以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタ及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写され、さらに、定着部13において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、中間転写ベルト8の回転方向において二次転写ローラー9の下流側には、中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転可能に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
パーソナルコンピューター等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
図2は、カラープリンター100に搭載される現像装置3aの構成を示す側面断面図であり、図3は、現像装置3aの平面断面図(図2におけるAA′矢視断面図)である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2及び図3に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画されている。第1及び第2攪拌室20b、20cにはトナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図3の矢印B、C方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された現像剤通過路30a、30bを介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。即ち、第1及び第2攪拌室20b、20c、現像剤通過路30a、30bによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第1攪拌スクリュー21aの上方には磁気ローラー22が配置され、磁気ローラー22の左斜め上方には現像ローラー23が対向配置されている。そして、現像ローラー23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラー22及び現像ローラー23はそれぞれの回転軸周りに関して図2の時計回り方向に回転する。
第2攪拌室20cには第2攪拌スクリュー21bと対面してトナー濃度センサー31が配置されている。図3に示すように、トナー補給口20dは平面的に見て第2攪拌室20cの端部に配置されている。
トナー濃度センサー31としては、現像容器20内における磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。ここで、トナー濃度とは現像剤中の磁性キャリアに対するトナーの比率(T/C)のことであり、本実施形態においては、トナー濃度センサー31により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部90(図5参照)に出力するよう構成されており、制御部90によってトナー濃度センサー31の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モーター27(図5参照)に制御信号を送信し、トナー補給口20dから現像容器20内に所定量のトナーを補給する。
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
磁気ローラー22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネットローラー体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。
現像ローラー23は、円筒状の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラー側磁極23bで構成されており、磁気ローラー22と現像ローラー23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラー22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラー22の回転方向(図2の時計回り方向)において、現像ローラー23と磁気ローラー22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラー22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラー22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源43からバイアス制御回路41(いずれも図5参照)を経由して現像ローラー23及び磁気ローラー22に印加される。制御部90は、バイアス制御回路41に制御信号を送信して現像バイアス電源43から印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及びVmag(DC)、Vmag(AC)を制御する。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第1攪拌スクリュー21aによって現像剤が磁気ローラー22に搬送される。そして、磁気ローラー22上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラー22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、磁気ローラー22と現像ローラー23との対向部分に搬送され、磁気ローラー22に印加されるVmag(DC)と現像ローラー23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー22と現像ローラー23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図4は、トナーコンテナ4a〜4dから現像装置3a〜3dへのトナー搬送経路を示す図である。トナーコンテナ4a〜4dは、水平方向にトナーを搬送するパイプ状の第1補給経路40と、第1補給経路40から分岐して垂直方向にトナーを搬送するパイプ状の第2補給経路41a〜41dを介して現像装置3a〜3dに連結されている。
第1補給経路40の上面にはトナー導入口40a〜40dが設けられており、各トナー導入口40a〜40dには、それぞれトナーコンテナ4a〜4dのトナー供給口が連結される。また、第1補給経路40の下面には鉛直下向きに延びる第2補給経路41a〜41dが連結されており、第2補給経路41a〜41dの下端部は、それぞれ現像装置3a〜3dのトナー補給口20d(図3参照)に連結されている。
第1補給経路40内にはトナー搬送スクリュー43が配置されている。トナー搬送スクリュー43は、トナー搬送モーター47(図5参照)から駆動入力ギア45を介して入力される回転駆動力によって所定方向に回転し、第1補給経路40内のトナーを水平方向に搬送して第2補給経路41a〜41dに受け渡す。
具体的には、トナーコンテナ4aからトナー導入口40aを介して第1補給経路40内に導入されたイエローのトナーは、第1補給経路40内を右方向に移動して第2補給経路41aに受け渡され、第2補給経路41a内を自然落下してトナー補給口20dより現像装置3a内に補給される。また、トナーコンテナ4b〜4dからトナー導入口40b〜40dを介して第1補給経路40内に導入されたシアン、マゼンタ及びブラックのトナーは、第1補給経路40内を左方向に移動して第2補給経路41b〜41dに受け渡され、第2補給経路41b〜41d内を自然落下してトナー補給口20dより現像装置3b〜3d内に補給される。
また、第1補給経路40内のトナーの搬送距離は、トナーコンテナ4a〜4dと現像装置3a〜3dの組み合わせによって異なる。具体的には、イエローのトナーが収容されるトナーコンテナ4aから現像装置3aまでのトナーの搬送距離が最も短く、次いでシアンのトナーが収容されるトナーコンテナ4bから現像装置3bまでのトナーの搬送距離が短く、マゼンタ及びブラックのトナーが収容されるトナーコンテナ4c、4dから現像装置3c、3dまでのトナーの搬送距離が最も長くなっている。即ち、中間転写ベルト8の進行方向(図4の右から左方向)に対し上流側から下流側に向かうにつれてトナーの搬送距離が長くなっている。
図5は、本発明のカラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上でカラープリンター100内の各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
トナー搬送モーター47は、駆動入力ギア45(図4参照)を介してトナー搬送スクリュー43に連結されており、制御部90からの制御信号に基づいてトナー搬送スクリュー43を駆動する。
第1現像モーター48は、ギア列を介して現像装置3a〜3c内の第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bに連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて現像装置3a〜3cの第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bを駆動させる。第2現像モーター49は、ギア列を介して現像装置3d内の第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bに連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて現像装置3dの第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bを駆動させる。なお、ギア列を介して第1現像モーター48、第2現像モーター49を磁気ローラー22及び現像ローラー23にも連結しておくことで、磁気ローラー22及び現像ローラー23の駆動源と兼用することもできる。
画像入力部50は、カラープリンター100にパーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部50より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
バイアス制御回路51は、帯電バイアス電源52、現像バイアス電源53、及び転写バイアス電源54と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路51からの制御信号によって、帯電器2a〜2d、磁気ローラー22、現像ローラー23、一次転写ローラー6a〜6d、二次転写ローラー9に所定のバイアスを印加する。
操作部60には、液晶表示部61、LED62が設けられており、液晶表示部51及びLED62は、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパーソナルコンピューターのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部60には、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、制御に必要な数値の演算処理を行う演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、カラープリンター100本体内部の任意の場所に配置可能である。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置5、定着部13、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、トナー補給モーター27、トナー搬送モーター47、第1現像モーター48、第2現像モーター49、画像入力部50、バイアス制御回路51、操作部60等が挙げられる。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、トナー濃度センサー31の出力値や現像容器20内の現像剤循環速度等の、トナー補給制御に必要となるデータや、印字される画像の色毎の印字率と印字終了後におけるトナー搬送モーター47、第1現像モーター48、第2現像モーター49の後駆動延長時間との関係(図6参照)も格納されている。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。
演算部97は、一時記憶部94に記憶された画像データから画像毎の印字率を各色について算出して現像装置3a〜3dへのトナー補給量(トナー補給モーター27の駆動時間)を決定する。決定されたトナー補給量はCPU91に送信され、CPU91はトナー補給モーター27に制御信号を送信して所定時間(或いは所定回転数)だけ駆動させる。これにより、トナーコンテナ4a〜4d内のトナーが所定量だけトナー導入口40b〜40dを介して第1補給経路40内に導入される。
また、トナー補給モーター27と併せて、トナー搬送モーター47、第1現像モーター48、及び第2現像モーター49を駆動させることにより、第1補給経路40内に導入されたトナーが第2補給経路41a〜41dを介して各現像装置3a〜3dに補給される。
本発明のカラープリンター100では、第1補給経路40、第2補給経路41a〜41d内にトナーが残存しないように、現像動作を停止した後も、必要に応じてトナー搬送モーター47と第1現像モーター48、或いはトナー搬送モーター47と第2現像モーター49の駆動を所定時間延長する。以下、現像動作を停止した後のトナー搬送モーター47と第1現像モーター48、或いはトナー搬送モーター47と第2現像モーター49の駆動時間の延長分を後駆動延長時間と称する。
ここで、現像装置3a〜3dへのトナーの補給量が多くなるほど(印字率が高くなるほど)トナーの補給終了タイミングも遅くなる。一方、画像形成速度は印字率に関係なく一定であるため、現像装置3a〜3cの駆動停止タイミングも一定である。そのため、トナー補給量が多くなるほど、トナーの補給終了から現像装置3a〜3cの駆動停止までの時間は短くなる。
また、トナー像の形成タイミングは中間転写ベルト8の進行方向に対し上流側ほど早くなるため、トナーコンテナ4a〜4dから現像装置3a〜3dへのトナーの補給開始タイミング、及び補給終了タイミングも上流側ほど早くなる。一方、現像装置3a〜3cは同一の第1現像モーター48によって駆動されるため、現像装置3a〜3cの駆動停止タイミングは同一である。そのため、トナー補給量が同一である場合、トナーの補給終了から現像装置3a〜3cの駆動停止までの時間は下流側の現像装置ほど短くなる。
従って、現像装置3a〜3cに対するトナーの補給量が多くなるほど(印字率が高くなるほど)、また中間転写ベルト8の進行方向に対し下流側に位置する現像装置3a〜3dほど、第1補給経路40、第2補給経路41a〜41d内にトナーが残存し易くなるため、長時間の後駆動延長時間が必要となる。
図6は、演算部97で算出された各色の印字率と、後駆動延長時間との関係を示すグラフである。図6に示すように、中間転写ベルト8の進行方向に対し下流側に位置するマゼンタ及びブラックの現像装置3c、3d(図6の破線)では、印字率が10%以下では後駆動延長時間を設ける必要ないが、印字率が10%を超えると、10%増える毎に500msecの後駆動延長時間が必要となる。
また、現像装置3c、3dよりも上流側に位置するシアンの現像装置3b(図6の点線)では、印字率が20%以下では後駆動延長時間は必要ないが、印字率が20%を超えると、10%増える毎に500msecの後駆動延長時間が必要となる。
また、最も上流側に位置するイエローの現像装置3a(図6の実線)では、印字率が30%以下では後駆動延長時間は必要ないが、印字率が30%を超えると、10%増える毎に500msecの後駆動延長時間が必要となる。
以上の結果より、印字率10%以下に相当するトナー補給量では各色とも後駆動延長時間は必要ないが、印字率20%に相当するトナー補給量では、マゼンタ、ブラックの現像装置3c、3dで500msecの後駆動延長時間が必要となり、印字率30%に相当するトナー補給量では、シアンの現像装置3bで500msec、マゼンタ、ブラックの現像装置3c、3dで1000msecの後駆動延長時間が必要となることがわかる。
そこで、本発明においては、各色の現像装置3a〜3d毎に、印字率に基づいて必要な後駆動延長時間を算出し、算出された後駆動延長時間に応じてトナー搬送モーター47と第1現像モーター48、或いはトナー搬送モーター47と第2現像モーター49を必要最小限の時間だけ駆動する。
図7は、本発明のカラープリンター100におけるトナー補給制御の一例を示すフローチャートであり、図8及び図9は、それぞれイエローの画像とマゼンタの画像の印字率が異なる場合の印字動作中におけるトナー補給モーター27、トナー搬送モーター47、第1現像モーター48の動作を示すタイミングチャートである。図1〜図6及び図8、図9を参照しながら、図7のステップに沿って現像装置3a〜3dへのトナー補給手順について説明する。
パーソナルコンピューター等から制御部90に印字命令が入力されると、CPU91からカラープリンター100の各部に制御信号を送信し、感光体ドラム1a〜1d、帯電器2a〜2d、現像装置3a〜3d、クリーニング部7a〜7d、中間転写ベルト8等を駆動して印字動作を開始する(ステップS1)。同時に、画像入力部50から入力され一時記憶部94に保管された画像データを読み出し、演算部97において出力画像中の各色の印字率を算出する(ステップS2)。
次に、算出された印字率に基づいて各色の現像装置3a〜3dの後駆動延長時間を算出する(ステップS3)。例えば、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色の印字率が全て5%である場合は、図6から全色の現像装置3a〜3dの後駆動延長時間が0msecとなる。また、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色の印字率が全て20%である場合は、図6からイエロー、シアンの現像装置3a、3bの後駆動延長時間が0msec、マゼンタ、ブラックの現像装置3c、3dの後駆動延長時間が500msecとなる。
次に、第1現像モーター48、第2現像モーター49の後駆動延長時間を決定する(ステップS4)。前述したように、現像装置3a〜3cは同一の第1現像モーター48によって駆動されるため、算出された現像装置3a〜3cの後駆動延長時間のうち最も長いものを第1現像モーター48の後駆動延長時間に決定する。例えば、イエロー、シアンの現像装置3a、3bの後駆動延長時間が0msec、マゼンタ、ブラックの現像装置3c、3dの後駆動延長時間が500msecである場合は、第1現像モーター48の後駆動延長時間は500msec、第2現像モーター49の後駆動延長時間は500msecとなる。
次に、トナー搬送モーター47の後駆動延長時間を決定する(ステップS5)。現像装置3a〜3dに補給されるトナーは全て第1補給経路40を通過するため、第1現像モーター48または第2現像モーター49のいずれかが駆動している間はトナー搬送モーター47を駆動させておく必要がある。そのため、第1現像モーター48、第2現像モーター49の後駆動延長時間のうち長いほうをトナー搬送モーター47の後駆動延長時間に決定する。そして、実際の印字動作が開始される(ステップS6)。
制御部90は、印字終了後(ステップS7)に後駆動延長時間があるか否かを判断し(ステップS8)、後駆動延長時間がない(0msec)場合はトナー搬送モーター47、第1現像モーター48、第2現像モーター49の駆動を停止して処理を終了する。
図1に示したように、イエローの画像形成部Paは中間転写ベルト8の進行方向に対しマゼンタの画像形成部Pcよりも上流側に位置している。そのため、イエローの現像装置3aへのトナー補給は、マゼンタの現像装置3cへのトナー補給よりも早く終了する。また、トナー補給量が多くなるほど、即ち、トナー補給モーター27の駆動時間が長くなるほど第1補給経路40内に残存するトナー量も多くなるため、トナー補給モーター27を停止した後もトナー搬送モーター47、第1現像モーター48を継続して駆動させ、第1補給経路40内にトナーが残存しないようにする必要がある。
例えば、図8に示すようにイエローの画像の印字率が20%、マゼンタの画像の印字率が5%のときは、イエローのトナー補給モーター27が停止した後もマゼンタの現像装置3cによる3枚目の画像の現像動作が継続しているため、トナー搬送モーター47、第1現像モーター48は駆動を継続している。そのため、現像装置3cの駆動中に第1補給経路40及び第2補給経路41a内のイエローのトナーは全て現像装置3aに補給され、イエローの現像装置3aに対する後駆動延長時間は不要(0msec)となる。
また、マゼンタの画像の印字率は5%であり、マゼンタの現像装置3cへのトナー補給量は少量である。そのため、トナー補給モーター27が停止した後、マゼンタの現像装置3cに対する後駆動延長時間も不要(0msec)となる。従って、後駆動延長時間を0msecとしても第1補給経路40、第2補給経路41a、41c内にトナーが残存するおそれはない。
一方、後駆動延長時間がある場合は、後駆動延長時間分だけトナー搬送モーター47、第1現像モーター48の駆動を延長する(ステップS9)。例えば、図9に示すようにイエローの画像の印字率が5%、マゼンタの画像の印字率が20%のときは、マゼンタの現像装置3cへのトナー補給量は多量である。そのため、トナー補給モーター27が停止した後、マゼンタの現像装置3cに対して決定された後駆動延長時間(例えば500msec)だけトナー搬送モーター47、第1現像モーター48の駆動を継続する。
上記の制御によれば、現像装置3a〜3dによって出力される各色の画像の印字率に基づいて現像装置3a〜3dの後駆動延長時間が決定され、それに基づいて第1現像モーター48及び第2現像モーター49の必要最小限の後駆動延長時間が決定される。さらに、第1現像モーター48及び第2現像モーター49の後駆動延長時間に基づいてトナー搬送モーター47の必要最小限の後駆動延長時間が決定される。従って、第1補給経路40、第2補給経路41a〜41d内へのトナーの残存を防止することができ、残存したトナーの凝集による画像色点、帯電不良による画像カブリ、トナー飛散等の不具合を効果的に抑制することができる。
また、現像装置3a〜3d内の第1攪拌スクリュー21a、第2攪拌スクリュー21b、磁気ローラー22、現像ローラー23の駆動時間を必要最小限に抑えることができるため、現像装置3a〜3d内の現像剤の劣化やカラープリンター100の消費電力も低減可能となり、ユーザーの待ち時間も短縮されて画像形成効率も向上する。
また、中間転写ベルト8の進行方向(図4の右から左方向)に対し上流側の現像装置3aから下流側の現像装置3dに向かうにつれてトナーの搬送距離が長くなっているため、上流側の現像装置3aへのイエローのトナー補給(または現像装置3bへのシアンのトナー補給)が停止した後、下流側の現像装置3cへのマゼンタのトナー補給を完了させるためにトナー搬送モーター47、第1現像モーター48の駆動が長く継続する。従って、現像装置3a、3bの後駆動延長時間を設定するイエロー、シアンの印字率の閾値を上げることができ、イエロー、シアンの印字率が高い場合の第1現像モーター48の後駆動延長時間を極力短縮することができる。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図2に示したような磁気ローラー22と現像ローラー23を備えた現像装置3a〜3dに限定されるものではなく、トナー成分と磁性キャリアとから成る二成分現像剤、或いはトナー成分のみからなる一成分現像剤を用いた種々の現像装置のトナー補給時における後駆動延長時間の設定に適用可能である。
また、本発明は図1に示したような中間転写方式のタンデム型カラー画像形成装置に限らず、搬送ベルトに担持されて移動する用紙上に画像を順次転写する直接転写方式のタンデム型カラー画像形成装置にも適用可能である。