以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として複写機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
装置本体10の右側面10Rには、ジャム処理の際、或いはメンテナンス時に画像形成部30や定着部60等のユニットを装置本体10から取り外す際に開閉される本体カバー101が備えられている。本体カバー101は、その基端部(下端部)において、装置本体10に対して回動可能に取り付けられている。
自動原稿給送装置20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。自動原稿給送装置20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置20は上方に開かれる。自動原稿給送装置20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
読取ユニット25は、装置本体10の上面の自動原稿給送装置20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、タッチダウン現像方式の現像装置であって、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。この現像装置324の詳細については、後記で詳細に説明する。
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333及びテンションローラー334を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334及び上述の一次転写ローラー325に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。なお、従動ローラー333は、中間転写ベルト331の周回に応じて従動するローラー、テンションローラー334は中間転写ベルト331に所定の張力を付与するローラーである。
二次転写部35Aの近傍には、中間転写ベルト331の周面に形成されるパッチトナー像の濃度を検知するパッチ濃度センサー336が配置されている。パッチ濃度センサー336は、パッチトナー像に向けて検査光を発する発光部と、前記検査光の反射光を受光する受光部とを含む。パッチ濃度センサー336によるパッチトナー像の濃度検出結果に基づいて、現像バイアスが調整される(キャリブレーション動作)。
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46も設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において本体カバー101に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動モーター(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53を備えた排紙ユニット530が、搬送ユニット55に隣接して配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
搬送ユニット55は、定着部60から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置1は、定着部60が装置本体10の右側面10R側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L側に配置されている。従って、搬送ユニット55は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64、誘導加熱ユニット65及び搬送ローラー対66を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
続いて、現像装置324について詳細に説明する。図2は、現像装置324の内部構造を概略的に示す垂直方向の断面図、図3は、現像装置324の水平方向の断面図である。現像装置324は、該現像装置324の内部空間を画定する現像ハウジング80を含む。この現像ハウジング80には、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留するキャビティであって、現像剤を攪拌しつつ搬送することが可能とされた現像剤貯留部81が備えられている。また、現像ハウジング80の内部には、現像剤貯留部81の上方に配置された磁気ローラー82(現像剤担持体)と、磁気ローラー82の斜め上方位置で磁気ローラー82に対向配置された現像ローラー83(トナー担持体)と、磁気ローラー82に対向配置された現像剤規制ブレード84とが収容されている。
現像剤貯留部81は、現像装置324の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室81a,81bを含む。現像剤貯留室81a,81bは、現像ハウジング80に一体に形成され長手方向に延びる仕切り板801によって互いに仕切られているが、図3に示すように、長手方向における両端部において連通路803、804によって互いに連通されている。各現像剤貯留室81a,81bには、軸回りに回転することにより現像剤を攪拌及び搬送するスクリューフィーダー85,86が収容されている。スクリューフィーダー85,86は、図略の駆動機構により回転駆動されるが、その回転方向が互いに逆方向に設定されている。これにより現像剤は、図3に矢印で示すように、現像剤貯留室81aおよび現像剤貯留室81b間を攪拌されつつ循環搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばマイナスに帯電される。
磁気ローラー82は、現像装置324の長手方向に沿って配設されており、図2では時計方向に回転可能である。磁気ローラー82の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、本実施形態では汲上極821、規制極822及び主極823を有する。汲上極821は現像剤貯留部81に対向し、規制極822は現像剤規制ブレード84に対向し、主極823は現像ローラー83に対向している。
磁気ローラー82は、汲上極821の磁力によって現像剤貯留部81から現像剤をその周面82A上に磁気的に汲み上げる(受け取る)。汲み上げられた現像剤は、磁気ローラー82の周面82A上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、磁気ローラー82の回転に伴って現像剤規制ブレード84に向けて搬送される。
現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の回転方向から見て現像ローラー83よりも上流側に配置され、磁気ローラー82の周面82Aに磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像ハウジング80の適所に固定された所定の支持部材841によって支持されている。また、現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の周面82Aとの間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面842(つまり現像剤規制ブレード84の先端面)を有する。
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード84は、磁気ローラー82の規制極822によって磁化される。これにより、現像剤規制ブレード84の規制面842と規制極822との間に、つまり規制ギャップGにおいて磁路が形成される。汲上極821によって磁気ローラー82の周面82A上に付着した現像剤層が、磁気ローラー82の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制される。これにより、周面82A上には所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
現像ローラー83は、現像装置324の長手方向に沿って、且つ、磁気ローラー82に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計方向に回転可能である。現像ローラー83は、磁気ローラー82の周面82A上に保持された現像剤層に接触した状態で回転しつつ、前記現像剤層からトナーを受け取ってトナー層を担持する周面83Aを有する。現像動作が行なわれる現像時には、前記トナー層のトナーが感光体ドラム321の周面に供給される。
現像ローラー83および磁気ローラー82は、駆動源Mによって回転駆動される。現像ローラー83の周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの間には、所定の寸法の隙間Sが形成されている。隙間Sは例えば約130μmに設定されている。現像ローラー83は、現像ハウジング80に形成された開口を通して感光体ドラム321に臨むように配置され、周面83Aと感光体ドラム321の周面との間にも所定の寸法の隙間(例えば約110μm)が形成されている。
図3に示すように、現像ハウジング80には、当該現像ハウジング80内におけるトナーの濃度を計測するトナー濃度センサー87が配置されている。トナー濃度センサー87は、例えば、透磁率を計測する透磁率センサーを備えて構成され、トナー濃度に応じて変化する透磁率に応じた電圧を出力する。
次に、図4を参照して、現像装置324のバイアス印加のための構成及び現像動作について説明する。現像装置324は、現像動作を制御するために、第1印加部88及び第2印加部89(回収手段)と、第1印加部88及び第2印加部89を制御する制御部90(制御手段)とをさらに含む。同図に示すように、第1印加部88は、直列に接続された直流電圧源881と交流電圧源882とを有し、磁気ローラー82に接続されている。直流電圧源881から出力された直流バイアスに交流電圧源882から出力された交流バイアスが重畳された電圧が磁気ローラー82に印加される。第2印加部89は、直列に接続された直流電圧源891と交流電圧源892とを有し、現像ローラー83に接続されている。直流電圧源891から出力された直流バイアスに交流電圧源892から出力された交流バイアスが重畳された電圧が、現像ローラー83に印加される。
現像装置324が感光体ドラム321の周面上にトナーを供給する(静電潜像を現像する)現像時において、磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される直流バイアスおよび交流バイアスは、一例を挙げれば次の通りに設定される。磁気ローラー82に印加される直流バイアスは+300Vであり、現像ローラー83に印加される直流バイアスは+70Vである。磁気ローラー82に印加される交流バイアスは、電圧値が+2.5kV、周波数が4.7kHz、duty比が70%である。現像ローラー83に印加される交流バイアスは、電圧値が+1.4kV、周波数が4.7kHz、duty比が30%である。
感光体ドラム321上の静電潜像の現像メカニズムを説明する。磁気ローラー82の周面82A上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード84によって層厚が均一に規制された後、磁気ローラー82の回転に伴って現像ローラー83に向けて搬送される。その後、隙間S(図2)の領域において、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが、回転中の現像ローラー83の周面83Aに接触する。
このとき、制御部90は、第1印加部88および第2印加部89を制御して所定の直流バイアスおよび交流バイアスを磁気ローラー82および現像ローラー83のそれぞれに印加する。これにより、磁気ローラー82の周面82Aと現像ローラー83の周面83Aとの間に所定の電位差が生じる。この電位差により、周面82Aと周面83Aとの対向位置において(主極823(図2)と周面83Aとの対向位置において)、磁気ブラシDBからトナーTのみが周面83Aに移動し、磁気ブラシDBのキャリアCは周面82A上に残る。これにより、現像ローラー83の周面83A上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
周面83A上のトナー層TLは、現像ローラー83の回転に伴って感光体ドラム321の周面に向けて搬送される。感光体ドラム321にも、直流電圧と交流電圧との重畳電圧が印加されているので、感光体ドラム321の周面と現像ローラー83の周面83Aとの間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム321の周面に移動する(トナーの供給)。これにより、感光体ドラム321の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。なお、画像形成時以外のタイミングで実行される、現像ローラー83上のトナーを感光体ドラム321へ強制的に排出させる排出動作(リフレッシュ動作)も、上述の現像動作と同様な動作である。
図5は、現像ローラー83から磁気ローラー82側へのトナーの回収動作を説明するための模式図である。この回収動作は、1枚のシートにトナー像の転写処理を終え次のシートに転写処理を行うまでのシート間、又は1つの印字ジョブを終了した後、等に実行される。本実施形態では、この回収動作よりも上記の排出動作の方が優先される。この点については、後記で詳述する。
実際の現像動作では、トナー層TL中のトナーTのうち、感光体ドラム321に移動せず周面83A上に残留する残留トナーRTが発生する。残留トナーRTは、現像ローラー83の回転に伴って周面83Aと磁気ローラー82の周面82Aとの対向位置に搬送されたとき、磁気ブラシDBによる掻き取り力と両ローラー82、83間の電気的な力とによって回収される。回収した残留トナーRTを有する磁気ブラシDBは、磁気ローラー82の回転に伴って主極823よりも下流側に搬送されると、前記磁石ロールの剥離極(図示せず)の磁力によって周面82Aから剥離し、現像剤貯留部81(図2)に戻される。
なお、上記の回収動作は、磁気ローラー82と現像ローラー83との間の電位差を反転させることにより達成される。上述のシート間及びジョブ終了後において前記電位差を現像時に対して一時的に反転させることで、現像ローラー83から残留トナーRTを強制的に引き剥がし、周面83Aをクリーンにすることができる。結果として、次回のシートに対する現像時には、現像ローラー83のトナー層TLは、現像剤貯留部81から新たに供給されたトナーTにて形成されることになる。つまり、トナー層TLを形成するトナーTの入れ替えが達成されるものである。
回収動作時において、磁気ローラー82および現像ローラー83に印加される直流バイアスおよび交流バイアスは、一例を挙げれば次の通りに設定される。磁気ローラー82に印加される直流バイアスは−300Vであり、現像ローラー83に印加される直流バイアスは+70Vである。磁気ローラー82に印加される交流バイアスは、電圧値が+2.5kV、周波数が4.7kHz、duty比が70%である。一方、現像ローラー83には交流バイアスは印加されない(0V)。
続いて、画像形成装置1の電気的構成について説明する。画像形成装置1は、当該画像形成装置1の各部の動作を統括的に制御する制御部90を備える。図6は、制御部90の機能ブロック図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、画像形成装置1は、図1〜図5で説明した構成に加えて、操作部961、画像メモリー962及びI/F(インターフェイス)963を備える。
操作部961は、液晶タッチパネル、テンキー、スタートキー及び設定キーなどを備え、画像形成装置1に対するユーザーの操作や各種の設定を受け付ける。
画像メモリー962は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、ADF20により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
I/F963は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F963を介して制御部90に与えられ、また画像データは、I/F963を介して画像メモリー962に記憶される。
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成制御部91、排出制御部92(排出手段の一部)、回収制御部93(回収手段の一部)、印字率算出部94、第1カウンタ部95、第2カウンタ部96、実行タイミング制御部97(制御手段)及び記憶部98を備えるように機能する。
画像形成制御部91は、操作部961から与えられる印字指示情報、若しくはI/F963を介して外部から与えられる印字指示情報に基づいて、上記で説明した画像形成部30及び定着部60の各部を制御して、シートに対する画像形成動作を実行させる。
排出制御部92は、現像ローラー83に担持されているトナー層TLを強制的に感光体ドラム321へ吐き出させる排出動作(リフレッシュ動作)を制御する。この排出動作は、シート間若しくはジョブ間等において、ベタの静電潜像を感光体ドラム321に形成させ、該静電潜像に現像ローラー83からトナーを供給させる動作である。排出制御部92は、印字率算出部94が算出する、シートの印字可能面積に対するトナー像の転写面積の割合を示す印字率を指標(第1指標)として用いる。具体的には、排出制御部92は、1のシートに対し、予め定められた標準印字率よりも低い実印字率でのトナー像の転写が実行された場合においてカウントされる、前記標準印字率と前記実印字率との差分である印字率差分の積算値(第1カウント値)が所定の閾値(第1閾値)に至ったときに、前記排出動作を実行させる。前記印字率差分の積算値は、第1カウンタ部95によってカウントされる。
回収制御部93は、現像ローラー83に担持されているトナー層TLを強制的に磁気ローラー82へ回収させる回収動作を制御する。回収制御部93は、第1印加部88及び第2印加部89が磁気ローラー82及び現像ローラー83に与えるバイアスを、先に図5に基づき説明した通りに制御することで、前記トナーの回収動作を実行させる。回収制御部93は、シートに対して画像形成処理(トナー像の転写処理)を実行した枚数である印字枚数を指標(第2指標)として用い、この印字枚数が所定枚数(第2閾値)に達したとき、前記回収動作を実行させる。なお、印字枚数の他に、例えば画像形成部30の駆動時間を指標とし、該駆動時間の積算値が所定の閾値を超過したときに、前記回収動作が実行されるようにしても良い。
印字率算出部94は、シートに転写されるトナー像の印字率を求める。例えば印字率算出部94は、画像メモリー962に格納された画像データを参照し、その印字ドット数等に基づき印字率をシート単位で算出する。算出された各シートについての印字率は、実印字率のデータとして、次述の第1カウンタ部95に出力される。
第1カウンタ部95は、印字率差分の積算値(第1カウント値)をカウントする。前記印字率差分は、予め定められた標準印字率(例えば2%)と、1のシートに対して実際に転写されたトナー像の印字率(実印字率)との差分である。第1カウンタ部95は、実印字率が標準印字率よりも低い場合において、その印字率差分を積算する。つまり、標準印字率=2%で実印字率=0.5%であれば、その印字率差分=1.5%が積算されるが、印字率=4.0%であるときの印字率差分=2.0%は積算されない。
つまり、第1カウンタ部95は、いわゆる低印字率のトナー像の転写が行われる度に、その印字率差分を積算してゆく。印字率差分の積算値が所定の閾値(以下、第1閾値)に達したとき、後述の実行タイミング制御部97が排出制御部92に実行指示信号を送り、前記排出動作を実行させる。このように、本実施形態の画像形成装置1では、1枚のシートに対する印字処理において、少なくとも上記標準印字率に相当する分のトナーを消費させることを前提とし、前記標準印字率に足りない低印字率のトナー像転写が行われた場合に、その印字率差分に相当するトナー分を、上記の排出動作にて強制的に排出させるものである。これにより、現像ローラー83上に滞留するトナーを効率良く排出させることができ、トナーの消費量を抑制することができる。
上記の第1閾値について説明する。本実施形態において第1閾値は、現像ローラー83の周面83Aの1周分の画像長さ分のトナー量に相当する値に、印字率差分の積算値が至るときの値である。ここで、前記印字率差分と、前記排出動作において現像ローラー83から感光体ドラム321へ強制的に排出させるトナーで形成される画像長さとの関係が予め定められている。例えば、印字率差分=1%のとき、排出動作において感光体ドラム321上に形成される画像の副走査方向の長さは2mm、という具合に前記関係が定められる。この例では、A4サイズのシートに印字率=100%(ベタ画像)で画像形成させた場合、その副走査方向の画像長さが210mmとなることから、その1%分に略相当する「2mm」が、強制排出の際の画像長さ単位として定められたものである。
第1閾値は、現像ローラー83の周面83Aの長さと、その回転速度とに鑑みて決定される。例えば、現像ローラー83が20mmφのローラーである場合、その1周分の長さは約63mmである。現像ローラー83の回転速度Svと感光体ドラム321の回転速度Dvとが同一である場合(Sv/Dv=1.0)、第1閾値は、63mmの画像長さに相当する印字率差分の積算値(≒31.5%)となる。一方、現像ローラー83の回転速度Svの方が早い場合、前記画像長さは短くなる。例えば、Sv/Dv=1.6である場合、第1閾値は、約40mmの画像長さに相当する印字率差分の積算値(≒20%)となる。
図7は、第1カウンタ部95による、印字率差分の積算例を示す表形式の図である。図7では、標準印字率=2%、印字率差分の画像長さ換算値が1%=2mm、現像ローラー83の1周分の画像長さ(第1閾値)=40mmの設定値での積算例を示している。1枚目のシートの印字率は1.0%である。従って、印字率差分=1.0%である。この場合、第1カウンタ部95は、「1.0%」を印字率差分の積算値(差分積算値)としてカウントする。なお、このときの差分積算値の画像長さへの換算値(画像換算値)は2mmとなる。
2枚目のシートの印字率は3.5%である。この印字率は標準印字率よりも大きいので、第1カウンタ部95はこれをカウント対象としない。従って、差分積算値は従前の1%のままである。3枚目のシートの印字率は0.2%であり、その印字率差分=1.8%である。この場合、第1カウンタ部95は印字率差分の積算処理を行い、これにより差分積算値=2.8%に増加する。以下、第1カウンタ部95は、印字毎に同様な処理を行う。図7の例では、34枚目のシートに対する画像形成処理を終えた段階で、差分積算値が20%を超過し、画像換算値が第1閾値に相当する40mmを超過している。この時点で、排出制御部92により前記排出動作が実行される。そして、第1カウンタ部95による印字率差分の積算値カウントはリセットされ、次に印字される35枚目のシートから、新たな積算処理が開始されるものである。
第2カウンタ部96は、画像形成部30がシートに対して画像形成処理(トナー像の転写処理)を実行した印字枚数をカウントする。印字枚数(第2カウント値)が所定の閾値枚数(以下、第2閾値)に達したとき、前記回収動作が実行される。第2閾値は、例えば3枚〜15枚程度の範囲から選ばれる適宜な数である。なお、他の実施形態として、第2カウンタ部96に画像形成部30の駆動時間をカウントさせるようにしても良い。
実行タイミング制御部97は、排出制御部92による排出動作、及び、回収制御部93による回収動作の実行タイミングを制御する。実行タイミング制御部97は、第1カウンタ部95による印字率差分の積算値が第1閾値を超過したタイミングで、排出制御部92に前記排出動作の実行指示信号を送る。この実行指示信号を受けて、排出制御部92は前記排出動作を実行する。また、実行タイミング制御部97は、第2カウンタ部96による印字枚数のカウント値が第2閾値を超過したタイミングで、回収制御部93に前記回収動作の実行指示信号を送る。この実行指示信号を受けて、回収制御部93は前記回収動作を実行する。
さらに実行タイミング制御部97は、第2カウンタ部96による印字枚数のカウント値が第2閾値に至る前に、第1カウンタ部95による印字率差分の積算値が第1閾値に至った場合、前記印字枚数のそれまでのカウント値をリセットする。つまり、回収動作が同じタイミング(同じシート間)、乃至は近接したタイミングで実行されてしまうことを阻止する。なお、実行タイミング制御部97は、逆のリセットは行わない。すなわち、印字率差分の積算値が第1閾値に至る前に、印字枚数のカウント値が第2閾値に至っても、実行タイミング制御部97は、それまでの印字率差分の積算値のカウント値をリセットせず、そのまま保持する。
既述の通り、回収動作及び排出動作は、トナーの行き先は異なるものの、現像ローラー83に長く滞留しているトナーを除去するという目的においては同一であり、両者を同じタイミングで実行する意義は少ない。また、両動作を同一タイミングで実行させると、シート間の時間間隔を長く要することになり、印字生産性も悪くなる。印字生産性の悪化を補償するためには線速を早くする必要があるが、この場合、トナーの飛散の問題が生じる。さらに、回収動作は劣化の懸念があるトナーを現像ハウジング80外に吐出させる動作ではないため、回収動作が繰り返されると、やがて現像ハウジング80内における劣化トナーの割合が増加することとなり得る。このような点に鑑みて、実行タイミング制御部97は、トナーを現像ハウジング80外へ排出する排出動作を優先し、排出動作と同時に、若しくは排出動作の実行直後に、回収動作が実行されることを防止することで、回収動作の実行回数を減らす。これにより、トナーの劣化及びトナー飛散を抑制することができる。また、1つのシート間に回収動作と排出動作とが同時に行われることはないので、シート間の時間間隔を長くする必要がない。換言すると、印字生産性を維持するために、シート間の時間間隔を長くする分だけ線速を早くする必要がない。このことは、トナー飛散の抑制に寄与する。
記憶部98は、回収動作及び排出動作に必要な様々な設定値を記憶する。例えば、標準印字率、印字率差分の画像長さ換算レート、現像ローラー83の1周分の画像長さ、上記第1閾値及び第2閾値等を記憶する。
図8は、実行タイミング制御部97によるリセット動作の一例を示すタイムチャートである。時刻T0から、第1カウンタ部95による印字率差分の積算(チャートの下段)と、第2カウンタ部96による印字枚数の積算(チャートの上段)が開始されたものとする。時刻T1において、印字枚数が第2閾値に至っている。実行タイミング制御部97は、この時刻T1のタイミングで、回収制御部93に回収動作を実行させる。なお、時刻T1において、印字枚数のカウント値はリセットされる。一方、印字率差分の積算値はリセットされず、積算が時刻T1以降も継続される。続く時刻T2においても、印字枚数が第2閾値に至っている。実行タイミング制御部97は、同様に、回収制御部93に回収動作を実行させる。
時刻T3において、印字率差分の積算値が第1閾値に至っている。実行タイミング制御部97は、この時刻T3のタイミングで、排出制御部92に排出動作を実行させる。なお、時刻T1において、印字率差分の積算値のカウント値はリセットされる。これに加えて、実行タイミング制御部97は、時刻T3で印字枚数のカウント値をリセットする。時刻T2〜時刻T3の間に、いくらかの印字枚数がカウントされているが、そのカウント値は時刻T3の時点で0に書き換えられる。
時刻T4において、一旦リセットされた印字枚数のカウント値が第2閾値に至っている。従って、時刻T4の時点で、回収動作が実行される。続く時刻T5において、印字率差分の積算値が再び第1閾値に至っている。従って、この時刻T5のタイミングで、排出動作が実行される。併せて、時刻T5で印字枚数のカウント値がリセットされる。
続いて、制御部90によるトナー排出動作及び回収動作を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。制御部90の画像形成制御部91は、外部機器からI/F963を通して、若しくは、操作部961から、画像形成の指示信号を受け取る(ステップS1)。この指示信号を受けて画像形成制御部91は、画像形成部30及び定着部60を制御して、1枚のシートに画像形成(トナー像の転写)を行う(ステップS2)。そして、第2カウンタ部96は、印字枚数をカウントする(ステップS3)。
次に、実行タイミング制御部97が、印字枚数のカウント値が第2閾値以下であるか否かを判定する(ステップS4)。第2閾値に至っている場合(ステップS4でNO)、実行タイミング制御部97は、回収制御部93に前記回収動作の実行指示信号を送る。この実行指示信号を受けて、回収制御部93は前記回収動作を実行する(ステップS5)。そして、第2カウンタ部96の印字枚数のカウント値がリセットされる(ステップS6)。
一方、印字枚数のカウント値が第2閾値以下である場合(ステップS4でYES)、第1カウンタ部95により、印字率算出部94により求められた当該シートの実印字率と、記憶部98に格納されている標準印字率との比較が行われる(ステップS7)。実印字率が標準印字率よりも低い場合(ステップS7でNO)、第1カウンタ部95は標準印字率と実印字率との差分である印字率差分を求め、これを積算する(ステップS8)。
続いて、実行タイミング制御部97が、印字率差分の積算値が第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS9)。第1閾値に至っている場合(ステップS9でYES)、実行タイミング制御部97は、排出制御部92に排出動作の実行指示信号を送る。これに加えて、実行タイミング制御部97は、第2カウンタ部96による印字枚数のそれまでのカウント値をリセットする(ステップS10)。これと並行して、前記実行指示信号を受けた排出制御部92が、前記排出動作を実行する(ステップS11)。また、第1カウンタ部95の印字率差分積算値のカウント値がリセットされる(ステップS12)。しかる後、第1カウンタ部95及び第2カウンタ部96による各々のカウントが再開される(ステップS13)。
その後、1つのジョブが終了したか否かが確認される(ステップS14)。ジョブが残存している場合(ステップS14でNO)、ステップS2に戻って処理が繰り替えされる。一方、ジョブが残存していない場合(ステップS14でYES)、処理を終える。また、ステップS7において、実印字率が標準印字率よりも低い場合(ステップS7でYES)、及び、ステップS9において印字率差分の積算値が第1閾値以下である場合(ステップS9でNO)、ステップS8〜S13、若しくはステップS10〜S13をスキップし、ステップS14に移行する。
<検証例>
画像形成部30の仕様を次の通りとした。
[感光体ドラム321]
アモルファスシリコン系材料を用いたドラムであって、直径=φ30mm、周速=300mm/sec。
[現像ローラー83]
直径=φ20mm、周速=450mm/sec、回転方向は対向部において感光体ドラムと順方向。当該現像ローラーの周面と感光体ドラムの周面とのギャップは110μm。
[磁気ローラー82]
直径=φ20mm、周速=450mm/sec、回転方向は対向部で現像ローラーとカウンター方向。当該磁気ローラーの周面と現像ローラーの周面とのギャップは300μm
[現像バイアス]
現像ローラー83;交流バイアス=+1.4kV、duty比=30%、直流バイアス=+70V。
磁気ローラー82;交流バイアス=+2.5kV、duty比=70%、直流バイアス=+300V。
[トナー回収動作時のバイアス]
現像ローラー83;交流バイアス=0V、直流バイアス=+70V。
磁気ローラー82;交流バイアス=+2.5kV、duty比=70%、直流バイアス=−300V。
[現像剤]
トナー:粒径6.8μm、キャリア:粒径35μm
トナー/キャリア重量比率:11%
また、画像形成部30の動作を次の通りに設定した。
[実施例装置]
1分間に75枚分のシートを印字するスペックで、線速=375mm/sec、各シート間に90mm分の間隔を取った。排出動作及び回収動作の制御は、図9のフローチャートに依拠した。
[比較例装置]
1分間に75枚分のシートを印字するスペックで、線速=458mm/sec、各シート間に126mm分の間隔を取った。排出動作及び回収動作の制御は上記実施形態のように連携せず、シート4枚の印字処理が行われる度に、排出動作及び回収動作の双方を実行させた。
実施例装置及び比較例装置の双方につき、300k枚のシートに対して印字処理を行わせた後、トナーの機内への飛散状況、画像背景部(白地部)におけるトナーかぶりの発生状況を目視にて確認した。その結果、実施例装置ではトナーの飛散、背景かぶりは特に観察されなかった。一方、比較例装置では、トナーの飛散及び背景かぶりが目視で観察された。
以上説明した通り、本実施形態の画像形成装置1は、実行タイミング制御部97(制御手段)が、上記の通り印字枚数のカウント値(第2カウント値)のリセットを行う。このため、排出動作と同時に、若しくは排出動作の実行直後に、回収動作が実行されることはない。このように、トナーを現像ハウジング80の外へ排出する排出動作を優先することで、回収動作の実行回数を減らすことができ、トナーの劣化及びトナー飛散を抑制することができる。また、1つのシート間に回収動作と排出動作とが同時に行われることはないので、シート間の時間間隔を長くする必要がない。換言すると、印字生産性を維持するために、シート間の時間間隔を長くする分だけ線速を早くする必要がない。このことは、トナー飛散の抑制に寄与する。
また、上記実施形態では、標準印字率に足りない低印字率のトナー像転写が行われた場合に、その印字率差分に相当するトナーを像担持体へ強制的に排出させることが前提としている。そして、印字率差分のトナーが、現像ローラー83の周面83Aの1周分の画像長さに相当する分量に至ったときに、前記排出動作が実行される。従って、周面83A上に滞留するトナーを効率良く排出させることができ、トナーの消費量を抑制することができる。
また、実行タイミング制御部97は、印字差分の積算値のカウント値が前記第1閾値に至る前に印字枚数のカウント値が前記第2閾値に至っても、それまでにカウントされた差分積算値のカウント値をリセットすることなく保持する。従って、排出動作が回収動作に一層優先して実行される。
また、本実施形態では、前記排出動作又は前記回収動作は、複数枚のシートに対して前記トナー像の転写が連続的に行われる場合におけるシート間に実行される。排出動作又は回収動作をシート間に実行させる場合、両動作の制御が別個に行われると、1のシート間に排出動作及び回収動作を実行せねばならないケースが生じる。しかし、本実施形態によれば、1のシート間に排出動作及び回収動作が実行されることはないので、シート間の短縮に寄与できる。
本実施形態の画像形成装置1によれば、上述の通り、タッチダウン現像方式が採用された現像装置324を備えた画像形成装置1において、回収動作よりも排出動作が優先される。このため、トナーの劣化及びトナーの飛散を抑止することができる。従って、画像品質を良好に維持できる画像形成装置1を提供することができる。