以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載される画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転し、各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、中間転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。なお、感光体ドラム1a〜1dについては後述する。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト5上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
感光体ドラム1a〜1dには、α−Si感光体、OPCなどを用いることができる。感光体ドラム1a〜1dの感光材料としてα−Si感光体を用いた場合、その表面の露光後電位が20V以下の非常に低いという特徴を有しているが、その膜厚を薄くすると飽和帯電電位が低下し、絶縁破壊に至る耐電圧が低下する。一方、潜像形成した時における感光体ドラム1a〜1dの表面の電荷密度は向上し、現像性能は向上する傾向がある。
この特性は、誘電率が約10程度と高いα−Si感光体では、膜厚を25μm以下、さらに好ましくは20μm以下とした場合に特に顕著である。また、感光体ドラム1aとして正帯電のOPCを用いた場合、正帯電OPC(正OPC)は、オゾンなどの発生が少ないため、帯電が安定している。特に単層構造の正OPCは、長期にわたる使用によって膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適である。
そして、正OPCの寿命を長くするためには、残留電位を100V以下にする必要があるため、感光層の膜厚を25μm以上に設定し、電荷発生材料の添加量を増やすことが特に重要である。特に単層構造のOPCは、感光層の中に電荷発生材を添加することから感光層の膜減りによっても感度変化が少なく、有利である。
また、感光体ドラム1a〜1dの周速を180mm/sec以上にすると、感光体ドラム1a〜1dへの帯電、露光、現像及び除電等のプロセス時間が短くなり、画像形成装置の印刷を高速にすることができる。しかし、現像ニップ時間が短いため、より現像性を高める必要があり、現像ローラ22へのトナー26の付着力を低減させることが重要となる。
図2は、本発明に係る現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図2では、現像容器3aは左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第1攪拌スクリュー21aの上方には磁気ローラ23(トナー供給部材)が配置されている。
磁気ローラ23の左斜め上方には現像ローラ22(トナー担持体)が対向配置され、現像ローラ22は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向している。現像ローラ22及び磁気ローラ23は図中時計回りに回転する。なお、現像容器20には、第2攪拌スクリュー21bと対面してトナーセンサ(図示せず)が配置されており、トナーセンサで検知されるトナー濃度に応じてトナーコンテナからトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
図3は、本実施形態の現像装置における第1及び第2の電源の接続状態を示す模式図である。また、図4(a)は、本実施形態に用いられる現像ローラ及び磁気ローラに印加される第1及び第2の現像バイアスの波形であり、図4(b)は、これらの合成波形を示す摸式図である。図3、図4を用いて現像装置を以下に詳しく説明する。
トナー26は、選択現像性を回避するために粒度分布を規定することが重要である。一般的にトナー26の粒度分布の広がりは例えばマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)のような粒度分布測定器により、例えばアパチャー径100μm(測定範囲2.0〜60μm)で測定され、粒度分布の広がりは、その体積分布平均粒径と個数分布平均粒径の比でもって表現される。選択現像を防止するためにはその比率を小さくすることが重要である。分布が広いと、連続印刷時に現像ローラ22に比較的粒度の小さなトナー26が堆積し、現像性を低下させる。
また、高画質化においてトナー体積平均粒子径を小さくすることが一般的によく知られている一方、トナー体積平均粒子径を小さくするとファンデルワールス力の影響が強くなるため、トナー26をキャリア27から引き離す、或いは現像ローラ22表面から引き剥がすことが困難となることが知られている。そこで、トナー26の体積平均粒子径Dtを4.0μm≦Dt≦7.0μmの範囲に規定することが好ましい。
Dtが4.0μm未満では、付着力が強固過ぎるため、現像性及び現像ローラからのトナーの回収性が低下するおそれがある。逆に、この7μm超では、1ドットの再現性が困難となり、高画質を達成することが難しい。また、トナー26の個数粒度分布におけるCV値を25.0%以下とすることが好ましい。CV値が25.0%超では、粒子径の分布の広がりが大きく選択現像性が顕著になる。
キャリア27は、現像ローラ22上の現像残トナーの回収とその後のトナー供給の役割を有している。キャリア27としては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系、樹脂中に磁性体を分散した樹脂キャリアなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。
現像ローラ22と磁気ローラ23間で強固に静電的に付着したトナー26を磁気ブラシ28で引き剥がし、現像に必要なトナー26を供給するためには、体積固有抵抗率が106Ωcm〜1013Ωcmの範囲のキャリア27を用いることが好ましい。また、重量平均粒子径が50μm以下のキャリア27を用いることによって、キャリア27の表面積を大きくし、トナーとの接点を増やすことができる。
現像ローラ22は、磁気ブラシ28から供給されたトナー26によるトナー層29を担持して、トナー層29からトナー26を飛翔させて感光体ドラム1a上の静電潜像を現像する。現像ローラ22の表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成される。
現像ローラ22の表面に樹脂をコーティングすることにより、リークマージンを確保することができる。かかる樹脂として、トナー26の離形性が良いフッ素樹脂やウレタン系樹脂を塗布することにより、膜厚20μm以下の薄膜のα−Si感光体ドラム1aを用いた場合でも、リークを抑制することができ、感光体ドラム1aの黒点などの不具合を抑制することができる。
また、特にトナー26が正帯電性の場合は、同極性である、例えばシリコン変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂を用いることにより、トナー付着性を低減させることができるため、現像ローラ22からトナー26が飛翔しやすくなって現像性を向上させ、また、現像ローラ22から磁気ローラ23へのトナーの引き剥がし性(回収性)を向上させることができる。しかし、コーティング材料やコーティング条件は、トナーの特性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。
現像ローラ22に印加するバイアスを第1の現像バイアス、磁気ローラ23に印加するバイアスを第2の現像バイアスとする。現像ローラ22のシャフト部には、直流電源30aと交流電源30bとからなる第1の電源30が接続されており、これにより第1の現像バイアスが印加される。
磁気ローラ23は、非磁性金属材料で回転可能な円筒状に形成され、内部に複数の固定磁石が配設されて、その磁石によって現像剤に含まれるキャリア27による磁気ブラシ28を発生させ、磁気ブラシ28の層厚が穂切りブレード25により規制されている。そしてそのシャフト部には、第1の電源30に加えて、第1の電源30と共通のグランドに電気的接続され、直流電源31aと交流電源31bとからなる第2の電源31が接続されている。これにより、第1の現像バイアスにさらに重畳して、第2の現像バイアスが印加される。第1の現像バイアス及び第2の現像バイアスの詳細については後述する。
そして、現像容器20内の第1、第2攪拌スクリュー21a、21bによってトナーコンテナから供給される現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環し、トナーとキャリアとの摩擦によりトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ23に搬送される。
かかる現像剤により磁気ローラ23上に磁気ブラシ28が形成され、この磁気ブラシ28は穂切りブレード25によって層厚規制され、一定の層厚で現像ローラ22に接触又は近接し、第1及び第2の現像バイアスによって磁気ローラ23と現像ローラ22との間の電位差により形成される電界により現像ローラ22にトナー層(トナー薄層)が形成される。また、現像ローラ22と磁気ローラ23と間の電位差により形成される電界により、現像ローラ22上へのトナー層29の形成及び現像ローラ22上の未現像トナーの磁気ローラ23への回収が行われる。
現像ローラ22上のトナー層29の層厚は、トナーの抵抗や現像ローラ22と磁気ローラ23との回転速度差等によって変化するが、現像ローラ22と磁気ローラ23との電位差ΔVによって制御することも可能である。トナー層29は、ΔVを大きくすることによ
って厚くなり、ΔVを小さくすることによって薄くなる傾向にある。これらを考慮し、上記トナー層29の層厚を設定することができる。
現像ローラ22上のトナーは、第1の現像バイアスの印加により現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間の電位差により形成される電界により、感光体ドラム1aに飛翔し、ドラム表面に形成された静電潜像に担持され、トナー像が形成される。また、トナーの飛散を防ぐために、第1の交流電源30bからの交流電圧は、現像の直前に印加することが好ましい。
現像ローラ22上に残った現像残トナーは、掻き取りブレードなどの特別な装置を設けることなく、磁気ローラ23上の磁気ブラシ28が現像ローラ22上のトナー層29に接触し、磁気ローラ23と現像ローラ22との周速差で生じるブラシ効果によっても回収される。回収されたトナー26は攪拌スクリュー21a(図2参照)で撹拌されて、トナー26の入れ替えが促進される。
この時、磁気ブラシ28の幅が、現像ローラ22上のトナー26を回収する幅に相当するため、現像ローラ22の幅を磁気ブラシ28の幅より短くすることにより、確実にトナー26の未回収領域をなくすことができる。これにより、現像ローラ22のスリーブにおいて、磁気ブラシ28領域外に付着するトナー26がなくなり、現像ローラ22の両端部のトナー飛散をなくすことができる。
トナーの入れ替えを促進するための方法として、磁気ローラ23の回転速度を現像ローラ22の速度に対し、1.0〜2.0倍に設定することによって、現像ローラ22上のトナー26を回収すると共に適切な濃度に設定されたトナーを現像ローラ22に供給することができ、均一なトナー層29を形成することが可能になる。
また、均一な画像濃度を維持するためには、画像形成前後、次の画像形成までの間や装置の起動時等の非画像形成時において、現像ローラ22と磁気ローラ23間の電位差ΔV
をなくして等電位とすることにより、磁気ブラシ28のみによるトナーの回収が可能となり、トナーに負担をかけず現像ローラ22上のトナーを磁気ローラ23に回収することができる。
また、感光体ドラム1aの感光材料としてα−Siを用いる場合には、前述したα−Si感光体の特性により、感光体の膜厚を25μm以下、さらに好ましくは20μm以下とした場合には、リーク電圧が低下する傾向にあるため、かかるリーク電圧を考慮して第1の現像バイアスのVdc1及びVpp1を設定することができる。また、Vpp1の周波数を、例えば1〜5kHzに設定し、現像することができる。なお、Vdc1及びVpp1の詳細については後述する。
また、感光材料として、正OPCを用いた場合は、α−Si感光体よりもリーク電圧が大きく、Vdc1及びVpp1のピーク電圧値も大きく設定することができる。しかし、かかるVdc1及びVpp1のピーク電圧値は、トナーに強い電界をかけてトナーを消耗しない程度に設定することが好ましい。
図4(a)に示すように、第1の現像バイアスは、第1の直流電源30aの直流電圧Vdc1に、第1の交流電源30bのピーク間電圧(交流電圧)Vpp1、デューティ比Dslv及び周波数fからなる矩形波を重畳した合成波形Vslv(実線)を有する。また、第2の現像バイアスは、第2の直流電源31aの直流電圧Vdc2に、第2の交流電源31bのピーク間電圧(交流電圧)Vpp2、デューティ比Dmag及び周波数f2からなる矩形波を重畳した合成波形Vmag(破線)を有する。
なお、デューティ比Dslvは、現像ローラ22から感光体ドラム1aにトナー26を飛翔させる側(トナーと同極性側)のデューティ比を示し、デューティ比Dmagは、磁気ローラ23から現像ローラ22にトナー26を飛翔させる側(トナーと同極性側)のデューティ比を示す。次に、かかるデューティ比について説明する。
図5には、例えば、正帯電トナーを用い、図の上方向を正電位、下方向を負電位とする場合において、第1の現像バイアスが印加されたときの現像ローラ22又は第2の現像バイアスが印加されたときの磁気ローラ23の合成波形を示す。このとき、現像ローラ22又は磁気ローラ23からトナーが飛翔する電界が印加される時間をa、現像ローラ22又は磁気ローラ23へとトナーを引き戻す電界が印加される時間をbとすると、デューティ比Dpは、Dp={a/(a+b)}×100で表される。すなわち、全体の印加時間に対する正電位が印加されている時間の百分率で表される。なお、負帯電トナーを用いた場合には、デューティ比は、Dp={b/(a+b)}×100となる。
次に、第1及び第2の現像バイアスの調整方法について、図3及び図4を用いて説明する。上記の通り、第1の現像バイアスは、直流電圧がVdc1、交流電圧Vpp1、デューティ比がDslv、周波数fの合成波形Vslvである。また、第2の現像バイアスは、直流電圧がVdc2、交流電圧がVpp2、デューティ比がDmag、周波数fの合成波形Vmagである。また、第2の現像バイアスの交流成分は、第1の現像バイアスの交流成分と同周波数、逆位相であり、第1の現像バイアスよりデューティ比が大きくなるよう設定している。
また、第1の現像バイアスのVpp1の周波数fは、例えば1〜5kHzに設定することができ、例えば第2の現像バイアスVpp2の周波数と等しくすることができる。しかし、デューティ比や周波数は、特に限定されるものではなく、現像ローラ22へのトナー層29の形成状態や、感光体ドラム1a上の静電潜像への現像状態等により適宜設定すれば良い。
図3に示すように、現像ローラ22には、第1の現像バイアスが印加される。また、磁気ローラ23には、第1の現像バイアスに、第2の現像バイアスが重畳して印加されるため、磁気ローラ23に印加される合成波形Vmag−Vslvは、図4(b)に示すようなV(max)とV(min)を有する。しかし、現像ローラ22及び磁気ローラ23間の電界では第1の現像バイアスが相殺されるため、第2の現像バイアスのみが印加される状態となっている。このとき、現像ローラ22と感光体ドラム1a間には第1の現像バイアスのみが印加される状態となっている。
これにより、第1の電源30と第2の電源31とで、バイアスの周期やデューティ比を異なるものとしても、現像ローラ22と磁気ローラ23との間に形成されるバイアスの合成波形が第2の電源31の第2の現像バイアスによる影響を受けることがない。
一方、第2の電源31に対して、第1の電源30を重畳することも可能である。しかし、かかる構成では、現像ローラ22及び磁気ローラ23間の電界は第2の現像バイアスが相殺されて第1の現像バイアスのみが印加されている状態となるが、現像ローラ22及び感光体ドラム1a間には第1の現像バイアス及び第2の現像バイアスが印加されるため、第1及び第2の現像バイアスを独立して設定することが困難となり、現像性を均一にすることが困難となる。
よって、現像ローラ22の第1の電源30と、磁気ローラ23の第2の電源31とを共通のグランドに電気的に接続し、磁気ローラ23に第1の電源30と第2の電源31とを重畳させる接続構成にすることが好ましい。
また、図6に示すように、現像ローラ22及び磁気ローラ23に印加する第1及び第2の現像バイアスを、別個のグランドに電気的に接続することも可能である。図6は、現像ローラ及び磁気ローラを別個のグランドに電気的に接続した状態を示す模式図である。また、図7(a)は、別個のグランドに電気的接続したときの現像ローラ及び磁気ローラに印加される第1及び第2の現像バイアスの波形であり、図7(b)は、これらの合成波形を示す摸式図である。図7(a)では、第1の電源30のVslv(実線)と第2の電源31のVmag(破線)とでデューティ比を異なるものとし、Vslvと同周期、同周波数で逆位相の交流バイアスを印加する。
しかし、かかる構成でDmagとDslvを異なるものとすると、現像ローラ22及び磁気ローラ23間の合成波形が図7(b)のようになり、VmaxとVminの間に電圧Viが現れる。このため、Viの印加時間の分だけVmaxとVminの印加時間が短くなり、現像ローラへのトナー薄層形成時間が短くなると共に、現像ローラからの未現像トナーの回収時間も短くなる為、効率が悪くなる。
また、第1の現像バイアスのVpp1若しくは第2の現像バイアスのVpp2の設定を変化させた場合、現像ローラ22にはVpp2が、磁気ローラ23にはVpp2が、それぞれ不可避的に印加されるため、Vpp1とVpp2とを独立して変化させた場合、互いに影響を及ぼすためバイアス設定が困難となる。
本実施形態では、現像ローラ22には第1の電源30のバイアスを印加して、磁気ローラ23には第1の電源30のバイアスに第2の電源31のバイアスを重畳して印加することにより、現像ローラ22と磁気ローラ23間に形成されるバイアスの合成波形が第2の電源31のバイアスに等しくなり、現像ローラ22に印加する第1の電源31のバイアスによる影響を受けることがない。
また現像ローラ22と感光体ドラム1a間に形成される第1の現像バイアスも第2の電源31のバイアスによる影響を受けることなく、第1の電源30のバイアスのみで制御することになり、第1及び第2の現像バイアスは、互いに独立させて各バイアスの電圧とデューティ比等を設定することができる。このとき、現像ローラ22から磁気ローラ23への未現像トナーの回収は、第2の現像バイアスのみに依存している。
このように、第1の電源30に第2の電源31を重畳させることにより、第1の現像バイアスと第2の現像バイアスとを、独立して設定できるため、トナー層29の形成状態に応じてより詳細な設定が可能となる。
従って、第1の現像バイアスの電圧とデューティ比を大きく設定して現像性を向上させ、また現像ローラ22へのトナー層29の形成及び現像ローラ22からのトナー回収を良好に維持するように、第2の現像バイアスの電圧及びデューティ比を設定することができ、現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間、及び、現像ローラ22と磁気ローラ23との間のバイアスのバランスを容易に取ることができる。
また、第1の電源30と第2の電源31とを共通のグランドに電気的に接続した場合には、上記図7(b)に示すように別個のグランドに電気的に接続した場合と異なり、第1の現像バイアスにはVpp2が印加されない。このため、図7(b)の場合よりも、VmaxとVminの絶対値が小さく、トナーを移動させる電界が弱くなる。従って、共通のグランドに電気的接続する場合には、別個のグランドに電気的接続した場合よりも第1の現像バイアスのVpp1を大きくすることが好ましい。
一方、単位時間当たりの現像ローラ22へ印加している時間を長くすると、磁気ローラ23によるトナーの回収が困難になる場合がある。そこで、前述のように、現像ローラ22表面に、例えばシリコン変性ウレタン樹脂をコーティングすることが好ましい。
そして、現像ローラ22に印加される第1の現像バイアスの交流成分により感光体ドラム1aと現像ローラ22との間に形成される交流電界うち、トナーと逆極性側のピーク電界の絶対値を3×106V/m以上且つリーク電界以下とすることとした。
上記のように第1の現像バイアスVslvの印加により現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間に電位差が生じると、これらの間に電界Eが形成される。電界とは、1クーロン(C)の電荷に働く力の強さであり、[感光体ドラム1aに対する現像ローラ22の電位差(V)]/[現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間のギャップ(m)]で表される。また、Vslvの交流成分Vpp1の印加によって感光体ドラム1aと現像ローラ22との間に形成される交流電界Eppにより、トナーは現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間を飛翔する。
また、交流電界Eppのうち、トナーと同極性側のピーク電圧値Vpp1(max)によって形成されるピーク電界(トナーと同極性側のピーク電界)値Epp(max)により、トナーに現像ローラ22から感光体ドラム1aへ飛翔する力が付与され、トナーと逆極性側のピーク電圧値Vpp1(min)によって形成されるピーク電界(トナーと逆極性側のピーク電界)値Epp(min)により、トナーに感光体ドラム1aから現像ローラ22へと飛翔する(戻る)力が付与される。
トナーを感光体ドラム1aから引き剥がす力は、静電潜像表面に担持されたトナーがEpp(min)から受ける現像ローラ22へと戻る力と、静電潜像のトナー保持力との差によって得られる。また、トナー保持力はトナーの鏡像力の影響を受け、かかるトナーの鏡像力はトナーの帯電量の2乗に比例する。また、上記戻る力もトナー帯電量に比例する。これらを考慮すると、トナーの帯電量によって、トナーを静電潜像から剥がし難くなる場合がある。
一方、トナーの帯電量は、例えばトナーの材質や現像装置3a内での摩擦による帯電能力に依存する。また、トナーの帯電量が大きくなると現像ローラ22上のトナー薄層が薄くなり、現像性が低下する傾向にあり、一方、かかる帯電量が小さくなると、トナー薄層が厚くなり、トナーの飛散が大きくなる傾向にあり、現像性に影響を及ぼすおそれがある。これらを考慮すると、トナーの帯電量は例えば5C/g以上20C/g以下とすることができ、10C/g以上20C/g以下とすることがより好ましい。
そして、Vpp1(max)を大きくすると、Epp(max)は大きく、すなわちEpp(max)の絶対値|Epp(max)|は大きくなり、トナーは感光体ドラム1aへと飛翔し易くなる。一方、Vpp1(min)を小さくすると、Epp(min)が小さく、すなわちEpp(min)の絶対値|Epp(min)|は大きくなり、トナーは現像ローラ22へと戻り易くなる。
このように、Vpp1の印加により、Vpp1(max)によって形成されたEpp(max)によりトナーが現像ローラ22から感光体ドラム1aに飛翔し、静電潜像に一旦担持される。担持されたトナーは、Vpp1(min)によって形成されたEpp(min)により感光体ドラム1aから現像ローラ22へと戻ろうとする。
ここで、感光体ドラム1a上の静電潜像を現像する際、感光体ドラム1aから現像ローラ22へと戻る側の電界Epp(min)が弱い場合には、感光体ドラム1a上で一旦静電潜像に担持されたトナーが該潜像から引き剥がされ難くなり、不均一に担持されたトナーはそのまま担持され、現像性の均一性に影響を及ぼすおそれがある。
そこで、Epp(min)の絶対値|Epp(min)|を3×106V/m以上とすることにより、感光体ドラム1aに形成された静電潜像に担持されたトナーに、静電現像のトナー保持力に抗して飛翔するのに十分な力を作用させることとした。このように、トナーを静電潜像から引き剥がすのに十分な電界を形成することにより、トナーの再編成を促進することができる。また、ギャップに拘らず、静電潜像上に担持されたトナーに、トナーを引き剥がすのに十分な力を作用させることができる。
そして、感光体ドラム1aから引き剥がされたトナーは、再度Epp(max)により感光体ドラム1aへと飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像に担持される。これが所定時間の間に繰り返されることにより、感光体ドラム1aに一旦担持されたトナーの再編成が起こり、トナーは静電潜像上の適切な位置に担持される。
このように、トナーが静電潜像上の適切でない場所に一旦担持されても、再度適切な位置に担持させることができるため、静電潜像上におけるトナーの再編成が可能となり、現像性を均一にすることができる。特に、α−Siの場合には、前述したエッジ効果による低諧調ドットの現像性が不均一になり易いが、かかるトナーの再編成を行うことにより、現像性を均一にすることができ、効果的である。
また、正帯電トナーを用い、感光体ドラム1aと現像ローラ22との間のギャップを例えば200μmとする場合、感光体ドラム1aに対するVpp1(min)を−600V以下に設定することにより、|Epp(min)|が3×106V/m以上となるよう適宜設定することができる。また、Eppのうちトナーと同極性側のピーク電界Epp(max)に大きく影響されることなくトナーの再編成を促進することができるため、Epp(max)の取り得る値の範囲を大きくすることができる。
これにより、例えば、画像濃度等の変動に応じて、Epp(min)を上記範囲内で一定としつつEpp(max)を適宜可変するようVpp1(min)、Vpp1(max)を調整することにより、種々の画像濃度に対応することも可能となる。このように、第1の現像バイアスVslvの設定の自由度が大きくなり、バイアス調整が容易になる。
かかる観点、及び、静電潜像からより十分にトナーを剥ぎ取るという観点からは、|Epp(min)|を大きくすることが好ましく、例えば3.15×106V/m以上とすることが好ましく、3.3×106V/m以上がより好ましい。|Epp(min)|を3.15×106V/m以上とすることにより、Epp1(max)及びVpp1(max)に拘らずトナーの再編成をより促進することができ、より容易に現像性を均一にすることができる。なお、上記ギャップは、特に限定されるものではなく、現像ローラ22及び感光体ドラム1aの材質や現像性等に応じて適宜設定することができる。
一方、|Epp(min)|が大きくなると、現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間のリーク電界Erを超え、リークが発生するおそれがある。従って、|Epp(min)|は、リーク電界Er以下とする。リーク電界Erは、現像ローラ22及び感光体ドラム1aの表面特性、現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間のギャップ等により変化するため、例えばこれらを考慮して設定することができる。リーク発生のおそれをより回避するという観点から、例えば|Epp(max)|を4.5×106V/m以下とすることができる。
ここでは、磁気ローラ23に印加する第2の現像バイアスを現像ローラ22に印加する第1の現像バイアスに重畳したため、前述のように第1の現像バイアスと第2の現像バイアスとを独立して設定することができ、第2の現像バイアスへの影響を考慮することなく第1の現像バイアスを上記の通り設定することができる。これにより、Vpp1(min)の設定が容易となり、Epp(min)を上記範囲に調整し易くなる。なお、Vdc1は、Vdc1とVpp1(min)、及びVdc1とVpp1(max)とでそれぞれ囲まれた面積が等しくなるように印加することができる。
次に、本発明の現像装置の動作について図3及び図4を用いて説明する。図3に示した帯電されたトナー26とキャリア27からなる現像剤によって磁気ローラ23上に磁気ブラシ28を形成し、磁気ブラシ28は穂切りブレード25によって層規制され、図4(a)に示す第2の現像バイアスの合成波形Vmagが印加され、磁気ローラ23と現像ローラ22との間の電界Epp(max)によって現像ローラ22にトナー26のみのトナー層29を形成する。
次に、露光されて感光体ドラム1a上に形成された潜像は、|Epp(min)|が上記範囲となるようVpp1(min)が調整された、図4(a)に示す第1の現像バイアスの合成波形Vslvが印加されて、感光体ドラム1aへトナー26が飛翔して現像され、トナー像が感光体ドラム1a上に形成される。
そして、感光体ドラム1a上のトナー像が中間転写ベルト8に1次転写され、中間転写ベルト8に搬送された用紙にトナー像が2次転写されて、定着部7で定着されて排紙される。その後、図4(b)に示す第2の現像バイアスの合成波形Vmagにより、現像ローラ22上の現像残トナーを剥ぎ取って磁気ローラ23に回収する。
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用いる現像装置を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置にも全く同様に適用可能である。その場合、コーティング材料として、負帯電性樹脂を用いれば良い。
なお、負帯電トナーを用いた場合には、上記実施形態においてVpp1(max)及びVpp1(min)の正負が逆転するため、Vpp1(max)を小さくすると|Epp(max)|は大きくなり、Vpp1(min)を大きくすると、|Epp(min)|が大きくなる。よって、|Epp(min)|が3×106V/m以上となるようにVpp1(max)を設定するためには、例えば上記のようにギャップを200μmとした場合、Vpp1(max)を600V以上に設定すればよい。
また、現像したトナー像や記録媒体に転写された画像の反射濃度を検知する反射濃度センサ等の検知手段を設け、該検知手段の検知結果に基づき、上記のように、Epp(min)を上記範囲内で一定としつつEpp(max)を可変することもできる。これにより、画像濃度に応じて適切な現像を行うことができ、現像性を均一としつつ画像濃度不良を防止することができる。
また、トナーの帯電量の変動によって現像性等に影響を及ぼすおそれがあるため、例えば、トナーの帯電量を検知する帯電量検知センサ等の検知手段を設け、該検知結果に基づき、Epp(min)を上記範囲内で可変することもできる。これにより、現像性を均一としつつ画像濃度不良等の現像性不良を防止することができる。
また、トナーの帯電量は、装置の環境条件によっても影響されるため、現像装置3a内に環境温度や環境湿度等を検知する温度検知センサや湿度検知センサ等の検知手段を設け、該検知結果に基づきEpp(min)を上記範囲内で可変することもできる。これにより、現像性を均一としつつ上記現像性不良を防止することができる。
また、ここでは中間転写ベルトを用いたタンデム式のカラー画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明は、トナーを飛翔させて現像可能な現像ユニットを備えた画像形成装置であれば、搬送ベルト上の記録媒体に直接転写するタンデム式のカラー画像形成装置や、デジタル複合機、アナログ方式のモノクロ画像形成装置、或いはファクシミリやプリンタ等の他の画像形成装置にも全く同様に適用することができる。
以下、本発明について実施例により更に具体的に説明する。