JP2009061026A - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の吸収性物品10は、液透過性の表面シート1、裏面シート11及びこれら両シート間に介在された吸収体12を備え、実質的に縦長であり、表面シート1は、不織布2からなり、該不織布2に、表面31側が肌に接する表面部3と、周壁部43及び底部44を有し吸収体側に向かって突出する多数の導液凹部4とを有し、表面シート1は、吸収性物品長手方向断面視において、表面部3と導液凹部43の周壁部41との境界部又はその近傍に高剛性部45を有し、該高剛性部45は、表面部3及び前記周壁部43それぞれより剛性が高い。
【選択図】図2
Description
例えば、片面側に突出する立体的な開孔を有する不織布製のシートが知られている(特許文献1,2参照)。特許文献1記載のシートにおいては、孔の周囲に繊維材料が熱により固化した環状の固化区域が形成されている。不織ウエブを環状の顧客域表面シートは、先端の尖った突起を不織布に突き刺すと共に該突起の周囲に位置する部分を加熱して立体的な開孔を形成している。
他方、特許文献3の表面シートは、不織布における繊維自由度(動きやすさ)の低さを利用して導管凹部の形成時に導液裂け目を形成しているため、導管凹部の立体形状が潰れやすく、クッション性も劣る。
また、本発明の目的は、底部を有する凹部を有し、吸収体への液の移行性やクッション性が良好であり、更に凹部の繊維配向方向の前後にある高剛性部および凹部によって表面シートに皺が生じにくい吸収性物品用の表面シートを提供することにある。
本発明の吸収性物品用の表面シートは、底部を有する凹部を有し、吸収体への液の移行性やクッション性が良好であり、更に凹部の繊維配向方向の前後にある高剛性部および凹部によって表面シートに皺が生じにくい。
本発明の一実施形態である生理用ナプキン10(以下、単に生理用ナプキン10ともいう)は、図1に示すように、液透過性の表面シート1、裏面シート11及びこれら両シート1,11間に介在された吸収体12を備え、実質的に縦長に形成されている。表面シート1及び裏面シート1は、吸収体12の周縁より外方において互いに接合されている。
生理用ナプキン10は、着用時に着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部Aの左右両側に一対のウイング部13,13を備えている。図1に示すように、生理用ナプキン10は、着用時に、その長手方向の断面形状が凹状をなすように湾曲した状態とされる。表面シート1において、「着用時における吸収性物品の湾曲方向」は、ナプキン10の長手方向Xであり、該湾曲方向に直交する方向は、ナプキン10の幅方向Yである。
導液凹部4は、図3に示すように、表面41側が凹状をなし、裏面42側が凸状をなしている。
不織布2としては、吸収性物品の表面シートに従来用いられている各種の不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、エアースルー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布等を用いることができる。これらの中で好ましいのはエアースルー不織布である。エアースルー不織布は、カード法又はエアレイ法により形成した繊維ウエブをエアースルー法による熱風処理により不織布化して得られるものである。
表面部3の表面31及び導液凹部4の表面41は、吸収性物品1に組み込まれた状態において着用者の肌側に向けられている、表面シート1の片面であり、表面部3の裏面32及び導液凹部4の裏面42は、吸収性物品1に組み込まれた状態において着用者の肌側とは反対側(吸収体側)に向けられている、表面シート1のもう一方の面である。
表面シート1における表面部3は、原料シートとして用いた不織布が凹凸加工を施して導液凹部4を形成した後も略平面状を維持している部分である。また、表面部3は、各導液凹部4の周囲に連続して形成されている。
表面シート1は、多数の導液凹部4が、それぞれ、表面部3から吸収体側に向かって突出するように形成されているため、肌側に向けて突出する多数の独立凸部を有する表面シートに比べて、肌を伝って流れる液を、より素早く表面シート1内に取り込むことができる。そのため、肌を伝って液が流れることによる不都合、例えば吸収性物品からの液漏れ等を効果的に防止することができる。
より具体的には、高剛性部45は、導液凹部4の開口周縁部に形成されている。また、高剛性部45は、一つの導液凹部4に対して2個形成されており、それらは、生理用ナプキン1の長手方向Xにおける、その導液凹部4の前後に形成されている。
また、各高剛性部45は、ナプキンの長手方向断面〔図3(a)参照〕において、導液凹部4の周壁部43より剛性が高くなされている。ここでいう、周壁部43の剛性は、ナプキンの長手方向において、高剛性部45に隣接する両部位のうち、前記底部44側の隣接部位の剛性である。
また、高剛性部45,45は、導液凹部4の開口部の周方向に離間させて2個形成されており、各高剛性部45は、肌に当接する表面部3及び該導液凹部の周壁部43それぞれより剛性が高い。個々の高剛性部45は、表面シート1の平面視において、略線状をなしている。
尚、本発明でいう剛性は、繊維がより集合した状態で固定されていることに起因する密度という意味の剛性であり、対比される2つの部位の剛性の高低は、例えば、断面を撮影した顕微鏡写真から測定した対比される2つの部位の厚みの違い、即ち密度の違いにより判断することができる。なお、表面シートに用いる不織布が繊維形状を有しない形状も高剛性部では起こりうるため、繊維密度ではなく、密度と表現している。
尚、本実施形態の表面シート1における高剛性部45は、導液凹部4の周方向における、該高剛性部45に隣接する部位46,46(図2参照)それぞれよりも剛性が高い。
即ち、このような高剛性部45がない場合には、湾曲による吸収体の変形量に比べ表面シートの変形量が大きいことによってひずみが生じ不規則な皺が発生するため、該皺が表面シート上で液流れや、肌触りの悪化等の不都合を生じる原因ともなるが、本実施形態のように、表面シート1に上述した構成の高剛性部45が設けられていると、高剛性部45が可とう軸となり変形し、表面部3の中央部3Aの変形を防ぐため、不規則な皺による液流れや肌触りの悪化を軽減できる。尚、高剛性部45が導液凹部4の周方向の全域に亘るように環状に形成されていると、肌触りの低下や密度が高い高剛性部に液がとどまり、吸収体への液の移行が妨げられる点から、少なくとも部分的に高剛性部が連続していないことが好ましい。
高剛性部45が、このように配列されていることによって、吸収体の変形量に比べ表面シートの変形量が大きいために発生する湾曲方向に直交する皺を、より効果的に防止することができる。
また、高剛性部列に含まれる高剛性部のナプキン1の幅方向Yにおける中心から中心の距離は1.5mm〜5.5mm、特に1.5mm〜4.0mmが好ましい。
高剛性部列が上記範囲内であると、表面シートの変形に対して変形を吸収する部分と皺を抑える部分とが適度に配置され、上述した効果をより発揮し易くすることができる。
上述した複数本の高剛性部列L45は、それぞれ、不織布2の繊維配向方向と直交する方向(Y方向)に延びて形成されている。これにより、主として不織布の搬送等による外力による凹部の歪みを各凹部の幅方向周辺の該高剛性部によって抑制し、各凹部に隣接する高剛性部によって該歪みが固定ないようにするため、表面シートに(伸長およびそれが固定されたことによる)皺が生じにくい。
高剛性部45が、繊維配向方向との関係において導液凹部4の前後に配列されていることによって、より高剛性部45を安定して成型することができ、且つ繊維配向方向に直交する左右を柔軟に保つことができる。
周壁部43は、表面シート1の厚み方向に延びる垂直線に対して傾斜しており、表面シート1の該周壁部43に囲まれた部分の横断面(表面シート1の厚み方向に直交する平面による断面)の面積が表面部3側から底面部44に向かって漸減している。より具体的には、内面形状が略逆円錐台状をなしている。
底面部44は、平面視略円形であり、その周囲に周壁部43が連続している。本実施形態における底面部44は、略平坦状に形成されているが、断面が下方に向けて凸の円弧状をなす凸曲面形状に形成することもできる。
このように、ナプキンの長手方向X及び幅方向Yの少なくとも一方の断面において、底面部隣接部位Aの厚みTaが表面部3の厚みT1より小さいと、吸収体への液の移行性を向上させることができる。
更に、導液凹部4が底面部44を有し、吸収体に移行した液が、該底面部44によって隠蔽されるため、例えば、生理用ナプキンの表面シートとして用いたときに、使用後のナプキンにおいて経血が目立つことを防止することができる。
吸収体への液の移行性の向上の観点から、周壁部43の底面部隣接部位Aの厚みTaは、該周壁部43における表面部3に隣接する部位(図3中に符号Bで示す部位、以下、表面部隣接部位Bともいう)の厚みTbの5〜80%であることが好ましく、より好ましくは5〜50%である。尚、表面部隣接部位Bの厚みTbは、図3に示すように、導液凹部4を構成する不織布の該部位Bにおける厚みである。
前記厚みT1、Ta、Tbは、無荷重下の厚みであり、例えば断面を撮影した顕微鏡写真から求める。後述する表面シートの厚みTも同様である。
表面部3がX方向又はY方向に連続直線状に存在しないことにより、導液凹部4の数をより多く配置することができ、肌と接する表面部3の面積を低減させることができる。これにより肌に対するベタツキを抑えることができ、更に肌と表面部3との間を滲む液を連続直線状のものと比べて滲みにくくすることができる。
これに対して、図5は、表面部3が不織布2の維配配向方向(図中X方向)及びそれに直交する方向(図中Y方向)に連続直線状に存在する実施形態を示す図である。図5においては、直線LYに沿って表面部3が連続直線状に延びており、また、直線LXに沿って表面部3が連続直線状に延びている。
坪量は15〜50g/m2、特に20〜40g/m2であることが好ましく、構成繊維の繊度は1.2〜6.7dtexであることが好ましい。
表面部3側の開口部の直径W1(図3参照、開口形状が非円形の場合は同一面積の円の直径)は2.0〜7.0mmであることが好ましく、底面部44の直径W2(図3参照、非円形の場合は同一面積の円の直径)は0.5〜2.5mmであることが好ましい。
表面シート1の厚みT(図3参照)は0.5〜3.0mmであることが好ましく、該厚みTに対する表面部の厚みT1の割合は、20〜90%、特に40〜90%であることが好ましい。
また、導液凹部4の個数は、表面シート9cm2あたりの個数が、10〜100個程度が好ましく、より好ましくは20〜70個程度である。
表面シート1の好ましい製造方法においては、図6に示すように、不織布からなる原料シート20に、一対のロール5,6を用いて多数の導液凹部4,4・・を形成して表面シート1を得る。原料シート20として用いる不織布は、エアースルー不織布が好ましい。エアースルー不織布は、適度な伸長性(繊維構造の変形自由度)を有すると共に、繊維同士の結合点を有することによって伸長させても繊維がばらばらになりにくいので、形態の安定した導液凹部4の形成に適している。また、不織布は、その繊維配向方向を、原料シート20の流れ方向(MD方向)に一致させる。
本装置における第1のロール5及び第2のロール6は、同期して図6中矢印で示す方向に回転駆動されるようになされており、両ロール5,6の回転に伴い、個々の凸部5が、順次、対応する凹部6内に挿入(遊挿)されるように構成されている。凹部6内に挿入される凸部51は、該凹部6の内面囲に接触しないようになっている。
図6に示す例において、凸部51は、円柱状をなしており、凹部6は、凸部51の直径よりも内径の大きい有底円筒状をなしている。また、凹部6は、ロール6の軸長方向に直交する断面(図7に示す断面)及びロール6の軸長方向に沿う断面の何れの断面(図8に示す断面〕においても、凹部6の内周面62と、ロール6の凹部以外の部分63(平滑なロール周面)とが、両者の境界部(凹部の開口周縁部)において略直角に結合している。
この押し込みの際には、原料シート20における、凸部51の先端部に接触して直接押圧される部分24の周囲に、凸部51及び凹部61のいずれにも接触しない部分23が存在しており、該部分23が他の部分に比してより大きく伸長する。
そして、伸長状態下における前記部分23に凹部61の内面から熱が与えられ、その熱により、その伸長状態が固定(熱セット)され、構造の安定した導液凹部4が形成される。
また、凸部51による凹部61への押し込みの際に、原料シート20を構成する不織布は、原料シート20の流れ方向(MD)に伸びやすく、該流れ方向に直交する方向(CD)には相対的に伸びにくい。そのため、原料シート20の流れ方向(MD)における、凹部61の前後端に位置する部分が、略直角に形成された凹部61の開口縁部に強く加圧圧縮され、その状態が熱固定されて高剛性部45となる。
このようにして、多数の高剛性部45が形成された表面シート1が得られる。得られた表面シート1において、底面部44は、主として凸部51の先端部に直接押圧された部分24から構成され、周壁部43は、主として前記部分23から構成されている。
吸収体12及び裏面シート11としては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。
また、表面シートは、不織布の繊維配向方向を、吸収性物品の幅方向に一致させて用いられるものであっても良い。
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
2 不織布
3 表面部
4 導液凹部
43 周壁部
44 底面部
45 高剛性部
5 第1のロール
51 凸部
6 第2のロール
61 凹部
Claims (5)
- 液透過性の表面シート、裏面シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を備え、実質的に縦長の吸収性物品であり、
前記表面シートは、不織布からなり、該不織布は、表面側が肌に当接する表面部と、周壁部及び底部を有し吸収体側に向かって突出する多数の導液凹部とを有し、
前記表面シートは、吸収性物品長手方向断面視において、前記表面部と前記周壁部との境界部又はその近傍に高剛性部を有し、該高剛性部は、前記表面部及び前記周壁部それぞれより剛性が高い吸収性物品。 - 前記高剛性部の繊維密度は、前記表面部及び前記周壁部の繊維密度よりも高いことを特徴とする請求項1記載の吸収性物品。
- 前記吸収性物品の平面視において、前記導液凹部が千鳥状に配置されており、複数の前記高剛性部が略一列に間欠配置されてなる複数本の高剛性部列が、それぞれ、吸収性物品の幅方向に延びて形成されている請求項1記載の吸収性物品。
- 前記高剛性部列は、前記不織布の繊維配向方向と直交する方向に形成されている、請求項3記載の吸収性物品。
- 吸収性物品の肌当接面に用いられる、吸収性物品用の表面シートであって、
不織布からなり、該不織布は、表面側が肌に当接する表面部と、周壁部及び底部を有し吸収体側に向かって突出する多数の導液凹部とを有し、
不織布の繊維配向方向に沿う断面において、前記表面部と前記周壁部との境界部又はその近傍に高剛性部を有し、該高剛性部は、前記表面部及び前記周壁部それぞれより剛性が高い、吸収性物品用の表面シート。
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