以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
ユーザーにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラー6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とを含む複数の張架ローラーに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15を介して排出トレイ17に排出される。
図2は、図1に示すカラープリンター100の中間転写ベルト8周辺の構成を示す側面断面図である。図1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。なお、図2では帯電器2a〜2d、クリーニング部5a〜5dは記載を省略している。
各感光体ドラム1a〜1dの回転方向において現像ユニット3a〜3dの下流側且つ転写ローラー6a〜6dの上流側には濃度検知センサー40a〜40dが配置されている。濃度検知センサー40としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。感光体ドラム1a〜1d上のトナー付着量を測定する際、発光素子から感光体ドラム1a〜1d上に形成された各基準画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びドラム表面によって反射される光として受光素子に入射する。
トナーの付着量が多い場合には、ドラム表面からの反射光がトナーによって遮光されるので、受光素子の受光量が減少する。一方、トナーの付着量が少ない場合には、逆にドラム表面からの反射光が多くなる結果、受光素子の受光量が増大する。従って、受光した反射光量に基づく受光信号の出力値により各色の基準画像の濃度を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像バイアスの特性値などを調整することにより、各色について濃度補正が行われる。
なお、濃度検知センサー40a〜40dは感光体ドラム1a〜1d上の基準画像を検知可能な他の位置に配置しても良いが、例えば転写ローラー6a〜6dよりも下流側に配置した場合、現像装置3a〜3dにより基準画像が形成されてから濃度検知が行われるまでの時間が長くなり、さらに基準画像が中間転写ベルト8と接触することにより基準画像の表面状態が変化するおそれもある。そのため、図2のように現像装置3a〜3dよりも下流側且つ中間転写ベルト8の接触位置よりも上流側に配置することが好ましい。
図3は、カラープリンター100に搭載される現像装置3aの構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図3に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aの両端に形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラー22が配置され、磁気ローラー22の左斜め上方には現像ローラー23が対向配置されている。そして、現像ローラー23は現像容器20の開口側(図3の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラー22及び現像ローラー23は図中時計回り方向に回転する。
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサー(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサーで検知されるトナー濃度に応じて補給装置(図示せず)からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
磁気ローラー22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブ22aに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。磁気ローラー22と現像ローラー23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラー22の長手方向(図3の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラー22の回転方向(図3の時計回り方向)において、現像ローラー23と磁気ローラー22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラー22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー23は、非磁性の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラー側磁極23bで構成されている。現像ローラー側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
現像ローラー23及び磁気ローラー22には、バイアス制御回路41を介して現像バイアス電源43(いずれも図5参照)が接続されている。現像ローラー23には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラー22には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加される。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラー22に搬送される。穂切りブレード25には固定マグネット体22bの規制極36が対向するため、穂切りブレード25として非磁性体或いは規制極36と異なる極性の磁性体を用いることにより、穂切りブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
この磁界により、穂切りブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラー22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、現像ローラー23に対向する位置に移動すると、固定マグネット体22bの主極35及び現像ローラー側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラー23表面に接触する。そして、磁気ローラー22に印加されるVmag(DC)と現像ローラー23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー22と現像ローラー23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図4は、現像ローラー23及び磁気ローラー22に印加されるバイアス波形の一例を示す図である。図4(a)に示すように、現像ローラー23には、Vslv(DC)にピークツーピーク値がVpp1である矩形波のVslv(AC)を重畳した合成波形Vslv(実線)が現像バイアス電源43から印加される。また、磁気ローラー22には、Vmag(DC)にピークツーピーク値がVpp2であり、且つVslv(AC)と位相が異なる矩形波のVmag(AC)を重畳した合成波形Vmag(破線)が現像バイアス電源43から印加される。
従って、磁気ローラー22及び現像ローラー23間(以下、MS間という)に印加される電圧は、図4(b)に示すようなVpp(max)とVpp(min)を有する合成波形Vmag−Vslvとなる。なお、Vmag(AC)はVslv(AC)よりもDuty比が大きくなるように設定される。実際には図4で示すような完全な矩形波ではなく、一部が歪んだ形状の交流電圧が印加される。
磁気ブラシによって現像ローラー23上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー23の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー23との対向部分に搬送される。現像ローラー23にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
さらに回転スリーブ22aが時計回り方向に回転すると、今度は主極35に隣接する異極性の剥離極38により発生する水平方向(ローラー周方向)の磁界により磁気ブラシは現像ローラー23表面から引き離され、現像に用いられずに残ったトナーが現像ローラー23から回転スリーブ22a上に回収される。さらに回転スリーブ22aが回転すると、固定マグネット体22bの剥離極38及びこれと同極性の汲上極39により反発する磁界が付与されるため、トナーは現像容器20内で回転スリーブ22aから離脱する。そして、第2攪拌スクリュー21bにより攪拌、搬送された後、再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤として汲上極39により再び回転スリーブ22a上に磁気ブラシを形成し、穂切りブレード25へ搬送される。
図5は、本発明のカラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電装置2a〜2d内の帯電ローラーに、現像バイアス電源43は現像装置3a〜3d内の磁気ローラー22及び現像ローラー23に、転写バイアス電源44は一次転写ローラー6a〜6d及び二次転写ローラー9に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
機内温湿度センサー45は、カラープリンター100内部の温度及び湿度を常に検知している。検知結果は後述するI/F96を介して制御部90に送信される。
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52が設けられており、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパーソナルコンピューターのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、濃度検知センサー40a〜40dによって検出され、後述する帯電バイアスの補正に用いられる感光体ドラム1a〜1d上のカブリ濃度分布データも保管される。一時記憶部94は、パーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する画像入力部(図示せず)より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置4、定着部7、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、濃度検知センサー40a〜40d、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
さらに制御部90は、操作部50のキー操作等によりカブリ補正モードが設定されると、感光体ドラム1a〜1d上に形成された各色の基準画像の濃度を濃度検知センサー40a〜40dによって読み取り、濃度検知センサー40a〜40dの出力値に基づいて感光体ドラム1a〜1d表面のカブリ濃度分布を検出する機能、検出結果に応じて感光体ドラム1a〜1dの周方向における表面電位を部分的に変化させた表面電位パターンを作成する機能を有している。感光体ドラム1a〜1dの表面電位は、帯電バイアス電源42から帯電装置2a〜2dへ印加する帯電バイアスを調整することによって変化させることができる。
図6は、本発明のカラープリンター100におけるカブリ補正モードの実行手順を示すフローチャートである。図1〜図5、及び後述する図7を参照しながら、図6のステップに沿ってカブリ濃度分布に応じた表面電位パターンを作成し、帯電バイアスを調整する手順について説明する。
ユーザーの操作により、若しくは所定枚数印字後にカブリ補正モードが設定されると、先ず、カブリ画像が顕著に発生するような印字条件に設定する(ステップS1)。印字条件は、感光体ドラム1a〜1dの表面電位をカブリ画像が顕著に発生する条件に設定しても良いし、現像ローラー23に印加する現像バイアスをカブリ画像が顕著に発生する条件に設定しても良い。例えば、感光体ドラム1a〜1dの表面電位を設定する場合、印字時の表面電位よりも100V低い値に設定する。
次に、ステップS1で設定された条件で、各感光体ドラム1a〜1d表面に、ドラム1周分以上の基準画像を形成する(ステップS2)。
図7(a)は、カブリ濃度分布の検出に用いられる基準画像Tの一例を示す図であり、図7(b)は、図7(a)の基準画像Tに基づいて検出されたカブリ濃度分布及び表面電位パターンを示すグラフである。図7(a)に示すように、各感光体ドラム1a〜1d表面にはマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色について、濃度検知センサー40a〜40d(図2参照)に対向する位置にハーフトーン画像から成る基準画像Tが形成される。基準画像Tの濃度は、カブリが顕著に出現する任意の濃度に設定すれば良いが、カブリ画像を精度良く検出できる5%以下のハーフトーン画像、或いは白ベタ画像が好ましい。
図7(a)に示した基準画像Tでは、カブリによってやや濃度が高くなった2箇所の領域C1と、カブリによって濃度が顕著に高くなった1箇所の領域C2が出現している。この基準画像Tを濃度検知センサー40で読み取ることで、図7(b)の実線で示したような、領域C1に対応する箇所で濃度がやや高く、領域C2に対応する箇所で濃度が顕著に高くなったカブリ濃度分布が得られる(ステップS3)。例えば、基準画像Tがシアンの感光体ドラム1a上に形成されたとすると、感光体ドラム1a表面にはカブリ画像がやや発生し易い領域C1と、カブリ画像が顕著に発生し易い領域C2とが存在していることがわかる。得られたカブリ濃度分布はRAM93(図5参照)に記憶される。
次に、ステップS3で得られたカブリ濃度分布に基づいて、感光体ドラム1a〜1dの周方向における濃度分布を均一化するような感光体ドラム1a〜1dの表面電位パターンを形成する(ステップS4)。前述したように、現像ローラー23上のトナーは、現像ローラー23と感光体ドラム1a〜1dとの間の電位差が大きくなるほど感光体ドラム1a〜1d側に移動し易くなるため、カブリを抑制するためには、現像ローラー23に印加される現像バイアスを低くするか、或いは感光体ドラム1a〜1dの表面電位を高くすれば良い。
しかし、現像バイアスを低くした場合、カブリの発生していない領域(図7(a)の領域C1、C2以外の部分)で濃度低下が発生する可能性がある。そこで、本発明では、カブリ濃度が高い領域に対応する感光体ドラム1a〜1dの表面電位を部分的に高くすることにより、カブリの発生している領域では現像ローラー23からのトナーの飛翔を抑制してカブリの発生を抑制するとともに、カブリの発生していない領域における画像濃度も維持することとした。このようにして、図7(b)に破線で示すような表面電位パターンが作成される。そして、ステップS4で作成された表面電位パターンとなるように、帯電装置2a〜2dに印加する帯電バイアスを調整する(ステップS5)。
上記の制御によれば、感光体ドラム1a〜1d表面の周方向においてカブリ画像の発生し易い領域を予め検知しておき、検知結果に応じてカブリの発生し易い領域ほどドラム表面電位を高く設定することで、カブリ画像の発生を効果的に抑制することができる。また、カブリ画像の発生し難い領域では通常の条件で画像形成が行われるため、カブリの発生しない領域での画像濃度の低下も抑制することができる。
特に、図3に示したような、磁気ローラー22上に磁性キャリアを残したまま現像ローラー23上に非磁性トナーのみを移動させてトナー薄層を形成し、交流電界によって感光体ドラム1a〜1d上の潜像にトナーを付着させる現像装置3a〜3dにおいては、前述したように、現像ローラー23上に均一なトナー薄層を形成するために、磁気ローラー22に印加されるVmag(DC)と現像ローラー23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔVが重要となる。
そのため、従来のように現像ローラー23に印加されるVslv(DC)を可変してカブリ画像を抑制しようとする場合、Vslv(DC)とVmag(DC)との関係を一定に維持するために、Vslv(DC)に合わせてVmag(DC)も可変させる必要が生じる。しかし、Vmag(DC)を可変させると、磁気ローラー22への現像剤の汲み上げ性も変化してしまう。また、Vslv(DC)を可変させることで、トナーの飛翔性を感光体ドラム表面1a〜1dのカブリ濃度分布に精度良く追従させることは非常に困難である。
従って、図3に示したような磁気ローラー22と現像ローラー23とを用いた現像方式においては、本発明のように感光体ドラム1a〜1dのカブリ濃度分布に基づいて表面電位を可変することが特に好ましい。
なお、図6では、ユーザーによるマニュアル操作でカブリ補正モードを実行する例について説明したが、その他、カラープリンター100の電源ON時やスリープモード(省電力モード)からの復帰時にも自動的に実行されるようにしてもよい。
また、カブリ画像はトナーの帯電量が低下したときに発生し易くなるため、トナーの帯電量が低下し易い高温高湿環境下で顕著となる。そのため、機内温度センサー45により検知された温度または湿度のうち、少なくとも一方が所定値以上となったときに制御部90がカブリ補正モードを自動的に実行することが好ましい。
さらに、トナーの帯電量の低下は現像ローラー23上のトナーの入れ替わりが激しい場合や、現像装置3a〜3dの長時間の駆動によりキャリアが劣化して帯電性能が低下した場合にも発生し易くなる。そのため、一時記憶部94に記憶された画像データから算出された印字率が所定値以上である画像を所定枚数以上連続して印字したとき、或いは、カウンター95でカウントされる前回のカブリ補正モードの実行からの累積印字枚数が所定枚数に到達したときに制御部90がカブリ補正モードを自動的に実行することが好ましい。
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用いる現像装置を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置にも全く同様に適用可能である。また、本発明は図3に示したような磁気ローラー22と現像ローラー23を備えた現像装置に限らず、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤を用いる種々の現像装置にも適用可能である。
また、本発明は図1に示したタンデム式のカラープリンター100に限らず、デジタル或いはアナログ方式のモノクロ複写機、モノクロプリンター及びロータリー現像式のカラープリンター及びカラー複写機、ファクシミリ等、二成分現像式の現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用可能である。以下、実施例により本発明の効果を更に詳細に説明する。
図1に示したカラープリンター100において、図7(b)に実線で示したようなカブリ濃度分布を有する感光体ドラムを用いて画像形成を行った場合のカブリ濃度値と画像濃度を比較した。なお、試験はシアンの画像形成を行う画像形成部Paを用いた。
試験方法としては、現像バイアスを通常の印字時(300V)の−50V(250V)とした場合(比較例1)、感光体ドラム1aの表面電位を一律に通常の印字時の+50V(350V)とした場合(比較例2)、図7(b)に破線で示したような表面電位パターンとなるように帯電バイアスを調整した場合(本発明)において、それぞれテスト画像を出力したときの画像濃度(ID;イメージデンシティ)を、反射濃度計(マクベスRD912)により測定した。また、白ベタ画像を出力したときのカブリ値を、反射濃度計(TC−6D、東京電色社製)により測定した。
画像濃度(ID)は目標値を1.4とし、1.4以上の場合を○と判定した。カブリ値は0.005以上になるとカブリ画像として認識されるため、0.005未満を○と判定した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、感光体ドラム1a表面のカブリ濃度分布に対応した表面電位パターンとなるように帯電バイアスを調整した本発明では、カブリ値が0.001に抑えられるとともに、画像濃度も1.41であり、画像濃度の低下も抑制された。
これに対し、現像バイアスを通常の印字時の−50Vに設定した比較例1では、現像バイアスが低くなり過ぎて画像濃度が1.24に低下した。また、カブリ値も0.005であり、部分的にカブリ画像が残っていた。また、現像バイアスに代えて感光体ドラム1aの表面電位を通常の印字時の+50Vに設定した比較例2では、画像濃度が1.36となり、比較例1に比べて画像濃度の低下は小さかったが、カブリ値は0.005であり、部分的にカブリ画像が残っていた。