JP5099752B2 - 表面シートの製造方法 - Google Patents
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例えば、片面側に突出する立体的な開孔を有する不織布製のシートが知られている(特許文献1参照)。特許文献1記載の表面シートは、先端の尖った突起を不織布に突き刺すと共に加熱して立体的な開孔を形成している。
他方、特許文献2の表面シートは、導管凹部の底部及び側面に導液裂け目が形成されているため、その立体形状が潰れやすい。
本発明の一実施形態である表面シートの製造方法は、図1及び図2に示すように、原料シート20を、多数の凸部51を有する凸ロール(雄部材)5と、凸部51が挿入される多数の受け穴61を有する凹ロール(雌部材)6とを備えた延伸及び加熱装置における両ロール5,6間に供給し、凸部51により原料シート20を部分的に受け穴61内に押し込ませて凹状に変形させ、その凹状の変形形状を加熱により固定して、多数の凹部を有する表面シートを製造する。
表面部3の表面31及び凹部4の表面41は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側に向けられる、表面シート1の片面であり、表面部3の裏面32及び凹部4の裏面42は、吸収性物品に組み込まれたときに着用者の肌側とは反対側(吸収体側)に向けられる、表面シート1のもう一方の面である。凹部4は、表面シート1の見かけの厚みTを増大させると共に、表面31,41側から取り込んだ液を吸収体へと導く機能を有している。
これらの中で好ましいのはエアースルー不織布である。エアースルー不織布は、適度な伸長性を有すると共に、繊維同士の結合点を有することによって伸長させても繊維がばらばらになりにくいので、立体的な形態の安定した凹部4を形成することができる。これに対して、繊維同士の結合点を形成していないエアレイド不織布は、伸長により繊維がばらばらになり易く、形態の安定した凹部4を形成しにくく、繊維自由度(動きやすさ)が低いスパンボンド不織布は、伸長しにくく、深さのある凹部4の形成が困難であり、また、凹部の形成時に裂け目等が生じて、形態の安定した凹部4を形成させにくい。
本発明において、エアースルー不織布には、単層のエアースルー不織布の他、エアースルー不織布同士又はエアースルー不織布と他の不織布との積層体も含まれる。
エアースルー不織布として積層体を用いる場合、層間は部分的又は全体的にエンボス加工(ヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等)等の公知の接合手段により接合されていることが好ましい。
また、より好ましい製造方法として、雌部材の平面部の表層のみを断熱コーティングし、雌部材の表面温度をよりよく制御することにより、原料シート20の雌部材の平面部に相当する領域は安定的に熱セットされにくくなる。断熱コーティング材としては、ガラス繊維入りエポキシ樹脂、ベークライト、ピーク材、セラミック材、シリコン樹脂、テフロン(登録商標)樹脂等が挙げられる。
また、凹部4が、底部44を有し下端が開口しておらず、吸収体に移行した液が、該底部44によって隠蔽されるため、例えば、生理用ナプキンの表面シート等として用いたときに、使用後のナプキンにおいて経血等の液体の色が目立つことを防止することができる。
凸部51及び受け穴61の内面61a,61bのいずれにも接触しない前記部分23は、凸部51の先端部に直接押圧される部分の全周囲に亘って環状に生じていることが好ましい。
また、凸部51が受け穴61に挿入された状態における、凸部51と受け穴61の開口周縁部62との間の最長距離L2は4.0mm以下、特に3.0mm以下であることが、潰れにくく、且つ立体形状の復元力を有した凹部4を得られる点から好ましい。
また、凸部51が受け穴61に挿入された状態における、凸部51の挿入深さL4は、0.5〜6.0mm、特に1.0〜4.0mmであることが、より立体的な凹部4を得、且つ底面部44の破れを防止する点から好ましい。
凸部51の挿入深さL4は、凸ロール5及び凹ロール6の回転に伴い漸次変化するが、寸法等を規定する場合における「凸部51が受け穴61に挿入された状態」は、挿入深さL4が最大となった状態とする。
即ち、凸ロール5及び凹ロール6が回転して、凸部51の挿入深さDが最大となったときにも、該凸部51の先端位置P1よりも深いところにまで、受け穴61の内面61a,61bが存在するようにする。
これにより、受け穴61内の周囲からの熱および凸部51の熱によって、凸部51により押し込まれた不織布に安定した凹部4を形成することができる。
凸部51の先端位置P1より下方に位置する、受け穴61の内面61aの高さD〔図3及び図4(a)参照〕)は、0mm以上であり、0mm超20mm以下であることが好ましく、5〜10mmであることが好ましい。
このような凸部51を用いることで、押し込んだ凸部51を引き抜く際の抵抗を低減させることができるため、凹部4の形状を崩さずに成型できる。
尚、突出部分53と非突出部分54との間の段差は、例えば0.05〜1.0mmとすることが好ましい。
表面シート1は、吸収性物品に組み込まれて使用されたしたときに、凹部4以外の部分の表面31が着用者の肌に接触する。表面部3は、このように表面31側が着用者の肌に接する部分である。本表面シート1において、表面部3は、各凹部4の周囲に連続して形成されている。また、表面部3は、図6及び図7に示すように、略平坦状に形成されている。
表面シート1は、多数の凹部4が、それぞれ、表面部3から吸収体側に向かって突出するように形成されているため、肌側に向けて突出する多数の独立凸部を有する表面シートに比べて、肌を伝って流れる液を、より素早く表面シート1内に取り込むことができる。そのため、肌を伝って液が流れることによる不都合、例えば吸収性物品からの液漏れ等を効果的に防止することができる。
周壁部43は、表面シート1の厚み方向に延びる垂直線に対して傾斜しており、表面シート1の該周壁部43に囲まれた部分の横断面(表面シート1の厚み方向に直交する平面による断面)の面積が表面部3側から底面部44に向かって漸減している。より具体的には、内面形状が略逆円錐台状をなしている。
底面部44は、平面視略円形であり、その周囲に周壁部43が連続している。底面部44は、略平坦状に形成されているが、凸部51の先端部を凸曲面状に形成して、底面部44を、断面が下方に向けて凸の円弧状をなす凸曲面形状に形成することもできる。
表面シート1は、このように、底面部隣接部位Aの厚みTaが表面部3の厚みT1より小さく、吸収体への液の移行性に優れている。
そのため、表面部3及び/又は周壁部43から、底面部隣接部位Aへの液の移行性、延いては吸収体への液の移行性に一層優れている。
吸収体への液の移行性の向上の観点から、周壁部43の底面部隣接部位Aの厚みTaは、該周壁部43における表面部3に隣接する部位(図7中に符号Bで示す部位、以下、表面部隣接部位Bともいう)の厚みTbの5〜80%であることが好ましく、より好ましくは5〜50%である。尚、表面部隣接部位Bの厚みTbは、図7に示すように、凹部4を構成する不織布の該部位Bにおける厚みである。
前記厚みT1、Ta、Tbは、無荷重下の厚みであり、例えば断面を撮影した顕微鏡写真から求める。表面シートの厚みTも同様である。
坪量は15〜50g/m2、特に20〜40g/m2であることが好ましく、構成繊維の繊度は1.2〜6.7dtexであることが好ましい。
厚みは0.2〜3.0mm、特に0.4〜2.5mmであることが好ましい。この厚みは、凹凸形状を付与する前の原料シートの段階の厚みであり、0.5g/cm2の荷重下の厚みを、KEYENCE社製 レーザー変位計(LK−085)等を用いて測定する。
また、凹部4の個数は、表面シート9cm2あたりの個数が、10〜100個程度が好ましく、より好ましくは20〜70個程度である。
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
例えば、原料シート20における、凸部51の先端部に直接押圧される部分24を、該凸部51の先端部と受け穴6の底部との間で加圧することもできる。この場合、表面シート1の上記底面部44が、凸部の先端部と受け穴の底部との間で加圧されたものとなるが、この加圧により、凹部4の底面部(底部)44の剛性を高めることができ、表面シート1に厚み方向に圧縮力が加わっても、該導液凹部4が潰れにくくなる。
また、凸部51及び受け穴61の形状は、それぞれ、真円形や楕円形に代えて、菱形、正方形、長方形等の多角形状、あるいはハート型、星形等とすることもできる。例えば、多角形とする場合、角部には丸みをつけることが好ましい。
2 不織布
20 原料シート
3 表面部
4 凹部
43 周壁部
44 底面部
5 凸ロール(雄部材)
51 凸部
6 凹ロール(雌部材)
61 受け穴
61a 内周面(内面)
61b 底部(内面)
Claims (7)
- 原料シートを、多数の凸部を有する雄部材と、該凸部が挿入される多数の受け穴を有する雌部材との間に供給し、前記凸部により該原料シートを部分的に前記受け穴内に押し込ませて凹状に変形させ、その凹状の変形形状を加熱により固定して、多数の凹部を有する、吸収性物品の表面シートを製造する表面シートの製造方法であって、
前記原料シートとして厚みが3.0mm未満の不織布を用い、該原料シートを、前記凸部の先端部に直接押圧される部分の周囲に該凸部及び前記受け穴の内面のいずれにも接触しない部分が生じるようにして該受け穴に押し込ませて、該凸部が該受け穴に挿入された状態における、該凸部と該受け穴の開口周縁部との間の最短距離を0.7mm以上、前記雌部材の前記受け穴の周囲に位置する面と前記雄部材の対向面との離間距離を1mm以上とすると共に、前記凹状の変形形状の加熱による固定を、前記凸部が前記受け穴に挿入された状態における該凸部の先端位置又はそれより深い位置まで延在する受け穴の内面を加熱して行う、表面シートの製造方法。 - 前記不織布が、エアースルー不織布である請求項1記載の表面シートの製造方法。
- 前記原料シートにおける、前記凸部の先端部に直接押圧される部分を前記受け穴の内面に接触させない請求項1又は2記載の表面シートの製造方法。
- 前記雄部材は、前記凸部の先端部に、前記原料シートに接触させる部分と接触させない部分とを備えている請求項3記載の表面シートの製造方法。
- 前記受け穴は底部を有し、前記原料シートにおける、前記凸部の先端部に直接押圧される部分を、該凸部の先端部と該受け穴の底部との間で加圧する請求項1又は2記載の表面シートの製造方法。
- 前記雄部材が周面に前記凸部を有する凸ロールであり、前記雌部材が周面に前記受け穴を有し該凸ロールと連動して回転する凹ロールである、請求項1〜5の何れか1項記載の表面シートの製造方法。
- 前記受け穴の開口形状が、前記凹ロールの軸長方向の長さより周方向の長さが長い形状である、請求項6記載の表面シートの製造方法。
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