以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、画像形成ジョブを実行した際に、排出口からオーバーフローさせる高さまで現像装置内の現像剤の剤面高さを高くし得る限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部をその代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
したがって、画像形成装置は、フルカラー/モノクロ、1ドラム型/タンデム型、直接転写方式/記録材搬送体方式/中間転写体方式、像担持体の種類、帯電方式、露光方式、転写方式、定着方式によらず実施できる。本実施例では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
[画像形成装置]
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を示す概念図である。図1に示すように、画像形成装置1は、中間転写ベルト31に沿って画像形成部PY、PM、PC、PKを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成部PYでは、感光ドラム11Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト31に転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム11Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト31に転写される。画像形成部PC、PKでは、それぞれ感光ドラム11C、11Kにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて中間転写ベルト31に転写される。中間転写ベルト31に転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材S(用紙、OHPシートなどのシート材など)へ一括二次転写される。
画像形成部PY、PM、PC、PKは、現像装置14Y、14M、14C、14Kで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部PY、PM、PC、PKの区別を表す符号末尾のY、M、C、Kを省略した符号を構成部材に付して、画像形成部Pの構成及び動作を総括的に説明する。
画像形成部Pは、像担持体としての感光ドラム11を囲んで、一次帯電器12、露光装置13、現像装置14、転写帯電器35、ドラムクリーニング装置15を配置している。感光ドラム11は、アルミニウム製シリンダの外周面に感光層が形成されており、所定のプロセススピードで回転する。
一次帯電器12は、例えばコロナ放電に伴う荷電粒子を照射して感光ドラム11を一様な負極性の暗部電位に帯電させる。露光装置13は、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム11の表面に画像の静電像を書き込む。現像装置14は、トナーを感光ドラム11に供給して、静電像をトナー像に現像する。
転写帯電器35は、中間転写ベルト31を押圧して、感光ドラム11と中間転写ベルト31との間にトナー像の一次転写部T1を形成する。転写帯電器35にトナーの帯電極性と逆極性の直流電圧が印加されることにより、感光ドラム11に担持されたトナー像が中間転写ベルト31へ一次転写される。ドラムクリーニング装置15は、感光ドラム11にクリーニングブレードを摺擦して、一次転写後に感光ドラム11上に僅かに残る転写残トナーを回収する。
中間転写ベルト31は、駆動ローラ33、テンションローラ34及び二次転写内ローラ32等のローラに掛け渡して支持され、駆動ローラ33に駆動されて図中矢印R1方向に回転する。二次転写部T2は、二次転写外ローラ41に支持された中間転写ベルト31に二次転写内ローラ32を当接して形成される記録材Sへのトナー像転写ニップ部である。二次転写内ローラ32に所定の加圧力と静電的負荷の直流電圧が印加されることで、中間転写ベルト31に担持されたトナー像は、二次転写部T2を搬送される記録材Sへ二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト31に付着したままの転写残トナーは、図示を省略したベルトクリーニング装置が中間転写ベルト31を摺擦することにより回収される。
記録材Sは、複数の記録材収納庫61〜64それぞれに積載される形で収納されている。分離ローラ71〜74は、画像形成タイミングにあわせて記録材収納庫61〜64から記録材Sを一枚ずつに分離して引き出し、該引き出した記録材Sを搬送パス81を通してレジストローラ76へ送り出す。レジストローラ76は送られてくる記録材Sの斜行補正やタイミング補正を行いながら、中間転写ベルト31のトナー像にタイミングを合わせて記録材Sを二次転写部T2へ送り込む。上述のようにして二次転写部T2により四色のトナー像を二次転写された記録材Sは、定着前搬送装置42により定着装置5へと搬送される。定着装置5は、対向するローラもしくはベルト等による圧力と、一般的にはヒータ等の熱源(図示せず)による熱を加えて記録材S上にトナー像を溶融固着する。
こうして得られた定着画像を有する記録材Sは、排紙搬送パス82もしくは反転誘導パス83のいずれかに搬送される。排紙搬送パス82に搬送された場合、記録材Sは排紙トレイ65に排出される。一方、反転誘導パス83に搬送された場合、記録材Sは他方の面への画像形成つまりは両面印刷が行われる。この場合、片面(1面目)に画像形成された記録材Sは、反転誘導パス83からスイッチバックパス84へと引き込まれる。そこで、反転ローラ78の回転方向を正逆転させるスイッチバック動作を行い、記録材Sの先後端を入れ替える。先後端が入れ替えられた記録材Sは両面搬送パス85を通され、再度レジストローラ76を経て二次転写部T2へと送られることにより、もう一方の面(2面目)への画像形成が行われる。2面目の画像形成プロセスに関しては、先述の1面目の場合と同様なので説明を省略する。
[現像装置]
次に、現像装置14について図2乃至図4を用いて説明する。図2に示す現像装置14は、縦攪拌型の現像装置である。該現像装置14は、ハウジングを形成する現像容器26と、現像剤担持体としての現像スリーブ21と、層厚規制部材としての規制ブレード22とを有している。現像スリーブ21は、感光ドラム11に対向した位置に設けられた現像容器26の開口部から一部露出して、また回転可能に現像容器26に配設されている。現像スリーブ21は、規制ブレード22によって層厚を規制された現像剤を担持したまま図中矢印R3方向に回転して、対向する感光ドラム11に現像剤を搬送する。搬送された現像剤は、感光ドラム11を摺擦する。これにより、感光ドラム11に形成された静電像にトナーが供給され、静電像がトナー像に現像される。
現像容器26は、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤を収容する。現像容器26内は、略中央部において紙面垂直方向に延在する隔壁25によって上段の現像室27と下段の攪拌室28とに区画されている。現像室27と攪拌室28とは両端部に設けた開口部51,52を通じて上下に連通しており、現像剤の循環経路を形成している。
第一室としての現像室27及び第二室としての攪拌室28には、第一搬送手段としての現像スクリュー23と、第二搬送手段としての攪拌スクリュー24が回転自在に配設されている。図3に示すように、現像スクリュー23、攪拌スクリュー24、及び現像スリーブ21の一端(図3では左端)には、現像スクリューギア53、攪拌スクリューギア54、及び図示しない現像スリーブギアが設けられている。現像スリーブギアは、現像スリーブ駆動部102(図2参照)からの駆動力を受けて現像スリーブ21を回転させる。現像スクリューギア53は、現像スクリュー駆動部103(図2参照)からの駆動力を受けて現像スクリュー23を回転させる。それと同時に、攪拌スクリューギア54にも現像スクリュー駆動部103からの駆動力を伝達して、現像スクリュー23と同時に攪拌スクリュー24を回転させる。
現像スクリュー23と攪拌スクリュー24とが回転することによって、現像剤は攪拌されながら現像容器26内を循環搬送される。現像剤が攪拌されることに伴い、トナーが負極性に、キャリアが正極性に帯電する。現像スクリュー23は現像室27内において現像スリーブ21の回転軸に沿って略平行に配置され、攪拌スクリュー24は攪拌室28内において現像スクリュー23と略平行に配置される。現像スクリュー23が回転すると、現像室27内の現像剤は現像スクリュー23の回転軸に沿って図3の左方から右方へと一方向に搬送される。他方、攪拌スクリュー24が回転すると、攪拌室28内の現像剤は攪拌スクリュー24の回転軸に沿って図3の右方から左方へと一方向につまり現像室27内の現像剤とは反対向きに搬送される。このようにして各スクリュー23、24の回転によって搬送される現像剤は、隔壁25の両端部に設けられた開口部51、52を通じて、矢印R2で示した向きに現像室27と攪拌室28との間を循環搬送されることになる。
現像室27の現像剤の搬送経路下流側の側壁にはトリクル方式による現像剤交換を行うために、排出部としての排出口55が設けられている。排出口55は、補給部としての現像剤補給装置90から攪拌室28に補給用現像剤が補給され余剰となった現像剤をオーバーフローさせて排出するために、現像剤が定常状態に至ったときの剤面高さにあわせた所定の高さ位置に設けられている。
現像装置14では、現像室27から現像スリーブ21に現像剤を供給し、現像スリーブ21上で現像に携わってトナー濃度の低下した現像剤は専ら攪拌室28に回収される。回収された現像剤は攪拌室28で補給用現像剤と十分に混合されてトナー濃度を回復してから現像室27に戻され、現像スリーブ21に再び担持され現像に用いられる。こうすると、現像スリーブ21に担持される現像剤のトナー濃度は一定に確保されて、トナー濃度のばらつきに起因する画像濃度ムラが発生しないため、出力画像の画像品質の向上に貢献している。
攪拌スクリュー24によって攪拌室28を下流側に搬送された現像剤は、開口部51下の空間を十分に満たすと現像室27へ押し出され、現像スクリュー23によって現像室27を下流側に搬送されていく。また、現像剤の循環搬送と同時に、現像室27内の現像剤の一部は回転する現像スリーブ21に担持されて現像室27から攪拌室28へと順次に移動される。そのため、運転中、現像容器26内の現像剤は開口部51側が高い剤面T’の状態(定常状態)に維持される。
しかし、現像装置14が停止すると、攪拌スクリュー24によって現像室27に押し上げられていた現像剤が攪拌室28内へ落下すると同時に、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24の回転によって跳ね上げられていた現像剤が跳ね上げられなくなる。このため、現像装置14が停止すると、図4に示すように、現像容器26内の現像剤の剤面は、図中T”のように全体的に下がる。これは、現像剤が現像室27及び攪拌室28の底部に堆積した状態である。
現像装置14が停止している状態から、画像形成ジョブを開始すると、現像剤の剤面は徐々に(例えば2.5秒程度で)図4に示す状態から図3に示す定常状態の剤面T’となる。そして、この剤面T’の状態を保ちながらトナー像が現像される。画像形成ジョブの実行中に、現像剤補給装置90からキャリアを例えば10%程度含む補給用現像剤が補給されると、剤面T’が上昇して、現像室27に設けられた排出口55から現像剤がオーバーフローする。排出口55をすり切り状態で溢れ出た現像剤が現像容器26外へと排出されることで、現像容器26内の現像剤は適正量に維持される。
しかしながら、現像装置の起動/停止が短時間内に行われる例えば1枚など通紙枚数の少ない短時間の画像形成ジョブの実行時には、図4に示す剤面T”から図3に示す剤面T’に至らない状態のまま画像形成ジョブが終了する。その場合、排出口55から余剰な現像剤がオーバーフローしない。排出口55から現像剤がオーバーフローしなければ、現像容器26内の現像剤は増え続ける。現像容器26内の現像剤が増え続けると、攪拌室28に現像剤が溜まり、現像スリーブ21を伝わって現像室27から攪拌室28に移動する現像剤を攪拌室28内に取り込めなくなる。その結果、画像形成装置本体内へ現像剤が溢れ出てしまう。
図2に戻り、制御手段としての制御部100は、入力装置(PC、リーダー等)101から画像形成ジョブ(プリントジョブ)を受信し実行する。制御部100は、現像スリーブ駆動部102や現像スクリュー駆動部103による現像スリーブ21、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24の駆動を制御する。現像スリーブ駆動部102、現像スクリュー駆動部103は例えばモータである。現像スリーブ駆動部102の駆動力が現像スリーブギアに伝達されることにより、現像スリーブ21は回転する。現像スクリュー駆動部103の駆動力が現像スクリューギア53及び攪拌スクリューギア54に伝達されることにより、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24は回転する。制御部100は現像スリーブ駆動部102や現像スクリュー駆動部103を制御して、現像スリーブ21と、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24との少なくともいずれかの駆動速度(一例として回転数)を変更することができる。詳しくは後述するが、制御部100は、画像形成ジョブの現像駆動時間に関する情報に基づき、現像スリーブ21と、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24との少なくともいずれか一方の駆動速度を変更する。なお、画像形成ジョブの現像駆動時間に関する情報は、連続して画像形成する記録材Sの枚数(画像形成ジョブのプリント枚数)もしくは現像スリーブ21の駆動開始から終了までにかかる時間長、あるいは現像スリーブ21の駆動開始からの経過時間を含む。
ここで、現像スリーブの駆動速度(回転数)と現像剤の剤面が定常状態となるまでの時間との関係について説明する。図5は、回転数を異ならせて現像スリーブを回転させたときの回転開始後からの現像容器内の剤面の変化を示す図である。図6は、プリントジョブの動作タイミングを示すタイミングチャートである。図6(a)はA4普通紙横送りでの一枚プリントジョブ、図6(b)はA4普通紙横送りでの二枚プリントジョブを示す。この例では、現像スリーブ21の通常回転数は520rpmに設定され、現像スクリュー23(及び攪拌スクリュー24)の通常回転数は822rpmに設定される。ここで、第一速度としての「通常回転数」は、記録材の種類、記録材のサイズや搬送向き、記録材の厚さなどの画像形成条件に応じた回転数が予め決められている。
図5に示すように、現像スリーブ21を通常回転数(520rpm)で駆動した場合、現像剤の剤面が定常状態(T´)となるまで、現像スリーブ21の回転開始から2.5[sec]かかる。その後は、排出口55から現像剤がオーバーフローすることで、現像剤の剤面が定常状態の剤面T’で安定する。つまり、現像スリーブ21を通常回転数で駆動したときには、現像室内及び攪拌室内の現像剤の剤面が定常状態に至るまでに2.5[sec]以上必要であることが理解できる。一方、現像スリーブ21を通常回転数よりも10%遅い回転数(468rpm)で駆動したときには、現像室内及び攪拌室内の現像剤の剤面は回転開始後1.0[sec]で定常状態の剤面T’に達している。つまり、通常回転数よりも10%遅い回転数で現像スリーブ21を駆動したときには、現像剤の剤面が定常状態に至るまでに1.0[sec]しかかからないことが理解できる。
図2を参照して図6(a)に示すように、前回転動作の開始から作像動作(画像形成動作)を経て後回転動作の終了までをまとめて、1回の画像形成ジョブ(プリントジョブ)と定義する。また、現像スリーブ21又は現像スクリュー23(及び攪拌スクリュー24)を停止状態から起動して1乃至複数枚のプリントを実行して停止するまで、つまり駆動開始(オン)から駆動停止(オフ)されるまでの現像装置の駆動時間を現像駆動時間と定義する。
A4横送り画像を一枚プリントする場合、感光ドラム11に画像を作像するための準備動作として前回転動作が実行される。前回転動作では、感光ドラム11及び中間転写ベルト31(Dr&ITB駆動)に続いて、一次帯電器12及び現像スリーブ21に印加する電圧(帯電高圧及び現像高圧)を立ち上げる。次いで、現像スリーブ21、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24の回転を立ち上げる。
前回転動作は合計1.0[sec]であり、その内、現像スリーブ21が回転している時間は0.5[sec]である。現像スリーブ21の回転数が安定しないと画像にムラが生じるので、準備動作として作像動作より0.5sec前に現像スリーブ21の回転駆動を開始している。
前回転動作後、作像動作が実行される。作像動作では、A4サイズ横の長さ分の0.5[sec]だけ露光がONされた後、OFFされる。作像動作中、現像スリーブ21、現像スクリュー23、及び攪拌スクリュー24は回転し続けて、感光ドラム11に形成された静電像を可視化し続ける。
作像動作の終了(現像終了)後、感光ドラム11及び現像装置14を停止するための後回転動作を実施する。後回転動作では、前回転動作で立ち上げた各種駆動系および高圧電源系を停止する。感光ドラム11に不必要な電圧変化跡が形成されないように、感光ドラム11は最後に停止される。また、感光ドラム11に不必要なトナーが付着するかぶりを抑制すべく、感光ドラム11の帯電をOFFした位置が現像スリーブ21と対向する位置へ到達するまでに現像スリーブ21に印加する電圧をOFFする。
その結果、A4サイズ横送りの一枚プリントジョブでは、現像スリーブ21は1.0[sec]しか回転しない。そして、現像スリーブ21が回転する期間を通じて、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24は回転し続け、現像スリーブ21に電圧が印加され続ける。
図6(b)に示すように、二枚プリントジョブの場合、一枚プリントジョブの作像時間が2倍になり、これに紙間(画像間隔)の時間が追加される。その結果、A4サイズ横送りの二枚プリントジョブでも、現像スリーブ21は1.6[sec]間しか回転しない。これからすると、A4サイズ横送りのプリントジョブの場合に、現像室27内の現像剤が定常状態に至る2.5[sec]以上の現像駆動時間がかかるのは、四枚以上のプリントジョブを行う時である。
0.5[sec]+0.5[sec]+(0.1+0.5)[sec]×(4(枚)−1)=2.8[sec]
以下では、現像装置の起動/停止が短時間のうちに行われても、現像装置内の現像剤を定常状態に至らせる制御について説明する。ただし、説明を理解しやすくするために、ここではA4普通紙横送りの場合を例に説明する。なお、既に述べたように、A4普通紙横送りの場合、現像スリーブ21の通常回転数は520rpmに設定され、現像スクリュー23(及び攪拌スクリュー24)の通常回転数は822rpmに設定される。
<実施例1>
図7は、実施例1の画像形成ジョブのフローチャートである。図2を参照して図7に示すように、制御部100は、入力装置101から画像形成ジョブを受信すると画像形成ジョブを開始する(S11)。制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31の駆動、図示しない高圧電源回路のONなどの前回転動作を開始する(S12)。このとき、制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31を画像形成条件に応じて予め決められている所定回転数で駆動する制御を行う。
制御部100は、現像スリーブ駆動部102及び現像スクリュー駆動部103を通じて、現像スリーブ21及び現像スクリュー23を回転する現像駆動を開始する(S13)。このとき、制御部100は、現像スクリュー23の回転数を画像形成条件に応じた通常回転数に設定する。すなわち、現像スクリュー23の回転数は通常回転数(822rpm)のまま変更しない。一方、制御部100は、現像スリーブ21の回転数を通常回転数(520rpm)から、当該通常回転数よりも10%遅い第二速度としての変更後回転数(468rpm)に設定(変更)する。そして、制御部100は、現像スリーブ21を変更後回転数で駆動するように現像スリーブ駆動部102に対して指示し、現像スクリュー23を通常回転数で駆動するように現像スクリュー駆動部103に対して指示する。制御部100は、前回転動作に続いて、露光装置(13:図1)による露光を開始して作像動作を実施させる(S14)。
制御部100は、ジョブが終了したか否かを判定する(S15)。制御部100は、ジョブが終了していない場合(S15のNo)、現像スリーブ21の回転数を変更後回転数から通常回転数に戻す(S16)。この場合、現像スリーブ21の駆動開始から一枚目の現像終了までの時間が経過すると、現像スリーブ21の回転数は変更後回転数から通常回転数に戻される。制御部100は、変更後回転数から通常回転数に戻す制御を作像動作と作像動作の合間(紙間、図6参照)に行う。その後、制御部100はS14に戻ってS14〜S16の処理をジョブが終了するまで繰り返す。こうして、二枚目以降では、通常回転数で回転する現像スリーブ21によって作像動作が行われる。
一方、制御部100は、ジョブが終了した場合(S15のYes)、感光ドラム11上の画像の現像動作が終わったタイミングで、現像スリーブ21及び現像スクリュー23の駆動を直ちに停止し、後回転動作を開始する(S17)。制御部100は後回転動作の終了後、ジョブ終了へ移行する(S18)。これにより、本体動作が停止してジョブ終了となる。
実施例1では、一枚目の画像形成時つまりはジョブ開始後の最初(一回目)の画像形成のときに、必ず通常回転数よりも遅い変更後回転数で現像スリーブ21を駆動し作像動作を行わせるようにした。すなわち、現像スリーブ21の駆動開始からの経過時間が一枚目の現像終了に至るまでの所定値未満である間は、変更後回転数を用いる。現像スリーブ21を変更後回転数で駆動すれば、現像スリーブ21によって現像室27から攪拌室28へと移動される現像剤の量を、通常回転数で駆動したとき(以下、通常駆動時)よりも減らすことができる。そうすると、通常駆動時に比べ現像剤が定常状態に至るまでの時間を短くすることができる。具体的には、図5に示したように、2.5[sec]から1.0[sec]に短縮できる。そうであれば、比較的短時間のうちに現像容器26内の現像剤の状態を、現像容器26内の余剰な現像剤が排出口55からオーバーフローされて外部へと排出され得る状態とすることができる。したがって、例えば図6(a)に示した現像駆動時間が1.0[sec]といった、現像装置の起動/停止が短時間のうちに行われる画像形成ジョブが行われても、現像容器26内の余剰な現像剤は排出口55からオーバーフローし得る。そのため、現像剤が定常状態とならない一枚プリントジョブを繰り返したとしても、現像装置14内の現像剤は一定量に保たれてかつ現像剤の特性は常に同じ特性に維持される。また、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24の駆動時間を延長しないので、現像剤が無駄に攪拌されない。したがって、現像剤の劣化が進みにくい。さらには、感光ドラム11の回転数を変更せずに現像スリーブ21の回転数を変更するだけであるので、ダウンタイムを増加させることもない。
<実施例2>
通常回転数は現像性を鑑みて画像形成条件に応じた最適値であることから、一般的には通常回転数で現像スリーブ21、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24を駆動するのがよい。そこで、実施例1では一枚目の画像形成後にすぐに現像スリーブ21の回転数を変更後回転数から通常回転数に戻すようにしている。しかし、画像形成中に現像スリーブ21の回転数を変更すると、変更前後で画像に差異が生じ得る。例えばベタ画像などの極端に濃度の高い画像を複数枚出力するような場合、二枚目以降と比べて一枚目の濃度が低くなり得る。そこで、実施例2に、連続して複数枚(ここでは四枚以上)の画像形成を行う場合に、一枚目の画像と二枚目以降の画像との間に差異を生じさせないための制御を示す。図8は、実施例2の画像形成ジョブのフローチャートである。
図2を参照して図8に示すように、制御部100は、入力装置101から画像形成ジョブを受信すると画像形成ジョブを開始する(S21)。制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31の駆動、高圧電源回路のONなどを開始する(S22)。このとき、制御部100は感光ドラム11や中間転写ベルト31を所定回転数で駆動する制御を行う。制御部100は、現像駆動時間が所定値以上(ここでは2.5[sec]以上)必要な画像形成ジョブであるか否かを判定する(S23)。本実施例に示すA4普通紙横送りのプリントジョブの場合、現像駆動時間を時間長2.5[sec]以上必要とするのは四枚以上の画像を出力する場合である。制御部100は、現像駆動時間が所定値未満(ここでは2.5[sec]未満)の画像形成ジョブ(例えば一枚プリント)である場合(S23のNo)、S27〜S30までの処理を実行する。これらの処理は実施例1のS13〜S16(図7参照)に対応した処理であるから、ここでの説明を省略する。
制御部100は、現像駆動時間を2.5[sec]以上必要とする画像形成ジョブである場合(S23のYes)、現像スリーブ21及び現像スクリュー23を回転する現像駆動を開始する(S24)。このとき、現像スリーブ21の回転数は通常回転数(520rpm)に設定される。勿論、現像スクリュー23の回転数は通常回転数(822rpm)に設定される。制御部100は、前回転動作に続いて、露光装置(13:図1)による露光を開始して作像動作を実施させる(S25)。
制御部100は、ジョブが終了したか否かを判定する(S26)。制御部100は、ジョブが終了した場合(S26のYes又はS29のYes)、S31の処理を実行する。すなわち、感光ドラム11上の画像の後端部の現像動作が終わったタイミングで、現像スリーブ21及び現像スクリュー23の駆動を直ちに停止し、後回転動作を開始する(S31)。制御部100は後回転動作の終了後、ジョブ終了へ移行する(S32)。
実施例2によれば、現像駆動時間に2.5[sec]以上かかる場合、一枚目の現像スリーブ21の回転数を変更後回転数に変更しないので、画像形成中に現像スリーブ21の回転数が変更されない。したがって、一枚目とそれ以降とで差異のない安定した複数枚の画像を得ることができる。また、現像駆動時間に2.5[sec]以上かかることからすれば、現像スリーブ21の回転数を変更後回転数に変更せずとも通常回転数のままで、現像剤は定常状態に至って排出口55からオーバーフローし得る(図5参照)。なお、現像駆動時間に2.5[sec]以上かからない場合は実施例1と同様の制御を行うので、実施例1と同様の効果が得られる。
<実施例3>
ところで、現像装置14の中には、記録材の種類に応じて複数の異なる通常回転数を使い分けて現像スリーブ21を駆動する、所謂複数プロセススピードに対応した装置がある。例えば、普通紙の場合には520rpm、厚紙の場合には260rpmの各通常回転数の使い分けが行われる。そこで、実施例3として複数プロセススピードに対応した装置に適用可能な画像形成ジョブを示す。図9は、実施例3の画像形成ジョブのフローチャートである。
図2を参照して図9に示すように、制御部100は、入力装置101から画像形成ジョブを受信すると画像形成ジョブを開始する(S41)。制御部100は、記録材の一枚の重さ(坪量)が105g以下であるか否かを判定する(S42)。この判定は、例えば、ユーザが不図示の操作部やパーソナルコンピュータなどの外部端末で設定した紙種に基づいて行う。勿論、この条件は一例でありこれに限らない。制御部100は、記録材の一枚の重さが105g以下(例えば普通紙)である場合(S42のYes)に「等速処理」(S43〜S51)を実行する。制御部100は、記録材の一枚の重さが105g以下でない(例えば厚紙の)場合(S42のNo)に「1/2速処理」(S52〜S60)を実行する。これらの処理後、感光ドラム11上の画像の後端部の現像動作が終わったタイミングで、現像スリーブ21及び現像スクリュー23の回転駆動を直ちに停止し、後回転動作を開始する(S61)。制御部100は後回転動作の終了後、ジョブ終了へ移行する(S62)。
まず、「等速処理」(S43〜S51)について説明する。制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31の駆動、図示しない高圧電源回路のONなどを開始する(S43)。その後、制御部100はS44〜S51までの処理を実行する。これらの処理は実施例2のS23〜S30(図8参照)に対応した処理であるから、ここでの説明を省略する。
「1/2速処理」(S52〜S60)について説明する。制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31の駆動、図示しない高圧電源回路のONなどを開始する(S52)。このとき、制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31を「等速処理」に比較して「1/2速」の回転数で駆動する制御を行う。制御部100は、S53〜S60までの処理を実行する。これらの各処理は実施例2のS23〜S30(図8参照)に対応した処理である。ただし、この「1/2速」処理の場合、制御部100は現像スリーブ21の通常回転数を「等速処理」時の「1/2速」つまり260rpmに設定し、現像スクリュー23の回転数を411rpmに設定する(S54)。このとき、制御部100は、現像スクリュー23及び攪拌スクリュー24についても、「等速処理」に比較して「1/2速」の回転数で駆動する。そして、制御部100は、現像スリーブ21の変更後回転数として通常回転数よりも10%遅い234rpmに変更する(S57)。また、制御部100は、現像スリーブ21の回転数を234rpmから260rpmに戻す(S60)。
このように、現像装置14が複数のプロセススピードに対応している場合、その時々の通常回転数にあわせて変更後回転数が決まり、これに基づき現像スリーブ21を駆動する。こうすることにより、「等速処理」時は勿論のこと「1/2速処理」時でも実施例1と同様の効果が得られる。
<実施例4>
上述した実施例1〜実施例3は、現像スリーブ21の回転数を通常回転数よりも遅い回転数に変更する例を示したがこれに限らない。現像剤を定常状態に至らせるまでの時間を短くするには、現像スリーブ21の回転数を変更することなく、現像スクリュー23や攪拌スクリュー24の回転数を通常回転数よりも速い回転数に変更することによっても実現可能である。
ここで、現像スクリューの駆動速度(回転数)と現像剤の剤面が定常状態となるまでの時間との関係について説明する。なお、攪拌スクリューは現像スクリューと同じ駆動速度である。図10は、回転数を異ならせて現像スクリューを回転させたときの回転開始後からの現像容器内の剤面の変化を示す図である。図10に示すように、現像スクリュー23を通常回転数(822rpm)で駆動した場合、現像剤の剤面が定常状態(T’)となるまで、現像スクリュー23の回転開始から2.5[sec]かかる。その後は、排出口55から現像剤がオーバーフローすることで、現像剤の剤面が定常状態の剤面T’で安定する。つまり、現像スクリュー23を通常回転数で回転駆動したときには、現像室内及び攪拌室内の現像剤の剤面が定常状態に至るまでに2.5[sec]以上必要であることが理解できる。一方、現像スクリュー23を通常回転数よりも15%速い回転数(945rpm)で駆動したときには、現像室内及び攪拌室内の現像剤の剤面は回転開始後1.0[sec]で定常状態の剤面T’に達している。つまり、通常回転数よりも15%速い回転数では、現像剤の剤面が定常状態に至るまでに1.0[sec]しかかからないことが理解できる。
そこで、実施例4は、現像スクリュー23の回転数を通常回転数よりも速い回転数に変更することで、短時間のうちに現像室27内の現像剤を定常状態に至らせるための制御を示す。図11は、実施例4の画像形成ジョブのフローチャートである。
図2を参照して図11に示すように、制御部100は、入力装置101から画像形成ジョブを受信すると画像形成ジョブを開始する(S71)。制御部100は、感光ドラム11や中間転写ベルト31の駆動、高圧電源回路のONなどを開始する(S72)。
制御部100は、現像駆動時間が所定値以上(ここでは2.5[sec]以上)必要な画像形成ジョブであるか否かを判定する(S73)。制御部100は、現像駆動時間を2.5[sec]以上必要とする画像形成ジョブである場合(S73のYes)、S74の処理を実行する。すなわち、制御部100は、現像スリーブ駆動部102及び現像スクリュー駆動部103を通じて、現像スリーブ21及び現像スクリュー23を回転する現像駆動を開始する(S74)。このとき、現像スクリュー23の回転数は通常回転数(822rpm)に設定される。勿論、現像スリーブ21の回転数は通常回転数(520rpm)に設定される。制御部100は、前回転動作に続いて、露光装置(13:図1)による露光を開始して作像動作を実施させる(S75)。制御部100は、ジョブが終了したか否かを判定する(S76)。制御部100は、ジョブが終了していない場合(S76のNo)、S75に戻ってS75とS76の処理を繰り返す。制御部100は、当該画像形成ジョブにおけるすべてのプリントが終了した場合(S76のYes)、S81の処理へ進む。
一方、制御部100は、現像駆動時間が所定値未満(ここでは2.5[sec]未満)の画像形成ジョブである場合(S73のNo)、S77の処理を実行する。すなわち、制御部100は、現像スリーブ駆動部102及び現像スクリュー駆動部103を通じて、現像スリーブ21及び現像スクリュー23を回転する現像駆動を開始する(S77)。このとき、制御部100は、現像スリーブ21の回転数を画像形成条件に応じた通常回転数に設定する。すなわち、現像スリーブ21の回転数は通常回転数(520rpm)のまま変更しない。一方、制御部100は、現像スクリュー23の回転数を通常回転数(822rpm)から、当該通常回転数よりも15%速い第二速度としての変更後回転数(945rpm)に設定(変更)する。そして、制御部100は、現像スリーブ21を通常回転数で駆動するように現像スリーブ駆動部102に対して指示し、現像スクリュー23を変更後回転数で駆動するように現像スクリュー駆動部103に対して指示する。制御部100は、前回転動作に続いて、露光装置(13:図1)による露光を開始して作像動作を実施させる(S78)。制御部100は、ジョブが終了したか否かを判定する(S79)。
制御部100は、ジョブが終了していない場合(S79のNo)、現像スクリュー23の回転数を変更後回転数から通常回転数に戻す(S80)。制御部100は、変更後回転数から通常回転数に戻す制御を作像動作と作像動作の合間(紙間、図6参照)に行う。その後、制御部100はS78に戻ってS78〜S80の処理をジョブが終了するまで繰り返す。制御部100は、ジョブが終了した場合(S79のYes)にS81の処理へ進む。
制御部100は、感光ドラム11上の画像の現像動作が終わったタイミングで、現像スリーブ21及び現像スクリュー23の回転駆動を直ちに停止し、後回転動作を開始する(S81)。制御部100は後回転動作の終了後、ジョブ終了へ移行する(S82)。
これによれば、現像スクリュー23(及び攪拌スクリュー24)を通常回転数よりも速い回転数で駆動しても、実施例1さらには実施例2と同様の効果が得られる。
なお、上述した実施例では、現像駆動時間が所定時間以上(2.5[sec])必要な画像形成ジョブであるか否かによって、スリーブ回転数又はスクリュー回転数を通常回転数に設定するか、変更後回転数に設定するかを判定する例を示したがこれに限らない。例えば、連続して画像形成する記録材が四枚以上(上記A4普通紙横送りの場合)であるか否かに応じて、スリーブ回転数又はスクリュー回転数を通常回転数に設定するか、変更後回転数に設定するかの判定を行うようにしてもよい。つまり、現像スリーブ21の駆動開始から終了までにかかる時間長もしくは連続して画像形成する記録材の枚数に基づき、スリーブ回転数又はスクリュー回転数を、通常回転数又は変更後回転数のいずれかに設定すればよい。
なお、上述した実施例では、現像スクリュー23を駆動すると攪拌スクリュー24も駆動される例を示したがこれに限らず、現像スクリュー23と攪拌スクリュー24とを別々に駆動できるようにしてあってもよい。この場合も、現像スクリューと23と攪拌スクリュー24とを同じ速度で駆動する。
なお、上述した実施例では、現像容器が現像室と攪拌室とに上下に区画されている縦攪拌型現像装置を例に説明したが、この構成に限定されない。すなわち、現像室と攪拌室が水平方向に区画され、現像スリーブに現像剤を供給する室と、現像スリーブから現像剤を回収する室と、に各々機能分離した構成についても本発明を適用することは可能である。