JP2009057385A - 水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法及び水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法 - Google Patents
水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法及び水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】所定量の特定の貴金属触媒の存在下に、水素分圧がある値以上の条件で、芳香族ポリカルボン酸を回分式にて水素化することにより、あるいは、特定の貴金属触媒の充填層に芳香族ポリカルボン酸を所定の重量時空間速度(WHSV)で供給し、水素分圧がある値以上の条件で流通連続式にて水素化する。
【選択図】 なし
Description
ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー、1963年、第28巻、1770頁 ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー、1966年、第31巻、3438頁
すなわち、本発明は、
(1)芳香族ポリカルボン酸を回分式により水素化するに際し、芳香族ポリカルボン酸100重量部に対し、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を0.5〜10重量部の割合で含む触媒の存在下、水素分圧1MPa以上で芳香族ポリカルボン酸を水素化することを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法、
(2)芳香族ポリカルボン酸を流通連続式により水素化するに際し、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を含む触媒の充填層に、上記貴金属1重量部当たり、芳香族ポリカルボン酸を1〜100重量部/hrの速度で供給し、水素分圧1MPa以上で水素化することを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法、
(3)水素化芳香族ポリカルボン酸の脱水反応により酸無水物を製造するに際し、該水素化芳香族ポリカルボン酸として、芳香族ポリカルボン酸を、その100重量部に対し、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を0.5〜10重量部の割合で含む触媒の存在下、水素分圧1MPa以上で回分式により水素化したものを用い、かつ該水素化芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基に対し、0.64〜5.7倍モルの無水酢酸を用いて脱水反応させることを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法、及び
(4)水素化芳香族ポリカルボン酸の脱水反応により酸無水物を製造するに際し、該水素化芳香族ポリカルボン酸として、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を含む触媒の充填層に、上記貴金属1重量部当たり、芳香族ポリカルボン酸を1〜100重量部/hrの速度で供給し、水素分圧1MPa以上で流通連続式により水素化したものを用い、かつ該水素化芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基に対し、0.64〜5.7倍モルの無水酢酸を用いて脱水反応させることを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法、
である。
5リットルのハステロイC−22製のオートクレーブ(攪拌機付き)にピロメリット酸276g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率50.5重量%)100gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を4.9MPaに保ちながら昇温し、反応温度60℃で60分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.92%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率98.3%であった(Rh触媒量0.90重量%、反応収率=98.2%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、263gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は99.0%であった。
実施例1と同様のオートクレーブにピロメリット酸414g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(前出)150gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を5.1MPaに保ちながら昇温し、反応温度70℃で120分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.90%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率98.6%であった(Rh触媒量0.90重量%、反応収率=98.5%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、385gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は98.7%であった。
実施例1と同様のオートクレーブにピロメリット酸828g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(前出)200gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を5.0MPaに保ちながら昇温し、反応温度80℃で120分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.89%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率97.7%であった(Rh触媒量0.60重量%、反応収率=97.6%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、781gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は98.5%であった。
実施例1と同様のオートクレーブにピロメリット酸276g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(前出)100gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を3.1MPaに保ちながら昇温し、反応温度80℃で360分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.86%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率97.9%であった(Rh触媒量0.90重量%、反応収率=97.8%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、249gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は98.2%であった。
実施例1と同様のオートクレーブにピロメリット酸276g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(前出)100gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を6.8MPaに保ちながら昇温し、反応温度50℃で60分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.94%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率98.1%であった(Rh触媒量0.90重量%、反応収率=98.0%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、262gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は99.1%であった。
5リットルのハステロイC−22製のオートクレープ(攪拌機付き)にピロメリット酸276g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率51.5重量%)12gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を5.0MPaに保ちながら昇温し、反応温度80℃で240分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して褐色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率18.0%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率75.6%であった(Rh触媒量0.11重量%、反応収率=13.6%)。
5リットルのハステロイC−22製のオートクレーブ(攪拌機付き)にピロメリット酸276g、水1656g及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率51.5重量%)12gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで2回、次いで水素ガスで3回置換した。水素圧を7.0MPaに保ちながら昇温し、反応温度120℃で180分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して褐色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率27.7%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率82.5%であった(Rh触媒量0.11重量%、反応収率=22.9%)。
18リットルのハステロイC−276製のオートクレーブ(攪拌機付き)にピロメリット酸2.5kg、水10kg及び5重量%Ru−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率50.4重量%)1.2kgを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで3回置換した。水素を導入し、水素圧を4.0MPaに保ちながら昇温し、反応温度70℃で120分間水素化反応を行なった。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Ru−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して褐色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率91.0%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率56.8%であった(Ru触媒量1.2重量%、反応収率=51.7%)。
18リットルのハステロイC−276製のオートクレーブ(攪拌機付き)にピロメリット酸2.5kg、水10kg及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率50.5重量%)1.2kgを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで3回置換した。水素を導入し、水素圧を0.3MPaに保ちながら昇温し、反応温度70℃で120分間水素化反応を行なった。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率69.2%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率91.3%であった(Rh触媒量1.2重量%、反応収率=63.2%)。
ハステロイC−22製の反応管(内径16mm×長さ320mm)に0.5重量%Rh−カーボン粒触媒(エヌ・イーケムキャット製)10gを触媒層の上下にラシッヒリングを用いて充填した。15重量%のピロメリット酸水溶液を調製し、原料調合槽に仕込んで攪拌しながら80℃に加温した。原料調合槽内は窒素雰囲気とした。このピロメリット酸水溶液を水素ガスで反応圧力12MPaに保った反応管にポンプを用いて5.0g/hrの割合で送液し、固定床で連続的に水素化反応させた。反応で消費される水素は反応管上部から反応圧を保つように供給した。また、反応管を加温して100℃で反応させた。反応管を落下してきた反応液は反応管の下部に接続した生成物受槽に溜め込み、その下部の液相部から断続的に反応液を抜き出した。この時生成物受槽の気相部よりわずかに反応ガスを抜き出した。(WHSV=15hr−1)反応開始後6〜7時間に抜き出した反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.85%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率95.8%であった(反応収率=95.7%)。
ハステロイC−22製の反応管(内径16mm×長さ320mm)に2重量%Rh−カーボン粒触媒(エヌ・イーケムキャット製)5gを触媒層の上下にラシッヒリングを用いて充填した。15重量%のピロメリット酸水溶液を調製し、原料調合槽に仕込んで攪拌しながら80℃に加温した。原料調合槽内は窒素雰囲気とした。このピロメリット酸水溶液を水素ガスで反応圧力10MPaに保った反応管にポンプを用いて7.5g/hrの割合で送液し、固定床で連続的に水素化反応させた。反応で消費される水素は反応管上部から反応圧を保つように供給した。また、反応管を加温して90℃で反応させた。反応管を落下してきた反応液は反応管の下部に接続した生成物受槽に溜め込み、その下部の液相部から断続的に反応液を抜き出した。この時生成物受槽の気相部よりわずかに反応ガスを抜き出した。(WHSV=11.3hr−1)反応開始後6〜7時間に抜き出した反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.88%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率95.5%であった(反応収率=95.4%)。
18リットルのハステロイC−276製のオートクレーブ(攪拌機付き)にピロメリット酸2.5kg、水10kg及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率50.5重量%)1.2kgを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで3回、置換した。水素を導入し水素圧を4.0MPaに保ちながら昇温し、反応温度70℃で120分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.94%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率94.8%であった(Rh触媒量1.2重量%、反応収率=94.7%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、2.2kgの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は99.0%であった。
実施例8で使用した5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過で分離した後、ガラス製の容器に取り出して空気中に一晩放置してから使用した他は実施例8と同様に水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、ピロメリット酸転化率99.94%、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸選択率94.8%であった(Rh触媒量1.2重量%、反応収率=94.7%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、2.2kgの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸の純度は98.7%であった。
実施例9と同様に前の実験の触媒を空気中に放置して賦活処理して繰り返し使用するリサイクル実験を行った。その結果を表1にまとめた。触媒活性の低下は見られなかった。
18リットルのハステロイC−276製のオートクレーブ(攪拌機付き)にトリメリット酸1.8kg、水10.8kg及び5重量%Rh−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率50.5重量%)1.2kgを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで3回置換した。水素を導入し、水素圧を3.0MPaに保ちながら昇温し、反応温度70℃で60分間水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメリット酸転化率99.94%、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸選択率94.7%であった(Rh触媒量1.7重量%、反応収率=94.6%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、1.2kgの1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸の純度は98.6%であった。
実施例18で使用した5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過で分離した後、ガラス製の容器に取り出して、空気中に一晩放置してから使用した他は実施例18と同様に水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメリット酸転化率99.95%、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸選択率94.6%であった(反応収率=94.6%)。また、実施例18と同様の反応条件で使用した5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過で分離した後、すぐに18リットルのハステロイC−276製のオートクレープ(攪拌機付き)にトリメリット酸1.8kg、水10.8kgと共に仕込み実施例18と同様に水素化反応を行った。反応液をオートクレープから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して褐色透明の濾過反応液を得た。該濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメリット酸転化率59.2%、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸選択率89.9%であった(Rh触媒量1.7重量%、反応収率=53.2%)。このように、使用した触媒を空気中に放置する賦活処理を行わずに、直ちに次の反応に使用した場合、触媒活性の低下による反応転化率の低下が著しいことが分かる。
実施例19と同様に前の実験の触媒を空気中に放置して賦活処理して繰り返し使用するリサイクル実験を行った。その結果を表2にまとめた。触媒活性の低下は見られなかった。
トリメリット酸をトリメシン酸に替えた他は実施例18と同様に水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Rh−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメシン酸転化率100.0%、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸選択率97.5%であった(Rh触媒量1.7重量%、反応収率=97.5%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、1.2kgの1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸の純度は98.9%であった。
5重量%Rh−カーボン粉末触媒1.2kgを5重量%Pd−カーボン粉末触媒(エヌ・イーケムキャット製、含水品、水分含有率54.4重量%)1.8kgに替えた他は実施例28と同様に水素化反応を行った。反応液をオートクレーブから抜き出し、5重量%Pd−カーボン粉末触媒を減圧濾過装置(フィルターは5B濾紙)で濾過分離して無色透明の濾過反応液を得た。この濾過反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメシン酸転化率99.96%、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸選択率97.1%であった(Pd触媒量2.3重量%、反応収率=97.1%)。濾過反応液をロータリーエバポレーターで減圧下に濃縮し、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸の結晶を析出させた。この結晶を分離、乾燥したところ、1.2kgの1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸結晶が得られた。この結晶をガスクロマトグラフィー法で分析した結果、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸の純度は98.8%であった。
ハステロイC−22製の反応管(内径30mm×長さ500mm)に2%Rh−カーボン粒触媒(エヌ・イー ケムキャット製)100gを触媒層の上下にラヒッシリングを用いて充填した。9.1重量%のトリメリット酸水溶液を調整し、原料調合槽に仕込んで攪拌しながら80℃に加温した。原料調合槽内は窒素雰囲気とした。このトリメリット酸水溶液を水素ガスで反応圧力8.0MPaに保った反応管にポンプを用いて200g/hrの割合で送液し、固定床で連続的に水素化反応させた。反応で消費される水素は反応管上部から反応圧を保つように供給した。また、反応管を加温して90℃で反応させた。反応管を落下してきた反応液は反応管の下部に接続した生成物受槽に溜め込み、その下部の液相部から断続的に反応液を抜き出した。この時生成物受槽の気相部よりわずかに反応ガスを抜き出した。((WHSV=9.1hr−1)
反応開始後9〜10時間に抜き出した反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメリット酸転化率99.95%、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸選択率94.2%であった(反応収率=94.2%)。
ハステロイC−22製の反応管(内径30mm×長さ500mm)に2%Rh−カーボン粒触媒(エヌ・イーケムキャット製)100gを触媒層の上下にラヒッシリングを用いて充填した。9.1重量%のトリメリット酸水溶液を調整し、原料調合槽に仕込んで攪拌しながら80℃に加温した。原料調合槽内は窒素雰囲気とした。このトリメリット酸水溶液を水素ガスで反応圧力4.0MPaに保った反応管にポンプを用いて200g/hrの割合で送液し、固定床で連続的に水素化反応させた。反応で消費される水素は反応管上部から反応圧を保つように供給した。また、反応管を加温して90℃で反応させた。反応管を落下してきた反応液は反応管の下部に接続した生成物受槽に溜め込み、その下部の液相部から断続的に反応液を抜き出した。この時生成物受槽の気相部よりわずかに反応ガスを抜き出した。(WHSV=9.1hr−1)反応開始後4〜5時間に抜き出した反応液をガスクロマトグラフィー法で分析したところ、トリメリット酸転化率99.92%、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸選択率94.4%であった(反応収率=94.3%)。
ジムロード冷却管と攪拌機を備えた3リットルのフラスコに、実施例1と同様にして得られた1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸200gと無水酢酸800g(カルボキシル基に対して2.5倍モル)を仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した。微量に窒素ガスを流しながら昇温し、30分間還流させた。室温まで冷却して結晶を析出させ、結晶を分離し(無水酢酸50gでリンスを行なった)、乾燥したところ、143gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が得られた。この結晶を分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の純度は99.4%であった。また、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の収率は83.0%であった。なお、生成物(結晶)の分析は、ガスクロマトグラフィー法及び液体クロマトグラフィー法で行った(以下、同様)。
実施例32と同様のフラスコに、実施例6と同様にして得られた1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸200gと無水酢酸800g(カルボキシル基に対して2.5倍モル)を仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した。微量に窒素ガスを流しながら昇温し、5分間還流させた。室温まで冷却して結晶を析出させ、結晶を分離し(無水酢酸50gでリンスを行った)、乾燥したところ、146gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が得られた。この結晶を分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の純度は99.3%であった。また、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の収率は84.7%であった。
実施例32と同様のフラスコに、実施例1と同様にして得られた1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸200gと無水酢酸300g(カルボキシル基に対して1.0倍モル)及び氷酢酸1500gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した。微量に窒素ガスを流しながら昇温し、5分間還流させた。室温まで冷却して結晶を析出させ、結晶を分離し(無水酢酸50gでリンスを行った)、乾燥したところ、161gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が得られた。この結晶を分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の純度は99.1%であった。また、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の収率は93.4%であった。
実施例32と同様のフラスコに、実施例1と同様にして得られた1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸200gと実施例32の分離母液1880gを仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した。微量に窒素ガスを流しながら昇温し、5分間還流させた。室温まで冷却して結晶を析出させ、結晶を分離し(無水酢酸50gでリンスを行った)、乾燥したところ、170gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が得られた。この結晶を分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の純度は99.0%であった。また、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の収率(原料1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸基準)は92.6%であった。
実施例32と同様のフラスコに、実施例1と同様にして得られた1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸200gと無水酢酸2000g(カルボキシル基に対して6.4倍モル)を仕込み、攪拌しながら系内を窒素ガスで置換した。微量に窒素ガスを流しながら昇温し、30分間還流させた。室温まで冷却して結晶を析出させ、結晶を分離し(無水酢酸50gでリンスを行った)、乾燥したところ、103gの1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物が得られた。この結晶を分析した結果、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の純度は99.5%であった。また、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物の収率は59.8%であった。
Claims (12)
- 芳香族ポリカルボン酸を回分式により水素化するに際し、芳香族ポリカルボン酸100重量部に対し、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を0.5〜10重量部の割合で含む触媒の存在下、水素分圧1MPa以上で芳香族ポリカルボン酸を水素化することを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 芳香族ポリカルボン酸を流通連続式により水素化するに際し、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を含む触媒の充填層に、上記貴金属1重量部当たり、芳香族ポリカルボン酸を1〜100重量部/hrの速度で供給し、水素分圧1MPa以上で水素化することを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 水素化温度が40〜120℃である請求項1又は2記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 水素分圧が1〜15MPaである請求項1又は2記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 触媒として、水素化に使用した触媒の賦活処理物を再使用する請求項1又は2記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 賦活処理物が、水素化に使用した触媒を空気又は酸化剤あるいはその両方で賦活処理したものである請求項5記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 芳香族ポリカルボン酸を溶媒に溶解又は懸濁させて用いる請求項1又は2記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 芳香族ポリカルボン酸と溶媒とからなる液中の芳香族ポリカルボン酸濃度が5〜50重量%である請求項7記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 芳香族ポリカルボン酸がピロメリット酸、トリメリット酸又はトリメシン酸である請求項1又は2記載の水素化芳香族ポリカルボン酸の製造方法。
- 水素化芳香族ポリカルボン酸の脱水反応により酸無水物を製造するに際し、該水素化芳香族ポリカルボン酸として、芳香族ポリカルボン酸を、その100重量部に対し、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を0.5〜10重量部の割合で含む触媒の存在下、水素分圧1MPa以上で回分式により水素化したものを用い、かつ該水素化芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基に対し、0.64〜5.7倍モルの無水酢酸を用いて脱水反応させることを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法。
- 水素化芳香族ポリカルボン酸の脱水反応により酸無水物を製造するに際し、該水素化芳香族ポリカルボン酸として、ロジウム又はパラジウムあるいはその両方からなる貴金属を含む触媒の充填層に、上記貴金属1重量部当たり、芳香族ポリカルボン酸を1〜100重量部/hrの速度で供給し、水素分圧1MPa以上で流通連続式により水素化したものを用い、かつ該水素化芳香族ポリカルボン酸のカルボキシル基に対し、0.64〜5.7倍モルの無水酢酸を用いて脱水反応させることを特徴とする水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法。
- 水素化芳香族ポリカルボン酸が1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸であり、得られる酸無水物が1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物である請求項10又は11記載の水素化芳香族ポリカルボン酸無水物の製造方法。
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