JP2009059919A - 光半導体デバイス及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダブル・インジェクションによるリーク電流を低減でき且つ容易に作製可能な光半導体デバイス及びその作製方法を提供する。
【解決手段】半導体レーザ素子10は、半導体基板12上に設けられ、n型の第1クラッド層18、p型の第2クラッド層24、および第1クラッド層18と第2クラッド層24との間に設けられた活性層20を有する半導体メサ14と、少なくとも電子トラップ作用を有する元素がドープされており、半導体メサ14の両側面を埋め込む埋込領域16と、半導体メサ14と埋込領域16との間に設けられたバリア層22とを備える。バリア層22の組成と第2クラッド層24の組成とは互いに異なり、バリア層22の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、第2クラッド層24の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低い。
【選択図】図1
【解決手段】半導体レーザ素子10は、半導体基板12上に設けられ、n型の第1クラッド層18、p型の第2クラッド層24、および第1クラッド層18と第2クラッド層24との間に設けられた活性層20を有する半導体メサ14と、少なくとも電子トラップ作用を有する元素がドープされており、半導体メサ14の両側面を埋め込む埋込領域16と、半導体メサ14と埋込領域16との間に設けられたバリア層22とを備える。バリア層22の組成と第2クラッド層24の組成とは互いに異なり、バリア層22の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、第2クラッド層24の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低い。
【選択図】図1
Description
本発明は、光半導体デバイス及びその作製方法に関するものである。
光通信に使用される光半導体デバイスの一例として、図6に示す構成のものがある。図6に示す半導体レーザ素子100は、n型InP基板102上に、n型InPクラッド層104、InGaAsP活性層106、p型InPクラッド層108、およびp型GaInAsコンタクト層110が順に積層されたダブルヘテロ(DH)構造を備えている。これらの半導体層は、n型InP基板102の板面に沿った光導波方向に延びる半導体メサ112を構成しており、半導体メサ112の両側面は、例えばFeドープInPからなる半絶縁埋込領域114によって埋め込まれている。半絶縁埋込領域114上には、絶縁膜116が設けられている。電極118は、絶縁膜116の開口116aを介してコンタクト層110と接触している。n型InP基板102の裏面上には、電極120が設けられる。
なお、このような構成を備える光半導体デバイスは、例えば特許文献1にも従来技術として開示されている。
特開平5−183229号公報
一般的に、半絶縁埋込領域には、深いアクセプタレベルを形成するFeやRuといった元素がドープされており、該アクセプタレベルに電子をトラップすることによって高い比抵抗を得ることができる。しかしながら、図6に示された半導体レーザ素子100では、半絶縁埋込領域114の一部が、p型InPクラッド層108と接触している。p型InPクラッド層108は比較的厚いので(特許文献1に記載された例では、p型InPクラッド層108の厚さは1.5μm)、p型InPクラッド層108と半絶縁性埋込領域114との接触面積は広い。従って、その接触部分を介して正孔が半絶縁埋込領域114へ移動し易く、この正孔と、深いアクセプタレベルにトラップされていた電子とが再結合し、該アクセプタレベルが空きとなり、そこへn型InPクラッド層104から更に電子が移動することとなる。
このような現象はダブル・インジェクションと呼ばれ、図6に示された構成を備える光半導体デバイスにおけるリーク電流の原因となっている。したがって、この光半導体デバイスが例えば半導体レーザ素子である場合には、駆動電流を増加させても所望の光出力を得ることができず、高出力化を妨げる一因となる。
このような課題に対し、特許文献1には、p型クラッド層と半絶縁埋込領域との間にn型半導体層を設け、このn型半導体層によって正孔をトラップすることによりダブル・インジェクションを阻止する技術が開示されている。しかしながら、このようなn型半導体層がn型クラッド層やn型基板と接触すると、該n型半導体層を介して(活性層を迂回して)電流が流れてしまう。したがって、このようなn型半導体層はp型クラッド層などのp型半導体層の側面にのみ限定的に形成される必要があり、その作製は極めて困難である。
本発明は、上記した問題点を鑑みてなされたものであり、ダブル・インジェクションによるリーク電流を低減でき、且つ容易に作製可能な光半導体デバイス及びその作製方法を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明による光半導体デバイスは、半導体基板上に設けられ、n型クラッド層、p型クラッド層、およびn型クラッド層とp型クラッド層との間に設けられた活性層を有する半導体メサと、少なくとも電子トラップ作用を有する元素がドープされており、半導体メサの両側面を埋め込む埋込領域と、半導体メサと埋込領域との間に設けられたバリア層とを備え、バリア層の組成とp型クラッド層の組成とが互いに異なり、バリア層及びp型クラッド層の接合部分において、バリア層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位が、p型クラッド層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低いことを特徴とする。
上記した光半導体デバイスにおいては、半導体メサと埋込領域との間にバリア層が設けられている。そして、バリア層の組成とp型クラッド層の組成とが互いに異なり、バリア層及びp型クラッド層の接合部分において、バリア層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、p型クラッド層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低い。これにより、p型クラッド層の価電子帯に存在する正孔は、エネルギー準位が低いバリア層の価電子帯へ移動することが困難となり、バリア層が障壁となって正孔の埋込領域への移動が阻止されることとなる。したがって、上記した光半導体デバイスによれば、ダブル・インジェクションの発生を抑制してリーク電流を効果的に低減できる。
更に、上記した光半導体デバイスにおいては、バリア層およびp型クラッド層それぞれの組成を異ならせることによって正孔に対する障壁作用を実現しているので、特許文献1に記載された技術と異なり、半導体メサの側面の全体に亘ってバリア層を設けることができる。このようなバリア層は、例えばMOCVD等の気相成長法によって容易に形成可能である。したがって、上記した光半導体デバイスは、特許文献1に記載された光半導体デバイスと比較して極めて容易に作製できる。
また、光半導体デバイスは、バリア層が、n型不純物がドープされた又はアンドープの半導体からなることを特徴としてもよい。前述したように、バリア層はp型クラッド層との組成の違いによって正孔に対する障壁作用を得ているので、n型不純物をドープしなくてもこの障壁作用を好適に得ることができる。また、バリア層にn型不純物をドープすれば、価電子帯上端のエネルギー準位が更に低下して障壁作用をより効果的に発揮させ得る。なお、バリア層にn型不純物をドープする場合には、電流がバリア層を通って活性層を迂回しないように、バリア層のn型不純物濃度をn型クラッド層やp型クラッド層の不純物濃度より低くすることが好ましく、例えばバリア層のうちp型クラッド層に隣接する部分が空乏化する程度にバリア層のn型不純物濃度を定めるとよい。
また、光半導体デバイスは、p型クラッド層が、p型不純物がドープされたInPからなり、バリア層が、n型不純物がドープされた又はアンドープのGaInPからなることを特徴としてもよい。p型クラッド層およびバリア層を例えばこれらの組成とすることにより、バリア層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、p型クラッド層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低くなる。したがって、ダブル・インジェクションの発生を抑制してリーク電流を効果的に低減できる。
また、光半導体デバイスは、埋込領域が、少なくとも電子トラップ作用を有する元素として鉄およびルテニウムのうち少なくとも一方がドープされたInPからなることを特徴としてもよい。このような埋込領域を有する従来の光半導体デバイスでは、前述したダブル・インジェクションによるリーク電流が顕著に発生していた。これに対し、上記構成を備える光半導体デバイスによれば、このような埋込領域を備える場合に、特に効果的にリーク電流を低減できる。
また、本発明による光半導体デバイスの作製方法は、第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を第1導電型の半導体基板上に順に成長させる積層工程と、第1クラッド層、活性層、および第2クラッド層をエッチングして半導体メサを形成するメサ形成工程と、半導体メサの側面上に気相成長法によりバリア層を成長させるバリア層形成工程と、少なくとも電子トラップ作用を有する元素がドープされた埋込領域によって半導体メサの両側面を埋め込む埋込工程とを備え、第1クラッド層および第2クラッド層のうち導電型がp型であるクラッド層の組成とバリア層の組成とが互いに異なり、バリア層及び導電型がp型であるクラッド層の接合部分において、バリア層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位が、導電型がp型であるクラッド層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低いことを特徴とする。
この光半導体デバイスの作製方法によって作製される光半導体デバイスは、前述した光半導体デバイスと同様の作用によりダブル・インジェクションの発生を抑制してリーク電流を効果的に低減できる。また、この作製方法のバリア層形成工程では、バリア層が気相成長法によって形成される。特許文献1に記載された技術と異なり、この光半導体デバイスでは半導体メサの側面の全体に亘ってバリア層を設けることが可能なので、この作製方法のようにバリア層を例えばMOCVD等の気相成長法によって容易に形成することができる。したがって、上記した光半導体デバイスの作製方法によれば、ダブル・インジェクションの発生を抑制してリーク電流を効果的に低減できる光半導体デバイスを、特許文献1に記載された光半導体デバイスと比較して極めて容易に作製できる。
本発明によれば、ダブル・インジェクションによるリーク電流を低減でき、且つ容易に作製可能な光半導体デバイス及びその作製方法を提供できる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による光半導体デバイス及びその作製方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明に係る光半導体デバイスの一実施形態として、半導体レーザ素子10の構成を示す斜視図である。また、図2は、図1に示す半導体レーザ素子10のII−II断面を示す断面図である。なお、図2は、半導体レーザ素子10の光導波方向と直交する断面を示している。以下、図1及び図2を参照しながら、本実施形態による半導体レーザ素子10の構成について説明する。
半導体レーザ素子10は、InP半導体基板12、半導体メサ14、埋込領域16、及びバリア層22を備えている。InP半導体基板12は、n型のInPからなる基板である。半導体メサ14は、InP半導体基板12の主面12a上に設けられており、主面12aに沿った所定の光導波方向に延びるメサ状に形成されている。半導体メサ14は、第1クラッド層18の一部、活性層20、第2クラッド層24、およびp型コンタクト層26を含んで構成されており、光導波方向と直交する方向の半導体メサ14の幅Wは例えば1.5[μm]である。
第1クラッド層18は、n型半導体からなるn型クラッド層であり、例えばシリコン(Si)などのn型不純物を含むInP系化合物半導体を主に含んで構成されている。一実施例としては、第1クラッド層18はSiドープInPからなり、第1クラッド層18の不純物濃度は例えば1×1018[cm-3]である。また、第1クラッド層18の厚さは例えば0.5[μm]である。本実施形態の第1クラッド層18は、InP半導体基板12の主面12a上の全面に亘って形成された第1の部分18aと、第1の部分18a上に配置され半導体メサ14に含まれる第2の部分18bとを含んで構成されている。
第2クラッド層24は、p型半導体からなるp型クラッド層であり、亜鉛(Zn)などのp型不純物を含むInP系化合物半導体を主に含んで構成されている。第2クラッド層24は、後述する活性層20を挟んで第1クラッド層18上に設けられている。一実施例としては、第2クラッド層24はZnドープInPからなり、第2クラッド層24の不純物濃度は例えば1×1018[cm-3]である。また、第2クラッド層24の厚さは例えば2.0[μm]である。
活性層20は、InP系化合物半導体を主に含んで構成されている。活性層20は、第1クラッド層18の第2の部分18bと第2クラッド層24との間に設けられている。活性層20は、単一の半導体層から成ることもできるが、単一量子井戸(SQW)構造あるいは多重量子井戸(MQW)構造を有することが好ましく、特に高歪みMQW構造が好適である。一実施例としては、活性層20は、組成比の異なるGaInAsPが交互に積層されて成り、その発光波長は例えば1.3[μm]〜1.5[μm]である。活性層20の屈折率は第1クラッド層18及び第2クラッド層24の屈折率より大きいので、活性層20、第1クラッド層18、及び第2クラッド層24は、光導波路を構成する。
コンタクト層26は第2クラッド層24上に設けられており、例えば亜鉛(Zn)などのp型不純物を含むInP系化合物半導体を主に含んで構成されている。一実施例としては、コンタクト層26はZnドープGaInAsからなり、コンタクト層26の不純物濃度は例えば1×1019[cm-3]である。また、コンタクト層26の厚さは例えば0.5[μm]である。コンタクト層26は、後述する電極30とオーミック接触を構成する。
埋込領域16は、半導体メサ14の両側面を埋め込むようにInP半導体基板12の主面12a上に配置された半絶縁性領域であり、本実施形態では後述するバリア層22を挟んで半導体メサ14の各層と隣接している。埋込領域16は、例えばInPからなる。また、埋込領域16には深いアクセプタレベルを形成し電子トラップ作用を有する鉄(Fe)やルテニウム(Ru)といった元素がドープされており、埋込領域16は、該アクセプタレベルに電子をトラップすることによって高い比抵抗を得ている。従って、埋込領域16は、半導体レーザ素子10に供給された電流を半導体メサ14へ効率的に導くように働く。なお、埋込領域16にドープされる元素は、少なくとも電子トラップ作用を有していればよく、FeやRuに限られるものではない。
バリア層22は、半導体メサ14と埋込領域16との間に設けられた半導体層である。本実施形態のバリア層22は、半導体メサ14の側面上から第1クラッド層18の第1の部分18a上に亘って設けられており、その一方の面が半導体メサ14の各層(第1クラッド層18、活性層20、第2クラッド層24、およびコンタクト層26)と接しており、他方の面が埋込領域16と接している。バリア層22は、その組成が第2クラッド層24の組成と異なるように形成されている。そして、バリア層22及び第2クラッド層24の接合部分において、バリア層22の組成による価電子帯上端のエネルギー準位が第2クラッド層24の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低くなるように、バリア層22の組成が定められている。具体的に例示すると、第2クラッド層24が例えばp型InPからなる場合、バリア層22はInPよりバンドギャップエネルギーが大きいGaInP等のInP系化合物半導体からなるとよい。一実施例としては、第2クラッド層24がInPからなり、バリア層22がGa0.5In0.5Pからなる。この場合、第2クラッド層24のバンドギャップ波長は0.91[μm]であり、バリア層22のバンドギャップ波長は0.67[μm]である。
また、バリア層22は、アンドープ(すなわち、不純物が積極的に添加されない)でもよいが、シリコン(Si)といったn型不純物がドープされてもよい。バリア層22にn型不純物をドープする場合には、電流がバリア層22を通って活性層20を迂回しないように、バリア層22のn型不純物濃度を第1クラッド層18や第2クラッド層24の不純物濃度より低くすることが好ましい。具体的には、バリア層22のうち第2クラッド層24に隣接する部分が空乏化する程度に、バリア層22のn型不純物濃度を定めるとよい。一実施例としては、このようなバリア層22のn型不純物濃度は1×1017[cm-3]である。
また、バリア層22は、その組成が第1クラッド層18や第2クラッド層24の組成と異なるため歪みを有しており、厚く成長させると結晶性に影響する。したがって、バリア層22は極めて薄く(臨界膜厚以下で)形成されるとよい。バリア層22の許容厚さは、第1クラッド層18や第2クラッド層24とバリア層22との格子定数の差によって定まり、例えば第2クラッド層24がInPからなりバリア層22がGa0.5In0.5Pからなる場合、バリア層22は例えば10[nm]程度が好適である。
埋込領域16上には、絶縁膜28が設けられている。絶縁膜28は、例えばSiO2などの絶縁性のシリコン系無機材料を主に含む。絶縁膜28には開口28aが形成されており、この開口28aは半導体メサ14上に位置している。
半導体レーザ素子10は、半導体メサ14上に設けられた電極30を更に備えている。電極30は、例えばTi/Pt/Auによって構成され、絶縁膜28の開口28aを介してコンタクト層26とオーミック接触をなすことにより、半導体メサ14に電気的に接続される。電極30は、絶縁膜28上に形成された電極パッド32(図1参照)と電気的に接続されており、この電極パッド32には、半導体レーザ素子10の外部回路と電極30とを電気的に接続するためのボンディングワイヤ等が接合される。また、半導体レーザ素子10は、InP半導体基板12の裏面12b上に設けられた電極34を更に備えている。電極34は、例えばAuGe/Auによって構成され、InP半導体基板12とオーミック接触をなしている。
ここで、本実施形態による半導体レーザ素子10の作製方法の一例について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図3及び図4は、半導体レーザ素子10の作製工程を示す断面図であり、図2に示した断面に相当する断面を示している。
[積層工程]
まず、n型(第1導電型)のInP半導体基板を用意する。そして、図3(a)に示すように、n型InP半導体基板12の主面12a上に、第1クラッド層18となるn型InP半導体膜40、活性層20となるGaInAsP/GaInAsP超格子多重積層膜42、第2クラッド層24となるp型(第2導電型)InP半導体膜44、及びコンタクト層26となるp型GaInAs半導体膜46を順次成長させる。好適な実施例では、これらの半導体膜40,42,44,及び46を、有機金属気相成長(MOCVD)法によりエピタキシャル成長させるとよい。また、n型InP半導体膜40には、n型不純物として例えばシリコン(Si)をドープするとよい。また、p型InP半導体膜44には、p型不純物として例えば亜鉛(Zn)をドープするとよい。
まず、n型(第1導電型)のInP半導体基板を用意する。そして、図3(a)に示すように、n型InP半導体基板12の主面12a上に、第1クラッド層18となるn型InP半導体膜40、活性層20となるGaInAsP/GaInAsP超格子多重積層膜42、第2クラッド層24となるp型(第2導電型)InP半導体膜44、及びコンタクト層26となるp型GaInAs半導体膜46を順次成長させる。好適な実施例では、これらの半導体膜40,42,44,及び46を、有機金属気相成長(MOCVD)法によりエピタキシャル成長させるとよい。また、n型InP半導体膜40には、n型不純物として例えばシリコン(Si)をドープするとよい。また、p型InP半導体膜44には、p型不純物として例えば亜鉛(Zn)をドープするとよい。
[メサ形成工程]
続いて、図3(a)に示すように、光導波方向を長手方向とするマスクMをp型GaInAs半導体膜46上に形成する。マスクMは、例えばシリコン系無機絶縁膜(SiO2膜など)を用いて形成され、長手方向と直交する方向の幅は例えば1.5[μm]である。そして、半導体膜40,42,44,及び46のうちマスクMで覆われていない部分をドライエッチングにより除去する。このとき、n型InP半導体基板12が露出する前に(n型InP半導体膜40の途中となる深さで)エッチングを停止する。これにより、図3(b)に示すように、第1の部分18a及び第2の部分18bを含む第1クラッド層18が形成され、また、第2の部分18b、活性層20、第2クラッド層24、及びコンタクト層26を有する半導体メサ14が形成される。
続いて、図3(a)に示すように、光導波方向を長手方向とするマスクMをp型GaInAs半導体膜46上に形成する。マスクMは、例えばシリコン系無機絶縁膜(SiO2膜など)を用いて形成され、長手方向と直交する方向の幅は例えば1.5[μm]である。そして、半導体膜40,42,44,及び46のうちマスクMで覆われていない部分をドライエッチングにより除去する。このとき、n型InP半導体基板12が露出する前に(n型InP半導体膜40の途中となる深さで)エッチングを停止する。これにより、図3(b)に示すように、第1の部分18a及び第2の部分18bを含む第1クラッド層18が形成され、また、第2の部分18b、活性層20、第2クラッド層24、及びコンタクト層26を有する半導体メサ14が形成される。
[バリア層形成工程]
続いて、図4(a)に示すように、マスクMを残した状態で、半導体メサ14の両側面上および第1クラッド層18の第1の部分18a上に、バリア層22を成長させる。このとき、バリア層22を例えば有機金属気相成長(MOCVD)法などの気相成長法によりエピタキシャル成長させるとよい。好適な実施例では、バリア層22としてアンドープGa0.5In0.5Pを厚さ10[nm]まで成長させるとよい。或いは、Siといったn型不純物をドープしながらGa0.5In0.5Pを成長させるとよい。第1クラッド層18や第2クラッド層24といったInP結晶上にバリア層22としてアンドープGa0.5In0.5Pを成長させる場合、好適な成長速度は例えば1[μm/時]であり、好適な成長温度は例えば650[℃]である。なお、GaInPはInPより格子定数が小さいため歪みが生じるが、気相成長法を用いて臨界膜厚以下の厚さに成長させることにより、良好な結晶品質が得られる。
続いて、図4(a)に示すように、マスクMを残した状態で、半導体メサ14の両側面上および第1クラッド層18の第1の部分18a上に、バリア層22を成長させる。このとき、バリア層22を例えば有機金属気相成長(MOCVD)法などの気相成長法によりエピタキシャル成長させるとよい。好適な実施例では、バリア層22としてアンドープGa0.5In0.5Pを厚さ10[nm]まで成長させるとよい。或いは、Siといったn型不純物をドープしながらGa0.5In0.5Pを成長させるとよい。第1クラッド層18や第2クラッド層24といったInP結晶上にバリア層22としてアンドープGa0.5In0.5Pを成長させる場合、好適な成長速度は例えば1[μm/時]であり、好適な成長温度は例えば650[℃]である。なお、GaInPはInPより格子定数が小さいため歪みが生じるが、気相成長法を用いて臨界膜厚以下の厚さに成長させることにより、良好な結晶品質が得られる。
[埋込工程]
続いて、図4(a)に示すように、マスクMを残した状態で、半導体メサ14の両側すなわちバリア層22上に埋込領域16を成長させて、半導体メサ14及びバリア層22を埋め込む。好適な実施例では、FeドープInPまたはRuドープInPをMOCVD法によりエピタキシャル成長させて、埋込領域16を形成するとよい。Feをドープする場合、原料としては例えばフェロセン(C10H10Fe)が使用される。
続いて、図4(a)に示すように、マスクMを残した状態で、半導体メサ14の両側すなわちバリア層22上に埋込領域16を成長させて、半導体メサ14及びバリア層22を埋め込む。好適な実施例では、FeドープInPまたはRuドープInPをMOCVD法によりエピタキシャル成長させて、埋込領域16を形成するとよい。Feをドープする場合、原料としては例えばフェロセン(C10H10Fe)が使用される。
[その他の工程]
続いて、図4(b)に示すように、開口28aを有する絶縁膜28を形成する。すなわち、図4(a)のマスクMを除去したのち、SiO2などの絶縁性のシリコン系無機材料からなる絶縁膜(表面保護膜)28を、半導体メサ14上および埋込領域16上に亘って形成する。そして、半導体メサ14上の絶縁膜28を除去して開口28aを形成し、コンタクト層26を露出させる。その後、図4(c)に示すように、Ti/Pt/Auからなる電極30、及びAuGe/Auからなる電極34を形成し、半導体メサ14の長手方向と直交する面で劈開することによって、図1及び図2に示した半導体レーザ素子10が完成する。
続いて、図4(b)に示すように、開口28aを有する絶縁膜28を形成する。すなわち、図4(a)のマスクMを除去したのち、SiO2などの絶縁性のシリコン系無機材料からなる絶縁膜(表面保護膜)28を、半導体メサ14上および埋込領域16上に亘って形成する。そして、半導体メサ14上の絶縁膜28を除去して開口28aを形成し、コンタクト層26を露出させる。その後、図4(c)に示すように、Ti/Pt/Auからなる電極30、及びAuGe/Auからなる電極34を形成し、半導体メサ14の長手方向と直交する面で劈開することによって、図1及び図2に示した半導体レーザ素子10が完成する。
本実施形態の半導体レーザ素子10によって得られる作用及び効果について、以下に説明する。半導体レーザ素子10においては、半導体メサ14と埋込領域16との間にバリア層22が設けられている。そして、バリア層22の組成と第2クラッド層24の組成とが互いに異なり、バリア層22及び第2クラッド層24の接合部分において、バリア層22の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、第2クラッド層24の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低い。
ここで、図5は、本実施形態のバリア層22付近におけるバンド構造を示す図である。図5(a)は、バリア層22がアンドープGaInPからなり、第2クラッド層24がp型InPからなる場合を概念的に示している。図5(b)は、バリア層22がn型GaInPからなり、第2クラッド層24がp型InPからなる場合を概念的に示している。なお、図中に示すtは電子トラップであり、hは正孔(ホール)である。
図5(a)に示されるように、アンドープGaInPからなるバリア層22のバンドギャップエネルギーBG1は、p型InPからなる第2クラッド層24のバンドギャップエネルギーBG2より大きい。したがって、バリア層22及び第2クラッド層24の接合部分において、バリア層22の価電子帯上端のエネルギー準位Ev1は、第2クラッド層24の価電子帯上端のエネルギー準位Ev2より低くなる。これにより、第2クラッド層24の価電子帯に存在する正孔hは、エネルギー準位が低いバリア層22の価電子帯へ移動することが困難となり、バリア層22が障壁となって正孔hの埋込領域16への移動が阻止されることとなる。
このように、バリア層22は第2クラッド層24との組成の違いによって正孔hに対する障壁作用を得ているので、バリア層22にn型不純物をドープしなくてもこの障壁作用を好適に得ることができるが、バリア層22にn型不純物をドープすると、図5(b)に示されるように、バリア層22の価電子帯上端のエネルギー準位Ev1が更に低下してEv1とEv2との差が更に拡大し、障壁作用をより効果的に発揮させることができる。
すなわち、本実施形態の半導体レーザ素子10によれば、バリア層22が障壁となって正孔hの埋込領域16への移動が阻止されることにより、埋込領域16におけるダブル・インジェクションの発生を抑制してリーク電流を効果的に低減できる。
更に、半導体レーザ素子10においてはバリア層22および第2クラッド層24それぞれの組成を異ならせることによって正孔に対する障壁作用を実現しているので、バリア層22はn型の第1クラッド層18にも接することができ、半導体メサ14の側面の全体に亘ってバリア層22を設けることができる。このようなバリア層22は、前述した作製方法(バリア層形成工程)において説明したように、例えばMOCVD等の気相成長法によって容易に形成可能である。したがって、本実施形態の半導体レーザ素子10は、特許文献1に記載された光半導体デバイスと比較して極めて容易に作製できる。
また、本実施形態のように、埋込領域16は、鉄(Fe)およびルテニウム(Ru)のうち少なくとも一方がドープされたInPからなるとよい。このような埋込領域を有する従来の光半導体デバイスでは、前述したダブル・インジェクションによるリーク電流が顕著に発生していた。これに対し、本実施形態の半導体レーザ素子10によれば、バリア層22を備えることによって、このような埋込領域を備える場合において特に効果的にリーク電流を低減できる。
本発明による光半導体デバイス及びその作製方法は、上記した実施形態に限られるものではなく、他にも様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では光半導体デバイスの一例として半導体レーザ素子を例示したが、本発明は、半導体光変調素子、半導体レーザ素子と半導体光変調素子とを集積した半導体光集積素子、或いは光合分波器などの他の光半導体デバイスにも適用できる。
また、上記実施形態ではn型半導体基板上にn型の第1クラッド層、活性層、及びp型の第2クラッド層が積層された光半導体デバイスについて本発明を適用したが、p型半導体基板上にp型の第1クラッド層、活性層、及びn型の第2クラッド層が積層された光半導体デバイスについても本発明を適用可能である。また、上記実施形態では光半導体デバイスの一例としてInP系の光半導体デバイスを説明したが、本発明はこれに限らず様々な系統の光半導体デバイスに適用可能である。
10…半導体レーザ素子、12…半導体基板、14…半導体メサ、16…埋込領域、18…第1クラッド層、20…活性層、22…バリア層、24…第2クラッド層、26…コンタクト層、28…絶縁膜、30,34…電極、32…電極パッド。
Claims (5)
- 半導体基板上に設けられ、n型クラッド層、p型クラッド層、および前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた活性層を有する半導体メサと、
少なくとも電子トラップ作用を有する元素がドープされており、前記半導体メサの両側面を埋め込む埋込領域と、
前記半導体メサと前記埋込領域との間に設けられたバリア層と
を備え、
前記バリア層の組成と前記p型クラッド層の組成とが互いに異なり、前記バリア層及び前記p型クラッド層の接合部分において、前記バリア層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、前記p型クラッド層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低いことを特徴とする、光半導体デバイス。 - 前記バリア層は、n型不純物がドープされた又はアンドープの半導体からなることを特徴とする、請求項1に記載の光半導体デバイス。
- 前記p型クラッド層は、p型不純物がドープされたInPからなり、
前記バリア層は、n型不純物がドープされた又はアンドープのGaInPからなることを特徴とする、請求項1または2に記載の光半導体デバイス。 - 前記埋込領域は、前記少なくとも電子トラップ作用を有する元素として鉄およびルテニウムのうち少なくとも一方がドープされたInPからなることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光半導体デバイス。
- 第1導電型の第1クラッド層、活性層、および第2導電型の第2クラッド層を第1導電型の半導体基板上に順に成長させる積層工程と、
前記第1クラッド層、前記活性層、および前記第2クラッド層をエッチングして半導体メサを形成するメサ形成工程と、
前記半導体メサの側面上に気相成長法によりバリア層を成長させるバリア層形成工程と、
少なくとも電子トラップ作用を有する元素がドープされた埋込領域によって前記半導体メサの両側面を埋め込む埋込工程と
を備え、
前記第1クラッド層および前記第2クラッド層のうち導電型がp型であるクラッド層の組成と前記バリア層の組成とが互いに異なり、前記バリア層及び導電型がp型である前記クラッド層の接合部分において、前記バリア層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位は、導電型がp型である前記クラッド層の組成による価電子帯上端のエネルギー準位より低いことを特徴とする、光半導体デバイスの作製方法。
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- 2007-08-31 JP JP2007226297A patent/JP2009059919A/ja active Pending
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