JP2009062428A - 良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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板倉  啓太
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Abstract

【課題】成形外観が良好で、軽量、機械的強度に優れ、かつ燃焼時に無機フィラー由来の残渣成分が無いという射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリプロピレン(A1)40〜80重量%、プロピレン系ブロックポリマー(A2)1〜10重量%、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)10〜50重量%、エラストマー成分(C)10〜30重量%から構成される、射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。但し(A2)はポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマーの重合体残基であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結ばれている。
【選択図】なし

Description

本発明は、成形体のウェルド、フローマーク、表面平滑性等の成形外観が良好で、軽量(低比重)、機械強度に優れ、かつ燃焼時に無機フィラー由来の残渣成分が無いという特徴を有する、射出成形体用プロピレン系樹脂組成物、及び該樹脂組成物から得られる成形体に関する。
ポリプロピレンは軽量かつ機械的強度に優れていることから、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、家電製品、機械部品、電気部品、自動車部品など、種々の分野で利用されている。特に自動車部品では、バンパー、インパネ等に代表されるように、ポリプロピレンの使用比率が高まってきている。バンパー、インパネ等の大型射出成形部品では、十分な機械的強度を得る為に、ポリプロピレン/エラストマー/無機フィラーからなる組成物が使用されることが多く、コーナーランプ部や各種メーター部の周辺にウェルドラインと呼ばれる溶融樹脂が合流した形跡が残る場合がある。ウェルドラインはバンパー、インパネの意匠性低下をもたらす為、ウェルドラインの箇所だけ部分的に塗装する等の処理を施した後、製品として使用される場合が多い。
特許文献1では、ウェルドラインを改良させる方法として、プロピレン系ブロック共重合体、ゴムと無機フィラーからなる樹脂組成物を有機過酸化物処理したプロピレン系樹脂組成物が開示されている。しかし、有機過酸化物処理を行う為、剛性等の機械強度が低下することがあった。また無機フィラーを含有するので、材料のサーマルリサイクルを阻害する要因もなっていた。
自動車の燃費向上、製造工程での二酸化炭素低減等の環境問題を背景に、自動車部品はモジュール化による軽量化、形状の複雑化のみならず、使用後の成形体のサーマルリサイクルが進んでいくことが予想されることから、ウェルドラインが更に目立ちにくく、無機フィラーを含まない軽量かつ十分な機械強度を保持できる成形体が望まれていた。
特開平11−279369号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物に関し、更に詳しくはウェルド、フローマーク等の成形外観が良好で、軽量、機械的強度に優れ、かつ燃焼時に無機フィラー由来の残渣成分が無い、射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を提供することを目的としている。
本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン(A1)40〜80重量%、プロピレン系ブロックポリマー(A2)1〜10重量%、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)10〜50重量%、エラストマー成分(C)0〜30重量%から構成され[(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%]、下記要件[1]、[2]、[3]及び[4]を同時に満たすことを特徴とする。
[1]プロピレン系ブロックポリマー(A2)がポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマーの重合体残基
であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結ばれている。
[2]230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜100g/10minである。
[3]ポリプロピレン(A1)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、10〜100g/10minである。
[4]ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、5〜50g/10minである。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形体は、ウェルド、フローマークなどの成形外観が良好であり、かつ軽量、機械的強度に優れることから自動車部品、家電部品等に好適に使用できる。また、使用後の成形体を燃焼させた場合であっても無機フィラー由来の残渣成分を発生しないことから、サーマルリサイクルにも適した環境適合性の高い成形体である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明にかかる良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン(A1)、プロピレン系ブロックポリマー(A2)、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)、エチレン系共重合体(C)から構成されている[但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%]。
良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物
本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物は、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従って測定した、メルトフローレート(MFR)は、5〜80(g/10min)の範囲にあり、好ましくは5〜50(g/10min)、更に好ましくは7〜20(g/10min)の範囲にある。MFRが5(g/10min)未満の場合は射出成形時の流動性が低下し、80(g/10min)を超えると射出成形体の機械強度が低下するので好ましくない。
また、良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られた成型品は、後述する分析法[m4]によって測定されるウェルド長が8.0cm未満であり、後述する
分析法[m5]によって測定されるフローマーク発生距離が15.0cm以上である。この
ような成型品は、ウェルド、フローマーク外観が良好であり、かつ軽量、機械的強度(耐衝撃性)に優れる。
さらに、成型品は、曲げ強度が高く、かつ大変形時に発生する応力が大きく、弾性回復領域が広いため、たとえば、本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を自動車外装部品に使用した場合、軽衝突時の部品変形後も弾性回復しやすく、衝突時のエネルギーを適切に吸収するので歩行者保護に有利等の利点がある。また、成型品は、低荷重繰り返し歪み負荷下での破断特性に優れる。従って、構造部品としての長期信頼度が高いといえ、長期応力負荷に対する耐久性が高いことから、本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物は、たとえば、エンジンファン、携帯電話部品等の繰り返し応力負荷がかかりやすい部品にも好適に使用することができる。
以下、各成分について詳細に述べる。
ポリプロピレン(A1)
本発明に関わるポリプロピレン(A1)は、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンまたはα−オレフィンとの共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体である。α−オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。
ポリプロピレン(A1)のメルトフローレート(MFR)は、10〜100(g/10min)の範囲にあり、好ましくは15〜80(g/10min)、更に好ましくは20〜50(g/10min)の範囲にある。MFRが10(g/10min)未満の場合は射出成形時の流動性が悪化し、100(g/10min)を超えるとビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体の分散性が低下し、曲げ強度や耐衝撃性が悪化するので好ましくない。なお、ポリプロピレン(A1)を高流動化しても、本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を射出成形して得られる成形体の機械物性を保持することでき、一方で、成形体のウェルド外観およびフローマーク外観(後述)を改良することができる。
ポリプロピレン(A1)は、高剛性と高耐衝撃性の両立の観点から、プロピレン単独重合体又はプロピレン−エチレンブロック共重合体であることが好ましい。これらポリプロピレン(A1)は、単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
ポリプロピレン(A1)は、融点が150〜170℃、好ましくは155〜167℃である。また、13C−NMRで測定されるプロピレン単独(共)重合体部のアイソタクチックペンダット分率(mmmm)が96.0%以上、好ましくは96.5%以上、さらに好ましくは97.0%以上である。ポリプロピレン(A1)中のプロピレン単独(共)重合体部のmmmm分率が96.0%より低いと、曲げ弾性率および/または耐熱性が低下する場合がある。
本発明の良成形外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物において、ポリプロピレン(A1)の添加量は40〜80重量%、好ましくは50〜70重量%である。
プロピレン系ブロックポリマー(A2)
本発明で用いられるプロピレン系ブロックポリマー(A2)は、ポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノ
マーの重合体残基であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合した構造を有する。プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)が、ブロック(a)一分子鎖当たり0.5〜5個結合していることが好ましい。またプロピレン系ブロックポリマー(A2)は、組成や分子量の異なる複数のブロック(a)およびブロック(b)を有していても良い。
プロピレン系ブロックポリマー(A2)は、ブロック(a)を20〜99.9重量%、好ましくは30〜90重量%、更に好ましくは40〜70重量%、ブロック(b)を0.1〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは30〜60重量%の量で含有している(ただし、ブロック(a)とブロック(b)の合計を100重量%とする)。
ブロック(a)、(b)の含有量が上記範囲内にあると、プロピレン系ブロックポリマー(A2)の相溶化剤としての性能が向上し、島相の分散粒径が微細化し、機械的強度が向上する。
プロピレン系ブロックポリマー(A2)は、MFR(230℃、2.16kg荷重)が、0.01〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
ここに、ブロック(a)はポリプロピレンをハロゲン化して得られるハロゲン変性ポリプロピレン(a’)に由来するセグメントとすることができる。また、ブロック(b)は、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーの単独重合体または共重合体である。
本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物において、プロピレン系ブロック
ポリマー(A2)の添加量は1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%である(但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%とする)。添加量が、上記範囲を下回ると成形品の層剥離が生じやすくなる点から好ましくなく、上回ると製造コストが高くなる点から好ましくない。
<ブロック(a)>
プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(a)は、ポリプロピレン(共)重合体(a’’)をハロゲン化して得られるハロゲン変性ポリプロピレン(a’)に由来するセグメントとすることができる。ブロック(a)の融点は150〜170℃、好ましくは155〜165℃である。ブロック(a)の数平均分子量は、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000の範囲である。
<ブロック(b)>
プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)の数平均分子量は、2,000〜200,000、好ましくは5,000〜150,000、さらに好ましくは10,000〜100,000の範囲である。数平均分子量が200,000より高いと、ポリプロピレン(A1)とビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)との間での分子鎖同士のからみ合いが少なくなり、機械的強度が低下する。
ブロック(b)は、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマ
ーの重合体残基であり、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーの単独重合体または共重合体である。なお、溶解度パラメーターがこの範囲である時、成形体に、優れた、耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)、ウェルド外観およびフローマーク外観(後述)を与えることができる。共重合体の溶解度パラメーターは、ブロック(b)の組成をMillion Zillion software, Inc.製CHEOPS Ver.4.0に入力し、計算した。ラジカル重合性単量体として具体的には、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−(ジメチルアミノ)エチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー、
パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマ
ー、
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、
フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド等のアミド基含有ビニル系モノマー、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、
エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系モノマー、
ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらの有機化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
ブロック(b)としては、メチルメタクリレートの単独重合体またはアクリロニトリルとスチレンの共重合体が特に好ましい。
良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物においては、室温クロロホルム不溶成分を1H−NMRで測定することによって、ブロック(b)の組成を計算することが出来る。
室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分の含有量が、0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜40重量%である。室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分が検出されることは、良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物(D)中において、ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結合していることを示す。室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分の含有量が上記範囲内にあると、オレフィン系ブロックポリマー(A2)の相容化剤としての性能が向上し、島相の分散粒径が微細化し、機械的強度が向上する。
室温クロロホルム不溶成分は、以下のようにして測定する。
5gの樹脂組成物(C)を100mlのキシレン還流中で溶解させる。1Lのクロロホルムをホモジナイザーで攪拌している中に得られた溶液を注ぐ。ポリマーが析出し、スラリー状となった溶液を室温(15〜25℃)下で10〜15時間静置した後、室温下でG3フィルターを用いてろ過し、濾物と濾液とに分別する。濾物がクロロホルム不溶成分(濾液がクロロホルム可溶成分)となる。クロロホルム不溶成分中の組成分析を1H−NM
Rにて行い、室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分の含有量の重量%を測定する。
<プロピレン系ブロックポリマー(A2)の製造方法>
プロピレン系ブロックポリマー(A2)は、例えば上記ハロゲン変性ポリプロピレン(a’)をマクロ開始剤として、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーを原子移動ラジカル重合することにより製造することができる。なお、マクロ開始剤とは、原子移動ラジカル重合の開始能を有する重合体であり、分子鎖中に原子移動ラジカル重合の開始点となりうる部位を有する重合体を表す。
原子移動ラジカル重合とは、リビングラジカル重合の一つであり、有機ハロゲン化物又
はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてラジカル重合性単量体をラジカル重合する方法である。具体的には、例えば、Matyjaszewskiら、Chem. Rev., 101, 2921 (2001)、WO96/30421号パンフレット、WO97/18247号
パンフレット、WO98/01480号パンフレット、WO98/40415号パンフレット、WO00/56795
号パンフレット、あるいは澤本ら、Chem. Rev., 101, 3689 (2001)、特開平8-41117号公
報、特開平9-208616号公報、特開2000-264914号公報、特開2001-316410号公報、特開2002-80523号公報、特開2004-307872号公報などが挙げられる。用いられる開始剤としては、
例えば有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物が挙げられるが、特に炭素−炭素二重結合または炭素−酸素二重結合のα位に存在する炭素−ハロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造が開始剤構造として好適である。ハロゲン変性ポリプロピレン(a')においては、炭素−炭素二重結合のα位に存在する炭素−ハ
ロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造を開始剤構造として利用することができる。
ハロゲン変性ポリプロピレン(a')をマクロ開始剤として使用することによるプロピ
レン系ブロックポリマー(A2)の製造方法は、基本的には上記変性ポリプロピレン(a')の存在下、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてラジカル重合性単量体を
原子移動ラジカル重合させるものである。
重合触媒として用いられる遷移金属錯体としては特に限定されないが、好ましくは周期表第7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属とする金属錯体である。更に好ましいものとして、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するならば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2'−ビピリジル若しくはその誘導体、1,10−フェナントロリン若しくはその誘導体、又はテ
トラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触
媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の塩化鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価の塩化ニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体
(NiCl2(PPh3)2)、及び、2価の臭素化ニッケルのビストリブチルホスフィン錯体
(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーとしては、前述のブロック(b)の項で例示した化合物と同様のものが挙げられる。
オレフィン系ブロックポリマー(A2)の製造方法において、重合方法は特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合などを適用することができる。ラジカル重合において使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば何れでも使用することができるが、例えば、具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環式炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノール等のアルコール
系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールの
ようなエーテル系溶媒等を挙げることができる。また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
反応温度はラジカル重合反応が進行する温度であれば何れでも構わず、所望する重合体の重合度、使用するラジカル重合開始剤および溶媒の種類や量によって一様ではないが、通常、−100℃〜250℃である。好ましくは−50℃〜180℃であり、更に好ましくは0℃〜160℃である。反応は場合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施できる。上記重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。上記の方法により生成したプロピレン系ブロックポリマー(A2)は、重合に用いた溶媒や未反応のモノマーの留去あるいは非溶媒による再沈殿などの公知の方法を用いることにより単離される。更に、得られたポリマーを、ソックスレー抽出装置を用い、アセトンやTHFなどの極性溶媒で処理することで、副生したホモラジカル重合体を除去することが可能である。
ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)
本発明で用いられるビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)は、ビニル結合含有ニトリル系化合物および芳香族ビニル化合物を主たる構成単位とする共重合体である。
共重合体(B)を構成するビニル結合含有ニトリル系化合物としては、−CH2−CH(CN)−、または−CH2−C(CH3)(CN)−で示される構成単位を有するシアン化ビ
ニル化合物が挙げられる。具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの混合物などが挙げられる。これらの化合物は、共重合体(B)への弾性および耐溶剤性の付与に寄与する。
ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、5〜50g/10min、好ましくは7〜30g/10min、更に好ましくは10〜25g/10minである。ビニル結合含有ニトリル系
化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)のMFRが、5g/10min未満であると
、得られたプロピレン系樹脂組成物のMFRが低くなり、射出成形用材料としては適さない。また、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)のMFRが、50g/10min以上であると、得られたプロピレン系樹脂組成物の強度が低下
し、工業材料用途等の射出成形体として適さない場合がある。
本発明の樹脂組成物中におけるビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の添加量は、10〜50重量%、好ましくは15〜35重量%である(但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%とする)。なお、この添加量を低減することにより、成形体の低比重化を図ることができるため、より軽量な成形体を得ることができる。
上記共重合体(B)を構成する芳香族ビニル化合物としては、具体的には、スチレン、α- メチルスチレン、p-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、α- メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。中でも、スチレン、α- メチルスチレンが好ましい。この化合物にはマレイミド骨格が含まれていてもよい。これらは、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。この芳香族ビニル化合物は、共重合体(B)への剛性の付与に寄与する。
上記以外の芳香族ビニル化合物としては、たとえば、p-ヒドロキシスチレン、p-ヒドロキシ-α-メチルスチレン、o-ヒドロキシメチルスチレン、m-ヒドロキシメチルスチレン、p-ヒドロキシメチルスチレン、o-ヒドロキシメチル-α-メチルスチレン、m-ヒドロキシメチル-α-メチルスチレン、p-ヒドロキシメチル-α-メチルスチレン、o-(2-ヒドロキシエチル)スチレン、m-(2-ヒドロキシエチル)スチレン、p-(2-ヒドロキシエチル)スチレン、o-(2-ヒドロキシエチル)-α-メチルスチレン、m-(2-ヒドロキシエチル)-α-メチルスチレン、p-(2-ヒドロキシエチル)-α-メチルスチレン、o-(3-ヒドロキシプロピル)スチレン、m-(3-ヒドロキシプロピル)スチレン、p-(3-ヒドロキシプロピル)スチレン、o-(3-ヒドロキシプロピル)-α-メチルスチレン、m-(3-ヒドロキシプロピル)-α-メチルスチレン、p-(3-ヒドロキシプロピル)-α-メチルスチレン、p-(4-ヒドロキシブチル)スチレン、p-(4-ヒドロキシブチル)- α-メチルスチレン、p-ジヒドロキシメチ
ルスチレン、p-ジヒドロキシメチル-α- メチルスチレン、p-(1,2-ジヒドロキシエチル
)スチレン、p-(1,2-ジヒドロキシエチル)-α-メチルスチレン、p-(2,3-ジヒドロキシプロピル)スチレン、p-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-α-メチルスチレン、p-(3,4-ジヒドロキシブチル)スチレン、p-(3,4-ジヒドロキシブチル)-α-メチルスチレン、4-ヒドロキシメチル-3- メチルスチレン、4-ヒドロキシメチル-3- メチル-α-メチルスチレン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3- メチルスチレン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3- メチル-α-メチルスチレン、4-(3-ヒドロキシプロピル)-3- メチルスチレン、4-(3-ヒドロキシプロピル)-3- メチル-α-メチルスチレン等の水酸基を含有する芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
本発明で用いられるビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)は、従来公知の方法により製造することができる。また、このビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)としては、たとえばアクリロニトリル・スチレン共重合体が、日本エイアンドエル社よりライタック330PCの商品名で市販されている。
また、ポリオレフィン系ゴム、たとえばポリブタジエンゴムを50重量%以下程度グラフト重合したアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)、エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPゴム)を50重量%以下程度グラフト重合したアクリロニトリル・EPゴム・スチレン共重合体樹脂(AES樹脂)等も用いることができる。上記ABS樹脂としては、たとえば日本エイアンドエル社よりGA704の商品名で市販されている。共重合体(B)にポリオレフィン系ゴムを含むと、共重合体(B)に弾性を付与することができるため、好ましい。
本発明で用いられるビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の中でも、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体が、共重合体のMFRを制御することで、成形体に十分な機械強度を与えることができるため、好ましく用いられる。
エラストマー成分(C)
本発明におけるエラストマー成分(C)としては、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンからなるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を含むものや、スチレン系エラストマー等がある。特に、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体を含むものが好ましく、更に好ましくは、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体とプロピレン−エチレン共重合体のブレンドであるか、あるいはエチレン−α−オレフィンランダム共重合体のみから構成される。エチレン−α−オレフィン共重合体(:X重量部)とプロピレン−エチレン共重合体(Y重量部)の二成分から構成される場合、その重量比率 (X)/〔(X)+(Y)〕は、0.5以上であることが望ましい。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体における炭素原子数3以上のα−オレフィンとしては、具体的には、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4―メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中では、特に1−ブテン、1−オクテンが好ましく用いられる。エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンからなるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体は、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとのモル比(エチレン/α−オレフィン)が、95/5〜30/70、好ましくは90/10〜40/60の範囲内である。エチレンと炭素数3以上α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238,230℃、荷重2.16kg)は、射出成形体の成形外観と耐衝撃性の観点から、0.5〜20g/10分、好ましくは1〜20g/10分、更に好ましくは5〜10g/10分の範囲内である。また、曲げ強度、振動疲労強度と耐衝撃性の観点から、エチレンと炭素数3以上α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D1238,230℃、荷重2.16kg)は、0.5〜20g/10分、好ましくは、1〜10g/10分、更に好ましくは1〜5g/10分以上である。
なお、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体がMFRの異なる二成分以上から構成される場合は、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体のMFRは、各成分のMFRの対数値と重量配分に応じて決定される値である(例えば、米国特許US2005/0165173A1に記載された方法)。
本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物において、エラストマー成分(C)の添加量は0〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である(但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%とする)。
付加的成分
本発明の樹脂組成物中には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で、用途に応じて各種の添加剤、例えば、分散剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤(増核剤)等の改質用添加剤、顔料、染料等の着色剤、カーボンブラック、酸化チタン等、公知の添加剤を添加することができる。
本発明で得られる樹脂組成物に対しては、結晶化促進剤を添加することで高強度化、高剛性化および高耐衝撃性化が可能である。たとえば旭電化工業(株)よりNA21の商品名で市販されている結晶化促進剤が有効である。
組成物の調製法および成形法
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物の調製の方法は、溶融法、溶液法等、特に限定されないが、実用的には溶融混練方法が好ましい。溶融混練の方法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方法が適用できる。例えば、粉状又は粒状の各成分を、必要であれば付加的成分の項に記載の添加物等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、混練ロール、バッチ混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練することができる。
各成分の溶融混練温度(例えば、押出機ならシリンダー温度)は、通常220〜300℃、好ましくは240〜270℃である。更に各成分の混練順序及び方法は、特に限定されるものではない。更に減圧混練する事により、未反応成分を除去したり、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体の分解物などを除去したりすることもできる。
溶融混練して得られたプロピレン系樹脂組成物のペレットを射出成形して、良成形外観射出成形体が得られる。
(用途)
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、各種射出成形に使用でき、例えば以下の用途に使用できる。これらの用途で形状が複雑化しても、本発明のプロピレン系樹脂組成物を使用することにより、ウェルド、フローマーク外観が良好な射出成形体を得ることができる。また本発明のプロピレン系樹脂組成物は、構造部品に耐えうる機械特性を有することから、部品の軽量化による省エネルギー化、サーマルリサイクル時の残渣成分低減化が可能となる。
(1)自動車外装部品
バンパー、サイドモール、マッドガード、フェンダー
(2)自動車内装部品
インストルメントパネル、ドアトリム、バックドアインナーパネル
(3)エンジン周辺部品
エンジンアンダーカバー、ファンシェラウド、エンジンファン
(4)家電部品
テレビ部品、VTR部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、コンピューター部品、携帯電話部品、照明部品、ファクシミリ関連部品等
(5)雑貨類
ペンケース、文房具、食器、カップ、弁当箱、コンテナ、収納ケース、スポーツ用品
[実施例]
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。本発明において採用した分析方法は、以下の通りである。
[m1] MFR(メルトフローレート)
MFRは、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従って測定した。
[m2] 射出成形体の曲げ弾性率(FM)、曲げ強度(FS)
曲げ弾性率(FM)および曲げ強度(FS)は、ASTM D790に従って、下記の条件で測定した。
<測定条件>
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×127mm(長さ)
曲げ速度:2.8mm/分
曲げスパン:100mm
[m3] 射出成形体のアイゾット衝撃強度(IZ)
アイゾット衝撃強度(IZ)は、ASTM D256に準拠して下記の条件で測定した。
<試験条件>
温 度:−30℃
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×64mm(長さ)
ノッチは機械加工
[m4] ウェルド外観評価法
長さ350mm、幅100mm、厚み3mmの平板が成形可能で幅100mmの中央部(50mm)にゲートを持つ射出成形金型を用いた(図1参照)。ゲートから流動方向直下25mmの位置にその点を中心とする直径45mm、厚み3mmの樹脂の流動を妨げる堰を設けた。ウェルド長さは上記金型を用いて射出成形をしたとき、堰以降に発生するウェルドを目視によりウェルドが判別できなくなるまでの長さを測定し、求めた。
<試験片射出成形条件>
射出成形機:品番 M200、名機製作所(株)製
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
成形品形状:図1に示す
[m5] フローマーク外観評価法
ウェルド外観を評価した成形品について、フローマークの発生状況を目視判定した。ここで、ゲートからフローマークが発生し始めた場所の距離を評価した。
[m6] 振動疲労試験
応力耐久成形体を想定した促進試験として、成形体の振動疲労試験を下記条件にて行い、破断回数を測定した。
(振動疲労試験条件)
試験片形状:図2参照(厚み0.392cm)
温度:23℃、周波数:30Hz、応力:5、10、12.5、15MPa(引張変形)
チャック間距離:60mm
[製造例1]
ハロゲン化ポリプロピレンの合成
特開2002−145944号公報の実施例1に記載の方法に準じて合成した、プロピレン/10−ウンデセン−1−オール共重合体(Mw=106,000、Mn=56,000、コモノマー含量0.12mol%)170gを、脱気窒素置換された2Lガラス製反応器に入れ、ヘキサン1700ml、2−ブロモイソ酪酸ブロミド9.2mlをそれぞれ添加し、60℃で2時間加熱攪拌した。反応後、得られたスラリーをろ過後、減圧乾燥して169.5gの白色固体状ポリマーを得た。1H−NMR測定から、OH基の94%が
、2−ブロモイソ酪酸基で修飾されたポリプロピレンであった。また、Mw=106000、Mn=56000であった。
ポリプロピレンの数平均分子量、コモノマー含量、および2−ブロモイソ酪酸基の修飾割合から計算したポリプロピレン一分子鎖当たりの2−ブロモイソ酪酸基の数は、1.5unitであった。
[製造例2]
ブロックポリマーの合成
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、上記製造例1で得たハロゲン化ポリプロピレン100gとメチルメタクリレート(MMA)800ml、トルエン200mlを入れ、25℃で攪拌した。このスラリーに、臭化銅(I)98mg、PMDETA
0.29mlを加え、80℃で30分間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上の固体をメタノールで洗浄後、減圧乾燥して158.7gの固体状ポリマーを得た。得られたポリマー4.98gを取り、アセトン150mlを用いてソックスレー抽出を還流下9時間で行った。抽出残を減圧乾燥して4.95gのポリマー(以下、ブロックポリマー(PP−PMMA)とする)を得た。抽出後のサンプルの1H−NMR分析より、PP/P
MMAの組成比は、64/36(wt%)であった。
組成比から計算したブロックポリマー(A2−1(PP−PMMA))のブロック(b)を構成するPMMAの溶解度パラメーターは、19.1(J/cm31/2であった。組成比、ポリプロピレンの数平均分子量、およびポリプロピレン一分子鎖当たりの2−ブロモイソ酪酸基の数から計算したブロック(b)の分子量は、21,000であった。
[製造例3]
ブロックポリマーの合成
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、上記製造例1で得たハロゲン化ポリプロピレン100gとスチレン(St)786ml、アクリロニトリル(AN)194mlを入れ、25℃で攪拌した。このスラリーに、臭化銅(I)246mg、PMDETA 0.72mlを加え、90℃で2時間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上
の固体をメタノールで洗浄後、ポリマーを減圧乾燥して161.3gの固体状ポリマーを得た。得られたポリマー5.16gを取り、アセトン150mlを用いてソックスレー抽
出を還流下9時間で行った。抽出残を減圧乾燥して5.07gのポリマー(以下、ブロックポリマー(PP−AS)とする)を得た。抽出後のサンプルの1H−NMR分析より、
PP/St/ANの組成比は、63/26/11(wt%)であった。
組成比から計算したブロックポリマー(A2−2(PP−AS))のブロック(b)を構成するSt/AN共重合体の溶解度パラメーターは、21.9(J/cm31/2であった。組成比、ポリプロピレンの数平均分子量、およびポリプロピレン一分子鎖当たりの2−ブロモイソ酪酸基の数から計算したブロック(b)の分子量は、21,800であった
Figure 2009062428
ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)(プライムポリプロJ136(商標)、(株)プライムポリマー製、MFR=20g/10min)54重量部に対して、製造例2で製造されたプロピレン系ブロックポリマー(A2−1(PP−PMMA)) 4重量部、ア
クリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)(GA704(商標):日本エイアンドエル(株)製、MFR=15g/10min)20重量部、プロピレン−エチレ
ン共重合体ゴム(C1)(タフマーS4020(商標)、三井化学(株))5重量部、エ
チレン−ブテン共重合体ゴム(C2)(タフマーA−4050(商標)、三井化学(株)、MFR=7g/10min)17重量部、熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイギー
(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を調製し、射出成形機[品番 EC−40、東芝機械(株)製]にてASTM試験片を成形した。成形品の物性を表2に示す。
<溶融混練条件>
同方向二軸混練機:品番 KZW25−30MG、(株)テクノベル製
混練温度:250℃
スクリュー回転数:300rpm
フィーダー回転数:120rpm
<射出成形条件>
射出成形機:品番 EC−40、東芝機械(株)製
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を43重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を48重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を12重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を48重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C3)(タフマーA−0550(商標)、三井化学(株)製、MFR=1g/10min)を12重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H2)(プライムポリプロJ139(商標)、(株)プライムポリマー製、MFR=60g/10min)を48重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C3)(タフマーA−0550(商標)、三井化学(株)製、MFR=1g/10min)を12重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を67重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を2重量部、アクリロニトリル・スチレン共重合体(B2)(330PC(商標)、日本エイアンドエル(株)製、MFR=7g/10min
)を10重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C3)を16重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を43重量部、製造例3
で製造されたプロピレン系ブロックポリマー(PP−AS)(A2−2)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を48重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
[比較例2]
ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を68重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部、タルク(F1)(ハイフィラー5000PJ(商標)、松村産業(株)製、比重=2.7)を10重量部熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1
重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を調製し、射出成形機[品番 EC−40、東芝機械(株)製]にてASTM試験片を成形した。成形品の物性を表3に示す。
<溶融混練条件>
同方向二軸混練機:品番 KZW25−30MG、(株)テクノベル製
混練温度:210℃
スクリュー回転数:300rpm
フィーダー回転数:120rpm
<射出成形条件>
射出成形機:品番 EC−40、東芝機械(株)製
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
[比較例3]
比較例2において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を58重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)27重量部、タルク(F1)を10重量部に変えた以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
[比較例4]
比較例2において、ポリプロピレン・エチレンブロック共重合体(A1−B)(MFR=55g/10min、n−デカン可溶部(量=10.5wt%、C2量=38mol%、[η](135℃デカリン溶媒)=6.5dl/g)を68重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR1)22重量部、タルク(F1)を10重量部に変えた以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
[比較例5]
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を48重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B3)(MVF−1K(商標)、日本エイアンドエル(株)製、MFR=3g/10min)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部
、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C3)(タフマーA−0550(商標)、三井化学(株)製、MFR=1g/10min)を12重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
Figure 2009062428
Figure 2009062428
表4にプロピレン系ブロックポリマー(A2)の添加が与える効果について示す。比較例1は、プロピレン系ブロックポリマー(A2)を含んでおらず、成形体の耐衝撃性は低く、ウェルド、フローマーク外観が悪かった。一方、実施例2、実施例7は、プロピレン系ブロックポリマー(A2)を含んでおり、成形体の耐衝撃性が向上、ウェルド、フローマーク外観も良好であった。
表5に、本発明のプロピレン系樹脂組成物とゴム/無機フィラー強化プロピレン系樹脂組成物との物性比較をまとめた。ゴム/無機フィラー強化プロピレン系樹脂組成物(比較例2〜4)では、ウェルド外観の良いものはフローマーク外観が悪い等、ウェルド外観とフローマーク外観を共に改良することはできない。一方、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ウェルド外観、フローマーク外観とも良好であり、ゴム/無機フィラー強化プロピレン系樹脂組成物比較して、剛性と耐衝撃性のバランスが同等、低比重である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン重合体等の選択により、流動性の制御が可能である。例えば表6の実施例5はポリプロピレン単独重合体のMFRを実施例
4よりも高くすることにより、プロピレン系樹脂組成物の高流動性化を図っている。このとき、高流動性化しても機械物性は保持することが可能であり、更にウェルド外観、フローマーク外観が改良されている。
Figure 2009062428
Figure 2009062428
Figure 2009062428
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体の添加量低減により、更に低比重化が可能である。具体的な一例を表7にまとめた。実施例6は、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体であるアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS1)の添加量が10重量部と少なく、ゴム/無機フィラー強化プロピレン系樹脂組成物(比較例3)と比べると5%程度の低比重化が達成されている。また同時に、ゴム/無機フィラー強化プロピレン系樹脂組成物よりもウェルド外観、フローマーク外観が良好、機械物性(剛性/耐衝撃性バランス)も実用上問題無い特性を有している。
Figure 2009062428
表8に、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B)のMFRが及ぼす影響についてまとめた。実施例4では、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)(MFR=15g/10min)を添加しており、流動性、曲げ弾性率、アイゾット衝撃性、成形外観に優れている。一方、比較例5では、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B3)(MFR=3g/10min)を添加しており、低流動性、曲げ弾性率、アイゾット衝撃性とも低下した。これより、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体のMFRを制御することによ
り、高流動性かつ十分な機械強度を有していることが分かる。
表9に、本発明のプロピレン系樹脂組成物の曲げ強度および振動疲労特性をまとめた。プロピレン単独重合体、エラストマーとタルクからなる樹脂組成物(比較例2、比較例3)と比較すると、本発明のプロピレン系樹脂組成物(実施例4)は同等の曲げ弾性率を有しながら、曲げ強度(FS)が高いことが分かる。曲げ試験のイメージ図を図3に示す。本発明のプロピレン系樹脂組成物は、同一曲げ弾性率を有するプロピレン単独重合体、エラストマーとタルクからなる樹脂組成物と比較すると、曲げ強度が高く、かつ大変形時に発生する応力が大きく、弾性回復領域が広い。本発明のプロピレン系樹脂組成物を自動車外装部品に使用した場合、軽衝突時にも部品が変形しずらい、衝突時のエネルギーを適切に吸収するので歩行者保護に有利等の利点がある。
Figure 2009062428
Figure 2009062428
本発明のプロピレン系樹脂組成物の振動疲労特性を図4にまとめた。プロピレン単独重合体、エラストマーとタルクからなる樹脂組成物(比較例2、比較例3)と比較すると、本発明のプロピレン系樹脂組成物(実施例4)は低荷重繰り返し歪み負荷下での破断回数が100倍から10000倍以上多くなっており、構造部品としての長期信頼度が高いといえる。長期応力負荷に対する耐久性が高いことから、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、エンジンファン、携帯電話部品等の繰り返し応力負荷がかかりやすい部品に好適に使用することができる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、ウェルド外観、フローマーク外観が良好であることから、部分塗装省略、無塗装化等、自動車等の部品について製造工程の簡略化が可能である。また、モジュール部品のような複雑形状の製品においても、良成形外観を得ることができる。更に、無機フィラー未添加あるいは少量添加で、構造部品に耐えうる機械特性を発現できることから、部品の軽量化による省エネルギー化、サーマルリサイクル時の残渣成分低減化が可能である。加えて、軽衝突対応特性、変形時のエネルギー吸収特性等の安全性にも優れている。また、長期応力負荷下での機械強度信頼性も高い。
以上のように、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、環境適合性、意匠性、安全性、信頼性に優れており、自動車、家電、建材等の幅広い分野で適用することができる。
ウェルド外観評価のために用いた射出成形金型及び成形品形状を示す。 振動疲労試験用の試験片(成形体)の形状を示す。 曲げ試験のイメージ図を示す。 本発明の実施例4と比較例2、3について振動疲労特性をプロットした図である。

Claims (9)

  1. ポリプロピレン(A1)40〜80重量%、
    プロピレン系ブロックポリマー(A2)1〜10重量%、
    ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)10〜50重量%、
    エラストマー成分(C)10〜30重量%から構成され
    [但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%とする]、
    下記要件[1]、[2]、[3]及び[4]を同時に満たすことを特徴とする良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
    [1]プロピレン系ブロックポリマー(A2)が、ポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマーの重合体残
    基であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結ばれている。
    [2]230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜80g/10minである。
    [3]ポリプロピレン(A1)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、10〜100g/10minである。
    [4]ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、5〜50g/10minである。
  2. 前記プロピレン系ブロックポリマー(A2)において、構成するブロック(b)の含有量が、0.1〜80重量%(ただし、前記ブロック(a)とブロック(b)の合計を100重量%とする)であることを特徴とする請求項1に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)が、スチレンとアクリロニトリルを共重合して得られる重合体の残基、あるいはメチルメタクリレートを重合して得られる重合体の残基であることを特徴とする請求項1または2に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)が、数平均分子量が2000〜200000の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
  5. エラストマー成分(C)の、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜20g/10minを満たすことを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる自動車外装部品。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる自動車内装部品。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られるエンジン周辺部品。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる家電部品。
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