JP2009051785A - イソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物およびその保存方法 - Google Patents

イソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物およびその保存方法 Download PDF

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Abstract

【課題】イソシアノ酢酸アルキルエステルの保存の際に、経時的な着色の抑制を可能にするイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を提供する。
【解決手段】イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に、保存安定剤として、下記の化合物(B)を配合してなるイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物である。
(B)硝酸銀、酸解離定数(pKa)が4〜7の有機酸およびこれらの酸無水物、ならびに有機酸のアンモニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、イソシアノ酢酸アルキルエステルを長期にわたり保存可能にするイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物およびその保存方法に関するものである。
従来から、イソシアノ酢酸アルキルエステルが、医薬品や農薬、情報電子材料、有機合成品等の合成原料として広く使用されている。そして、上記イソシアノ酢酸アルキルエステルの工業的な製造方法として、例えば、オキシ塩化リン溶液に、トリエチルアミンおよびN−ホルミルグリシンアルキルエステルの溶液を添加して反応させ、ついで、この反応液をアルカリ水溶液に添加した後、イソシアノ酢酸アルキルエステルを製造する合成方法が採用されている(特許文献1参照)。
そして、上記のような方法等により製造されたイソシアノ酢酸アルキルエステルは、工業的には、分液処理して、有機層を濃縮した後、得られた残渣を蒸留することにより製品化されている。
また、上記以外にも、イソシアノ酢酸アルキルエステルの製造方法および物性データについてはいくつか報告されているが、イソシアノ酢酸アルキルエステルの色合いに関する報告はほとんど無く、非特許文献1に、製造直後の色合いが「light yellow oil」との記載がある程度である。
特開2000−191620号公報 Chinese Chem. Lett.,2003,14,883.
しかしながら、上記特許文献1に記載された製造方法等により作製されたイソシアノ酢酸アルキルエステルは、蒸留直後は無色透明の溶液であるが、例えば、室温での放置により、無色から薄黄色(蒸留翌日)、黄色(蒸留後1週間)を経て、濃黄色(蒸留後2週間)から褐色(蒸留後3週間)、さらには濃褐色(蒸留後1ヶ月程度)から約2ヶ月後には黒色へと経時的に着色変化するという問題を有している。
上記着色してしまったイソシアノ酢酸アルキルエステル、例えば、濃褐色や黒色に着色したイソシアノ酢酸アルキルエステルを用いて、Tetrahedron,48,1999(1992)に記載されている不斉アルドール反応(金錯体とフェロセン配位子を用いたアルドール反応)等の触媒反応を実施すると、反応速度の低下や、光学純度の低下という悪影響を及ぼすことになり問題となっている。また、通常の合成反応に使用した場合においても、合成反応終了後、反応生成した結晶を取得する際に、結晶への着色が見られたり、着色成分が生成した結晶に付着してしまい結晶そのものが取得できないという問題があった。このように、着色してしまったイソシアノ酢酸アルキルエステルをその状態で使用すると上記のような問題を有することから、現状ではイソシアノ酢酸アルキルエステルを使用する前に、再蒸留して色抜きを行なうという煩雑な工程を経由している。
このことから、イソシアノ酢酸アルキルエステルの経時的な着色を抑制するための対応が望まれているが、前述のように、イソシアノ酢酸アルキルエステルの色合いについて報告されている例はほとんど無く、現在まで保存安定性の研究は行なわれておらず、効果的な対応策がなされていないのが実情である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、イソシアノ酢酸アルキルエステルの保存の際に、経時的な着色を抑制することのできる保存安定性に優れたイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物およびその保存方法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に、保存安定剤として、下記の化合物(B)を配合することを特徴とするイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を第1の要旨とする。
(B)硝酸銀、酸解離定数(pKa)4〜7の有機酸およびこれらの酸無水物、ならびに有機酸のアンモニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物。
そして、本発明は、上記第1の要旨であるイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を密封容器で、5℃以下の温度で保存するイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物の保存方法を第2の要旨とする。
本発明者らは、まず、合成反応により得られた液状イソシアノ酢酸アルキルエステルを分液処理し、有機層を濃縮した後、得られた残渣を蒸留して得られたイソシアノ酢酸アルキルエステルの経時的着色の原因を突き止めるべく検討を重ねた。その結果、上記着色の原因となるものが、イソシアノ酢酸アルキルエステルの多量体であることを突き止めた。そして、このイソシアノ酢酸アルキルエステルの多量体の副成を抑制する手段を見出すべく、さらに研究を重ねた結果、イソシアノ酢酸アルキルエステルとともに、保存安定剤として前記化合物(B)を添加すると、経時的な着色を効果的に抑制することが可能となるこを見出し本発明に到達したのである。さらに、本発明者らは、前記化合物(B)を添加したイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を、密封容器中で、前記特定の温度で保存することが着色の抑制には非常に効果的であることを突き止めた。
このように、本発明は、イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に、保存安定剤として前記特定の化合物(B)を配合して得られるイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物である。このため、イソシアノ酢酸アルキルエステルの経時的な着色度合いを抑制することが可能となり、具体的には、イソシアノ酢酸アルキルエステルの蒸留後、数日間は薄黄色程度の着色に抑制され、3ヶ月経過後も濃黄色の着色変化に抑制することが可能となる。そして、このようなイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、密封容器に封入し、特定の温度雰囲気条件下にて保存することにより、長期にわたって安定した保存を可能にし、製品であるイソシアノ酢酸アルキルエステルの着色抑制に非常に効果的である。
そして、上記化合物(B)の配合量が、イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に対して0.005〜1重量%であると、より一層優れた着色抑制効果が得られ、かつ多量体の副生を抑え、純度低下を抑える効果が得られる。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)と、保存安定剤である特定の化合物(B)とを用いて得られる。なお、本発明のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、常温(25℃)にて液状を示す組成物である。
上記イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)としては、常温(25℃)で液状を示す化合物であり、そのアルキルエステル種としては、通常、低級アルキルを示し、好ましくは炭素数1〜5のアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等があげられる。したがって、具体的には、イソシアノ酢酸メチルエステル、イソシアノ酢酸エチルエステル、イソシアノ酢酸プロピルエステル、イソシアノ酢酸tert−ブチルエステル等があげられる。
上記イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)は、特に限定するものではなく、従来公知の方法にて製造されるものであり、例えば、つぎのようにして製造することができる。まず、オキシ塩化リン(以下「POCl3 」ともいう)溶液に、トリエチルアミン(以下「TEA」ともいう)とN−ホルミルグリシルアルキルエステル(以下「NFE」ともいう)の溶液を添加(滴下)する。なお、上記NFEのアルキルエステル種としては、先に述べたように、通常、低級アルキル、好ましくは炭素数1〜5のアルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等があげられる。
上記NFE、POCl3 、TEAの使用量は、モル比で、NFE/POCl3 /TEA=1/0.9〜1.5/1.8〜4に設定することが好ましく、より好ましくはNFE/POCl3 /TEA=1/1〜1.3/2〜3である。
上記添加(滴下)溶液および添加(滴下)される溶液の双方に用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、n−ヘキサン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン(以下「EDC」ともいう)等があげられる。なかでも、取り扱い易さおよび良好な収率をもたらすという点から、EDCを用いることが特に好ましい。溶媒の使用モル比は、NFE1モルに対してPOCl3 用溶媒を3〜30モルに設定することが好ましく、より好ましくは6〜15モルである。また、TEAおよびNFE用溶媒を2〜20モルに設定することが好ましくより好ましくは4〜10モルである。
上記方法では、溶媒に溶解したNFEおよびTEAの溶液(混合溶液または単独溶液)を、溶媒に溶解したPOCl3 の溶液に、30分〜6時間かけて滴下することが好ましく、より好適には30分〜3時間かけて滴下することである。さらに、反応温度としては、−20〜70℃に設定することが好ましく、より好ましくは0〜50℃にて反応させることである。なかでも最も好ましい条件としては、反応温度が20℃前後で、1.5時間かけての滴下である。
つぎに、滴下終了後、15〜25℃にて1時間程度の熟成を行う。そして、熟成後、上記反応液を、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等のアルカリ水溶液に滴下する。これにより脱水反応が完結する。この際、用いられるアルカリ水溶液中のアルカリ化合物の使用量はNFE1モルに対して1.5〜3モルに設定することが好ましく、より好ましくは1.7〜2モルである。その後、加水して系内の結晶を溶かし分液し、分液した水層をEDCで洗浄したのち、EDC層をひとまとめにして水洗後に濃縮する。このようにして得られた濃縮物を蒸留することにより目的とするイソシアノ酢酸アルキルエステルを製造することができる。
上記特定の化合物(B)は、上記イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に対する保存安定剤として作用するものであり、硝酸銀、酸解離定数(pKa)4〜7の有機酸およびこれらの酸無水物、ならびに有機酸のアンモニウム塩が用いられる。これらは単独で、もしくは2種以上併せて用いられる。
上記酸解離定数(pKa)4〜7の有機酸およびこれらの酸無水物としては、酸解離定数(pKa)が4〜7の間にある有機酸およびこれらの酸無水物であれば特に限定されるものではなく、例えば、プロピオン酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、安息香酸、無水安息香酸等をあげることができる。酸解離定数(pKa)の値が小さすぎると、添加した時点で着色が起こる傾向がある。
また、上記有機酸のアンモニウム塩としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜5)の低級脂肪酸のアンモニウム塩が好ましく用いられ、中でも、蟻酸アンモニウム、酢酸アンモニウムが特に好ましく用いられる。
これら特定の化合物(B)の中でも、実用性の面から、有機酸のアンモニウム塩を用いることが好ましく、特に炭素数1〜5の低級脂肪酸のアンモニウム塩が好ましく、具体的には蟻酸アンモニウムあるいは酢酸アンモニウムを用いることが好ましい。
上記特定の化合物(B)の配合量は、上記イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に対して0.005〜1重量%であることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.5重量%、特に好ましくは0.05〜0.15重量%である。すなわち、特定の化合物(B)の配合量が少な過ぎると、イソシアノ酢酸アルキルエステルの保存に際して、充分な着色の抑制効果が得られ難い傾向がみられる。また、特定の化合物(B)の配合量が多過ぎると、経済性の面から不利であるし、次工程の有機合成反応に供する際に副反応を引き起こす可能性がある。
本発明のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、前述のように製造し蒸留してなるイソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に、上記特定の化合物(B)を配合する。あるいは、イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)を蒸留する際に使用する溜出受器に予め上記特定の化合物(B)を仕込んでおくこともできる。そして、上記のようにしてイソシアノ酢酸アルキルエステル(A)と特定の化合物(B)を配合し混合した後、攪拌することにより均一化を図る。混合・攪拌した後、必要に応じて、未溶解のものを固液分離し、固形物を除去しても良いが、除去しなくても問題は無い。このようにして目的とする、イソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を作製することができる。
上記特定の化合物(B)配合時の温度条件としては、0〜50℃に設定することが好ましく、通常は、25±5℃程度の常温に設定することがより好ましい。すなわち、配合時の温度が高過ぎると、イソシアノ酢酸アルキルエステルの着色が進行する恐れがあるからである。
このようにして得られたイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、その水分含有量は可能な限り少ないほど好ましいものであるが、具体的には、500ppm以下であることが好ましい。すなわち、液状組成物中に水分が多く含まれると着色が促進されるため、水分含有量は少ないほど上記特定の化合物(B)の効果が大きく発揮され、好ましいものとなる。
つぎに、本発明のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、つぎのようにして保存することにより、着色が抑制され品質保持の点から好ましい。すなわち、上記のようにして作製したイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を密封容器に封入し、これを低温にて保存する。
上記低温での保存条件としては、具体的には、5℃以下であり、より好ましくは−10℃以下である。
上記密封容器としては、特に限定するものではなく、水分等を遮断することが可能である従来公知の密封容器、例えば、金属製のペール缶、金属製のドラム缶、金属製でポリエチレン(PE)等の内袋入りドラム缶、PE等のポリタンク等があげられる。
このようにして保存維持されるイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、具体的には、波長400nmの光透過率が60%以上、好ましくは65%以上であることが好ましい。なお、上記光透過率の測定条件は、「測定装置:島津製作所製UV−2200、測定・対照セル:10×10×35mm、測定波長:400nm、スリット幅:2.0nm、対照セル:メタノール3mLを充填、試料:イソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物2gにメタノール10gを加え、混溶、うち3mLを充填、透過率を3回測定、その平均値を採用」という条件である。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」および「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
〔イソシアノ酢酸エチルエステルの作製〕
1,2−ジクロロエタン500gにオキシ塩化リン73.6g(0.48モル)を溶解して溶液を調製し、この溶液を反応缶に入れ20℃に保った。つぎに、1,2−ジクロロエタン250gにトリエチルアミン99.8g(0.98モル)とN−ホルミルグリシンエチルエステル60.3g(0.40モル)を加えた混合溶液を、上記反応缶に1.5時間かけて滴下した。この間、反応温度は20〜22℃に保った。滴下終了後、20℃前後に保ったまま1時間攪拌した。この反応液を、水320gに無水炭酸ナトリウム80g(0.75モル)を溶解した水溶液中に、30℃、1時間で滴下した。アルカリ処理後1時間攪拌し、その後、水700mlを加え、反応液中の結晶を完全に溶解させた。そして、反応液を水層と1,2−ジクロロエタン層の2層に分離し、それらを分液した後、水層を1,2−ジクロロエタン330gで洗浄した。1,2−ジクロロエタン層をひとまとめにし、水130gで洗浄し、分液後、1,2−ジクロロエタン層をエバポレーターで濃縮した。
濃縮後、分析を行った結果、37.7g(純度79.7%)のイソシアノ酢酸エチルエステル(EICA)が得られ、収率は85.8%であった。なお、分析値を下記に示す。
IR分析(cm-1):1780(カルボニル基)、2200(イソニトリル基)
1H−NMR:(溶媒;重水素化クロロホルム、基準;テトラメチルシラン)
δ=1.3(t、3H) −CH2 CH3
δ=4.25(s、2H) CN−CH2
δ=4.28(q、2H) −CH2 CH3
〔実施例1〜13、比較例1〜2〕
上記のようにして作製されたイソシアノ酢酸エチルエステル(EICA)10gを25mLの内蓋付ガラス瓶に投入し、後記の表1に示す各化合物(比較例1は添加無し、比較例2はpKaが3.5の蟻酸)を同表に示す量(イソシアノ酢酸エチルエステルに対する添加割合として示す)にて添加して混合溶解しイソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物を調製した後、静置して着色の経過を目視により観察した(0日目、8日目)。この際、上記添加した化合物が完全に溶解していなくても濾過せず、静置して経過を観察した。
このようにして調製した各イソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物の色調を目視により観察する(0日目、8日目)とともに、静置8日目のイソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物の光透過率を下記のようにして測定した。その結果を後記の表1に併せて示す。
〔光透過率の測定〕
下記の条件により光透過率を測定した。なお、光透過率は3回測定し、その平均値を採用した。
測定装置:島津製作所、UV−2200
測定・対照セル:10×10×35mm
測定波長:400nm
スリット幅:2.0nm
対照セル:メチルアルコール3mLを充填。
試料:イソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物2gにメチルアルコール10gを加え、混合溶解し、その3mLを採取して充填。
Figure 2009051785
上記の結果より、保存安定剤としての特定の化合物(B)を添加した実施例1〜13の組成物においては、いずれも8日目における色調が薄い黄色になった程度で、光透過率も64%以上と高い値を示しており、保存安定性に優れていることがわかる。
これに対して、特定の化合物(B)を添加しなかった比較例1においては、8日目に黄色に着色されており、目視でも実施例の組成物との差がはっきりと確認できた。さらに、光透過率も55%と実施例の組成物よりも低い値となっており、特定の化合物(B)を添加した実施例の組成物と比べて、時間の経過による着色の度合いが大きいことがわかる。 また、酸解離定数(pKa)が4よりも小さい有機酸である蟻酸(pKa=3.5)を添加した比較例2では、添加してすぐに濃黄色に着色してしまい、pKaが4よりも小さい有機酸を用いた場合には着色の抑制効果は全くないこともわかる。
〔イソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物の保存〕
つぎに、上記実施例1品であるイソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物10kgをポリエチレン製の密封容器に充填して封入し、0℃の雰囲気下で30日間保存した。その結果、封入されたイソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物は、薄黄色程度に若干着色されていたにすぎず、着色が効果的に抑制された優れた保存方法であることがわかる。さらに、上記実施例2〜13品のイソシアノ酢酸エチルエステル液状組成物についても、上記と同様の条件にて保存した結果、略同等の着色抑制効果が得られた。
本発明のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物は、医薬品や農薬、情報電子材料、有機合成工業薬品等の合成原料の用途として、幅広い分野に使用することができる。

Claims (4)

  1. イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に、保存安定剤として、下記の化合物(B)を配合することを特徴とするイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物。
    (B)硝酸銀、酸解離定数(pKa)が4〜7の有機酸およびこれらの酸無水物、ならびに有機酸のアンモニウム塩からなる群から選ばれた少なくとも1つの化合物。
  2. イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)が、イソシアノ酢酸エチルである請求項1記載のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物。
  3. 化合物(B)の配合量が、イソシアノ酢酸アルキルエステル(A)に対して0.005〜1重量%である請求項1または2記載のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物を密封容器内で、5℃以下の温度で保存することを特徴とするイソシアノ酢酸アルキルエステル液状組成物の保存方法。
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