以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンター100について示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dがそれぞれ配設されており、さらに図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させる。次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等はクリーニング部7a〜7dにより除去される。
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100内の下部に配置された用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12aおよびレジストローラー対12bを介して転写紙Pが所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送される。トナー像が二次転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、そのまま(或いは分岐部14によって反転搬送路18に振り分けられ、両面に画像が形成された後)排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
図2は、現像装置3aの側面断面図であり、図3は、現像装置3aの攪拌部の構成を示す平面断面図(図2におけるAA′矢視断面図)である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。また、図3では第1攪拌室20bが見えるように、磁気ローラー22の位置をずらして記載している。
図2及び図3に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画されている。第1及び第2攪拌室20b、20cにはトナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図3の矢印P、Q方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された現像剤通過部20e、20fを介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。即ち、第1及び第2攪拌室20b、20c、現像剤通過部20e、20fによって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器20は図2の左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第1攪拌スクリュー21aの上方には磁気ローラー22が配置され、磁気ローラー22の左斜め上方には現像ローラー23が対向配置されている。そして、現像ローラー23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラー22及び現像ローラー23はそれぞれの回転軸周りに関して図2の時計回り方向に回転する。
第2攪拌室20cには第2攪拌スクリュー21bと対面してトナー濃度センサー31が配置されており、トナー補給口20dの近傍にはトナーコンテナ4a(図1参照)からトナーを所定の速度で補給するためのトナー補給モーター27が配設されている。図3に示すように、トナー補給口20dは平面的に見て第2攪拌室20c内の現像剤通過部20f寄りの位置に配置されている。
トナー濃度センサー31としては、現像容器20内におけるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。ここで、トナー濃度とは現像剤中の磁性キャリアに対するトナーの比率(T/C)のことであり、本実施形態においては、トナー濃度センサー31により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部90(図4参照)に出力するよう構成されており、制御部90によってトナー濃度センサー31の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モーター27に制御信号を送信し、トナー補給口20dから現像容器20内に所定量のトナーを補給する。
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほどキャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通すキャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
磁気ローラー22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネットローラー体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。
現像ローラー23は、円筒状の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラー側磁極23bで構成されており、磁気ローラー22と現像ローラー23とはその対面位置(対向位置)において所定のギアップをもって対向している。現像ローラー側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラー22の長手方向(図2の紙面表裏方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラー22の回転方向(図中時計回り)において、現像ローラー23と磁気ローラー22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラー22表面との間には僅かな隙間(ギアップ)が形成されている。
現像ローラー23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラー22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源43からバイアス制御回路41(いずれも図4参照)を経由して現像ローラー23及び磁気ローラー22に印加される。制御部90は、バイアス制御回路41に制御信号を送信して現像バイアス電源43から印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及びVmag(DC)、Vmag(AC)を制御する。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第1攪拌スクリュー21aによって現像剤が磁気ローラー22に搬送される。そして、磁気ローラー22上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラー22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、磁気ローラー22と現像ローラー23との対向部分に搬送され、磁気ローラー22に印加されるVmag(DC)と現像ローラー23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー22と現像ローラー23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
磁気ブラシによって現像ローラー23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー23の回転によって感光体ドラム1a現像ローラー23との対向部分に搬送される。現像ローラー23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに残ったトナーは、再度現像ローラー23と磁気ローラー22との対向部分に搬送され、磁気ローラー22上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネットローラー体22bの同極部分で磁気ローラー22から引き剥がされた後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として磁気ローラー22上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
次に、本発明の画像形成装置の制御経路について説明する。図4は、カラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
画像入力部40は、カラープリンター100にパーソナルコンピュータ等から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部40より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電器2a〜2d、磁気ローラー22、現像ローラー23、一次転写ローラー6a〜6d、二次転写ローラー9に所定のバイアスを印加する。
現像剤攪拌モーター45はギア列を介して現像装置3a〜3d内の第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bに連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて第1及び第2攪拌スクリュー21a、21bを駆動させる。なお、ギア列を介して現像剤攪拌モーター45を磁気ローラー22及び現像ローラー23にも連結しておくことで、磁気ローラー22及び現像ローラー23の駆動源と兼用することもできる。
操作部50には、液晶表示部51、LED52が設けられており、液晶表示部51及びLED52は、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印刷部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパーソナルコンピュータのプリンタードライバから行われる。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、制御に必要な数値の演算処理を行う演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置5、定着部13、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、トナー補給モーター27、画像入力部40、バイアス制御回路41、現像剤攪拌モーター45、操作部50等が挙げられる。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、トナー濃度センサー31の出力値や現像容器20内の現像剤循環速度等の、トナー補給制御に必要となるデータや、印字率とトナー補給量との関係を規定したトナー補給量決定テーブルや、トナー補給量、現像装置3a〜3d内のトナー濃度、または環境温度に基づいてトナー補給後における現像装置3a〜3dのエージング動作の実行時間を決定するためのエージング時間設定テーブル等も格納されている。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。
演算部97は、トナー濃度センサー31の出力値から現像装置3a〜3d内のトナー濃度を算出して現像装置3a〜3dへのトナー補給量(トナー補給モーター27の駆動時間または回転数)を決定する。決定されたトナー補給量はCPU91に送信され、CPU91はトナー補給モーター27に制御信号を送信して所定時間(或いは所定回転数)だけ駆動させる。また、CPU91はトナー補給後のトナー濃度センサー31の出力値に基づいてトナーコンテナ4a〜4dの交換の要否を判定する。即ち、トナー補給後にトナー濃度センサー31の出力値が低下しない場合はトナーコンテナ4a〜4dが空であると判断してトナーコンテナ4a〜4dの交換を促す通知(トナーエンプティ表示)を行う。
機外温度センサー60は、カラープリンター100外部の温度を常に検出するものであり、例えば図1に示す構成では、発熱部分の影響を受けにくいトナーコンテナ4a側方の吸気ダクト(図示せず)近辺に設置されるが、カラープリンター100外部の温度を正確に検出可能な他の場所に設置することもできる。
上述したように、トナー濃度センサー31により現像装置3a〜3d内のトナー濃度が検知され、検知結果に基づいてトナー濃度が一定となるようにトナーコンテナ4a〜4dからトナーが補給される。
本実施形態のカラープリンター100では、新たに補給されたトナーを現像装置3a〜3d内の現像剤と十分に混合するために、現像装置3a〜3d内に一定量以上のトナーが補給されたときは画像出力を停止し、現像装置3a〜3dの第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bを所定時間継続して回転駆動させるエージング動作を行う。そして、エージング動作が完了した後、画像出力を再開する。これにより、トナーの帯電性を安定させて直後の画像出力における濃度むらやトナー飛散、カブリ画像等の画像不良の発生を防止する。
本実施形態のカラープリンター100において実行される現像装置3a〜3d内の現像剤のエージング動作は、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bを画像形成時と同方向(正方向)に回転させる正回転動作と、正回転動作の後に第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bを画像形成時と逆方向に回転させる逆回転動作とを含む。
図5は、現像装置3aの攪拌部の平面断面図であって、エージング動作による補給トナーの搬送経路を模式的に示す図である。図5に示すように、トナー補給口20dから補給されたトナーは、第2攪拌スクリュー21bの正回転動作によって第2攪拌室20c内を搬送方向(矢印P方向)にR1の位置まで搬送される(図5の右向きの破線矢印)。次に、第2攪拌スクリュー21bの逆回転動作によってR1の位置から逆方向にR2の位置まで搬送される(図5の左向きの破線矢印)。そして、エージング動作の終了後にR2の位置から再び搬送方向に搬送され、現像剤通過部20eを通って第1攪拌室20bに受け渡され、磁気ローラー22に供給される(図5の実線矢印)。
即ち、トナー補給口20dから補給されたトナーが磁気ローラー22に到達するまでの搬送距離(搬送時間)がR1とR2の間を往復する分だけ長くなる。これにより、補給されたトナーは磁気ローラー22に到達するまでに現像容器20内のキャリアと混合されて十分に帯電される。従って、トナー補給直後の出力画像におけるカブリ等の画像不良の発生を効果的に防止することができる。
上記のエージング動作は、トナーコンテナ4a〜4dから現像装置3a〜3dへ所定量以上のトナーが補給された場合、またはトナーコンテナ4a〜4dから現像装置3a〜3dへの一定時間内のトナー補給量が、現像装置3a〜3d内のトナー量の所定以上の割合となった場合に印字動作を中断して実行される。
例えば、50mg以上のトナーが連続して補給された場合、またはトナー濃度(T/C)換算で0.03%以上のトナーが連続して補給された場合にエージング動作が実行される。また、連続補給に限らず、30mgのトナーが補給され、一旦停止後に再び30mgのトナーが補給されるような場合も含まれる。そして、エージング動作の終了後に印字動作を再開する。
また、上記のエージング動作は、トナーコンテナ4a〜4dが交換された直後にトナー補給が行われた場合にも実行される。前述したように、トナー補給モーター27を駆動させてもトナー濃度センサー31の出力値が低下せず、トナーコンテナ4a〜4dが空であると判断されたときトナーコンテナ4a〜4dが交換される。そのため、トナーコンテナ4a〜4dの交換時には現像装置3a〜3d内のトナー濃度(T/C)が通常よりも低下した状態となっている。
その結果、トナーコンテナ4a〜4dの交換直後のトナー補給においては、帯電量の低い新たなトナーが現像装置3a〜3d内に一度に補給されることとなる。そこで、トナーコンテナ4a〜4dの交換直後にトナー補給が行われた場合は印字開始前にエージング動作を行いトナーの帯電量を十分に高めておくことで、濃度むらやトナー飛散、カブリ画像の発生を抑制することができる。
また、エージング動作により印字動作を中断した場合は、エージング動作(逆回転動作)の終了後、補給トナーが第1攪拌室20bまで搬送されるのを待つ必要はなく、逆回転動作の終了後、直ちに印字動作(現像動作)を再開することができる。これにより、印字待ち時間を短縮して画像形成効率を高めることができる。
現像装置3a〜3d内へのトナー補給量は、出力される画像の印字率に基づいて算出することができる。制御部90は、一時記憶部94内のデジタル信号(画像データ)に基づいて演算部97で出力される画像の各色の印字率を算出する。そして、算出された印字率から現像装置3a〜3dのトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量に基づいてトナー補給量を決定する。制御部90は、決定されたトナー補給量が所定量以上のとき現像装置3a〜3dのエージング動作を実行する。
なお、本実施形態では出力される画像の印字率から現像装置3a〜3dのトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量に基づいて現像装置3a〜3dへのトナー補給量を決定しているが、トナー消費量は、トナー補給モーター27の駆動時間(または回転数)から推定できる。従って、トナー補給モーター27の駆動時間(または回転数)に基づいて現像装置3a〜3dへのトナー補給量を決定しても良い。
一方、キャリアのトナーに対する帯電付与性能は環境温度に大きく依存する。具体的には、高温環境になるほどキャリアの帯電付与性能が低下し、低温環境になるほどキャリアの帯電付与性能が高くなる。また、現像装置内のトナー濃度が高くなると、トナーの帯電量が所定値(ここでは15μC/g)に立ち上がるまでに必要なエージング動作時間も長くなる。この理由としては、トナー濃度が高くなるとキャリア粒子1個が帯電させるトナーの粒子数が増加し、トナーの帯電に要する時間も長くなるためであると考えられる。
そのため、環境温度及び現像装置3a〜3d内のトナー濃度に基づいて、現像装置3a〜3dのエージング動作時間を制御することが好ましい。具体的には、機外温度センサー60により検知される環境温度が高くなるほど、また現像装置3a〜3d内のトナー濃度が高くなるほどエージング動作時間を延長することが好ましい。
また、キャリアの使用初期においてはトナーに対する帯電付与性能が高いため、高印字率の画像を出力した後も濃度上昇やカブリの発生は認められないが、印字動作の繰り返しによりキャリアに機械的なストレスが長期間加えられるとキャリアが劣化するため、キャリアの耐用期間の末期に近づくにつれて帯電付与性能が低下し、画像濃度の上昇やカブリ画像が発生し易くなる。上述の通り、キャリアの劣化度合いはキャリアの使用開始時(現像装置の使用開始時)からの総トナー使用量に比例する。
そこで、総トナー使用量に相関する、現像装置の使用開始時からの積算印字率、トナー補給モーター27の積算駆動時間(または積算回転数)、トナーコンテナ4a〜4dの交換回数のいずれかが所定値を上回った時点でエージング動作時間を延長するようにしても良い。このようにすれば、キャリアの使用初期における不必要な現像剤の攪拌が回避されるため、キャリアの劣化をより効果的に抑制することができる。
上述したように、エージング動作時間は種々の条件に応じて設定可能であるが、正回転動作及び逆回転動作の継続時間が長すぎると所望の効果が得られなくなる。正回転動作の継続時間が長すぎる場合、図6に示すように逆回転動作の前に補給トナーが第1攪拌室20b内の現像剤の搬送方向(図3の矢印Q方向)に対し第1攪拌室20bの上流側端部(図6の右端部)まで搬送されてしまい、帯電量の低い補給トナーが第1攪拌室20bから磁気ローラー22に供給されてしまう。
また、逆回転動作が長すぎる場合、図7に示すように正回転動作により第2攪拌室20c内を搬送方向にR1の位置まで搬送された補給トナーが、逆回転動作によって第1攪拌室20b内の現像剤の搬送方向(図3の矢印Q方向)に対し第1攪拌室20bの下流側端部(図7の左端部)まで逆搬送されてしまい、帯電量の低い補給トナーが第1攪拌室20bから磁気ローラー22に供給されてしまう。
以上より、エージング動作中の正回転動作の継続時間は、トナー補給口20dから補給されたトナーが正回転動作によって第1攪拌室20bの上流側端部(図6、図7の右端部)まで搬送されるのに要する時間よりも短い範囲で設定することが好ましい。同様に、エージング動作中の逆回転動作の継続時間は、トナー補給口20dから補給されたトナーが正回転動作によって搬送された位置(R1)から逆回転動作によって第1攪拌室20bの下流側端部(図6、図7の左端部)まで逆搬送されるのに要する時間(逆搬送時間)よりも短い範囲で設定することが好ましい。
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本発明は図2に示したような磁気ローラー22と現像ローラー23を備えた現像装置に限定されるものではなく、トナーと磁性キャリアとから成る二成分現像剤を用いた種々の現像装置に適用可能である。さらに、二成分現像剤に代えて磁性トナーのみからなる磁性一成分現像剤を用いた一成分現像式の現像装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、トナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dに直接トナーを補給する構成としたが、トナーコンテナ4a〜4dと各現像装置3a〜3dとの間にトナーを一定量貯留するホッパーを備え、ホッパーから各現像装置3a〜3dにトナーを補給する構成としてもよい。
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンターに限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター、カラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果について更に詳細に説明する。
一般に、トナー濃度センサー31の検知結果に基づく現像装置3a〜3dへのトナー補給方法は、トナー濃度センサー31の出力値が一定以上(現像装置3a〜3d内のトナー濃度が一定以下)の場合に、トナー濃度センサー31の出力値によらず一定量のトナーを補給する方法と、トナー濃度センサー31の出力値に応じて現像装置3a〜3d内へ補給するトナー量を調整する方法とがある。以下の実施例及び比較例では、トナー濃度センサー31の出力値によらず一定量のトナーを補給する方法を用いている。
磁性キャリア100重量部に対してトナー10重量部を混合した現像剤をボールミルで30分間攪拌して初期現像剤を作製した。この初期現像剤を図2に示したような現像装置3a〜3dに充填し、試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。
そして、常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、60枚印字後に印字が中断され、トナー補給が行われた。トナー補給後、現像装置3a内の第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが6秒間の正回転動作と3秒間の逆回転動作を行うエージング動作を作動させた。
マクベス反射濃度計(RD914)を用いて60枚〜63枚目の画像の白紙(白ベタ)部分のFD値(Fog Density;1000μm3当たりのかぶり粒子数×1000)を測定したところ0.003であり、問題のない画像が得られた。また、QMメーター(Model210HS−2A、Trek社製)を用いて63枚印字後のトナー帯電量を測定したところ19.8μC/gであった。
実施例1で用いた初期現像剤が充填された現像装置3a〜3dを試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、58枚印字後に印字が中断され、トナー補給が行われた。トナー補給後、現像装置3a内の第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが6秒間の正回転動作と2秒間の逆回転動作を行うエージング動作を作動させた。
58枚〜61枚目の白紙(白ベタ)部分のFD値を測定したところ0.004であり、問題のない画像が得られた。また、61枚印字後のトナー帯電量を測定したところ18.1μC/gであった。
実施例1で用いた初期現像剤が充填された現像装置3a〜3dを試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、500枚印字後にトナーエンプティが表示されたのでトナーコンテナ4aを交換した。トナーコンテナ4aの交換後に現像装置3aへのトナー補給が行われ、トナー補給後に現像装置3a内の第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが6秒間の正回転動作と3秒間の逆回転動作を行うエージング動作を作動させた。
トナーコンテナ4aの交換後における1枚〜3枚目の白紙(白ベタ)部分のFD値を測定したところ0.001であり、問題のない画像が得られた。また、3枚印字後のトナー帯電量を測定したところ19.2μC/gであった。
[比較例1]
実施例1で用いた初期現像剤が充填された現像装置3a〜3dを試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、65枚印字後に印字が中断され、トナー補給が行われたが、トナー補給後にエージング動作は作動させなかった。
65枚〜68枚目の白紙(白ベタ)部分のFD値を測定したところ0.018であり、カブリが発生した。また、68枚印字後のトナー帯電量を測定したところ13.3μC/gであった。
[比較例2]
実施例1で用いた初期現像剤が充填された現像装置3a〜3dを試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、68枚印字後に印字が中断され、トナー補給が行われた。トナー補給後、現像装置3a内の第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが6秒間の正回転動作のみを行うエージング動作を作動させた。
68枚〜71枚目の白紙(白ベタ)部分のFD値を測定したところ0.011であり、カブリが発生した。また、71枚印字後のトナー帯電量を測定したところ14.1μC/gであった。
[比較例3]
実施例1で用いた初期現像剤が充填された現像装置3a〜3dを試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、70枚印字後に印字が中断され、トナー補給が行われた。トナー補給後、現像装置3a内の第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが3秒間の逆回転動作のみを行うエージング動作を作動させた。
70枚〜73枚目の白紙(白ベタ)部分のFD値を測定したところ0.014であり、カブリが発生した。また、73枚印字後のトナー帯電量を測定したところ12.7μC/gであった。
[比較例4]
実施例1で用いた初期現像剤が充填された現像装置3a〜3dを試験機(TASKalfa−5501i、京セラドキュメントソリューションズ社製)に搭載した。常温常湿環境下(25℃、50%)で現像装置3aを含むシアンの画像形成部Paにおいて印字率90%のテスト画像を連続印字したところ、500枚印字後にトナーエンプティが表示されたのでトナーコンテナ4aを交換した。トナーコンテナ4aの交換後に現像装置3aへのトナー補給が行われ、トナー補給後にエージング動作は作動させなかった。
トナーコンテナ4aの交換後における1枚〜3枚目の白紙(白ベタ)部分のFD値を測定したところ0.015であり、カブリが発生した。また、3枚印字後のトナー帯電量を測定したところ10.4μC/gであった。
以上の結果より、トナー補給後に正回転動作と逆回転動作とを含むエージング動作を作動させることにより、トナーの帯電量低下およびそれに起因するカブリ画像の発生を効果的に抑制できることが確認された。なお、ここではシアンの現像装置3aについての結果のみ示したが、マゼンタ、イエロー、及びブラックの現像装置3b〜3dについても全く同様の結果が確認されている。