JP2009043751A - 発光ダイオードの製造方法、半導体素子の製造方法および機能素子の製造方法 - Google Patents

発光ダイオードの製造方法、半導体素子の製造方法および機能素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層をシリコン基板上に成長させた後、このシリコン基板を窒化物系III−V族化合物半導体層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、垂直電流注入型発光ダイオードを容易に製造することができる発光ダイオードの製造方法を提供する。
【解決手段】n型Si基板11の一方の主面に、バッファ層12を介してn型窒化物系III−V族化合物半導体層13、活性層14およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層15を成長させて発光ダイオード構造を形成する。n型Si基板11中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することによりn型Si基板11をバッファ層12、n型窒化物系III−V族化合物半導体層13、活性層14およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層15から剥離する。
【選択図】図12

Description

この発明は、発光ダイオードの製造方法、半導体素子の製造方法および機能素子の製造方法に関し、例えば、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた発光ダイオードの製造に適用して好適なものである。
例えば垂直電流注入型のGaN系発光ダイオードを製造する場合には、サファイア基板上にGaN系半導体層を成長させて発光ダイオード構造を形成し、その上に一方の電極を形成した後、このGaN系半導体層からサファイア基板を剥離し、その裏面に他方の電極を形成する必要がある。従来、サファイア基板上にGaN系半導体層を成長させた後、このGaN系半導体層からサファイア基板を剥離する技術としては、KrFエキシマーレーザによる波長248nmのパルスレーザ光をサファイア基板を通してこのサファイア基板との界面の部分のGaN系半導体層に照射して熱分解する技術が多く用いられている(例えば、非特許文献1参照。)。最近、別の技術として、サファイア基板上に金属バッファ層を成長させてからその上にGaN系半導体層を成長させた後、この金属バッファ層を化学エッチングにより除去することによりサファイア基板を剥離する技術が提案されている(例えば、非特許文献2参照。)。そのほかの技術として、サファイア基板上にGaN系半導体層を成長させた後、温度を上下させて冷熱サイクルを加えることにより両者の熱膨張係数差によるひずみを生じさせることによりサファイア基板を剥離する技術も提案されている。
Appl.Phys.Lett.72,599(1998) [平成18年6月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.cir.tohoku.ac.jp/j/3activity/seika/seika04/yao.html〉
サファイア基板上にGaN系半導体層を成長させた後、このGaN系半導体層からサファイア基板を剥離するために、パルスレーザ光をサファイア基板との界面の近傍の部分のGaN系半導体層に照射して熱分解する上述の従来の技術は、KrFエキシマーレーザという高価で大掛かりな設備を要するため、剥離コストが高く、ひいてはGaN系発光ダイオードの製造コストが高くつくという問題がある。また、金属バッファ層を化学エッチングにより除去することによりサファイア基板を剥離する技術では、サファイア基板とGaN系半導体層との間にはさまれた金属バッファ層をサイドエッチングする必要があるが、サファイア基板とGaN系半導体層との間の隙間にエッチング液を途中で淀みを生ずることなく継続的に均一に供給することは容易ではないため、エッチングの制御性が悪く、エッチングが不均一となり、エッチングに長時間かかるなどの多くの点で問題がある。さらに、冷熱サイクルを加えることによりサファイア基板を剥離する技術では、GaN系半導体層に大きな負荷がかかるため、大きな物理的損傷が生じ、場合によっては亀裂破壊が生じてしまうおそれもある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層をシリコン基板上に成長させた後、このシリコン基板を窒化物系III−V族化合物半導体層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、垂直電流注入型の発光ダイオードを容易に製造することができる発光ダイオードの製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、発光ダイオード、半導体レーザ、トランジスタなどを含む各種の半導体素子の素子構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層をシリコン基板上に成長させた後、このシリコン基板をこの窒化物系III−V族化合物半導体層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、垂直電流注入型の発光ダイオードなどの半導体素子を容易に製造することができる半導体素子の製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、発光ダイオード、半導体レーザ、トランジスタなどの半導体素子だけでなく、誘電体素子、超伝導素子、電気光学素子などを含む各種の機能素子の素子構造を形成する層を基板上に成長させた後、この基板をこの層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、垂直電流注入型の発光ダイオードなどの機能素子を容易に製造することができる機能素子の製造方法を提供することである。
上記課題および他の課題は、添付図面を参照した本明細書の記述により明らかとなるであろう。
上記課題を解決するために、第1の発明は、
シリコン基板の一方の主面に、発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
上記シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより上記シリコン基板を上記窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離する工程と
を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法である。
シリコン基板は典型的には単結晶であり、n型である。典型的には、このシリコン基板の他方の主面に電極を形成し、シリコン基板の少なくとも一部をリチウムイオン電解液中に浸漬するとともに、リチウムイオン電解液中にリチウム電極からなる対極を浸漬し、上記の電極とこの対極との間に上記の電極がこの対極に対して負電位になるように電圧を印加することによりシリコン基板中にリチウムイオンを挿入(インターカレート)する。この方法により、シリコン基板中にLi4.4 Siの組成比になるまでリチウムイオンを挿入することが可能であり、リチウムイオンの挿入前に比べて、基板の体積を最大で4.12倍も増加させることができる。リチウムイオン電解液としては、例えば、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルフォーメイト、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジメチルフォルムアミドなどの一種の有機溶媒あるいはこれらの有機溶媒を二種以上混合した有機溶媒に、これらの有機溶媒中でリチウムイオンを解離するリチウム化合物、例えばLiPF6 、LiClO4 、LiBF4 、LiCF3 SO3 、Li(CF3 SO2 2 Nなどの支持電解質を含ませたものが用いられる。
なお、シリコン基板上にGaN層などの窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させることができることは知られている(例えば、特開2006−261476号公報、特開2006−179898号公報、特表2006−523033号公報など参照。)。また、シリコン中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することができることも知られている(例えば、特開平7−29602号公報、特開2006−253126号公報など参照。)。
発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる前には、シリコン基板の一方の主面にあらかじめ、シリコン基板と窒化物系III−V族化合物半導体層との間の格子不整合および熱膨張係数差が結晶成長に与える悪影響を緩和し、窒化物系III−V族化合物半導体層の結晶性の向上を図るために、緩衝層(バッファ層)、例えば、GaNバッファ層、AlNバッファ層、CrNバッファ層、CrドープGaNバッファ層、CrドープAlNバッファ層などを成長させておく。
発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層は、第1の導電型の窒化物系III−V族化合物半導体層、その上の活性層およびその上の第2の導電型の窒化物系III−V族化合物半導体層を含む。第1の導電型の窒化物系III−V族化合物半導体層には、これと電気的に接続された状態で第1の導電型側の電極を形成する。同様に、第2の導電型の窒化物系III−V族化合物半導体層にも、これと電気的に接続された状態で第2の導電型側の電極を形成する。
シリコン基板としては、一方の主面の全体が平坦なもの以外に、一方の主面に複数の凸部を有するものを用いてもよい。この場合、例えば、このシリコン基板の凹部に、その底面を底辺とする三角形状、四角形状、五角形状または六角形状の断面形状となる状態を経て第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させ、この第1の窒化物系III−V族化合物半導体層からシリコン基板上に第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させ、この第2の窒化物系III−V族化合物半導体層上に第1の導電型の第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第2の導電型の第4の窒化物系III−V族化合物半導体層を順次成長させることにより発光ダイオードを製造する。
典型的には、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる際に、シリコン基板の凹部の底面との界面からシリコン基板の一主面に対して垂直方向に転位が発生し、この転位が上記の三角形状の断面形状となる状態の第1の窒化物系III−V族化合物半導体層の斜面またはその近傍に到達したとき、上記の一主面に平行な方向に、三角形状部から遠ざかるように屈曲する。また、好適には、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長初期に、基板の凹部の底面に複数の微小核が生成し、これらの微小核が成長し合体して行く過程で基板の凹部の底面との界面から基板の一主面に対して垂直方向に発生する転位が、上記の一主面に平行な方向に繰り返し屈曲される。こうすることで、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長時に上部に抜ける転位を少なくすることができる。
典型的には、シリコン基板の一方の主面に凸部と凹部とを交互に周期的に形成する。この場合、凸部および凹部の周期は、好適には3〜5μmであるが、これに限定されるものではない。また、凸部の底辺の長さと凹部の底辺の長さとの比は、好適には0.5〜3であり、最も好適には0.5付近であるが、これに限定されるものではない。シリコン基板の一方の主面から見たこの凸部の高さは、好適には0.3μm以上、より好適には1μm以上であるが、これに限定されるものではない。この凸部の断面形状は、種々の形状であってよく、その側面も平面だけでなく曲面であってもよいが、例えば、n角形(ただし、nは3以上の整数)、具体的には三角形、四角形、五角形、六角形など、あるいはこれらの角部を切除したものや角が丸まっているもの、円形、楕円形などである。凹部の断面形状も種々の形状であってよいが、例えば、n角形(ただし、nは3以上の整数)、具体的には、三角形、四角形、五角形、六角形など、あるいはこれらの角部を切除したものや角が丸まっているものや、円形、楕円形などである。光の取り出し効率の向上を図る観点より、好適には、この凹部の断面形状は逆台形状とする。ここで、逆台形状とは、正確な逆台形だけでなく、近似的に逆台形とみなすことができるものも含むことを意味する(以下同様)。この場合、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層の転位密度を最小化する観点より、好適には、凹部の深さ(凸部の高さと同じ)をd、凹部の底面の幅をWg 、例えば三角形状などの断面形状となる状態の第1の窒化物系III−V族化合物半導体層の斜面とシリコン基板の一方の主面とがなす角度をαとしたとき、2d≧Wg tanαが成立するように、d、Wg 、αを決める。αは通常一定であるため、この式が成立するようにd、Wg を決める。dは、大きすぎると原料ガスが凹部の内部に十分に供給されず、凹部の底面からの第1の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長に支障を来し、逆に小さすぎるとシリコン基板の凹部だけでなく、その両側の凸部にも第1の窒化物系III−V族化合物半導体層が成長してしまうため、これらを防止する観点より、一般的には0.5μm<d<5μmの範囲内に選ばれ、典型的には1.0±0.2μmの範囲内に選ばれるが、これに限定されるものではない。Wg は、一般的には0.5〜5μmであり、典型的には2±0.5μmの範囲内に選ばれるが、これに限定されるものではない。また、凸部の上面の幅Wt は、凸部の断面形状が三角形状の場合は0であるが、凸部の断面形状が台形状の場合は、この凸部は第2の窒化物系III−V族化合物半導体層の横方向成長に使用する領域であるため、長ければ長いほど転位密度の少ない部分の面積を大きくすることができる。凸部の断面形状が台形状の場合、Wt は一般的には1〜1000μm、例えば4±2μmの範囲内であるが、これに限定されるものではない。
凸部または凹部は、例えば、シリコン基板上の一方向にストライプ状に延在するようにしてもよいし、少なくとも互いに交差する第1の方向および第2の方向にストライプ状に延在するようにすることにより凸部がn角形(ただし、nは3以上の整数)、具体的には三角形、四角形、五角形、六角形など、あるいはこれらの角部を切除したものや角が丸まっているもの、円形、楕円形、点状などの二次元パターンとなるようにしてもよい。好適な一つの例では、凸部が六角形の平面形状を有し、この凸部が蜂の巣状に二次元配列しており、この凸部を囲むように凹部が形成される。こうすることで、活性層から放出される光を360°の全方向に効率よく取り出すことができる。あるいは、凹部が六角形の平面形状を有し、この凹部が蜂の巣状に二次元配列しており、この凹部を囲むように凸部が形成されるようにしてもよい。凸部は、例えば、n角錐(ただし、nは3以上の整数)、具体的には三角錐、四角錐、五角錐、六角錐など、あるいはこれらの角部を切除したものや角が丸まったもの、円錐、楕円錐などである。
凸部の材料は、各種のものであってよく、導電性の有無も問わないが、例えば、酸化物や窒化物や炭化物などの誘電体、金属や合金などの導電体(透明導電体を含む)などである。酸化物としては、例えば、酸化シリコン(SiOx )、酸化チタン(TiOx )、酸化タンタル(TaOx )などの各種のものを用いることができ、これらの二種類以上を混合して、または積層膜の形で用いることもできる。窒化物としては、例えば、窒化シリコン(SiNx )、SiON、CrN、CrNOなどを用いることができ、これらの二種類以上を混合して、または積層膜の形で用いることもできる。炭化物としては、SiC、HfC、ZrC、WC、TiC、CrCなどを用いることができ、これらの二種類以上を混合して、または積層膜の形で用いることもできる。金属または合金としては、B、Al、Ga、In、W、Ni、Co、Pd、Pt、Ag、AgNi、AgPd、AuNi、AuPdなどを用いることができ、これらの二種類以上を混合して、または積層膜の形で用いることもできる。透明導電体としては、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛複合酸化物)、ZO(酸化亜鉛)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、酸化スズなどを用いることができ、これらの二種類以上を混合して、または積層膜の形で用いることもできる。さらに、以上の各種の材料を二種類以上混合して、または積層膜の形で用いることもできる。金属などにより凸部を形成し、この凸部の少なくとも表面を窒化処理、酸化処理あるいは炭化処理することにより窒化物、酸化物あるいは炭化物を形成するようにしてもよい。
上記の凸部は、シリコン基板を窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離する際にそのまま窒化物系III−V族化合物半導体層側に残るようにしてもよいし、シリコン基板を剥離する際に一緒に剥離した場合には再度形成し直してもよいし、シリコン基板を窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離した後に除去してもよい。
上述のように、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長時に上部に抜ける転位を少なくすることができるが、上部に抜けた転位は上層の第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層に伝播し、貫通転位となる。この貫通転位は、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層のうちの凹部に対応する部分(凹部の上の部分)に集中する。この貫通転位およびその近傍は結晶性が悪く、非発光中心が多く存在するため、発光効率を低下させ、特に活性層に存在する非発光中心は発光効率に大きな悪影響を及ぼす。そこで、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層のうちの凹部に対応する部分を、第4の窒化物系III−V族化合物半導体層の表面から深さ方向に、少なくとも第3の窒化物系III−V族化合物半導体層が露出するまで除去することにより溝を形成すると、この貫通転位のうちの少なくとも活性層およびその上層に発生したものを除去することができるため、非発光中心を大幅に減少させることができる。この除去する部分の幅は、例えばこの貫通転位の全部または大部分を除去することができる幅であればよく、凹部の幅と同じでも凹部の幅より小さくても凹部の幅より大きくてもよい。この除去は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)法、粉末ブラスト法、サンドブラスト法などの各種の方法により行うことができる。一方、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層を横方向成長させる際、凸部の上の部分の第2の窒化物系III−V族化合物半導体層の会合部には貫通転位が集中し、この第2の窒化物系III−V族化合物半導体層の貫通転位が上層の第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層に伝播する。この貫通転位は、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層のうちの互いに隣接する凹部の間の中央部に対応する部分(凹部の間の中央部の上の部分)に集中する。そこで、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層のうちの互いに隣接する凹部の間の中央部に対応する部分を、第4の窒化物系III−V族化合物半導体層の表面から深さ方向に、少なくとも第3の窒化物系III−V族化合物半導体層が露出するまで除去することにより溝を形成すると、この貫通転位のうちの少なくとも活性層およびその上層に発生したものを除去することができるため、非発光中心を大幅に減少させることができる。この除去する部分の幅は、例えばこの貫通転位の全部または大部分を除去することができる幅であればよい。この除去も、例えば、RIE法、粉末ブラスト法、サンドブラスト法などの各種の方法により行うことができる。
上述のように、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層のうちの凹部および/または互いに隣接する凹部の間の中央部に対応する部分に溝を形成した後、活性層からの発光波長の光に対して透明な誘電体によりこの溝を埋め、この際、この誘電体の表面が凹部および/または凸部を有し、および/または、この誘電体が光散乱粒子を含むようにしてもよい。この誘電体は、好適には、第1の窒化物系III−V族化合物半導体層、第2の窒化物系III−V族化合物半導体層、第3の窒化物系III−V族化合物半導体層、活性層および第4の窒化物系III−V族化合物半導体層の屈折率よりも小さい屈折率を有するが、これに限定されるものではない。この後、典型的には、この第4の窒化物系III−V族化合物半導体層上に第2の導電型側の電極を、溝を埋めた誘電体の表面を覆うように形成する。この誘電体の表面には、必要に応じて、活性層からの発光波長の光の反射率が高い高反射材料からなる反射膜を形成する。この第2の導電型側の電極の材料としては、好適には、活性層からの発光波長の光の反射率が高い高反射材料が用いられる。
上記の溝を埋める誘電体の表面が凹部および/または凸部を有する場合、活性層から発生した光などのうち、第2の導電型側の電極と溝を埋めた誘電体との界面の凹部および/または凸部に入射した光は、この凹部および/または凸部の面で反射される。ここで、この光の入射点を通る、基板の主面の法線と入射光とのなす角度をθ1 、この法線と反射光とのなす角度をθ2 とすると、θ1 >θ2 となる光の量ができるだけ多くなるように凹部および/または凸部の面の傾斜角度を選ぶのが望ましい。凹部および/または凸部を形成せず、第4の窒化物系III−V族化合物半導体層の表面が平坦で、基板と第4の窒化物系III−V族化合物半導体層とが互いに平行である場合には、活性層から発生した光が第4の窒化物系III−V族化合物半導体層とその上に形成される第2の導電型側の電極との界面に大きな入射角で入射すると、この界面でほぼ入射角と等しい反射角で反射されて基板側に向かい、この基板の主面に対する光の入射角が臨界角よりも大きいとこの基板の主面で全反射され、第1〜第4の窒化物系III−V族化合物半導体層および活性層の内部でこの反射を繰り返し、その過程で活性層などにより吸収されて次第に減衰するため、その分だけ外部に取り出すことができる光の量が少なくなるのに対し、溝を埋める誘電体の表面が凹部および/または凸部を有する場合には、上述のようにθ1 >θ2 とすることができることにより、この問題がなくなり、最終的に外部に取り出すことができる光の量を多くすることができる。溝を埋める誘電体は、無機物質でも有機物質でもよく、溝を埋めた後のプロセスの温度などに応じて適宜最適なものが用いられる。誘電体は、具体的には、二酸化シリコン(SiO2 )、ポリイミド、水ガラスを固化してガラスとしたものなどであるが、これに限定されるものではない。また、溝を誘電体で埋め、その表面に凹部および/または凸部を形成するためには、例えば、誘電体としてSiO2 を用いる場合には、真空蒸着やスパッタリングなどの真空プロセスを用いて第4の窒化物系III−V族化合物半導体層上にSiO2 を成膜して溝を埋めた後、リソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてこの誘電体をパターニングする。あるいは、誘電体としてポリイミドを用いる場合には、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレートなどからなる親水性のフォトレジスト膜を溝以外の部分の第4の窒化物系III−V族化合物半導体層上に形成した後、疎水性のポリイミド前駆体溶液をスピンコート法などにより成膜して溝を埋め、フォトレジスト膜を除去した後、焼成を行ってこのポリイミド前駆体溶液からなる膜を固化させることにより溝を埋めるポリイミドの表面を凸形状にすることができる。
一方、溝を埋めた誘電体が光散乱粒子を含む場合には、活性層から発生した光などがこの光散乱粒子に入射すると散乱されることにより、θ1 >θ2 となる光の量が多くなる。この光散乱粒子は、活性層からの発光波長の光を効率よく散乱することができるように、その大きさ(粒径)や材質などが選択される。この光散乱粒子は、具体的には、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、窒化ホウ素、チタン酸バリウム、シリコンカーバイドなどにより形成することができるが、これに限定されるものではない。この光散乱粒子の粒径は、この光散乱粒子による光の吸収損失を少なくするために、一般的には活性層からの光の波長(発光波長)と同程度またはそれ以下に選ばれ、具体的には、例えば20〜1000nmに選ばれる。溝をこの光散乱粒子を含む誘電体で埋めるためには、例えば、この光散乱粒子を分散させた水ガラスやポリイミド前駆体溶液をスピンコート法などにより成膜して溝を埋め、焼成を行ってガラスやポリイミドにする。
好適には、溝を埋める誘電体の表面が凹部および/または凸部を有し、かつ、この誘電体が光散乱粒子を含むようにする。こうすることで、θ1 >θ2 となる光の量がより一層多くなる。
第1〜第5の窒化物系III−V族化合物半導体層および活性層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体層は、最も一般的には、AlX y Ga1-x-y-z Inz Asu 1-u-v v (ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦u≦1、0≦v≦1、0≦x+y+z<1、0≦u+v<1)からなり、より具体的には、AlX y Ga1-x-y-z Inz N(ただし、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦x+y+z<1)からなり、典型的には、AlX Ga1-x-z Inz N(ただし、0≦x≦1、0≦z≦1)からなり、具体例を挙げると、GaN、InN、AlN、AlGaN、InGaN、AlGaInNなどからなる。第1〜第5の窒化物系III−V族化合物半導体層および活性層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体層は、例えばGaNにBやCrなどを含ませると転位の屈曲を促進する効果があるので、BGaN、GaNにBをドープしたGaN:B、GaNにCrをドープしたGaN:Crなどからなるものであってもよい。特に最初に基板の凹部に成長させる第1の窒化物系III−V族化合物半導体層としては、好適には、GaN、InX Ga1-x N(0<x<0.5)、AlX Ga1-x N(0<x<0.5)、AlX Iny Ga1-x-y N(0<x<0.5、0<y<0.2)からなるものが用いられる。第1の導電型はn型であってもp型であってもよく、それに応じて第2の導電型はp型またはn型である。
第2の窒化物系III−V族化合物半導体層の厚さは、必要に応じて選ばれ、典型的には数μm程度以下であるが、用途などによってはより厚く、例えば数10〜300μm程度であってもよい。
第1〜第5の窒化物系III−V族化合物半導体層および活性層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体層の成長方法としては、例えば、有機金属化学気相成長(MOCVD)、ハイドライド気相エピタキシャル成長あるいはハライド気相エピタキシャル成長(HVPE)、分子線エピタキシー(MBE)などの各種のエピタキシャル成長法を用いることができる。
一方、本発明者らの知見によれば、上記の凸部が窒化物系III−V族化合物半導体層側に形成された構造とし、かつその材料を適切に選択することにより、発光ダイオードの遠視野像(遠方における強度分布)をレンズなどの光学部品を用いないでも制御することができる。ここで、凸部の材料を適切に選択することは、発光ダイオードの上面からの放射束と側面からの放射束との比率を変化させることを意味し、活性層より放出された光が発光ダイオード構造を形成する半導体層内部における全反射により減衰していくことによる発光効率の低下を抑制しつつ、遠視野像の制御を可能にする。発光ダイオードの応用は、ディスプレイ、バックライト、照明など多岐に渡り、用途によって発光ダイオードの発光強度分布の望ましい形が異なるため、このように遠視野像の制御が可能となることの意義は極めて大きい。以下、本発明者らが得た知見の概要について説明する。
発光ダイオードの発光効率は、内部量子効率と光取り出し効率とによって決定される。光取り出し効率は、発光ダイオードの活性層から放出された光線が発光ダイオードの外部へと脱出することができる割合を示すものであり、発光ダイオードの高輝度化には光取り出し効率の向上が不可欠である。通常、活性層から放出された光線は、全反射により、発光ダイオードを構成する半導体層の内部から外部へと脱出することが困難になり、この半導体層の内部を反射往復するうちに減衰する。この半導体層の内部において脱出錐体 (escape cone)内にある光線は外部へと脱出することができるが、脱出錐体内にない光線の多くは減衰し、光取り出し効率を低下させる。
上述の凹凸基板を用いて、発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させた発光ダイオードにおいては、その凹凸構造により、この窒化物系III−V族化合物半導体層の内部での全反射による減衰を軽減し、脱出錐体に入る光線の数を増やすことができる。すなわち、発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層の断面形状が理想的な矩形であった場合、脱出錐体に入らない光線は、この窒化物系III−V族化合物半導体層と外部の媒質との界面で永久に反射し続けて減衰してしまうのに対し、図1に示すように、基板1の一主面に複数の凸部2を設けた凹凸基板上に発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層(n型窒化物系III−V族化合物半導体層3、活性層4およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層5)を成長させた発光ダイオードでは、この窒化物系III−V族化合物半導体層の内部に凹凸構造を有することにより、活性層4から放出された光線の反射角度を変えることができるため、脱出錐体に入る光線が増加し、光取り出し効率を向上させることができる。
一般に、発光ダイオード構造を形成する半導体層が平行平板状の構造を有する図2に示すような発光ダイオードの上面からの発光の遠視野像は、通常、図3に示すようなLambertianと呼ばれる強度分布になる。Lambertianは発光ダイオードの天頂方向に集光性の高い分布であり、一般的には光を散光させる場合には、発光ダイオードに光学部品を組み合わせ、散光させることが行われている。一方で、側面からの発光による遠視野像は、広角にピークを持つ散光性の高い分布であるが、一般的には、側面の面積は上面の面積に比べて大きくないため、全面からの総発光分布は集光性の高いものになる。
図2に示す発光ダイオードでは、活性層4から放出され、互いに異なる光路を通って基板1から出射される光線Aと光線Bとの間に干渉が生じるため、光取り出し効率および遠視野像は変化する。干渉現象による光取り出し効率および遠視野像の変化は光線Aと光線Bとの位相差により決定され、一般に、この位相差は光線Aと光線Bとの光学的距離の差および光線Bの反射面における位相シフトにより決まる。干渉によって光が強め合う方向が脱出錐体内に多く存在するようにすることで、光取り出し効率を向上させることができる。
図1における発光点から反射面までの距離Dによって、発光ダイオードの全放射束および遠視野像の形状が変化する。上述の凹凸基板の凸部の媒質を最適化する前段階として、距離Dを決定する必要がある。距離Dを決定し終えた後に、凸部2の媒質を、望ましい遠視野像の形状が得られるように決定する。凸部2の媒質の屈折率が変化することにより、発光ダイオードの上面からの発光と側面からの発光との光量比が変化する。いま、図4AおよびBに示すように、基板1上の凸部2の断面形状が台形、平面形状が正六角形でこの凸部2が蜂の巣状に二次元的に配列されている場合を考える。図4Aは断面図、図4Bは基板1側からこの基板1の凹凸構造を見た平面図であり、図4Aは図4BのA−A線に沿っての断面図である。凸部2の幅をWt 、凸部2の高さをd、凸部2の間の凹部6の幅をWg 、基板1の主面と凸部2の側面とのなす角度をθとする。図5は、発光点から反射面までの距離D(図1参照)によって、光取り出し倍率 (凹凸構造が存在せず、D=1.109λnの発光ダイオードにおける光取り出し効率で光取り出し効率を規格化した値(以下同様))および側面発光率 (側面からの放射光量の全発光量に占める割合(以下同様)) が変化する様子を、電磁光学シミュレーションにて計算した結果である。ただし、n型窒化物系III−V族化合物半導体層3、活性層4およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層5はいずれもGaNからなり、基板1はサファイア基板であるとし、また、Wt =4.0μm、凸部2の上面の幅は3.272μm、d=1.0μm、Wg =1.5μm、凸部2の材質の屈折率nは1.46とした。なお、この電磁光学シミュレーションの条件は、その性質に反しない限り、以下の電磁光学シミュレーションでも同様である。図5から分かるように、光取り出し効率が極大となる時、側面発光率はほぼ極小となっているため、散光性が低い。図6に、発光波長λが530nm、かつ、発光点から反射面までの距離Dが0.7λnである場合に、側面発光率に伴って遠視野像が変化していく様子の計算結果を示す。図6から分かるように、側面発光率が特に0.6の時には、発光ダイオードの直上方向のみに集光しておらず、散光性が高い。散光性を強くするためには側面からの発光が多い方が望ましいことが分かる。
図1、図4AおよびBに示すような凹凸構造を有する発光ダイオードにおいては、凸部2の屈折率nを変化させることによって、発光ダイオードの光取り出し効率および遠視野像を制御することができる。図7AおよびBは電磁光学シミュレーションによる結果であり、発光波長が530nm、かつ、発光点から反射面までの距離Dがそれぞれ0.93λnおよび1.11λnである場合に、凸部2の屈折率によって、光取り出し倍率および側面発光率が変化していく様子を示す。図7AおよびBから分かるように、凸部2の屈折率が2.0程度の時、光取り出し効率が最も大きく、かつ側面発光率が増えている。光取り出し効率を向上させるためには、凸部2の屈折率を1.7以上2.1以下、望ましくは2.0程度にするとよい。また、散光性をよくするためには、凸部1の屈折率を1.7以上2.2以下、望ましくは2.0程度にするとよい。
図1に示す発光ダイオードから凸部2を除いて基板1を除去したものと実質的に同様な図8に示す発光ダイオードにおいても、上述と同様に、凸部2の屈折率nを変化させることによって、発光ダイオードの光取り出し効率および遠視野像を制御することができる。図9は電磁光学シミュレーションによる結果であり、発光波長が530nm、かつ、発光点から反射面までの距離Dが1.11λnの場合に、凸部2の屈折率によって、光取り出し倍率および側面発光率が変化していく様子を示す。図9から分かるように、凸部2の屈折率が1.55程度の時に、光取り出し効率が最も大きく、側面発光率が高い。光取り出し効率を向上させるためには、凸部2の屈折率を1.0以上1.8以下、望ましくは1.55程度にするとよい。また、散光性をよくするためには、凸部2の屈折率を1.0以上2.3以下、望ましくは1.3〜1.85程度にするとよい。
上述の凸部2の屈折率の最適範囲は、基板1の主面と凸部2の側面とのなす角度θ、凸部2の幅Wt 、凸部2の高さd、凹部6の幅Wg 、凸部2の平面形状、凸部2の二次元配列パターン、発光波長λなどによらず有効である。
屈折率が1.0以上2.3以下の誘電体は、発光波長の光を大きく吸収するものでなければ、基本的にはどのようなものであってもよいが、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、フッ化物などである。必要に応じて、二種類以上の誘電体を混合して、あるいは、二種類以上の誘電体の積層膜を用いて凸部を構成してもよい。この誘電体の具体例を挙げると下記の通りである。ただし、下記の化学量論組成の誘電体のほかに、組成が少しずれた非化学量論組成の誘電体を用いてもよい。
物質名 屈折率 波長(nm)
酸化セリウム(CeO2 ) 2.20 550
酸化ハフニウム(HfO2 ) 1.95 550
五酸化タンタル(Ta2 5 ) 2.16 550
酸化イットリウム(Y2 3 ) 1.87 550
酸化亜鉛(ZnO) 2.10 550
酸化ジルコニウム(ZrO2 ) 2.05 550
斜方晶硫黄 2.01
タンタル酸リチウム(LiTaO3 ) 2.21 530
ニオブ酸リチウム(LiNbO3 ) 2.32(常光線) 530
ニオブ酸リチウム(LiNbO3 ) 2.24(異常光線) 530
酸窒化アルミニウム(AlON) 1.79 530
一酸化シリコン(SiO) 2.01 530
窒化シリコン(Si3 4 ) 2.04 530
酸化アルミニウム(Al2 3 ) 1.77 530
酸化ベリリウム(BeO) 1.72 530
酸化マグネシウム(MgO) 1.74 530
二酸化シリコン(SiO2 ) 1.46 530
フッ化リチウム(LiF) 1.39 530
フッ化カルシウム(CaF2 ) 1.44 530
フッ化マグネシウム(MgF2 ) 1.38 530
フッ化ナトリウム(NaF) 1.33 530
フッ化アルミニウム(AlF3 ) 1.38 550
フッ化セリウム(CeF3 ) 1.63 550
フッ化ランタン(LaF3 ) 1.59 550
フッ化ネオジム(NdF3 ) 1.61 550
凸部の間の凹部にのみ第1の窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる観点より、凸部の少なくとも表面を非晶質層により形成することが望ましい。この非晶質層は成長マスクとなるものである。これは、非晶質層上では成長時に核形成が起きにくいことを利用したものである。この非晶質層は、各種の成膜法により基板上に成膜したり、金属などにより凸部を形成し、この凸部の表面を酸化することなどにより形成してもよい。この非晶質層は、例えば、SiOx 膜、SiNx 膜、非晶質Si(a−Si)膜、非晶質CrN膜あるいはこれらの二種類以上の積層膜などであり、一般的には絶縁膜である。
この第1の発明により製造される発光ダイオードは、発光を用いる各種の電子機器に適用して好適なものである。例えば、赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードをそれぞれ少なくとも一つ含むセルが複数個配列した光源セルユニット、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置、発光ダイオードディスプレイなどにおいて、赤色発光の発光ダイオード、緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つ、取り分け緑色発光の発光ダイオードおよび青色発光の発光ダイオードのうちの少なくとも一つの発光ダイオードとして、この第1の発明により製造される発光ダイオードを用いる。赤色発光の発光ダイオードとしては、例えば、AlGaInP系半導体を用いたものを用いることもできる。あるいは、一つまたは複数の発光ダイオードを有する電子機器において、その少なくとも一つの発光ダイオードとして、この第1の発明により製造される発光ダイオードを用いる。
第2の発明は、
シリコン基板の一方の主面に、素子構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
上記シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより上記シリコン基板を上記窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離する工程と
を有することを特徴とする半導体素子の製造方法である。
第3の発明は、
シリコン基板の一方の主面に、素子構造を形成する、シリコンと異なる半導体からなる半導体層を成長させる工程と、
上記シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより上記シリコン基板を上記半導体層から剥離する工程と
を有することを特徴とする半導体素子の製造方法である。
第3の発明において、シリコンと異なる半導体からなる半導体層は、窒化物系III−V族化合物半導体層のほか、ウルツ鉱型(wurtzit)構造、より一般的には六方晶系の結晶構造を有する他の半導体、例えばZnO、α−ZnS、α−CdS、α−CdSeなど、さらにはCrN(111)などの他の結晶構造を有する各種の半導体からなるものであってもよい。これらの半導体を用いた半導体素子には、一般的な発光ダイオード、サブバンド間遷移発光型(量子カスケード型)発光ダイオード、通常の半導体レーザ、サブバンド間遷移発光型(量子カスケード型)半導体レーザのような発光素子のほか、フォトダイオードなどの受光素子あるいはセンサ、太陽電池、さらには高電子移動度トランジスタなどの電界効果トランジスタ(FET)やヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)などのバイポーラトランジスタのようなトランジスタに代表される電子走行素子が含まれる。
第2および第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第4の発明は、
基板の一方の主面に、素子構造を形成する、上記基板を構成する物質と異なる物質からなる層を成長させる工程と、
上記基板中にイオンを電気化学的に挿入することにより上記基板を上記層から剥離する工程と
を有することを特徴とする機能素子の製造方法である。
第4の発明において、基板とこの基板中に挿入するイオンとの組み合わせは、それらがいわゆるホスト物質とゲスト物質との関係にあり、ホスト物質としての基板中にゲスト物質としてのイオンを電気化学的に挿入することができるものである限り、基本的にはどのようなものであってもよいが、好適には、イオンを過度に挿入しないでも基板の体積が十分に大きくなって基板を剥離することが可能であるものが用いられる。
機能素子は、上記の半導体素子(発光素子、受光素子、電子走行素子など)のほかに、圧電素子、焦電素子、光学素子(非線形光学結晶を用いる第2次高調波発生素子など)、誘電体素子(強誘電体素子を含む)、超伝導素子なども含む。この場合、素子構造を形成する層の材料は、半導体素子では上記のような各種の半導体を用いることができ、圧電素子、焦電素子、光学素子、誘電体素子、超伝導素子などでは、例えば六方晶系の結晶構造を有する酸化物などの各種の材料を用いることができる。
機能素子として発光ダイオードあるいは半導体レーザを含むものを用いることにより、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置、発光ダイオードディスプレイなど、さらには発光ダイオードあるいは半導体レーザを光源とするプロジェクタあるいはリアプロジェクションテレビ、グレーティングライトバルブなどの電子機器を構成することができる。
第4の発明においては、その性質に反しない限り、第1〜第3の発明に関連して説明したことが成立する。
上述のように構成された第1〜第3の発明においては、シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより、その挿入量に応じてシリコン基板の体積が膨張し、それに伴いシリコン基板に発生する歪みが徐々に大きくなるとともに、シリコン基板自身の機械的強度も低下していく。シリコン基板中に十分な量のリチウムイオンが挿入されて十分に膨張すると、遂にはシリコン基板が窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離し、あるいはシリコン基板自身が破壊されて剥離する。この場合、シリコン基板中へのリチウムイオンの挿入量は容易に制御することができるため、この剥離の際のスピードを容易に制御することができる。また、この剥離の際には、窒化物系III−V族化合物半導体層にほとんど物理的損傷が生じないようにすることができる。
また、第4の発明においては、シリコン基板などの基板中にリチウムイオンなどのイオンを電気化学的に挿入することにより、その挿入量に応じて基板の体積が膨張し、それに伴い基板に発生する歪みが徐々に大きくなるとともに、基板自身の機械的強度も低下していく。基板中に十分な量のイオンが挿入されると、遂には基板がその上の層から剥離し、あるいは基板自身が破壊されて剥離する。この場合、基板中へのイオンの挿入量は容易に制御することができるため、この剥離の際のスピードを容易に制御することができる。また、この剥離の際には、素子構造を形成する層にほとんど物理的損傷が生じないようにすることができる。
この発明によれば、発光ダイオード構造あるいは素子構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層をシリコン基板の一方の主面に成長させた後、このシリコン基板を窒化物系III−V族化合物半導体層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、発光効率が高い垂直電流注入型の発光ダイオードを容易に製造することができる。そして、この発光効率が高い垂直電流注入型の発光ダイオードを用いて、例えば、高性能の光源セルユニット、発光ダイオードバックライト、発光ダイオード照明装置、発光ダイオードディスプレイ、発光ダイオード光通信装置、光空間伝送装置、各種の電子機器などを実現することができる。
また、素子構造を形成する、シリコンと異なる半導体からなる半導体層をシリコン基板の一方の主面に成長させた後、このシリコン基板を半導体層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、発光効率が高い垂直電流注入型の発光ダイオードを容易に製造することができる。そして、この発光効率が高い垂直電流注入型の発光ダイオードを用いて、高性能の各種の電子機器などを実現することができる。
また、機能素子の素子構造を形成する層を基板上に成長させた後、この基板をこれらの層にほとんど物理的損傷を与えることなく低コストで容易に剥離することができ、垂直電流注入型の発光ダイオードなどの機能素子を容易に製造することができる。そして、この高性能の機能素子を用いて、高性能の各種の電子機器などを実現することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施形態の全図において、同一または対応する部分には同一の符号を付す。
図1〜図5はこの発明の第1の実施形態による発光ダイオードの製造方法を工程順に示す。
この第1の実施形態においては、図10に示すように、まず、あらかじめ表面が清浄化されたn型Si基板11上に従来公知の方法によりバッファ層12を成長させる。このバッファ層12は、その上に成長させるGaNなどの窒化物系III−V族化合物半導体層とn型Si基板1との間の格子不整合および熱膨張係数差による結晶成長への悪影響を緩和し、窒化物系III−V族化合物半導体層の結晶性の向上を図るためのものであり、例えば既に挙げたものを用いることができる。このバッファ層12は好適にはn型である。このバッファ層12は例えばMOCVD法により成長させる。次に、このバッファ層12上に、例えばMOCVD法により、発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層をエピタキシャル成長させる。具体的には、例えば、n型窒化物系III−V族化合物半導体層13、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた活性層14およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層15を順次エピタキシャル成長させる。
上記の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長原料は、例えば、Gaの原料としてはトリエチルガリウム((C2 5 3 Ga、TEG)またはトリメチルガリウム((CH3 3 Ga、TMG)、Alの原料としてはトリメチルアルミニウム((CH3 3 Al、TMA)、Inの原料としてはトリエチルインジウム((C2 5 3 In、TEI)またはトリメチルインジウム((CH3 3 In、TMI)を、Nの原料としてはアンモニア(NH3 )を用いる。ドーパントについては、n型ドーパントとしては例えばシラン(SiH4 )あるいはジシラン(Si2 6 )を、p型ドーパントとしては例えばビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム((CH3 5 4 2 Mg)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マグネシウム((C2 5 5 4 2 Mg)あるいはビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム((C5 5 2 Mg)を用いる。また、上記の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長時のキャリアガス雰囲気としては、例えば、H2 ガスが用いられる。
次に、こうして窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させたn型Si基板11をMOCVD装置から取り出す。
次に、p型窒化物系III−V族化合物半導体層15上にp側電極16を形成する。このp側電極16は、後述のようにn型Si基板11を剥離した後に形成してもよい。
この後、p型窒化物系III−V族化合物半導体層15のp型不純物を活性化するために、例えばN2 とO2 との混合ガス(組成は例えばN2 が99%、O2 が1%)の雰囲気中において550〜750℃(例えば、650℃)あるいは580〜620℃(例えば、600℃)の温度で熱処理を行う。ここで、例えば、N2 にO2 を混合することで活性化が起きやすくなる。また、例えば、O、Nと同様に電気陰性度の高いF、Clなどの原料としてハロゲン化窒素(NF3 、NCl3 など)をN2 またはN2 とO2 との混合ガス雰囲気に混合するようにしてもよい。この熱処理の時間は例えば5分〜2時間あるいは40分〜2時間、一般的には10〜60分程度である。熱処理の温度を比較的低くするのは、熱処理時の活性層14などの劣化を防止するためである。なお、この熱処理は、p型窒化物系III−V族化合物半導体層15をエピタキシャル成長させた後、p側電極16を形成する前に行ってもよい。
次に、図11に示すように、n型Si基板11の裏面に電極17を形成する。この電極17は、n型Si基板11とオーミック接触するものが好ましい。この電極17はリチウムイオン(Li+ )をn型Si基板11中に電気化学的に挿入するためのものであり、例えばNiにより形成される。
次に、図12に示すように、電解槽18中に入れられたLi+ 電解液19中にn型Si基板11および電極17の全体を浸漬するとともに、Li+ 電解液19中に対極としてLi電極20を浸漬する。Li+ 電解液19としては、例えば、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比1:1で含む有機溶媒中にLiPF6 を1mol/l溶解したものを用いることができる。
そして、電極17とLi電極20との間に、Li電極20に対して電極17が負電位(例えば、−1V)となるように電圧を印加する。こうして電圧を印加すると、Si+Li+ +xe- →Lix Siなる反応により、Li電極20からLi+ がn型Si基板11中に徐々に挿入されていき、n型Si基板11はn型Lix Si基板(xはSiに対するLiの挿入量の比)に変化していく。
こうしてLi+ の挿入が進んでxが十分に大きくなると、図13に示すように、n型Lix Si基板21がバッファ層12から剥離し、あるいはn型Lix Si基板21自身が破壊することによりバッファ層12から剥離する。
この後、図14に示すように、n型Lix Si基板21の剥離により露出したバッファ層12の裏面にn側電極22を形成する。なお、バッファ層12を除去し、n型窒化物系III−V族化合物半導体層13の裏面にn側電極22を形成するようにしてもよい。
ここで、p側電極16およびn側電極22を高反射電極あるいは透明電極とすることにより、光の取り出し方向を選択することができる。
以上により、目的とする垂直電流注入型発光ダイオードが製造される。
この発光ダイオードの具体的な構造例について説明する。すなわち、例えば、n型窒化物系III−V族化合物半導体層13が、下から順に、n型GaN層およびn型GaInN層、p型窒化物系III−V族化合物半導体層15が下から順に、p型AlInN層、p型GaN層およびp型GaInN層である。活性層14は例えばGaInN系の多重量子井戸(MQW)構造(例えば、GaInN量子井戸層とGaN障壁層とを交互に積層したもの)を有し、この活性層14のIn組成は発光ダイオードの発光波長に応じて選ばれ、例えば発光波長405nmでは〜11%、450nmでは〜18%、520nmでは〜24%である。p側電極16の材料としては、例えばAgやPd/Agなどを用い、あるいは必要に応じてこれに加えてTi、W、Cr、WN、CrNなどからなるバリアメタルを用いる。n側電極22としては、例えばTi/Pt/Au構造のものを用いる。
こうして得られた発光ダイオードにおいては、p側電極16とn側電極22との間に順方向電圧を印加して電流を流すことにより発光を行わせ、外部に光を取り出す。活性層14のIn組成の選定により、赤色〜紫外の発光、取り分け青色発光、緑色発光または赤色発光を得ることができる。
以上のように、この第1の実施形態によれば、n型Si基板11上に成長された発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を、高価で大掛かりな装置を用いることなく、しかもこれらの窒化物系III−V族化合物半導体層に物理的損傷をほとんど与えることなく、n型Si基板11から容易に剥離することができることにより、互いに対向したp側電極16とn側電極22との間に電流を流す高効率の垂直電流注入型の発光ダイオードを低コストで製造することができる。
次に、この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法について説明する。
図15〜図19はこの発光ダイオードの製造方法を工程順に示す。
図15Aに示すように、まず、平坦な一主面を有するn型Si基板11を用意し、このn型Si基板11上に断面形状が二等辺三角形状の凸部23を所定の平面形状で周期的に形成する。凸部23の間には逆台形状の断面形状を有する凹部24が形成される。凸部23および凹部24の平面形状はすでに述べた各種の平面形状とすることができるが、例えば、図20に示すように、凸部23および凹部24とも一方向に延在するストライプ形状を有する場合や、図21に示すように、凸部23が六角形の平面形状を有し、これを蜂の巣状に二次元配列した場合などである。典型的には、図20における点線の方向(ストライプに直交する方向)が後述の窒化物系III−V族化合物半導体層26のa軸と平行となり、図21における点線の方向(最隣接の凸部23間を結ぶ方向)が、後述の窒化物系III−V族化合物半導体層26のm軸と平行となるようにする。
n型Si基板11上に断面形状が二等辺三角形状の凸部23を形成するためには、従来公知の方法を用いることができる。例えば、CVD法、真空蒸着法、スパッタリング法などによりn型Si基板11の全面に凸部23の材料となる膜を形成する。次に、この膜上に所定形状のレジストパターンをリソグラフィーにより形成する。次に、反応性イオンエッチング(RIE)法などにより、テーパーエッチングが行われる条件で、このレジストパターンをマスクとしてこの膜をエッチングすることにより、断面形状が二等辺三角形状の凸部23が形成される。
次に、このn型Si基板11および凸部23の表面を清浄化した後、このn型Si基板11上に従来公知の方法により例えば550℃程度の成長温度で例えばGaNバッファ層、AlNバッファ層、CrNバッファ層、CrドープGaNバッファ層あるいはCrドープAlNバッファ層(図示せず)を成長させる。次に、例えばMOCVD法により窒化物系III−V族化合物半導体のエピタキシャル成長を行う。この窒化物系III−V族化合物半導体は例えばGaNである。このとき、図15Bに示すように、まず凹部24の底面から成長を開始させ、窒化物系III−V族化合物半導体からなる微小核25を複数生成させる。次に、図15Cに示すように、微小核25の成長および合体の過程を経て、凹部24の底面を底辺とし、n型Si基板11の主面に対して傾斜したファセットを斜面に有する二等辺三角形状の断面形状となるように窒化物系III−V族化合物半導体層26を成長させる。この例では、この二等辺三角形状の断面形状の窒化物系III−V族化合物半導体層26の高さは凸部23の高さより大きい。例えば、この窒化物系III−V族化合物半導体層26の延在方向はその〈1−100〉方向であり、その斜面のファセットは(1−101)面である。この窒化物系III−V族化合物半導体層26はn型とする。この窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長条件については後述する。窒化物系III−V族化合物半導体層26の延在方向はその〈11−20〉方向であってもよい。
引き続いて、窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長をその斜面のファセット面方位を維持しながら行うことにより、図16Aに示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26の両端部が凸部23の側面の下部まで成長して断面形状が五角形状となる状態とする。
次に、成長条件を横方向成長が支配的となる条件に設定して成長を続けると、図16Bに示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26は、矢印で示すように横方向成長して断面形状が六角形状となる状態で凸部23の上に広がって行く。図16B中、点線は成長途中の成長界面を示す(以下同様)。
さらに横方向成長を続けると、図16Cに示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26はその厚さを増しながら成長し、遂には隣接する凹部23から成長した窒化物系III−V族化合物半導体層26同士が凸部23上で接触し、会合する。
引き続いて、図16Cに示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26をその表面がn型Si基板11の主面と平行な平坦面となるまで横方向成長させる。こうして成長された窒化物系III−V族化合物半導体層26は、凹部24の上の部分の転位密度が極めて低くなる。
なお、場合によっては、図15Cに示す状態から、図16Aに示す状態を経ないで、図16Bに示す状態に直接移ることも可能である。
次に、図17に示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26上に、例えばMOCVD法により、n型窒化物系III−V族化合物半導体層13、窒化物系III−V族化合物半導体を用いた活性層14およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層16を順次エピタキシャル成長させる。
ここでは、窒化物系III−V族化合物半導体層26の貫通転位密度を最小化するために、凹部24の底面の幅Wg 、凹部24の深さ、すなわち凸部23の高さd、および、図15Cに示す状態の窒化物系III−V族化合物半導体層26の斜面とn型Si基板11の主面とのなす角度αが下記の式を満たすように決められている(図22参照)。
2d≧Wg tanα
例えば、Wg =2.1μm、α=59°の場合にはd≧1.75μm、Wg =2μm、α=59°の場合にはd≧1.66μm、Wg =1.5μm、α=59°の場合にはd≧1.245μm、Wg =1.2μm、α=59°の場合にはd≧0.966μmとする。ただし、いずれの場合もd<5μmとするのが望ましい。
図15BおよびCならびに図16Aに示す工程における窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長時には、成長原料のV/III比を高めに、成長温度を低めに設定するのが好ましい。具体的には、窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長を1気圧の圧力条件下で行う場合は、成長原料のV/III比を例えば13000±2000の範囲、成長温度を例えば1100±50℃の範囲に設定するのが好ましい。成長原料のV/III比については、窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長をx気圧の圧力条件下で行う場合は、流速と圧力との関係を規定するベルヌーイの法則から、圧力の変化量を二乗した分のV/III比、具体的には概ね(13000±2000)×x2 に設定するのが好ましい。例えば、0.92気圧(700Torr)で成長を行う場合は、成長原料のV/III比を11000±1700の範囲(例えば、10530)に設定するのが好ましい。xは一般的には0.01〜2気圧である。成長温度については、1気圧以下の圧力条件下で成長を行う場合は、窒化物系III−V族化合物半導体層26の横方向成長を抑え、凹部24への窒化物系III−V族化合物半導体層26の選択成長を容易にするため、より低い成長温度に設定するのが好ましい。例えば、0.92気圧(700Torr)で成長を行う場合は、成長温度を1050±50℃の範囲(例えば、1050℃)に設定するのが好ましい。以上のようにすることで、図15BおよびCならびに図16Aに示すように窒化物系III−V族化合物半導体層26が成長する。この際、凸部23上からは窒化物系III−V族化合物半導体層26は成長を開始しない。成長速度は一般的には0.5〜5.0μm/h、好適には3.0μm/h程度とする。窒化物系III−V族化合物半導体層26が例えばGaN層の場合、原料ガスの流量は、例えば、TMGは20SCCM、NH3 は20SLMである。一方、図16BおよびCに示す工程における窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長(横方向成長)は、成長原料のV/III比を低めに、成長温度を高めに設定する。具体的には、窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長を1気圧の圧力条件下で行う場合は、成長原料のV/III比を例えば5000±2000の範囲、成長温度を例えば1200±50℃の範囲に設定する。成長原料のV/III比については、窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長をx気圧の圧力条件下で行う場合は、流速と圧力との関係を規定するベルヌーイの法則から、圧力の変化量を二乗した分のV/III比、具体的には概ね(5000±2000)×x2 に設定するのが好ましい。例えば、0.92気圧(700Torr)で成長を行う場合は、成長原料のV/III比を4200±1700の範囲(例えば、4232)に設定するのが好ましい。成長温度については、1気圧以下の圧力条件下で成長を行う場合は、窒化物系III−V族化合物半導体層26の表面の荒れを防止し、横方向成長を良好に行うため、より低い成長温度に設定するのが好ましい。例えば、0.92気圧(700Torr)で成長を行う場合は、成長温度を1150±50℃の範囲(例えば、1110℃)に設定するのが好ましい。窒化物系III−V族化合物半導体層26が例えばGaN層の場合、原料ガスの流量は、例えば、TMGは40SCCM、NH3 は20SLMである。こうすることで、図16BおよびCに示すように窒化物系III−V族化合物半導体層26が横方向成長する。
図23に、窒化物系III−V族化合物半導体層26の一例としてGaN層の成長時の原料ガスの流れおよびn型Si基板11上での拡散の様子を模式的に示す。この成長において最も重要な点は、成長初期に、n型Si基板11の凸部23にはGaNは成長せず、凹部24においてGaNの成長が開始することである。なお、図23では凸部23の断面形状が三角形状であるが、凸部23の断面形状が台形状であっても、同様に凸部23にはGaNは成長しない。これは、一般に、GaNの成長は、Ga原料としてTMG、N原料としてNH3 を用いる場合を考えると
Ga(CH3 3 (g)+3/2H2 (g)→Ga(g)+3CH4 (g)
NH3 (g)→(1−α)NH3 (g)+α/2N2 (g)+3α/2H2 (g)
Ga(g)+NH3 (g)=GaN(s)+3/2H2 (g)
なる反応式で表現されるように、NH3 とGaとが直接反応することで起きる。この際、H2 ガスが発生するが、このH2 ガスは結晶成長とは逆の作用、すなわちエッチング作用をする。図15BおよびCならびに図16Aに示す工程では、従来の平坦な基板上でのGaNの成長では行わない条件、すなわちエッチング作用を高め、成長しにくい条件(V/III比を高める)を用いることにより、凸部23での成長を抑制する。一方、凹部24の内部では、このエッチング作用が弱まるので、結晶成長が起きる。さらに、従来は、成長結晶表面の平坦性を向上させるため、横方向成長の度合いが高まる条件(より高温)で成長させるが、ここでは、貫通転位をn型Si基板11の主面に平行な方向に屈曲させることにより低減させたり、より早期に凹部24の内部を窒化物系III−V族化合物半導体層26で埋めたりする目的で、既に述べたように従来より低温(例えば、1050±50℃)で成長させる。
図24に、窒化物系III−V族化合物半導体層26の結晶欠陥分布を透過型電子顕微鏡(TEM)により調べた結果を模式的に示す。ただし、凸部23の表面は厚さ10nm程度の厚さのSiO2 膜で被覆した。図24中、符号27は貫通転位を示す。図24から分かるように、凸部23の中央部近傍、すなわち互いに隣接する凹部24から成長する窒化物系III−V族化合物半導体層26同士の会合部では転位密度が高くなっているものの、凹部24の上の部分を含む他の部分では転位密度は低くなっている。例えば、凹部24の深さd=1μm、底面の幅Wg =2μmの場合、この低転位密度の部分の転位密度は6×107 /cm2 であり、凹凸加工を施したn型Si基板11を用いない場合に比べて1〜2桁転位密度が低減されている。凹部24の側壁に対して垂直方向への転位の発生は一切起きていないことも分かる。
また、図24において、凹部24におけるn型Si基板11と接する窒化物系III−V族化合物半導体層26の高転位密度で結晶性が悪い領域の平均厚さは、凸部23におけるn型Si基板11と接する窒化物系III−V族化合物半導体層26の高転位密度で結晶性が悪い領域の平均厚さの1.5倍程度である。これは、凸部23上では窒化物系III−V族化合物半導体層26が横方向成長することを反映した結果である。
図25に、凸部23が図20に示す平面形状を有する場合の貫通転位27の分布を示す。また、図26に、凸部23が図21に示す平面形状を有する場合の貫通転位27の分布を示す。
次に、成長初期からの窒化物系III−V族化合物半導体層26の成長様式および転位の伝播の様子について図27を参照しながら説明する。
成長を開始すると、図27Aに示すように、まず凹部24の底面に窒化物系III−V族化合物半導体からなる微小核25が複数生成する。これらの微小核25では、n型Si基板11との界面から垂直方向に転位(点線で示す)が伝播し、この転位は微小核25の側面から抜ける。成長を続けると、図27Bおよび図27Cに示すように、微小核25の成長および合体の過程を経て窒化物系III−V族化合物半導体層26が成長する。これらの微小核25の成長および合体の過程で、n型Si基板11の主面に平行な方向に転位の屈曲が起きる結果、上部に抜ける転位が少なくなる。さらに成長を続けると、図27Dに示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26は、凹部24の底面を底辺とする二等辺三角形状の断面形状になる。この時点では、窒化物系III−V族化合物半導体層26から上部に抜ける転位は、大幅に減少している。次に、図27Eに示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26を横方向成長させる。この過程では、凹部24の底面を底辺とする二等辺三角形状の断面形状を有する窒化物系III−V族化合物半導体層26の側面に抜けた転位は、凸部23より低い位置にあるものはn型Si基板11の主面に平行に凸部23の側面まで延伸し続けて消失し、凸部23より高い位置にあるものはn型Si基板11の主面に平行に延伸して横方向成長した窒化物系III−V族化合物半導体層26の側面に抜ける。窒化物系III−V族化合物半導体層26の横方向成長をさらに続けると、図27Fに示すように、凸部23の上でその両側から成長した窒化物系III−V族化合物半導体層26同士が会合し、やがては窒化物系III−V族化合物半導体層26の表面がn型Si基板11の主面と平行な平坦面となる。窒化物系III−V族化合物半導体層26中の転位は、凸部23上で会合したときに上方(n型Si基板11の主面に垂直な方向)に屈曲し、貫通転位となる。
図28AおよびBを参照して、微小核25の生成から窒化物系III−V族化合物半導体層26の横方向成長後までの転位の挙動について改めて説明する。図28AおよびBに示すように、微小核25の生成、成長および合体の過程で、n型Si基板11との界面から発生した転位は水平方向への屈曲を繰り返して束ねられる(転位(1))。また、こうして水平方向に屈曲した転位が凸部23の側面に延伸して消失する(転位(2))。さらに、n型Si基板11との界面から発生した転位が一回だけ屈曲して窒化物系III−V族化合物半導体層26の表面に抜けていく(転位(3))。上記の転位が束ねられること、および、水平方向に屈曲した転位が凸部23の側面に延伸して消失することにより、微小核25が生成されない場合に比べて、貫通転位が少ない窒化物系III−V族化合物半導体層26を得ることができる。
参考のために、n型Si基板11の代わりにサファイア基板を用いた場合において、図27Aに示すように凹部24の底面に微小核25が生成された状態の断面TEM写真を図29A〜Cに示す。図29BおよびCは図29Aの楕円で囲んだ部分を拡大した断面TEM写真である。図29A〜Cより、成長初期に微小核25が生成されている様子がよく分かる。
上述のようにして発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させた後、図17に示すように、最上層のp型窒化物系III−V族化合物半導体層15上にp側電極16を形成する。
次に、図18に示すように、第1の実施形態と同様にしてn型Si基板11を剥離する。
この後、図19に示すように、窒化物系III−V族化合物半導体層26の裏面にn側電極22を形成する。
以上により、目的とする垂直電流注入型発光ダイオードが製造される。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、次のような利点を得ることもできる。すなわち、窒化物系III−V族化合物半導体層26の貫通転位はn型Si基板11上の凸部23の中央部近傍に集中し、その他の部分の転位密度は例えば6×107 /cm2 程度と従来の凹凸加工基板を用いた場合に比べて大幅に低減されるため、窒化物系III−V族化合物半導体層26およびその上に成長される活性層14などの窒化物系III−V族化合物半導体層の結晶性は大幅に向上し、非発光中心なども大幅に減少する。これらによって、発光効率が極めて高い窒化物系III−V族化合物半導体系発光ダイオードを得ることができる。
加えて、この窒化物系III−V族化合物半導体系発光ダイオードの製造に必要なエピタキシャル成長は1回で済み、しかも成長マスクが不要であるだけでなく、凸部23はn型Si基板11上に凸部23の材料となる膜、例えばSiO2 膜、SiON膜、SiN膜、CrN膜、CrON膜などの膜を形成し、これをエッチング、粉末ブラスト法、サンドブラスト法などにより加工するだけで形成することができるので、製造工程が簡単であり、低コストで垂直電流注入型の窒化物系III−V族化合物半導体系発光ダイオードを製造することができる。
次に、この発明の第3の実施形態による発光ダイオードの製造方法について説明する。
第2の実施形態は、凸部23の断面形状が二等辺三角形状である場合であるが、図30Aに示すように、この第3の実施形態においては、n型Si基板11上に断面形状が台形状の凸部23を所定の平面形状で周期的に形成するようにしてもよい。この場合も、凸部23の間には逆台形状の断面形状を有する凹部24が形成される。
そして、第2の実施形態と同様にしてこのn型Si基板11上に窒化物系III−V族化合物半導体層26を成長させる。具体的には、凹部24の底面上の微小核25の生成、成長および合体の過程を経て図30Bに示すように、凹部24の底面を底辺とする二等辺三角形状の断面形状を有する窒化物系III−V族化合物半導体層26を成長させ、さらに横方向成長を経て図30Cに示すように、平坦な表面を有し、貫通転位密度が低い窒化物系III−V族化合物半導体層26を成長させる。
次に、第2の実施形態と同様に、窒化物系III−V族化合物半導体層26上にn型窒化物系III−V族化合物半導体層13、活性層14およびp型窒化物系III−V族化合物半導体層15を成長させる。
その後、第2の実施形態と同様に、最上層のp型窒化物系III−V族化合物半導体層15上へのp側電極16の形成、n型Si基板11の剥離および窒化物系III−V族化合物半導体層26の裏面へのn側電極22の形成を経て、図31に示すように、目的とする垂直電流注入型発光ダイオードを製造する。
図32に、窒化物系III−V族化合物半導体層26の結晶欠陥分布をTEMにより調べた結果を模式的に示す。この場合も、凸部23の中央部近傍、すなわち互いに隣接する凹部24から成長する窒化物系III−V族化合物半導体層26同士の会合部では転位密度が高くなっているものの、凹部24の上の部分を含む他の部分では転位密度は低くなっている。凹部24の側壁に対して垂直方向への転位の発生は一切起きていないことも分かる。
この第3の実施形態によれば、第1および第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態においては、第1〜第3の実施形態のいずれかによる方法により得られる青色発光の発光ダイオードおよび緑色発光の発光ダイオードに加え、別途用意する赤色発光の発光ダイオード(例えば、AlGaInP系発光ダイオード)を用いて発光ダイオードバックライトを製造する場合について説明する。
第1〜第3の実施形態のいずれかによる方法により青色発光の発光ダイオードをフリップチップの形で得る。同様にして、緑色発光の発光ダイオードをフリップチップの形で得る。一方、赤色発光の発光ダイオードとしては、n型GaAs基板上にAlGaInP系半導体層を積層してダイオード構造を形成し、その上部にp側電極を形成する工程を経る、AlGaInP系発光ダイオードをチップの形で用いるものとする。
そして、図33に示すように、配線基板61上に上述のような赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65を一単位(セル)とし、これを所定のパターンで必要な数配置する。次に、この一単位を覆うように透明樹脂のポッティングを行った後、この透明樹脂のキュア処理を行う。このキュア処理により透明樹脂は固化し、それに伴い少し縮小する。こうして、図34に示すように、赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65を一単位としたものが透明樹脂68により封止されて配線基板61上にアレイ状に配列された発光ダイオードバックライトが得られる。
この発光ダイオードバックライトは、例えば液晶パネルのバックライトに用いて好適なものである。
次に、この発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態においては、第4の実施形態と同様にして、赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65を配線基板61上に所定のパターンで必要な数配置した後、図35に示すように、赤色発光の発光ダイオードチップ63を覆うようにこの発光ダイオードチップ63に適した透明樹脂69のポッティングを行い、緑色発光の発光ダイオードチップ64を覆うようにこの発光ダイオードチップ64に適した透明樹脂70のポッティングを行い、青色発光の発光ダイオードチップ65を覆うようにこの発光ダイオードチップ65に適した透明樹脂71のポッティングを行う。この後、透明樹脂69〜71のキュア処理を行う。このキュア処理により透明樹脂69〜71は固化し、それに伴い少し縮小する。こうして、赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65を一単位としたものが配線基板61上にアレイ状に配列された発光ダイオードバックライトが得られる。
この発光ダイオードバックライトは、例えば液晶パネルのバックライトに用いて好適なものである。
次に、この発明の第6の実施形態について説明する。
この第6の実施形態においては、第1〜第3の実施形態のいずれかによる方法により得られる青色発光の発光ダイオードおよび緑色発光の発光ダイオードに加え、別途用意する赤色発光の発光ダイオードを用いて光源セルユニットを製造する場合について説明する。
図36Aに示すように、この第6の実施形態においては、第4の実施形態と同様にして、赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65をそれぞれ少なくとも一つ含み、これらが所定のパターンで配置されたセル75をプリント配線基板76上に所定のパターンで必要な数配置する。この例では、各セル75は、赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65をそれぞれ一つ含み、これらが正三角形の頂点に配置されている。図36Bにセル75を拡大して示す。各セル75における赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65の間隔aは例えば4mmであるが、これに限定されるものではない。セル75の間隔bは例えば30mmであるが、これに限定されるものではない。プリント配線基板76としては、例えば、FR4(Flame Retardant Type 4の略)基板やメタルコア基板やフレキシブル配線基板などを用いることができるが、放熱性を有するプリント配線基板であれば他のものを用いることもでき、これらに限定されるものではない。第4の実施形態と同様にして、各セル76を覆うように透明樹脂68のポッティングを行い、あるいは、第5の実施形態と同様にして、赤色発光の発光ダイオードチップ63を覆うように透明樹脂69のポッティングを行い、緑色発光の発光ダイオードチップ64を覆うように透明樹脂70のポッティングを行い、青色発光の発光ダイオードチップ65を覆うように透明樹脂71のポッティングを行う。こうして、赤色発光の発光ダイオードチップ63、緑色発光の発光ダイオードチップ64および青色発光の発光ダイオードチップ65からなるセル75がプリント配線基板76上に配置された光源セルユニットが得られる。
プリント配線基板76上のセル75の配置の具体例を図37および図38に示すが、これらに限定されるものではない。図37に示す例はセル75を4×3の二次元アレイ状に配置したもの、図38に示す例はセル75を6×2の二次元アレイ状に配置したものである。
図39はセル75の他の構成例を示す。この例では、セル75は、赤色発光の発光ダイオードチップ63を一つ、緑色発光の発光ダイオードチップ64を二つ、青色発光の発光ダイオードチップ65を一つ含み、これらが例えば正方形の頂点に配置されている。二つの緑色発光の発光ダイオードチップ64はこの正方形の一つの対角線の両端の頂点に配置され、赤色発光の発光ダイオードチップ63および青色発光の発光ダイオードチップ65はこの正方形のもう一つの対角線の両端の頂点に配置されている。
この光源セルユニットを一つまたは複数配列することにより、例えば液晶パネルのバックライトに用いて好適な発光ダイオードバックライトを得ることができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の第1〜第6の実施形態において挙げた数値、材料、構造、形状、基板、原料、プロセス、凸部23および凹部24の方位などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、構造、形状、基板、原料、プロセス、凸部23および凹部24の方位などを用いてもよい。
具体的には、例えば、上述の第1〜第3の実施形態において、p型層およびn型層の導電型を互いに逆にしてもよい。
また、第2および第3の実施形態においては、n型Si基板11上の凸部23の断面形状が台形である場合について説明したが、凸部23の断面形状は二等辺三角形はもちろん、他の断面形状であってもよい。
発光ダイオードからの光取り出しを説明するための断面図である。 発光ダイオードからの光取り出しを説明するための断面図である。 図2に示す発光ダイオードの上面および側面の放射分布を示す略線図である。 図2に示す発光ダイオードにおける干渉現象による光取り出し倍率の変化を示す略線図である。 図1に示す発光ダイオードにおいて基板上に形成する凸部の断面形状および平面形状の例を示す断面図および平面図である。 図1および図5に示す発光ダイオードの側面発光量の変化に伴う遠視野像の形状の変化を示す略線図である。 図1および図5に示す発光ダイオードにおける凸部の屈折率による光取り出し倍率および側面発光率の変化を示す略線図である。 成長基板を除去した発光ダイオードを示す断面図である。 図8に示す発光ダイオードにおける凸部の屈折率による光取り出し倍率および側面発光率の変化を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第1の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に形成する凸部の平面形状の例を示す平面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に形成する凸部の平面形状の例を示す平面図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において用いる凹凸基板を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法における基板上の窒化物系III−V族化合物半導体層の成長の様子を説明するための略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に成長させた窒化物系III−V族化合物半導体層の転位の振る舞いを説明するための略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に成長させた窒化物系III−V族化合物半導体層の貫通転位の分布の例を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に成長させた窒化物系III−V族化合物半導体層の貫通転位の分布の例を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に成長させる窒化物系III−V族化合物半導体層の成長の様子を示す略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に成長させる窒化物系III−V族化合物半導体層の転位の挙動を説明するための略線図である。 この発明の第2の実施形態による発光ダイオードの製造方法における窒化物系III−V族化合物半導体層の成長初期の様子を示す図面代用写真である。 この発明の第3の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施形態による発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第3の実施形態による発光ダイオードの製造方法において基板上に成長させた窒化物系III−V族化合物半導体層の転位の振る舞いを説明するための略線図である。 この発明の第4の実施形態による発光ダイオードバックライトの製造方法を説明するための断面図である。 この発明の第4の実施形態による発光ダイオードバックライトの製造方法を説明するための斜視図である。 この発明の第5の実施形態による発光ダイオードバックライトの製造方法を説明するための斜視図である。 この発明の第6の実施形態による光源セルユニットを示す平面図およびこの光源セルユニットのセルの拡大図である。 この発明の第6の実施形態による光源セルユニットの一つの具体例を示す平面図である。 この発明の第6の実施形態による光源セルユニットの他の具体例を示す平面図である。 この発明の第6の実施形態による光源セルユニットのセルの他の構成例を示す平面図である。
符号の説明
11…n型Si基板、12…バッファ層、13…n型窒化物系III−V族化合物半導体層、14…活性層、15…p型窒化物系III−V族化合物半導体層、16…p側電極、17…電極、18…電解槽、19…Li+ 電解液、20…Li電極、21…n型Lix Si基板、22…n側電極、23…凸部、24…凹部、25…微小核、26…窒化物系III−V族化合物半導体層、27…貫通転位、63〜65…発光ダイオードチップ、68〜71…透明樹脂、75…セル、76…プリント配線基板

Claims (7)

  1. シリコン基板の一方の主面に、発光ダイオード構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
    上記シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより上記シリコン基板を上記窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離する工程と
    を有することを特徴とする発光ダイオードの製造方法。
  2. 上記シリコン基板はn型であることを特徴とする請求項1記載の発光ダイオードの製造方法。
  3. 上記シリコン基板の他方の主面に電極を形成し、上記シリコン基板の少なくとも一部をリチウムイオン電解液中に浸漬するとともに、上記リチウムイオン電解液中にリチウム電極からなる対極を浸漬し、上記電極と上記対極との間に上記電極が上記対極に対して負電位になるように電圧を印加することにより上記シリコン基板中にリチウムイオンを挿入するようにしたことを特徴とする請求項2記載の発光ダイオードの製造方法。
  4. 上記シリコン基板の上記一方の主面に、屈折率が1.0以上2.3以下の誘電体からなる複数の凸部を形成し、これらの複数の凸部が形成された上記シリコン基板の上記一方の主面に上記窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させた後、上記シリコン基板を上記窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離することを特徴とする請求項3記載の発光ダイオードの製造方法。
  5. シリコン基板の一方の主面に、素子構造を形成する窒化物系III−V族化合物半導体層を成長させる工程と、
    上記シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより上記シリコン基板を上記窒化物系III−V族化合物半導体層から剥離する工程と
    を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
  6. シリコン基板の一方の主面に、素子構造を形成する、シリコンと異なる半導体からなる半導体層を成長させる工程と、
    上記シリコン基板中にリチウムイオンを電気化学的に挿入することにより上記シリコン基板を上記半導体層から剥離する工程と
    を有することを特徴とする半導体素子の製造方法。
  7. 基板の一方の主面に、素子構造を形成する、上記基板を構成する物質と異なる物質からなる層を成長させる工程と、
    上記基板中にイオンを電気化学的に挿入することにより上記基板を上記層から剥離する工程と
    を有することを特徴とする機能素子の製造方法。
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