JP2009046231A - エレベーターのブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
より安全性を向上させ、かつ、スイッチング素子が発生するスイッチング損失を低減したエレベーターのブレーキ装置を得る。
【解決手段】
交流電力を直流に変換する整流回路2と、整流回路の出力に接続した平滑コンデンサ3と、平滑コンデンサと並列に接続されるダイオード5と半導体スイッチ6の直列回路と、ダイオードと並列に接続されたブレーキコイル10と、ブレーキコイルによる電磁力により制動力が変化するブレーキ11と、半導体スイッチの制御指令を生成する演算処理装置13からなるエレベーターのブレーキ装置において、ダイオード5とブレーキコイル10の間に設置された第一の電磁接触器7と、平滑コンデンサ3とダイオード5と半導体スイッチ6の直列回路の間に設置された第二の電磁接触器4と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブレーキコイルに流れる電流を制御して制動動作を行うエレベーターのブレーキ装置に関する。
従来のエレベーター用のブレーキ装置は、直流電圧をブレーキコイル(直流電磁石)に通電し、その吸引力によってブレーキを解除する方式が採用されている。この方式では、直流電圧が大きい場合にはブレーキ解除時に発生する衝突音が増加し、逆に直流電圧が小さい場合には制動動作の遅れが発生する。そのため、スイッチング素子を使用したチョッパ回路によってブレーキコイルに流す電流を制御することが知られ、特許文献1,2,3に記載されている。特に、電磁接触器を接続し、ブレーキに異常が発生した場合には、電磁接触器を開放して電力を遮断することが良く、特許文献1,2に記載されている。
特開平4−96675号公報 特開平9−272664号公報 特開2003−81543号公報
昨今では、安全性の向上が求められているが、上記従来技術では、遮断回路を多重系で構成することは考慮されていない。具体的には、特許文献2,3に記載のものでは電磁接触器をスイッチング素子とブレーキコイルの間に接続しているが、例えば、この接点が溶着した場合にも電力を遮断することが必要とされる。
また、確実性を増すため、指令値と検出値を比較して前者が大きい場合にはチョッパ回路をONさせ、小さい場合にはOFFさせたり、搬送波を使用して指令値比較を実施してON/OFF動作を繰り返したり、する制御方法が知られているが、いずれもチョッパ回路のスイッチング回数が増加し、スイッチング損失が増大する恐れがある。
本発明の目的は、より安全性を向上させ、かつ、スイッチング素子が発生するスイッチング損失を低減可能なエレベーターのブレーキ装置を提供することである。
上記の課題を解決するため、本発明は、交流電力を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力に接続した平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサと並列に接続されるダイオードと半導体スイッチの直列回路と、前記ダイオードと並列に接続されたブレーキコイルと、前記ブレーキコイルによる電磁力により制動力が変化するブレーキと、前記半導体スイッチの制御指令を生成する演算処理装置からなるエレベーターのブレーキ装置において、 前記ダイオードと前記ブレーキコイルの間に設置された第一の電磁接触器と、前記平滑コンデンサと前記ダイオードと半導体スイッチの直列回路の間に設置された第二の電磁接触器と、を備えたものである。
本発明によれば、電磁接触器の二重化を図るので、エレベーターのブレーキ装置において、安全性の向上が可能な上、極めて簡単な制御により省エネルギー化することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第一実施例のエレベーターのブレーキ装置であり、交流電源1,前記交流電源1を直流に変換する整流回路2,前記整流回路2の出力に接続した平滑コンデンサ3,ダイオード5,前記ダイオード5のアノード側に直列接続した半導体スイッチ6,一端をダイオード5のアノード側に接続したブレーキコイル10,ブレーキコイル10の他端とダイオード5のカソード側に接続され開閉動作を行う第一の電磁接触器7,第一の電磁接触器7とブレーキコイル10の間に接続した電流検出器8,ブレーキコイル10に並列接続した抵抗9,平滑コンデンサ3の正極側とダイオード5のカソード側および平滑コンデンサ3の負極側と半導体スイッチ6の一端の間に接続され開閉動作を行う第二の電磁接触器4,図示していない電力変換器により駆動されてエレベーターの昇降動作の動力となるモータ12,モータ12の制動動作を行うブレーキ11,電流検出器8より得られる電流信号を基に半導体スイッチ6の指令を生成・出力したり、モータ12の通常停止動作時および非常停止動作時に第一の電磁接触器7や第二の電磁接触器4に接点の開放指令を与える演算処理装置13により構成される。
ブレーキ11はバネ力等で制動片を押し当てることによりモータ12の制動動作を行っている。また、ブレーキ11は、ブレーキコイル10に電流(以下ではコイル電流と称す。)を流すことにより電磁力を発生させ、制動片を吸引することにより、制動動作を解除することができる。第一の電磁接触器7および第二の電磁接触器4の接点を閉じた状態で前記半導体スイッチ6をONさせた場合に、平滑コンデンサ3からブレーキコイル10に電力が供給されてコイル電流が流れる。この場合、半導体スイッチ6をON/OFF制御することにより電流量を調整できる。すなわち、半導体スイッチ6がONしている場合は平滑コンデンサ3から電力が供給されブレーキコイル10および半導体スイッチ6を通じてコイル電流が流れる。一方、半導体スイッチ6がOFFした場合は、ブレーキコイル10に流れるコイル電流はダイオード5を還流する経路で流れ、ブレーキコイル10のインダクタンス分および抵抗分や抵抗9で決まる時定数で減衰する。
エレベーターの通常運転での停止時や、システムに何らかの異常が発生した場合に勤休停止する非常停止時には、電磁接触器の接点を開放して電力供給を遮断する。第一実施例では、2個の電磁接触器を使用し、二重化を図ることによって安全性を向上した点が特徴である。第一の電磁接触器7はダイオード5とブレーキコイル10の間に接続されており、これの接点を開放することによってコイル電流はブレーキコイル10と抵抗9の間を循環する経路のみとなるため電力供給を絶つことができる。第二の電磁接触器4は平滑コンデンサ3とダイオード5および半導体スイッチ6の間に接続されており、この接点を開放することでも平滑コンデンサ3からの電力供給を絶つことができる。
図2は電磁接触器を別の位置に設けた場合の例である。この例では、第二の電磁接触器4を整流回路2と平滑コンデンサ3の間に設けている。この場合は、第二の電磁接触器4を遮断した場合でも平滑コンデンサ3の残留電荷により電力が供給されるため、完全な二重化にはならない。したがって、第一実施例のように平滑コンデンサ3とダイオード5および半導体スイッチ6の間に第二の電磁接触器4の接続することが肝要であり、これにより、一方の電磁接触器が故障し、例えば溶着した場合においても、一方の電磁接触器で電力供給を遮断できる効果がある。
次に、電磁接触器の駆動動作を説明する。通常運転の停止動作時は、演算処理装置13は第一の電磁接触器7の接点を閉じたままの指令を出力し、かつ、半導体スイッチ6のOFF指令と第二の電磁接触器4の接点の開放指令を同時に出力する。この場合は、半導体スイッチ6のOFF動作速度の方が第二の電磁接触器4の開放動作速度よりも速いため、第二の電磁接触器4の負担は小さく接点容量(定格電圧,定格電流等)も小さいものでよい。一方、緊急停止等の非常停止動作時は、まず第一の電磁接触器7の接点を緊急に開放する。この第一の電磁接触器7は演算処理装置13以外のエレベーターシステムの異常を検知しうる外部装置から直接開放信号を受け付ける機構を有していても良い。その後、半導体スイッチ6をOFFし、第二の電磁接触器4の接点も開放する。この処理では、第一の電磁接触器7に過大な電圧が発生する恐れがあるため、比較的接点容量が大きい電磁接触器を使用する必要がある。つまり、第一実施例では、第一の電磁接触器7の接点容量の方が第二の電磁接触器4の接点容量よりも大きいことが特徴であり、これにより、停止動作を加味した電磁接触器の接点容量の適正化を図れる効果がある。
次に、スイチング素子がON/OFF制御について説明する。図3は、従来のブレーキ装置の概略図であり、並列接続されたブレーキコイル10と抵抗9にスイッチ15を介して直流電源14が接続された構成になっている。従来のブレーキ装置では、スイッチ15をONすることでブレーキコイル10にコイル電流iLを流し、ブレーキの解除を行う。図4は従来のブレーキ装置におけるブレーキコイルに流れる電流の例である。ブレーキの開放時には高速な応答が要求される。この場合は図3における直流電源14の電圧値を大きくすることで図4の電流例1のようにコイル電流iLの高速な立ち上がり(立ち上がり時間t1)が実現できる。しかし、この場合はiLの振幅i1が大きくなり、これに伴って電磁吸引力も大きくなるため、ブレーキ解除時に制動片の衝突音が大きくなる悪影響が発生する。一方、衝突音を抑制するためには図3における直流電源14の電圧値を小さくすることで図4の電流例2のようにコイル電流iLの振幅i2を抑制でき、電磁吸引力も低減できる。しかし、この場合は立ち上がり時間t2が増加するため、ブレーキの応答速度が低下する悪影響が発生する。そこで第一実施例ではスイチング素子をON/OFF制御させることで、ブレーキ応答速度の高速化と衝突音の抑制を同時に実現する。
図5は、第一実施例におけるブレーキコイルに流れる電流の例であり、一点鎖線は電流指令値、実線は実際にブレーキコイルに流れる電流を示す。第一実施例では直流電圧を大きくして、高速な立ち上がり時間を実現し、衝突音が小さいレベル(例えば、コイル電流の振幅がi2など)に達するとON/OFF制御を開始してコイル電流が大幅に増加しないように制御する。さらに、一般的に制動片を吸引するときの電磁力よりも吸引した制動片を保持する電磁力の方が小さいため、制動片を吸引した後には電流指令値を低下させている。これにより、特に高揚程のシャトルエレベーターでは省エネルギー化を図ることができる。
図6は図5の点線部分で囲んだ部分の拡大図である。第一実施例では制動片を保持する最低限度の電磁力は発生するためのコイル電流値(最低保持電流)よりも大きい値、例えば、ブレーキコイル10として複数のブレーキコイルが並列に接続される場合は、それぞれのブレーキコイルの最低保持電流の和に変動誤差分を加えた程度の値に電流指令値を設け、コイル電流が電流指令値を下まわった場合のみ、一定時間Tだけ半導体スイッチ6をONさせる。従来の半導体スイッチの制御法では、指令値と検出値を比較して前者が大きい場合にはONさせ、小さい場合にはOFFさせる方法や、搬送波を使用して指令値比較を実施してON/OFF動作を繰り返す方法がある。しかしながら、前者の方式では境界点付近において半導体スイッチ6のスイッチング回数が増加し、スイッチング損失が増大する恐れがある。また、後者の方式では、搬送波の周波数が低い場合はコイル電流の変動幅が大きくなり最低保持電流を下回る恐れがあるため一般に周波数は高く設定されるが、この場合にはスイッチング回数が増加してスイッチング損失が増大する恐れがある。一方、第一実施例の場合は、コイル電流が指令値よりも下回った場合のみに、半導体スイッチ6を一定時間だけONさせる極めて簡単な制御であるが、スイッチング回数を低減できるため、スイッチング損失も低減できる効果がある。
第一実施例では、交流電源1を整流回路2で整流し直流電圧を生成する構成であるが、直流電源が直接、平滑コンデンサに接続される構成であっても同様な効果が得られる。
図7は本発明の第二の実施例のエレベーターであり、図1の第一実施例において交流電源1と整流回路2の間に変圧器16を設けて絶縁している点が特徴である。エレベーターシステムでは、一般的に商用の交流電源1を変圧器16を介して、複数の電圧(例えば、主回路電圧や制御用電圧など)を生成し利用する。この場合は、変圧器16の2次側は絶縁されるため、一般的に平滑コンデンサ3の負極側を基準点として接地等の処理を施す。この場合に第一の電磁接触器7と第二の電磁接触器4の接点が閉じ、かつ、半導体スイッチ6がONした状態ではブレーキコイル10の一端は基準点の電位と等しくなる。電流検出器8の設置位置に着目すると、前記の条件でブレーキコイル10で地絡事故が発生した場合には、過大な短絡電流が流れるが、電流検出器8が基準点の電位であるダイオード5のアノード側とブレーキコイル10の間に設置される場合は短絡電流を検知できない恐れがある。つまり電流検出器8は、ブレーキ動作の観点から見るとダイオード5のカソード側とブレーキコイル10の間あるいはダイオード5のアノード側とブレーキコイル10の間のいずれに設置されていても良いが、第二実施例のように基準点の電位ではないダイオード5のカソード側とブレーキコイル10の間に設置することにより、ブレーキコイル10の地絡事故時の短絡電流も検出することができ、安全性を向上できる効果がある。
第二実施例において基準点を平滑コンデンサ3の正極側にとる場合は、電流検出器8をダイオード5のアノード側とブレーキコイル10の間に設置することで同様の効果を得ることができる。すなわち、電流検出器の設置位置は、ブレーキコイル10の端子のうち基準点に電気的に接続されない端子とダイオード5の間に設置すれば良い。また、第二実施例において交流電源1,変圧器16,整流回路2の部分が直流の絶縁型電圧源であっても同様の効果を得られることは言うまでもない。
本発明の第一の実施例を示す構成図である。 電磁接触器を別の位置に設けた場合の例である。 従来のブレーキ装置の概略図である。 従来のブレーキ装置におけるブレーキコイルに流れる電流の例である。 第一実施例におけるブレーキコイルに流れる電流の例である。 第一実施例におけるブレーキコイルに流れる電流の例の拡大図である。 本発明の第二の実施例を示す構成図である。
符号の説明
1 交流電源
2 整流回路
3 平滑コンデンサ
4 第二の電磁接触器
5 ダイオード
6 半導体スイッチ
7 第一の電磁接触器
8 電流検出器
9 抵抗
10 ブレーキコイル
11 ブレーキ
12 モータ(巻上機)
13 演算処理装置
14 直流電源
15 スイッチ
16 変圧器

Claims (6)

  1. 交流電力を直流に変換する整流回路と、前記整流回路の出力に接続した平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサと並列に接続されるダイオードと半導体スイッチの直列回路と、前記ダイオードと並列に接続されたブレーキコイルと、前記ブレーキコイルによる電磁力により制動力が変化するブレーキと、前記半導体スイッチの制御指令を生成する演算処理装置からなるエレベーターのブレーキ装置において、
    前記ダイオードと前記ブレーキコイルの間に設置された第一の電磁接触器と、
    前記平滑コンデンサと前記ダイオードと半導体スイッチの直列回路の間に設置された第二の電磁接触器と、を備えたことを特徴とするエレベーターのブレーキ装置。
  2. 直流電圧源と、前記直流電圧源の出力に接続した平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサと並列に接続されるダイオードと半導体スイッチの直列回路と、前記ダイオードと並列に接続されたブレーキコイルと、前記ブレーキコイルによる電磁力により制動力が変化するブレーキと、前記半導体スイッチの制御指令を生成する演算処理装置からなるエレベーターのブレーキ装置において、
    前記ダイオードと前記ブレーキコイルの間に設置された第一の電磁接触器と、
    前記平滑コンデンサと前記ダイオードと半導体スイッチの直列回路の間に設置された第二の電磁接触器と、を備えたことを特徴とするエレベーターのブレーキ装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記第一の電磁接触器における接点の定格容量は第二の電磁接触器における接点の定格容量よりも大きいことを特徴とするエレベーターのブレーキ装置。
  4. 請求項1に記載のものにおいて、通常運転で停止動作する場合、前記演算処理装置は前記第一の電磁接触器の接点を閉じたまま指令を出力し、かつ、前記半導体スイッチのOFF指令と前記第二の電磁接触器の接点の開放指令を出力することを特徴とするエレベーターのブレーキ装置。
  5. 請求項1に記載のものにおいて、前記第一の電磁接触器および前記第二の電磁接触器は前記演算処理装置により接点の開閉を制御でき、かつ、前記第一の電磁接触器の接点は、エレベーターシステムの異常を検知しうる外部装置により開放できることを特徴とするエレベーターのブレーキ装置。
  6. 請求項1に記載のものにおいて、緊急停止で非常停止動作する場合、前記第一の電磁接触器の接点を開放し、その後に前記半導体スイッチをOFFし、前記第二の電磁接触器の接点を開放することを特徴とするエレベーターのブレーキ装置。
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