樹脂を得た。濾液のメタノール中のヒドラジンをヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンは、60.3%であることが確認された。
次いで、ポリチオエーテル系固定化樹脂に、1N−KOHを添加して攪拌した。その後、ヨード滴定した結果、固定化されているヒドラジンの42.9%に相当する遊離のヒドラジンを検出した。
具体例14(ポリチオエーテル系固定化樹脂−2)
具体例13と同様の操作により、クロルメチル化された固形物を得た。その後、この固形物を、ジメチルスルホキシドに溶解し、固形物のクロルメチル基と等モル数の60%ヒドラジンヒドラートを添加して、5時間攪拌し、メタノールに投入して、ヒドラジノメチル基を有する沈殿物(ポリチオエーテル系固定化樹脂)を得た。この沈殿物を、HPLCで定量すると、理論計算量の58.5%に相当するヒドラジノ基が確認された。
具体例15(アクリルアミド系固定化樹脂から脱離されたヒドラジンを燃料とする燃料電池の燃料側電極の活性測定)
1)試験溶液および標準液の調製
具体例5で得られたポリアクリル酸ヒドラジッド2gに1N−KOHを38g添加して、ポリアクリル酸ヒドラジッドの5重量%1N−KOH水溶液を調製し、70℃で30分間加熱溶解した後、室温まで冷却して、試験溶液とした。
2)燃料側電極の活性測定
電気化学アナライザ(BAS株式会社製)を用い、LSV(リニアスイープボルタンメトリー)により、燃料側電極の活性を、以下の測定条件で測定した。結果を図5に示す。
図5に示すように、上記1)で調製した試験溶液から遊離したヒドラジンを燃料として、酸化電流が発生していることがわかる。
活性測定条件:
試験溶液: 5重量%ポリアクリル酸ヒドラジッド/1N−KOH水溶液
燃料側電極 Co(コバルト)電極(BAS株式会社製)
参照電極 Ag/AgCl(銀−塩化銀)電極(BAS株式会社製)
対極 Pt(白金)電極(BAS株式会社製)
溶液温度 30℃
走査範囲 走査速度
前処理 −1.6〜0.6V 前処理 0.1V/s
ブランク測定 −1.6〜0V ブランク測定 0.02V/s
活性測定 −1.6〜0V 活性測定 0.02V/s
なお、各測定前にAr(アルゴン)ガスによるバブリングを行なった。
本発明の燃料電池システムの第1実施形態を示す概略構成図である。 本発明の燃料電池システムの第2実施形態を示す概略構成図である。 図1に示す第1実施形態の燃料電池システムを、車両に搭載したときの概略説明図である。 図2に示す第2実施形態の燃料電池システムを、車両に搭載したときの概略説明図である。 具体例15における燃料側電極の活性測定の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 燃料電池
2 固定化部
4 脱離液供給部
6 循環部
7 ケーシング
8 固定化部材
9 攪拌機
10 フィルタ
11 ヒータ
15 脱離液貯留槽
16 脱離液供給ライン
17 脱離液側開閉弁
20 第1ライン
21 第2ライン
22 循環ライン
23 ラジエータ
24 サーモスタット
25 バイパスライン
26 ヒータ

Claims (3)

  1. ヒドラジンが燃料として供給される燃料電池と、
    前記燃料電池に供給するためのヒドラジンを脱離して前記燃料電池に供給する供給部と、
    熱媒体を、前記燃料電池から前記供給部へ流すための第1ライン、および、前記供給部から前記燃料電池へ流すための第2ラインを有する循環ラインと、
    前記第2ラインの途中に設けられるラジエータと
    を備えることを特徴とする、燃料電池システム。
  2. 前記供給部は、ヒドラジンを固定化または脱離する固定化部と、前記固定化部で固定化されているヒドラジンを脱離させるための水系脱離液を、前記固定化部へ供給する脱離液供給部と、を備え、
    前記第1ラインおよび前記第2ラインが、前記燃料電池と前記固定化部との間を接続していることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記供給部は、ヒドラジンを固定化または脱離する固定化部と、前記固定化部で固定化されているヒドラジンを脱離させるための水系脱離液を、前記固定化部へ供給する脱離液供給部と、を備え、
    前記第1ラインおよび前記第2ラインが、前記燃料電池と前記脱離液供給部との間を接続していることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012007108A (ja) * 2010-06-25 2012-01-12 Mitsubishi Chemicals Corp ヒドラジン含有ゲル化物及びこれを用いたヒドラジンの生成方法
JP2014072092A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Daihatsu Motor Co Ltd 燃料電池システムの冷却制御装置

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