以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。本実施形態では、画像形成装置の一例としてカラープリンタ1を例示する。カラープリンタ1は、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像を形成するプリンタ本体200と、プリンタ本体200の下方に設けられ、各種サイズの用紙を当該サイズに合わせてそれぞれ収納可能に構成された用紙供給部100とを備えている。
プリンタ本体200は、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900K、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94、定着ユニット97、排紙ユニット96、装置本体の筐体90、トップカバー911及びフロントカバー912を備えている。
画像形成ユニット93は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Kと、その下方に配置され、YMCK各色に対応する現像装置122とを有している。
画像形成ユニット93には、それぞれの色のトナー像を担持する感光体ドラム121が各々備えられている。感光体ドラム121としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
感光体ドラム121の周囲には、帯電器16、現像装置122、転写ローラ19及びクリーニング装置18等が配置されている。帯電器16は、感光体ドラム121の周面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム121の周面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置122は、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム121の周面上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム121とニップ部を形成し、感光体ドラム121上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム121の周面を清掃する。
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、画像形成ユニット93の各々に設けられた感光体ドラム121の周面に、画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922、及び従動ローラ923を備えている。中間転写ベルト921は、複数の感光体ドラム121からトナー像が重ね塗り状態で一次転写される。このトナー像は、用紙供給部100から供給される用紙(シート)に、二次転写部98において二次転写される。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、中間転写ベルト921を周回駆動させる。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、図略の筐体で回転自在に支持されている。
定着ユニット97は、トナー像が二次転写された用紙上のトナー像に対し、定着処理を施すものであり、熱源が内蔵された定着ローラと、該定着ローラと定着ニップ部を形成する加圧ローラとを含む。定着処理が完了した用紙は、装置本体200の上部に形成された排出ユニット96へ向けて搬送される。
排紙ユニット96は、定着ユニット97から搬送された用紙を、排紙トレイとしてのトップカバー911上に排出する。
用紙供給部100は、プリンタ本体200の筐体90に対して着脱自在に装着された複数段(図1では3段)の給紙ユニット130と、各給紙ユニット130に貯留されている用紙を画像形成部93へ向けて搬送するための給紙搬送路133とを含む。給紙ユニット130は、画像形成される複数の用紙からなる用紙束を収納する。各段の給紙ユニット130には、異なるサイズの用紙束がそれぞれ貯留されており、選択された給紙ユニット130では、当該給紙ユニット130に設けられた図略のピックアップローラの駆動により、用紙束の最上層の用紙が1枚ずつ取り出されて給紙搬送路133へと繰り出され、画像形成部93へ導入される。
図2は、現像装置122の内部構造を概略的に示す断面図である。現像装置122は、該現像装置122の内部空間を画定する現像容器40を含む。現像装置122は、現像容器40内に、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留する現像剤貯留部41と、現像剤貯留部41の上方に配置されたマグネットローラ42と、マグネットローラ42の斜め上方位置でマグネットローラ42に対向配置された現像ローラ43(トナー担持体)と、マグネットローラ42に対向配置された現像剤規制ブレード44とを含む。
現像剤貯留部41は、図3に示すように、互いに平行に現像装置122の長手方向に延びる第1搬送路41aおよび第2搬送路41bから構成されており、第1搬送路41aと第2搬送路41bとは仕切り板47によって現像装置122の長手方向に沿って仕切られている。第1搬送路41aおよび第2搬送路41bは現像剤を循環させるための通路である。第1搬送路41aおよび第2搬送路41bは、前記長手方向における両端部において、仕切り板47に形成された連通口47a,47bを介して互いに連通されている。
第1搬送路41aには、第1搬送部材45が第1搬送路41a内で延在するように配設されており、第2搬送路41bには、第2搬送部材46が第2搬送路41b内で延在するように配設されている。第1搬送部材45は、第1軸部45aと、第1軸部45aの周面に螺旋状に設けられた第1羽根部45bとを有するスクリューフィーダであり、第1軸部45aの一端部には、軸受けを介して現像容器40に回転可能に支持された第1カップリング65が固定されており、第1軸部45aの他端部は、軸受け66を介して回転可能に支持されている。第2搬送部材46は、第2軸部46aと、第2軸部46aの周面に螺旋状に設けられた第2羽根部46bとを有するスクリューフィーダであり、第2軸部46aの一端部には、軸受けを介して現像容器40に回転可能に支持された第2カップリング67が固定されており、第2軸部46aの他端部は、軸受け68を介して回転可能に支持されている。
第1カップリング65には、駆動軸69が固設されており、駆動軸69はモータ等の駆動源M(図2)の出力軸に連結されている。第2カップリング67は第1カップリング65とギア連結されている。したがって、駆動源Mの駆動力が駆動軸69に伝達されると、第1搬送部材45が第1カップリング65を介して回転されると共に、第2搬送部材46が第2カップリング67を介して回転される。第1搬送部材45が回転すると、第1搬送路41a内の現像剤は所定の搬送方向、図3では右方向に搬送され、連通口47aを通って第2搬送路41b内に導入される。そして、第2搬送路41b内に導入された現像剤は、第2搬送部材46の回転に伴って所定の搬送方向、図3では左方向に搬送され、連通口47bを通って第1搬送路41a内に再び戻される。現像剤は、このように搬送されている間攪拌されているので、トナーとキャリアとが混合され、トナーが帯電される。
現像剤貯留部41には、該現像剤貯留部41に新たなトナーを補給するためのトナー補給室70が一体に設けられている。トナー補給室70は、補給トナーが搬送される補給トナー搬送路71と、補給トナー搬送路71内に補給トナーを導入するための補給トナー口72とを有する。
補給トナー搬送路71は第1搬送路41aと連通されており、第1搬送部材45の他端部が補給トナー搬送路71内に延在している。前記他端部を回転可能に支持する軸受け66は、実際には、トナー補給室70に配置されている。
補給トナー口72は、対応するトナーコンテナ900の供給口902と図略の連通路によって連通している。トナーコンテナ900の内部には、図略のスクリューフィーダが配設されており、スクリューフィーダの回転量に応じた量のトナーが、供給口902から補給トナー口72を介してトナー補給室70に供給される。補給トナー搬送路71内に導入された補給トナーは、第1搬送部材45の回転に伴って第1搬送路41a内に搬送され、キャリアと混合される。本実施形態では、トナーコンテナ900およびトナー補給室70がトナー補給部60(図2)を構成している。
また、現像剤貯留部41内には、現像剤中のトナーの濃度を検出するためのトナー濃度センサS(図2)が配置されている。トナー濃度センサSは、実際には、第1搬送路41a内における破線で示すセンサ位置SPに配置されている。トナー濃度センサSは、例えば透磁率センサであり、第1搬送路41aを通過するキャリアの単位体積当たりの透磁率変化を検出する。透磁率変化から、現像剤中におけるキャリアの量の増減が得られるので、トナーの重量を推定することができる。そして、トナー濃度は、(トナーの重量/現像剤の重量)×100%によって求めることができる。
図2に戻って現像装置122の構成についてさらに説明する。マグネットローラ42は、現像装置122の長手方向に延びるように配設されており、図2では時計回りに回転可能である。マグネットローラ42は、現像剤貯留部41の第1搬送路41aおよび第2搬送路41bに沿って延びる、つまり第1搬送部材45および第2搬送部材46による現像剤の搬送方向に沿って延びる現像剤担持面48を有する。マグネットローラ42の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、例えば汲上極50、規制極51、主極52を有する。汲上極50は現像剤貯留部41の第2搬送路41bに対向し、規制極51は現像剤規制ブレード44に対向し、主極52は現像ローラ43に対向している。
マグネットローラ42は、汲上極50の磁力によって現像剤貯留部41の第2搬送路41bから現像剤を現像剤担持面48上に磁気的に汲み上げる。汲み上げられた現像剤は、マグネットローラ42の現像剤担持面48上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、マグネットローラ42の回転に伴って現像剤規制ブレード44に向けて搬送される。
現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の回転方向から見て現像ローラ42よりも上流側に位置し、マグネットローラ42の現像剤担持面48に磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像容器40の適所に固定された所定の支持部材54によって支持されている。また、現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の現像剤担持面48との間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面53(つまり現像剤規制ブレード44の先端面)を有する。
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の規制極51によって磁化されて、現像剤規制ブレード44の規制面53と規制極51との間に、つまり規制ギャップGにおいて磁路が形成される。汲上極50によってマグネットローラ42の現像剤担持面48上に付着した現像剤層がマグネットローラ42の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制されて、現像剤担持面48上に、所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
現像ローラ43は、現像装置122の長手方向に延びるように、かつマグネットローラ42に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計回りに回転可能である。現像ローラ43は、マグネットローラ42の現像剤担持面48に沿って延びる、つまり、第1搬送部材45および第2搬送部材46による現像剤の搬送方向に沿って延びるトナー担持面55を有する。現像ローラ43のトナー担持面55とマグネットローラ42の現像剤担持面48との間には、所定の寸法の隙間が形成されている。現像ローラ43は、現像容器40に形成された開口を通して感光体ドラム121に臨むように配設されており、トナー担持面55と感光体ドラム121の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。
次に、図4を参照して現像装置122の現像動作について説明する。現像装置122は、磁気ローラ42および現像ローラ43のそれぞれにバイアスを印加することで現像動作を行うように構成されており、バイアス印加手段として、第1印加手段56と、第2印加手段57とをさらに含む。同図に示すように、第1印加手段56は、直列に接続された直流電圧源61と交流電圧源62とを有し、マグネットローラ42に接続されている。直流電圧源61から出力された直流バイアスに交流電圧源62から出力された交流バイアスが重畳されてマグネットローラ42に印加される。また、第2印加手段57は、直列に接続された直流電圧源63と交流電圧源64とを有し、現像ローラ43に接続されている。直流電圧源63から出力された直流バイアスに交流電圧源64から出力された交流バイアスが重畳されて現像ローラ42に印加される。
マグネットローラ42の現像剤担持面48上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード44によって層厚が均一に規制された後、マグネットローラ42の回転に伴って現像ローラ43に向けて搬送され、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが回転中の現像ローラ43のトナー担持面55に接触する。このとき、第1印加手段56および第2印加手段57は、重畳された直流バイアスおよび交流バイアスをマグネットローラ42および現像ローラ43に印加する。これにより、マグネットローラ42の現像剤担持面48と現像ローラ43のトナー担持面55との間に所定の電位差を生じさせている。この電位差により、現像剤担持面48とトナー担持面55との対向位置において(主極52(図2)とトナー担持面55との対向位置において)磁気ブラシDBからトナーTのみがトナー担持面55に移動し、磁気ブラシDBのキャリアCは現像剤担持面48上に残る。これにより、現像ローラ43のトナー担持面55上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
トナー担持面55上のトナー層TLは、現像ローラ43の回転に伴って感光体ドラム121の周面に向けて搬送される。感光体ドラム121にも、重畳された状態の直流電圧と交流電圧が印加されているので、感光体ドラム121の周面と現像ローラ43のトナー担持面55との間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム121の周面に移動する。これにより、感光体ドラム121の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
トナー層TL中のトナーTのうち、感光体ドラム121に移動せず、トナー担持面55上に残留している残留トナーRTは、現像ローラ43の回転に伴ってトナー担持面55とマグネットローラ42の現像剤担持面48との対向位置に搬送されたとき、磁気ブラシDBによって回収される。回収したトナーRTを有する磁気ブラシDBは、マグネットローラ42の回転に伴って主極52よりも下流側に搬送されると、前記磁石ロールの剥離極(図示せず)の磁力によって現像剤担持面48から剥離し、現像剤貯留部41の第1搬送路41aに戻される。
ところで、上記構成の現像装置122では、現像剤Dは、図5に示すように、第2搬送路41b内において所定の搬送方向A(図3および図5では左方向)に搬送されつつ、マグネットローラ42の現像剤担持面48に供給される。そのため、第2搬送路41b内の現像剤D中のトナーの量は、搬送方向Aの上流側では多く、搬送方向Aの下流側に向かうにつれて少なくなる。つまり、現像剤D中のトナー濃度は、搬送方向上流側では高く、搬送方向下流側に向かうにつれて大きく低下する。したがって、現像剤担持面48上に受け取られる現像剤量は、現像剤担持面48における搬送方向上流側に対応する上流側部分48aでは多く、搬送方向下流側に対応する下流側部分48bでは少なくなる。そして、当然、現像剤担持面48からトナー担持面55上に供給されるトナー量は、トナー担持面55における搬送方向上流側に対応する上流側部分55aでは多く、搬送方向下流側に対応する下流側部分55bでは少なくなる。
このようにトナー担持面55上のトナー量が搬送方向Aに沿って減少すると、感光体ドラム121の周面上に現像されるトナー像に画像濃度差(いわゆる画像濃度ムラ)が発生する。その結果、良好な画質のトナー像が得られない。なお、図5では、図の明確化のために、現像剤担持面48における上流側部分48aと下流側部分48bとの間の中間部分上に受け取られる現像剤を省略している。
そこで、本実施形態では、トナー像に画像濃度差が発生することを抑制して、良好な画質のトナー像を形成するために、現像装置122は、図2に示すように、印字率取得部58と、制御部Uとをさらに含む。
印字率取得部58は、トナー像の現像動作が開始される前に、現像されるトナー像の印字率(トナー像の印字ドット数)をコンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づいて予め取得する。
制御部Uは、トナー濃度センサSが検出した現像剤貯留部41内のトナー濃度や、印字率取得部58が取得した印字率に応じて、駆動源Mを制御して第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を変えることにより、現像剤が第1搬送路41aおよび第2搬送路41b内で搬送される搬送速度を変更する。
また、制御部Uは、印字率に応じて、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダの回転量を制御して、トナー補給室70に供給されるトナー量を制御する。印字率に応じた回転量を設定することで、印字率に応じた量の新たなトナーを現像剤貯留部41に補給することができる。さらに、制御部Uは、トナー補給部60によるトナー補給が行われたとき、駆動源Mを制御して現像剤の搬送速度を変更する。本実施形態では、トナー補給部60によるトナー補給が行われるタイミングは、現像ローラ43によって感光体ドラム121上にトナー像が現像されたときである。
まず、トナー濃度に応じて制御部Uが行う制御について説明する。具体的には、制御部Uは、トナー濃度が低くなるにつれて現像剤の搬送速度が大きくなるように駆動源Mを制御する一方、トナー濃度が高くなるにつれて現像剤の搬送速度が小さくなるように駆動源Mを制御する。
現像剤D(図5)の搬送速度が大きくなるように制御されると、現像剤Dは、第2搬送路41bにおいて、搬送方向Aの上流側から搬送方向Aの下流側に向けて迅速に搬送される。そのため、第2搬送路41bにおいて、搬送方向上流側における現像剤D中のトナー濃度と、搬送方向下流側における現像剤D中のトナー濃度とがほぼ等しくなる。これにより、マグネットローラ42の現像剤担持面48の上流側部分48aが受け取る現像剤Dに含まれるトナー量と、現像剤担持面48の下流側部分48bが受け取る現像剤Dに含まれるトナー量とがほぼ等しくなる。したがって、現像ローラ43のトナー担持面55の上流側部分55aが受け取るトナー量と、トナー担持面55の下流側部分55bが受け取るトナー量とがほぼ等しくなる。これにより、感光体ドラム121の周面上に現像されるトナー像に画像濃度差が発生することが抑制される。その結果、良好な画質が得られる。
一方、現像剤Dの搬送速度が小さくなるように制御されると、現像剤Dが第1搬送部材45および第2搬送部材46によって搬送される際に攪拌される攪拌量が減少する。そのため、攪拌による現像剤D同士の摩擦等に起因するストレスが抑制される。これにより、ストレスに起因するトナー劣化が抑制される。その結果、良好な画質のトナー像が得られる。
次に、印字率に応じて制御部Uが行う制御について説明する。具体的には、制御部Uは、印字率が高くなるにつれて現像剤Dの搬送速度が大きくなるように駆動源Mを制御する一方、印字率が低くなるにつれて現像剤Dの搬送速度が小さくなるように駆動源Mを制御する。
印字率が高くなると、トナー補給部60から現像剤貯留部41に補給されるトナー量が多くなる。そこで、現像剤Dの搬送速度を大きくすることで、現像剤を、第2搬送路41bにおいて、搬送方向Aの上流側から搬送方向Aの下流側に向けて迅速に搬送することができる。現像剤Dの搬送方向下流側への迅速な搬送によって画像濃度差が抑制されることは上述した通りである。
一方、印字率が低くなると、トナー補給部60から現像剤貯留部41に補給されるトナー量が少なくなる。そのため、高印字率時と比較して現像剤Dを第2搬送路41bにおいて搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて迅速に搬送する必要がない。そこで、現像剤Dの搬送速度を低印字率時には小さくすることで、現像剤D同士の摩擦等に起因するストレスを抑制することができる。ストレスの抑制によってトナー劣化が抑制されることは上述した通りである。
以上、制御部Uが行う制御をトナー濃度および印字率毎に説明したが、制御部Uは、実際には、トナー濃度および印字率の両方に応じて現像剤の搬送速度を適宜変更する。
本実施形態では、現像剤貯留部41におけるトナー濃度が8%(低濃度時)の場合、制御部Uは、印字率が5%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を260rpmに設定し、印字率が20%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を280rpmに設定し、印字率が30%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を320rpmに設定し、印字率が50%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を360rpmに設定する。
図6は、トナー濃度が8%の場合において第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度と画像濃度差との間の関係を印字率毎に示す図である。画像濃度差は、図9に示すように、用紙P上に形成されたトナー像PAにおける4つの隅部の領域、すなわち領域「1」〜領域「4」間の画像濃度差である。左上領域「1」および左下領域「3」は、第2搬送路41bにおける現像剤の搬送方向下流側に対応する領域であり、右上領域「2」および右下領域「4」は、第2搬送路41bにおける搬送方向上流側に対応する領域である。画像濃度は反射濃度計を用いて測定される。領域「1」〜「4」間の画像濃度差が0.2以下のとき、トナー像PAの画像濃度ムラは許容範囲である。
図6に示すように、印字率が5%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を260rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。また、印字率が20%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を280rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。さらに、印字率が30%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を320rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。さらに、印字率が50%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を360rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。図6から明らかなように、印字率が高くなるにつれ、画像濃度差を0.2以下に抑えるためには、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を大きくする必要があることが分かる。
また、現像剤貯留部41におけるトナー濃度が10%(標準濃度時)の場合、制御部Uは、印字率が5%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を200rpmに設定し、印字率が20%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を240rpmに設定し、印字率が30%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を260rpmに設定し、印字率が50%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を340rpmに設定する。本実施形態では、標準濃度時に設定される上記の回転速度が基準回転速度とされている。
図7は、トナー濃度が10%の場合において第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度と画像濃度差との間の関係を印字率毎に示す図である。同図に示すように、印字率が5%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を200rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。また、印字率が20%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を240rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。さらに、印字率が30%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を260rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。さらに、印字率が50%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を340rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。図7から明らかなように、印字率が高くなるにつれ、画像濃度差を0.2以下に抑えるためには、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を大きくする必要があることが分かる。
さらに、現像剤貯留部41におけるトナー濃度が12%(高濃度時)の場合、制御部Uは、印字率が5%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を200rpmに設定し、印字率が20%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を220rpmに設定し、印字率が30%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を240rpmに設定し、印字率が50%以上のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を260rpmに設定する。
図8は、トナー濃度が12%の場合において第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度と画像濃度差との間の関係を印字率毎に示す図である。同図に示すように、印字率が5%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を200rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。また、印字率が20%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を220rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。さらに、印字率が30%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を240rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。さらに、印字率が50%の場合、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を260rpm以上に設定することで、画像濃度差を0.2以下に抑えることができる。図8から明らかなように、印字率が高くなるにつれ、画像濃度差を0.2以下に抑えるためには、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を大きくする必要があることが分かる。
図6〜図8に示すように、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を大きくすることで画像濃度差を抑えることができるものの、単に、回転速度を大きくすると、トナーが劣化する。図10は、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転時間とトナーの劣化度との間の関係を回転速度200rpm、300rpm、400rpm毎に示す図である。トナーの劣化度は、以下の式で求められる。
トナー劣化度=(1−(所定経過時間毎のトナーの比表面積)/(初期のトナーの比表面積))×100%
比表面積とは、トナーの表面に外添剤が付着した状態の単位質量当たりのトナーの表面積である。
図10から明らかなように、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度が400rpmのとき、トナー劣化度が最も高く、回転速度が200rpmのとき、トナー劣化度が最も低い。
以上説明した図6〜図8に示す結果(画像濃度差は第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を大きくすることで抑えることができる)、および図10に示す結果(第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を単に大きくだけではトナー劣化が進む)から、制御部Uは、画像濃度差の抑制とトナー劣化の抑制との間でバランスを取るために、トナー濃度および印字率の両方に応じて第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を上記のように設定する。これにより、前記バランスが達成され、良好な画質のトナー像が確保される。
なお、制御部Uは、印字率が5%以上のときに上記のように第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を設定するが、印字率が5%未満のときは回転速度の設定を行わない。これは、印字率が5%未満の低印字率のとき、マグネットローラ42、ひいては現像ローラ43が第2搬送路41bから受け取るトナー量が、印字率が5%以上のときと比較して少ないためである。そのため、現像剤の搬送速度を大きくして、現像剤を第2搬送路41bにおける搬送方向上流側から搬送方向下流側に向けて迅速に搬送する必要がない。したがって、制御部Uは印字率が5%未満のときには駆動源Mを制御する必要がないので、その分、制御部Uにかかる負荷を軽減することができる。
また、制御部Uは、印字率に応じたトナー補給が行われたときに駆動源Mを制御して第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を変更する、言い換えれば、トナー濃度が変動するタイミングに合わせて現像剤の第2搬送路41bにおける搬送速度を変更する。これにより、画像濃度差やストレスを迅速に抑制することができる。
さらに、制御部Uは、現像ローラ43によって感光体ドラム121上にトナー像が現像されたとき、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダの回転量を制御して印字率に応じたトナー補給を行う。これにより、印字率に応じて必要とされる量を超えた量のトナーが現像剤貯留部41内に導入されないので、トナーかぶりや、現像剤が搬送される際の摩擦等に起因するストレスが抑制される。
次に、図11に示すフロー図を参照しながら制御部Uの制御フローについて説明する。まず、ユーザによって画像形成装置10の印字開始ボタンが押されると(開始)、ステップS1において、制御部Uはトナー濃度センサSによって現像剤貯留部41内の現像剤のトナー濃度を得る。そして、ステップS2において、制御部Uは現像されるトナー像の印字率を印字率取得部58から得る。
次に、ステップS3において、制御部Uは印字率に応じてトナー補給量を決定する。印字率が5%以下のとき、補給されるトナー量Aは0mg≦A≦25mgであり、印字率が5%を超え10%以下のとき、補給されるトナー量Aは25mg<A≦100mgであり、印字率が10%を超え20%以下のとき、補給されるトナー量Aは100mg≦A≦150mgであり、印字率が20%を超えるとき、補給されるトナー量Aは150mg<Aである。
次に、ステップS4において、制御部Uはトナー濃度および印字率の両方に応じて第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を決定する。例えば、トナー濃度が10%で、印字率が20%のとき、制御部Uは第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を240rpmに設定する。なお、印字率に応じたトナー補給量や、トナー濃度および印字率に応じた第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度は、補給量テーブルや回転速度テーブルとして記憶部59(図2)に記憶されている。制御部Uは、新たな現像動作が行われる度に記憶部59の補給量テーブルおよび回転速度テーブルを参照して、トナー補給量および回転速度を適宜選択する。
次に、ステップS5において、制御部Uは、決定したトナー補給量に基づいて新たなトナーの補給を開始する。具体的には、制御部Uは、トナー補給部60を制御して、つまり、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダを制御してトナー補給量に応じた分だけ回転させることにより、新たなトナーをトナー補給室70を介して第1搬送路41aに導入させる。
トナー補給が終了すると(ステップS6)、次に、ステップS7において、制御部Uは現像動作を開始する。具体的には、制御部Uは、駆動源Mを制御して、ステップS4で設定した回転速度で第1搬送部材45および第2搬送部材46を回転させることにより、現像剤を第1搬送路41aから第2搬送路41bに搬送させる。第2搬送路41bでは、現像剤は、設定された回転速度に基づく搬送速度で上流側から下流側に搬送される。制御部Uは、駆動源Mを制御するとほぼ同時に、マグネットローラ42および現像ローラ43を回転させる図略の駆動源を制御すると共に、第1印加手段および第2印加手段を制御する。これにより、マグネットローラ42は第2搬送路41bから現像剤を現像剤担持面48上に受け取り、現像ローラ43は現像剤担持面48上の現像剤層からトナーのみをトナー担持面55上に受け取る。そして、トナー担持面55上のトナーが感光体ドラム121上の静電潜像に供給されることで、トナー像が現像され、現像動作が終了する(ステップS8)。
次に、図12を参照して制御部Uによるシーケンス制御について説明する。図12は、現像剤貯留部41内のトナー濃度が10%のときに行われるシーケンス制御を示している。制御部Uは、印字率が5%未満のとき、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を200rpmに設定している。このとき、制御部Uは、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を大きくするための回転信号を駆動源Mに伝送しないが、印字率に応じた量のトナーを現像剤貯留部41に補給するために、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダにトナー補給信号を伝送する。
制御部Uは、印字率取得部58によって印字率が5%未満から20%に増加したことを検知すると、駆動源Mに回転信号を伝送して、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を240rpmに変えると共に、印字率20%に応じた量のトナーを現像剤貯留部41に補給するために、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダにトナー補給信号を伝送する。
また、制御部Uは、印字率取得部58によって印字率が20%から5%未満に低下したことを検知すると、駆動源Mに回転信号を伝送して、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を200rpmに変えると共に、印字率5%未満に応じた量のトナーを現像剤貯留部41に補給するために、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダにトナー補給信号を伝送する。
さらに、制御部Uは、印字率取得部58によって印字率が5%未満から50%に増加したことを検知すると、駆動源Mに回転信号を伝送して、第1搬送部材45および第2搬送部材46の回転速度を340rpmに変えると共に、印字率50%に応じた量のトナーを現像剤貯留部41に補給するために、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダにトナー補給信号を伝送する。このように、制御部Uは、印字率の変化に合わせて、駆動源Mに回転信号を伝送すると共に、トナーコンテナ900の前記スクリューフィーダにトナー補給信号を伝送する。