JP2008289659A - 吸収性物品の表面シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】不織布2に、表面31側が肌に接する表面部3と、表面41側が凹状をなし裏面42側が吸収体側に向かって突出する多数の導液凹部4とを形成してなる吸収性物品の表面シートであって、導液凹部4は、周壁部43及び底面部44を有し、該底面部44は、前記表面部3の裏面32より吸収体側に位置しており、該周壁部43の該底面部44に隣接する部位Aの厚みTaが、前記表面部3の厚みT1より小さい。
【選択図】図2
Description
例えば、吸収体に向かって突出する立体的な開孔を有する不織布製の表面シートが知られており、このような立体的な開孔を有する表面シートとして、開孔間の頂部におけるシートの厚さaと、開孔の下端周縁部におけるシートの厚さcと、該頂部と該下端周縁部との略中間部におけるシートの厚さbが、a>b>cなる関係を有するものも知られている(特許文献1参照)。
他方、特許文献2の表面シートは、導管凹部の底部及び側部に導液裂け目が形成されているため、立体形状が潰れやすい。また、不織布における繊維自由度(動きやすさ)の低さを利用し、導管凹部の形成時に導液裂け目を形成しているため、導管凹部における導液裂け目以外の部分に繊維の密度勾配を設けることは困難である。
前記導液凹部は、周壁部及び底面部を有し、該底面部は、前記表面部の裏面より吸収体側に位置しており、該周壁部の該底面部に隣接する部位の厚みが、前記表面部の厚みより小さい、吸収性物品の表面シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の一実施形態である吸収性物品の表面シート(以下、表面シートという)1は、図1〜図3に示すように、不織布2に、表面31側が肌に接する表面部3と、表面41側が凹状をなし裏面42側が吸収体側に突出する多数の導液凹部4,4・・とを形成してなる。
表面部3の表面31及び導液凹部4の表面41は、吸収性物品1に組み込まれたときに着用者の肌側に向けられる、表面シート1の片面であり、表面部3の裏面32及び導液凹部4の裏面42は、吸収性物品1に組み込まれたときに着用者の肌側とは反対側(吸収体側)に向けられる、表面シート1のもう一方の面である。
表面シート1は、多数の導液凹部4が、それぞれ、表面部3から吸収体側に向かって突出するように形成されているため、肌側に向けて突出する多数の独立凸部を有する表面シートに比べて、肌を伝って流れる液を、より素早く表面シート1内に取り込むことができる。そのため、肌を伝って液が流れることによる不都合、例えば吸収性物品からの液漏れ等を効果的に防止することができる。
底面部44は、平面視略円形であり、その周囲に周壁部43が連続している。本実施形態における底面部44は、略平坦状に形成されているが、断面が下方に向けて凸の円弧状をなす凸曲面形状に形成することもできる。
本実施形態の表面シート1は、このように、底面部隣接部位Aの厚みTaが表面部3の厚みT1より小さく、吸収体への液の移行性に優れている。
更に、導液凹部4が底面部44を有し、吸収体に移行した液が、該底面部44によって隠蔽されるため、例えば、生理用ナプキンの表面シートとして用いたときに、使用後のナプキンにおいて経血が目立つことを防止することができる。
そのため、表面部3及び/又は周壁部43から、底面部隣接部位Aへの液の移行性、延いては吸収体への液の移行性に一層優れている。
前記厚みT1、Ta、Tbは、無荷重下の厚みであり、例えば断面を撮影した顕微鏡写真から求める。後述する表面シートの厚みTも同様である。
表面部3がX方向又はY方向に連続直線状に存在しないことにより、導液凹部4の数をより多く配置することができ、肌と接する表面部3の面積を低減させることができる。これにより肌に対するベタツキを抑えることができ、更に肌と表面部3との間を滲む液を連続直線状のものと比べて滲みにくくすることができる。
これに対して、図4は、表面部3が不織布2の維配配向方向(図中X方向)及びそれに直交する方向(図中Y方向)に連続直線状に存在する実施形態を示す図である。図4においては、直線LYに沿って表面部3が連続直線状に延びており、また、直線LXに沿って表面部3が連続直線状に延びている。
底面部44における繊維固定部45以外の部分46は、繊維同士の結合点を有しない不織布によって構成されていても良いし、繊維同士の結合点を有する不織布によって構成されていても良い。更には、底面部44の全体が繊維固定部45であっても良い。
特に、繊維固定部45が底面部44に部分的に形成されていることが、適度な液透過性を得られ、且つ底面部44内に低密度部と高密度部が存在させることができ、吸収体への液の移行がしやすくなる点から好ましい。
坪量は15〜50g/m2、特に20〜40g/m2であることが好ましく、構成繊維の繊度は1.2〜6.7dtexであることが好ましい。
表面部3側の開口部の直径W1(図2参照、開口形状が非円形の場合は同一面積の円の直径)は2.0〜7.0mmであることが好ましく、底面部44の直径W2(図2参照、非円形の場合は同一面積の円の直径)は0.5〜2.5mmであることが好ましい。
表面シート1の厚みT(図2参照)は0.5〜3.0mmであることが好ましく、該厚みTに対する表面部の厚みT1の割合は、20〜90%、特に40〜90%であることが好ましい。
また、導液凹部4の個数は、表面シート9cm2あたりの個数が、10〜100個程度が好ましく、より好ましくは20〜70個程度である。
表面シート1の好ましい製造方法においては、図6に示すように、不織布からなる原料シート20に、一対のロール5,6を用いて多数の導液凹部4,4・・を形成して表面シート1を得る。原料シート20として用いる不織布は、エアースルー不織布が好ましい。エアースルー不織布は、適度な伸長性(繊維構造の変形自由度)を有すると共に、繊維同士の結合点を有することによって伸長させても繊維がばらばらになりにくいので、形態の安定した導液凹部4の形成に適している。
本装置における第1のロール5及び第2のロール6は、同期して図6中矢印で示す方向に回転駆動されるようになされており、両ロール5,6の回転に伴い、個々の凸部5が、順次、対応する凹部6内に挿入(遊挿)されるように構成されている。凹部6内に挿入される凸部51は、該凹部6の内面囲に接触しないようになっている。
尚、図6に示す例において、凸部51は、円柱状をなしており、凹部6は、凸部51の直径よりも内径の大きい有底円筒状をなしている。
この押し込みの際には、原料シート20における、凸部51の先端部に接触して直接押圧される部分24の周囲に、凸部51及び凹部61のいずれにも接触しない部分23が存在しており、該部分23が他の部分に比してより大きく伸長する。
そして、伸長状態下における前記部分23に凹部61の内面から熱が与えられ、その熱により、その伸長状態が固定(熱セット)され、構造の安定した導液凹部4が形成される。
このようにして、多数の導液凹部4が多数形成された表面シート1が得られる。得られた表面シート1において、底面部44は、主として凸部51の先端部に直接押圧された部分24から構成され、周壁部43は、主として前記部分23から構成されている。
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。吸収体及び裏面シートとしては、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば吸収体としては、パルプ繊維等の繊維材料からなる繊維集合体又はこれに吸収性ポリマーを保持させたものを、ティッシュペーパーや不織布等の被覆シートで被覆してなるものを用いることができる。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
例えば、導液凹部4の周壁部4や底面部43の平面視形状は、図3に示すような真円形に代えて楕円形とすることもでき、更には、菱形、正方形、長方形等の多角形状、あるいはハート型、星形等とすることもできる。例えば、多角形とする場合、角部には丸みをつけることが好ましい。
また、底面部44に部分的に繊維固定部45を形成する場合の該繊維固定部45の形状も、図5に示すような正方形に代えて、円形や楕円形、菱形、長方形、ハート型、星形等とすることもできる。
2 不織布
3 表面部
4 導液凹部
43 周壁部
44 底面部
45 繊維固定部
5 第1のロール
51 凸部
6 第2のロール
61 凹部
Claims (6)
- 不織布に、表面側が肌に接する表面部と、表面側が凹状をなし裏面側が吸収体側に向かって突出する多数の導液凹部とを形成してなる吸収性物品の表面シートであって、
前記導液凹部は、周壁部及び底面部を有し、該底面部は、前記表面部の裏面より吸収体側に位置しており、該周壁部の該底面部に隣接する部位の厚みが、前記表面部の厚みより小さい、吸収性物品の表面シート。 - 前記周壁部は、前記表面部側から前記底面部側に向かって厚みが漸減している、請求項1記載の吸収性物品の表面シート。
- 前記表面部の厚みより、前記周壁部における該表面部に隣接する部位の厚みが小さい、請求項1又は2記載の吸収性物品の表面シート。
- 前記底面部における前記不織布は、繊維同士の結合点を有しており且つ液透過性を維持している、請求項1〜3の何れかに記載の吸収性物品の表面シート。
- 前記導液凹部は、前記表面部が前記不織布の繊維配向方向又はそれに直交する方向に連続直線状に存在しないように配置されている、請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品の表面シート。
- 前記底面部は、繊維同士の結合点以外の繊維固定部を有している、請求項1〜5の何れかに記載の吸収性物品の表面シート。
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