JP2009043178A - 硬貨入出金機 - Google Patents

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Abstract

【課題】精査処理を短時間で行うことが可能な硬貨入出金機の提供。
【解決手段】金種別の収納繰出部27aのそれぞれが、入金され金種別に選別分類された硬貨を受け入れる第1の収納部51と、第1の収納部51に対して水平方向に並設され第1の収納部51とは分離して硬貨を収納可能な第2の収納部52と、第1の収納部51に収納されている硬貨を一枚ずつ分離して搬送する第1の搬送手段55,71と、第1の搬送手段55,71によって搬送される硬貨を金種鑑別および計数する鑑別手段73と、鑑別手段73によって鑑別および計数された硬貨を、出金口および第2の収納部52に選択的に振り分ける硬貨振分手段75と、第2の収納部52に収納されている硬貨を第1の収納部51に搬送する第2の搬送手段65とを備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、入金された硬貨を収納するとともに収納した硬貨を出金可能な硬貨入出金機に関する。
一般的に、硬貨入出金機は、金種混在の状態で硬貨が投入されると、これを金種別に選別計数して金種別に一時貯留部に一時貯留させ、選別計数結果を承認する承認操作が入力された場合には、金種別に一時貯留された硬貨を金種別の収納繰出部に収納し、キャンセル操作が入力された場合には、金種別に一時貯留された硬貨を返却するようになっており、また、金種別の収納繰出部に収納された硬貨を適宜出金可能となっている。そして、このような入金硬貨を出金用として用いる還流式の硬貨入出金機において、収納繰出部に収納した硬貨の在り高を確定する精査処理を可能としたものがある(例えば、特許文献1参照)。この硬貨入出金機は、取り扱う金種数よりも一つ多い収納繰出部を備えており、一金種用の収納繰出部から空の収納繰出部に硬貨を搬送しつつ精査処理を行い、次の一金種用の収納繰出部から、一つ前の精査処理で空となった収納繰出部に硬貨を搬送しつつ精査処理を行うといった動作を順次行うようになっている。
特開2001−6015号公報
上記の特許文献1に開示された硬貨入出金機では、精査処理を金種別に順次行うことになるため、精査処理に長時間を要するといった問題があった。
したがって、本発明は、精査処理を短時間で行うことが可能な硬貨入出金機の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、入金された硬貨を金種別に選別分類して金種別の収納繰出部に収納するとともに、これら金種別の収納繰出部から必要に応じて硬貨を出金口に出金する硬貨入出金機において、前記金種別の収納繰出部のそれぞれが、入金され金種別に選別分類された硬貨を受け入れる第1の収納部と、該第1の収納部に対して水平方向に並設され該第1の収納部とは分離して硬貨を収納可能な第2の収納部と、前記第1の収納部に収納されている硬貨を一枚ずつ分離して搬送する第1の搬送手段と、該第1の搬送手段によって搬送される硬貨を金種鑑別および計数する鑑別手段と、該鑑別手段によって鑑別および計数された硬貨を、前記出金口および前記第2の収納部に選択的に振り分ける硬貨振分手段と、前記第2の収納部に収納されている硬貨を前記第1の収納部に搬送する第2の搬送手段とを備えることを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2の収納部の上側に、前記第1の搬送手段における硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラと、前記鑑別手段とが設けられていることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第2の収納部の上側に、前記第1の搬送手段における回転する回転円盤および該回転円盤の遠心力で外側に移動する硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す分離繰出部と、前記鑑別手段とが設けられていることを特徴としている。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記硬貨振分手段は、開閉可能なゲートを備えており、硬貨出金モードと硬貨精査モードとのいずれか一方に選択設定されるモード設定手段と、該モード設定手段によって設定されたモードに基づいて前記ゲートの開閉を制御するゲート制御手段とを備えることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記モード設定手段によって硬貨精査モードが設定された場合、前記第1の収納部の全硬貨を前記第1の搬送手段によって一枚ずつ分離して搬送し前記鑑別手段によって金種鑑別および計数して、前記硬貨振分手段により前記第2の収納部に収納した後、前記第2の搬送手段によって前記第1の収納部に戻す精査処理を、全金種の前記収納繰出部について並行して行わせる動作制御手段を備えることを特徴している。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記第1の収納部と前記第2の収納部とがそれぞれ平面視略L字状をなし、互いに180度向きを異ならせ全体として平面視四角形状となるように配置されていることを特徴としている。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明において、前記第1の収納部が、幅広であって硬貨を収納する収納空間形成部と、幅狭であって前記第1の搬送手段としてのベルトコンベアが配置されるコンベア配置空間形成部とを有して平面視略L字状をなしており、前記第2の収納部も、幅広であって硬貨を収納する収納空間形成部と、幅狭であって前記第2の搬送手段としてのベルトコンベアが配置されるコンベア配置空間形成部とを有して平面視略L字状をなしていて、前記第1の収納部と前記第2の収納部とが互いに前記コンベア配置空間形成部を隣接配置していることを特徴としている。
請求項1に係る発明によれば、金種別の収納繰出部のそれぞれについて、入金され金種別に選別分類された硬貨を受け入れる第1の収納部から、硬貨を、第1の搬送手段によって一枚ずつ分離して搬送しつつ、鑑別手段によって金種鑑別および計数し、硬貨振分手段によって出金口に振り分ければ、出金することができる。また、金種別の収納繰出部のそれぞれについて、第1の収納部から、硬貨を、第1の搬送手段によって一枚ずつ分離して搬送しつつ、鑑別手段によって金種鑑別および計数し、硬貨振分手段によって、第1の収納部とは分離して硬貨を収納可能な第2の収納部に振り分ければ、精査処理を行うことができる。しかも、その後に第2の収納部から第2の搬送手段によって第1の収納部に硬貨を戻せば再び出金口への出金が可能な状態となる。そして、第1の収納部、第2の収納部、第1の搬送手段、第2の搬送手段、鑑別手段および硬貨振分手段が金種別の収納繰出部のそれぞれに設けられているため、全金種の精査処理を並行して行うことが可能になる。したがって、精査処理を短時間で行うことが可能になる。しかも、第1の収納部に対して第2の収納部が水平方向に並設されているため、上下方向の大型化を抑制できるとともに、第1の収納部および第2の収納部の並設方向を、金種別の収納繰出部の並設方向に対して直交する方向にすることで全体としての水平方向の大型化も抑制できる。
請求項2に係る発明によれば、第1の収納部から出金口に向けて硬貨を搬送する出金処理および第1の収納部から第2の収納部に向けて硬貨を搬送する精査処理のいずれにおいても、第1の搬送手段が、分離ローラによって硬貨を一枚ずつに分離するため、鑑別手段での鑑別を簡素な構造で適正に行うことができる。また、第2の収納部の上側に分離ローラと鑑別手段とが設けられるため、分離ローラおよび鑑別手段をコンパクトに配置できる。
請求項3に係る発明によれば、第1の収納部から出金口に向けて硬貨を搬送する出金処理および第1の収納部から第2の収納部に向けて硬貨を搬送する精査処理のいずれにおいても、第1の搬送手段が、回転する回転円盤の遠心力で外側に移動する硬貨を分離繰出部で一枚ずつ分離して繰り出すため、詰まり等を生じにくく鑑別手段での鑑別のために確実に硬貨を分離することができる。また、第2の収納部の上側に、回転円盤、分離繰出部および鑑別手段が設けられているため、回転円盤、分離繰出部および鑑別手段をコンパクトに配置できる。
請求項4に係る発明によれば、前記硬貨振分手段は、鑑別手段によって鑑別および計数された硬貨を、開閉可能なゲートによって第2の収納部および出金口に選択的に振り分けるため、簡素な構造で振り分けを行うことができる。また、モード設定手段によって設定されたモードに基づいてゲート制御手段がゲートの開閉を制御するため、モードに合わせてゲートを開閉できる。
請求項5に係る発明によれば、モード設定手段によって硬貨精査モードが設定された場合に、動作制御手段が全金種の収納繰出部に並行して精査処理を行わせるため、精査処理を短時間で行うことができる。
請求項6に係る発明によれば、第1の収納部と第2の収納部とが、それぞれ平面視略L字状をなし、互いに180度向きを異ならせ全体として四角形状となるように配置されているため、二つの収納部をコンパクトに配置できる。
請求項7に係る発明によれば、第1の収納部と第2の収納部とが、幅広の収納空間形成部と、幅狭であってベルトコンベアが配置されるコンベア配置空間形成部とを有して平面視略L字状をなし、互いに180度向きを異ならせ互いにコンベア配置空間形成部を隣接配置して全体として四角形状となるように配置されているため、収納空間形成部の大きさを大きくして硬貨の収納量を確保しつつ、二つの収納部をコンパクトに配置できる。
本発明の第1実施形態の硬貨入出金機を図1〜図8を参照して以下に説明する。
図1〜図3は、第1実施形態の硬貨入出金機1を概略的に示すもので、硬貨入出金機1は、装置本体2と、この装置本体2に対し着脱可能な台車部3とを有している。以下の説明における前後左右は、硬貨入出金機1の前(操作者から見て手前側)、硬貨入出金機1の後(操作者から見て奥側)および硬貨入出金機1の左右(操作者から見て左右)である。
装置本体2には、入金のため金種混合状態で一括投入された硬貨を一枚ずつ分離して搬送する分離供給部5が上部に設けられている。この分離供給部5は、バラ硬貨が一括投入されるホッパ6と、このホッパ6の下側にその底部を形成するように設けられた水平旋回可能な回転円盤7と、硬貨が一枚のみ通過可能な開口を有し回転円盤7の回転時の遠心力で硬貨を一枚ずつ繰り出すとともに繰り出しのタイミングを制御可能な硬貨分離部8と、硬貨分離部8で一枚ずつ繰り出された硬貨を水平に搬送する硬貨搬送部9とを有している。
また、装置本体2には、硬貨搬送部9で搬送中の硬貨の真偽及び金種を識別し計数する識別部11が硬貨搬送部9の上流側に設けられ、硬貨搬送部9におけるこの識別部11の下流側には、識別部11の識別結果に基づいて真以外の硬貨と識別されたリジェクト硬貨を排除するリジェクト部12が設けられている。さらに、硬貨搬送部9におけるリジェクト部12の下流側には、識別部11の識別結果に基づいて真の硬貨であって受け入れ可能と識別された硬貨を金種別に振り分ける複数箇所、具体的には取扱金種数(日本国内では1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨の六種類)と同数の六箇所の振分部13a,13b,13c,13d,13e,13fが硬貨搬送部9の搬送方向に沿ってこの順に設けられている。ここで、振分部13a〜13fは、すべて装置本体2の左右方向一側、具体的には右側に配置され、装置本体2の前後に並べられている。
これら振分部13a〜13fは、すべて、取り扱う最大径の硬貨(日本国内では500円硬貨)を落下可能な選別孔14a,14b,14c,14d,14e,14fを有しており、これらのうち上流側の五つの振分部13a〜13eには、選別孔14a〜14eを個別に開閉可能なシャッタ15a,15b,15c,15d,15eが設けられている。さらに、各振分部13a〜13fのそれぞれの上流側には、硬貨の通過を検出する硬貨センサ16a,16b,16c,16d,16e,16fが設けられている。同様に、リジェクト部12も、リジェクト孔14gと、リジェクト孔14gを開閉可能なシャッタ15gと、上流側の硬貨センサ16gとを有している。なお、硬貨センサ16a〜16gは、シャッタ15a〜15e,15gのうちの対応するものの開閉タイミングを制御するために用いられ、また、硬貨の搬送ジャムの有無を検出するために用いられる。
また、装置本体2は、リジェクト部12で硬貨搬送部9から排除された硬貨を受け入れる着脱自在のリジェクトボックス20と、各振分部13a〜13fに一対一で対応して設けられ、各振分部13a〜13fで振り分けられた硬貨をそれぞれ個別に一時貯留させる複数箇所、具体的には振分部13a〜13fと同数である六箇所の一時貯留部(一時貯留手段)21a,21b,21c,21d,21e,21fとを有している。
なお、最も上流側つまり最も前側の一時貯留部21aは、最も上流側つまり最も前側の振分部13aの下方に設けられており、この振分部13aのシャッタ15aが開かれることで選別孔14aから落下された硬貨のみを受け入れて一時貯留させる。次の一時貯留部21bは、振分部13bの下方に設けられ、シャッタ15bが開かれることで選別孔14bから落下された硬貨のみを一時貯留させる。次の一時貯留部21cは、振分部13cの下方に設けられ、シャッタ15cが開かれることで選別孔14cから落下された硬貨のみを一時貯留させる。次の一時貯留部21dは、振分部13dの下方に設けられ、シャッタ15dが開かれることで選別孔14dから落下された硬貨のみを一時貯留させる。次の一時貯留部21eは、振分部13eの下方に設けられ、シャッタ15eが開かれることで選別孔14eから落下された硬貨のみを一時貯留させる。最も下流側つまり最も後側の一時貯留部21fは、振分部13fの下方に設けられ、選別孔14fから落下された硬貨のみを一時貯留させる。
一時貯留部21a〜21fは、左右方向に水平移動可能な共通の側壁部形成体22にそれぞれの側壁部が個別に形成されており、この側壁部形成体22の下側に左右方向に水平移動可能に設けられた共通の底部形成体23でそれぞれの下部開口部が閉塞可能とされている。つまり、側壁部形成体22には、左右に一対の側壁部を有するとともにこれら側壁部の間に各一時貯留部21a〜21fをそれぞれ区分けするための区分側壁部が前後方向に複数、具体的には7つ設けられている。そして、これら一時貯留部21a〜21fのすべての下部開口部を同時に閉塞し、また同時に開放するように前後方向に長い一つの底部形成体23が設けられている。
側壁部形成体22は、左右方向に配設されたガイドレール35で直線移動可能に支持されており、駆動機構部36で駆動されてガイドレール35に沿って往復移動する。ここで、側壁部形成体22は、装置本体2の右側に配置された振分部13a〜13fの下方の第1の位置と、この第1の位置に対し水平方向に側壁部形成体22の幅分位置をずらした第2の位置とに往復移動可能であり、これらの各位置に停止させるように、各位置にはそれぞれ図示略のセンサが設けられている。
底部形成体23は、左右方向に配設されたガイドレール38で直線移動可能に支持されており、駆動機構部39で駆動されてガイドレール38に沿って往復移動する。ここで、底部形成体23は、上記した第1の位置にある側壁部形成体22の一時貯留部21a〜21fのすべての下部開口部を同時に閉塞する第1の位置と、この第1の位置に対し水平方向に側壁部形成体22の幅分位置をずらし、上記した第1の位置にある側壁部形成体22の一時貯留部21a〜21fのすべての下部開口部を同時に開放する第2の位置とに往復移動可能であり、これらの各位置に停止させるように、各位置にはそれぞれ図示略のセンサが設けられている。
台車部3は、下部に設けられたキャスタ30を転動させることで、装置本体2に対し前面2A側に引き出され、さらに装置本体2から取り外されて運搬される一方、前面2A側から装填されることで装置本体2に装着されるようになっている。
台車部3には、第1の位置にある側壁部形成体22および底部形成体23の鉛直下方に、前後方向に並設して複数、具体的には振分部13a〜13fと同数である六箇所の個別に仕切られた返却収容部24a,24b,24c,24d,24e,24fを有する返却ボックス26が着脱自在に設けられており、返却ボックス26の返却収容部24a〜24fは、各一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨を操作者に返却する際のそれぞれの受け入れ先となっている。
各部を制御する図1に示す制御装置(ゲート制御手段,動作制御手段)28が、図3に示すように、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23を第1の位置に位置させ側壁部形成体22の下部開口部を底部形成体23で閉塞させた状態で、複数の振分部13a〜13fからの硬貨を受け入れさせ、その後、側壁部形成体22を第1の位置に位置させたまま、図4に示すように、駆動機構部39で底部形成体23を第2の位置へ水平移動させると、一時貯留部21aに一時貯留されていた硬貨のみが下方の返却収容部24aに、一時貯留部21bに一時貯留されていた硬貨のみが下方の返却収容部24bに、一時貯留部21cに一時貯留されていた硬貨のみが下方の返却収容部24cに、一時貯留部21dに一時貯留されていた硬貨のみが下方の返却収容部24dに、一時貯留部21eに一時貯留されていた硬貨のみが下方の返却収容部24eに、一時貯留部21fに一時貯留されていた硬貨のみが下方の返却収容部24fに、それぞれ投入されることになる。なお、この返却ボックス26にあっては、六つの個別に仕切られた返却収容部24a〜24fにより構成される必要はなく、一時貯留部21a〜21fの硬貨を受け入れ可能な仕切のない、ただ一つの返却収容部によって構成しても良いものである。
さらに、返却ボックス26の側方であって第2の位置にある側壁部形成体22の鉛直下方には、前後方向に並設して複数、具体的には振分部13a〜13fと同数である六箇所の個別に仕切られた出金可能な収納繰出部27a,27b,27c,27d,27e,27fが設けられており、これら収納繰出部27a〜27fは、各一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨をそれぞれ個別に受け入れて金種別に収納する。つまり、収納繰出部27a〜27fは、入金され金種別に選別分類された硬貨を金種別に収納するように金種別に設けられている。
制御装置28が、上記と同様、図3に示すように、側壁部形成体22および底部形成体23を第1の位置に位置させ側壁部形成体22の下部開口部を底部形成体23で閉塞させた状態で、複数の振分部13a〜13fからの硬貨を受け入れさせ、その後、図5に示すように、底部形成体23はそのままで、駆動機構部36で側壁部形成体22のみを第2の位置へ水平移動させることにより、一時貯留部21aに一時貯留されていた硬貨のみが下方の収納繰出部27aに、一時貯留部21bに一時貯留されていた硬貨のみが下方の収納繰出部27bに、一時貯留部21cに一時貯留されていた硬貨のみが下方の収納繰出部27cに、一時貯留部21dに一時貯留されていた硬貨のみが下方の収納繰出部27dに、一時貯留部21eに一時貯留されていた硬貨のみが下方の収納繰出部27eに、一時貯留部21fに一時貯留されていた硬貨のみが下方の収納繰出部27fに、それぞれ投入されることになる。
収納繰出部27a〜27fは、それぞれ個別に、硬貨を出金のために計数しつつ繰り出すことが可能であり、これらから繰り出された硬貨は、これらの側方にあって前後に水平に延在するベルトコンベア31の正転で一側のエレベータ32に集められ、このエレベータ32で上部の出金口33まで搬送される。なお、ベルトコンベア31の逆側には、図示は略すが繰り出し不良があった場合にベルトコンベア31の逆転で硬貨を回収する出金回収部が設けられている。
さらに、装置本体2には、上記した制御装置28が設けられており、制御装置28は、硬貨入出金機1の全体を制御するもので、例えば、分離供給部5を制御するとともに、識別部11の識別結果および硬貨センサ16a〜16gの検出結果に基づいて振分部13a〜13eおよびリジェクト部12のシャッタ15a〜15e,15gを個別に制御する。また、図示略のセンサの検出に基づいて側壁部形成体22および底部形成体23の駆動機構部36,39を個別に制御するとともに、収納繰出部27a〜27f、ベルトコンベア31およびエレベータ32等を制御する。
加えて、装置本体2には、操作者への表示を行うとともに操作者による操作入力が行われる表示操作部(モード設定手段)29が設けられている。この表示操作部29では、入金された硬貨を出金用の硬貨として収納繰出部27a〜27fに金種別に収納する選別計数モードと、収納繰出部27a〜27fの適宜のものから硬貨を出金口33に出金する硬貨出金モードと、収納繰出部27a〜27fに収納されている硬貨数を精査する硬貨精査モードと等が選択設定可能となっている。
次に、収納繰出部27a〜27fについて、主に図6〜図8を参照して説明する。なお、収納繰出部27a〜27fはすべて同様の構造であるため、以下においては、収納繰出部27aを例示して説明する。
収納繰出部27aは、上述した底部形成体23が第1の位置にあって側壁部形成体22が第2の位置に移動したときに、一時貯留部21aのみから硬貨(つまり入金され金種別に選別分類された一金種の硬貨)を受け入れる第1の収納部51と、この第1の収納部51に対して水平方向に並設されこの第1の収納部51とは分離して硬貨を収納可能な第2の収納部52とを有している。
第1の収納部51は、図7に示すように、前後方向に幅広な収納空間形成部53と、収納空間形成部53に対し半分の幅であって収納空間形成部53の前後方向一側に偏って配置されたコンベア配置空間形成部54とからなる平面視略L字状をなしている。収納空間形成部53は、前後方向におけるコンベア配置空間形成部54とは反対側の底面部53aが、前後方向および左右方向の両方向においてコンベア配置空間形成部54が下側に位置するように傾斜する平面状の傾斜面とされ、前後方向におけるコンベア配置空間形成部54側の底面部53bが、上記底面部53aよりも低い位置で前後方向に沿い且つコンベア配置空間形成部54側が下側に位置するように傾斜する平面状の傾斜面とされている。
コンベア配置空間形成部54内には、収納空間形成部53側が下側となり、収納空間形成部53とは反対側が上側となるように傾斜するベルトコンベア(第1の搬送手段)55が配設されている。このベルトコンベア55は、無端帯状をなしており、所定の間隔で複数の棚部58が形成されていて、第1の収納部51の収納空間形成部53に投入され、その両底面部53a,53bによってコンベア配置空間形成部54側に案内された硬貨を、棚部58で係止しつつ回転することにより上側に搬送する。棚部58は、それぞれが硬貨を一枚のみ係止できる高さに設定されており、ベルトコンベア55の上側の端末位置には、ベルトコンベア55の端末位置から放出される硬貨を計数する計数センサ60が設けられている。
第2の収納部52も、第1の収納部51と同様の構成をなしており、図6に示すように、前後方向に幅広な収納空間形成部63と、収納空間形成部63に対し半分の幅であって収納空間形成部63の前後方向一側に偏って配置されたコンベア配置空間形成部64とからなる平面視略L字状をなしている。収納空間形成部63は、前後方向におけるコンベア配置空間形成部64とは反対側の底面部63aが、前後方向および左右方向の両方向においてコンベア配置空間形成部64が下側に位置するように傾斜する平面状の傾斜面とされ、前後方向におけるコンベア配置空間形成部64側の底面部63bが、上記底面部63aよりも低い位置で前後方向に沿い且つコンベア配置空間形成部64側が下側に位置するように傾斜する平面状の傾斜面とされている。
コンベア配置空間形成部64内には、収納空間形成部63側が下側となり、収納空間形成部63とは反対側が上側となるように傾斜するベルトコンベア(第2の搬送手段)65が配設されている。このベルトコンベア65は無端帯状をなしており、所定の間隔で複数の棚部68が形成されていて、第2の収納部52の収納空間形成部63に投入され、その両底面部63a,63bによってコンベア配置空間形成部64側に案内された硬貨を、棚部68で係止しつつ回転することにより上側に搬送する。
そして、平面視略L字状をなすこれらの第1の収納部51と第2の収納部52とが、互いに180度向きを異ならせ、互いにコンベア配置空間形成部54,64同士を前後に当接させ、第1の収納部51のコンベア配置空間形成部54と第2の収納部52の収納空間形成部63とを左右に当接させ、第2の収納部52のコンベア配置空間形成部64と第1の収納部51の収納空間形成部53とを左右に当接させるように配置されている。ここで、コンベア配置空間形成部54,64が収納空間形成部53,63の半幅となっていることで、第1の収納部51および第2の収納部52は、全体として左右方向に長い平面視四角形状となるように配置されている。これにより、第2の収納部52において、収納空間形成部63に投入され、両底面部63a,63bでコンベア配置空間形成部64側に案内された硬貨をベルトコンベア65が棚部68で係止しつつ上側に搬送すると、硬貨は第1の収納部51の収納空間形成部53内に放出される。つまり、第2の収納部52のベルトコンベア65は、第2の収納部52に収納されている硬貨を第1の収納部51に搬送する。なお、第1の収納部51および第2の収納部52の並設方向は左右であり、金種別の収納繰出部27a〜27fの並設方向である前後に対して直交する方向となっている。
第2の収納部52の収納空間形成部63における底面部63aの上側には、第1の収納部51のベルトコンベア55で上方に搬送される硬貨をこのベルトコンベア55から受け取って搬送しベルトコンベア31に受け渡す水平搬送用のベルトコンベア(第1の搬送手段)71が設けられている。このベルトコンベア71の上側には、ベルトコンベア71との間に硬貨一枚分の隙間をもって配置されることでベルトコンベア71上の硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラ(第1の搬送手段)72と、ベルトコンベア71によって搬送され分離ローラ72で一枚ずつに分離された硬貨の磁気的性質を検出することにより金種鑑別および計数する鑑別部(鑑別手段)73とが設けられている。つまり、第2の収納部52の上側に、ベルトコンベア71とベルトコンベア71における硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラ72と鑑別部73とが設けられている。
そして、収納繰出部27aは、ベルトコンベア71からベルトコンベア31に受け渡された硬貨を、ベルトコンベア31でそのまま搬送してエレベータ32に受け渡し、このエレベータ32で上部の出金口33に搬送する状態と、ベルトコンベア31に受け渡された硬貨を、ベルトコンベア31の搬送力を利用して第2の収納部52の収納空間形成部63内に落下させる状態とに切り替える開閉可能なゲート(硬貨振分手段)75を有している。つまり、このゲート75は、ベルトコンベア31に受け渡された硬貨の搬送先を、出金口33および第2の収納部52に選択的に振り分ける。具体的に、このゲート75はベルトコンベア31のベルトコンベア71とは反対側に設けられた鉛直軸を中心に回動することで、図8に示すようにベルトコンベア31上に進入して硬貨を第2の収納部52の案内する閉状態と、図6に示すようにベルトコンベア31上から退避する開状態とに切り替えられる。
そして、金種別の収納繰出部27a〜27fが同様の構造になっていることで、収納繰出部27a〜27fのそれぞれが、第1の収納部51と、ベルトコンベア55と、第2の収納部52と、ベルトコンベア65と、ベルトコンベア71と、分離ローラ72と、鑑別部73と、ゲート75とを備えている。
次に、第1実施形態の制御装置28の制御内容を説明する。
ここで、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23については、振分部13a〜13fの下方の第1の位置を基本位置としており、側壁部形成体22および底部形成体23を移動させた後には、必ずこれらを基本位置に戻して移動を完了する(図3に示す位置)。
「選別計数モード」
まず、表示操作部29への適宜の入力で選別計数モードが選択設定された場合を説明する。
選別計数モードが選択設定された状態で表示操作部29へのスタート操作が入力されると、制御装置28は、分離供給部5のホッパ6に金種混合で投入された硬貨を、回転円盤7の回転による遠心力によって硬貨分離部8を一枚ずつ通過させることになり、その後、識別部11で識別することになる。そして、この識別部11の識別結果に基づいて受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨を、すべてリジェクト部12でリジェクトボックス20に返却する一方、受け入れ可能と識別された真の硬貨を、金種別に選別して振り分けるように振分部13a〜13fを制御する。
つまり、識別部11で1円硬貨と識別された硬貨を、振分部13aのシャッタ15aを開いて選別孔14aから一時貯留部21aに一時貯留させる。また、識別部11で5円硬貨と識別された硬貨を、シャッタ15aを閉状態として振分部13aを通過させ、振分部13bのシャッタ15bを開いて選別孔14bから一時貯留部21bに一時貯留させる。さらに、識別部11で10円硬貨と識別された硬貨を、シャッタ15a,15bを閉状態として振分部13a,13bを通過させ、振分部13cのシャッタ15cを開いて選別孔14cから一時貯留部21cに一時貯留させる。加えて、識別部11で50円硬貨と識別された硬貨を、シャッタ15a〜15cを閉状態として振分部13a〜13cを通過させ、振分部13dのシャッタ15dを開いて選別孔14dから一時貯留部21dに一時貯留させる。また、識別部11で100円硬貨と識別された硬貨を、シャッタ15a〜15dを閉状態として振分部13a〜13dを通過させ、振分部13eのシャッタ15eを開いて選別孔14eから一時貯留部21eに一時貯留させる。さらに、識別部11で500円硬貨と識別された硬貨を、シャッタ15a〜15eを閉状態として振分部13a〜13eを通過させ、振分部13fの選別孔14fから一時貯留部21fに一時貯留させる。なお、一時貯留部21a〜21fへの各金種の振り分けのパターンは常に一定であれば上記に限らず他の設定としても良い。
そして、この一の入金処理でホッパ6に投入された硬貨のうち識別部11の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された真の硬貨がすべて、一時貯留部21a〜21fに金種別に一時貯留されると、その後、金種別の計数結果および合計金額を表示操作部29へ表示させ、操作者により表示操作部29へキャンセル操作が入力されると、制御装置28は、側壁部形成体22は第1の位置に停止させたまま、図4に示すように、駆動機構部39によって底部形成体23を第2の位置に移動させることで、一時貯留部21a〜21fに金種別に一時貯留させていた硬貨を金種別のまま返却ボックス26の返却収容部24a〜24fの対応するものに受け渡す。すると、操作者は、返却ボックス26を取り出して返却硬貨を受け取る。そして、一時貯留部21a〜21fから返却ボックス26に硬貨を受け渡した後、制御装置28は、駆動機構部39で底部形成体23を基本位置である第1の位置に戻す。
他方、操作者により表示操作部29へ承認操作が入力されると、制御装置28は、各一時貯留部21a〜21fに金種別で一時貯留させた硬貨を、収納繰出部27a〜27fに受け渡す。つまり、第1の位置にあった底部形成体23はそのままで、図5に示すように、駆動機構部36で側壁部形成体22を第2の位置へ水平移動させることにより、一時貯留部21a〜21fに金種別に一時貯留させていた硬貨を金種別のまま収納繰出部27a〜27fの対応するものに受け渡す。つまり、入金された硬貨を金種別に選別分類して金種別の収納繰出部27a〜27fに収納する。このとき、すべての収納繰出部27a〜27fにおいて、第1の収納部51内に硬貨が投入され、第2の収納部52に投入されることはない。そして、一時貯留部21a〜21fから収納繰出部27a〜27fに硬貨を受け渡した後、制御装置28は、駆動機構部36で側壁部形成体22を基本位置である第1の位置に戻す。
「硬貨出金モード」
次に、表示操作部29への適宜の入力で硬貨出金モードが選択設定された場合を説明する。
硬貨出金モードが選択され出金の金種別の硬貨枚数が設定された状態で表示操作部29へのスタート操作が入力されると、制御装置28は、表示操作部29によって設定された硬貨出金モードに対応して、図6に示すようにゲート75を開状態としたまま、収納繰出部27a〜27fのうちの出金対象のものについて、第1の収納部51に設けられたベルトコンベア55およびベルトコンベア71をベルトコンベア31に向けて硬貨を搬送する方向に駆動するとともに、ベルトコンベア31を、下限位置で待機するエレベータ32に向けて硬貨を搬送する方向に駆動する。
すると、収納繰出部27a〜27fのうちの出金対象のものにおいて、第1の収納部51に収納されていた硬貨が、ベルトコンベア55で一枚ずつ棚部58に係止されて搬送され、さらに、ベルトコンベア71および分離ローラ72で一枚ずつに分離されて搬送される。制御装置28は、計数センサ60で出金に必要な枚数の硬貨が計数されるとベルトコンベア55を停止させることになり、ベルトコンベア71および分離ローラ72で一枚ずつに分離された硬貨を鑑別部73で金種鑑別および計数を行いながらベルトコンベア31に受け渡した後に、ベルトコンベア71を停止させる。そして、収納繰出部27a〜27fのうち出金対象の硬貨を収納しているものすべてから出金対象の枚数の硬貨をすべてベルトコンベア31に繰り出させ、ベルトコンベア31ですべての硬貨をエレベータ32に受け渡すと、制御装置28は、ベルトコンベア31を停止させるとともに、エレベータ32を上昇させて出金口33に硬貨を放出する。これにより、出金口33から出金対象の金種および枚数の硬貨が取り出し可能となる。つまり、金種別の収納繰出部27a〜27fから必要に応じて硬貨を出金口33に出金する。
なお、鑑別部73とベルトコンベア31との距離を近づけ、鑑別部73で硬貨を検出した時点でベルトコンベア71を停止させると、その直前に鑑別部73で検出した硬貨のベルトコンベア31への受け渡しが完了するように設定しても良い。この場合、制御装置28は、計数センサ60を設けずに、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72で一枚ずつに分離されて搬送される硬貨をベルトコンベア31に繰り出し、鑑別部73で出金枚数を超える最初の硬貨を検出した時点で、これらを停止させることになり、次の出金処理では、この鑑別部73の検出位置で停止している硬貨から計数を開始することになる。
「硬貨精査モード」
次に、表示操作部29への適宜の入力で硬貨精査モードが選択設定された場合を説明する。
硬貨精査モードが選択された状態で表示操作部29へのスタート操作が入力されると、制御装置28は、収納繰出部27a〜27fのすべてについて、表示操作部29によって設定された硬貨精査モードに対応して、図8に示すようにゲート75を閉状態に切り替えるとともに、同時につまり並行して第1の収納部51に設けられたベルトコンベア55およびベルトコンベア71をベルトコンベア31に向けて硬貨を搬送する方向に駆動するとともに、ベルトコンベア31をエレベータ32側に向けて硬貨を搬送する方向に駆動する。
すると、収納繰出部27a〜27fのそれぞれにおいて、第1の収納部51に収納されていた硬貨が、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72で一枚ずつに分離されて搬送される。制御装置28は、このように一枚ずつに分離された硬貨を鑑別部73で金種鑑別および計数を行いながら、ベルトコンベア31に受け渡し、ゲート75で同じ収納繰出部を構成する第2の収納部52に放出させる。なお、第2の収納部52に設けられたベルトコンベア65はこのとき停止状態にあり、硬貨は第2の収納部52内に収納される。そして、収納繰出部27a〜27fのそれぞれにおいて、第1の収納部51の底部に硬貨が存在しなくなったことが底部に設けられた図示略のセンサにより検出され、その後、鑑別部73で硬貨を検出しなくなってから所定時間経過すると、第1の収納部51のすべての硬貨が同じ収納繰出部を構成する第2の収納部52に収納されたと判断して、制御装置28は、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71およびベルトコンベア31を停止状態とし、ゲート75を開状態に戻す。そして、すべての収納繰出部27a〜27fの鑑別部73による鑑別結果(各金種別の硬貨枚数)を表示操作部29に表示させるとともに、記憶部に記憶させる。
その後、制御装置28は、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71およびベルトコンベア31を停止状態のまま、第2の収納部52に設けられたベルトコンベア65を駆動して、第2の収納部52の硬貨を第1の収納部51に戻す。このとき、第2の収納部52の底部に硬貨が存在しなくなったことが底部に設けられた図示略のセンサにより検出され、その後、所定時間経過すると、制御装置28は、第2の収納部52のすべての硬貨が同じ収納繰出部を構成する第1の収納部51に収納されたと判断して、ベルトコンベア65を停止状態として、硬貨精査モードを終了する。
なお、精査処理中に異金種硬貨を鑑別部73が検出した場合に、制御装置28は、この異金種硬貨がベルトコンベア31に繰り出される直前のタイミングで収納繰出部27a〜27fのすべてのベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72を一旦停止させる。その後、ベルトコンベア31の硬貨がすべて対応する第2の収納部52に収納されるタイミングで、ベルトコンベア31を停止させるとともに収納繰出部27a〜27fのすべてのゲート75を開状態として、ベルトコンベア31を逆転させ、異金種硬貨のみをベルトコンベア31に繰り出させて出金回収部に回収する。その後、精査処理を再開する。
以上により、制御装置28は、表示操作部29によって硬貨精査モードが設定された場合、第1の収納部51の全硬貨をベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72によって一枚ずつ分離して搬送し鑑別部73によって金種鑑別および計数して、ベルトコンベア31およびゲート75により第2の収納部52に収納し、その後、ベルトコンベア65によって第1の収納部51に戻す精査処理を、全金種の収納繰出部27a〜27fについて並行して行わせる。
なお、第2の収納部52のベルトコンベア65の上部に硬貨を計数する計数センサを設けておき、第1の収納部51からすべての硬貨を第2の収納部52に収納し、第2の収納部52からベルトコンベア65によって第1の収納部51に硬貨を搬送する際に、この計数センサで計数を行って枚数を確認しても良い。
以上に述べた第1実施形態の硬貨入出金機1によれば、金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれについて、第1の収納部51から、硬貨を、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72によって一枚ずつ分離して搬送しつつ、鑑別部73によって金種鑑別および計数し、ゲート75によって出金口33に向けて振り分ければ、出金することができる。また、金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれについて、第1の収納部51から、硬貨を、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72によって一枚ずつ分離して搬送しつつ、鑑別部73によって金種鑑別および計数し、ベルトコンベア31およびゲート75によって、第2の収納部52に振り分ければ、精査処理を行うことができる。しかも、その後に第2の収納部52からベルトコンベア65によって第1の収納部51に硬貨を戻せば再び出金口33への出金が可能な状態となる。そして、第1の収納部51、第2の収納部52、ベルトコンベア55、ベルトコンベア71および分離ローラ72、ベルトコンベア65、鑑別部73およびゲート75が金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれに設けられており、硬貨精査モードが設定された場合に、制御装置28が全金種の収納繰出部27a〜27fに並行して精査処理を行わせるため、精査処理を短時間で行うことができる。
また、第1の収納部51に対して第2の収納部52が水平方向に並設されているため、上下方向の大型化を抑制できるとともに、第1の収納部51および第2の収納部52の並設方向を、金種別の収納繰出部27a〜27fの並設方向に対して直交する方向にしていることから、全体としての水平方向の大型化も抑制できる。
また、第1の収納部51から出金口33に向けて硬貨を搬送する出金処理および第1の収納部51から第2の収納部52に向けて硬貨を搬送する精査処理のいずれにおいても、分離ローラ72によって硬貨を一枚ずつに分離するため、鑑別部73での鑑別を簡素な構造で適正に行うことができる。また、第2の収納部52の上側に分離ローラ72と鑑別部73とが設けられるため、分離ローラ72および鑑別部73をコンパクトに配置できる。
また、鑑別部73によって鑑別および計数された硬貨を、開閉可能なゲート75によって第2の収納部52および出金口33に選択的に振り分けるため、簡素な構造で振り分けを行うことができる。
また、表示操作部29によって設定されたモードに基づいて制御装置28がゲート75の開閉を制御するため、モードに合わせてゲート75を開閉できる。
また、第1の収納部51が、幅広の収納空間形成部53と、幅狭であってベルトコンベア55が配置されるコンベア配置空間形成部54とを有して平面視略L字状をなしており、第2の収納部52が、同様に、幅広の収納空間形成部63と、幅狭であってベルトコンベア65が配置されるコンベア配置空間形成部64とを有して平面視略L字状をなしていて、これら収納部51,52が、互いに180度向きを異ならせ互いにコンベア配置空間形成部54,64を隣接配置して全体として四角形状となるように配置されているため、収納空間形成部53,63の大きさを大きくして硬貨の収納量を確保しつつ、二つの収納部51,52をコンパクトに配置できる。
次に、本発明の第2実施形態の硬貨入出金機を主に図9および図10を参照して第1実施形態との相違部分を中心に以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、その説明は略す。
第2実施形態では、金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれについて、図9および図10に収納繰出部27aを例示するように、第1実施形態のベルトコンベア71、分離ローラ72およびゲート75にかえて、ベルトコンベア55で上昇搬送されてきた硬貨を受け入れるホッパ(第1の搬送手段)80と、ホッパ80の底面を形成する水平回転可能な回転円盤(第1の搬送手段)81と、ホッパ80の、ベルトコンベア55とは反対側に設けられ、硬貨一枚分の開口を有し回転円盤81の遠心力で外側に移動する硬貨を一枚ずつに分離して繰り出すとともに繰り出しのタイミングを制御可能な分離繰出部(第1の搬送手段)82と、分離繰出部82から繰り出された硬貨を案内する水平直線状の搬送通路(第1の搬送手段)83と、分離繰出部82から繰り出された硬貨を搬送通路83に上から押し付けながら分離繰出部82とは反対側つまりベルトコンベア31側に搬送する搬送ベルト(第1の搬送手段)84と、搬送通路83上の硬貨を鑑別および計数する鑑別部73と、鑑別部73で鑑別後の搬送通路83上の硬貨を落下させる開閉可能なゲート(硬貨振分手段)85とが設けられている。これらホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83、搬送ベルト84、鑑別部73およびゲート85は、第2の収納部52の収納空間形成部63における底面部63aの上側に設けられている。その結果、ゲート85が開かれることで搬送通路83から落下する硬貨は第2の収納部52の収納空間形成部63内に落下する。
次に、第2実施形態の制御装置28の制御内容を説明する。なお、選別計数モードは、第1実施形態と同様であるため説明は略す。
「硬貨出金モード」
表示操作部29への適宜の入力で硬貨出金モードが選択設定された場合を説明する。
硬貨出金モードが選択され出金の金種別の硬貨枚数が設定された状態で表示操作部29へのスタート操作が入力されると、制御装置28は、表示操作部29によって設定された硬貨出金モードに対応してゲート85を閉状態としたまま、収納繰出部27a〜27fのうちの出金対象のものについて、第1の収納部51に設けられたベルトコンベア55、回転円盤81および搬送ベルト84をベルトコンベア31に向けて硬貨を搬送する方向に駆動するとともに、ベルトコンベア31を、下限位置で待機するエレベータ32に向けて硬貨を搬送する方向に駆動する。
すると、収納繰出部27a〜27fのうちの出金対象のものにおいて、第1の収納部51に収納されていた硬貨が、ベルトコンベア55の棚部58で一枚ずつ係止されて搬送され、さらに、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83および搬送ベルト84で一枚ずつに分離されて搬送される。制御装置28は、計数センサ60で出金に必要な枚数の硬貨が計数されるとベルトコンベア55を停止させることになり、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83および搬送ベルト84で一枚ずつに分離された硬貨を鑑別部73で金種鑑別および計数を行い、ベルトコンベア31に受け渡した後に、回転円盤81および搬送ベルト84を停止させる。そして、収納繰出部27a〜27fのうち出金対象の硬貨を収納しているものすべてから出金対象の枚数の硬貨をすべてベルトコンベア31に繰り出させ、ベルトコンベア31ですべての硬貨をエレベータ32に受け渡すと、制御装置28は、ベルトコンベア31を停止させるとともに、エレベータ32を上昇させて出金口33に硬貨を放出する。これにより、出金口33から出金対象の金種および枚数の硬貨が取り出し可能となる。
「硬貨精査モード」
次に、表示操作部29への適宜の入力で硬貨精査モードが選択設定された場合を説明する。
硬貨精査モードが選択された状態で表示操作部29へのスタート操作が入力されると、制御装置28は、収納繰出部27a〜27fのすべてについて、表示操作部29によって設定された硬貨精査モードに対応して、図10に示すようにゲート85を開状態に切り替えるとともに、同時につまり並行して第1の収納部51に設けられたベルトコンベア55、回転円盤81、搬送ベルト84をベルトコンベア31に向けて硬貨を搬送する方向に駆動する。ベルトコンベア31は停止状態を維持する。
すると、収納繰出部27a〜27fのそれぞれにおいて、第1の収納部51に収納されていた硬貨が、ベルトコンベア55、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83および搬送ベルト84で一枚ずつに分離されて搬送される。制御装置28は、このように一枚ずつに分離された硬貨を鑑別部73で金種鑑別および計数を行いながら、開状態のゲート85で搬送通路83から同じ収納繰出部を構成する第2の収納部52の収納空間形成部63に放出する。このとき、第2の収納部52に設けられたベルトコンベア65は停止状態にあり、硬貨は第2の収納部52に収納される。そして、収納繰出部27a〜27fのそれぞれにおいて、第1の収納部51の底部に硬貨が存在しなくなったことが底部に設けられた図示略のセンサにより検出され、その後、鑑別部73で硬貨を検出しなくなってから所定時間経過すると、第1の収納部51のすべての硬貨が同じ収納繰出部を構成する第2の収納部52に収納されたと判断して、制御装置28は、ベルトコンベア55、回転円盤81および搬送ベルト84を停止状態とし、ゲート85を閉状態に戻す。そして、すべての収納繰出部27a〜27fの鑑別部73による鑑別結果を表示操作部29に表示させるとともに、記憶部に記憶させる。
その後、制御装置28は、ベルトコンベア55、回転円盤81および搬送ベルト84を停止状態のまま、第2の収納部52に設けられたベルトコンベア65を駆動して、第2の収納部52の硬貨を第1の収納部51に戻し、第2の収納部52の底部に硬貨が存在しなくなったことが底部に設けられた図示略のセンサにより検出され、その後、所定時間経過すると、第2の収納部52のすべての硬貨が同じ収納繰出部を構成する第1の収納部51に収納されたと判断して、ベルトコンベア65を停止状態とし、硬貨精査モードを終了する。
なお、精査処理中に、異金種硬貨を鑑別部73が検出した場合には、この異金種硬貨については、ゲート85を閉じることで停止時状態のベルトコンベア31に繰り出すことになる。そして、制御装置28は、このような異金種硬貨が精査処理で検出された場合には、この異金種硬貨をベルトコンベア31で出金回収部に回収する。
以上により、制御装置28は、表示操作部29によって硬貨精査モードが設定された場合、第1の収納部51の全硬貨をベルトコンベア55、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83および搬送ベルト84によって一枚ずつ分離して搬送し鑑別部73によって金種鑑別および計数して、ゲート85により第2の収納部52に収納し、その後、ベルトコンベア65によって第1の収納部51に戻す精査処理を、全金種の収納繰出部27a〜27fについて並行して行わせる。
以上に述べた第2実施形態の硬貨入出金機1によれば、金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれについて、第1の収納部51から、硬貨を、ベルトコンベア55、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83および搬送ベルト84によって一枚ずつ分離して搬送しつつ、鑑別部73によって金種鑑別および計数し、ゲート85によって出金口33に向けて振り分ければ、出金することができる。また、金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれについて、第1の収納部51から、硬貨を、ベルトコンベア55、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83および搬送ベルト84によって一枚ずつ分離して搬送しつつ、鑑別部73によって金種鑑別および計数し、ゲート85によって、第2の収納部52に振り分ければ、精査処理を行うことができる。しかも、その後に第2の収納部52からベルトコンベア65によって第1の収納部51に硬貨を戻せば再び出金口33への出金が可能な状態となる。そして、第1の収納部51、第2の収納部52、ベルトコンベア55、ベルトコンベア65、ホッパ80、回転円盤81、分離繰出部82、搬送通路83、搬送ベルト84、鑑別部73およびゲート85が金種別の収納繰出部27a〜27fのそれぞれに設けられており、硬貨精査モードが設定された場合に、制御装置28が全金種の収納繰出部27a〜27fに並行して精査処理を行わせるため、第1実施形態と同様に、精査処理を短時間で行うことができる。
また、第1の収納部51から出金口33に向けて硬貨を搬送する出金処理および第1の収納部51から第2の収納部52に向けて硬貨を搬送する精査処理のいずれにおいても、回転する回転円盤81の遠心力で外側に移動する硬貨を分離繰出部82で一枚ずつに分離して繰り出すため、詰まり等を生じにくく鑑別部73での鑑別のために確実に分離することができる。
また、第2の収納部52の上側に、回転円盤81、分離繰出部82および鑑別部73が設けられているため、回転円盤81、分離繰出部82および鑑別部73をコンパクトに配置できる。
本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の全体構成を概略的に示す側断面図である。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の下部構成を概略的に示す別の側断面図である。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の下部構成を概略的に示す正断面図であって、側壁部形成体および底部形成体の両方が第1の位置に位置する状態を示すものである。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の下部構成を概略的に示す正断面図であって、側壁部形成体が第1の位置にあり、底部形成体が第2の位置にある状態を示すものである。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の下部構成を概略的に示す正断面図であって、側壁部形成体が第2の位置にあり、底部形成体が第1の位置にある状態を示すものである。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の収納繰出部を示すもので、(a)は平面図、(b)は正断面図である。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の第1の収納部を示すもので、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は側断面図である。 本発明の第1実施形態の硬貨入出金機の収納繰出部を示すもので、(a)は平面図、(b)は正断面図である。 本発明の第2実施形態の硬貨入出金機の収納繰出部を示すもので、(a)は平面図、(b)は正断面図である。 本発明の第2実施形態の硬貨入出金機の収納繰出部を示すもので、(a)は平面図、(b)は正断面図である。
符号の説明
1 硬貨入出金機
27a〜27f 収納繰出部
28 制御装置(ゲート制御手段,動作制御手段)
29 表示操作部(モード設定手段)
33 出金口
51 第1の収納部
52 第2の収納部
53,63 収納空間形成部
54,64 コンベア配置空間形成部
55 ベルトコンベア(第1の搬送手段)
65 ベルトコンベア(第2の搬送手段)
71 ベルトコンベア(第1の搬送手段)
72 分離ローラ(第1の搬送手段)
73 鑑別部(鑑別手段)
75 ゲート(硬貨振分手段)
80 ホッパ(第1の搬送手段)
81 回転円盤(第1の搬送手段)
82 分離繰出部(第1の搬送手段)
83 搬送通路(第1の搬送手段)
84 搬送ベルト(第1の搬送手段)
85 ゲート(硬貨振分手段)

Claims (7)

  1. 入金された硬貨を金種別に選別分類して金種別の収納繰出部に収納するとともに、これら金種別の収納繰出部から必要に応じて硬貨を出金口に出金する硬貨入出金機において、
    前記金種別の収納繰出部のそれぞれが、入金され金種別に選別分類された硬貨を受け入れる第1の収納部と、該第1の収納部に対して水平方向に並設され該第1の収納部とは分離して硬貨を収納可能な第2の収納部と、前記第1の収納部に収納されている硬貨を一枚ずつ分離して搬送する第1の搬送手段と、該第1の搬送手段によって搬送される硬貨を金種鑑別および計数する鑑別手段と、該鑑別手段によって鑑別および計数された硬貨を、前記出金口および前記第2の収納部に選択的に振り分ける硬貨振分手段と、前記第2の収納部に収納されている硬貨を前記第1の収納部に搬送する第2の搬送手段とを備えることを特徴とする硬貨入出金機。
  2. 前記第2の収納部の上側に、前記第1の搬送手段における硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラと、前記鑑別手段とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の硬貨入出金機。
  3. 前記第2の収納部の上側に、前記第1の搬送手段における回転する回転円盤および該回転円盤の遠心力で外側に移動する硬貨を一枚ずつ分離して繰り出す分離繰出部と、前記鑑別手段とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の硬貨入出金機。
  4. 前記硬貨振分手段は、開閉可能なゲートを備えており、
    硬貨出金モードと硬貨精査モードとのいずれか一方に選択設定されるモード設定手段と、該モード設定手段によって設定されたモードに基づいて前記ゲートの開閉を制御するゲート制御手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬貨入出金機。
  5. 前記モード設定手段によって硬貨精査モードが設定された場合、前記第1の収納部の全硬貨を前記第1の搬送手段によって一枚ずつ分離して搬送し前記鑑別手段によって金種鑑別および計数して、前記硬貨振分手段により前記第2の収納部に収納した後、前記第2の搬送手段によって前記第1の収納部に戻す精査処理を、全金種の前記収納繰出部について並行して行わせる動作制御手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の硬貨入出金機。
  6. 前記第1の収納部と前記第2の収納部とがそれぞれ平面視略L字状をなし、互いに180度向きを異ならせ全体として平面視四角形状となるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬貨入出金機。
  7. 前記第1の収納部が、幅広であって硬貨を収納する収納空間形成部と、幅狭であって前記第1の搬送手段としてのベルトコンベアが配置されるコンベア配置空間形成部とを有して平面視略L字状をなしており、
    前記第2の収納部も、幅広であって硬貨を収納する収納空間形成部と、幅狭であって前記第2の搬送手段としてのベルトコンベアが配置されるコンベア配置空間形成部とを有して平面視略L字状をなしていて、
    前記第1の収納部と前記第2の収納部とが互いに前記コンベア配置空間形成部を隣接配置していることを特徴とする請求項6に記載の硬貨入出金機。
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