本発明の一実施形態に係る硬貨処理機を図面を参照して以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る硬貨処理機1を概略的に示すもので、硬貨処理機1は、処理機本体2と、この処理機本体2に対し着脱可能な台車部3とを有している。以下の説明における前後左右は、硬貨処理機1の前(操作者から見て手前側)、硬貨処理機1の後(操作者から見て奥側)および硬貨処理機1の左右(操作者から見て左右)である。
処理機本体2には、一括投入された硬貨を分離して搬送する分離供給部(分離供給手段)5が上部に設けられている。この分離供給部5は、バラ硬貨が一括投入されるホッパ6と、このホッパ6の下側にその底部を形成するように設けられた水平旋回可能な回転円盤7と、硬貨が一枚のみ通過可能な開口を有し回転円盤7の回転時の遠心力で硬貨を一枚ずつ繰り出す硬貨分離部8と、硬貨分離部8で一枚ずつ繰り出された硬貨を水平に搬送する硬貨搬送部9とを有している。
また、処理機本体2には、硬貨搬送部9で搬送中の硬貨の真偽及び金種を識別し計数する識別部(識別手段)11が硬貨搬送部9の上流側に設けられ、硬貨搬送部9におけるこの識別部11の下流側には、識別部11の識別結果に基づいて真以外の硬貨と識別された受け入れ不可なリジェクト硬貨を排除するリジェクト部(排除手段)12が設けられて、さらに、硬貨搬送部9におけるリジェクト部12の下流側には、識別部11の識別結果に基づいて真の硬貨であって受け入れ可能と識別された硬貨を金種別に振り分ける複数箇所、具体的には取り扱う硬貨(日本国内では1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨)の種類と同数の六箇所の金種別の振分部(振分手段)13a〜13fが硬貨搬送部9の搬送方向に沿ってこの順に設けられている。
ここで、これら振分部13a〜13fは、すべて、取り扱う最大径の硬貨(日本国内では500円硬貨)を落下可能な選別孔14a〜14fを有しており、これらのうち上流側の五つの振分部13a〜13eには、図2に示す個別のシャッタソレノイド17a〜17eで駆動されて選別孔14a〜14eを個別に開閉可能なシャッタ15a〜15eが設けられている。さらに、各振分部13a〜13fのそれぞれの上流側には、硬貨の通過を検出する硬貨センサ16a〜16fが設けられている。同様に、リジェクト部12も、リジェクト孔14gと、シャッタソレノイド17gで駆動されてリジェクト孔14gを開閉可能なシャッタ15gと、上流側の硬貨センサ16gとを有している。なお、硬貨センサ16a〜16gは、シャッタ15a〜15e,15gのうちの対応するものの開閉タイミングを制御するために用いられ、また、硬貨の搬送ジャムの有無を検出するために用いられる。
また、処理機本体2は、リジェクト部12で硬貨搬送部9から排除された硬貨を受け入れる着脱自在のリジェクトボックス20と、各振分部13a〜13fに一対一で対応して設けられ、各振分部13a〜13fで振り分けられた硬貨を、金種別のシュート19a〜19fを介して一時貯留させる複数箇所、具体的には取り扱う金種と同数の六箇所の金種別の一時貯留部(一時貯留手段)21a〜21fとを有している。
一時貯留部21a〜21fは、左右方向に往復移動可能な共通の側壁部形成体22にそれぞれの、鉛直方向に沿いかつ上下に開口する筒状の側壁部が個別に形成されており、この側壁部形成体22の下側に左右方向に往復移動可能に設けられた共通の底部形成体23でそれぞれの底部が形成されている。これら側壁部形成体22および底部形成体23は、これらに共通の図2に示す一時貯留モータ26を含む一時貯留駆動部27で駆動される。
ここで、図4に示すように、側壁部形成体22および底部形成体23がともに移動範囲の中央の待機位置に位置する待機状態にあるとき、最も上流側の一時貯留部21aは、最も上流側の振分部13aの鉛直下方に設けられており、この振分部13aのシャッタ15aが開かれることで選別孔14aから落下された硬貨のみをシュート19aを介して受け入れて一時貯留させる。同様に、一時貯留部21bは、振分部13bにてシャッタ15bの開作動で選別孔14bから落下された硬貨のみをシュート19bを介して、一時貯留部21cは、振分部13cにてシャッタ15cの開作動で選別孔14cから落下された硬貨のみをシュート19cを介して、一時貯留部21dは、振分部13dにてシャッタ15dの開作動で選別孔14dから落下された硬貨のみをシュート19dを介して、一時貯留部21eは、振分部13eにてシャッタ15eの開作動で選別孔14eから落下された硬貨のみをシュート19eを介して、一時貯留部21fは、振分部13fにて選別孔14fから落下された硬貨のみをシュート19fを介して、それぞれ一時貯留させる。
また、側壁部形成体22および底部形成体23がともに移動範囲の中央の待機位置に位置する待機状態から、一時貯留駆動部27の一時貯留モータ26の正回転で、図5(a)に示すように、側壁部形成体22が移動方向一側に移動しかつ底部形成体23が移動方向他側に移動すると、一時貯留部21a〜21fに貯留された硬貨が前記移動方向一側から落下する。他方、待機状態から一時貯留駆動部27の一時貯留モータ26の逆回転で、図5(b)に示すように、側壁部形成体22が前記移動方向他側に移動しかつ底部形成体23が前記移動方向一側に移動すると、一時貯留部21a〜21fに貯留された硬貨が前記移動方向他側から落下する。
一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23の移動方向一側の下方には、図3に示すように、前後方向に並設して複数具体的には金種と同数の六つの個別に仕切られた金種別の返却収容部(返却手段)25a〜25fを有する返却ボックス25が装置本体2に対し着脱自在に設けられている。返却ボックス25は、一時貯留部21a〜21fの硬貨を受け入れて機外に返却するためのものである。
返却ボックス25の返却収容部25a〜25fは、金種別の一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨を、金種別に返却可能に受け入れる。つまり、一時貯留部21a〜21fの側壁部形成体22が待機位置から、図5(a)に示すように、返却ボックス25の方向の返却位置まで移動するとともに、底部形成体23が待機位置から返却ボックス25とは反対方向の返却位置まで移動すると、一時貯留部21aに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25aに、一時貯留部21bに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25bに、一時貯留部21cに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25cに、一時貯留部21dに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25dに、一時貯留部21eに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25eに、一時貯留部21fに一時貯留されていた硬貨のみが返却収容部25fに、それぞれ投入されることになる。よって、返却ボックス25が処理機本体2から引き出されることで、返却収容部25a〜25fから金種別に硬貨が返却される。
一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23の移動方向他側の下方には、一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨を受け入れる図1に示す収納切替部(収納切替手段)30が設けられている。この収納切替部30は、図4に示すように返却ボックス25と並設されている。この収納切替部30は、側壁部形成体22および底部形成体23の移動方向他側の下方に配置されるとともに、一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨を受け入れる貯留枠31および貯留底板32を有している。
貯留枠31および貯留底板32は、図1に示すように、一度に一時貯留部21a〜21fのうちの全部ではなく一部から硬貨を受け入れる大きさであり、全ての一時貯留部21a〜21fから硬貨を受け入れ可能となるように前後方向に個別に往復移動可能となっている。よって、貯留枠31は、図2に示す専用の貯留枠モータ35を含む貯留枠駆動部36で駆動され、貯留底板32も、専用の貯留底板モータ37を含む貯留底板駆動部38で駆動される。貯留枠31は鉛直方向に沿う筒状をなして上下に開口しており、貯留底板32は、貯留枠31と水平方向に一致すると貯留枠31の下部開口を閉塞することになり、貯留枠31から水平方向にずれて貯留枠31の下部開口を開放する。
ここで、貯留枠31および貯留底板32は、図6(b)に示すように、互いに一致して前後方向前側の第1の位置に位置すると、図5(b)に示すように一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22が待機位置から収納切替部30の方向の収納位置まで移動し、かつ底部形成体23が待機位置から収納切替部30とは反対方向の収納位置まで移動したときに、図6(b)に示すように、一時貯留部21a〜21fの一部である前後方向前側半分の一時貯留部21a〜21cの下方に位置して、これら一時貯留部21a〜21cのみから硬貨を金種混合状態で受け入れることになる。
また、貯留枠31および貯留底板32は、図1に示すように、互いに一致して前後方向後側の第2の位置に位置すると、図5(b)に示すように一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22が待機位置から収納切替部30の方向の収納位置まで移動し、かつ底部形成体23が待機位置から収納切替部30とは反対方向の収納位置まで移動したときに、図1に示すように、一時貯留部21a〜21fの残り全部である前後方向後側半分の一時貯留部21d〜21fの下方に位置して、これら一時貯留部21d〜21fからの硬貨を一括つまり金種混合状態で受け入れることになる。貯留底板32および貯留枠31は、これら第1の位置と第2の位置との二つの位置に移動可能とされている。
また、貯留枠31および貯留底板32は、図6(b)に示すように、互いに一致する前後方向前側の第1の位置に位置した状態から、貯留枠モータ35で駆動されて図6(c)に示すように、貯留枠31のみが前後方向後側に移動して互いに一致せず貯留枠31の下部開口を開放する状態になると、受け入れた硬貨を前後方向後側に落下させることになる。貯留枠31および貯留底板32は、図1に示すように、互いに一致する前後方向後側の第2の位置に位置した状態から、貯留枠モータ35で駆動されて、図6(a)に示すように貯留枠31のみが前後方向前側に移動して互いに一致せず貯留枠31の下部開口を開放する状態になると、受け入れた硬貨を前後方向前側に落下させることになる。
図1に示す台車部3は、下部に設けられたキャスタ40を転動させることで、処理機本体2に対し前面2A側に引き出され、さらに処理機本体2から取り外されて運搬される一方、前面2A側から装填されることで処理機本体2に装着されるようになっている。
台車部3には、一時貯留部21a〜21fの硬貨を受け入れて収納する、複数具体的には一時貯留部21a〜21fよりも少ない二つの収納金庫(収納手段)41A,41Bが、前後方向に並設して個別に着脱可能に設けられている。前後方向前側の収納金庫41Aは、一部の一時貯留部21a〜21cの鉛直下方に配置されており、前後方向後側の収納金庫41Bは、残り全部の一時貯留部21d〜21fの鉛直下方に配置されている。言い換えれば、前後方向前側の収納金庫41Aは、図6(b)に示すように第1の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32の鉛直下方に配置されており、前後方向後側の収納金庫41Bは、図1に示すように第2の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32の鉛直下方に配置されている。
よって、前後方向前側の収納金庫41Aは、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32の第1の位置の下方に配置されており、図1に示すように収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32が第2の位置にあるとき、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23が待機位置から収納位置まで移動すると、一部の一時貯留部21a〜21cから落下する硬貨を収納する。また、前後方向後側の収納金庫41Bは、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32の第2の位置の下方に配置されており、図6(b)に示すように収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32が第1の位置にあるとき、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23が待機位置から収納位置まで移動すると、残り全部の一時貯留部21d〜21fから落下する硬貨を収納する。
一方で、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32は、図1に示すように第2の位置にあるとき、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23が待機位置から収納位置まで移動すると、一時貯留部21d〜21fから落下する硬貨を受け入れることになり、この状態から、貯留枠モータ35で駆動されて図6(a)に示すように貯留枠31のみが前後方向前側に移動して貯留枠31の下部開口を開放する状態になると、収納切替部30は、受け入れた硬貨を前後方向前側の収納金庫41Aに収納する。また、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32は、図6(b)に示すように第1の位置にあるとき、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23が待機位置から収納位置まで移動すると、一時貯留部21a〜21cから落下する硬貨を受け入れることになり、この状態から、貯留枠モータ35で駆動されて図6(c)に示すように貯留枠31のみが前後方向後側に移動して貯留枠31の下部開口を開放する状態になると、受け入れた硬貨を前後方向後側の収納金庫41Bに収納する。よって、収納切替部30は、複数の一時貯留部21a〜21fに一時貯留された全ての硬貨を、収納金庫41A,41Bのうちの一つに選択的に収納することになる。
収納金庫41Aには、その入金残容量の余裕が少ないニアフル状態を検知するニアフルセンサ(検知手段)48Aが設けられている。このニアフルセンサは、硬貨を検知しない状態から検知する状態に切り替わったニアフル検知時から、例えば、収納切替部30で受け入れ可能な硬貨量(言い換えれば、一時貯留部21a〜21cで貯留可能な硬貨量であり、一時貯留部21d〜21fで貯留可能な硬貨量)の収納金庫41Aへの収納を許容する位置に配置されている。よって、言い換えれば、ニアフルセンサは、ニアフル検知時から収納切替部30で一回の収納が行われると、入金残容量がないフル状態となることを検知する。収納金庫41Bにも、同様のニアフルセンサ(検知手段)48Bが設けられている。
図2に示すように、分離供給部5、識別部11、硬貨センサ16a〜16g、およびシャッタソレノイド17a〜17e,17gは、制御部50に接続されている。制御部50には、一時貯留部21a〜21fを構成する側壁部形成体22および底部形成体23を移動させる上記した一時貯留モータ26を含む一時貯留駆動部27と、貯留枠31を移動させる上記した貯留枠モータ35を含む貯留枠駆動部36と、貯留底板32を移動させる上記した貯留底板モータ37を含む貯留底板駆動部38と、上記したニアフルセンサ48A,48Bと、操作入力を受け付けるとともに案内表示を行う表示操作部52とが接続されている。貯留枠駆動部36および貯留底板駆動部38は、例えば、ボールネジ方式で、貯留枠駆動部36は、貯留枠モータ35を回転させると、タイミングベルトを介してボールネジの軸が回りボールネジに一部螺合する貯留枠31を前後に移動させる。同様に、貯留底板駆動部38は、貯留底板モータ37を回転させると、タイミングベルトを介してボールネジの軸が回りボールネジに一部螺合する貯留底板32を前後に移動させる。
次に、制御部50の制御内容を説明する。
まず、収納金庫41A,41Bの回収時に、制御部50は、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32を、図1に示すように初期位置である前後方向後側の第2の位置に配置することになり、よって、回収直後であって収納金庫41A,41Bが空の状態では、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32は第2の位置で待機する。
この状態で、例えば、分離供給部5のホッパ6に硬貨が投入されて表示操作部52に入金処理の実行操作が入力されると、制御部50は、分離供給部5を駆動することになる。そして、制御部50は、分離供給部5から繰り出された硬貨のうち、識別部11の識別結果に基づいて受け入れ不可と識別されたリジェクト硬貨を、すべてリジェクト部12でリジェクトボックス20に返却する一方、受け入れ可能と識別された真の硬貨を、金種別に選別して待機位置にある一時貯留部21a〜21fに振り分けるようにシャッタソレノイド17a〜17eを制御する。つまり、識別部11で1円硬貨と識別された硬貨を、振分部13aのシャッタ15aをシャッタソレノイド17aで開いて選別孔14aから一時貯留部21aに一時貯留させる。同様に、5円硬貨と識別された硬貨を、振分部13bのシャッタ15bをシャッタソレノイド17bで開いて選別孔14bから一時貯留部21bに、10円硬貨と識別された硬貨を、振分部13cのシャッタ15cをシャッタソレノイド17cで開いて選別孔14cから一時貯留部21cに、50円硬貨と識別された硬貨を、振分部13dのシャッタ15dをシャッタソレノイド17dで開いて選別孔14dから一時貯留部21dに、100円硬貨と識別された硬貨を、振分部13eのシャッタ15eをシャッタソレノイド17eで開いて選別孔14eから一時貯留部21eに、500円硬貨と識別された硬貨を、振分部13fの選別孔14fから一時貯留部21fに、それぞれ一時貯留させる。なお、一時貯留部21a〜21fへの各金種の振り分けのパターンは上記に限らず他の設定としても良い。
そして、ホッパ6に投入された硬貨のうち識別部11の識別結果に基づいて受け入れ可能と識別された真の硬貨がすべて一時貯留部21a〜21fのいずれかに一時貯留されると、制御部50は、金種別の計数結果および合計金額を表示操作部52へ表示させる。これに対して、操作者により表示操作部52へ承認操作が入力されると、制御部50は、一時貯留駆動部27を駆動して図4に示す待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を図5(b)に示すように収納位置に移動させる。これにより、一時貯留部21a〜21fのうち、一時貯留部21d〜21fから落下する50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を、図1に示す第2の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32が受け取ることになり、一時貯留部21a〜21cから落下する1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨は、収納金庫41Aに直接収納される。
次に、制御部50は、一時貯留駆動部27を駆動して側壁部形成体22および底部形成体23を図4に示す待機位置に戻すとともに、貯留枠駆動部36で図6(a)に示すように収納切替部30の貯留枠31のみを前後方向前側に移動させて、貯留枠31の下部開口を収納金庫41A上で開放する状態になる。これにより、収納切替部30の硬貨が、前後方向前側の収納金庫41Aに収納される。その後、制御部50は、貯留枠駆動部36で図1に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向後側に移動させてそのときの待機位置である第2の位置に戻す。
また、上記した金種別の計数結果および合計金額の表示操作部52への表示に対して、操作者により表示操作部52へキャンセル操作が入力されると、制御部50は、一時貯留駆動部27を駆動して図4に示す待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を図5(a)に示す返却位置に移動させる。これにより、金種別の一時貯留部21a〜21fの硬貨が返却ボックス25の金種別の返却収容部25a〜25fに収容される。つまり、図3に示すように一時貯留部21aに一時貯留されていた硬貨が返却収容部25aに、一時貯留部21bに一時貯留されていた硬貨が返却収容部25bに、一時貯留部21cに一時貯留されていた硬貨が返却収容部25cに、一時貯留部21dに一時貯留されていた硬貨が返却収容部25dに、一時貯留部21eに一時貯留されていた硬貨が返却収容部25eに、一時貯留部21fに一時貯留されていた硬貨が返却収容部25fに、それぞれ収容されることになる。次に、制御部50は、一時貯留駆動部27を駆動して側壁部形成体22および底部形成体23を図4に示す待機位置に戻す。そして、操作者は、返却ボックス25を処理機本体2から引き出して、返却収容部25a〜25fから硬貨を取り出す。
上記した入金処理において、例えば、一時貯留駆動部27を駆動して待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を収納位置に移動させて、一時貯留部21d〜21fから落下する50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を、第2の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32に受け渡し、一時貯留部21a〜21cから落下する1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨を、収納金庫41Aに直接受け渡した時点で、ニアフルセンサ48Aが硬貨を検知する状態に切り替わると、制御部50は、その後、貯留枠駆動部36で図6(a)に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向前側に移動させて、収納切替部30の硬貨を、前後方向前側の収納金庫41Aに収納する。続いて、制御部50は、この収納金庫41Aが満杯になり硬貨の収納を終了したと判断して、その旨を表示操作部52に表示させる。それと同時に、制御部50は、それ以降の入金処理に備えるため、貯留底板駆動部38で図6(b)に示すように収納切替部30の貯留底板32を前後方向前側に移動させて、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32を、以降の待機位置である前後方向前側の第1の位置に配置する。
よって、それ以降は、入金処理において、一時貯留駆動部27を駆動して待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を収納位置に移動させると、一時貯留部21a〜21fのうち、一時貯留部21a〜21cから落下する1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨を、第1の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32が受け取ることになり、一時貯留部21d〜21fから落下する50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨は、収納金庫41Bに直接収納される。そして、制御部50は、貯留枠駆動部36で図6(c)に示すように収納切替部30の貯留枠31のみを前後方向後側に移動させて、貯留枠31の下部開口を収納金庫41B上で開放することにより、収納切替部30の硬貨が、前後方向後側の収納金庫41Bに収納される。制御部50は、その後、貯留枠駆動部36で図6(b)に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向前側に移動させてそのときの待機位置である第1の位置に戻す。
また、例えば、入金処理において、一時貯留駆動部27を駆動して待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を収納位置に移動させて、図1に示すように一時貯留部21d〜21fから落下する50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を、第2の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32に受け渡し、一時貯留部21a〜21cから落下する1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨を、収納金庫41Aに直接受け渡した後、貯留枠駆動部36で図6(a)に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向前側に移動させて、収納切替部30の硬貨を収納金庫41Aに収納した時点で、ニアフルセンサ48Aが硬貨を検知する状態に切り替わると、制御部50は、一度、貯留枠駆動部36で図1に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向後側に移動させてそのときの待機位置である第2の位置に戻す。そして、次の入金処理で、制御部50は、一時貯留駆動部27を駆動して待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を収納位置に移動させて、一時貯留部21d〜21fから落下する50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨を、第2の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32に受け渡し、一時貯留部21a〜21cから落下する1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨を、収納金庫41Aに直接受け渡す。そして、制御部50は、この収納金庫41Aが満杯になり硬貨の収納を終了したと判断して、その旨を表示操作部52に表示させるとともに、貯留底板駆動部38で図6(c)に示すように貯留底板32を前後方向前側に移動させて、収納切替部30の硬貨を、前後方向後側の収納金庫41Bに収納する。その後、制御部50は、以降の入金処理に備えるため、貯留枠駆動部36で図6(b)に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向前側に移動させて、収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32を、以降の待機位置である前後方向前側の第1の位置に配置する。
よって、それ以降は、入金処理において、一時貯留駆動部27を駆動して待機位置にあった側壁部形成体22および底部形成体23を収納位置に移動させると、一時貯留部21a〜21fのうち、一時貯留部21a〜21cから落下する1円硬貨、5円硬貨および10円硬貨を、第1の位置にある収納切替部30の貯留枠31および貯留底板32が受け取ることになり、一時貯留部21d〜21fから落下する50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨は、収納金庫41Bに直接収納される。そして、制御部50は、貯留枠駆動部36で図6(c)に示すように収納切替部30の貯留枠31のみを前後方向後側に移動させて、収納切替部30の硬貨を前後方向後側の収納金庫41Bに収納する。また、制御部50は、その後、貯留枠駆動部36で図6(b)に示すように収納切替部30の貯留枠31を前後方向前側に移動させてそのときの待機位置である第1の位置に戻す。
つまり、収納切替部30は、収納金庫41A,41Bのうち、収納金庫41Aのみに先行して、一時貯留部21a〜21fに一時貯留された硬貨を収納し、ニアフル検知センサ48Aが収納金庫41Aに入金残容量がないフル状態を検知したときに、収納金庫41Aへの収納を終了して、他の収納金庫41Bに硬貨を収納する。なお、ニアフル検知センサ48Aが収納金庫41Aの入金残容量の余裕が少ないニアフル状態を検知したときに、上記と同様、収納金庫41Aへの収納を終了して、以降は、他の収納金庫41Bに硬貨を収納するようにしても良い。
そして、収納金庫41A,41Bを回収する回収者は、表示操作部52の表示から、現在収納金庫41Aに硬貨を収納中であるか、現在収納金庫41Aの硬貨の収納を終了し収納金庫41Bに硬貨を収納中であるかを判断して、収納金庫41A,41Bのうちの硬貨を収納しているもののみを処理機本体2から回収し、代わりの空の収納金庫を処理機本体2にセットすることになる。
以上に述べた本実施形態によれば、振分部13a〜13fで振り分けられて複数の一時貯留部21a〜21fに一時貯留された受け入れ可能な全ての硬貨を、収納切替部30が、複数の収納金庫41A,41Bのうちの一つに選択的に収納することになるため、小型の収納金庫41A,41Bを設けて、そのうちの必要最小限のものに効率的に硬貨を収納できる。したがって、収納金庫41A,41Bの回収作業の効率化が図れ、運用コストを削減できる。つまり、運搬料金は運ぶ収納金庫の大きさおよび個数によるため、小さな収納金庫に目一杯入れたほうが安価になることから、二つの収納金庫41A,41Bを用意し、収納金庫41Aをフル(ニアフル)にしてから、収納金庫41Bへ硬貨を収納することで、運用コストを削減する。
また、収納切替部30が、複数の収納金庫41A,41Bのうち、一の収納金庫41Aのみに先行して複数の一時貯留部21a〜21fに一時貯留された全ての硬貨を収納し、ニアフルセンサ48Aが一の収納金庫41Aに入金残容量がないフル状態または入金残容量の余裕が少ないニアフル状態を検知したときに、前記一の収納金庫41Aへの収納を終了して、他の収納金庫41Bに収納するため、先行して収納金庫41Aに多くの硬貨を確実に収納できる。したがって、収納金庫の回収作業の効率化が確実に図れ、運用コストを確実に削減できる。
また、複数の一時貯留部21a〜21fを移動方向一側に位置させて硬貨を落下させると、複数の返却収容部25a〜25fに硬貨を受け渡すことができ、複数の一時貯留部21a〜21fを移動方向他側に位置させて硬貨を落下させると、収納切替部30に硬貨を受け渡すことができる。そして、硬貨を受け入れることになる収納切替部30は、その貯留枠31および貯留底板32が、一度に複数の一時貯留部21a〜21fのうちの一部から硬貨を受け入れるとともに、全ての複数の一時貯留部21a〜21fから硬貨を受け入れ可能となるように移動可能であって、互いに一致して貯留枠31の下部開口を貯留底板32で閉塞する位置および互いに一致せず貯留枠31の下部開口を開放する位置に個別に移動可能とされているため、簡素な構成で、複数の一時貯留部21a〜21fの硬貨を複数の収納金庫41A,41Bのうちの一つに選択的に収納することができる。
また、貯留枠31および貯留底板32が第1の位置にあって複数の一時貯留部21a〜21fのうちの一部から硬貨を受け入れるとき、複数の一時貯留部21a〜21fのうちの残りの全部から第2の位置の下方にある収納金庫41Bに硬貨を収納することになり、その後、貯留枠31を移動させて貯留枠31および貯留底板32から第2の位置の下方にある収納金庫41Bに硬貨を収納することで、複数の一時貯留部21a〜21fに一時貯留された全ての硬貨を第2の位置の下方にある収納金庫41Bに収納することができる。また、貯留枠31および貯留底板32が第2の位置にあって複数の一時貯留部21a〜21fのうちの前記残りの全部から硬貨を受け入れるとき、複数の一時貯留部21a〜21fのうちの前記一部から第1の位置の下方にある収納金庫41Aに硬貨を収納することになり、その後、貯留枠31を移動させて貯留枠31および貯留底板32から第1の位置の下方にある収納金庫41Aに硬貨を収納することで、複数の一時貯留部21a〜21fに一時貯留された全ての硬貨を第1の位置の下方にある収納金庫41Aに収納することができる。
また、貯留枠31および貯留底板32は、第2の位置に初期位置が設定されるため、第1の位置の下方にある収納金庫41Aへの収納時間の短縮化が図れる。
また、貯留枠31および貯留底板32は、第1の位置の下方に配置される収納金庫41Aが硬貨の収納を終了した後、第1の位置に待機配置されるため、その後の第2の位置の下方にある収納金庫41Bへの収納時間の短縮化が図れる。
また、複数の一時貯留部21a〜21fには金種別に硬貨が一時貯留され、複数の返却収容部25a〜25fには金種別に硬貨が返却されるため、金種別に選別し計数する計数処理が可能となる。つまり、ユーザーによっては、通常は運搬用に収納金庫41A,41Bに混合金種で収納しても良いが、手元にある硬貨を選別計数する計数処理を行いたいとという要望もあるため、複数の返却収容部25a〜25fを金種別に配置することでこのような計数処理に対応可能となる。