JP2009057404A - 無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置及び製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理量を低減したり、又は水素化脱硫触媒を大量に使用することなく、無着色の低硫黄灯軽油基材を製造する製造装置及び製造方法を提供する。
【解決手段】灯軽油留分を複数の水素化脱硫装置A−1、A−2に供給して水素化脱硫し、水素化脱硫して得られた低硫黄灯軽油が着色していない場合、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を無着色低硫黄灯軽油基材として得、複数の水素化脱硫装置のうち、ある水素化脱硫装置で水素化脱硫して得られた低硫黄灯軽油が着色している場合、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を脱色処理装置B−1に供給して脱色する無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法、及び灯軽油留分を水素化脱硫して低硫黄灯軽油を得る複数の水素化脱硫装置、及び水素化脱硫装置で得られた低硫黄灯軽油を脱色するために、水素化脱硫装置より少ない数の脱色処理装置を具備する無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、蛍光色などの着色がない硫黄分が10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材を効率的に製造する装置及び製造方法に関する。
近年、自動車及びその燃料においては環境問題への対応が大きな課題となっており、特に、ディーゼル車などから排出されるNOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質:Particulate Matter)などは大気汚染へ繋がるため社会問題となっている。大気環境改善のために灯軽油の品質規制値が世界的に厳しくなる傾向にある中、日本でも硫黄分10ppm以下の灯軽油が既に供給されている。灯軽油中の硫黄分を低減すると、特に軽油ではディーゼル車で窒素酸化物(NOx)低減触媒の使用が可能になるとともに、燃費が向上してCO排出量が削減できるメリットがある。
このような状況下で、灯軽油中の硫黄分を大幅に除去する超深度脱硫技術の開発が進められている。灯軽油中の硫黄分を高度に低減する技術としては、通常、水素化脱硫の運転条件をより脱硫が進みやすい条件にすること、例えば、液空間速度(LHSV)を下げることや反応温度を上げること等が考えられる。LHSVを下げると、脱硫能は向上するものの、精製処理能力が相対的に低下するため設備の規模を拡張する必要が生じる。反応温度を上げると、処理能力を低下させることなく灯軽油の超深度脱硫を行うことができるものの、触媒上に炭素質が析出して触媒の活性が急速に低下することに加え、高温条件下では灯軽油が着色し黄緑色の蛍光色を帯びる。この着色成分は多環縮合芳香族類と考えられているが、製品灯軽油の色相に対して厳しい要求があるため、この着色問題を解決する必要がある。
色相の良好な低硫黄軽油を提供する技術として、第一工程で石油留出油の水素化脱硫と芳香族化合物の水素化を行い、第二工程で脱硫油の色相改善と第一工程で残存する芳香族化合物の水素化を行うことで脱色することができるとの報告がある(特許文献1)。しかしながら、高圧設備と、第二工程で残存する芳香族化合物の水素化のために活性の高い水素化処理触媒が必要となるために、多大な投資を余儀なくされる。
また、脱色するための手法として、水添脱硫により硫黄分を0.2重量%以下にすることにより着色した軽油留分を活性炭と接触させて着色原因物質を吸着除去することからなる軽油の脱色方法(特許文献2)、軽油を触媒の存在下に360℃以上の温度で水素化脱硫して生成油中の硫黄濃度を50ppm以下にし、次いで、生成油を活性炭、アルミナ、シリカ−アルミナ、ゼオライトなどの吸収剤と接触させて脱色する軽油の処理方法(特許文献3)、水添脱硫により硫黄分を0.05質量%以下にすることにより着色した軽油分を、平均細孔径が3〜20nmであるアルミナ又はアルミナ含有無機酸化物と接触させる軽油の脱色方法(特許文献4)、及び、水添脱硫法により、硫黄分を0.05質量%以下にすることにより着色した軽油分を、平均細孔径が10〜1,100nmである活性炭と接触させる軽油の脱色方法(特許文献5)が開示されている。しかしながら、何れも水素化脱硫装置一つに対して、一つの脱色処理装置が必要であり、特別の脱色処理装置やタンク等を設置しなくてはならず、設備規模が大きくなり、製造コストも高くなることが避けられず、好ましい方法といえない。しかも、水素化脱硫装置で触媒の活性が高く反応温度が低い段階においては、相当低い硫黄含有量の脱硫軽油であっても着色は殆どみられないため、せっかく脱色処理装置を設置しても使用されない無駄な期間が多く、効率的でない。
特開平7−166175号公報 特開平6−136370号公報 特開2000−136392号公報 特開2000−219885号公報 特開2000−192054号公報
本発明は、硫黄分10ppm以下の低硫黄灯軽油を製造する際の上記問題を解決するもので、処理量を低減したり、又は水素化脱硫触媒を大量に使用することなく、硫黄分が10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材を製造する製造装置及び製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、複数の水素化脱硫装置と1基ないし複数の脱色処理装置を組み合わせて用いることにより、処理量を低減することなしに、蛍光色の着色がない低硫黄灯軽油を製造できることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、次のとおりの無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置及び製造方法である。
(1)灯軽油留分を複数の水素化脱硫装置に供給して水素化脱硫し、各水素化脱硫装置から流出する水素化脱硫後の灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値以上である場合は、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を無着色低硫黄灯軽油基材として得、水素化脱硫後の灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値未満である場合には、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を脱色処理装置に供給して脱色して、無着色低硫黄灯軽油基材を得る、硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法である。
(2)水素化脱硫後の灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値未満である場合に、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を脱色処理装置に供給して脱色処理しても、色相(セーボルト)が基準値未満である無着色低硫黄灯軽油が得られない場合、当該水素化脱硫装置を灯軽油留分を処理する通油系から切り離し、水素化脱硫触媒の交換及び/又は再生を行う、上記(1)に記載の無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法である。
(3)灯軽油留分を水素化脱硫して低硫黄灯軽油を得る複数の水素化脱硫装置、及び水素化脱硫装置で色相(セーボルト)が基準値未満である低硫黄灯軽油が得られた場合に、その低硫黄灯軽油を脱色するための脱色処理装置が、水素化脱硫装置の数より少ない数である、硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置である。
(4)2基の水素化脱硫装置と1基の脱色処理装置を具備した上記(3)に記載の無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置。
(5)灯軽油留分を水素化脱硫して低硫黄灯軽油を得る複数の水素化脱硫装置、及び低硫黄灯軽油の色相を改善するための前記水素化脱硫装置の数より少ない数の脱色処理装置からなる製造装置を用いて硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材を製造する方法において、ある1基又は複数の水素化脱硫装置から流出する脱硫灯軽油留分及び/又はある1基又は複数の脱色処理装置から流出する脱色灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値以下である場合、色相(セーボルト)が基準値以上であるその他の水素化脱硫装置から流出する脱硫灯軽油留分及び/又は色相(セーボルト)が基準値以上であるその他の脱色処理装置から流出する脱色灯軽油留分と、前記の色相(セーボルト)が基準値以下の脱硫灯軽油留分とを混合することを特徴とする硫黄分10ppm以下である無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法。
本発明は複数の水素化脱硫装置とそれより少ない数の脱色処理装置を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置であるから、硫黄分が10ppm以下で、蛍光色などの着色がない無着色低硫黄灯軽油基材を製造するに際して、脱色処理装置にかかる初期投資を抑え、脱色処理装置を遊ばせずに活用することが可能になり、効率よく無着色低硫黄灯軽油基材を製造することができる。すなわち、灯軽油の着色は、一般的に水素化脱硫触媒が劣化して水素化脱硫の反応温度を上昇させたときに起こるため、フレッシュな触媒や再生後の触媒など触媒活性が高いうちは、着色灯軽油は発生せず脱色処理装置を用いる必要がないので、脱色処理装置は活用されない待機状態を強いられる。そこで、本発明によれば、複数の水素化脱硫装置におけるそれぞれの水素化脱硫触媒の劣化度合いを分散して、着色低硫黄灯軽油が発生した水素化脱硫装置からの灯軽油を脱色処理装置で順繰りに処理することができ、脱色処理装置を有効に活用することができる。特に軽油では排気ガス中の硫黄酸化物の排出量を低減し、窒素酸化物還元触媒の劣化を抑制し、燃費を改善する無着色低硫黄軽油を効率よく製造し、提供することができる。本発明による脱色処理装置を具備しておくことで、反応温度を着色温度以上に上昇させても無着色低硫黄灯軽油基材を製造することができるから、触媒を有効に活用できる。したがって、従来は着色を生じると反応温度を上昇させることができないためLHSVを下げ、つまり処理量を減じて対処していたが、その必要がなくなり、所期の処理量を維持することができる。また、水素化脱硫触媒の寿命延長により触媒使用量の低減、設備規模増大の抑制を可能とするなど格別の効果を奏する。
硫黄分が10ppm以下の低硫黄灯軽油は、水素化脱硫の条件を厳しくすれば、例えば、水素圧力を高くしたり、水素/油比を高くしたり、触媒の量を多く又はLHSVを下げたりすることで製造することができる。しかしながら、これらの方法では設備の建て替え、設備の改造や反応塔の増設を要し、多大な設備投資を伴う。このため、水素化脱硫触媒の脱硫活性の改善、原料灯軽油の低硫黄化、軽質化などの性状調整や原料灯軽油の張り込み量を削減することによって低硫黄灯軽油を得ているのが専らである。尚、灯軽油とは灯油及び/又は軽油を示す。
また、一方で、水素化脱硫触媒は、使用していれば漸次劣化して行く。通常、反応温度を上げて常に一定の硫黄含有量の灯軽油が得られるように制御する。使用中に触媒が劣化してゆくことは、改善された高性能な水素化脱硫触媒を用いても、避けられない。さらに、反応温度を上げると、触媒にカーボンが堆積しやすくなり、触媒の劣化はさらに進むと同時に、得られる灯軽油の色相が悪化し、黄緑色の蛍光色を帯びるようになる。硫黄分が500ppm程度の灯軽油を製造する場合は、この着色はそれほどではないが、硫黄分10ppm以下の低硫黄灯軽油を製造する場合は顕著となる。着色を回避するために水素化脱硫の処理量を低減したり、水素/油比を高くする等のコストアップが不可避な運転条件の変更や、あるいは着色した低硫黄灯軽油を脱色処理装置で脱色する方法が検討されている。脱色処理装置を装備しても、脱硫灯軽油の着色は水素化脱硫において触媒寿命の末期において現れるので、脱色処理装置は脱硫灯軽油に着色が起こってそれを処理するまでの間使用されない待機を強いられ、効率的な運用ができない。
本発明はこの問題を解決するものであり、灯軽油留分を水素化脱硫して低硫黄灯軽油を得る複数の水素化脱硫装置、及び該水素化脱硫装置より少ない数の脱色処理装置を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置である。脱色処理装置は、水素化脱硫装置で色相が基準値未満である低硫黄灯軽油が得られた場合、その低硫黄灯軽油を脱色する装置である。尚、本願で色相とはJIS K2580石油製品−色試験方法のセーボルト色試験方法により測定される値をいう。また、水素化脱硫後の灯軽油留分の色相の基準値は水素化脱硫装置の運転の状況や製品の品質等から適宜設定して構わない。この色相の基準値は一定値とする必要はなく、水素化脱硫装置の運転の状況やブレンドする他の灯軽油基材との品質等を考慮して、変動させて構わないが、セーボルト色で−10〜+25の範囲で設定することが好ましい。例えば、2つの水素化脱硫装置からの処理油を混合して、灯軽油基材を製造する場合、脱色処理しない留出油の色相と、脱色処理した留出油の色相及びそのブレンド比率を考慮して基準値を定めればよい。前記の装置構成での一例を挙げれば、セーボルト+10の軽油基材を製造するときはセーボルト−10や0を基準値をとすることができ、セーボルト+25の灯油基材を製造するときはセーボルト+15や+20を基準値とすることができる。
次に、図面を参照して、本発明の無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置を説明する。
図1は2つの水素化脱硫装置(A−1、A−2)と1つの脱色処理装置(B−1)を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置の一例を示し、図2−1は3つの水素化脱硫装置(A−1、A−2、A−3)と1つの脱色処理装置(B−1)を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置の一例を示す。図中、2個の三角形が頂点で接した形状は原料灯軽油、水素化脱硫灯軽油などの流路を開閉する装置(以後、代表的開閉装置であるバルブともいう。)を示す。すなわち、開閉装置を操作することにより、水素化脱硫装置の前後を閉じて孤立させたり、水素化脱硫装置の流出油を脱色処理装置に導いたりすることができる。
2つの水素化脱硫装置と1つの脱色処理装置を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置(図1)の切替操作を、図3−1〜図3−2を用いて説明する。
図3−1は、水素化脱硫装置A−1及びA−2がともに水素化脱硫後の灯軽油留分の色相が基準値以上である無着色低硫黄灯軽油基材を製造して、脱色処理装置B−1を必要とない場合のフローを示す。原料灯軽油は図の左から右に向かって流れ分岐してそれぞれ入口バルブ1及び4を通過して2つの水素化脱硫装置A−1及びA−2に供給され、脱硫されて無着色の低硫黄灯軽油基材が製造され、出口バルブ2及び5を通って製品タンク又は半製品タンク(図示せず)にランダウンされている。この状態では、脱色処理装置B−1で脱色する必要がないので、水素化脱硫装置A−1又はA−2と脱色処理装置B−1を結ぶ連結バルブ3及び6は閉じている。なお、図中、黒く塗りつぶしたバルブは閉じた状態であることを示し、塗りつぶされていないバルブは開いた状態であることを示す。また、脱色処理装置B−1の補修、脱色処理装置B−1に使用されている脱色処理剤の交換、再生などもこの状態にして行うことができる。
図3−2は、水素化脱硫装置A−1から流出する低硫黄灯軽油の色相が基準値未満である場合である。この場合、連結バルブ3を開き、出口バルブ2を閉じて着色低硫黄灯軽油を脱色処理装置B−1に導き、無着色の低硫黄灯軽油基材に脱色してタンクにランダウンし、水素化脱硫装置A−2から流出する低硫黄灯軽油の色相は基準値以上であるので、そのまま無着色低硫黄灯軽油基材としてタンクにランダウンしている場合のフローを示す。
図3−3は、水素化脱硫装置A−1から流出する低硫黄灯軽油の色相が基準値をはるかに下回って着色がさらに進み、脱色処理しても、色相が基準値以上となる無着色低硫黄灯軽油基材を得ることができなくなる恐れがあり、触媒の交換又は触媒の再生が必要になったときのフローを示す。水素化脱硫装置A−1を囲む入口バルブ1、出口バルブ2及び脱色処理装置B−1につながる連結バルブ3の全部が閉じられて孤立した状態であり、一方、水素化脱硫装置A−2は無着色の低硫黄灯軽油基材を生産してタンクにランダウンしている。
図3−4は、水素化脱硫装置A−1の触媒の交換又は触媒の再生を終え、水素化脱硫を行い色相が基準値以上となる無着色低硫黄灯軽油基材を生産してタンクにランダウンし、水素化脱硫装置A−2から流出する低硫黄灯軽油が触媒の劣化によって、色相が基準値未満となったため、出口バルブ5を閉じ、連結バルブ6を開いて着色低硫黄灯軽油を脱色処理装置B−1で脱色してタンクにランダウンするときのフローを示す。
結局、個々の水素化脱硫装置について、無着色の低硫黄脱硫灯軽油(低硫黄灯軽油基材)を生産している(脱色処理を要しない)とき、着色低硫黄脱硫灯軽油(着色低硫黄灯軽油)を脱色処理装置で脱色処理しているとき、及び当該水素化脱硫装置の触媒を交換している又は再生しているとき、それぞれの水素化脱硫装置に関与する入口バルブ、出口バルブ及び連結バルブは表1に示すような開閉を行うことになる。
Figure 2009057404
1つの脱色処理装置で対応する水素化脱硫装置の数は特に限定するものではないが、図1に示すように2つでも、図2−1に示すように3つでも、図4に示すように4つでもよい。また、図2−2に示すように2つの脱色処理装置に対して3つの水素化脱硫装置であってもよい。水素化脱硫して得られた低硫黄灯軽油の色相が基準値未満となる場合、
(a−1)当該水素化脱硫装置からの色相が基準値未満である着色した低硫黄灯軽油を脱色処理装置に供給して脱色して、無着色低硫黄灯軽油基材を得る、
(a−2)当該水素化脱硫装置からの色相が基準値未満である着色低硫黄灯軽油を供給して脱色するための脱色処理装置がふさがっている場合、当該水素化脱硫装置の運転条件を緩和制御して、色相が基準値以上である無色低硫黄灯軽油を得ながら、脱色処理装置が利用可能になる機会を待つ、又は
(a−3)脱色処理しても色相が基準値未満である着色した低硫黄灯軽油が得られる恐れがある場合、当該水素化脱硫装置を、灯軽油留分を処理する通油系から切り離し、水素化脱硫触媒の交換及び/又は再生を行う
ことができる。
処理量、水素化脱硫装置及び脱色処理装置の設備費、使用触媒、触媒充填量又はLHSVなどを勘案して、色相が基準値未満である着色した低硫黄灯軽油の生成による色相が基準値以上である無色低硫黄灯軽油の生産が阻害されることのないように脱色処理条件を設定することは肝心である。なかでも重要な因子は、水素化脱硫の触媒寿命期間内の全生産量に対する色相が基準値未満である着色した低硫黄灯軽油の生産量の割合であり、これに対応して設定することが好ましい。すなわち、色相が基準値未満である低硫黄灯軽油、例えば軽油のセーボルト色が+5未満の低硫黄軽油の生産量が全生産量に対して1/2であれば、脱色処理装置1基に対して水素化脱硫装置は2基が好ましく、1/3であれば、脱色処理装置1基に対して水素化脱硫装置は3基が好ましく、1/4であれば、水素化脱硫装置は4基が好ましい。設備コストの経済性、操作の容易性の観点から、2基ないし3基の水素化脱硫装置に対して1基の脱色処理装置を装備することが好ましい。
また、脱色処理装置で、色相が基準値未満である低硫黄灯軽油、例えばセーボルト色が+5未満の低硫黄灯軽油の脱色を行う場合、脱色処理装置と水素化脱硫装置は必ずしも1対1で対応する必要はない。例えば、図2-2に示される装置であれば、水素化脱硫装置A−1及びA−2の2基から流出する低硫黄灯軽油を1基の脱色処理装置B−1で処理することができるし、1基の水素化脱硫装置A−2から流出する低硫黄灯軽油を脱色処理装置B−1及びB−2の2基で処理することもできる。しかしながら、1つの水素化脱硫装置から流出する着色低硫黄灯軽油を1つの脱色処理装置で処理することがシンプルで好ましい。
〔灯軽油留分〕
本発明において原料として用いる灯軽油留分は、原油を常圧蒸留して得た直留灯軽油留分を好ましく用いることができる。直留灯軽油留分は単独で用いてもよいが、軽油留分であれば、熱分解油や接触分解油を直留軽油留分に混合して用いてもよい。さらには、灯軽油相当の留分であれば他の石油精製プロセスなどからの副生油も、混合して用いることができる。
このような原料として用いる灯軽油留分は、硫黄分が0.5〜5質量%、窒素分が50〜500質量ppmであり、軽油留分であれば、密度(15℃)が0.80〜0.90g/cm、10容量%留出温度が180〜290℃、50容量%留出温度が250〜320℃、90容量%留出温度が310〜370℃、95容量%留出温度が320〜390℃、
灯油留分であれば、密度(15℃)が0.76〜0.82g/cm、10容量%留出温度が140〜220℃、50容量%留出温度が170〜250℃、95容量%留出温度が230〜300℃といった性状を有するものを好ましく用いることができる。硫黄分が0.5質量%未満、窒素分が50質量ppm未満であってもよいことは断るまでもない。
直留軽油留分は、原油を常圧蒸留して得られる最も好ましい原料の一つであり、おおよそ10容量%留出温度が200〜290℃、50容量%留出温度が260〜320℃、90容量%留出温度が300〜370℃である。後述の熱分解油や接触分解油と比較して、不飽和分が少なく脱硫しやすい留分である。
熱分解油とは、重質油に熱を加えて、ラジカル反応を主体にした分解反応により得られる分解油を蒸留して得た軽油留分であり、例えば、ディレードコーキング法、ビスブレーキング法あるいはフルードコーキング法等により得られる軽油留分をいう。留出温度が150〜520℃の範囲内にある留分を用いることが好適である。
接触分解油とは、中間留分や重質留分、特には減圧軽油や常圧蒸留残油等をゼオライト系触媒と接触分解する際に得られる軽油留分、ガソリン製造を目的とした流動接触分解において副生する分解軽油留分である。この留分は、一般に、沸点が相対的に低い軽質接触分解油と沸点が相対的に高い重質接触分解油とが別々に採取される。本発明においては、これらの留分のいずれをも用いることができるが、前者の軽質接触分解油、いわゆるライトサイクルオイル(LCO)を用いることが好ましい。このLCOは、一般に、10容量%留出温度が200〜250℃、50容量%留出温度が250〜290℃、90容量%留出温度が300〜355℃の範囲内にある。また、重質接触分解油、いわゆるヘビーサイクルオイル(HCO)は、10容量%留出温度が280〜340℃、50容量%留出温度が390〜420℃、90容量%留出温度が450℃以上にある。
〔水素化脱硫触媒による水素化脱硫工程〕
水素化脱硫処理に用いる水素化脱硫触媒としては、周期律表第6族の元素と第9族及び/又は第10族の元素を含む触媒が用いられる。周期律表第6族の元素としてはモリブデン、タングステン、第9族の元素としてはコバルト、第10族の元素としてはニッケルが特に好ましい。これら周期律表第6族の元素と第9族及び/又は第10族の元素は、無機多孔質酸化物担体に担持して用いられることが好ましい。無機多孔質酸化物担体としては、周期律表第2、第4、第13、及び第14族の元素の酸化物を用いることができる。このうちでも、シリカ、アルミナ、マグネシア、ジルコニア、ボリア、カルシア等が好適であり、これらは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用すると良い。特には、アルミナ(γ、δ、η、χ等の各結晶構造を有するもの)、シリカ−アルミナ、シリカ、アルミナ−マグネシア、シリカ−マグネシア、アルミナ−シリカ−マグネシアが好ましい。
上記無機多孔質酸化物担体は、共沈法や混練法等により無機含水酸化物を製造し、これを成形した後乾燥・焼成を行う方法により、簡易に調製できる。
金属成分等の担持は、通常用いられるスプレー含浸法や浸漬法等で行うことが好適であり、無機多孔質酸化物担体の吸水率に相当する溶液を含浸させるポアフィリング法が特に好ましい。金属の担持状態を制御するために、有機化合物又は有機塩類等を金属担持液に共存させるとよい。金属成分等を含む溶液を含浸したのち50〜180℃、好ましくは80〜150℃の温度範囲で、10分〜24時間乾燥し、さらに金属成分等をより多く担持するために、乾燥と担持とを繰り返して行ってもよい。所望の金属成分等を担持した後、乾燥して得られる乾燥物または焼成処理することによって水素化処理触媒が製造される。この焼成処理は、好ましくは400〜600℃、特には450〜580℃の温度範囲で行われ、焼成温度までの昇温時間は10〜240分、焼成温度での保持時間は1〜240分が好適である。
上記水素化脱硫触媒は、硫化処理することによって水素化脱硫触媒としての活性点を発現する。通常、硫化処理は、水素化処理触媒を水素化処理に用いる反応装置内に充填した後に行われる。この硫化処理は、硫化剤を水素化処理触媒に通じながら徐々に昇温して行うが、最終的な硫化処理温度は450℃以下、好ましくは100〜400℃である。常圧あるいはそれ以上の水素分圧の水素雰囲気下、硫化剤として硫黄化合物を含む石油蒸留物、それに硫黄含有化合物を添加したもの、あるいは硫化水素を用いて行う。石油蒸留物に硫黄含有化合物を添加して用いる場合の硫黄含有化合物は、硫化処理条件下で分解して硫化水素に転化し得るものであれば特に限定はないが、好ましくは、チオール類、二硫化炭素、チオフェン類、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド及び種々のポリスルフィド類である。水素化処理触媒を反応装置に充填した後、硫化処理を開始する前に、水素化処理触媒に付着した水分を除去するための乾燥処理を行ってもよい。この乾燥処理は、水素又は不活性ガスの雰囲気下で、常圧あるいはそれ以上の圧力でガスを流通させ、常温〜220℃、好ましくは200℃以下で行う。
水素化脱硫触媒による水素化脱硫処理における反応装置は、バッチ式、流通式、固定床式、流動床式等、反応形式に特に制限はないが、固定床流通式反応装置に充填された水素化処理触媒に水素と原料油とを連続的に供給して接触させる形式が好ましい。水素化脱硫処理の好ましい反応条件は、反応温度が200〜450℃、特には250〜400℃、水素圧力が2〜10MPa、特には3〜8MPa、水素/油供給比が100〜1,000NL/L、特には100〜400NL/L、LHSVが0.1〜5hr−1、特には0.5〜2hr−1である。
水素化脱硫触媒による水素化脱硫処理によって生成した低硫黄灯軽油には脱硫によって生成した硫化水素が溶存しており、その後に続く脱色処理装置が脱色処理剤を用いる脱色処理装置である場合、脱色処理剤の脱色能を損なうことがないように、好ましくは硫化水素を脱色処理の前に極力取り除く。硫化水素の除去方法については特に限定しないが、硫化水素を含まないガスやスチーム注入によるストリッピング、精留、吸着剤による除去等を単独で、あるいは組み合わせて用いることができる。脱色処理装置にかける低硫黄灯軽油中の硫化水素含有量は硫黄分として5質量ppm以下が好ましく、さらには1質量ppm以下、特には0.5質量ppm以下が好ましい。
〔低硫黄灯軽油〕
灯軽油留分は、水素化脱硫装置で、水素の存在下に周期律表第6族の元素と第9族及び/又は第10族の元素を含む水素化脱硫触媒と接触して硫黄分を除去(水素化脱硫)して硫黄分10ppm以下の低硫黄灯軽油に変換される。
ここで、軽油色相の基準値をセーボルト色が+5とした場合の例を次に示す。
この水素が脱硫後の低硫黄軽油色相が基準値未満である場合、すなわちセーボルト色が+5未満である場合、脱色処理装置に送られて脱色処理される。これにより水素化脱硫装置で得られた色相が基準値以上、すなわちセーボルト色が+5以上の低硫黄軽油基材と、色相が基準値未満で脱色処理装置により脱色処理されて得られた色相が基準値以上、すなわちセーボルト色が+5以上の無着色低硫黄軽油基材が得られる。なお、本発明において、水素化脱硫の段階で硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油を得ておくことが製品軽油を調製する上で有利であり、好都合である。
水素化脱硫装置では、硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油の製造を継続させるために反応温度を徐々に昇温する。反応温度が高くなって行くと、ある時点から色相が悪化し始め、次第に悪化の度合いが進む。水素化脱硫の反応温度と脱硫軽油の着色の関係は、使用触媒や運転条件(LHSV、水素圧力、水素/油供給比等)などによってばらつきはあるが、新触媒ないし再生触媒の充填直後の反応温度280〜350℃では脱硫軽油の色相はセーボルト色で+30で全く着色が見られない無色である。反応温度が上昇していってもしばらくの間は、色相の変化は観察されないが、徐々に色相は低下して行き、360〜380℃になるとセーボルト色は−5〜+10程度まで低下する。それ以降では比較的急速に色相の悪化が見られ、390〜410℃になるとセーボルト色は−16以下程度まで低下する。
したがって、水素化脱硫装置から流出する低硫黄軽油の色相をモニターして基準値を管理する。基準値をセーボルト色で+5とした場合、セーボルト色で+5を下回るようであれば、低硫黄軽油の行先を製品タンク(又は半製品タンク)から脱色処理装置に切り替えて脱色処理することにより、無着色の低硫黄軽油基材を得ることができる。なお、他の水素化脱硫装置(又は、他の脱色処理装置)から流出する低硫黄軽油と混合して、無着色低硫黄軽油基材全体として、例えばセーボルト+5以上を得ることができればよく、その間、脱色処理装置への切り替えを延期することができる。
無着色の低硫黄灯軽油基材は、製品規格を満足する品質であればそのままで製品灯軽油になり、さらに、規格外の灯軽油基材とブレンドして製品灯軽油を調製する灯軽油基材として用いることができる。また、低硫黄灯軽油基材が製品規格を外れていても、他の高品質な灯軽油基材とブレンドすることによって製品灯軽油を調製する灯軽油基材として用いることができる。したがって、水素化脱硫装置から得られる低硫黄灯軽油及び脱色処理装置から得られる無着色低硫黄灯軽油は、製品規格を満足すればそのまま製品灯軽油として用いることができ、あるいは規格外やオーバースペックであっても灯軽油基材として用いることができる。
低硫黄灯軽油を脱色処理装置で処理する場合、低硫黄灯軽油中の硫黄分が高いレベルにあると脱色処理剤の脱色能が低下して脱色処理剤の寿命又はサイクル寿命が短くなるため、交換頻度や再生頻度が高まり好ましくない。それ故、低硫黄灯軽油の硫黄分は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、特には10ppm以下になるように水素化脱硫処理する。
軽油留分の水素化脱硫処理では、原料の軽油留分に含まれる有機硫黄化合物のうちアルキルジベンゾチオフェン類が最も残留しやすい硫黄化合物であるが、低硫黄軽油留分の全硫黄分に占めるアルキルジベンゾチオフェン類硫黄化合物の割合は多く残すことが好ましく、例えば硫黄分として70質量%以上、さらには80質量%以上、特には90質量%以上残すことが好ましい。アルキルジベンゾチオフェン類硫黄化合物が70質量%未満であると、低硫黄軽油の製造コストが高くなり好ましくない。なお、ここでいうアルキルジベンゾチオフェン類硫黄化合物とは、2−メチルジベンゾチオフェン、2−エチルジベンゾチオフェン、2,3−ジメチルジベンゾチオフェン、2,3,4−トリメチルジベンゾチオフェン等のベンゾチオフェン骨格にアルキル基が付いている硫黄化合物のことである。
さらに、アルキルジベンゾチオフェン類の中でも、ジベンゾチオフェン骨格の4位と6位にアルキル基を持つアルキルジベンゾチオフェン類は、軽油留分の水素化脱硫触媒による水素化脱硫処理において特に残留しやすい硫黄化合物であるため、低硫黄軽油の製造コストを不必要に高くしないためには、低硫黄軽油留分の全硫黄分に占めるジベンゾチオフェン骨格の4位と6位にアルキル基を持つアルキルジベンゾチオフェン類硫黄化合物の割合は、硫黄分として50質量%以上、さらには70質量%以上、特には90質量%以上であるのが好ましい。ジベンゾチオフェン骨格の4位と6位にアルキル基を持つアルキルジベンゾチオフェン類硫黄化合物としては、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン、4,6−ジエチルジベンゾチオフェン、4,6,7−トリメチルジベンゾチオフェン等が挙げられる。
〔脱色処理装置〕
水素化脱硫装置から流出した脱硫灯軽油の色相が基準値未満である場合、脱色処理装置に供給して脱色する。脱色処理装置は、色相が基準値未満である脱硫灯軽油を脱色し、色相の基準値を満足する装置であれば公知のどのようなものであってもよい。例えば、軽油の色相の基準値をセーボルト色+5とした場合、水素の存在下(水素圧力が2〜10MPa)、反応温度200〜300℃、好ましくは220〜290℃、より好ましくは240〜280℃、LHSVを通常の水素化脱硫の10倍以下、より好ましくは6倍以下、特には3倍以下、具体的には0.3〜15hr−1といった比較的温和な条件下に水素化脱硫触媒を用いて多環縮合芳香族類を水素化しセーボルト色+5以上に脱色する方法や、低硫黄軽油を水素の非存在下で脱色機能を持った脱色処理剤と接触させて脱色する方法が挙げられる。水素化脱硫触媒を用いて多環縮合芳香族類を水素化する方法は、通常高温、高圧下で行う必要があるため、熱ロスに配慮して水素化脱硫装置やユーティリティ設備の近傍に配置するなど設置場所が限定されたり、設備コストが高くなるデメリットがある。一方、脱色機能を持った脱色処理剤と接触させる方法は、常温〜200℃と比較的低い温度で、かつ水素ガスを用いることなく単に液体(低硫黄灯軽油)と固体(脱色処理剤)を接触して脱色するので、設置場所も水素化脱硫装置の近傍にわざわざ設置する必要がなく、オフサイトのランダウンタンク近傍にあっても良く、より好ましい。
〔脱色処理剤〕
色相が基準値未満である着色した脱硫灯軽油は、脱色処理剤と接触すると、脱硫灯軽油中の着色物質を多く含む4環以上の多環縮合芳香族類が脱色処理剤に固定(吸着)されて脱色される。着色性が殆どない単環〜3環の芳香族類は固定(吸着)されないことが脱色処理剤の活性、寿命の面から好ましい。脱色処理剤として、具体的には活性炭系脱色処理剤、ゼオライト系脱色処理剤、無機酸化物系脱色処理剤などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
活性炭系脱色処理剤は孔隙構造の発達した炭素材料であり、広く工業的に用いられている。無煙炭のように天然のままでも吸着活性を示す炭素材料も存在するが、一般には有機物(炭素質物質)の活性炭原料を炭化して、必要に応じて賦活して製造される。本発明において、脱色処理装置の脱色処理剤に用いる活性炭や特にその製法を限定するものではない。活性炭の原料としては、植物系の木屑、椰子殻、籾殻、ビール粕、おから、酒粕、パルプ廃液などや、化石燃料系の石炭、石油重質油、あるいはそれらを熱分解した石炭系/石油系ピッチやコークス、さらにフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニルビニリデン樹脂、プラスチック廃棄物などの合成高分子を出発原料とする活性炭を用いることができる。石炭は石炭化度の違いによって褐炭、瀝青炭及び無煙炭に分類される。
ゼオライト系脱色処理剤としては、Y型ゼオライト、X型ゼオライト、L型ゼオライト、安定化Y型ゼオライト、超安定化Y型ゼオライト、A型ゼオライト、HY型ゼオライト、ZSM型ゼオライト等が挙げられる。
無機酸化物系脱色処理剤としては、アルミナ、シリカ、ボリア、チタニア、ジルコニア、マグネシア、ハフニア、セリア、イットリア、ニオビア、クロミア、トリア等の非結晶性酸化物、モンモリロナイト、カオリン、ハロサイト、カオリナイト、ベントナイト、サポナイト等の粘土鉱物等が挙げられるが挙げられる。
これらの脱色処理剤の比表面積は特に限定されるものではないが、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積で100〜3,500m/gが好ましく、より好ましくは200〜3,000m/gであり、着色の原因とされている多環芳香族をより効率良く除去することができる。
これらの脱色処理剤のなかでも、活性炭、HY型ゼオライト、ZSM型ゼオライト、アルミナ、シリカ−アルミナは脱色能が高く、好ましく用いることができる。特に合成高分子、タールピッチあるいは石油系ピッチを紡糸した繊維を出発原料として得られた繊維状活性炭が好ましい。
〔無着色低硫黄灯軽油基材〕
前記のように、軽油色相の基準値をセーボルト色+5とした場合、脱色処理装置において、水素化脱硫装置からセーボルト色が+5未満の低硫黄軽油は脱色処理剤と接触し、多環縮合芳香族類が脱色処理剤に固定(吸着)されて、セーボルト色が+5以上に脱色、改善された脱色軽油、すなわち無着色低硫黄軽油基材が生産される。低硫黄軽油の硫黄分は、脱色処理剤にごく一部吸着されるため、水素化脱硫装置からの低硫黄軽油の硫黄分に比べ若干減少するが殆ど同じ濃度で流出する。なお、脱色軽油は、必ずしもセーボルト色が+5以上に脱色する必要はなく、他の水素化脱硫装置(又は、他の脱色処理装置)から流出する低硫黄軽油と混合して、無着色低硫黄灯軽油基材全体として例えばセーボルト+5以上を得ることができればよい。
〔脱色処理剤の脱着再生〕
脱色処理剤を用いて脱色処理を行っていくと、脱色処理剤は低硫黄灯軽油中の多環縮合芳香族類などを吸着して吸着能が漸次低下する。急激に吸着能がなくなる前に、脱色処理剤を新品に取り替えるか、再生して吸着能を回復する。新品の脱色処理剤への交換は、機能回復は100%であるが、コストがかかる。このため、オンサイトないしオフサイトで劣化した脱色処理剤を再生することが経済的である。
再生の方法は、限定するものでなく、要は吸着している多環縮合芳香族類などを除去できる方法であればよい。オフサイトでの再生は、吸着した多環縮合芳香族化合物をキルンやネットコンベアを用いて焼却除去したり、あるいは薬品等に浸漬して除去するなどきめ細かな操作を加えることができるが、オンサイトからの抜き出しやオンサイトへの充填など面倒な作業や、上記のきめ細かな操作によって時間とコストがかかる。オンサイトでの再生は、脱色処理剤の抜き出し、充填を要せず、最も簡便な方法である。劣化した脱色処理剤は、
(1)トルエン、アルコール及びアセトン、アルキルベンゼン類などの溶剤による洗浄
(2)非酸化雰囲気下(通常は窒素雰囲気下)及び/又は減圧下での加熱
などにより、オンサイトで容易に脱着再生することができる。トルエンを用いる洗浄による脱着でも、吸着性能が相当回復し、色相(セーボルト)が改善された無着色灯軽油を製造できるが、数回繰り返していると徐々に性能が落ちる。このような場合、(2)の非酸化雰囲気下及び/又は減圧下での加熱によって吸着性能を回復させることができる。また、オンサイトであれば、製油所のユーティリティである水蒸気を加熱源として使用することも可能である。脱色処理剤は、オンサイトにせよオフサイトにせよ再生することによって、繰り返し使用することができる。
〔無着色低硫黄灯軽油〕
以上のようにして水素化精製装置から得られた色相が基準値以上の無着色低硫黄灯軽油基材及び/又はさらに脱色処理装置を経由して得られた色相が基準値以上の無着色低硫黄灯軽油基材は、それぞれ単独でも、両者を混合しても硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材とすることができる。他の灯軽油基材と混合しなくても、性状が満足すればそのまま硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油として使用することも可能である。
さらに、要は得られる無着色低硫黄灯軽油基材が全体として、硫黄分10ppm以下、基準値の範囲内の色相を有するものであればよいのであるから、本発明は、次のような硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法も包含する。すなわち、複数の水素化脱硫装置とそれより少ない数の脱色処理装置からなる硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置を用いて該無着色低硫黄灯軽油基材を製造するとき、ある水素化脱硫装置から流出する脱硫灯軽油留分及び/又はある脱色処理装置から流出する脱色灯軽油留分の色相が基準値以下、例えばセーボルト+5以下である場合、その他の水素化脱硫装置及び/又はその他の脱色処理装置から流出する色相がセーボルト+5以上である脱硫灯軽油留分及び/又は脱色灯軽油留分と、前記の色相がセーボルト+5以下の脱硫灯軽油留分及び/又は脱色灯軽油留分とを混合して、硫黄分が10ppm以下で、色相が所望の範囲(例えば、セーボルト+5以上)の無着色低硫黄灯軽油基材を製造する方法も包含する。
また、硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油は他の灯軽油基材と混合して調製することができる。無着色低硫黄の灯軽油基材として用いる場合、硫黄分は5〜20ppmが好ましく、さらには5〜10ppmが好ましい。色相はセーボルト色で0〜+30が好ましく、さらには+5〜+30が好ましい。硫黄分は低いほど、また色相は+30に近いほど、ブレンドのフレキシビリティは向上するが、コストがかかり経済性が損なわれる。この灯軽油基材と他の灯軽油基材とを混合して硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油を調製するわけであるが、他の灯軽油基材としては、直留灯軽油、脱硫直留灯軽油、熱分解軽油、接触分解軽油など、さらにそれらを水素化脱硫処理して得た硫黄分20質量ppm以下の低硫黄灯軽油、減圧軽油を水素化分解して得られる水素化分解灯軽油、天然ガスやアスファルト分解ガス等を化学合成させて得られる合成灯軽油などが挙げられる。この混合は従来、石油精製やその他の産業で多用されている公知の適宜な混合方法を用いて行うことができる。
本発明の硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油は、上記のようにして調製することができ、無着色低硫黄灯軽油基材を含有するものである。具体的には、低硫黄灯軽油基材を50容量%以上、特には80容量%以上含むことが好ましい。もちろん、本発明の方法で得られた無着色低硫黄灯軽油基材をそのまま無着色低硫黄灯軽油とすることもできる。
無着色低硫黄軽油組成物の芳香族分、蒸留性状、15℃における密度、真発熱量及び動粘度は下記に示す条件を満たすことが好ましい。
本発明の無着色低硫黄軽油組成物は、芳香族分10〜25容量%が好ましく、13〜22容量%が特に好ましい。芳香族分が10容量%未満であると発熱量が低下し、燃費が低下するので好ましくない。芳香族分が20容量%以上であるとエンジンから排出される粒子状物質の量が増え好ましくない。この芳香族分はJPI−5S−49−97に規定された方法により測定される。
90容量%留出温度は360℃以下が好ましく、さらに好ましくは350℃以下である。90容量%留出温度が360℃を超えるとエンジンから排出される粒子状物質の量が増え好ましくない。この90容量%留出温度はJIS K2254に規定された方法により測定される。
15℃における密度は0.80〜0.87g/cmが好ましく、0.82〜0.86g/cmがさらに好ましく、0.83〜0.85g/cmが特に好ましい。密度が0.80g/cm未満であると発熱量が低く、燃費及び加速性の悪化を招くので好ましくない。密度が0.87g/cmを超えると、排出ガスの粒子状物質濃度が増加し好ましくない。この15℃における密度はJIS K2249に規定された方法により測定される。
真発熱量は34.5MJ/L以上が好ましく、さらには35MJ/L以上である。真発熱量が34.5MJ/L未満であると出力低下を招くので好ましくない。この真発熱量はJIS K2279に規定された方法により測定される。
30℃における動粘度は1.5〜5.0mm/sが好ましく、さらには2.5〜5.0mm/sが好ましい。30℃における動粘度が1.5mm/s未満であると、ディーゼル車の燃料噴射量が少なくなり出力低下を引き起こすおそれが高くなり、又、エンジンに搭載された燃料噴射ポンプの各部における潤滑性が損なわれ、好ましくない。30℃における動粘度が5.0mm/sを超えると、燃料噴射システム内部の抵抗が増加して噴射系が不安定化し、排出ガス中のNOx、粒子状物質濃度が高くなり好ましくない。この30℃における動粘度はJIS K2283に規定された方法により測定される。
また、本発明の無着色低硫黄灯油組成物は下記に示す条件を満たすことが好ましい。
95容量%留出温度は300℃以下が好ましく、より好ましくは270℃以下である。この95容量%留出温度はJIS K2254に規定された方法により測定される。
灯火用及び暖房用・厨房要燃料として用いる場合には、色(セーボルト)は+25以上であることが好ましい。色(セーボルト)はJIS K2580に規定された方法により測定される。
家庭用の暖房機器や給湯器の燃料に使われるために、漏洩時等の引火の危険性から、引火点が40℃以上であることが好ましい。この引火点はJIS K2265に規定された方法により測定される。
燃焼機器ポンプの潤滑性及び石油ストーブ(芯式)における芯の灯油吸い上げを円滑に行うために、30℃の動粘度を1.15mm/s以上とするが、石油ファンヒーターの噴霧悪化による燃焼不良防止の点から1.6mm/s以下であることが好ましい。この30℃における動粘度はJIS K2283に規定された方法により測定される。
さらに、燃焼時の煤の発生を少なくするために、煙点を21mm以上とするが、燃焼時の炎高さ(火災発生防止)の点から43mm以下が好ましく、特には、23〜30mmが好ましい。この煙点はJIS K2537に規定された方法により測定される。
〔添加剤〕
本発明の無着色低硫黄灯軽油は、従来使用されている灯軽油への添加剤を、所望の性能を向上させるために適宜添加することができる。このような添加剤としては、低温流動性向上剤、耐摩耗性向上剤、セタン価向上剤、酸化防止剤、金属不活性化剤、腐食防止剤等の公知の燃料添加剤が挙げられる。低温流動性向上剤としては、エチレン共重合体などを用いることができるが、特には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどの飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましく用いられる。耐摩耗性向上剤としては、例えば長鎖脂肪酸(炭素数12〜24)又はその脂肪酸エステルが好ましく用いられ、10〜500ppm、好ましくは50〜100ppmの添加量で十分に耐摩耗性が向上する。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
〔軽油留分〕
本実施例では原料油として、すなわち水素化脱硫工程で用いる軽油留分としては、中東系の原油を常圧蒸留して得られた直留軽油留分(62.5容量部)に熱分解軽油(30.8容量部)及び接触分解軽油(6.7容量部)を混合した軽油留分を用いた。その性状を表2に示す。
Figure 2009057404
なお、表2の軽油留分の物性測定で、密度はJIS K2249、蒸留性状はJIS K2254、窒素分はJIS K2609、セーボルト色はJIS K2580、硫黄分はASTM D5453(紫外蛍光法)に準拠して測定した。芳香族含有量は、JPI−5S−49−97に基づいて測定した。
〔評価試験〕
表2に示す軽油留分を水素化脱硫装置で処理して、下記に示す水素化脱硫を行って低硫黄軽油を得、さらに着色低硫黄軽油については脱色処理を施した。尚、本実施例では、脱硫処理後の軽油留分の色相の基準値をセーボルト色0と設定した。
評価試験を行うにあたり、水素化脱硫装置及び脱色処理装置において用いた水素化脱硫触媒、脱色処理剤、装置、及び運転条件の詳細は以下のとおりである。
〔水素化脱硫〕
アルミナにモリブデン15重量%及びコバルト3重量%を担持した水素化脱硫触媒を内径25mm長さ103cmの反応器に100cc充填する。水素化脱硫を行う前に二硫化炭素1重量%を含む軽油を通油し、5MPaの水素共存下で150℃、次いで300℃に昇温し、いわゆる予備硫化を行う。水素を流しながら昇温し、水素圧力8.0MPa、液空間速度(LHSV)0.7hr−1、水素/油供給比(H/Oil)300NL/Lの条件下で、軽油留分を通油して水素化脱硫した。水素化脱硫された軽油留分に窒素ガスを吹き込んで溶存する硫化水素を除去して低硫黄軽油を得、該低硫黄軽油の硫黄分が10ppmとなるまで反応温度を徐々に昇温した。反応温度が350℃となったとき、硫黄分が10ppmの低硫黄軽油(無着色低硫黄軽油基材)が得られた。それ以降は、硫黄分10ppmをキープするように主に反応温度を調節して水素化脱硫を継続した。
〔脱色処理用原料の調製〕
硫黄分10ppmの低硫黄軽油の色相は、当初セーボルト色+30と無色であったが、触媒の劣化が進み徐々に着色し、2,800時間通油したところで、セーボルト色が0の蛍光色を発した着色低硫黄軽油が得られた。このとき、反応温度は370℃であった。この時点以降に得られた着色低硫黄軽油を脱色処理用原料として採取し始め通油を続け、5,600時間通油したこところで得られた硫黄分10ppmの低硫黄軽油のセーボルト色は−16以下であった。このとき、反応温度は390℃であった。反応温度370℃から390℃にかけて脱色処理用原料として採取した着色低硫黄軽油のセーボルト色は−7.3であった。この段階で触媒のサイクル寿命と判断し触媒再生のため水素化脱硫を中止した。
〔脱色処理〕
脱色処理剤として、クラレケミカル社製の繊維状活性炭(FR−25;比表面積:2,749m/g、細孔容積:0.96cm/g)を用い、繊維状のままで使用した。まず、脱色処理剤を130℃で3時間乾燥した後、長さ300mm、内容積8.5mlの脱色塔(以下ではカラムという)に脱色処理剤1.5g充填した。
カラムに硫黄分10ppmの、セーボルト色−7.3に着色した低硫黄軽油を、LHSV0.59hr−1にて供給して、セーボルト色+30以上の無着色低硫黄軽油基材を得た。通油開始から徐々に色相の変化が現れだして蛍光色が濃くなってゆき、通油開始から82時間経過した時点で色相はセーボルト色が+5となったので、再生処理を行うために脱色処理剤への通油(脱色処理)を停止した。
〔脱色処理剤の再生〕
トルエン(脱着剤)を室温でカラムにLHSV0.13hr−1で流通し、その際、カラムから流出する混合液のセーボルト色を測定した。脱着剤としてトルエンをカラムに流通させると、最初はセーボルト色が増加するが、ある累積流出量でピークとなり、その後、着色成分の脱着量が減少したせいか、流出液のセーボルト色は薄くなって行き最終的にはセーボルト色+30以上となった。すなわち、トルエンをカラムに流通させることにより、カラム内に吸着されていた着色成分が溶出して、カラム内の脱色処理剤は脱着再生されていることが分かる。次いでカラムをアセトンで洗浄し、窒素ガスで乾燥後、再び、硫黄分10ppmの、セーボルト色−7.3に着色した低硫黄軽油を、LHSV0.59hr−1にて供給したところ、セーボルト色+30以上の無着色低硫黄軽油基材を得ることができた。つまり、脱色処理剤は再生して繰り返し使用することができる。
以上から複数の水素化脱硫装置と脱色処理装置とを組み合わせた装置を用いて無着色低硫黄軽油基材を効率的に製造できることが分かる。つまり、原料軽油留分を2つの水素化脱硫装置に各々通油し、一方の水素化脱硫装置(例えば、A−1)では高活性を維持した低温条件で硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄軽油基材を製造し、もう一方の水素化脱硫装置(例えば、A−2)では触媒劣化が進行した高温条件下での水素化脱硫であり、硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油を製造するも、着色しているため脱色処理装置を経て脱色して、無着色低硫黄軽油基材を製造する。
混合処理の一例を前記の例で示せば、A−1からの硫黄分10ppmの留出油が通油初期のセーボルト色+30、A−2からの留出油が反応温度370℃から390℃にかけて採取したセーボルト色−7.3である場合、A−2からの留出油を脱色処理してセーボルト色+30の留出油を得、A−1からのセーボルト色+30の留出油と、A−2からの留出油を脱色処理したセーボルト色+30の留出油とを混合し、硫黄分10ppm、セーボルト色+30の無着色低硫黄軽油基材を製造することができる。
それぞれの水素化脱硫装置は、硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油の製造を継続させるため反応温度は徐々にさらに昇温することになる。劣化が進むとその速度は一般的に加速されるため、高温条件下の水素化脱硫装置(A−2)はさらに反応温度を高めなければならなくなり、それにつれてセーボルト色も悪化する。セーボルト色が−16以下に低下すると、反応温度は390℃以上に達し脱硫触媒のサイクル寿命の限界に近づいてきており、また脱色処理装置における負荷も大きくなり、このような状況での運転は経済的でない。したがって、セーボルト色が−16以下に低下する段階で、当該水素化脱硫装置(A−2)はブロック(入口バルブ、出口バルブ及び連結バルブを閉止)して水素化脱硫触媒の交換ないし再生を行う。
フレッシュな触媒又は再生触媒が充填された水素化脱硫装置(A−2)は、予備硫化後、原料軽油留分を導入して硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油の製造を再び開始する。水素化脱硫触媒の活性が高いため、着色のない低い反応温度で硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油基材を製造することができる。当然、脱色処理装置を使う必要はない。
上記の水素化脱硫装置A−2と脱色処理装置とのシリーズ処理で無着色低硫黄軽油基材を製造し、ついで、水素化脱硫触媒の交換又は再生等を行っている間、水素化脱硫装置A−1は、運転を続け無着色で硫黄分10ppm以下の低硫黄軽油基材を製造する。当然、この硫黄分を保持するために反応温度は徐々に上昇しなければならず、それに応じて低硫黄軽油の色相は少しずつ悪化して行く。水素化脱硫装置(A−2)の交換又は再生が終了し、無着色低硫黄軽油基材の製造を再開したころ、水素化脱硫装置(A−1)で製造する低硫黄軽油のセーボルト色が+5未満の脱色処理が必要な色相に低下しているから、遊休中の脱色処理装置に着色してきた低硫黄軽油を通油して脱色する。水素化脱硫装置(A−1)は前記の水素化脱硫装置(A−2)の場合と同様に、脱色処理装置との併用処理、水素化脱硫の交換ないし再生を行う。
したがって、2つの水素化脱硫装置と1つの脱色処理装置により、2つの水素化脱硫装置における触媒の劣化状況に応じて、脱色処理装置との併用処理を順繰りに繰り返して脱色処理装置の遊休期間を少なくすることによって、効率よく無着色の低硫黄軽油基材を製造することが可能となる。
2つの水素化脱硫装置(A−1、A−2)と1つの脱色処理装置(B−1)を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置の一例を示す。 3つの水素化脱硫装置(A−1、A−2、A−3)と1つの脱色処理装置(B−1)を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置の一例を示す。 3つの水素化脱硫装置(A−1、A−2、A−3)と2つの脱色処理装置(B−1、B−2)を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置の一例を示す。 図1の製造装置において、水素化脱硫装置A−1及びA−2がともに無着色低硫黄灯軽油基材を製造して、脱色処理装置B−1を必要とない場合のフローを示す。 図1の製造装置において、水素化脱硫装置A−1から流出する低硫黄灯軽油は着色したので、脱色処理装置B−1で無着色の低硫黄灯軽油基材に脱色してタンクにランダウンし、水素化脱硫装置A−2から流出する低硫黄灯軽油は着色していないのでそのままタンクにランダウンしている場合のフローを示す。 図1の製造装置において、水素化脱硫装置A−1の触媒の交換又は触媒の再生を行うときのフローを示す。 図1の製造装置において、水素化脱硫装置A−1は無着色低硫黄灯軽油基材を生産してタンクにランダウンし、水素化脱硫装置A−2から流出する低硫黄灯軽油は着色したため、脱色処理装置B−1で脱色してタンクにランダウンするときのフローを示す。 4つ水素化脱硫装置(A−1、A−2、A−3、A−4)と1つの脱色処理装置(B−1)を具備した無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置の一例を示す。
符号の説明
1、4、7、10 入口バルブ
2、5、8、11 出口バルブ
3、6、9、12 連絡バルブ
A−1、A−2、A−3、A−4 水素化脱硫装置
B−1、B−2 脱色処理装置

Claims (5)

  1. 灯軽油留分を複数の水素化脱硫装置に供給して水素化脱硫し、各水素化脱硫装置から流出する水素化脱硫後の灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値以上である場合は、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を無着色低硫黄灯軽油基材として得、水素化脱硫後の灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値未満である場合には、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を脱色処理装置に供給して脱色して、無着色低硫黄灯軽油基材を得ることを特徴とする硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法。
  2. 水素化脱硫後の灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値未満である場合に、当該水素化脱硫装置からの低硫黄灯軽油を脱色処理装置に供給して脱色処理しても、色相(セーボルト)が基準値未満である無着色低硫黄灯軽油が得られない場合、当該水素化脱硫装置を灯軽油留分を処理する通油系から切り離し、水素化脱硫触媒の交換及び/又は再生を行う、請求項1に記載の無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法
  3. 灯軽油留分を水素化脱硫して低硫黄灯軽油を得る複数の水素化脱硫装置、及び水素化脱硫装置で色相(セーボルト)が基準値未満である低硫黄灯軽油が得られた場合に、その低硫黄灯軽油を脱色するための脱色処理装置が、水素化脱硫装置の数より少ない数であることを特徴とする、硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置。
  4. 2基の水素化脱硫装置と1基の脱色処理装置を具備した請求項3に記載の無着色低硫黄灯軽油基材の製造装置。
  5. 灯軽油留分を水素化脱硫して低硫黄灯軽油を得る複数の水素化脱硫装置、及び低硫黄灯軽油の色相を改善するための前記水素化脱硫装置の数より少ない数の脱色処理装置からなる製造装置を用いて硫黄分10ppm以下の無着色低硫黄灯軽油基材を製造する方法において、ある1基又は複数の水素化脱硫装置から流出する脱硫灯軽油留分及び/又はある1基又は複数の脱色処理装置から流出する脱色灯軽油留分の色相(セーボルト)が基準値以下である場合、色相(セーボルト)が基準値以上であるその他の水素化脱硫装置から流出する脱硫灯軽油留分及び/又は色相(セーボルト)が基準値以上であるその他の脱色処理装置から流出する脱色灯軽油留分と、前記の色相(セーボルト)が基準値以下の脱硫灯軽油留分を混合することを特徴とする硫黄分10ppm以下である無着色低硫黄灯軽油基材の製造方法。
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