JP2009062428A - 良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリプロピレン(A1)40〜80重量%、プロピレン系ブロックポリマー(A2)1〜10重量%、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)10〜50重量%、エラストマー成分(C)10〜30重量%から構成される、射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。但し(A2)はポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマーの重合体残基であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結ばれている。
【選択図】なし
Description
[1]プロピレン系ブロックポリマー(A2)がポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマーの重合体残基
であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結ばれている。
[2]230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜100g/10minである。
[3]ポリプロピレン(A1)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、10〜100g/10minである。
[4]ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、5〜50g/10minである。
本発明にかかる良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン(A1)、プロピレン系ブロックポリマー(A2)、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)、エチレン系共重合体(C)から構成されている[但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%]。
本発明の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物は、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従って測定した、メルトフローレート(MFR)は、5〜80(g/10min)の範囲にあり、好ましくは5〜50(g/10min)、更に好ましくは7〜20(g/10min)の範囲にある。MFRが5(g/10min)未満の場合は射出成形時の流動性が低下し、80(g/10min)を超えると射出成形体の機械強度が低下するので好ましくない。
分析法[m5]によって測定されるフローマーク発生距離が15.0cm以上である。この
ような成型品は、ウェルド、フローマーク外観が良好であり、かつ軽量、機械的強度(耐衝撃性)に優れる。
ポリプロピレン(A1)
本発明に関わるポリプロピレン(A1)は、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンまたはα−オレフィンとの共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体である。α−オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。
プロピレン系ブロックポリマー(A2)
本発明で用いられるプロピレン系ブロックポリマー(A2)は、ポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノ
マーの重合体残基であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合した構造を有する。プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)が、ブロック(a)一分子鎖当たり0.5〜5個結合していることが好ましい。またプロピレン系ブロックポリマー(A2)は、組成や分子量の異なる複数のブロック(a)およびブロック(b)を有していても良い。
ブロック(a)、(b)の含有量が上記範囲内にあると、プロピレン系ブロックポリマー(A2)の相溶化剤としての性能が向上し、島相の分散粒径が微細化し、機械的強度が向上する。
ここに、ブロック(a)はポリプロピレンをハロゲン化して得られるハロゲン変性ポリプロピレン(a’)に由来するセグメントとすることができる。また、ブロック(b)は、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーの単独重合体または共重合体である。
ポリマー(A2)の添加量は1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%である(但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%とする)。添加量が、上記範囲を下回ると成形品の層剥離が生じやすくなる点から好ましくなく、上回ると製造コストが高くなる点から好ましくない。
<ブロック(a)>
プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(a)は、ポリプロピレン(共)重合体(a’’)をハロゲン化して得られるハロゲン変性ポリプロピレン(a’)に由来するセグメントとすることができる。ブロック(a)の融点は150〜170℃、好ましくは155〜165℃である。ブロック(a)の数平均分子量は、5,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000の範囲である。
<ブロック(b)>
プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)の数平均分子量は、2,000〜200,000、好ましくは5,000〜150,000、さらに好ましくは10,000〜100,000の範囲である。数平均分子量が200,000より高いと、ポリプロピレン(A1)とビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)との間での分子鎖同士のからみ合いが少なくなり、機械的強度が低下する。
ーの重合体残基であり、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーの単独重合体または共重合体である。なお、溶解度パラメーターがこの範囲である時、成形体に、優れた、耐衝撃性(アイゾット衝撃強度)、ウェルド外観およびフローマーク外観(後述)を与えることができる。共重合体の溶解度パラメーターは、ブロック(b)の組成をMillion Zillion software, Inc.製CHEOPS Ver.4.0に入力し、計算した。ラジカル重合性単量体として具体的には、
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−(ジメチルアミノ)エチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー、
パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマ
ー、
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、
フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー、
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド等のアミド基含有ビニル系モノマー、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、
エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系モノマー、
ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
ブロック(b)としては、メチルメタクリレートの単独重合体またはアクリロニトリルとスチレンの共重合体が特に好ましい。
室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分の含有量が、0.1〜80重量%、好ましくは0.5〜50重量%、さらに好ましくは1〜40重量%である。室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分が検出されることは、良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物(D)中において、ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結合していることを示す。室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分の含有量が上記範囲内にあると、オレフィン系ブロックポリマー(A2)の相容化剤としての性能が向上し、島相の分散粒径が微細化し、機械的強度が向上する。
5gの樹脂組成物(C)を100mlのキシレン還流中で溶解させる。1Lのクロロホルムをホモジナイザーで攪拌している中に得られた溶液を注ぐ。ポリマーが析出し、スラリー状となった溶液を室温(15〜25℃)下で10〜15時間静置した後、室温下でG3フィルターを用いてろ過し、濾物と濾液とに分別する。濾物がクロロホルム不溶成分(濾液がクロロホルム可溶成分)となる。クロロホルム不溶成分中の組成分析を1H−NM
Rにて行い、室温クロロホルム不溶成分中に含まれるブロック(b)に由来する成分の含有量の重量%を測定する。
<プロピレン系ブロックポリマー(A2)の製造方法>
プロピレン系ブロックポリマー(A2)は、例えば上記ハロゲン変性ポリプロピレン(a’)をマクロ開始剤として、ラジカル重合性単量体から選ばれる1種以上のモノマーを原子移動ラジカル重合することにより製造することができる。なお、マクロ開始剤とは、原子移動ラジカル重合の開始能を有する重合体であり、分子鎖中に原子移動ラジカル重合の開始点となりうる部位を有する重合体を表す。
はハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてラジカル重合性単量体をラジカル重合する方法である。具体的には、例えば、Matyjaszewskiら、Chem. Rev., 101, 2921 (2001)、WO96/30421号パンフレット、WO97/18247号
パンフレット、WO98/01480号パンフレット、WO98/40415号パンフレット、WO00/56795
号パンフレット、あるいは澤本ら、Chem. Rev., 101, 3689 (2001)、特開平8-41117号公
報、特開平9-208616号公報、特開2000-264914号公報、特開2001-316410号公報、特開2002-80523号公報、特開2004-307872号公報などが挙げられる。用いられる開始剤としては、
例えば有機ハロゲン化物やハロゲン化スルホニル化合物が挙げられるが、特に炭素−炭素二重結合または炭素−酸素二重結合のα位に存在する炭素−ハロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造が開始剤構造として好適である。ハロゲン変性ポリプロピレン(a')においては、炭素−炭素二重結合のα位に存在する炭素−ハ
ロゲン結合、あるいは一つの炭素原子上に複数のハロゲンが付加した構造を開始剤構造として利用することができる。
レン系ブロックポリマー(A2)の製造方法は、基本的には上記変性ポリプロピレン(a')の存在下、遷移金属を中心金属とする金属錯体を触媒としてラジカル重合性単量体を
原子移動ラジカル重合させるものである。
トラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン若しくはヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等が配位子として添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリストリフェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh3)3)も触
媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキシド類が添加される。更に、2価の塩化鉄のビストリフェニルホスフィン錯体(FeCl2(PPh3)2)、2価の塩化ニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体
(NiCl2(PPh3)2)、及び、2価の臭素化ニッケルのビストリブチルホスフィン錯体
(NiBr2(PBu3)2)も、触媒として好適である。
オレフィン系ブロックポリマー(A2)の製造方法において、重合方法は特に限定されず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状・懸濁重合などを適用することができる。ラジカル重合において使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば何れでも使用することができるが、例えば、具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環式炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プ
ロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノール等のアルコール
系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールの
ようなエーテル系溶媒等を挙げることができる。また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
本発明で用いられるビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)は、ビニル結合含有ニトリル系化合物および芳香族ビニル化合物を主たる構成単位とする共重合体である。
ニル化合物が挙げられる。具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリロニトリルとメタクリロニトリルとの混合物などが挙げられる。これらの化合物は、共重合体(B)への弾性および耐溶剤性の付与に寄与する。
化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)のMFRが、5g/10min未満であると
、得られたプロピレン系樹脂組成物のMFRが低くなり、射出成形用材料としては適さない。また、ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)のMFRが、50g/10min以上であると、得られたプロピレン系樹脂組成物の強度が低下
し、工業材料用途等の射出成形体として適さない場合がある。
ルスチレン、p-ジヒドロキシメチル-α- メチルスチレン、p-(1,2-ジヒドロキシエチル
)スチレン、p-(1,2-ジヒドロキシエチル)-α-メチルスチレン、p-(2,3-ジヒドロキシプロピル)スチレン、p-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-α-メチルスチレン、p-(3,4-ジヒドロキシブチル)スチレン、p-(3,4-ジヒドロキシブチル)-α-メチルスチレン、4-ヒドロキシメチル-3- メチルスチレン、4-ヒドロキシメチル-3- メチル-α-メチルスチレン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3- メチルスチレン、4-(2-ヒドロキシエチル)-3- メチル-α-メチルスチレン、4-(3-ヒドロキシプロピル)-3- メチルスチレン、4-(3-ヒドロキシプロピル)-3- メチル-α-メチルスチレン等の水酸基を含有する芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
本発明におけるエラストマー成分(C)としては、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンからなるエチレン−α−オレフィンランダム共重合体を含むものや、スチレン系エラストマー等がある。特に、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体を含むものが好ましく、更に好ましくは、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体とプロピレン−エチレン共重合体のブレンドであるか、あるいはエチレン−α−オレフィンランダム共重合体のみから構成される。エチレン−α−オレフィン共重合体(:X重量部)とプロピレン−エチレン共重合体(Y重量部)の二成分から構成される場合、その重量比率 (X)/〔(X)+(Y)〕は、0.5以上であることが望ましい。
本発明の樹脂組成物中には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で、用途に応じて各種の添加剤、例えば、分散剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤(増核剤)等の改質用添加剤、顔料、染料等の着色剤、カーボンブラック、酸化チタン等、公知の添加剤を添加することができる。
本発明におけるプロピレン系樹脂組成物の調製の方法は、溶融法、溶液法等、特に限定されないが、実用的には溶融混練方法が好ましい。溶融混練の方法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている混練方法が適用できる。例えば、粉状又は粒状の各成分を、必要であれば付加的成分の項に記載の添加物等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、混練ロール、バッチ混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練することができる。
(用途)
本発明に係るプロピレン系樹脂組成物は、各種射出成形に使用でき、例えば以下の用途に使用できる。これらの用途で形状が複雑化しても、本発明のプロピレン系樹脂組成物を使用することにより、ウェルド、フローマーク外観が良好な射出成形体を得ることができる。また本発明のプロピレン系樹脂組成物は、構造部品に耐えうる機械特性を有することから、部品の軽量化による省エネルギー化、サーマルリサイクル時の残渣成分低減化が可能となる。
(1)自動車外装部品
バンパー、サイドモール、マッドガード、フェンダー
(2)自動車内装部品
インストルメントパネル、ドアトリム、バックドアインナーパネル
(3)エンジン周辺部品
エンジンアンダーカバー、ファンシェラウド、エンジンファン
(4)家電部品
テレビ部品、VTR部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、コンピューター部品、携帯電話部品、照明部品、ファクシミリ関連部品等
(5)雑貨類
ペンケース、文房具、食器、カップ、弁当箱、コンテナ、収納ケース、スポーツ用品
[実施例]
次に本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。本発明において採用した分析方法は、以下の通りである。
[m1] MFR(メルトフローレート)
MFRは、ASTM D1238(230℃、荷重2.16kg)に従って測定した。
[m2] 射出成形体の曲げ弾性率(FM)、曲げ強度(FS)
曲げ弾性率(FM)および曲げ強度(FS)は、ASTM D790に従って、下記の条件で測定した。
<測定条件>
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×127mm(長さ)
曲げ速度:2.8mm/分
曲げスパン:100mm
[m3] 射出成形体のアイゾット衝撃強度(IZ)
アイゾット衝撃強度(IZ)は、ASTM D256に準拠して下記の条件で測定した。
<試験条件>
温 度:−30℃
試験片:12.7mm(幅)×6.4mm(厚さ)×64mm(長さ)
ノッチは機械加工
[m4] ウェルド外観評価法
長さ350mm、幅100mm、厚み3mmの平板が成形可能で幅100mmの中央部(50mm)にゲートを持つ射出成形金型を用いた(図1参照)。ゲートから流動方向直下25mmの位置にその点を中心とする直径45mm、厚み3mmの樹脂の流動を妨げる堰を設けた。ウェルド長さは上記金型を用いて射出成形をしたとき、堰以降に発生するウェルドを目視によりウェルドが判別できなくなるまでの長さを測定し、求めた。
<試験片射出成形条件>
射出成形機:品番 M200、名機製作所(株)製
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
成形品形状:図1に示す
[m5] フローマーク外観評価法
ウェルド外観を評価した成形品について、フローマークの発生状況を目視判定した。ここで、ゲートからフローマークが発生し始めた場所の距離を評価した。
[m6] 振動疲労試験
応力耐久成形体を想定した促進試験として、成形体の振動疲労試験を下記条件にて行い、破断回数を測定した。
試験片形状:図2参照(厚み0.392cm)
温度:23℃、周波数:30Hz、応力:5、10、12.5、15MPa(引張変形)
チャック間距離:60mm
[製造例1]
ハロゲン化ポリプロピレンの合成
特開2002−145944号公報の実施例1に記載の方法に準じて合成した、プロピレン/10−ウンデセン−1−オール共重合体(Mw=106,000、Mn=56,000、コモノマー含量0.12mol%)170gを、脱気窒素置換された2Lガラス製反応器に入れ、ヘキサン1700ml、2−ブロモイソ酪酸ブロミド9.2mlをそれぞれ添加し、60℃で2時間加熱攪拌した。反応後、得られたスラリーをろ過後、減圧乾燥して169.5gの白色固体状ポリマーを得た。1H−NMR測定から、OH基の94%が
、2−ブロモイソ酪酸基で修飾されたポリプロピレンであった。また、Mw=106000、Mn=56000であった。
[製造例2]
ブロックポリマーの合成
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、上記製造例1で得たハロゲン化ポリプロピレン100gとメチルメタクリレート(MMA)800ml、トルエン200mlを入れ、25℃で攪拌した。このスラリーに、臭化銅(I)98mg、PMDETA
0.29mlを加え、80℃で30分間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上の固体をメタノールで洗浄後、減圧乾燥して158.7gの固体状ポリマーを得た。得られたポリマー4.98gを取り、アセトン150mlを用いてソックスレー抽出を還流下9時間で行った。抽出残を減圧乾燥して4.95gのポリマー(以下、ブロックポリマー(PP−PMMA)とする)を得た。抽出後のサンプルの1H−NMR分析より、PP/P
MMAの組成比は、64/36(wt%)であった。
[製造例3]
ブロックポリマーの合成
充分に窒素置換した内容積2Lのガラス製反応器に、上記製造例1で得たハロゲン化ポリプロピレン100gとスチレン(St)786ml、アクリロニトリル(AN)194mlを入れ、25℃で攪拌した。このスラリーに、臭化銅(I)246mg、PMDETA 0.72mlを加え、90℃で2時間重合を行った。反応液をろ過し、フィルター上
の固体をメタノールで洗浄後、ポリマーを減圧乾燥して161.3gの固体状ポリマーを得た。得られたポリマー5.16gを取り、アセトン150mlを用いてソックスレー抽
出を還流下9時間で行った。抽出残を減圧乾燥して5.07gのポリマー(以下、ブロックポリマー(PP−AS)とする)を得た。抽出後のサンプルの1H−NMR分析より、
PP/St/ANの組成比は、63/26/11(wt%)であった。
。
クリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)(GA704(商標):日本エイアンドエル(株)製、MFR=15g/10min)20重量部、プロピレン−エチレ
ン共重合体ゴム(C1)(タフマーS4020(商標)、三井化学(株))5重量部、エ
チレン−ブテン共重合体ゴム(C2)(タフマーA−4050(商標)、三井化学(株)、MFR=7g/10min)17重量部、熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイギー
(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を調製し、射出成形機[品番 EC−40、東芝機械(株)製]にてASTM試験片を成形した。成形品の物性を表2に示す。
<溶融混練条件>
同方向二軸混練機:品番 KZW25−30MG、(株)テクノベル製
混練温度:250℃
スクリュー回転数:300rpm
フィーダー回転数:120rpm
<射出成形条件>
射出成形機:品番 EC−40、東芝機械(株)製
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
)を10重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C3)を16重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
で製造されたプロピレン系ブロックポリマー(PP−AS)(A2−2)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表2に示す。
[比較例1]
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を48重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B1)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
[比較例2]
ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を68重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)を17重量部、タルク(F1)(ハイフィラー5000PJ(商標)、松村産業(株)製、比重=2.7)を10重量部熱安定剤IRGANOX1010(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、熱安定剤IRGAFOS168(商標、チバガイギー(株))0.1重量部、ステアリン酸カルシウム0.1
重量部をタンブラーにて混合後、二軸押出機にて溶融混練してペレット状のポリプロピレン樹脂組成物を調製し、射出成形機[品番 EC−40、東芝機械(株)製]にてASTM試験片を成形した。成形品の物性を表3に示す。
<溶融混練条件>
同方向二軸混練機:品番 KZW25−30MG、(株)テクノベル製
混練温度:210℃
スクリュー回転数:300rpm
フィーダー回転数:120rpm
<射出成形条件>
射出成形機:品番 EC−40、東芝機械(株)製
シリンダー温度:230℃
金型温度:40℃
[比較例3]
比較例2において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を58重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C2)27重量部、タルク(F1)を10重量部に変えた以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
[比較例4]
比較例2において、ポリプロピレン・エチレンブロック共重合体(A1−B)(MFR=55g/10min、n−デカン可溶部(量=10.5wt%、C2量=38mol%、[η](135℃デカリン溶媒)=6.5dl/g)を68重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(EBR1)22重量部、タルク(F1)を10重量部に変えた以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
[比較例5]
実施例1において、ポリプロピレン単独重合体(A1−H1)を48重量部、プロピレン系ブロックポリマー(A2−1)を5重量部、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(B3)(MVF−1K(商標)、日本エイアンドエル(株)製、MFR=3g/10min)を30重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(C1)を5重量部
、エチレン−ブテン共重合体ゴム(C3)(タフマーA−0550(商標)、三井化学(株)製、MFR=1g/10min)を12重量部に変更した以外は同様に行った。成形品の物性を表3に示す。
4よりも高くすることにより、プロピレン系樹脂組成物の高流動性化を図っている。このとき、高流動性化しても機械物性は保持することが可能であり、更にウェルド外観、フローマーク外観が改良されている。
り、高流動性かつ十分な機械強度を有していることが分かる。
Claims (9)
- ポリプロピレン(A1)40〜80重量%、
プロピレン系ブロックポリマー(A2)1〜10重量%、
ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)10〜50重量%、
エラストマー成分(C)10〜30重量%から構成され
[但し、(A1)、(A2)、(B)及び(C)の合計が100重量%とする]、
下記要件[1]、[2]、[3]及び[4]を同時に満たすことを特徴とする良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
[1]プロピレン系ブロックポリマー(A2)が、ポリプロピレン成分であるブロック(a)と、溶解度パラメーターが18〜25J/mの範囲にあるビニルモノマーの重合体残
基であるブロック(b)を構成単位とし、前記ブロック(a)とブロック(b)とが互いに共有結合で結ばれている。
[2]230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜80g/10minである。
[3]ポリプロピレン(A1)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、10〜100g/10minである。
[4]ビニル結合含有ニトリル系化合物・芳香族ビニル化合物共重合体(B)の230℃、2.16kg荷重で測定したMFRが、5〜50g/10minである。 - 前記プロピレン系ブロックポリマー(A2)において、構成するブロック(b)の含有量が、0.1〜80重量%(ただし、前記ブロック(a)とブロック(b)の合計を100重量%とする)であることを特徴とする請求項1に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
- 前記プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)が、スチレンとアクリロニトリルを共重合して得られる重合体の残基、あるいはメチルメタクリレートを重合して得られる重合体の残基であることを特徴とする請求項1または2に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
- 前記プロピレン系ブロックポリマー(A2)を構成するブロック(b)が、数平均分子量が2000〜200000の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。
- エラストマー成分(C)の、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、5〜20g/10minを満たすことを特徴とする請求項1〜4のいず
れか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる自動車外装部品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる自動車内装部品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られるエンジン周辺部品。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の良外観射出成形体用プロピレン系樹脂組成物を成形して得られる家電部品。
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2007
- 2007-09-05 JP JP2007230201A patent/JP2009062428A/ja active Pending
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