以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す概略図である。図示した画像形成装置1は、4連タンデム型のマシン構成を採用したもので、大きくは、4つの画像形成部2,3,4,5と、当該4つの画像形成部2,3,4,5に共通の露光装置6と、中間転写体7と、二次転写装置8を備えた構成となっている。
画像形成装置1は、多色画像形成モードではイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックといった4色のトナーを用いてフルカラーの画像を形成し、単色画像形成モードではブラックのトナーを用いて白黒の画像を形成する。画像形成部2は、イエローのトナーを用いて可視画像を形成し、画像形成部3は、マゼンタのトナーを用いて可視画像を形成するものである。また、画像形成部4は、シアンのトナーを用いて可視画像を形成し、画像形成部5は、ブラックのトナーを用いて可視画像を形成するものである。以降の説明では、各々の画像形成部2,3,4,5でトナーを用いて形成される可視画像を「トナー画像」と記す。
各々の画像形成部2,3,4,5は、中間転写体7の移動方向において、上流側から下流側に向かって順に配置されている。すなわち、中間転写体7の移動方向(図中、Y方向)において、画像形成部3は画像形成部2の下流側に配置され、画像形成部4は画像形成部3の下流側に配置され、画像形成部5は画像形成部4の下流側に配置されている。
露光装置6は、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色成分に分解された画像データに基づいて、それぞれに対応する画像形成部2,3,4,5に向けてレーザ光を出射するとともに、当該レーザ光を所定の方向(主走査方向)に走査するものである。
中間転写体7は、無端状のベルト部材によって構成されている。中間転写体7は、複数の支持ロール11,12,13,14によってループ状(一部図示を省略)に支持されている。これら複数の支持ロール11〜14は、中間転写体7を所定の張力で支持するとともに、画像形成のプロセス方向となるY方向に所定の速度で中間転写体7を移動(走行)させるものである
二次転写装置8は、中間転写体7に転写されたトナー画像を図示しない用紙に転写するものである。二次転写装置8は、支持ロール14との間に中間転写体7を挟み込む形態で、支持ロール14に対して近接かつ対向する状態に配置されている。記録媒体となる用紙は、二次転写装置8と支持ロール14の間を通過するように搬送され、この搬送中に中間転写体7から用紙にトナー画像が転写される。また、トナー画像が転写された用紙は図示しない定着装置に送られ、そこで加熱・加圧されることにより、用紙にトナー画像が定着される。
各々の画像形成部2,3,4,5は、互いに共通の構成を有するものである。したがって、ここでは画像形成部2の構成を代表例として説明する。画像形成部2には、像保持体201が設けられている。像保持体201は、画像形成時に一定の速度で反時計回り方向に回転駆動されるものである。像保持体201の周囲には、当該像保持体201の回転方向にしたがって帯電器202、現像器203、画像濃度センサ204、一次転写ロール205等が順に設けられている。
帯電器202は、像保持体201の表面を所定の電位に帯電させるものである。現像器203は、露光装置6によって像保持体201の表面に形成された静電潜像をトナーで現像することにより、像保持体201上にトナー画像を形成するものである。現像器203にはトナー濃度センサ206が取り付けられている。トナー濃度センサ206は、現像室内のトナー濃度(TC;toner concentration)を検出するものである。画像濃度センサ204は、像保持体201上に形成されたトナー画像の濃度を検出するものである。一次転写ロール205は、像保持体201の表面に形成されたトナー画像を中間転写体7に転写させるものである。
現像器203の現像室には、現像ロール207と、供給オーガー208と、撹拌オーガー209が組み込まれている。これら現像ロール207、供給オーガー208及び撹拌オーガー209は、現像器駆動源として、例えば図示しない現像用モータを設けた場合に、当該現像用モータを共通の駆動源として回転するものである。現像器203は、上記現像器駆動源を含めて、現像手段として設けられたものである。したがって、現像手段の動作速度とは、現像ロール207、供給オーガー208、撹拌オーガー209等の回転速度やこれを決定する現像用モータの駆動速度(回転速度)をいう。
現像ロール207は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を磁気的に吸着して保持するとともに、ロール自身の回転によって現像剤を円周方向に搬送するものである。現像ロール207は、例えばマグネットロールを用いて構成されるもので、像保持体201との対向位置(以下、「現像位置」と記す)に近接して配置される。
供給オーガー208は、二成分現像剤をオーガーの回転軸方向に搬送しつつ現像ロール207に供給するものである。撹拌オーガー209は、トナーとキャリアを撹拌しつつ搬送することにより、キャリアとの摩擦によってトナーを所定の極性に帯電させるものである。供給オーガー208と撹拌オーガー209は、図示しない隔壁で仕切られた現像室に配置されている。現像ロール207は、供給オーガー208が配置されている方の現像室に面して配置されている。
上記構成の画像形成部2と同様に、画像形成部3は、像保持体301、帯電器302、現像器303、画像濃度センサ304、一次転写ロール305、トナー濃度センサ306、現像ロール307、供給オーガー308、撹拌オーガー309等を用いて構成されている。また、画像形成部4は、像保持体401、帯電器402、現像器403、画像濃度センサ404、一次転写ロール405、トナー濃度センサ406、現像ロール407、供給オーガー408、撹拌オーガー409等を用いて構成され、画像形成部5は、像保持体501、帯電器502、現像器503、画像濃度センサ504、一次転写ロール505、トナー濃度センサ506、現像ロール507、供給オーガー508、撹拌オーガー509等を用いて構成されている。
上記4つの画像形成部2,3,4,5のうち、画像形成部2の現像器203には、これに対応して装置内に搭載されたトナーカートリッジ15からイエローのトナーが補給され、画像形成部3の現像器303には、これに対応して装置内に搭載されたトナーカートリッジ16からマゼンタのトナーが補給される構成となっている。また、画像形成部4の現像器403には、これに対応して装置内に搭載されたトナーカートリッジ17からシアンのトナーが補給され、画像形成部5の現像器503には、これに対応して装置内に搭載されたトナーカートリッジ18からブラックのトナーが補給される構成となっている。このうち、トナーカートリッジ18のサイズ(容積)は、他のトナーカートリッジ15,16,17のサイズよりも大となっている。
トナーカートリッジ15に収容されたイエローのトナーは、トナー補給用モータ21の駆動によって現像器203に補給され、トナーカートリッジ16に収容されたマゼンタのトナーは、トナー補給用モータ21の駆動によって現像器303に補給される。また、トナーカートリッジ17に収容されたシアンのトナーは、トナー補給用モータ23の駆動によって現像器403に補給され、トナーカートリッジ18に収容されたブラックのトナーは、トナー補給用モータ24の駆動によって現像器503に補給される。
トナー補給用モータ21は、イエロートナー用のトナー補給駆動源として設けられたものである。トナー補給用モータ21は、図示しないイエロートナー補給用のトナー補給部材を回転させるための駆動源となる。トナー補給用モータ22は、マゼンタトナー用のトナー補給駆動源として設けられたものである。トナー補給用モータ22は、図示しないマゼンタトナー補給用のトナー補給部材を回転させるための駆動源となる。トナー補給用モータ23は、シアントナー用のトナー補給駆動源として設けられたものである。トナー補給用モータ23は、図示しないシアントナー補給用のトナー補給部材を回転させるための駆動源となる。トナー補給用モータ24は、ブラックトナー用のトナー補給駆動源として設けられたものである。トナー補給用モータ24は、図示しないブラックトナー補給用のトナー補給部材を回転させるための駆動源となる。
イエロートナー補給用のトナー補給部材は、上記トナー補給用モータ21を含めて、現像器203にイエロートナーを補給するトナー補給手段として設けられたものである。マゼンタトナー補給用のトナー補給部材は、上記トナー補給用モータ22を含めて、現像器303にマゼンタトナーを補給するトナー補給手段として設けられたものである。シアントナー補給用のトナー補給部材は、上記トナー補給用モータ23を含めて、現像器403にシアントナーを補給するトナー補給手段として設けられたものである。ブラックトナー補給用のトナー補給部材は、上記トナー補給用モータ24を含めて、現像器503にブラックトナーを補給するトナー補給手段として設けられたものである。したがって、本実施形態において、トナー補給手段の動作速度とは、各色に対応するトナー補給部材の回転速度やこれを決定するトナー補給用モータ21,22,23,24の駆動速度(回転速度)をいう。
トナー量検知センサ25は、トナーカートリッジ15に収容されているトナーの量(残量)を検知するものである。トナー量検知センサ26は、トナーカートリッジ16に収容されているトナーの量を検知するものである。トナー量検知センサ27は、トナーカートリッジ17に収容されているトナーの量を検知するものである。トナー量検知センサ28は、トナーカートリッジ18に収容されているトナーの量を検知するものである。
一方、支持ロール11の近傍には、当該支持ロール11の反対側で中間転写体7に対向するようにADCセンサ29が配置されている。ADCセンサ29は、ADC(Auto Density Control)方式でトナー濃度を制御するために設けられるものである。画像濃度センサ29は、所定の間隔でY方向に並ぶ一次転写ロール205,305,405,505によって中間転写体7に転写されるトナー画像のうち、特に、濃度制御を目的として形成されるトナーパッチの濃度を検出するものである。
トナー補給制御部31は、各色の現像器203,303,403,503ごとに、現像室内のトナー濃度を安定的に制御するために取り込まれる各種の情報(以下、「トナー濃度制御用情報」と記す)に基づいてトナー補給時間を算出し、それぞれに対応するトナー補給用モータ21,22,23,24の駆動を制御するものである。
トナー補給制御部31には、トナー濃度制御用情報の一例として、トナー濃度センサ206,306,406,506からの情報と、トナー量検知センサ25,26,27,28からの情報と、ADCセンサ29からの情報と、ピクセルカウンタ32からの情報と、温度センサ33からの情報が取り込まれる構成となっている。ピクセルカウンタ32は、1ページ(用紙1面)あたりの画像データのピクセル数(有効画素数)を計数するものである。このため、ピクセルカウンタ32からの情報は、1ページあたりのピクセル計数値を示す情報となる。温度センサ33は、装置内部の温度(機内温度)を検出するものである。
なお、トナー濃度制御用情報としては、1ページあたりの画像密度(1ページ内の全画素数を有効画素数で除算した値)であってもよいし、画像濃度センサ204,304,404,504によって得られる情報であってもよい。
ただし、本発明の実施形態においては、各種のトナー濃度制御用情報のうち、ピクセルカウンタ32からの情報(ピクセル計数値を示す情報)と、ADCセンサ29からの情報(パッチ濃度を示す情報)を参照してトナー補給時間を算出する場合を例に挙げて説明することとする。
図2は本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。トナー補給制御部31には、上述したADCセンサ29とピクセルカウンタ32の他に、メモリ34が接続されている。メモリ34は、トナー補給制御に係る各種のデータや情報を記憶するために用いられるものである。
トナー補給用モータ制御部36は、トナー補給制御部31からのモータ駆動指令に基づいて、上述したトナー補給用モータ21,22,23,24の駆動を個別に制御するものである。現像用モータ制御部37は、図示しない画像形成制御部からのモータ駆動指令に基づいて、現像用モータ38,39,40,41の駆動を個別に制御するものである。現像用モータ38は現像器203の駆動源となり、現像用モータ39は現像器303の駆動源となる。また、現像用モータ40は現像器403の駆動源となり、現像用モータ41は現像器503の駆動源となる。
図3はトナー補給用モータ制御部36によって行なわれるトナー補給用モータの速度設定処理を示すフローチャートである。まず、トナー補給用モータ制御部36は、現像用モータの駆動速度が、「高速」、「中速」、「低速」のいずれに設定されているかを判断する(ステップS1)。本実施形態においては、一例として、画像形成のプロセススピード、現像用モータの駆動速度及びトナー補給用モータの駆動速度を、それぞれ「高速」、「中速」、「低速」の3段階に区分するものとする。このうち、「中速」は通常(標準)の速度となり、「高速」は「中速」よりも速い速度、「低速」は「中速」よりも遅い速度となる。現像用モータの駆動速度は、単位時間あたりのモータ回転数(rpm)によって規定されるものである。現像用モータの駆動速度は、画像形成のプロセススピードに依存し、画像形成のプロセススピードは、現像位置における像保持体(201,301,401,501)の周速や中間転写体7の移動速度によって決まる。また、現像ロールの周速は、像保持体の周速と一定の比を保つように設定される。このため、現像ロールの周速は、プロセススピードに比例したものとなる。現像用モータの駆動速度やこれによって決まる現像ロールの周速は、「現像手段の動作速度」に相当するものとなる。
したがって、例えば画像形成で要求(設定)される画質の違いなどによってプロセススピードが複数存在する場合は、画像形成に適用するプロセススピードに比例して現像ロールの周速が変わることになる。本実施形態においては、一例として、画像形成のプロセススピード(像保持体の周速等)が、図示しない画像形成制御部において、画質設定などの画像形成条件に応じて、上述のように3段階に切り替えられるものとする。
そうした場合、画像形成制御部によってプロセススピードが「高速」に設定されると、これに合わせて現像用モータの駆動速度が現像用モータ制御部37によって「高速」に設定される。また、プロセススピードが「中速」に設定されると、これに合わせて現像用モータの駆動速度が「中速」に設定され、プロセススピードが「低速」に設定されると、これに合わせて現像用モータの駆動速度が「低速」に設定される。ちなみに、画像形成のプロセススピードと現像用モータの駆動速度は、一定の比を保つように設定されるため、例えば同じ「高速」の設定であっても、両者の速度は必ずしも同じ速度にはならない。
上記ステップS1において、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されていると判断した場合は、これに応じてトナー補給用モータ制御部36がトナー補給用モータの駆動速度を「高速」に設定する(ステップS2)。また、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されていると判断した場合は、これに応じてトナー補給用モータ制御部36がトナー補給用モータの駆動速度を「中速」に設定し(ステップS3)、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されていると判断した場合は、これに応じてトナー補給用モータ制御部36がトナー補給用モータの駆動速度を「低速」に設定する(ステップS4)。
次に、トナー補給用モータ制御部36は、トナー補給制御部31から与えられるモータ駆動指令に基づいて、各々のトナー補給用モータ21,22,23,24を、上記ステップS2、S3又はS4で設定した駆動速度で回転駆動する(ステップS5)。すなわち、ステップS2でトナー補給用モータの駆動速度を「高速」に設定した場合は、この速度設定にしたがってトナー補給用モータ制御部36はトナー補給用モータを「高速」で回転駆動する。また、ステップS3でトナー補給用モータの駆動速度を「中速」に設定した場合は、この速度設定にしたがってトナー補給用モータ制御部36はトナー補給用モータを「中速」で回転駆動し、ステップS4でトナー補給用モータの駆動速度を「低速」に設定した場合は、この速度設定にしたがってトナー補給用モータ制御部36はトナー補給用モータを「低速」で回転駆動する。
以上の処理フローにおいては、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合に、これに合わせてトナー補給用モータの駆動速度が「高速」に設定され、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合に、これに合わせてトナー補給用モータの駆動速度が「中速」に設定され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合に、これに合わせてトナー補給用モータの駆動速度が「低速」に設定される。
これにより、例えば現像器203において、撹拌オーガー209の回転速度を決める現像用モータ38の回転速度が相対的に速い場合は、トナー補給部材の回転速度を決めるトナー補給用モータ21の回転速度が相対的に速くなるように補正され、現像用モータ38の回転速度が相対的に遅い場合は、トナー補給用モータ21の回転速度が相対的に遅くなるように補正される。このため、画像形成のプロセススピードが変わっても、現像剤搬送速度とトナー補給搬送速度の均衡が維持される。この点は他の現像器303,403,503についても同様である。ただし、現像剤搬送速度とトナー補給搬送速度の均衡を維持するにあたって、それらの速度の関係(速度比)は必ずしも一定である必要はない。
また、現像剤搬送速度とトナー補給搬送速度の均衡が崩れた場合の具体的な事象として、例えば、現像剤搬送速度に比較してトナー補給搬送速度が速すぎた場合は、現像器203内でトナーの詰まりなどが発生する恐れがあるが、両者の均衡が維持されれば、そうした懸念がなくなる。
ところで、トナー補給制御部31は、ピクセルカウンタ32から取り込まれるピクセル計数値の情報に基づいて、1ページあたりのトナー消費量を演算によって予測するとともに、当該トナー消費量に対応する量のトナーを現像室に補給するために必要となるトナー補給時間を算出する。そして、任意の1つの現像器で現像を行なう期間(以下、「現像期間」と記す)に対応したトナー補給期間に、上記トナー補給時間を参照(制御パラメータとして使用)してトナー補給用モータを回転させることにより、現像器(現像室)へのトナー補給を制御する。1回の現像期間は、像保持体に形成された静電潜像が現像ロールとの対向位置を通過する期間で規定され、これに対応して1回のトナー補給期間が規定される。1回のトナー補給期間内では、実際にトナー補給用モータ(21〜24)を駆動する時間の長さによってトナー補給量が変わる。また、上述したピクセル計数値に基づくトナー補給制御方式は、ICDC(Image Count Dispense Control)方式とも呼ばれる。
トナー補給制御部31は、ピクセルカウンタ32を用いたICDC方式のトナー濃度制御に加えて、濃度検出センサADCセンサ29を用いたADC方式のトナー濃度制御を併用する。ADC方式のトナー濃度制御を併用する場合は、例えば予め設定されたページ数分のトナー画像を現像するたびに、トナーパッチの濃度をADCセンサ29で検出し、この検出結果に基づいてトナー補給時間を算出する。ADC方式によって算出されるトナー補給駆動時間は、ADCセンサ29で検出したトナーパッチの濃度が、目標とする基準濃度よりも高い場合は、その濃度差に応じた負の値となり、トナーパッチ濃度が基準濃度よりも低い場合は、その濃度差に応じた正の値となる。
トナー補給制御部31は、ICDC方式で算出されるトナー補給時間を「ICDCトナー補給時間」とし、ADC方式で算出されるトナー補給時間を「ADCトナー補給時間」と定義すると、以下の(1)式によってトナー補給時間を求める。
トナー補給時間=ICDCトナー補給時間+ADCトナー補給時間 …(1)
これに対して、トナー補給用モータの回転駆動によって現像器(現像室)に補給される単位時間あたりのトナー量すなわちトナー補給レートは、トナー補給用モータの駆動速度に依存したものとなる。具体的には、トナー補給用モータの駆動速度が速くなるほどトナー補給レートが高くなる。したがって、同じ時間分だけトナー補給用モータを回転させても、上述のように現像用モータの駆動速度に応じてトナー補給用モータの駆動速度を変更すると、トナー補給量が変わる。トナー補給量とは、トナー補給手段(トナー補給用モータ等に相当)の駆動によって現像器の現像室に補給されるトナーの量をいう。
ここで、実際にトナー補給手段を駆動する時間をトナー補給駆動時間と定義し、このトナー補給駆動時間の単位をミリ秒(msec)、上記トナー補給量の単位をミリグラム(mg)、上記トナー補給レートの単位をミリグラム(mg)/秒(sec)とすると、これらの間には以下の(2)式の関係が成り立つ。
トナー補給量=トナー補給レート×10-3×トナー補給駆動時間 …(2)
上記(2)式において、トナー補給駆動時間を一定とすると、トナー補給レートが高くなるほどトナー補給量が増加し、反対にトナー補給レートが低くなるほどトナー補給量が減少する。具体的な事例として、トナー補給駆動時間=1000msecで一定とすると、トナー補給レート=200mg/secの場合のトナー補給量は200mgとなり、トナー補給レート=300mg/secの場合のトナー補給量は300mgとなる。このため、トナー補給レートの違いによってトナー補給量に100mgの差が生じる。
これに対して、本発明に係る画像形成装置1においては、現像用モータの駆動速度に応じてトナー補給用モータの駆動速度を変更してもトナー補給量が変わらないように、現像用モータの駆動速度に応じて、トナー補給用モータの駆動時間(トナー補給駆動時間)を変更する処理(詳細は後述)をトナー補給制御部31で行なう構成となっている。かかる処理において、現像用モータの駆動速度が相対的に速い場合は、トナー補給用モータの駆動時間が相対的に短くなるように変更し、現像用モータの駆動速度が相対的に遅い場合は、トナー補給用モータの駆動時間が相対的に長くなるように変更する。これにより、上述のようにトナー補給駆動時間を一定とする場合に比較すると、トナー補給レートの違いによるトナー補給量の差は小さくなる。
具体的な事例として、トナー補給レート=200mg/secの場合に適用するトナー補給駆動時間を1000msecとし、トナー補給レート=300mg/secの場合に適用するトナー補給駆動時間を700msecとすると、トナー補給レート=200mg/secの場合のトナー補給量は200mgとなり、トナー補給レート=300mg/secの場合のトナー補給量は210mgとなる。このため、トナー補給レートが違ってもトナー補給量の差は10mgとなり、これはトナー補給駆動時間を一定とする場合の1/10の量に相当する。
図4は本発明の実施形態に係るトナー補給制御処理の一例を示すフローチャートである。まず、トナー補給制御部31は、現像用モータ制御部37(又は画像形成制御部)から通知される現像用モータの駆動速度が、「高速」、「中速」、「低速」のいずれに設定されているかを判断する(ステップS11)。
上記ステップS11において、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されていると判断した場合は、当該「高速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されている係数M1を読み出す(ステップS12)。また、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されていると判断した場合は、当該「中速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されている係数M2を読み出し(ステップS13)、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されていると判断した場合は、当該「低速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されている係数M3を読み出す(ステップS14)。これら3つの係数M1,M2,M3は、「M1<M2<M3」の大小関係に設定されている。
次に、トナー補給制御部31は、ICDC方式で算出されたICDCトナー補給時間に、上記ステップS12、S13又はS14で読み出した係数M1,M2又はM3を乗算することにより、当該ICDCトナー補給時間を補正する(ステップS15)。具体的には、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、ICDCトナー補給時間に係数M1を乗算する。また、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合は、ICDCトナー補給時間に係数M2を乗算し、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、ICDCトナー補給時間に係数M3を乗算する。
次に、トナー補給制御部31は、ADC方式で算出されたADCトナー補給時間に、上記ステップS12、S13又はS14で読み出した係数M1,M2又はM3を乗算することにより、当該ADCトナー補給時間を補正する(ステップS16)。具体的には、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、ADCトナー補給時間に係数M1を乗算する。また、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合は、ADCトナー補給時間に係数M2を乗算し、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、ADCトナー補給時間に係数M3を乗算する。
次に、トナー補給制御部31は、上記ステップS15で補正したICDCトナー補給時間と上記ステップS16で補正したADCトナー補給時間とを用いて、トナー補給動作に適用するトナー補給時間を上記(1)式にしたがって算出する(ステップS17)。
次に、トナー補給制御部31は、上記ステップS17で算出したトナー補給時間に基づいてトナー補給用モータ制御部36にモータ駆動指令を与えることにより、トナー補給用モータを回転させてトナー補給動作を実行させる(ステップS18)。この場合、トナー補給用モータ制御部36は、各々の現像器203,303,403,503の現像期間に対応するトナー補給期間において、トナー補給制御部31から現像器(現像色)ごとに与えられるモータ駆動指令に含まれるトナー補給時間相当分だけ、各々のトナー補給用モータを個別に回転駆動することになる。
以上の処理フローにおいては、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、最も小さい係数M1を用いてトナー補給時間(ICDCトナー補給時間+ADCトナー補給時間)が補正され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、最も大きな係数M3を用いてトナー補給時間が補正される。
このため、例えば各々の係数がM1=0.8、M2=1.0、M3=1.2に設定されているものと仮定すると、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、トナー補給時間が短くなる方向で補正され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、トナー補給時間が長くなる方向で補正される。その結果、実際のトナー補給動作においては、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給駆動時間が短くなるように変更され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給駆動時間が長くなるように変更される。
具体的な事例として、1ページ分のピクセル数に基づいて算出されるICDCトナー補給時間が1000msecで共通である画像データを、同じ現像色で10ページ連続して処理する場合に、現像用モータの駆動速度が「高速」の設定時に適用される係数がM1=0.8に設定され、「中速」の設定時に適用される係数がM2=1.0に設定され、「低速」の設定時に適用される係数がM3=1.2に設定されているものと仮定する。
そうした場合、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合は、ICDCトナー補給時間がそのままトナー補給駆動時間に反映されるため、10ページ分の画像データを処理する場合のトナー補給駆動時間の合計は10000msec(1ページ平均で1000msec)となる。また、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、ICDCトナー補給時間に係数M1=0.8を乗算した値がトナー補給駆動時間に反映されるため、10ページ分の画像データを処理する場合のトナー補給駆動時間の合計は8000msec(1ページ平均で800msec)となる。一方、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、ICDCトナー補給時間に係数M3=1.2を乗算した値がトナー補給駆動時間に反映されるため、10ページ分の画像データを処理する場合のトナー補給駆動時間の合計は12000msec(1ページ平均で1200msec)となる。
また、説明の便宜上、トナー補給用モータの駆動速度が「高速」に設定されているときのトナー補給レートを1.2mg/sec、「中速」に設定されているときのトナー補給レートを1.0mg/sec、「低速」に設定されているときのトナー補給レートを0.8mg/secと仮定する。そうした場合、上記図3に示す処理フローにおいて、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定される場合は、トナー補給用モータの駆動速度も「高速」に設定され、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定される場合は、トナー補給用モータの駆動速度も「中速」に設定され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定される場合は、トナー補給用モータの駆動速度も「低速」に設定されることから、上記の事例において、トナー補給用モータの駆動速度が「高速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は9.6mg(1ページ平均で0.96mg)、トナー補給用モータの駆動速度が「中速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は10mg(1ページ平均で1mg)、トナー補給用モータの駆動速度が「低速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は9.6mg(1ページ平均で0.96mg)となる。
これに対して、例えば、上記の係数M1,M2,M3がすべて1.0に設定されているものと仮定すると、10ページ分の画像データを処理する場合のトナー補給駆動時間の合計は、現像用モータの駆動速度によらず、すべて10000msec(1ページ平均で1000msec)となる。このため、現像用モータの駆動速度が「高速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は12mg(1ページ平均で1.2mg)、現像用モータの駆動速度が「中速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は10mg(1ページ平均で1mg)、現像用モータの駆動速度が「低速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は8.0mg(1ページ平均で0.8mg)となる。
したがって、例えばピクセルカウンタ32で計数したピクセル数が同じ1ページ分の画像データを、現像用モータの駆動速度条件を変えて用紙に画像形成する場合に、トナー補給用モータの駆動速度の変更によってトナー補給レートが変わっても、上記図4に示す処理フローに基づいてトナー補給駆動時間を変更することで、1ページあたりのトナー補給量は、トナー補給用モータの駆動速度によらず均等化されることになる。
ところで、トナー補給用モータの駆動によるトナー補給動作は、トナーの撹拌性や帯電性などを考慮して、1色のトナーにつき、1回のトナー補給期間内にt時間ずつ最大n回(nは2以上の自然数)にわけて行なわれる場合がある。そうした場合、トナー補給動作1回あたりのトナー補給駆動時間tをトナー補給駆動単位時間と定義すると、1回のトナー補給期間に許容されるトナー補給駆動時間の上限値はn×t時間で規定されることになる。
また、ある1色のトナーに関して、トナー補給動作に適用されるトナー補給時間が、上記の上限値(n×t時間)を超えると、1回のトナー補給期間内にトナー補給が完了しない場合もあり得る。そうした場合、ある1色のトナーに関して、次のトナー補給期間に、前回のトナー補給期間で処理しきれなかった分のトナー補給駆動時間を加味してトナー補給動作を行なうことにより、トナー補給の不足分を補う。以降の説明では、こうした処理を「トナー補給バッファ処理」と記す。
トナー補給バッファ処理では、各色の現像器203,303,403,503ごとに、メモリ34にトナー補給バッファ時間を記憶しておく。つまり、トナー補給バッファ時間は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの現像色ごとにメモリ34に保持される。そして、該当する現像色の現像器に関して、ICDC方式やADC方式などによって算出されるトナー補給時間をトナー補給バッファ時間への加算値とする一方、トナー補給用モータの駆動時間(トナー補給駆動時間)をトナー補給バッファ時間からの減算値として、メモリ34内のトナー補給バッファ時間を順次更新しつつ、後述するトナー補給バッファ処理を行なう。
<トナー補給バッファ処理の概念>
1回のトナー補給期間にトナー補給動作をt時間ずつ最大n回(nは2以上の自然数)にわけて行なう場合、各々のトナー補給期間でトナー補給バッファ時間を基にトナー補給動作回数を決定する。具体的には、トナー補給バッファ時間をtの値で除算したときに得られる商(整数)と余りのうち、商の値でトナー補給動作回数を決定して、当該回数に対応する分のトナー補給駆動時間をトナー補給バッファ時間から減算し、余りの値を次回への持ち越し分とする。また、トナー補給バッファ時間がトナー補給駆動時間の上限値となるt×n時間を超える場合は、その超過分を次回への持ち越し分とし、トナー補給バッファ時間が負の値である場合は、当該トナー補給バッファ時間をそのまま次回への持ち越し分とする。
<トナー補給バッファ処理の事例>
いま、1回のトナー補給期間に最長3000msec(n=6、t=500msec)だけトナー補給動作を行なえるトナー濃度制御系のシステム構成において、今回のトナー補給期間に入る前にメモリ34に記憶されているトナー補給バッファ時間が1000msecになっていたと仮定すると、今回のトナー補給期間ではトナー補給モータの駆動によるトナー補給動作を500msecずつ2回にわけて行なう。このため、メモリ34に記憶されるトナー補給バッファ時間は、今回のトナー補給期間でトナー補給用モータの駆動時間に反映される1000msecを減算することにより、0msecとなる。
これに対して、今回のトナー補給期間に入る前にトナー補給バッファ時間が800msecになっていたと仮定すると、今回のトナー補給期間ではトナー補給用モータの駆動によるトナー補給動作を500msecで1回だけ行なう。このため、メモリ34に記憶されるトナー補給バッファ時間は、今回のトナー補給期間でトナー補給用モータの駆動時間に反映される500msecを減算することにより、300msecとなる。今回のトナー補給期間で処理できなかった300msecの時間は、次回への持ち越し分となる。そして、次回のトナー補給期間前に算出されたICDCトナー補給時間が800msecであれば、この時間を、前回からの持ち越し分(300msec)に加算して次回のトナー補給期間に入る。このため、次回のトナー補給期間に入る前のトナー補給バッファ時間は1100msecとなる。したがって、次回のトナー補給期間ではトナー補給用モータの駆動によるトナー補給動作を500msecずつ2回にわけて行なう。
また、メモリ34に記憶されているトナー補給バッファ時間が300msecとなっている状況で、今回のトナー補給期間前に算出されたADCトナー補給時間が−500msecであった場合は、これとの加算処理によってメモリ34内のトナー補給バッファ時間が−200msecとなる。このため、今回のトナー補給期間ではトナー補給用モータの駆動によるトナー補給動作を行なわない。これに対して、メモリ34に記憶されているトナー補給バッファ時間が300msecとなっている状況で、今回のトナー補給期間前に算出されたADCトナー補給時間が+200msecであった場合は、これとの加算処理によってメモリ34内のトナー補給バッファ時間が500msecとなる。このため、今回のトナー補給期間ではトナー補給用モータの駆動によるトナー補給動作を500msecで1回だけ行なう。
図5は本発明の実施形態に係るトナー補給制御処理の他の例を示すフローチャートである。この処理フローは、上記のトナー補給バッファ処理を行なう場合に適用されるものである。まず、トナー補給制御部31は、現像用モータ制御部37(又は画像形成制御部)から通知される現像用モータの駆動速度が、「高速」、「中速」、「低速」のいずれに設定されているかを判断する(ステップS21)。
上記ステップS21において、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されていると判断した場合は、当該「高速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されている係数M11を読み出す(ステップS22)。また、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されていると判断した場合は、当該「中速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されている係数M12を読み出し(ステップS23)、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されていると判断した場合は、当該「低速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されている係数M13を読み出す(ステップS24)。これら3つの係数M11,M12,M13は、「M11>M12>M13」の大小関係に設定されている。
次に、トナー補給制御部31は、トナー補給バッファ処理でトナー補給バッファ時間からの第1の減算値となるトナー補給用モータの駆動時間に、上記ステップS22、S23又はS24で読み出した係数M11,M12又はM13を乗算することにより、当該第1減算値を補正する(ステップS25)。具体的には、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は第1の減算値(トナー補給駆動時間)に係数M11を乗算し、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合は第1の減算値に係数M12を乗算し、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は第1の減算値に係数M13を乗算する。
次に、トナー補給制御部31は、トナー補給バッファ処理でトナー補給バッファ時間からの第2の減算値となるトナー補給用モータのオーバーラン時間に、上記ステップS22、S23又はS24で読み出した係数M11,M12又はM13を乗算することにより、当該第2の減算値を補正する(ステップS26)。具体的には、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は第2の減算値(オーバーラン時間)に係数M11を乗算し、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合は第2の減算値に係数M12を乗算し、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は第2の減算値に係数M13を乗算する。
トナー補給用モータのオーバーラン時間とは、トナー補給用モータ制御部36がトナー補給用モータ(21,22,23,24)への駆動信号の出力を停止してから、実際にトナー補給用モータの回転が停止するまでの時間、つまりトナー補給用モータが回転の慣性力によって余分に回転する時間をいう。このオーバーラン時間は、予め実験的に求められる時間である。トナー補給バッファ処理においては、必ずしもこのオーバーラン時間をトナー補給バッファ時間からの減算値に含めなくてもよいが、含めた方がトナー濃度制御上の精度は上がる。
次に、トナー補給制御部31は、上記ステップS25で補正した第1の減算値と上記ステップS26で補正した第2の減算値と適用してトナー補給バッファ時間を更新する(ステップS27)。具体的には、上記ステップS25で補正した第1の減算値と上記ステップS26で補正した第2の減算値とを加算し、この加算値を、その時点でメモリ34に記憶されているトナー補給バッファ時間から減算することにより、次回のトナー補給期間でトナー補給動作に適用するトナー補給バッファ時間を更新し、当該更新後のトナー補給バッファ時間をメモリ34に保持させる。
以上の処理フローにおいては、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、最も大きい係数M11を用いて第1の減算値及び第2の減算値が補正され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、最も小さな係数M13を用いて第1の減算値及び第2の減算値が補正される。
このため、例えば各々の係数がM11=1.2、M12=1.0、M13=0.8に設定されているものと仮定すると、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、各々の減算値が大きくなる方向で補正され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、各々の減算値が小さくなる方向で補正される。その結果、実際のトナー補給動作においては、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給駆動時間が短くなるように変更され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給駆動時間が長くなるように変更される。
具体的な事例として、1ページ分のピクセル数に基づいて算出されるICDCトナー補給時間が1000msecで共通である画像データを、同じ現像色で10ページ連続して処理する場合に、上記のとおり現像用モータの駆動速度が「高速」の設定時に適用される係数がM11=1.2に設定され、「中速」の設定時に適用される係数がM12=1.0に設定され、「低速」の設定時に適用される係数がM13=0.8に設定されているものと仮定する。
そうした場合、プロセススピードが「中速」に設定されている場合は、トナー補給バッファ処理において、ICDCトナー補給時間がそのままトナー補給駆動時間に反映されるため、10ページ分の画像データを処理する場合のトナー補給駆動時間の合計は10000msecとなる。
これに対して、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合や「低速」に設定されている場合は、図6に示すような数値処理の流れでトナー補給バッファ処理が行なわれる。例えば、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、1ページ目の画像データに関して、ICDCトナー補給時間の加算によってトナー補給バッファ時間が1000msecとなるため、これを基づいてトナー補給動作が500msecずつ2回にわけて行なわれる。このため、トナー補給駆動時間は1000msecとなり、トナー補給バッファ時間からの減算値(バッファ減算値)は、係数M11=1.2との乗算によって1200msecとなる。したがって、次回への持ち越し時間は、−200msecとなる。
また、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合の2ページ目の画像データに関しては、1ページ分のICDCトナー補給時間を前回からの持ち越し時間に加算することによりトナー補給バッファ時間が800msecとなるため、これに基づいてトナー補給動作が500msecで1回だけ行なわれる。このため、トナー補給駆動時間は500msecとなり、トナー補給バッファ時間からの減算値は、係数M11=1.2との乗算によって600msecとなる。したがって、次回への持ち越し時間は、+200msecとなる。
一方、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、1ページ目の画像データに関して、ICDCトナー補給時間の加算によってトナー補給バッファ時間が1000msecとなるため、これを基づいてトナー補給動作が500msecずつ2回にわけて行なわれる。このため、トナー補給駆動時間は1000msecとなり、トナー補給バッファ時間からの減算値は、係数M13=0.8との乗算によって800msecとなる。したがって、次回への持ち越し時間は、+200msecとなる。
また、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合の2ページ目の画像データに関しては、1ページ分のICDCトナー補給時間を前回からの持ち越し時間に加算することによりトナー補給バッファ時間が1200msecとなるため、これに基づいてトナー補給動作が500msecずつ2回にわけて行なわれる。このため、トナー補給駆動時間は1000msecとなり、トナー補給バッファ時間からの減算値は、係数M13=0.8との乗算によって800msecとなる。したがって、次回への持ち越し時間は、+400msecとなる。
その結果、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合の10ページ分のトナー補給駆動時間の合計は8500msec(1ページ平均で850msec)となり、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されている場合の10ページ分のトナー補給駆動時間の合計は10000msec(1ページ平均で1000msec)となり、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合の10ページ分のトナー補給駆動時間の合計は12000msec(1ページ平均で1200msec)となる。
また、説明の便宜上、トナー補給用モータの駆動速度が「高速」に設定されているときのトナー補給レートを1.2mg/sec、「中速」に設定されているときのトナー補給レートを1.0mg/sec、「低速」に設定されているときのトナー補給レートを0.8mg/secと仮定する。そうした場合、上記図3に示す処理フローにおいて、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定される場合は、トナー補給用モータの駆動速度も「高速」に設定され、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定される場合は、トナー補給用モータの駆動速度も「中速」に設定され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定される場合は、トナー補給用モータの駆動速度も「低速」に設定されることから、上記の事例において、プロセススピードが「高速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は10.2mg(1ページ平均で1.02mg)、プロセススピードが「中速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は10mg(1ページ平均で1mg)、プロセススピードが「低速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は9.6mg(1ページ平均で0.96mg)となる。
これに対して、例えば、上記の係数M11,M12,M13がすべて1.0に設定されているものと仮定すると、10ページ分の画像データを処理する場合のトナー補給駆動時間の合計は、現像用モータの駆動速度によらず、すべて10000msec(1ページ平均で1000msec)となる。このため、現像用モータの駆動速度が「高速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は12mg(1ページ平均で1.2mg)、現像用モータの駆動速度が「中速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は10mg(1ページ平均で1mg)、現像用モータの駆動速度が「低速」設定時の10ページ分のトナー補給量の合計は8.0mg(1ページ平均で0.8mg)となる。
したがって、例えばピクセルカウンタ32で計数したピクセル数が同じ1ページ分の画像データを、現像用モータの駆動速度条件を変えて用紙に画像形成する場合に、トナー補給用モータの駆動速度の変更によってトナー補給レートが変わっても、上記図5に示す処理フローに基づいてトナー補給駆動時間を変更することで、1ページあたりのトナー補給量は、トナー補給用モータの駆動速度によらず均等化されることになる。
<本発明の応用例>
本発明の応用例として、上記図5に示す処理フローに基づいてトナー補給制御部31がトナー補給バッファ処理を行なう場合は、現像用モータの駆動速度に応じて、1回のトナー補給期間に許容されるトナー補給駆動時間の上限値を変更する構成としてもよい。トナー補給駆動時間の上限値は、例えば上述のように1回のトナー補給期間内にトナー補給動作をt時間ずつ最大n回(nは2以上の自然数)にわけて行なう場合に、tの値及び/又はnの値を変更することで変わる。
すなわち、tの値を固定値として、nの値を相対的に大きくすると、トナー補給駆動時間の上限値が大きくなる方向で変更され、逆にnの値を相対的に小さくすると、トナー補給駆動時間の上限値が小さくなる方向で変更される。また、nの値を固定値として、tの値を相対的に大きくすると、トナー補給駆動時間の上限値が大きくなる方向で変更され、逆にtの値を相対的に小さくすると、トナー補給駆動時間の上限値が小さくなる方向で変更される。また、tの値とnの値の両方を相対的に大きくすると、トナー補給駆動時間の上限値が大きくなる方向で変更され、逆にtの値とnの値の両方を相対的に小さくすると、トナー補給駆動時間の上限値が小さくなる方向で変更される。
図7は現像用モータの駆動速度に応じてトナー補給駆動時間の上限値を変更する場合に適用されるトナー補給制御処理の手順を示すフローチャートである。まず、トナー補給制御部31は、現像用モータ制御部37(又は画像形成制御部)から通知される現像用モータの駆動速度が、「高速」、「中速」、「低速」のいずれに設定されているかを判断する(ステップS31)。
上記ステップS31において、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されていると判断した場合は、当該「高速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されているトナー補給動作制限回数の値N1を読み出す(ステップS32)。また、現像用モータの駆動速度が「中速」に設定されていると判断した場合は、当該「中速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されているトナー補給動作制限回数の値N2を読み出し(ステップS33)、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されていると判断した場合は、当該「低速」の速度設定に対応してメモリ34に記憶されているトナー補給動作制限回数の値N3を読み出す(ステップS34)。これら3つの値N1,N2,N3は、いずれも自然数であって、「N1<N2<N3」の大小関係に設定されている。
次に、トナー補給制御部31は、上記ステップS31、S32又はS33で読み出した値N1,N2又はN3を、nの値に代入する(ステップS35)。以上の処理フローにより、現像用モータの駆動速度に応じて、nの値が変更されることになる。
上記図7に示す処理フローにおいて、3つの値N1,N2,N3は、「N1<N2<N3」の大小関係に設定されているため、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給動作制限回数が少なくなり、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給動作制限回数が多くなる。したがって、現像用モータの駆動速度が「高速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給駆動時間の上限値が小さくなる方向で変更され、現像用モータの駆動速度が「低速」に設定されている場合は、「中速」に設定されている場合よりもトナー補給駆動時間の上限値が大きくなる方向で変更されることになる。
なお、上記図7に示す処理フローでは、現像用モータの駆動速度に応じて、nの値を変更するようにしているが、nの値に変えて、tの値を変更するものとしてもよい。その場合の処理フローは図8のステップS41〜S45の手順となる。ただし、n,tのいずれの値を変更する場合も、現像用モータの駆動速度が速くなるほど、トナー補給駆動時間の上限値が小さくなる方向で変更されるものとする。このため、図8の処理フローにおいては、ステップS42,S43又はS44でメモリ34から読み出されるトナー補給単位駆動時間の値T1,T2,T3が「T1<T2<T3」の大小関係に設定されることになる。
1…画像形成装置、2,3,4,5…画像形成部、6…露光装置、7…中間転写体、8…二次転写装置、15〜18…トナーカートリッジ、21〜24…トナー補給用モータ、29…ADCセンサ、31…トナー補給制御部、32…ピクセルカウンタ、36…トナー補給用モータ制御部、37…現像用モータ制御部、38〜41…現像用モータ、201,301,401,501…像保持体2、203,303,403,503…現像器