以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンターについて示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラー9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
本実施形態では、感光体ドラム1a〜1dはアモルファスシリコン(a−Si)感光体であり、アルミニウム等の導電性基板(筒体)上に、感光層としてa−Si系の光導電層を形成し、その上面にa−Si系のSiC、SiN、SiO、SiON、SiCNなどの無機絶縁体または無機半導体から成る表面保護層が積層されている。
トナー像が転写される転写紙Pは、カラープリンター100本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置5a、5b、5c及び5dが設けられている。
パーソナルコンピューター等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、一次転写ローラー6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置5a〜5dにより除去される。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とを含む複数の張架ローラーに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回り方向に回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pの一部を一旦排出ローラー対15から装置外部にまで突出させる。その後、転写紙Pは排出ローラー対15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態でレジストローラー対12bに再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15を介して排出トレイ17に排出される。
さらに、中間転写ベルト8を挟んで駆動ローラー11と対向する位置には画像濃度センサー40が配置されている。画像濃度センサー40としては、一般にLED等から成る発光素子と、フォトダイオード等から成る受光素子を備えた光学センサーが用いられる。中間転写ベルト8上のトナー付着量を測定する際、発光素子から中間転写ベルト8上に形成された各基準画像に対し測定光を照射すると、測定光はトナーによって反射される光、及びベルト表面によって反射される光として受光素子に入射する。
トナー及びベルト表面からの反射光には正反射光と乱反射光とが含まれる。この正反射光及び乱反射光は、偏光分離プリズムで分離された後、それぞれ別個の受光素子に入射する。各受光素子は、受光した正反射光と乱反射光を光電変換して制御部90(図3参照)に出力信号を出力する。そして、正反射光と乱反射光の出力信号の特性変化からトナー量を検知し、予め定められた基準濃度と比較して現像バイアスの特性値などを調整することにより、各色について濃度補正が行われる。
図2は、カラープリンター100に搭載される現像装置3aの構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤ともいう)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
そして、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aの両端に形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図示の例では、現像容器20は左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第2攪拌スクリュー21bの上方には磁気ローラー22が配置され、磁気ローラー22の左斜め上方には現像ローラー23が対向配置されている。そして、現像ローラー23は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向しており、磁気ローラー22及び現像ローラー23は図中時計回り方向に回転する。
なお、現像容器20には、第1攪拌スクリュー21aと対面してトナー濃度センサー(図示せず)が配置されており、トナー濃度センサーで検知されるトナー濃度に応じて補給装置(図示せず)からトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
磁気ローラー22は、非磁性の回転スリーブ22aと、回転スリーブ22aに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体22bで構成されている。本実施形態では、固定マグネット体22bの磁極は、主極35、規制極(穂切り用磁極)36、搬送極37、剥離極38、及び汲上極39の5極構成である。磁気ローラー22と現像ローラー23とはその対面位置(対向位置)において所定のギャップをもって対向している。
また、現像容器20には穂切りブレード25が磁気ローラー22の長手方向(図2の紙面と垂直な方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード25は、磁気ローラー22の回転方向(図2の時計回り方向)において、現像ローラー23と磁気ローラー22との対向位置よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード25の先端部と磁気ローラー22表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
現像ローラー23は、非磁性の現像スリーブ23aと、現像スリーブ23a内に固定された現像ローラー側磁極23bで構成されている。現像ローラー側磁極23bは、固定マグネット体22bの対向する磁極(主極)35と異極性である。
現像ローラー23及び磁気ローラー22には、バイアス制御回路41(図3参照)を介して現像バイアス電源43が接続されている。具体的には、現像バイアス電源43は、現像ローラー23に接続される直流電源と交流電源から成る第1電源43aと、第1電源43aと現像ローラー23の間から分岐して設けられ、磁気ローラー22に接続される直流電源と交流電源から成る第2電源43bと、を備えており(デュアルバイアス制御)、第1電源43a及び第2電源43bは共通のグランドに接地されている。
これにより、現像ローラー23には第1電源43aから直流電圧に交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。一方、磁気ローラー22には、供給バイアスとして、第1電源43aから印加されるバイアスをベースに、第2電源43bから直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスが重畳して印加される。
図2に示すデュアルバイアス制御によれば、磁気ローラー22−現像ローラー23間(以下、MS間という)に印加されるバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの合成波形)が第2電源43bのバイアス波形と等しくなり、第1電源43aのバイアスによる影響を受けることがない。また、現像ローラー23−感光体ドラム1a〜1d間(DS間)に印加されるバイアス波形も第2電源43bによる影響を受けることなく、第1電源43aのバイアスのみで制御することができる。
即ち、DS間のバイアス波形及びMS間のバイアス波形は、互いに独立して各バイアスの電圧とデューティ比を設定することができる。
また、現像ローラー23に印加される現像バイアス、及び磁気ローラー22に印加される供給バイアスは、直流電圧に矩形波形の交流電圧を印加するパルス部と、交流電圧の印加を休止する休止部とを含む。現像バイアス及び供給バイアスの具体的な波形については後述する。
前述のように、第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環してトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラー22に搬送される。穂切りブレード25には固定マグネット体22bの規制極36が対向するため、穂切りブレード25として非磁性体或いは規制極36と異なる極性の磁性体を用いることにより、穂切りブレード25の先端と回転スリーブ22aとの隙間に引き合う方向の磁界が発生する。
この磁界により、穂切りブレード25と回転スリーブ22aとの間に磁気ブラシが形成される。そして、磁気ローラー22上の磁気ブラシは穂切りブレード25によって層厚規制された後、現像ローラー23に対向する位置に移動すると、固定マグネット体22bの主極35及び現像ローラー側磁極23bにより引き合う磁界が付与されるため、磁気ブラシは現像ローラー23表面に接触する。そして、磁気ローラー22に印加されるVmag(DC)と現像ローラー23に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー23上にトナー薄層を形成する。
現像ローラー23上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー22と現像ローラー23との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー23上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
図3は、本発明のカラープリンター100に用いられる制御経路の一例を示すブロック図である。なお、カラープリンター100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、カラープリンター100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
バイアス制御回路41は、帯電バイアス電源42、現像バイアス電源43、及び転写バイアス電源44と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させるものであり、これらの各電源はバイアス制御回路41からの制御信号によって、帯電バイアス電源42は帯電装置2a〜2d内の帯電ローラーに、現像バイアス電源43は現像装置3a〜3d内の磁気ローラー22及び現像ローラー23に、転写バイアス電源44は一次転写ローラー6a〜6d及び二次転写ローラー9に、それぞれ所定のバイアスを印加する。
機内温湿度センサー45は、カラープリンター100内部の温度及び湿度を常に検知している。検知結果は後述するI/F96を介して制御部90に送信される。
操作部50には、液晶表示部51、各種の状態を示すLED52が設けられており、カラープリンター100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。カラープリンター100の各種設定はパーソナルコンピューターのプリンタードライバーから行われる。
その他、操作部50には、画像形成を開始するようにユーザーが指示するスタートボタン、画像形成を中止する際等に使用するストップ/クリアボタン、カラープリンター100の各種設定をデフォルト状態にする際に使用するリセットボタン等が設けられている。
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)91、読み出し専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)92、読み書き自在の記憶部であるRAM(Random Access Memory)93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、カラープリンター100内の各装置に制御信号を送信したり操作部50からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を少なくとも備えている。また、制御部90は、装置本体内部の任意の場所に配置可能である。
ROM92には、カラープリンター100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、カラープリンター100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、カラープリンター100の制御途中で発生した必要なデータや、カラープリンター100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。また、RAM93(或いはROM92)には、後述するように現像ローラー23に現像バイアスとして印加される第1ブランクパルスバイアス、磁気ローラー22に供給バイアスとして印加される第2ブランクパルスバイアスの設定値等も保管される。
一時記憶部94は、パーソナルコンピューター等から送信される画像データを受信する画像入力部(図示せず)より入力され、デジタル信号に変換された画像信号を一時的に記憶する。カウンター95は、印字枚数を累積してカウントする。
また、制御部90は、カラープリンター100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa〜Pd、露光装置4、定着部7、中間転写ベルト8、二次転写ローラー9、画像濃度センサー40、バイアス制御回路41、操作部50等が挙げられる。
図2に示したような現像装置3a〜3dを備えた非接触現像方式のカラープリンター100では、出力画像の形成時において、ベタ画像のエッジ部における吸い込み(過現像)や、ベタ画像に隣接するハーフトーン画像のエッジ部における白抜け等の画像品質の低下が発生し易いことが知られている。
まず、ベタ画像のエッジ部における吸い込みや、ベタ画像に隣接するハーフトーン画像のエッジ部における白抜けが発生するメカニズムについて述べる。図4は、現像ローラー23と感光体ドラム1a〜1dとの間のトナーの飛翔挙動を示す概念図である。図4に示すように、トナーTは基本的に電気力線に沿って飛翔することから、現像初期のトナー飛翔挙動は、感光体ドラム1a〜1d上の高濃度部(ベタ画像部、図4の表面電位10Vの領域)と低濃度部(ハーフトーン画像部、図4の表面電位120Vの領域)が隣接する場合は、低濃度側のエッジ部に向かって飛翔したトナーが高濃度側のエッジ部に引き寄せられる傾向にある。その結果、高濃度側のエッジ部にはトナーが密に付着する吸い込みが発生し、逆に低濃度側のエッジ部ではトナーが疎になり白抜けが発生する。
次に、トナーを現像ローラー23側に引き戻す方向に作用する現像バイアス(ブランクパルスバイアス)が、ベタ画像のエッジ部における吸い込みや、ベタ画像に隣接するハーフトーン画像のエッジ部における白抜けを抑制するメカニズムについて述べる。図5は、現像ローラー23と感光体ドラム1a〜1dの対向部分(現像ニップ)におけるトナー粒子の挙動を説明する概念図である。
一般に、交流波形を有する現像バイアスを用いて現像すると、図5に示すように、現像ニップ上流側の領域R1(現像ギャップが大きく現像電界が弱い領域)では、帯電量の大きい大粒径トナーが小粒径トナーよりも先に飛翔し、感光体ドラム1a〜1dの潜像上に現像される。特に、現像ローラー23と感光体ドラム1a〜1dに線速差(現像ローラー23の線速が感光体ドラム1a〜1dよりも速い)がある場合、白地部を通過してきた現像ローラー23がベタ画像のエッジ部(後端部)を通過し、現像ローラー23上のトナーが飛翔してベタ画像のエッジ部近傍に付着し、エッジ部近傍のトナー密度を高くする。
そして、現像ニップの中央部R2(現像ギャップが狭くなり現像電界が最も強くなる領域)では、帯電量の小さい小粒径トナーも飛翔し始め、既に感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像に付着した大粒径トナーの一部と入れ替わって潜像に付着する。
さらに、現像ニップ下流側の領域R3(現像ギャップが再び大きくなり現像電界が弱くなる領域)においては、帯電量の小さい小粒径トナーは先に感光体ドラム1a〜1d若しくは現像ローラー23に引き付けられて付着するため、帯電量の大きい大粒径トナーのみが現像ニップ間に浮遊する。この浮遊トナーが現像されることで、ベタ画像のエッジ部における吸い込みが発生し、エッジ部の濃度差(後端溜まり)の原因となる。
つまり、ベタ画像のエッジ部における吸い込みを抑制するためには、現像ニップ上流側の領域R1におけるベタ画像のエッジ部のトナー密度上昇を防ぐことと、現像ニップ下流側の領域R3における浮遊トナーを感光体ドラム1a〜1d側に飛翔させないことが重要となる。これらの現象を抑制するのにブランクパルスバイアスは有効であり、パルス部の現像性を促進させる設定にすることで、全てのトナーが往復運動する現像ニップ中央部R2の範囲が広がり、現像ニップ上流側の領域R1で発生するベタ画像のエッジ部のトナー密度上昇を小さくすることができる。また、休止部の現像性を抑制する設定にすることで、現像ニップ下流側の領域R3で現像ニップ間の浮遊トナーを現像ローラー23側に引き寄せることが可能となり、ベタ画像のエッジ部の現像量上昇を防ぐことができる。
次に、図6及び図7を用いて現像ゴーストが発生するメカニズムについて述べる。図6は、ベタ画像の一部が薄くなる現像ゴーストの発生過程を示す図であり、図6(a)に示すように、現像ニップ部では現像ローラー23上に形成されたトナー層Tの一部が現像トナーTgとして感光体ドラム1a〜1d側に移動する。その結果、トナー層Tに欠損部分が発生するが、ハーフトーン画像等を印字した場合、欠損部分にトナー層Tが僅かに残存している。
その後、現像ローラー23の回転により欠損部分は磁気ローラー22との対向部に移動し、図6(b)に示すように、磁気ローラー22上の磁気ブラシによって欠損部分に供給トナーTsが供給される。ここで、欠損部分に残存したトナー層T(図の破線領域)は他の部分に比べてチャージアップしているため、磁気ローラー22から供給される供給トナーTsは、現像に用いられた現像トナーTgよりも少なくなる。その結果、欠損部分と他の部分とでトナー層Tの層厚が変化する。
この状態でベタ画像を印字した場合、図6(c)に示すように、欠損部分(前回の印字領域)から移動する現像トナーTgの量が他の部分に比べて少なくなってしまい、前回の印字領域の画像濃度が薄くなる現像ゴーストが発生する。
図7は、ベタ画像の一部が濃くなる現像ゴーストの発生過程を示す図であり、図7(a)に示すように、現像ニップ部では現像ローラー23上に形成されたトナー層Tの一部が現像トナーTgとして感光体ドラム1a〜1d側に移動する。その結果、トナー層Tに欠損部分が発生する。
その後、現像ローラー23の回転により欠損部分は磁気ローラー22との対向部に移動し、図7(b)に示すように、磁気ローラー22上の磁気ブラシによって欠損部分に供給トナーTsが供給される。ここで、欠損部分の周囲に残存したトナー層Tでは、現像ローラー23に近接した部分(図の破線領域)が供給トナーTsに比べてチャージアップしている。
この状態でベタ画像を印字した場合、図7(c)に示すように、チャージアップしたトナーが感光体ドラム1a〜1d側へ移動しにくくなっているため、欠損部分(前回の印字領域)から移動する現像トナーTgの量が他の部分に比べて多くなってしまい、前回の印字領域の画像濃度が濃くなる現像ゴーストが発生する。
上述したように、前回の印字領域が薄くなる現像ゴースト、濃くなる現像ゴーストのいずれも、前回の印字で感光体ドラム1a〜1d上の静電潜像の現像に使用された領域と使用されなかった領域とで、現像ローラー23上のトナー層の状態が変化し、次回の現像時に均一な現像ができない現象である。つまり、現像ゴーストは、現像ローラー23と磁気ローラー22との間でのトナー層Tの形成時に、前回の現像ニップ部通過後にチャージアップした現像ローラー23上の残留トナーを磁気ローラー22によって十分に引き剥がしきれないために発生する。
次に、現像バイアスとしてブランクパルスバイアスを用いた場合のMS間のバイアス波形について説明する。図8は、現像ローラー23に現像バイアスとして印加されるブランクパルスバイアスの一例を示すグラフ、図9は、磁気ローラー22に供給バイアスとして印加されるパルスバイアスの一例を示すグラフ、図10は、図8及び図9に示すバイアスを印加したときのMS間の印加電圧差分(現像バイアスと供給バイアスの差分)のバイアス波形を示すグラフである。
図8に示すブランクパルスバイアスは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバル(継続時間)で重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、交流電圧をオフとし、100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
図9に示すパルスバイアスは、400Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1100V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−150Vとなっている。また、交流電圧Vacのパルス方向は図8に示したブランクパルスバイアスのパルス部と逆方向になっている。
そして、図10に示すMS間のバイアス波形では、ブランクパルスのパルス部に対応する部分には、直流電圧Vdcの差分100−400=−300V(図10の破線)に、ピークツーピーク値(Vpp)=1400−(−1100)=2500V、デューティ比0.5の交流電圧Vacが重畳して印加される結果となり、Vmax=800−(−150)=950V、Vmin=−600−(−950)=−1550Vとなっている。また、ブランクパルスの休止部に対応する部分には、直流電圧Vdcの差分−300Vに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacが重畳して印加される結果となり、Vmax=250V、Vmin=−850Vとなっている。
ベタ画像のエッジ部の吸い込みや、ベタ画像に隣接するハーフトーン画像のエッジ部における白抜けを抑制するために、現像ローラー23に印加する現像バイアスとして図8のようなブランクパルスバイアスを用い、磁気ローラー22に印加する供給バイアスとして図9のようなパルスバイアスを用いると、図10に示すように、MS間のバイアス波形においてブランクパルスバイアスの休止部に対応する部分のピークツーピーク値が小さくなり、現像ローラー23上のトナー層の入れ替えが抑制されることとなる。
図11は、現像ローラー23に現像バイアスとして印加されるブランクパルスバイアスの他の例を示すグラフである。図11に示すブランクパルスバイアスでは、パルス部は図8に示したブランクパルスと同一とし、休止部を図8のブランクパルスよりも低電圧側(−100V)にシフトしている。
図12は、図10に示した現像バイアス、及び図9に示した供給バイアスを印加したときのMS間のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。図12に示すMS間のバイアス波形では、ブランクパルスのパルス部に対応する部分には、直流電圧Vdcの差分−300V(図12の破線)に、ピークツーピーク値(Vpp)=1400−(−1100)=2400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacが重畳して印加される結果となり、Vmax=800−(−150)=950V、Vmin=−600−(−950)=−1550Vとなっている。また、ブランクパルスの休止部に対応する部分には、直流電圧Vdcの差分−500Vに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacが重畳して印加される結果となり、Vmax=50V、Vmin=−1050Vとなっている。
ベタ画像のエッジ部の現像量上昇による吸い込みをより効果的に抑制するために、図11のように、現像バイアスを、休止部においてトナーが現像ローラー23側に引き戻される方向に作用するブランクパルスに設定した場合、図12に示すように、MS間の印加電圧差分の直流成分(図12の破線)が休止部でマイナス方向にシフトし、現像ローラー23上のトナー層の入れ替えがさらに阻害されることとなる。
図2に示したような、磁気ローラー22上に磁性キャリアを残したまま現像ローラー23上にトナーのみを移動させてトナー薄層を形成する現像装置3a〜3dにおいて、現像バイアスとしてブランクパルスバイアスを用いる方法は、ベタ画像のエッジ部の吸い込みや、ベタ画像に隣接するハーフトーン画像のエッジ部における白抜けの抑制に対して有効である。その反面、上述したように、MS間における印加電圧の差分が現像ローラー23上のトナーの入れ替わりを阻害する方向に作用し、現像ゴースト等の画像品質の低下を招くこととなる。つまり、図2に示したような現像装置3a〜3dにおいて、現像バイアスとしてブランクパルスを採用するためには、現像ローラー23上のトナーの入れ替わりを改善し、現像ゴーストを防止することが大きな課題となる。
そこで、本発明のカラープリンター100では、ベタ画像のエッジ部における吸い込み、及びベタ画像に隣接するハーフトーン画像の端部における白抜けを抑制するために、現像ローラー23に印加する現像バイアスとしてパルス部と休止部とを有するブランクパルスバイアスを用いる。また、磁気ローラー22に印加する供給バイアスとして現像バイアスと同期したブランクパルスバイアスを用いる。そして、MS間でのトナーの入れ替わりを促進するように、現像ローラー23及び磁気ローラー22に印加されるブランクパルスバイアスの休止部及びパルス部の設定を調整する。
これにより、ベタ画像のエッジ部における吸い込み(後端溜まり)や、ベタ画像に隣接するハーフトーン画像端部の白抜けの防止対策として、現像ローラー23に印加するブランクパルスによる弊害を緩和し、現像ローラー23上のトナーの入れ替わりを向上させることが可能となる。即ち、ベタ画像のエッジ部における吸い込み、及びベタ画像に隣接するハーフトーン画像の端部における白抜けの抑制と、MS間における現像ローラー23上のトナーの引き剥がし性(トナーの入れ替わり)の向上とを両立させることができる。
図13及び図14は、それぞれ本発明の第1実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアス、磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図15は、図13に示した現像バイアス、及び図14に示した供給バイアスを印加したときのMS間の印加電圧差分のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。現像バイアス及び供給バイアスは、直流電圧に交流電圧を重畳して印加するパルス部と、交流電圧の印加を休止した休止部とを有するブランクパルスバイアスである。
図13に示す現像バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、パルス部のマイナス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
図14に示す供給バイアスでは、パルス部は、400Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1100V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−150Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、200Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
本実施形態では、現像ローラー23及び磁気ローラー22に印加されるブランクパルスの休止部同士、パルス部同士を同期させるとともに、パルス部のバイアスが互いに逆方向になるように設定されている。このように、現像ローラー23及び磁気ローラー22に印加されるブランクパルスの休止部同士、パルス部同士を同期させるとともに、パルス部のバイアスが互いに逆方向になるように設定することで、MS間におけるトナーの飛翔振動が大きくなり、現像ローラー23上のトナーの引き剥がし効果が向上する。
また、磁気ローラー22のブランクパルスの休止部の直流電圧Vdcは、供給バイアスにパルスバイアスを用いた場合のMS間の印加電圧差分(図12参照)における、休止部の直流電圧のシフト分(−200V)を相殺するように200Vに設定されている。これにより、図15に示す印加電圧差分のバイアス波形では、MS間の印加電圧差分の直流成分(図15の破線)が一定値(−300V)となっており、休止部においてマイナス方向(トナーが現像ローラー23側へ飛翔する方向)へシフトしない。従って、図12のように現像ローラー23からのトナーの引き剥がしを阻害する現象を抑制することができる。
なお、図16に示すように、磁気ローラー22に印加されるブランクパルスの1パルスの周期は図13に示した現像ローラー23に印加されるブランクパルスと同じであるが、繰り返し周期が異なる場合、或いは、図17に示すように、磁気ローラー22に印加されるブランクパルスの繰り返し周期は図13に示した現像ローラー23に印加されるブランクパルスと同じであるが、休止部のタイミングが異なる場合は、図18及び図19に示すMS間の印加電圧差分のバイアス波形は直流成分及びピークツーピーク値が不規則に変化する。そのため、MS間において現像ローラー23へトナー薄層を形成するために必要なバイアス、及び現像ローラー23からトナー薄層を引き剥がすために必要なバイアスが確保できない。
また、図20に示すように、磁気ローラー22に印加されるブランクパルスのパルス部が図13に示した現像ローラー23に印加されるブランクパルスと同方向になるように設定された場合、図21に示すMS間の印加電圧差分の直流成分は図15と同じになるが、交流成分は相殺されてしまいピークツーピーク値が確保できないことから、トナーの飛翔振動が小さくなり、現像ローラー23上のトナーの引き剥がし効果が低下する。
即ち、ブランクパルスは休止部とパルス部で機能を分離することが可能なバイアスであり、現像ローラー23と磁気ローラー22のそれぞれに印加されたブランクパルスの休止部とパルス部とを同期させ、パルス部のバイアスが互いに逆方向になるように設定することで、それぞれの機能をより効果的に引き出す設定が可能となる。
図22は、本発明の第2実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図23は、図13に示した現像バイアス、及び図22に示した供給バイアスを印加したときのMS間の印加電圧差分のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図22に示す供給バイアスでは、パルス部は、400Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1100V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−150Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、0Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
本実施形態では、磁気ローラー22に印加されるブランクパルスの休止部の直流電圧が第1実施形態よりも低電圧側(マイナス側)に設定されている。これにより、図23に示すように、MS間の印加電圧差分の直流成分(図23の破線)が休止部でプラス側にシフトするため、現像ローラー23上のトナーの引き剥がし効果が向上する。本実施形態は、ブランクパルスのパルス部で安定したトナー薄層の形成性を確保しつつ、MS間のリークがより発生しにくい休止部の設定とすることで、現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性の調整が可能である点において第1実施形態よりも有利である。
図24は、本発明の第3実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図25は、図13に示した現像バイアス、及び図24に示した供給バイアスを印加したときのMS間の印加電圧差分のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1及び第2実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図24に示す供給バイアスでは、パルス部は、400Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1100V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−150Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−150Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
本実施形態では、磁気ローラー22に印加されるブランクパルスにおいて、休止部の直流電圧Vdcを、パルス部のマイナス側のピーク値Vminに一致させている。これにより、図25に示すように、MS間の印加電圧差分の直流成分(図25の破線)が休止部でプラス側(トナーを現像ローラー23から磁気ローラー22側に引き戻す方向)に大きくシフトするため、ブランクパルスの休止部における現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性が最大となる。
第2、第3実施形態に示したように、磁気ローラー22に印加されるブランクパルスの休止部における直流電圧のシフト量を調整することにより、現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性を適宜調整可能となる。
図26及び図27は、それぞれ本発明の第4実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアス、磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図28は、図26に示した現像バイアス、及び図27に示した供給バイアスを印加したときのMS間のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1〜第3実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図26に示す現像バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
図27に示す供給バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1700V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−750Vとなっている。休止部は、パルス部のマイナス側波形の直後に交流電圧をオフとし、500Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形3パルス分の長さとなっている。
本実施形態では、図28に示すように、MS間の印加電圧差分の直流成分(図28の破線)を、パルス部で高電圧側(プラス側)、休止部で低電圧側(マイナス側)にシフトさせることにより、パルス部における磁気ローラー22側へのトナーの引き戻し効果を強くするように設定している。つまり、第3実施形態とは逆に、ブランクパルスのパルス部で現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性を確保し、休止部で現像ローラー23へのトナーの飛翔性を確保するように休止部とパルス部の機能を分離している。本実施形態によれば、ブランクパルスのパルス部の設定をリーク限界近くまで設定することにより、MS間のトナーの飛翔振動を強め、パルス部における現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性能を最大限にまで向上させた上で、休止部におけるトナー薄層の形成性を確保することができる。
なお、本実施形態では現像バイアス及び供給バイアスとして用いるブランクパルスの休止部のインターバルを交流波形1パルス分としたが、2パルス分以上のインターバルとしても良い。その場合、現像ローラー23へのトナーの飛翔性を確保する休止部の継続時間が長くなるため、トナー薄層の形成性がより向上する。即ち、休止部のインターバルを調整することにより、現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性と、現像ローラー23へのトナー薄層の形成性とのバランスを調整可能である。
図29及び図30は、それぞれ本発明の第5実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアス、磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図31は、図29に示した現像バイアス、及び図30に示した供給バイアスを印加したときのMS間のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1〜第4実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図29に示す現像バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを3パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、パルス部のマイナス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
図30に示す供給バイアスでは、パルス部は、400Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1100V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−150Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、200Vの直流電圧Vdcのみを交流波形2パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
本実施形態のバイアス設定は、第1実施形態のバイアス設定から休止部のインターバルを異ならせたものであり、現像ローラー23に印加するブランクパルスは、休止部の直流電圧Vdcがパルス部よりもマイナス側(トナーを感光体ドラム1a〜1dから現像ローラー23側に引き戻す方向)に設定されており、且つ、磁気ローラー22に印加するブランクパルスの休止部のインターバルが現像ローラー23に印加するブランクパルスの休止部のインターバルよりも長く設定されている。
これにより、図31に示すように、現像ローラー23に印加するブランクパルスのパルス部と磁気ローラー22に印加するブランクパルスの休止部が重なる領域(引き剥がし設定領域)で、MS間の印加電圧差分の直流成分(図31の破線)がプラス方向にシフトするとともに、交流成分も重畳して作用しているので、引き剥がし設定領域におけるMS間でのトナーの飛翔振動が促進され、現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性をより一層向上させることができる
図32及び図33は、それぞれ本発明の第6実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアス、磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図34は、図32に示した現像バイアス、及び図33に示した供給バイアスを印加したときのMS間のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1〜第5実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図32に示す現像バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、パルス部のマイナス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形2パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
図33に示す供給バイアスでは、パルス部は、400Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1100V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを3パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−150Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、200Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
本実施形態のバイアス設定も、第1実施形態のバイアス設定から休止部のインターバルを異ならせたものであり、第5実施形態とは逆に、現像ローラー23に印加するブランクパルスの休止部のインターバルが磁気ローラー22に印加するブランクパルスの休止部のインターバルよりも長く設定されている。
これにより、図34に示すように、現像ローラー23に印加するブランクパルスの休止部と磁気ローラー22に印加するブランクパルスのパルス部が重なる領域(トナー層形成促進設定領域)で、MS間の印加電圧差分の直流成分(図34の破線)がマイナス方向にシフトするとともに、交流成分も重畳して作用しているので、トナー層形成促進設定領域におけるMS間でのトナーの飛翔振動が活発化し、現像ローラー23へのトナー薄層の形成性をより一層向上させることができる。
第5及び第6実施形態のように、現像ローラー23と磁気ローラー22に印加するブランクパルスの繰返し周期を同じとし、休止部を同期させた上で、それぞれの休止部のインターバルを変えることで、MS間の印加電圧差分の休止部において直流成分に交流成分が重畳した領域が存在することとなり、引き剥がし設定領域、またはトナー層形成促進設定領域でのトナーの飛翔振動が活発化するため、短いインターバルであっても、現像ローラー23からのトナーの引き剥がし性、若しくは現像ローラー23へのトナー薄層の形成性を向上させることが可能となる。
図35及び図36は、それぞれ本発明の第7実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアス、磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図37は、図35に示した現像バイアス、及び図36に示した供給バイアスを印加したときのMS間のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1〜第6実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図35に示す現像バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを3パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
図36に示す供給バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1700V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−750Vとなっている。休止部は、パルス部のマイナス側波形の直後に交流電圧をオフとし、400Vの直流電圧Vdcのみを交流波形2パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
本実施形態のバイアス設定は、第4実施形態のバイアス設定から休止部のインターバルを異ならせたものであり、磁気ローラー22に印加するブランクパルスの休止部のインターバルが現像ローラー23に印加するブランクパルスの休止部のインターバルよりも長く設定されている。
これにより、図37に示すように、現像ローラー23に印加するブランクパルスのパルス部と、磁気ローラー22に印加するブランクパルスの休止部が重なる領域(トナー層形成促進設定領域)で、MS間の印加電圧差分の直流成分(図37の破線)がマイナス方向にシフトするとともに、交流成分も重畳して作用しているので、トナー層形成促進設定領域におけるMS間でのトナーの飛翔振動が活発化し、現像ローラー23へのトナー薄層の形成性をより一層向上させることができる。
図38及び図39は、それぞれ本発明の第8実施形態に係る現像装置3a〜3dにおいて現像ローラー23に印加される現像バイアス、磁気ローラー22に印加される供給バイアスの一例を示すグラフであり、図40は、図38に示した現像バイアス、及び図39に示した供給バイアスを印加したときのMS間のバイアス波形(現像バイアスと供給バイアスの差分)を示すグラフである。第1〜第7実施形態と同様に、現像バイアス及び供給バイアスはブランクパルスバイアスである。
図38に示す現像バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1400V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを3パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=800V、Vmin=−600Vとなっている。休止部は、パルス部のプラス側波形の直後に交流電圧をオフとし、−100Vの直流電圧Vdcのみを交流波形1パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
図39に示す供給バイアスでは、パルス部は、100Vの直流電圧Vdcに、ピークツーピーク値(Vpp)=1700V、デューティ比0.5の交流電圧Vacを2パルスのインターバルで重畳して印加しており、Vmax=950V、Vmin=−750Vとなっている。休止部は、パルス部のマイナス側波形の直後に交流電圧をオフとし、400Vの直流電圧Vdcのみを交流波形2パルス分のインターバルで印加している。パルス部と休止部を合わせたインターバルは交流波形4パルス分の長さとなっている。
本実施形態のバイアス設定も、第4実施形態のバイアス設定から休止部のインターバルを異ならせたものであり、第7実施形態とは逆に、現像ローラー23に印加するブランクパルスの休止部のインターバルが磁気ローラー22に印加するブランクパルスの休止部のインターバルよりも長く設定されている。
これにより、図40に示すように、現像ローラー23に印加するブランクパルスの休止部と、磁気ローラー22に印加するブランクパルスのパルス部が重なる領域(トナー層形成促進設定領域)で、MS間の印加電圧差分の直流成分(図40の破線)がマイナス方向にシフトするとともに、交流成分も重畳して作用しているので、トナー層形成促進設定領域におけるMS間でのトナーの飛翔振動が活発化し、現像ローラー23へのトナー薄層の形成性をより一層向上させることができる。
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記各実施形態においては、感光体ドラム1a〜1dとしてアモルファスシリコン(a−Si)感光体を用いているが、アモルファスシリコン(a−Si)感光体に代えて、有機(OPC)感光体、セレン砒素感光体にも適用することができる。但し、a−Si感光体は他の感光体に比べて誘電率が高いため、ベタ画像のエッジ部における電界が強まり易く、吸い込み(後端溜まり)が発生し易い。そのため、a−Si感光体を備えた画像形成装置に本発明を適用した場合により顕著な効果が得られる。
また、上記各実施形態では、磁気ローラー22に供給バイアスとして印加するブランクパルスの休止部の直流電圧を調整することで、現像ローラー23へのトナー供給性能と、現像ローラー23上のトナーの入れ替え性能とを両立させるバイアス設定に調整したが、ブランクパルスのパルス部の直流電圧を調整するようにしても良い。但し、パルス部の直流電圧を調整する場合はMS間のリークに対する注意が必要なことから、休止部の直流電圧の設定変更で対応することが望ましい。
また本発明は、図1に示したようなカラープリンター100に限らず、モノクロプリンターやモノクロ複写機、デジタル複合機、タンデム式或いはロータリー式のカラー複写機、或いはファクシミリ等、現像装置を備えた種々の画像形成装置に適用できるのはもちろんである。