JP2013194333A - 不織布およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高荷重下でも形状保持性に優れ、高い通気性を有し、かつ排泄物が素早くシート間の空間に導かれることにより排泄物が肌に付き難くい不織布を提供する。
【解決手段】シート状の不織布10を平面視した側の第1面側Z1に突出し内部空間21Kを有する第1突出部21と、第2面側Z2に突出し内部空間22Kを有する第2突出部22とを有し、前記第1、第2突出部21,22が該不織布10の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第1シート11と、前記第2面側Z2に突出し内部空間23Kを有する第3突出部23と、前記第1面側Z1に突出し内部空間24Kを有する第4突出部24とを有し、前記第3、第4突出部23,24が該不織布10の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第2シート12とを有する不織布10。
【選択図】図1

Description

本発明は不織布およびその製造方法に関する。
生理用ナプキン、パンティーライナー、および使い捨ておむつ等といった吸収性物品において、その機能に応じて、シート材の片面に突出した部分を配したものや、突出部を2段に配したもの、両面に断面波形のアーチ形状を配したものなどが開発されている。
吸収性物品は通常着用者の肌に直接当てて使用される。特に、肌荒れしやすいようなところに用いられることが多く、しかも長時間に亙って着用されることがある。そのため肌あたりのやさしいものが望まれる。他方、吸収性物品には基本的な機能として液体等の吸収液保持性が要求される。上記のような吸収性物品の肌触りと各機能とを高める表面シートの開発が試みられている。
特許文献1には、実質的に伸縮しないシート状物からなる上層と下層とを有し、この両層が多数の接合部で接合されており、両層の間に空洞を有して上層に多数の凸部を形成し、下層がフラットな表面シートが開示されている。この表面シートは、凸部の底面が矩形にされ、凸部が全体として直方体状又は截頭四角錐体状にされている。
特許文献1に開示された表面シートによれば、液漏れ防止性、特に軟便や経血などの高粘性液の漏れ防止性に優れているとされる。
しかし、特許文献1に記載の表面シートで例示されている構造では、多量の液が一度に供給された場合、上層と下層との間の空間が小さいため、その空間で液を十分に保持することができず、処理しきれない可能性がある。また、上層の凸部の空洞を塞ぐように下層が配されているため、通液性が不十分となる場合がある。さらに、壁部の繊維の配向性についての記述はないがCD方向断面においては厚み方向に配向していないと考えられるため、高加圧下では凸部形状が潰れる場合がある。
特許文献2には、不織布からなる第1層と第2層を有する表面シートが開示されている。表面シートは、第1層の一部が肌当接面側に突出して形成された多数の肌当接凸部と、第1層及び第2層それぞれの一部が非肌当接面側に突出して形成された多数の導液凹部とを有している。第1層及び第2層は、導液凹部の下端部において互いに接合されて接合部が形成され、第2層より第1層の方が相隣接する接合部間の長さが長く、第1層及び第2層は断面が波状をなしている。
この表面シートによれば、スポット吸収性や漏れ防止性に優れているとされる。また、肌や吸収体との間に離間部分が生じるため通気性に優れているとされる。さらに、形状保持効果が高く、潰れにくく、復元性が高いため、クッション性にも優れているとされる。
しかし、特許文献2に開示された表面シートでは、多量の液が一度に供給された場合、第1層と第2層との間に存在する空間が小さいため、その空間で液を十分に保持することができず、処理しきれない可能性がある。また、導液凹部の底部に開口部があるため、吸収体に移行した液(排泄物)がその開口部を通って逆戻りする場合がある。さらに、凸部の壁部の繊維の配向性についての記述はないがCD方向断面においては厚み方向に配向していないと考えられるため、高加圧下では凸部の形状が潰れる場合がある。
特許文献3には、液体透過性トップシートと、トップシートに接合されているバックシートと、トップシートとバックシートとの間に位置する、開放構造の大便管理部材とを備えたおむつであって、大便管理部材は、アーチ型部分のパターンを有し、間隔があけられた接着位置において、裏張りにアンカー留めされた第一繊維シートによって形成されて、前記第一繊維シートが、接着位置間においてアーチ型に前記裏張りから突出し、前記アーチ型部分が0.5mm以上の高さを有し、前記第一繊維シートは、100g/cmの加えられた力の下で30秒後に少なくとも50%のレジリエンスを有し、前記トップシートが開口ウエブを含み、前記裏張りに対して前記第一繊維シートと反対側に、間隔が開けられた接着位置としてのアンカー部分を有するとともに、該接着位置との間で前記裏張りから突出するアーチ型部分を有する第二繊維シートをさらに備えた、おむつが開示されている。上述のおむつは、低粘度大便物質を装着者の皮膚から離間して保持することができるとされる。
しかし、特許文献3に開示されたおむつでは、アーチ型部分の壁部の繊維の配向性についてはCD方向断面においては厚み方向に配向していないと推察できるため、高下ではアーチ型部分の形状が潰れやすくなり、その部分での肌接触面積が大きくなる。またアーチ型部分に裏張りがあるため、通液性に劣る。
なお、本明細書では、「MD」とは、機械方向ともいい、不織布製造時におけるウエブの送り方向であり、「Machine Direction」の略語である。「CD」とはMDに対して直交する方向であり、「Cross Direction」の略語である。
特開2004−174234号公報 特開2009−89965号公報 特許第4637349号公報
本発明は、着用者が寝ているような高加圧下でも形状保持性に優れ、高い通気性を有して蒸れの問題を解決し、かつ排泄物が素早くシート間の空間に導かれることにより排泄物が肌に付き難くい不織布およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、シート状の不織布を平面視した側の第1面側に突出し、前記第1面側とは反対側の第2面側に開口した内部空間を有する第1突出部と、前記第2面側に突出し内部空間を有する第2突出部とを有し、前記第1、第2突出部が該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第1シートと、前記第2面側に突出し、前記第1面側に開口した内部空間を有する第3突出部と、前記第1面側に突出し内部空間を有する第4突出部とを有し、前記第3、第4突出部が該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第2シートとを有し、前記第1突出部の頂部と前記第1突出部の前記第2面側に開口した開口部との間に環状構造の連続した壁部が配され、該壁部は前記第1突出部の頂部と開口部とを結ぶ方向に繊維配向性を有し、前記第1突出部と前記第3突出部とは突出方向が逆方向となるように対向する位置に配されて前記第2突出部と前記第4突出部とが接合されている不織布を提供する。
本発明は、シート状の不織布を平面視した側の第1面側に突出し内部空間を有する第1突出部と、前記第1面側とは反対側の第2面側に突出し内部空間を有する第2突出部とを有し、前記第1、第2突出部は、該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第1シートを作製する工程と、前記第2面側に突出し内部空間を有する第3突出部と、前記第1面側に突出し内部空間を有する第4突出部とを有し、前記第3、第4突出部は、該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第2シートを作製する工程と、前記第1シートの第2面側と前記第2シートの第1面側とを向かい合わせにして前記第1シートの第2突出部と前記第2シートの第4突出部を接合する工程を有し、前記第1シートの作製工程および前記第2シートの作製工程は、それぞれ、凹凸形状を有する支持体上に熱可塑性繊維を含有するウエブを搬送し、第1の熱風の吹き付けにより前記ウエブの繊維同士を前記凹凸形状が保持される状態に賦形する工程と、前記第1の熱風よりも高温度の第2の熱風を前記賦形させたウエブに吹き付け、前記凹凸形状を保持した状態で前記ウエブの繊維同士を融着させて前記凹凸形状を固定する工程とを備えている不織布の製造方法を提供する。
本発明の不織布は、第1突出部の壁部が第1突出部の頂部と第1突出部の開口部とを結ぶ方向に、第3突出部の壁部が第3突出部の頂部と第3突出部の開口部とを結ぶ方向に繊維配向性を有することから、着用者が寝ているような高加圧下でも各突出部が潰れにくいため、形状保持性に優れ、高い通気性を有して蒸れの問題を解決することができる。それとともに、第1突出部の繊維密度が第2突出部の繊維密度より低く、第3突出部の繊維密度が第4突出部の繊維密度より低くなっていることから、不織布の第1面側から排泄物が供給された場合、その排泄物が素早くシート間の内部空間に導かれ、次いで吸収体に素早く移行するので、排泄物が肌に付き難くなる。よって、着用者の赤み、かぶれ、褥瘡等の発生を防止することができるため、快適な継続的着用が可能になる不織布を提供することができる。
本発明の不織布の製造方法は、着用者が寝ているような高加圧下でも各突出部が潰れにくく、形状保持性に優れ、高い通気性を有して蒸れの問題を解決する不織布を製造することができる。また凹凸形状を有する支持体上に搬送したウエブに第1の熱風を吹き付けることによってウエブを賦形することから、第1突出部の壁部が第1突出部の頂部と第1突出部の開口部とを結ぶ方向に、第3突出部の壁部が第3突出部の頂部と第3突出部の開口部とを結ぶ方向に繊維配向性を有する不織布を製造できる。この製造方法により作製された不織布は、排泄物が素早くシート間の内部空間に導かれることによって、着用者の赤み、かぶれ、褥瘡等の発生を防止することができ、快適な継続的着用が可能となる。
本発明の不織布の好ましい一実施形態を示した部分断面図である。 本発明の不織布の第1シートの部分断面斜視図である。 本発明の不織布の第2シートの部分断面斜視図である。 本発明の不織布の製造方法の好ましい一実施形態を示した部分断面図である。 5kPa圧力時透気度の測定方法を説明した模式図である。
本発明に係る不織布の好ましい一実施形態について、図1〜図3を参照しながら、以下に説明する。
本発明の不織布10は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シートに適用することが好ましく、第1面側Z1を着用者の肌面側に向けて用い、第2面側Z2を吸収性物品内部の吸収体(図示せず)側に配置して用いることが好ましい。以下、図面に示した不織布10の第1面側Z1を着用者の肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明するが、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
図1ないし図3に示すように、本発明の不織布10は、第1シート11と第2シート12とが接合してなる。
第1シート11は、シート状の不織布を平面視した側の第1面側Z1に突出し、内側に第1面とは反対側の第2面側に開口した内部空間21Kを有する第1突出部21と、第1面側Z1とは反対側の第2面側Z2に突出し、内側に第2面側に開口した内部空間22Kを有する第2突出部22とを有している。第1突出部21および第2突出部22は、第1シート11の全面にわたって、例えば平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配されている。上記異なる方向とは、具体的一例として、上記異なる方向の1方向であるx方向(x軸方向)と、このx方向とは異なり、上記異なる方向の別の1方向であるy方向(y軸方向)である。第1面側Z1からみた凸部が第1突出部21であり、凹部が第2突出部22となる。また、第2面側Z2からみた凸部が第2突出部22であり、凹部が第1突出部21となる。したがって、第1突出部21と第2突出部22とは一部が共有されている。上記x軸とy軸の交差角度は、30°以上90°以下とすることが好ましく、本実施形態では90°とした。また第1面側Z1をz軸方向上方側とし、第2面側Z2をz軸方向下方側とした。
第1シート11は、シートの全面に渡って0.05kPaの圧力がかかるように荷重がかけられたときの厚みT1が1mm〜10mmが好ましく、より好ましくは2mm〜6mmであり、さらに好ましくは3mm〜5mmである。また、シートの全面に渡って5kPaの圧力がかかるように荷重がかけられたときの厚みTp1が0.1mm〜6mmが好ましく、より好ましくは0.2mm〜3.6mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜3mmである。なお、上述の各厚みT1,Tp1は、z軸方向でみた第1突出部21の頂点から第2突出部22の頂点までの高さの平均値をいう。
さらに、第2シート12は、シート状の不織布を平面視した側の第2面側Z2に突出し、内側に第1面側に開口した内部空間23Kを有する第3突出部23と、第1面側Z1に突出し、内側に第2面側に開口した内部空間24Kを有する第4突出部24とを有している。第3突出部23および第4突出部24は、第2シート12の全面にわたって、例えば平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配されている。上記異なる方向とは、具体的一例として、上記x方向とy方向である。第1面側Z1からみた凸部が第3突出部23であり、凹部が第4突出部24となる。また、第2面側Z2からみた凸部が第4突出部24であり、凹部が第3突出部23となる。したがって、第3突出部23と第4突出部24とは一部が共有されている。
第2シート12は、シートの全面に渡って0.05kPaの圧力がかかるように荷重がかけられたときの厚みT2は、1mm〜10mmが好ましく、より好ましくは2mm〜6mmであり、さらに好ましくは3mm〜5mmである。また、シートの全面に渡って5kPaの圧力がかかるように荷重がかけられたときの厚みTp2は、0.1mm〜6mmが好ましく、より好ましくは0.2mm〜3.6mmであり、さらに好ましくは0.3mm〜3mmである。なお、上述の各厚みT2,Tp2は、z軸方向でみた第3突出部23の頂点から第4突出部24の頂点までの高さの平均値をいう。
上記第1シート11と第2シート12とは、第1突出部21と第2突出部22の配置位置と第3突出部23と第4突出部24の配置位置が対向するように配されている。具体的には、第1突出部21と第3突出部23とを逆方向に突出するように対向し、また第2突出部22と第4突出部24が対向してそれぞれの頂部22T,24Tで接合されていることが好ましい。なお、頂部22T,24Tで接合していれば、それぞれの頂点が合致していない場合の接合も許容される。
上記接合は、接着剤(例えばホットメルト接着剤)を用いた接合、熱による融着接合、圧力をかけて接合する圧着接合等、種々の接合方法を採用することができる。
上述したように、第1シート11と第2シート12との接合は、第2突出部頂部22Tと第4突出部頂部24Tとの接合であるため、それらの頂部の周囲は接合されていない。したがって、第1突出部21の内部空間21Kと上記第3突出部23の内部空間23Kとは連続しているとともに、隣接する内部空間21K、内部空間23Kにも連続していて、一つの内部空間25を構成している。
本実施形態において第1突出部21の頂部21T、第2突出部22の頂部22T、第3突出部23の頂部23Tおよび第4突出部24の頂部24Tは、それぞれ、丸みをもった円錐台形状もしくは半球状にされている。なお、本実施形態において、第1突出部21、第2突出部22、第3突出部23および第4突出部24は上記形状に限定されず、どのような突出形態でもよく、例えば、様々な錐体形状(本明細書において錐体形状とは、円錐、円錐台、角錐、角錐台、斜円錐等を広く含む意味である。)であることが実際的である。
また本実施形態において、第1突出部21、第2突出部22、第3突出部23および第4突出部24は、それぞれにおいて、その外形と相似する頂部に丸みのある円錐台形状もしくは半球状の内部空間21K、内部空間22K、内部空間23Kおよび内部空間24Kを有している。
上記第1突出部21の頂部(以下、第1突出部頂部ともいう。)21Tと第1突出部21の第2面側Z2に開口した開口部21Hとの間に壁部21Wを有する。開口部21Hは、第2面側Z2からみて第1突出部21の壁部21Wの第2面側Z2の周縁をいう。この壁部21Wは、第1突出部21において環状構造を成している部分である。また第2突出部22の頂部(以下、第2突出部頂部ともいう。)22Tと第2突出部22の第1面側Z1に開口した開口部22Hとの間に壁部22Wを有する。開口部22Hは、第1面側Z1からみて第2突出部22の壁部22Wの第1面側Z1の周縁をいう。この壁部22Wは、第2突出部22において環状構造を成している部分である。また壁部22Wは上記壁部21Wと一部を共有している。
さらに上記第3突出部23の頂部(以下、第3突出部頂部ともいう。)23Tと第3突出部23の第1面側Z1に開口した開口部23Hとの間に壁部23Wを有する。開口部23Hは、第1面側Z1からみて第3突出部23の壁部23Wの第1面側Z1の周縁をいう。この壁部23Wは、第3突出部23において環状構造を成している部分である。また第4突出部24の頂部(以下、第4突出部頂部ともいう。)24Tと第4突出部24の第2面側Z2に開口した開口部24Hとの間に壁部24Wを有する。開口部24Hは、第2面側Z2からみて第4突出部24の壁部24Wの第2面側Z2の周縁をいう。この壁部24Wは、第4突出部24において環状構造を成している部分である。また壁部24Wは上記壁部23Wと一部を共有している。
ここでいう「環状」とは、平面視において無端の一連の形状をなしていれば特に限定されず、平面視において円、楕円、矩形、多角形など、どのような形状であってもよい。シートの連続状態を好適に維持する上では円又は楕円が好ましい。さらに、「環状」を立体形状としていえば、円柱状、斜円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭斜円錐状、切頭楕円錐状、切頭四角錐状、切頭斜四角錐状など任意の環構造が挙げられ、連続したシート状態を実現する上では、円柱状、楕円柱状、切頭円錐状、切頭楕円錐状が好ましい。
なお、第1突出部頂部21T、壁部21W、第2突出部頂部22は、基本的には、不織布厚みを3等分した上部P1を第1突出部頂部21T、中間部P3を壁部21W(22W)、下部P2を第2突出部頂部22Tとする(図2参照)。同様に、上部P1を第4突出部頂部24T、中間部P3を壁部24W(壁部23W)、下部P2を第3突出部頂部23Tとする(図3参照)。また側面視した不織布全体の厚みが薄く、不織布の層厚みが厚い場合や、それぞれの頂部の尖度ないし曲率が異なる場合には、断面において第1突出部頂点21Tpから隣接する第2突出部頂点22Tpまでの直線を3等分したそれぞれの位置での直線に対する第1突出部頂点21Tp側の直交線が第1突出部頂点21Tpを通るz軸に平行な線周りに回転して得られる曲面で区分される不織布の上部を第1突出部頂部21T、第2突出部頂点22Tp側の直交線が第2突出部頂点22Tpを通るz軸に平行な線周りに回転して得られる曲面で区分される不織布の下部を第2突出部頂部22T(第3突出部頂部23T)、第1突出部頂部21Tと第2突出部頂部22Tとの間を壁部21W(壁部22W)としてもよい(図2参照)。なお、第2シート12についても第1シート11と同様に区分できる(図3参照)。もしくは、断面において直線状になった部分を壁部とし、そこから湾曲して丸みを帯びていく領域をそれぞれの突出部としてもよい。
さらに、第1突出部21は第1突出部頂部21Tと壁部21Wを含み、第2突出部22は第2突出部頂部22Tと壁部22Wを含み、壁部21W,22Wは一部が共有される。同様に、第3突出部23は第3突出部頂部23Tと壁部23Wを含み、第4突出部24は第4突出部頂部24Tと壁部24Wを含み、壁部23W,24Wは一部が共有される。
上述のように配設された第1,第2突出部21,22および第3,第4突出部23,24を有する不織布10は、屈曲部を有さず、全体が連続した曲面で構成されている。
このように、上記不織布10は面方向に連続した構造を有していることが好ましい。この「連続」とは、断続した部分や小孔がないことを意味する。ただし、繊維間の隙間のような微細孔は上記小孔に含めない。上記小孔とは、例えば、その孔径が円相当の直径で1mm以上のものと定義する。
上述の第1突出部21の壁部21Wを構成する繊維は、壁部21Wの全周にわたって第1突出部頂部21Tと開口部21Hの縁部を結ぶ方向に繊維配向性を有する。言い換えれば、壁部21Wを構成する繊維は、第1突出部頂部21に向かって収束する様に配向し、その起立する方向に繊維配向性を有する。また上記第2突出部22の壁部22Wを構成する繊維は、壁部22Wの全周にわたって第2突出部頂部22Tと開口部22Hの縁部を結ぶ方向に繊維配向性を有する。この壁部22Wの繊維配向性は、上述の壁部21Wと共通部分では、壁部21Wの繊維配向性と同様になる。
さらに上述の第3突出部23の壁部23Wを構成する繊維は、壁部23Wの全周にわたって第3突出部頂部23Tと開口部23Hの縁部を結ぶ方向に繊維配向性を有する。言い換えれば、壁部23Wを構成する繊維は、第3突出部頂部23に向かって収束する様に配向し、その起立する方向に繊維配向性を有する。また上記第4突出部24の壁部24Wを構成する繊維は、壁部24Wの全周にわたって第4突出部頂部24Tと開口部24Hの縁部を結ぶ方向に繊維配向性を有する。この壁部24Wの繊維配向性は、上述の壁部23Wと共通部分では、壁部23Wの繊維配向性と同様になる。
一般的なエアスルー不織布では、通常不織布を製造するときに、そのMD方向に繊維が配向しそのまま融着されるため、MD方向断面における壁部の繊維はその起立方向に繊維が配向するものの、CD方向断面においては、起立方向とは直行する方向に繊維が配向することとなるため、このような繊維配向性は有さない。
本発明の不織布10に用いることができる繊維材料は特に限定されない。具体的には、下記の繊維などが挙げられる。ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維があり、また、芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維がある。本発明では複合繊維を用いるのが好ましい。ここでいう複合繊維とは、高融点成分が芯部分で低融点成分が鞘部分とする芯鞘繊維、また高融点成分と低融点成分とが並列するサイドバイサイド繊維が挙げられる。その好ましい例として、鞘成分(低融点成分)がポリエチレンまたは低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられ、該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/PE(鞘)、ポリ乳酸(芯)/PE(鞘)、PP(芯)/低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維があげられる。さらに具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレート/低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)/PE(鞘)、PET(芯)/低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせた混繊として用いることもできる。
上記不織布10は、上記第1突出部21の繊維密度が上記第2突出部22の繊維密度より低く、上記第3突出部23の繊維密度が上記第4突出部24の繊維密度より低くなっている。これにより、不織布の第1面側Z1から排泄物が供給された場合、その排泄物(図示せず)が素早くシート間の内部空間25に導かれ、次いで吸収体(図示せず)に素早く移行するので、排泄物が肌に付き難くなる。よって、着用者の赤み、かぶれ、褥瘡等の発生を防止することができる。ここでいう繊維密度とは、各突出部の厚みの中心付近の繊維密度であり、1mm辺りの繊維本数を計測することで評価した。例えば、上記第1突出部21の繊維密度は30〜130本/mmであることが好ましく、50〜120本/mmがより好ましい。また上記第2突出部22の繊維密度は250〜500本/mmであることが好ましく、270〜480本/mmがより好ましい。また、第1突出部21の繊維密度と第2突出部22の繊維密度との差は、150本/mm以上であることが好ましい。
上記第3突出部23の繊維密度は30〜150本/mmであることが好ましく、50〜120本/mmがより好ましい。また上記第4突出部24の繊維密度は250〜500本/mmであることが好ましく、270〜480本/mmがより好ましい。また、第3突出部23の繊維密度と第4突出部24の繊維密度の差は、150本/mm以上であることが好ましい。
さらに、上記第1突出部21の繊維密度が上記第3突出部23の繊維密度と同等もしくは上記第3突出部23の繊維密度より低くなっている。これにより、不織布の第1面側Z1から排泄物(図示せず)が供給された場合、その排泄物が素早くシート間の内部空間25に導かれ、ある程度の時間ストックされた後に、吸収体(図示せず)へ移行するので、吸収体での拡散を防ぎ、排泄物が漏れにくくなる。ここでいう繊維密度とは、各突出部の厚みの中心付近の繊維密度であり、1mm辺りの繊維本数を計測することで評価した。また、第1突出部21の繊維密度と第3突出部23の繊維密度の差はなくてもよいが、第3突出部23の方が第1突出部21よりも、10本/mm以上高いことがより好ましく、20本/mm以上高いことがより好ましい。第1突出部21の繊維密度が第3突出部23の繊維密度よりも高いと吸収体での拡散を防ぎ、排泄物が漏れ難くなる効果がより高くなる。
また上記第1シート11および上記第2シート12の所定の圧力下における厚みは前述のように規定される。
また第1シート11に5kPaの圧力となるように荷重をかけたときの厚みTp1が上記厚みT1の値の10〜60%であることが好ましく、20〜50%がより好ましい。第2シート12に5kPaの圧力となるように荷重をかけたときの厚みTp2が上記厚みT2の値の10〜60%であることが好ましく、20〜50%がより好ましい。
上記厚みT1は、第1シート11に0.05kPaの圧力となるように荷重がかけられたときの第1突出部頂部21Tの頂点を通るx−y平面に平行な面と第2突出部頂部22Tの頂点を通るx−y平面に平行な面との間のz軸方向の距離である。
上記厚みT2は、第2シート12に0.05kPaの圧力となるように荷重がかけられたときの第3突出部頂部23Tの頂点を通るx−y平面に平行な面と第4突出部頂部24Tの頂点を通るx−y平面に平行な面との間のz軸方向の距離である。
上記厚みTp1は、第1シート11に5kPaの圧力となるように荷重がかけられたときの第1突出部頂部21Tの頂点を通るx−y平面に平行な面と第2突出部頂部22Tの頂点を通るx−y平面に平行な面との間のz軸方向の距離である。
上記厚みTp2は、第2シート12に5kPaの圧力となるように荷重がかけられたときの第3突出部頂部23Tの頂点を通るx−y平面に平行な面と第4突出部頂部24Tの頂点を通るx−y平面に平行な面との間のz軸方向の距離である。
上記厚みT1、厚みT2が上記範囲を採ることにより、着用者に適度なクッション性を与え、排泄物を十分に処理できる内部空間を確保することができる。また、上記厚みTp1、厚みTp2が上記範囲を採ることにより、着用者に硬さを感じさせることなく、寝ているような高加圧下でも各突出部が潰れにくいため、形状保持性に優れ、高い通気性を有して蒸れの問題を解決することができる。
上記実施形態で説明した不織布10は、以下のような効果を奏する。
上記不織布10は、第1突出部21と第3突出部23とが突出方向を逆にした状態に対向する位置に配されたことから、第1突出部21と第3突出部23との間には、第1突出部21の内部空間21Kと第3突出部23の内部空間23Kが連続して配された内部空間25が存する。その内部空間25は、第1突出部21のみで構成された内部空間21Kよりも第3突出部23で構成された内部空間23K分だけ広くなっている。また、第1突出部21の繊維密度は第3突出部23の繊維密度と同等もしくは低くなっている。さらに、第1突出部21の繊維密度は第2突出部22の繊維密度よりも低くなっている。このため、第1面側Z1から供給された液体は、第1突出部21を通液しやすくなり、一旦内部空間25(21K,23K)内に保持される。このとき、供給される液体が多量であっても、内部空間21K、23Kによって液体を保持することができる。そして第3突出部23を通液して第2面側Z2に流出し、第2面側Z2に配されている吸収体(図示せず)に吸収させることができる。したがって、本発明の不織布10は多量の液体を吸収、処理することが可能になる。この効果は、液体が尿であっても、軟便、経血等の高粘性液体であっても同様の効果を奏する。
さらに、第1シート11と第2シート12との接合が、対向する方向に突出された第2突出部頂部22Tと第4突出部頂部24T同士の接合であることから隣接する第3突出部23の内部空間23K同士が連通している。このため、一つの第3突出部23の内部空間23Kが液体で満たされて一杯になった状態で不織布10に外部から圧力がかかっても、液戻りすることなく、隣接する第3突出部23の内部空間23Kに液体が流れ込める。これによって、第3突出部23の内部空間23Kによる液体の保持量が十分に確保できる。
また、不織布10は、第1面側Z1に第1突出部21が配され、第2面側Z2に第3突出部23が配されている。すなわち、不織布10の両面に外方に突出する突出部が配されている。このため、肌当接面側と吸収体側との両方に空間(第1面側Z1からみた第2突出部22の内部空間22Kと第2面側Z2からみた第4突出部24の内部空間24Kに相当)が存することから、通気性が向上する。
上記不織布10は、各突出部がその頂部と開口部を結ぶ方向に繊維が配向している。このため、不織布10を吸収性物品の表面シートに用いた場合、着用者が寝ているときのような高い圧力がかかる場合であっても各突出部が潰れにくくなる。このように各突出部が高加圧下においても形状保持性に優れているため、高い通気性を有して蒸れの問題を解決することができる。
また、第1突出部21が第2突出部22より繊維密度が低いことから、第1面側Z1から供給された液は、第2突出部22より繊維密度が低い第1突出部21からその内側の第1突出部21と第3突出部23との間の内部空間21K,23Kに通液されやすくなる。そして第3突出部23が第4突出部24より繊維密度が低いことから、第4突出部24より通液されやすくなり、一旦第3突出部23の内側に溜まった液は外方に通液されやすくなっていて、第2面側Z2に配される吸収体(図示せず)側にスムースに導かれる。これにより、排泄物が肌に付き難くなり、着用者の赤み、かぶれ、褥瘡等の発生を防止することができるため、継続的着用が快適になる不織布10からなる表面シートを提供することができる。
さらに、第1突出部21が第3突出部23より繊維密度が低い場合には、第1突出部21を通液した液は第3突出部23の内側の内部空間21Kで一旦保持されるので、液拡散の制御が行いやすくなる。すなわち、液の拡散を制御することができる。
上記不織布10は、上記効果に加えて、以下のような効果を奏する。
不織布10は優れたクッション性を有する。
本実施形態の不織布10は表裏何れか一方の面(片面)だけではなく、両面において突出した部分(突出部)を有するため、その構造に特有のクッション性を発現する。例えば筋状の突起や片面の突起ではどうしても線ないし面としての弾力性を発現することとなるが、不織布10によれば三次元的な動きに対してもよく追従して両面において点で支持された立体的なクッション性を奏する。また、第1突出部21の頂部21Tから放射状に開口部21Hの縁部を結ぶ方向、すなわち、壁部21W,22Wを構成する繊維は、第1突出部頂部21に向かって収束する様に配向し、その起立する方向に向けて配向した繊維配向性を有するため、壁部21W、22Wは、繊維が厚み方向に潰れてしまうことのない適度のクッション性を有する。さらに、壁部21W、22Wの繊維配向性により、押圧力を受けて不織布10が潰されても、その形状復元力が大きく、梱包状態や着用が継続されても初期のクッション力が維持されやすい。すなわち、着用者の着座圧や寝た状態で掛かる圧力でも不織布10は、形状保持性に優れ、高荷重下でも肌接触面積が少なく保たれ、第1、第2突出部21、22および第3、第4突出部23、24は、潰れ難く、変形が起こっても回復し易い。
上記不織布10は肌触りに優れる。
本実施形態の不織布10は、一方の面(第1面側Z1)に第1突出部21を突出した状態で有し、他方の面(第2面側Z2)に第3突出部23を突出した状態で有し、それらの頂部21T、23Tは丸みを帯びている。そのため、そのどちらの面を肌面側にしても、不織布10が肌に対して点で柔らかく接触する良好な肌触りが実現される。また、装着時の圧力に対しても接触する面積が増減することで肌触りを良好としながら、圧力に対する不織布10全体の形状変形を抑えることができ、また、圧力変形からの形状復元も容易にできる。上記の良好なクッション性に起因する作用もあり、点接触による動的な作用と相俟って、独特の良好な肌触り感が得られる。また、排泄等を受けたときにも、上述した点接触が効果を奏し、サラッとした肌触りが実現される。このサラッとした肌触り(吸収性の効果)について補足すると、壁部21W,22Wの起立する方向に向け配向した繊維配向性を有することから、その配向した繊維によって、液がスムースに繊維を伝い流れることによって、内部空間21K,23K、そして不織布10の下面に配された吸収体に移行し、且つ、壁部21W,22Wの繊維配向性により液戻りが少なく、サラッとした肌触りが実現される。また、上述した構造の維持による不織布10自体の通気性に優れ、点接触の効果により、カブレの防止にも役立つ。
次に、上述の不織布10の製造方法の好ましい一実施形態について、図4を参照しながら、以下に説明する。
上述の不織布10の製造方法は、以下の製造方法を適宜採用すればよい。
まず、第1シート11と第2シート12を別々に製造する。なお、第1シート11と第2シート12の製造方法は同一であってもよく、または、いずれか一方のシートの突出部の高さを変えて製造してもよい。
この実施形態では、第1シート11と第2シート12とを同一の製造方法で製造する場合を説明する。したがって、代表して第1シート11の製造方法を説明する。
ウエブ賦形の支持体の一例として、図4(1)に示した構成の支持体110を用いる。この支持体110は、第2突出部22が賦形される位置に対応して多数の突起111を有し、第1突出部21が賦形される位置に対応して孔112が配されている。すなわち、支持体110は凹凸形状を有しており、突起111と孔112とが異なる方向に交互に配されていて、例えば、X方向とY方向のそれぞれに突起111と孔112とが交互に配されている。
上記支持体110上にウエブ(繊維ウエブともいう)50を配して、ウエブ50に向けて第1の熱風W1を吹き付けた場合、図4(2)に示すように、支持体110の孔112に対応して第1突出部21が賦形され、突起111の位置に対応して第2突出部22が賦形される。したがって、平面視した側の第1面側Z1に突出し内部空間21Kを有する第1突出部21と、第1面側Z1とは反対側の第2面側Z2に突出し内部空間22Kを有する第2突出部22とは、平面視交差する異なるX方向とY方向のそれぞれに交互に連続して配されて、第1シート11が賦形される。この場合、突起111に対応して賦形された第2突出部22より孔112に対応して賦形された第1突出部21の繊維密度が低くなる。
なお、図面矢印は第1の熱風W1の流れを模式的に示している。
この製造方法の具体的一例を挙げると、下記のような態様が挙げられる。
融着する前のウエブ50を、所定の厚みとなるようカード機(図示せず)からウエブを賦形する装置に供給する。賦形装置では、まず上記支持体110上に上記ウエブ50を搬送して定着させる。次いで、その支持体110上のウエブ50に第1の熱風W1を吹きつける(図4(1)の状態。)。そしてウエブ50を支持体110の形状に沿うように賦形する(図4(2)の状態。)。このときの第1の熱風W1の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、ウエブ50を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃〜70℃低いことが好ましく、5℃〜50℃低いことがより好ましい。第1の熱風W1の風速は、支持体110の突起111の高さにもよるが、賦形性と風合いの観点から、20〜150m/sに設定され、好ましくは30〜100m/sである。風速がこの下限値より遅くなると、十分に賦形されなくなり、クッション性と排泄物のストック性と通気性の効果が十分に発揮されない。風速がこの上限値を超えると、第2突出部22の頂部22Tに開孔が生じることになり、潰れやすくなり、クッション性と排泄物のストック性と通気性の効果が十分に発揮されない。さらに、排泄物がその開孔部を通って逆戻りしやすくなる。
このようにして、第1シート11を凹凸形状に賦形する。
なお、支持体110の突起111の高さは、賦形されるシート全体の厚みやシートの層厚みによって適宜決定される。例えば、1mm〜10mmに設定され、好ましくは1.5mm〜9mmに設定され、より好ましくは2mm〜8mmに設定される。
次に、図4(3)に示すように、ウエブ50の各繊維が適度に融着可能な温度の第2の熱風W2を吹きつけて、繊維同士を融着させる。このときの第2の熱風W2の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、ウエブ50を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃〜70℃高いことが好ましく、5℃〜50℃高いことがより好ましい。第2の熱風W2の風速は、1〜10m/sに設定され、好ましくは3〜8m/sに設定される。この第2の熱風W2の風速は、遅すぎると繊維への熱伝達ができず、繊維同士が融着せず凹凸形状の固定が不十分になる。一方、風速が速すぎると、繊維へ熱が当たりすぎるため、風合いが悪くなる傾向となる。
熱可塑性繊維としては、前述した繊維が用いられる。例えば熱可塑性繊維として低融点成分および高融点成分を含む複合繊維を用いる場合、ウエブ50に吹き付ける第2の熱風W2の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。より好ましくは、低融点成分の融点以上高融点成分の融点より10℃低い温度であり、さらに好ましくは、低融点成分の融点より5℃以上高く高融点成分の融点より20℃以上低い温度である。
またウエブ50は、熱可塑性繊維を、30質量%〜100質量%含んでいることが好ましく、より好ましくは40質量%〜100質量%である。ウエブ50は、本来的に熱融着性を有さない繊維(例えばコットンやパルプ等の天然繊維、レーヨンやアセテート繊維など)を含んでいてもよい。
以上説明したようにして、第1シート11が作製される。
上記製造方法は、連続生産を考慮すると、製造装置(図示せず)は、上記支持体110を搬送可能なコンベア式またはドラム式のものとし、搬送されてくる凹凸形状を固定された第1シート11を、ロール(図示せず)で巻き取っていく態様が挙げられる。
また、第2シート12も第1シート11と同様の製造方法によって作製される。第2シート12の場合、第3突出部23が第1シート11の第1突出部21に対応し、第4突出部24が第1シート11の第2突出部22に対応する。
したがって、支持体110の孔112に対応して第3突出部23が賦形され、突起111の位置に対応して第4突出部24が賦形される。このように賦形されることによって、平面視した側の第1面側Z1に突出し内部空間23Kを有する第3突出部23と、第2面側Z2に突出し内部空間24Kを有する第2突出部24とが、平面視交差する異なるX方向とY方向のそれぞれに交互に連続して配される。この場合、突起111に対応して賦形された第4突出部24より孔112に対応して賦形された第3突出部23の繊維密度が低くなる。
次に、第1シート11の製造方法と同様にして、第2の熱風W2を吹き付けて繊維同士を融着させて賦形形状を固定して、第2シート12が作製される。
上記製造方法においては、各シートの厚みは、第1の熱風W1の風速によって、適宜決定される。例えば、風速を速くするとシートの厚みが厚くなり、遅くするとシートの厚みが薄くなる。また、風速を速くすると第1突出部と第2突出部の繊維密度差が大きくなり、風速を遅くすると第1突出部と第2突出部の繊維密度差が小さくなる。
次に、上記第1シート11の第1突出部21と上記第2シート12の第3突出部23とが反対方向に突出するようにそれぞれのシートを配し、上記第1シート11の第2突出部22と上記第2シート12の第4突出部24を対向させて接合する。この接合には、例えば、ホットメルト接着剤を用いて接合する。または熱融着によって接合してもよく、または圧着もしくは熱圧着によって接合してもよい。この接合では、第2突出部頂部22Tの頂点と第4突出部頂部24Tの頂点とが接合していることがより好ましいが、必ずしも頂点同士が接合していなくともよい。少なくとも、頂部同士が接合していればよい。したがって、第1シート11と第2シート12とを接合する際の両シートの位置合わせは、少なくとも頂部同士が接合するように行われ、より好ましくは頂点同士が接合するように行われる。
接合方法の具体的な一例としては、第1シート11の第2面側Z2を上面にした状態で、ホットメルトコーター(図示せず)を用いて、第2突出部22側にホットメルト接着剤(図示せず)を塗工する。次いで、第2シート12の第4突出部24が第1シート11の第2突出部22と接合するように、第1シート11に第2シート12を貼り合わせる。
上記製造方法により、第1シート11の第2突出部22と第2シート12の第4突出部24とを接合させた不織布10を作製することができる。したがって、着用者が寝ているような高加圧下でも各突出部が潰れにくく、形状保持性に優れ、高い通気性を有して蒸れの問題を解決する不織布10を製造することができる。また凹凸形状を有する支持体110上に搬送したウエブ50に第1の熱風を吹き付けることによってウエブ50を賦形することから、壁部21Wが第1突出部21の頂部21Tと開口部21Hとを結ぶ方向に繊維配向性を有する不織布10を製造できる。この不織布10は、排泄物が素早くシート間の内部空間21K,23Kに導かれることによって、着用者に対する赤み、かぶれ、褥瘡等の発生を防止することができ、継続的に快適な着用が可能となる。
本発明の不織布10は、各種用途に用いることができる。例えば、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。さらに不織布10の両面が凹凸構造であることに起因する通気性や液拡散性、押圧力時の変形特性、などに優れていることから、おむつや生理用品等の表面シートと吸収体との間に介在させるサブレイヤーとして用いることもできる。その他、吸収性物品のギャザー、外装シート、ウイングとして利用する形態も挙げられる。さらに、おしり拭きシート、清掃シート、フィルターとして利用する形態も挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定して解釈されるものではない。
[実施例1−4]
実施例1は、芯がポリエチレンテレフタレートで鞘がポリエチレンからなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を坪量30g/mとなるようカード機からウエブ50として賦形装置に供給した。賦形装置では、多数の突起を有し通気性を有する支持体110の上に上記ウエブ50を定着させた。この支持体110の突起111の平面視におけるMDピッチを8mm、CDピッチを5mmとし、突起111の高さを7.5mmとした。また支持体110における孔112の孔径を2.8mmとした。
次いで、その支持体110上のウエブ50に第1の熱風W1(温度130℃、風速50m/s)を吹きつけて、支持体110上の突起111にそってウエブ50を賦形する。次に、温度145℃、風速5m/sの第2の熱風W2に切り替えて各芯鞘構造の繊維同士を融着させて賦形形状を固定した。このようにして第1シート11を作製した。また、上記第1シート11と同様の製造方法によって第2シート12を作製した。さらに上記第1シート11の第1突出部21と上記第2シート12の第3突出部23とが反対方向に突出するようにそれぞれのシートを配し、上記第1シート11の第2突出部22と上記第2シート12の第4突出部24を対向させてホットメルト接着剤を用いて接合して、実施例1の不織布試験体とした。実施例1の不織布試験体の第1シート11および第2シート12の0.05kPa圧力時の厚みT1,T2はともに3.6mm、5kPa圧力時の厚みTp1,Tp2はともに1.6mmであった。
実施例2は、第1シート11および第2シート12の融着条件としての第2の熱風W2を(温度136℃、風速4m/s)とした以外、上記実施例1と同様な条件で作製した。実施例2の不織布試験体の第1シート11及び第2シート12の0.05kPa圧力時の厚みT1、T2は3.6mm、5kPa圧力時の厚みTp1、Tp2は0.6mmであった。
実施例3は、第1シート11および第2シート12の融着条件としての第2の熱風W2を(温度160℃、風速5m/s)とした以外、上記実施例1と同様な条件で作製した。実施例3の不織布試験体の第1シート11及び2シート12の0.05kPa圧力時の厚みT1、T2は3.6mm、5kPa圧力時の厚みTp1、Tp2は1.9mmであった。
実施例4は、第2シート12の賦形条件としての第1の熱風W1を(温度130℃、風速45m/s)とした以外、上記実施例1と同様な条件で作製した。実施例4の不織布試験体の第2シート12の0.05kPa圧力時の厚みT1は3.6mm、厚みT2は3.5mmであり、5kPa圧力時の厚みTp1は1.6mmであり、厚みTp2は1.4mmであった。
[比較例1−3]
比較例1は、凹凸の無いフラットな不織布であり、0.05kPa圧力時の厚みT1は0.9mm、5kPa圧力時の厚みTp1は0.1mmであった。
比較例2は、特開2004−174234号公報(特許文献1)に記載された製造方法により製造したもので、0.05kPa圧力時の上層の厚みT1は1.4mm、5kPa圧力時の上層の厚みTp1は0.3mmであった。
比較例3は、2枚の比較例2の不織布の凸部を対向させてホットメルト接着剤を用いて接合したものを不織布試験体とした。比較例3の不織布試験体の第1シート及び第2シートの0.05kPa圧力時の厚みT1、T2は1.4mm、5kPa圧力時の厚みTp1、Tp2は0.3mmであった。
次に、測定方法および評価方法について説明する。上述の各不織布試験体を用い、下記の測定試験を行った。
<繊維配向性(配向角、配向強度)の測定>
日本電子(株)社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、図1におけるz軸方向が上下となるようにサンプルを静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する繊維が10本以上計測できる倍率に調整;100ないし300倍)を印刷し、透明PET製シート上に繊維をなぞった。前記の画像をパソコン内に取り込み、株式会社ネクサス社製のnexusNewQube[商品名](スタンドアロン版)画像処理ソフトウエアを使用し、前記画像を二値化した。次いで、前記二値化した画像を、繊維配向解析プログラムである、Fiber Orientation Analysis 8.13 Singleソフト(商品名)を用い、フーリエ変換し、パワースペクトルを得、楕円近似した分布図から、配向角と配向強度を得た。
配向角は繊維が最も配向している角度を示し、配向強度はその配向角における強度を示している。壁部中間部分の測定においては、配向角が90°に近い値ほど、頂部21Tの中心方向に繊維が配向していることを示し、60〜120°であれば、頂部21Tの中心方向に繊維が配向していると判断する。
また、配向強度の値が大きいほど繊維の向きがそろっていることを表す。配向強度が1.05以上の場合を配向しているとする。
測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの配向角と配向強度とした。
上述の繊維配向性は、繊維の配向角と配向強度からなる概念である。
繊維の配向角は、色々な方向性を有する複数の繊維が全体としてどの方向に配向しているかを示す概念で、繊維の集合体の形状を数値化している。繊維の配向強度は、配向角を示す繊維の量を示す概念であり、配向強度は、1.05未満では、ほとんど配向しておらず、1.05以上で配向を有しているといえる。しかしながら、本実施形態においては、繊維配向がその部位によって変化している。すなわち、ある配向角の状態の部位から異なる配向角の部位へと変化する間(繊維がある方向に配向強度が強い状態から異なる配向に強い強度を示す部位へ変化する間)に、配向強度が弱い状態や再配向することで高い状態へ至る等の様々な状態を有する。そのため、ある強い配向角を示す部位と別の方向に強い配向角を示す部位との間においては、繊維の配向強度が弱くとも繊維の配向角が変わっていることが好ましく、配向強度が高いことがより好ましい。配向角、配向強度について本実施形態において一例を示すと、第1突出部21の壁部21Wの曲面構造に対して配向角は、50°以上130°以下が好ましく、より好ましくは60°以上120°以下であり、配向強度は1.05以上が好ましく、より好ましくは1.10以上である。第3突出部23の壁部23Wの曲面構造に対して配向角は、50°以上130°以下が好ましく、より好ましくは60°以上120°以下であり、配向強度は1.05以上が好ましく、より好ましくは1.20以上である。
各々の壁部21W,23Wの繊維の配向方向が各頂部の中心に向かう方向であることから、クッション性を発現する。また、不織布10を吸収性物品の表面シートとして用いた場合、各々の壁部21W,23Wの繊維配向性により高加圧下においても不織布10は十分な耐圧縮性を有し、不織布10の第1ないし第4突出部21ないし24の潰れを防ぐ。これにより十分な捕捉空間を確保でき、肌接触面積を小さくする効果、高い通気性、多量の液、固形分、高粘性液体等を十分に捕捉し、漏れを抑制する効果を十分に発揮する。
<繊維密度の測定>
不織布部分の切断面を、走査電子顕微鏡を用いて拡大観察(繊維断面が30〜60本程度計測できる倍率(150〜500倍)に調整(本実施例では100倍とした)し、一定面積あたりの前記切断面によって切断されている繊維の断面積を数えた。また、観察の中心は、各突出部の頂部の厚みの中心付近とした。次に1mmあたりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm)とした。測定は3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。上記走査電子顕微鏡には、日本電子(株)社製のJCM−5100(商品名)を用いた。
<0.05kPa圧力時の厚みの測定>
第1シート11および第2シート12のそれぞれについて、0.05kPaの圧力がかかるように荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定した。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いた。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとした。
<5kPa圧力時の厚みの測定>
第1シート11および第2シート12のそれぞれについて、5kPaの圧力がかかるように荷重を加えた状態で、厚み測定器を用いて測定した。厚み測定器にはオムロン社製のレーザー変位計を用いた。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して厚みとした。
<5kPa圧力時通気度の測定方法>
通気度測定には、KES圧縮試験機(カトーテック(株)製KES FB−3)を用い、不織布試験体について、通常モードで5kPaまでの圧縮特性評価を行い、5kPa圧力時の不織布厚みをチャートから読み取った。次に、図5に示すように、チャートから読み取った5kPa圧力時の不織布厚みになるように、不織布10の試験体(以下、不織布試験体200という)をガーレー透気度B型試験機210に装着した。
このガーレー透気度B型試験機210は、底部を有する外筒211とその内部に昇降自在に配した底部を有する内筒212を有し、内筒212の内部には内筒212の底部および外筒211の底部を貫通して外部に連通する通気筒213が配されている。この通気筒213の下端には、試験体を挟み込んで固定する締付板214,215が配されている。締付板214,215には、通気筒213に連通する直径が10mm(面積78.4mm)の円形の孔216,217が配されている。また、外筒211の内部には油218が供されている。
上記ガーレー透気度B型試験機210による通気度の測定方法を説明する。
測定は、JIS P8117試験方法により行った。まず、締付板214,215に試験体としての不織布試験体200が所定の厚さになるように固定した後、内筒212を降下させた。このとき内筒212は、外筒211内の油218によって内筒212の自重によりゆっくり降下(図面、太い矢印方向に降下)し、内筒212内の空気A(図面では細い矢印で示す)が通気筒213を通して締付板214,215に固定されている不織布試験体200を透気した。内筒212の降下量は1気圧において100ccに相当する空気が不織布試験体200を通気する量とした。そしてストップウォッチを用いて、100ccの空気が不織布試験体200を通過するのに要する時間(秒)を測定し、1秒あたりの透気量を算出して通気度とした。測定は3回行い、その測定値の平均値を不織布試験体200の5kPa圧力時の通気度とした。
<5kPa圧力時便吸収時間および便付着量の測定方法>
測定は、吸収性物品の一例として乳幼児用おむつ(花王株式会社製「メリーズさらさらエアスルー」(登録商標)Mサイズ)から表面シート、セカンドシートを取り除き、その代わりに、不織布試験体を積層し、その周囲を固定して得た評価用のベビー用おむつを用いた。
そして不織布試験体を含む評価用のベビー用おむつ上に5kPaの圧力を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mmの筒を当て、そこから擬似便を10g注入した。疑似便には、グリセリンに水を加えて粘度を調整したものを用いた。本試験では、粘度が300mPa・sの疑似便を用いた。そして疑似便が表面から無くなる時間を測定し、5kPa圧力時便吸収時間とした。
その状態で5分静置した後、不織布試験体の上にフィルムを載せ、5kPaの圧力がかかるように重り(図示せず)を載せて加圧し、さらに5分静置した。フィルムには、PETフィルム(OHPシート)(例えば、KOKUYO社製VF−1420N(商品名))を用いた。
5分経過後に重りを取り除き、疑似便が付着したフィルムの質量を測定し、その測定値から予め測定しておいた疑似便の付着前のフィルムの質量を差し引いた値(フィルムの質量変化量)を5kPa圧力時便付着量とした。
上記各評価項目についての測定結果および評価結果を表1に示す。
Figure 2013194333
表1に示した結果から明らかなように、各実施例1〜4のそれぞれの不織布10の試験体は、いずれの評価項目においても良好な結果を得た。具体的には、壁部の配向角は、85°〜109°であり、壁部に配向強度は1.1〜1.4であり、第1突出部21の頂部21Tから開口部21H方向に放射状に繊維が配向しているので、圧力がかけられた場合であっても潰れにくくなり、さらに5kPa圧力時の通気度が110cc/sec以上となった。また、いずれの実施例1〜4も第1突出部の繊維密度が第2突出部の繊維密度より低く、第3突出部の繊維密度が第4突出部の繊維密度よりも低いため、供給された液体が軟便、経血等の高粘性液体であっても内部空間11K内に流れ込みやすく、吸収体へ移行しやすくなるので、5kPa圧力時の便吸収時間が81sec以下と速くなるという効果が得られた。さらに5kPa圧力時の便付着量は、1.8g以下と少ない値になった。
以上の結果より、実施例1〜4の不織布を表面シートに用いた吸収性物品では、着用者が寝ているような高荷重下でも不織布10の形状保持性に優れ、高い通気性を有して蒸れの問題が解決でき、かつ排泄物が素早くシート間の内部空間25(21K,23K)に導かれることにより排泄物が肌に付き難くい不織布10を提供できることがわかった。
比較例1は、繊維配向性がないため、5kPa圧力時に潰れやすく、擬似便を保持するような空間を有さないため、5kPa圧力時の通気度が21cc/secと低く、5kPa圧力時の便吸収時間が300sec以上と遅く、5kPa圧力時の便付着量が5.2gとなり実施例の2.8倍以上多くなった。
比較例2は、配向強度は1.19とあるものの配向角が172°と大きいため、実施例と比較して高加圧下で潰れやすく、擬似便を保持するような空間が小さいため、5kPa圧力時の通気度が38cc/secとやや低く、5kPa圧力時の便吸収時間が234sec以上と遅く、5kPa圧力時の便付着量が3.2gとなり実施例の1.7倍以上多くなった。
比較例3は、比較例2と同様に高加圧下で潰れやすいものの、比較例2の不織布を2枚接合しているため、擬似便を保持するような空間が増加している。しかし、第1シートと第2シートの空間の間に裏張りが存在し、通気性、通液性が劣り、かつ第2シートの空間を有効利用できないため、5kPa圧力時の通気度が65cc/secと実施例と比較して低く、5kPa圧力時の便吸収時間が211sec以上と遅く、5kPa圧力時の便付着量が3.0gとなり実施例の1.6倍以上多くなった。
したがって、比較例1〜3の不織布を吸収性物品の表面シートに用いた場合、不織布自体に十分な通気性が得られ難いため、蒸れやすくなり、着用者の肌に赤み、かぶれ、褥瘡等を発生させる可能性があり、また、排泄物が肌に付きやすくなり、快適な継続的着用が難しいことがわかった。
10 不織布
11 第1シート
12 第2シート
21 第1突出部
21H 開口部
21K 内部空間
21T 第1突出部頂部
21W 第1突出部の壁部
22 第2突出部
22H 開口部
22K 内部空間
22T 第2突出部頂部
22W 第2突出部の壁部
23 第3突出部
23H 開口部
23K 内部空間
23T 第3突出部頂部
23W 第3突出部の壁部
24 第4突出部
24H 開口部
24K 内部空間
24T 第4突出部頂部
24W 第4突出部の壁部
25 内部空間

Claims (6)

  1. シート状の不織布を平面視した側の第1面側に突出し、前記第1面側とは反対側の第2面側に開口した内部空間を有する第1突出部と、前記第2面側に突出し内部空間を有する第2突出部とを有し、前記第1、第2突出部が該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第1シートと、
    前記第2面側に突出し、前記第1面側に開口した内部空間を有する第3突出部と、前記第1面側に突出し内部空間を有する第4突出部とを有し、前記第3、第4突出部が該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第2シートとを有し、
    前記第1突出部の頂部と前記第1突出部の前記第2面側に開口した開口部との間に環状構造の連続した壁部が配され、該壁部は前記第1突出部の頂部と開口部とを結ぶ方向に繊維配向性を有し、
    前記第1突出部と前記第3突出部とは突出方向が逆方向となるように対向する位置に配されて前記第2突出部と前記第4突出部とが接合されている不織布。
  2. 前記第3突出部の頂部と前記第3突出部の前記第1面側に開口した開口部との間に環状構造の連続した壁部が配され、該壁部は前記第3突出部の頂部と開口部とを結ぶ方向に繊維配向性を有している請求項1に記載の不織布。
  3. 前記第1突出部の繊維密度が前記第2突出部の繊維密度より低く、前記第3突出部の繊維密度が前記第4突出部の繊維密度より低い請求項1又は2に記載の不織布。
  4. 前記第1突出部の繊維密度が前記第3突出部の繊維密度と同等もしくは前記第3突出部の繊維密度より低い請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記第1シートに0.05kPaの圧力をかけたときの厚みt1および前記第2シートに0.05kPaの圧力をかけたときの厚みt2のそれぞれが1mm以上10mm以下であり、
    前記第1シートに5kPaの圧力をかけたときの厚みtp1が前記厚みt1の値の10%以上60%以下であり、
    前記第2シートに5kPaの圧力をかけたときの厚みtp2が前記厚みt2の値の10%以上60%以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. シート状の不織布を平面視した側の第1面側に突出し内部空間を有する第1突出部と、前記第1面側とは反対側の第2面側に突出し内部空間を有する第2突出部とを有し、前記第1、第2突出部は、該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第1シートを作製する工程と、
    前記第2面側に突出し内部空間を有する第3突出部と、前記第1面側に突出し内部空間を有する第4突出部とを有し、前記第3、第4突出部は、該不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に連続して配された第2シートを作製する工程と、
    前記第1シートの第2面側と前記第2シートの第1面側とを向かい合わせにして前記第1シートの第2突出部と前記第2シートの第4突出部を接着する工程を有し、
    前記第1シートの作製工程および前記第2シートの作製工程は、それぞれ、凹凸形状を有する支持体上に熱可塑性繊維を含有するウエブを搬送し、第1の熱風の吹き付けにより前記ウエブの繊維同士を前記凹凸形状が保持される状態に賦形する工程と、
    前記第1の熱風よりも高温度の第2の熱風を前記賦形させたウエブに吹き付け、前記凹凸形状を保持した状態で前記ウエブの繊維同士を融着させて前記凹凸形状を固定する工程とを備えている不織布の製造方法。
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