[第1実施例]以下、図1〜12を用いて、本発明の一実施例を示す。図1は、パチンコ機1の概略正面図である。このパチンコ機1は、その表面に円弧状の外レール21及び内レール22の2本のレール等により略円形状に囲まれた遊技部3を備えた遊技盤2を有している。また、遊技部3の表面には図示しない複数の釘と数カ所の入賞口が備えられている。この様に構成された遊技部3内に図示しない発射杵により打ち出されたパチンコ玉は、外レール21と内レール22に導かれて遊技部3の上部に放たれ、前述した複数の釘に当たって複雑に進行方向を変えながら落下し、途中その進行経路上に入賞口があれば、入賞口に入るようになっている。
遊技部3のほぼ中央には、液晶表示装置4が設けられている。この液晶表示装置4は、その中央に設けられ後述するスクロール表示が可能なTFTタイプ等の液晶画面5と、この液晶画面5の下方に位置し、保留球の数を表示するための4個のLEDからなる保留球表示領域6とを備えている。
遊技部3の液晶表示装置4の下方には、1つパチンコ玉が入ると後述するスクロール表示を一回行う始動入賞口24a(以下「始動口24a」という。)が設けられている。この始動口24aに連続してパチンコ玉が入った場合には、最大4個まで保留球として扱い、保留球の数を保留球表示領域6のLEDを点灯して表示する。そして、保留球表示領域6に表示された数に応じて、液晶画面5上で後述するスクロール表示を繰り返し行う。
また、上記始動口24aの下方には、アタッカータイプの変動入賞装置25が設けられている。この変動入賞装置25は、前面に設けられた開口(図示せず)を塞ぐと共に、この開口を開閉するアタッカー26を備える。このアタッカー26は、通常遊技時には開口を閉じている。
一方、始動口24aにパチンコ玉が入賞すると、液晶画面5に表示された後述する各図柄表示窓51〜53で行われるスクロール表示後に停止図柄を明示し、その組合せが、予め定められた図柄の組み合せ(以下「当り図柄組合せ」という。)を明示した場合、特別遊技を実行する(以下「大当り状態」という。)。そして、大当り状態は、所定時間経過するかあるいは、変動入賞装置25に所定個数のパチンコ球が入賞するまでアタッカー26を開放し、パチンコ玉が変動入賞装置25内に入り易い状態にする。
尚、アタッカー26の両側にも始動入賞口24b、24c(以下それぞれ「始動口24b,24c」と呼ぶ。)が設置されており、始動口24aと同じ働きをする。次に、図2により液晶画面5を説明する。
液晶表示装置4に設置した液晶画面5には、その画面中の上部に3つの第1図柄表示窓51、第2図柄表示窓52、第3図柄表示窓53が表示される。各図柄表示窓51〜53では、通常、肉眼では判別できない速度で、絵や数字などの図柄がスクロール表示される。このスクロール表示は、始動口24a〜24cにパチンコ玉が入ると、後述する遊技処理により予め各図柄表示窓51〜53に明示する停止図柄を決定した後、一斉に開始される。そしてスクロール表示を開始してから所定時間経過した後、順次各図柄表示窓51〜53についてスクロール表示を停止し、停止図柄を明示する構成となっている。
次に、図3により、リーチ状態の時に液晶画面5の画面中の下部に表示する表示枠54を説明する。液晶画面5に表示する各図柄表示窓51〜53は、スクロール表示を開始して所定時間経過すると、まず第1図柄表示窓51の図柄のスクロール表示を最初に停止し、次に第3図柄表示窓53を停止し、最後に通常、第2図柄表示窓52を停止する。
ただし、第1図柄表示窓51と第3図柄表示窓53との停止図柄の組み合せが、当り図柄組合せを構成する可能性がある所謂リーチ状態である時、即ち、当り図柄組合せが、例えば「7」が3つの組合せであって、図3に示すように、第1図柄表示窓51及び第3図柄表示窓53に表示される図柄が両方とも「7」であるとき、液晶画面5上では第2図柄表示窓52に代えて表示枠54の表示を開始する。
表示枠54で表示する画面は、その表示枠54中に、後述する複数の図柄と、図柄を囲みこむことのできる大きさの枠55を表示する。この枠55は、後述するように、表示枠54中に表示される複数の図柄をたどり、図柄1つ1つを枠の中に表示しながら移動するものである。そして、移動する枠55を停止して停止図柄を明示した後、枠55内に囲った停止図柄とともに、再び第2図柄表示窓52を表示する。そして各図柄表示窓51〜53に当り図柄組合せを明示したとき大当り状態になるよう構成されている。
次に、パチンコ機1の遊技盤2の裏面に設けられた中央制御装置100について、図4を用いて説明する。中央制御装置100は、始動口24aに入賞した発射玉を検出する始動入賞スイッチ241,始動口24bに入賞した発射玉を検出する始動入賞スイッチ242,始動口24cに入賞した発射玉を検出する始動入賞スイッチ243,アタッカー26を開放することにより変動入賞装置25内に入賞したパチンコ玉を検出するカウントスイッチ251,開口の特定領域を通過した発射玉を検出する継続入賞スイッチ301,及び発射ハンドル27が回動操作されてパチンコ玉が発射されているときにオンする発射ハンドルスイッチ271からの各検出信号を入力する入力回路101と、入力回路101を介して取得した前記各検出信号に基づいて各図柄表示窓51〜53でのスクロール表示等を制御するための制御プログラムを実行するCPU102と、CPU102が実行する制御プログラムを格納するROM103と、CPU102が処理するデータを一時記憶すると共に電源が切られた場合でも記憶内容を保持可能なバックアップ機能を有するRAM104と、CPU102が液晶画面5に表示する画像の画像データを格納する画像ROM105と、CPU102からの指令に基づいて、保留球表示領域6,変動入賞装置25のアタッカー26を開閉するためのソレノイド106,及び遊技盤2上に設けられた電飾装置107へ、夫々駆動信号を出力すると共に、図示しないホール管理コンピュータに接続された外部情報端子108へ当該パチンコ機1が大当たり状態であることや大当たり状態の継続回数等を表す情報信号を出力する出力回路109と、液晶画面5の表示制御を行う液晶画面コントローラ110と、アンプ111を介してスピーカ112から発音させるサウンドジェネレータ113と、前記各部を接続するバス114とを備えている。
このように構成された中央制御装置100において、CPU102は、後述する遊技処理を実行することにより、当該パチンコ機1の全体制御を行い、更に、後述する図柄表示処理を実行することにより、遊技の進行に応じた様々な画像を液晶画面5に表示させる。
次に、CPU102が実行する遊技処理について説明する。まず、図5は、遊技処理を表すフローチャートである。この遊技処理が実行されると、まずステップ(以下、単にSと記す)110にて、始動口24a〜24cに入賞があったか否かを判定する。つまり、始動入賞スイッチ241〜243がONされたか若しくは保留球表示領域6のLEDが既に点灯されていかるどうかをチェックし、両方ともなされていなければ少なくとも一方がなされるまで同判定を繰り返し実行することにより待機する。
S110にて少なくとも一方がなされることにより、始動入賞ありと判断された場合は、S120に進んで、乱数を出力させる。乱数は、ここではCPU102が具備するクロックに基づいて駆動される5つのループカウンタ(以下、単にカウンタともいう)の値から抽出される5個の数値である。より詳しくは、例えば2msec毎にタイマー割り込みを掛け、その都度、第1のカウンタの値を1増加させる。第1のカウンタの値は400になる毎にゼロに戻されて、0〜399の400個の値を出力させる。第2及び第3のカウンタも略同様のものであり、こちらは夫々0〜24及び0〜15の値を出力させる。第4のカウンタは、第3のカウンタの値がゼロになる毎に1増加されて0〜16の値を出力させ、第5のカウンタは、第4のカウンタの値がゼロになる毎に1増加されて0〜15の値を出力させる。つまりこの乱数出力も、CPU102が行うプログラムにて行われている訳であるが、ここでは その説明を省略する。
続いてS130に進み、S120にて出力された乱数に基づいて、各図柄表示窓51〜53に明示する停止図柄を設定する。パチンコ機1においては、上記乱数値に対応して3個の図柄が横一列に並列されて液晶画面5中の上部に表示される。これら3個の図柄の内、第1図柄表示窓51に表示される停止図柄(以下、単に左図柄という)及び第3図柄表示窓53に表示される停止図柄(以下、単に右図柄という)は、共に16種類の図柄からなり、第3のカウンタ及び第5のカウンタの値に対応して明示される停止図柄が決定する。この対応関係を[表1]に示す。
また、第2図柄表示窓52及び表示枠54に表示される図柄(以下、単に中図柄という)は、17種類の図柄からなっており、第4のカウンタの値に対応して明示される中図柄が決定する。この対応関係を[表2]に示す。
但し、第1のカウンタの値が100若しくは300のときには、当り図柄組合せにて明示させるものとし、第2のカウンタの25種類の値に対応して明示される停止図柄が決定する。この対応関係を[表3]に示す。
このようにパチンコ機1においては、当り図柄組合せは”1,1,1”や”¥,¥,¥”といったゾロ目だけでなく、「*」が付いた図柄がそろったものも当り図柄組合せとして設定され、計25種類がある。そして、これらの内の1つが各図柄表示窓51〜53に出力されると、アタッカー26が開かれる。なお、第1のカウンタの値が100でも300でもないときに、第3〜第5カウンタが、当り図柄組合せにする値を出力させる場合(第3〜第5カウンタの値が全て2のとき等)があるが、この場合は、本来設定されるべき図柄を差し替えて、当り図柄組合せにならないようにする。例えば、第3〜第5カウンタの値が全て2のとき、[表1]によれば右図柄として「2」が設定される筈であるが、差し替えて「3」を設定する。
こうして停止図柄の設定が完了すると、S140に進み、この設定された3つの停止図柄を各図柄表示窓51〜53に明示する図柄表示処理S140を行う。この図柄表示処理S140を、図6のフローチャートとともに説明する。本図柄表示処理S140において、図柄表示窓51〜53の表示を行う左図柄変動処理S210、右図柄変動処理S220、中図柄処理S230の各内容は、いずれも、1回の処理にて夫々の図柄を少しずつ変化させ、複数回夫々の処理を繰り返すことによりスクロール表示等を行い、最終的に停止図柄を各図柄表示窓51〜53に明示するというものである。すなわち、本処理が起動されるとまずS210にて左図柄変動処理を行い、次にS220の右図柄変動処理を行い、続いてS230に示す中図柄処理を行い、S240にて停止図柄が全て表示されたか否かを判定し、明示されていれば図柄表示処理S140を終了し、表示されていなければ、S210に戻って、S210〜S230の処理を停止図柄が表示されるまで繰り返す。
ただし、後述するように、中図柄処理S230は、リーチ状態のとき液晶画面上の表示枠54に複数の図柄を表示して、その図柄の中から停止図柄を選択する後述の表示枠処理を行ったあとで、その停止図柄を第2図柄表示窓52に表示する。
ここで、これら左右の図柄変動処理S210,S220について、図7に示したフローチャートに基づいて説明する。以下、左図柄変動処理S210及び右図柄変動処理S220は、まとめて左(右)図柄変動処理という。まず、左(右)図柄変動処理が起動されると、S310初期変動を終らせるか否かを判定する。初期変動とは、各図柄表示窓51〜53に複数の図柄をスクロール表示させることであり、ここでは、図柄を30個スクロールしたか否かを判定し、判定されるまでS320により1図柄ずつスクロール表示する。なお、このスクロール表示は、[表1]に示した図柄を、予め定められた順番(以下「順列」という。)に、例えば0→1→2→…→萬→円→0→…の順序にてスクロールさせ、1図柄分スクロールさせる時間が0.1secというスピードにて目まぐるしく行われる。
図柄を30個スクロールしたと判定するとS330に分岐して、スクロール中の図柄を明示する停止図柄の3つ手前の図柄までスクロールさせる。例えば、停止図柄が「£」であれば、「£」の3つ手前の図柄である「¥」まで更にスクロールさせる。このため、S330の処理に入った時点にてスクロール表示されている図柄によってスクロールされる量が異なる。例えば、スクロール表示されている図柄が「4」であれば、「4」から「¥」までの6図柄分、スクロールさせることになり、「¥」がスクロール表示されていれば、一切変動は行われず次のステップに進む。
こうして、3つ手前の図柄までスクロールされると、S340に進み、3図柄ゆっくりとスクロールさせて、続くS350にてを明示する。このときのスクロール速度は1図柄あたり約1secにされている。つまり左(右)図柄変動処理は、図柄のスクロール表示を行った後、図5のS130にて設定された図柄を夫々図柄表示窓51,53に出力する処理となっている。
なお、図柄が停止するタイミングは、前記説明より明らかなように、左図柄の方が右図柄よりも先となる。次に、中図柄処理S230を、図8のフローチャートに基づいて説明する。この中図柄処理S230が起動されると、まず、S410にて図柄表示窓53に右図柄が明示されたか否かを判定する。右図柄が明示されていないと判定されたときには、S420に進んで更に1図柄スクロールさせ、再びS410に戻り、右図柄が明示されるまでスクロール表示をする。なお、このスクロール表示は、[表2]に示した図柄を順列順に、例えば、0→1→2→…→萬→円→*→0→…の順序にて行われる。また、1図柄分のスクロール時間は、0.1secである。
一方、右図柄が明示されていると判定されると、S430に分岐して、既に明示している左図柄及び右図柄の組合せがリーチ状態になっているかどうかを判定する。リーチ状態とは、[表3]に示した25種類の各当り態様から、中図柄を取り除いてなる配列になっている状態を言う。例えば、左図柄及び右図柄が共に「0」ならば、当り態様”0,0,0”のリーチ状態であり、左図柄及び右図柄が共に「3*」ならば、”3*,3,3*”若しくは”3*,*,3*”のリーチ状態となる。
リーチ状態であれば、後述する表示枠処理S440にて、並列に表示した各図柄表示窓51〜53の下に第2図柄表示窓52の窓枠を移動して拡大し、新たに表示枠54とする表示がなされ、この表示枠54内で第4カウンタの値に対応した停止図柄を後述する枠55が明示する表示を行う。
一方、S430の判定にて、リーチ状態ではない(左図柄が「1」、右図柄が「5*」等)ときは、S450に進み、明示する中図柄の3つ手前の図柄までスクロールさせる。続いてS460に進み、3図柄ゆっくりと(1図柄あたり約1sec)スクロールさせて、中図柄にて停止させ、S470に進んで、第2図柄表示窓52に中図柄を表示し、当該中図柄処理S230を終了する。
つまり中図柄処理S230は、左図柄及び右図柄が停止される前の時点においては、図柄のスクロール表示を行い、左図柄及び右図柄が停止されると、その2図柄の組み合せがリーチ状態となっているか否かに応じて、スクロール表示を表示枠処理S440による表示に変え、最後に遊技処理のS130にて設定した中図柄を明示する処理となっている。
次に、表示枠処理S440を図9のフローチャート,図10及び図11に基づいて説明する。表示枠処理S440は、第1図柄表示窓51と第3図柄表示窓53に表示される停止図柄の組み合せがリーチ状態であるとき行われる処理である。
この表示枠処理S440が開始されると、図10(a)に示す様に、S510にて第2図柄表示窓52のスクロール表示をやめ、続くS520にて各図柄表示窓51〜53が並列に表示されている部分の下の部分に表示枠54を表示する。そして、S530にて表示枠54中に複数の図柄を表示し、この表示された図柄を下方から上方へ移動させる表示を行い、S540にて表示される図柄に沿って移動する枠55を表示する。
なお、図10(a)の点線で示すように、表示枠54を液晶画面5中に表示する際、第2図柄表示窓52の窓枠を拡大して表示枠54にする表示を行っている。ここで、表示枠54で行われる表示についてより詳しく説明すると、表示枠54中に表示される複数の図柄は、図10(a)〜(d)中に示すように、図中の図柄「3」の左側の矢印の方向にほぼ同じ速度で、表示枠54の下辺から現れて順次ずれながら進み、上辺で消えていくように表示する。一方枠55は、上記のように表示される図柄に沿って表示枠54中を動き、図柄上を通過するときは、図10(a)の図柄「4」及び図10(d)の図柄「5」の部分に示すように、図柄が一度は必ず枠55内に完全に収まるようにして通過する表示を行う。そして、表示枠54の表示を開始してから所定時間経過すると、表示枠54内の図柄の流れは止まり、一方、枠55は、停止した複数の図柄のうちの中図柄を囲んだ状態で停止するのである。
次に、S550にて枠55を停止したと判断されたら、S560に分岐し第2図柄表示窓52を再び表示して、S570にて枠55内に表示している中図柄を第2図柄表示窓52内に表示し、表示枠処理S440を終了する。尚、枠55を用いた理由は、表示枠54中に複数の図柄が表示されるため、どの図柄が明示されているのかを遊技者にわかり易くするためである。
以上の処理が終了すると、各図柄表示窓51〜53には停止図柄が図11のように表示される。そして図5に戻ってS150で、図11の横並びのライン上に表示された停止図柄が特別遊技を実行する当り図柄の組合せであるときは、大当たり処理S160を行い、一方、特別遊技を実行しない図柄の組合せであるときには、再び始動入力があるかを検出する処理S110を行う。
次に、大当たり処理S160を図12のフローチャートに基づいて説明する。当該処理が実行されると、まずS610にてソレノイド106を駆動し、アタッカー26を開放する。続くS620にて、液晶画面5に動画を出力する。この動画は、始動入賞と共に表示された図柄表示窓51〜53及び表示枠54に代わり、大当たり状態の間中液晶画面5に出力するものである。
動画出力が終了すると、S630に進み、アタッカー26の開放を中断するかどうかを判定する。この判定基準は、パチンコ機1では2つあり、その一つはアタッカー26が開かれてから所定時間(ここでは25秒)経過したこと、もう一つは開口にパチンコ玉が10個入賞したことである。この少なくとも一方が成立した際に、S640に進み、アタッカー26を閉じる。どちらも成立しない場合には、S620に戻る。
S640にてアタッカー26を閉じると、続くS650及びS660にて、大当たり状態を終了させるか否かの判定を行う。まずS650では継続入賞スイッチ301に基づき、特定領域をパチンコ玉が通過したかどうかを判定し、通過していなければ当該大当たり処理S160を終了させる。通過していれば、S660にて、大当たり処理S160が起動されてからアタッカー26が16回開かれたかどうかを判定する。まだ16回に達していなければS610に戻ってアタッカー26を再び開放し、16回開いたならば、当該大当たり処理S160を終了させる。
つまり、大当たり処理S160では、パチンコ機1を大当たり状態にし、また大当たり状態においては液晶画面5に動画を出力し、上記条件に基づいて大当たり状態を終らせて通常状態に戻す処理を行う。尚、本実施例で、各図柄表示窓51〜53に各停止図柄が停止する場合の、「停止」とは、図柄が実際には止まっていなくても、遊技者から見ると止まっている様に見える状態も含む。例えば、表示手段の画面上で数ミリ程度図柄が振動していても、遊技に夢中になっているものには分からないような状態等である。
また、本実施例では、表示枠54での図柄の表示を予め定められた順列に従って行っているが、乱数発生手段が発生した乱数に応じて、変動表示する図柄の順番を様々に変更した差替順列を作成する順列作成手段を備え、この順列作成手段にて作成された差替順列を予め定められた順列に代えて用いるように構成してもよい。
尚、例えば当り図柄のような特定の図柄を他の図柄よりも多く含めた差替順列を設定する特定図柄表示手段を備え、図13に示すように、特定の図柄を他の図柄よりも多く表示するようにしてもよい。また、差替順列として、表示枠中に表示する図柄の順番を予め定めた順列の他に複数の順列を用意しておき、S530の処理を始めるとき、中図柄処理(S230)のうち、表示枠処理(S440)以外の処理が行われるときは、予め定められた順列を用い、表示枠処理(S440)が行われるときに予め定められた順列を含めた複数の差替順列のうち、いずれかの差替順列で図柄を表示する図柄順列差替手段を備えていてもよい。
さらに、順列のうち一部分を抽出し、予め設定された順列に代えて抽出した順列を差替順列として設定する部分順列設定手段を備え、この部分順列設定手段により設定された差替順列を表示してもよい。次に、図14により、上記実施例の他に、表示枠処理S440で行う様々な態様の実施例を例示列挙して説明する。
図14(a)は、上記実施例に於ける枠55を円状枠551にしたものである。図14(b)は、上記実施例に於ける表示枠54よりも小さな表示枠541中に、図柄を縦に流して表示して、枠55を点線で示す様に表示枠541の縦の辺を飛び出して蛇行するように表示する実施例である。
図14(c)は、上記実施例に於ける枠55に代えてキャラクター552を表示し、このキャラクター552が、表示枠54中に表示される図柄の上部あるいは付近を通過するように表示したものである。このような構成とする場合、例えば、キャラクター552についてスキーヤーのキャラクターを用いる。すると、スキーの回転競技のように、表示枠55内に表示される図柄を旗門に見立て、その旗門をスキーヤーのキャラクターが通過するシーンをほうふつさせ、より趣向性に富んだ遊技を行うことができる。
図14(d)は、上記実施例の表示枠54を図14(b)の表示枠541のようにしたもので、また枠55も図14(c)のキャラクター552のようにしたものである。図15では、図14(c)で示した液晶画面5上でスキーを行うキャラクターを3つ表示する。具体的には、中央のボーゲンで滑る格好をしている女の子のキャラクター55aとスノーボードをする男の子のキャラクター55bとパラレルで滑る格好をしている男の子のキャラクター55cとを表示する。また、これらのキャラクターには、前記遊技処理により当たり図柄組合せを構成する図柄を停止図柄として設定したとき、例えば予め大当り状態を実行する回数を、キャラクター55aは10回中6回、キャラクター55bは10回中3回、キャラクター55cは10回中1回と設定しておく。
この変形例ではリーチ状態になると、液晶画面5の表示枠54の中を、上述の3つのキャラクター55a,55b,55cが一斉に滑り出す。一斉に滑りだしたキャラクター55a,55b,55cは、所定時間経過すると、一つずつ途中で転んで表示枠54中に表示される複数の図柄と共に表示枠54の上辺に消える。そして、更に所定時間経過すると、最後まで一つ残って滑り続けているキャラクターが停止して、第2図柄表示窓52に表示する図柄のうち停止図柄を明示する構成となっている。
このように構成された変形例のパチンコ機1で遊技者が繰り返し遊技を行うと、リーチ状態になった場合、液晶画面5上で一斉に滑り出すキャラクター55a,55b,55cのうち、女の子のキャラクター55aが残ると最も大当り状態になりやすく、キャラクター55b、55cでも回数は少ないものの大当り状態になるという事実を、遊技者は次第に覚えていく。
そして上述の様な事実を遊技者が知ると、以後リーチ状態になったとき、遊技者は、女の子のキャラクター55aに最後まで残ってくれと願う。また、途中で女の子のキャラクター55aが転んでしまっても、遊技者は、キャラクター55bあるいは55cでもまだ大当り状態になるという可能性があることを知っているので、当たるかもしれないと期待するのである。
従って、この変形例のパチンコ機1によれば、最後まで転ばずに滑っているキャラクターに設定された回数に応じて大当り状態になるか否かを明示するので、遊技者はどのキャラクターが最後まで転ばずに滑っているのかによって大当り状態になり易いか否かを予め知ることができ、より趣向に富んだ遊技を楽しむことができる。
なお、キャラクター55a〜55cを表示途中で変身するように表示するようにしてもよい。以上のようなパチンコ機1では、複数の図柄が表示枠54中に表示されるので、遊技者は、これら複数の図柄のうち大当り状態になる当り図柄を捜し出すという楽しみが生まれる。次に、表示枠54中に表示された複数の図柄のうち少なくとも1つが枠55により明示され、枠55が移動することにより停止図柄を明示する様子が示されるので、遊技者は、現在明示されている図柄と当り図柄の場所とを見比べ、当り図柄が強調されるか否かを予測しながら枠55が移動する様子を見る楽しみが生まれる。またこの時、枠55が移動する際、当り図柄を通過するようにすると、当り図柄を通過する毎に当たるかもしれないという期待感を遊技者に生じさせることになるので一層趣向性が増す。さらに、このように表示枠54を一杯に使って図柄を表示しているので、液晶画面5の有効利用が図れる。
また、本実施例に示すように、表示枠54中に表示する複数の図柄をS字状に点在するように配置し、しかも表示枠54の下から上へスクロールするように表示した場合、枠55は、S字に配置された図柄に沿って、図柄の上或は近傍を通過するように表示している。このように従来のスクロール表示とは異なる様々な態様の図柄の明示方法が可能となる。
尚、枠55が表示枠54中に表示される図柄を通過する際、枠55が図柄の上或は近傍を通過する態様としては、その時々で枠55がどの図柄を明示しているのかが遊技者に明確に分かればどのようなものでもよい。次に、複数種類の枠55に対応して各枠55が停止図柄として当り図柄を明示する回数を予め定めたので、遊技者は回数の高い枠55が明示されるよう願うという楽しみが生まれ、より趣向性に富んだパチンコ機を提供することができる。
次に、第2図柄表示窓52のスクロール表示を中止して表示枠54による表示に切り換える条件として第2図柄表示窓52以外の図柄表示窓に明示した停止図柄が、第2図柄表示窓52に明示する停止図柄如何で当たり図柄組合せを構成する可能性がある所謂リーチ状態になったことを条件とすることで、表示の切換により遊技者に特別遊技が実行されるかもしれないという期待感を抱かせ、趣向性を増すことができる。
次に、予め設定された順列を差し替え、様々な順番で図柄を表示枠54中に表示することによって、どの様な順列が組まれるかを予想する楽しみが生まれて趣向性を増す。一方で、複数の図柄が表示枠54に表示されることにより、遊技者は、表示される複数の図柄の中に当り図柄が含まれていることを容易に確認できるので、順列を差し替えることにより当り図柄が含まれていないのではないかという疑念を抱く心配がない。
また、当り図柄を複数表示することで、パチンコ機1が特別遊技を実行するかもしれないという遊技者の期待感を増大させることができ、パチンコ機1の趣向性が向上する。一方、当り図柄以外の図柄を複数表示することにより、特別遊技が実行される確率が低いと見せかけて当たり図柄を明示する表示等ができ、このような表示をすることによって意外性のあるパチンコ機1とすることができる。
さらに、当たり図柄を含む順列の一部を差替順列として設定すれば、短い時間間隔で何度も当たり図柄を表示することになるので、見かけ上当たり図柄が明示される確率が上がり、遊技者の期待感を増大させ、趣向性を増すことができる。なお、日替りに順列を変更するよう設定してもよい。このようにすれば、同じパチンコ台でも日毎に順列が変わるので、遊技者にとっては、同じ1台のパチンコ機について、如何に的確に変更された順列を予想するかなどする楽しみが生まれ、趣向性の高いパチンコ機1とすることができる。
また、順列の変更は、スクロール表示が開始される毎に行ってもよいし、リーチ状態になったときに行ってもよい。さらに、例えば、表示枠54中に表示する図柄の順番は順列通りに行い、枠55により図柄を明示する順番を差替順列により行うように構成すれば、あたかも枠55が図柄をランダムにあるいは飛々に明示するので、趣向性の高いパチンコ機1とすることができる。また、表示枠54中に表示している図柄の中から乱数的に図柄を抽出し、抽出した図柄を枠55により図柄を明示するようにしてもよい。
尚、上記実施例では、表示枠54及び第1〜第3図柄表示窓を1つの液晶画面5に表示しているが、表示枠54と第1〜第3図柄表示窓とを別々の液晶画面に表示してもよい。また、表示枠54及び第1〜第3図柄表示窓を表示する画面は、液晶画面に限るものではなく、LED等を用いたマトリックス画面でもよいし、マトリックス画面と液晶画面とを併用してもよい。
[第2実施例]以下、第2実施例を示す。
尚、第2実施例のその構成は、液晶画面5の表示と第1実施例に示す表示枠処理が変更されるだけであるので、その部分についてのみ説明する。まず、図16により液晶画面5の表示について説明する。液晶表示装置4に設置した液晶画面5には、その画面中の中程に3つの第1図柄表示窓51、第2図柄表示窓52、第3図柄表示窓53が表示される。
各図柄表示窓51〜53は、通常、絵や数字などの図柄を、肉眼では判別できない速度でスクロール表示を行う液晶画面5に表示される領域である。このスクロール表示は、始動口24a〜24cにパチンコ玉が入ると、後述する遊技処理により予め各図柄表示窓51〜53に明示する停止図柄を決定した後、一斉に開始される。そしてスクロール表示を開始してから所定時間経過した後、順次各図柄表示窓51〜53についてスクロール表示を停止し、停止図柄を明示する構成となっている。
次に、図17により、リーチ状態の時に第2図柄表示窓52を拡大表示する場合を説明する。液晶画面5に表示する各図柄表示窓51〜53は、スクロール表示を開始して所定時間経過すると、まず第1図柄表示窓51の図柄のスクロール表示を最初に停止し、次に第3図柄表示窓53を停止し、最後に通常、第2図柄表示窓52を停止する。
しかし、第1図柄表示窓51と第3図柄表示窓53との停止図柄の組み合せが、図17に示すように、両方とも「7」である場合のような所謂リーチ状態である時、液晶画面5上では、第2図柄表示窓52を拡大して拡大図柄表示窓754の表示を開始する。
拡大図柄表示窓754中には、第2図柄表示窓52にスクロールして表示されていた図柄を、複数個スクロールして表示し、所定時間経過したらスクロールを停止し、その後拡大図柄表示窓754を縮小して、もとの大きさの第2図柄表示窓52を表示する。そして各図柄表示窓51〜53に当り図柄組合せを明示したとき大当り状態になるよう構成されている。
尚、スクロールを停止したとき、第1図柄表示窓51と第3図柄表示窓53とを結ぶ直線上に表示された図柄が停止図柄である。この様な表示を行うパチンコ機1では、第1実施例の図8に示す中図柄処理S230において、表示枠処理S440に代えて、拡大表示枠処理S441を行う。
この表示枠拡大処理S441を図18のフローチャート,図19及び図20に基づいて説明する。表示枠拡大処理S441は、第1図柄表示窓51と第3図柄表示窓53に表示される停止図柄の組み合せがリーチ状態であるとき行われる処理である。
この表示枠拡大処理S441が開始されると、図19(a)〜(c)に示す様に、第2図柄表示窓52が次第に縦方向に大きくなる第2図柄表示窓拡大処理S511をおこなう。そして、S531にて拡大図柄表示窓754中に複数の図柄を表示し、S541にてスクロール表示する。
ここで、拡大図柄表示窓754で行われる表示についてより詳しく説明すると、拡大図柄表示窓754中に表示される複数の図柄は、図19(a)〜(c)中に示すように、次第に第2図柄表示窓52が拡大して拡大図柄表示窓754を形成する。それに伴って、次第にスクロールして表示している図柄の数が多くなっていく表示が行われ、停止図柄が明示されるまで拡大図柄表示窓754を表示する。
そして、拡大図柄表示窓754の表示が始まって所定図柄表示するとS551にて停止図柄を前述したように明示し、S561にて図20に示すように拡大図柄表示窓754を縮小して第2図柄表示窓52とし、S571にてその中に中図柄を明示し表示枠拡大処理S441を終了する。
尚、図21に示すように、拡大図柄表示窓754は、曲がって表示されてもよい。また、本実施例では、予め定められた順列で拡大図柄表示窓754に表示する図柄を表示したが、乱数発生手段が発生した乱数に応じて、変動表示する図柄の順番を様々に変更した差替順列を作成する順列作成手段を備え、この順列作成手段にて作成された差替順列を予め定められた順列に代えて用いるように構成してもよい。
尚、例えば当り図柄のような特定の図柄を他の図柄よりも多く含めた差替順列を設定する特定図柄表示手段を備え、図22に示すように、特定の図柄を他の図柄よりも多く表示するようにしてもよい。また、差替順列として、表示枠中に表示する図柄の順番を予め定めた順列の他に複数の順列を用意しておき、S531の処理を始めるとき、中図柄処理(S230)のうち、表示枠拡大処理(S441)以外の処理が行われるときは、予め定められた順列を用い、表示枠拡大処理(S441)が行われるときに予め定められた順列を含めた複数の差替順列の内からいずれかの順列で図柄を表示する図柄順列差替手段を備えていてもよい。
さらに、順列のうち一部分を抽出し、予め設定された順列に代えて抽出した順列を差替順列として設定する部分順列設定手段を備え、この部分順列設定手段により設定された差替順列を表示してもよい。以上の実施例2のパチンコ機を用い、スクロール表示している第2図柄表示窓52を拡大して、拡大図柄表示窓754内に複数の図柄を表示させると、スクロール表示が高速で行われた場合には通常確認できない図柄をある程度目で追うことができるようになり、スクロール表示されている図柄の内容が全く分からなくなることがない。従って、スクロール表示されている図柄の中に、特別遊技を実行するための図柄が含まれているか否かを確認することができるので、遊技者に特別遊技を実行する図柄が含まれていないのではないかという疑念を抱かせることがない。また拡大図柄表示窓754の大きさを拡縮自在にして、その拡大図柄表示窓754内に表示する図柄の数を増減することにより、当り図柄の明示方法に変化が生まれ、より趣向性に富んだ表示とすることができる。
次に、第2図柄表示窓52以外の図柄表示窓に予め設定された停止図柄が明示されたとき、第2図柄表示窓52に明示する停止図柄如何で、既に明示されている停止図柄との組合せにより、当り図柄組合せを構成する可能性がある所謂リーチ状態のとき、第2図柄表示窓52を拡縮しているので、遊技者に、特別遊技が実行されるかもしれないという期待感を抱かせより趣向性に富んだパチンコ機とすることができる。
次に、予め設定された順列を差し替え、様々な順番で図柄を拡大図柄表示窓754中に表示することによって、どの様な順列が組まれるかを予想する楽しみが生まれて趣向性を増す。一方で、複数の図柄が拡大図柄表示窓754に表示されることにより、遊技者は、表示される複数の図柄の中に当り図柄が含まれていることを容易に確認できるので、順列を差し替えることにより当り図柄が含まれていないのではないかという疑念を抱く心配がない。
また、当り図柄を複数表示することで、パチンコ機1が特別遊技を実行するかもしれないという遊技者の期待感を増大させることができ、パチンコ機1の趣向性が向上する。一方、当り図柄以外の図柄を複数表示することにより、特別遊技が実行される確率が低いと見せかけて当たり図柄を明示する表示等ができ、このような表示をすることによって意外性のあるパチンコ機1とすることができる。
さらに、当たり図柄を含む順列の一部を差替順列として設定すれば、短い時間間隔で何度も当たり図柄を表示することになるので、見かけ上当たり図柄が明示される確率が上がり、遊技者の期待感を増大させ、趣向性を増すことができる。なお、日替りに順列を変更するよう設定してもよい。このようにすれば、同じパチンコ台でも日毎に順列が変わるので、遊技者にとっては、同じ1台のパチンコ機について、如何に的確に変更された順列を予想するかなどする楽しみが生まれ、趣向性の高いパチンコ台とすることができる。
また、順列の変更は、スクロール表示が開始される毎に行ってもよいし、リーチ状態になったときに行ってもよい。
1…パチンコ機、2…遊技盤、3…遊技部、4…液晶表示装置、5…液晶画面、6…保留球表示領域、21…外レール、22…内レール、24a〜24c…始動口、25…変動入賞装置、26…アタッカー、27…発射ハンドル、51…第1図柄表示窓、52…第2図柄表示窓、53…第3図柄表示窓、54…表示枠、55…枠、55a〜55c…キャラクター、100…中央制御装置、101…入力回路、102…CPU、103…ROM、104…RAM、105…画像ROM、106…ソレノイド、107…電飾装置、108…外部情報端子、109…出力回路、110…液晶画面コントローラ、111…アンプ、112…スピーカ、113…サウンドジェネレータ、114…バス、241〜243…始動入賞スイッチ、251…カウントスイッチ、271…発射ハンドルスイッチ、301…継続入賞スイッチ、541…表示枠、551…円状枠、552…キャラクター、754…拡大図柄表示窓