以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。なお、ここでは感光体ドラム1a〜1dとして、アルミニウム製のドラム素管の外周面にアモルファスシリコン感光層を積層したものを使用している。
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ(トナー補給手段)4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラー6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部7a〜7dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とを含む複数の張架ローラーに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15を介して排出トレイ17に排出される。
図2は、カラープリンター100に搭載される現像装置3aの側面断面図であり、図3は、現像装置3aの平面断面図(図2におけるXX′矢視断面図)である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2及び図3に示すように、現像装置3aは、トナーと磁性キャリア(以下、単にキャリアとも言う)とを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤とも言う)が収納される現像容器30を備えており、現像容器30は仕切壁30aによって第1及び第2攪拌室30b、30cに区画されている。第1及び第2攪拌室30b、30cにはトナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して攪拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー31a及び第2攪拌スクリュー31bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー31a及び第2攪拌スクリュー31bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図3の矢印B、C方向)に搬送され、仕切壁30aの両端部に形成された現像剤通過路40a、40bを介して第1及び第2攪拌室30b、30c間を循環する。即ち、第1及び第2攪拌室30b、30c、現像剤通過路40a、40bによって現像容器30内に現像剤の循環経路が形成されている。
現像容器30は図2の左斜め上方に延在しており、現像容器30内において第1攪拌スクリュー31aの上方には磁気ローラー32(現像剤担持体)が配置され、磁気ローラー32の左斜め上方には現像ローラー33(トナー担持体)が対向配置されている。そして、現像ローラー33は現像容器30の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1に対向しており、磁気ローラー32及び現像ローラー33はそれぞれの回転軸を中心として図2の時計回り方向に回転する。
第2攪拌室30cには第2攪拌スクリュー31bと対面してトナー濃度センサー41が配置されており、トナー補給口30dにはトナーコンテナ4a〜4dの供給口61a(図5参照)が連結されている。図3に示すように、トナー補給口30dは平面的に見て第2攪拌室30cの端部に配置されている。
トナー濃度センサー41としては、現像容器30内における二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。ここで、トナー濃度とは現像剤中の磁性キャリアに対するトナーの比率(T/C)のことであり、本実施形態においては、トナー濃度センサー41により現像剤の透磁率を検出し、その検出結果に相当する電圧値を後述する制御部90(図6参照)に出力するよう構成されており、制御部90によってトナー濃度センサー41の出力値からトナー濃度が決定されるようになっている。制御部90は、決定されたトナー濃度に応じてトナー補給モーター27(図5参照)に制御信号を送信し、トナー補給口30dから現像容器30内に所定量のトナーを補給する。
センサー出力値はトナー濃度に応じて変化し、トナー濃度が高くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が高くなり、磁気を通さないトナーの割合が増加するため出力値が低くなる。一方、トナー濃度が低くなるほど磁性キャリアに対するトナーの比率が低くなり、磁気を通す磁性キャリアの割合が増加するため出力値が高くなる。
また、第2攪拌スクリュー31bには、トナー濃度センサー41に対向する部分にスクレーパー42が設けられている。スクレーパー42は、例えば基材となる可撓性のフィルムに不織布を積層したものが用いられ、第2攪拌スクリュー31bの回転軸に形成されたスクレーパー支持部(図示せず)に回転軸に対し平行に貼り付けられている。第2攪拌スクリュー31bの回転に伴いスクレーパー42が回転することで、トナー濃度検知センサー41の検知面が摺擦されて清掃されるとともに、トナー濃度検知センサー41周辺における現像剤の入れ替えが促進される。
磁気ローラー32は、非磁性の回転スリーブ32aと、回転スリーブに内包される複数の磁極(ここでは5極)を有する固定マグネット体32bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体32bの磁極は、主極45、規制極(穂切り用磁極)46、搬送極47、剥離極48、及び汲上極49の5極構成である。
現像ローラー33は、円筒状の現像スリーブ33aと、現像スリーブ33a内に固定された現像ローラー側磁極33bで構成されており、磁気ローラー32と現像ローラー33とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極33bは、固定マグネット体32bの対向する磁極(主極)45と異極性である。
現像ローラー33は、感光体ドラム1aとの対向面が感光体ドラム1aの外周面と同方向に移動するように、感光体ドラム1aに対して順回転(トレール回転)する。このとき、現像ローラー33の線速(周速)は、感光体ドラム1aの線速よりも速く設定されている。ここでは現像ローラー33の感光体ドラム1aに対する線速比(S/D)を1.6倍としている。
また、現像容器30には穂切りブレード35が磁気ローラー32の長手方向(図2のと垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード35は、磁気ローラー32の回転方向(図2の時計回り方向)において、現像ローラー33と磁気ローラー32との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード35の先端部と磁気ローラー32表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー33には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラー32には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源53からバイアス制御回路51(いずれも図6参照)を経由して現像ローラー33及び磁気ローラー32に印加される。制御部90は、バイアス制御回路51に制御信号を送信して現像バイアス電源53から印加されるVslv(DC)、Vslv(AC)及びVmag(DC)、Vmag(AC)を制御する。
前述のように、第1攪拌スクリュー31a及び第2攪拌スクリュー31bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器30内を循環してトナーを帯電させ、第1攪拌スクリュー31aによって現像剤が磁気ローラー32に搬送される。そして、磁気ローラー32上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラー32上の磁気ブラシは穂切りブレード35によって層厚規制された後、磁気ローラー32と現像ローラー33との対向部分に搬送され、磁気ローラー32に印加されるVmag(DC)と現像ローラー33に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー33上にトナー薄層を形成する。
現像装置3a内の第1及び第2攪拌スクリュー31a、31bは、ギヤ列を介して現像剤攪拌モーター(図示せず)に連結されており、制御部90からの制御信号に基づいて第1及び第2攪拌スクリュー31a、31bを駆動させる。なお、ギヤ列を介して現像剤攪拌モーターを磁気ローラー32及び現像ローラー33にも連結しておくことで、磁気ローラー32及び現像ローラー33の駆動源と兼用することもできる。
現像ローラー33上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー32と現像ローラー33との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー33上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図4は、現像ローラー33及び磁気ローラー32に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図4(a)に示すように、現像ローラー33には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が印加される。また、磁気ローラー32には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相の異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が印加される。
従って、磁気ローラー32及び現像ローラー33間に印加される電圧は、図4(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図4で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
磁気ブラシによって現像ローラー33上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー33の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー33との対向部分に搬送される。現像ローラー33にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの電位差によって現像ローラー33から感光体ドラム1aへトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
現像に用いられずに残ったトナーは、現像ローラー33の回転によって再度現像ローラー33と磁気ローラー32との対向部分に搬送され、磁気ローラー32上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体32bの同極部分(剥離極48、汲上極49)で磁気ローラー32から引き剥がされた後、第1及び第2攪拌室30b、30c間を循環する二成分現像剤中に戻される。そして、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として磁気ローラー32上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード35へ搬送される。
図5は、トナーコンテナ4aを概略的に示す側面断面図である。なお、ここでは現像装置3aにトナーを補給するトナーコンテナ4aについて説明するが、現像装置3b〜3dにトナーを補給するトナーコンテナ4b〜4dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。トナーコンテナ4aは、未使用のトナーを貯留するコンテナ容器61、搬送スクリュー62、攪拌パドル63、トナー補給モーター27、攪拌モーター28を備える。
コンテナ容器61の底部の長手方向(図5の紙面と垂直な方向)の一端部には、現像容器30のトナー補給口30d(図2参照)に連結される供給口61aが形成されている。攪拌パドル63は、その軸部から径方向の片側に延び、且つ容器の長手方向に展開されるフィルム状の攪拌羽根63aを有する。攪拌羽根63aの回転によって、コンテナ容器61内のトナーが攪拌され、攪拌されたトナーが搬送スクリュー62側に移送される。
搬送スクリュー62は、その軸部の周りに長手方向に一定の位相(ピッチ)で螺旋状に形成される螺旋羽62aを有し、コンテナ容器61内の底部に供給口61aに対向して配置されている。搬送スクリュー62が回転すると、攪拌パドル63によって攪拌されたトナーが螺旋羽62aの位相の進行により供給口61aに向かって搬送され、供給口61aを介して現像容器30に補給される。
トナー補給モーター27、攪拌モーター28は、それぞれ搬送スクリュー62、攪拌パドル63を回転させるDCモーターからなり、例えば、ブリッジ回路にパルス電圧を印加してパルス電圧のオンとオフを繰り返すことによって回転駆動させられる。攪拌パドル63の攪拌羽根63aは、その軸部から半径方向に搬送スクリュー62の外縁まで延び、螺旋羽62aに接触可能である。
コンテナ容器61内にトナーが十分に貯留されている場合には、攪拌パドル63はトナーを攪拌して搬送スクリュー62に供給する。そして、トナー補給モーター27が定速で回転駆動すると、搬送スクリュー62はその回転速度に応じた一定量のトナーを供給口61aから現像容器30内に補給する。これにより、現像容器30内の現像剤のトナー濃度は一定に保持される。また、トナーが補給されたにも係わらず、トナー濃度センサー41により検知された現像容器30内の現像剤中のトナー濃度が上昇しない場合は、制御部90はトナーコンテナ4a内のトナーが空であると判断して液晶表示部71(図6参照)にトナーコンテナ4a内のトナー残量が空(以下、トナーエンドという)である表示を行い、ユーザーにトナーコンテナ4aの交換を促す。
次に、本発明の画像形成装置の制御経路について説明する。図6は、カラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
バイアス制御回路51は、帯電バイアス電源52、現像バイアス電源53、及び転写バイアス電源54と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源52〜54を作動させるものであり、各電源52〜54はバイアス制御回路51からの制御信号によって、帯電器2、磁気ローラー32、現像ローラー33、転写ローラー9に所定のバイアスを印加する。
操作部70には、液晶表示部71、LED72が設けられており、ユーザーは操作部70を操作して指示を入力することで、カラープリンター100の各種の設定をし、画像形成等の各種機能を実行させる。液晶表示部71は、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したり、タッチパネルとして、両面印字や白黒反転等の機能や倍率設定、濃度設定など各種設定を行えるようになっている。LED72は、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。
その他、操作部70には、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96、制御に必要な数値の演算処理を行う演算部97を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、露光装置5、定着部13、画像形成部8、転写ローラー9、画像入力部20、トナー補給モーター27、攪拌モーター28、バイアス制御回路51、操作部70等が挙げられる。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、トナー補給動作を行う際の補給指標Sや、トナー濃度センサー41の出力値から決定される先行指標値F等の、トナー補給制御に必要となるデータ等も格納されている。補給指標S、先行指標値Fについては後述する。カウンター95は、印字枚数を積算してカウントする。なお、カウンター95を別途設けなくても、例えばRAM93で印字枚数を記憶するようにしてもよい。
演算部97は、トナー補給モーター27の回転数から現像装置3a〜3dでのトナー消費量を算出する。算出されたトナー消費量はCPU91に送信され、CPU91はトナー消費量に基づいてバイアス制御回路51に制御信号を送信して現像バイアス電源53から現像装置3a〜3dに印加される現像バイアスを制御する。
次に、本発明のカラープリンター100の現像装置3a〜3dにおける現像バイアスの制御について詳細に説明する。図2に示したような、磁気ローラー32と現像ローラー33とを備えた現像装置3a〜3dにおいて、感光体ドラム1a〜1d上のトナー拘束量(トナー付着量)を決定するパラメーターとしては、感光体ドラム1a〜1d表面の潜像電位(明電位)と現像ローラー33に印加されるVslv(DC)の電位差(DS間電位差)が挙げられる。即ち、感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像に現像するためには一定以上の電位差を設ける必要がある。しかし、DS間電位差が大きすぎる場合は感光体ドラム1a〜1d上のトナー拘束力が強くなり過ぎてしまう。
ここで、ベタ画像を現像する際の現像ローラー33から感光体ドラム1a〜1dへのトナーの移動について検討する。ベタ画像を現像するために、現像ローラー33上のトナー薄層の一部の領域が消費されるが、このトナー消費領域に隣接して、トナーが全く消費されないトナー非消費領域が存在する。その結果、トナー非消費領域のトナーがDS間電位差によって感光体ドラム1a〜1d側に引き寄せられ、ベタ画像領域に付着する現象が発生する。
さらに、感光体ドラム1a〜1d上に形成される静電潜像の現像性を高めるために、通常は現像ローラー33の線速が感光体ドラム1a〜1dの線速よりも速くなるように設定されている。具体的には、現像ローラー33の線速を感光体ドラム1a〜1dの線速よりも速くすることで、感光体ドラム1a〜1dと現像ローラー33とが対向する現像領域において、感光体ドラム1a〜1d表面を通過する現像ローラー33の表面積が多くなる。
その結果、現像ローラー33上のトナー層の層厚を薄くしても良好な現像性が得られるため、磁気ローラー32から現像ローラー33へのトナー供給を安定させることができ、現像ローラー33上に均一なトナー層を形成することができる。また、現像に用いられずに現像ローラー33上に残存するトナー層の引き剥がし効果も高めることができる。感光体ドラム1a〜1dに対する現像ローラー33の線速比(S/D)は、1.2〜1.8程度が好ましい。
一方、現像ローラー33の線速を感光体ドラム1a〜1dの線速よりも速くすると、現像ローラー33の回転によってベタ画像領域の後端部にはより多くのトナー非消費領域が重なることとなり、先端部に比べてより多くのトナーが供給されることになる。これが後端溜まりの発生原因である。
特に、感光体ドラム1a〜1dとして誘電率の高いアモルファスシリコン感光体を使用する場合、静電潜像を現像するために必要なVslv(DC)を印加した状態での感光体ドラム1a〜1dの飽和濃度は、画像形成に必要な濃度よりもはるかに高くなっている。その結果、後端溜まりがより顕著に現れることになる。そこで、後端溜まりの発生を抑えるためには、極力低いVslv(DC)を設定することでDS間電位差を必要最小限とし、感光体ドラム1a〜1dへのトナー供給量を調整する必要がある。
ここで、現像に必要なVslv(DC)の最小値は、トナーの劣化状態によって変化する。例えば、文字等の低印字率の画像が連続して印字されると、現像装置3a〜3d内の現像剤中のトナーの入れ替えが進まず、過剰に帯電した劣化トナーによって現像性が低下し、画像濃度が低下する。そのため、劣化したトナーでも十分な現像性が確保できるようにVslv(DC)を高めに設定しておく必要がある。
一方、写真やグラフィック画像のような高印字率の画像が連続して印字されると、現像装置3a〜3d内の現像剤中のトナーの入れ替えが促進されるため、トナーの劣化は進まず高い現像性が維持される。その結果、Vslv(DC)を高めに設定すると画像後端部のトナー付着量がより多くなってしまい、後端溜まりが顕著に現れる。
そこで、本発明では、高印字率の画像が連続して印字された場合はVslv(DC)を低くするとともに、Vslv(DC)に重畳して印加されるVslv(AC)のピークツーピーク値(Vpp)を上げてピーク値が一定となるように制御する現像バイアスのキャリブレーションを実行する。
図7は、本発明の第1実施形態のカラープリンター100において実行される現像バイアスのキャリブレーション制御例を示すフローチャートであり、図8は、現像ローラー33に印加されるVslv(DC)とVslv(AC)の変化を示すグラフである。必要に応じて図1〜図6、及び図8を参照しながら、図7のステップに沿って現像装置3a〜3dに印加される現像バイアスの制御手順について説明する。
なお、図8(a)に示すように、Vslv(DC)=70Vに設定され、Vslv(DC)を面積中心電圧として、Duty比(交流波形1周期に対するプラス側波形の時間の割合)43%、ピークツーピーク値(Vpp)=1700VのVslv(AC)が印加されており、Vmax=1099V、Vmin=−661Vとなっている。また、感光体ドラム1a〜1dと現像ローラー23とのギャップ(DS間ギャップ)は100μm、感光体ドラム1a〜1dの潜像電位(明電位)は10Vとしている。
先ず、画像形成処理が開始されると(ステップS1)、カウンター95により印字枚数nがカウントされる(ステップS2)。同時に、前回のキャリブレーション実行時からのトナー補給モーター27の累積回転数もカウントされる(ステップS3)。次に、制御部90は、印字枚数nがキャリブレーション実行のトリガーとなる所定枚数Aに到達したか否かを判断する(ステップS4)。n=Aである場合は、演算部97においてトナー補給モーター27の累積回転数にトナー補給モーター27の1回転当たりのトナー補給量を乗じて、前回のキャリブレーション実行時からのトナー消費量Tを算出する(ステップS5)。
次に、制御部90は、トナー消費量Tが閾値T1以上であるか否かを判断する(ステップS6)。T≧T1であるときは高印字率の画像が連続して印字されているため、現像装置3a〜3d内のトナーの入れ替わりが促進され、トナーの現像性が向上している。そこで、後端溜まりを抑制するためにVslv(DC)を低下させる(ステップS7)。具体的には、図8(b)に示すようにVslv(DC)を70Vから30Vに変更する。その結果、Vslv(AC)のVmax及びVminもそれぞれ40Vずつ低下し、Vmax=1059V、Vmin=−701Vとなる。
ここで、Vmaxが低下すると現像ローラー33と感光体ドラム1a〜1dとの電位差が小さくなり、感光体ドラム1a〜1dと現像ローラー33との間のリーク発生を抑制することができる反面、ハーフトーン画像の階調再現性も低下してしまう。そこで、Vslv(DC)の変更に合わせて、Vmaxが一定に保持されるようにVslv(AC)のVppを増加させる(ステップS8)。具体的には、図8(c)に示すようにVppを1700Vから1770Vに増加することで、VmaxはVslv(DC)を変更する前の1099Vに保持される。
その後、印字が終了したか否かが判断され(ステップS9)、印字が終了している場合は処理を終了する。印字が継続している場合はステップS2に戻り、同様の手順でキャリブレーション制御を繰り返す(ステップS2〜S9)。
以上のような制御によれば、前回のキャリブレーション実行時からのトナー消費量を算出し、算出されたトナー消費量に基づいてVslv(DC)及びVslv(AC)を適切な値に補正することができる。例えば、トナー消費量が所定値以上である場合は高印字率の画像が多く印字されており、トナーの現像性は低下していないと考えられるため、Vslv(DC)を低下させて後端溜まりの発生を抑制するとともに、Vslv(AC)のVppを上げてVmaxを一定に維持することでハーフトーン画像の階調再現性も確保することができる。
また、トナー消費量が所定値よりも少ない場合は低印字率の画像が多く印字されており、トナーの現像性は低下していると考えられるため、設定されたVslv(DC)を低下させずに印字を行うことで画像濃度の低下を抑制することができる。
さらに、感光体ドラム1a〜1dに対する現像ローラー33の線速比(S/D)を高くしても後端溜まりの発生を抑制できるため、現像性を高めるために現像ローラー33上のトナー層の層厚を厚くする必要がなくなる。その結果、磁気ローラー32から現像ローラー33へのトナー供給を安定させることができる。また、現像ローラー33上に残存するトナー層の層厚も薄くなるため、磁気ローラー32による現像ローラー33からトナー層を十分に引き剥がすことができる。その結果、履歴現像の発生も抑制できる。
なお、Vslv(AC)のVppを上げてVmaxを一定(1099V)に維持すると、Vminも−661Vから−731Vまで低下する。そのため、Vminは感光体ドラム1a〜1dと現像ローラー33との間のリークが発生し易い方向に変化することになる。しかし、Vslv(AC)はリークが発生しないように予め十分なマージンをもって設定されている。従って、Vppを上げることでVminが低下してもリークが発生するおそれはない。
図9は、本発明の第2実施形態のカラープリンター100において実行される現像バイアスの制御例を示すフローチャートである。必要に応じて図1〜図6、及び図8を参照しながら、図9のステップに沿って現像装置3a〜3dに印加される現像バイアスの制御手順について説明する。本実施形態では、トナー補給モーター27の回転数から算出されるトナー消費量に代えて、印字画像の平均印字率に基づいて現像ローラー33に印加されるVslv(DC)及びVslv(AC)を変更している。
先ず、画像形成処理が開始されると(ステップS1)、カウンター95により印字枚数nがカウントされる(ステップS2)。同時に、一時記憶部94内のデジタル信号に基づいて画像毎の印字率もカウントされる(ステップS3)。次に、制御部90は、印字枚数nがキャリブレーション実行のトリガーとなる所定枚数Aに到達したか否かを判断する(ステップS4)。
n=Aである場合は、演算部97において画像毎の印字率bnを積算した積算印字率Σbnを算出し、さらにΣbn/Aにより前回のキャリブレーション実行時からの平均印字率Bを算出する(ステップS5)。
次に、制御部90は、平均印字率Bが閾値B1(例えば5%)以上であるか否かを判断する(ステップS6)。B≧B1であるときは高印字率の画像が連続して印字されているため、現像装置3a〜3d内のトナーの入れ替わりが促進され、トナーの現像性が向上している。そこで、後端溜まりを抑制するためにVslv(DC)を低下させる(ステップS7)。具体的には、印字率が5%以上の場合は図8(b)に示すようにVslv(DC)を70Vから30Vに変更する。その結果、Vslv(AC)のVmax及びVminもそれぞれ40Vずつ低下し、Vmax=1059V、Vmin=−701Vとなる。
そして、Vslv(DC)の変更に合わせて、Vmaxが一定に保持されるようにVslv(AC)のVppを増加させる(ステップS8)。具体的には、図8(c)に示すようにVppを1700Vから1770Vに増加することで、VmaxはVslv(DC)を変更する前の1099Vに保持される。
その後、印字が終了したか否かが判断され(ステップS9)、印字が終了している場合は処理を終了する。印字が継続している場合はステップS2に戻り、同様の手順でキャリブレーション制御を繰り返す(ステップS2〜S9)。
以上のような制御によれば、前回のキャリブレーション実行時からの平均印字率に基づいてVslv(DC)及びVslv(AC)を適切な値に補正することができる。例えば、平均印字率が所定値以上である場合は高印字率の画像が多く印字されており、トナーの現像性は低下していないと考えられるため、Vslv(DC)を低下させて後端溜まりの発生を抑制するとともに、Vslv(AC)のVppを上げてVmaxを一定に維持することでハーフトーン画像の階調再現性も確保することができる。
また、平均印字率が所定値よりも低い場合は低印字率の画像が多く印字されており、トナーの現像性は低下していると考えられるため、設定されたVslv(DC)を低下させずに印字を行うことで画像濃度の低下を抑制することができる。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態に示したVslv(DC)、Vslv(AC)の基準値やキャリブレーション実行のトリガーとなる印字枚数A、トナー消費量Tの閾値T1、平均印字率Bの閾値B1等は、現像装置3a〜3dを含む画像形成装置の仕様や使用環境等に応じて適宜変更すれば良い。
また、上記各実施形態では、アモルファスシリコン感光層を有する感光体ドラム1a〜1dを使用したが、アモルファスシリコン感光層に代えて有機感光層(OPC)を積層した感光体ドラム1a〜1dを使用することもできる。有機感光層は、アモルファスシリコン感光層に比べてドラム飽和濃度が低く、後端溜まりは発生し難いが、感光層の層厚が薄い場合や、誘電率の高い有機感光層を使用する場合はドラム飽和濃度が上昇し、アモルファスシリコン感光層を有する感光体ドラムと同様に後端溜まりが発生するおそれがある。従って、そのような場合には上述したような現像バイアスの制御が有効となる。
また、上記各実施形態では、本発明の画像形成装置として図1に示したような中間転写方式のカラープリンター100を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、モノクロ複合機、モノクロプリンター、直接転写方式のカラープリンター等、磁気ローラー(トナー供給部材)を用いて二成分現像剤を感光体(像担持体)に対して非接触に設置した現像ローラー(トナー担持体)上に移行させる際に、磁気ローラー上に磁性キャリアを残したまま現像ローラー上に非磁性トナーのみを転移させてトナー薄層を形成する現像方式を用いた種々の画像形成装置に適用可能である。