以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載される画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラー画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転し、各画像形成部に隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写された後、二次転写ローラ9において転写紙P上に一度に転写され、さらに、定着部7において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング部5a、5b、5c及び5dが設けられている。
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、中間転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のシアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング部5a〜5dにより除去される。なお、感光体ドラム1a〜1dについては後述する。
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、フルカラー画像が転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部7へと搬送される。
定着部7に搬送された転写紙Pは、定着ローラ対13により加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した転写紙Pは分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト5上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
感光体ドラム1a〜1dには、α−Si感光体、OPCなどを用いることができる。感光体ドラム1a〜1dの感光材料としてα−Si感光体を用いた場合、その表面の露光後電位が20V以下の非常に低いという特徴を有しているが、その膜厚を薄くすると飽和帯電電位が低下し、絶縁破壊に至る耐電圧が低下する。一方、潜像形成した時における感光体ドラム1a〜1dの表面の電荷密度は向上し、現像性能は向上する傾向がある。
この特性は、誘電率が約10程度と高いα−Si感光体では、膜厚を25μm以下、さらに好ましくは20μm以下とした場合に特に顕著である。また、感光体ドラム1aとして正帯電のOPCを用いた場合、正帯電OPC(正OPC)は、オゾンなどの発生が少ないため、帯電が安定している。特に単層構造の正OPCは、長期にわたる使用によって膜厚が変化した場合においても感光特性に変化が少なく、画質も安定するため長寿命のシステムには好適である。
そして、正OPCの寿命を長くするためには、残留電位を100V以下にする必要があるため、感光層の膜厚を25μm以上に設定し、電荷発生材料の添加量を増やすことが特に重要である。特に単層構造のOPCは、感光層の中に電荷発生材を添加することから感光層の膜減りによっても感度変化が少なく、有利である。
また、感光体ドラム1a〜1dの周速を180mm/sec以上にすると、感光体ドラム1a〜1dへの帯電、露光、現像及び除電等のプロセス時間が短くなり、画像形成装置の印刷を高速にすることができる。しかし、現像ニップ時間が短いため、より現像性を高める必要があり、現像ローラ22へのトナー26の付着力を低減させることが重要となる。
図2は、本発明に係る現像装置の構成を示す側面断面図である。なお、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
図2に示すように、現像装置3aは、二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって第1及び第2攪拌室20b、20cに区画され、第1及び第2攪拌室20b、20cには図示しないトナーコンテナから供給されるトナー(正帯電トナー)をキャリアと混合して撹拌し、帯電させるための第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bが回転可能に配設されている。
第1攪拌スクリュー21a及び第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向に搬送され、仕切壁20aに形成された現像剤通過路(図示せず)を介して第1及び第2攪拌室20b、20c間を循環する。図2では、現像容器3aは左斜め上方に延在しており、現像容器20内において第1攪拌スクリュー21aの上方には磁気ローラ23(トナー供給部材)が配置されている。
磁気ローラ23の左斜め上方には現像ローラ22(トナー担持体)が対向配置され、現像ローラ22は現像容器20の開口側(図2の左側)において感光体ドラム1aに対向している。現像ローラ22及び磁気ローラ23は図中時計回りに回転する。なお、現像容器20には、第2攪拌スクリュー21bと対面してトナーセンサ(図示せず)が配置されており、トナーセンサで検知されるトナー濃度に応じてトナーコンテナからトナー補給口20dを介して現像容器20内にトナーが補給される。
図3は、本実施形態の現像装置における第1及び第2の電源の接続状態を示す模式図である。また、図4(a)は、本実施形態に用いられる現像ローラ及び磁気ローラに印加される第1及び第2のバイアスの波形であり、図4(b)は、これらの合成波形を示す摸式図である。図3、図4を用いて現像装置を以下に詳しく説明する。
トナー26は、選択現像性を回避するために粒度分布を規定することが重要である。一般的にトナー26の粒度分布の広がりは例えばマルチサイザーIII(ベックマン・コールター社製)のような粒度分布測定器により、例えばアパチャー径100μm(測定範囲2.0〜60μm)で測定され、粒度分布の広がりは、その体積分布平均粒径と個数分布平均粒径の比でもって表現される。選択現像を防止するためにはその比率を小さくすることが重要である。分布が広いと、連続印刷時に現像ローラ22に比較的粒度の小さなトナー26が堆積し、現像性を低下させる。
また、高画質化においてトナー体積平均粒子径を小さくすることが一般的によく知られている一方、トナー体積平均粒子径を小さくするとファンデルワールス力の影響が強くなるため、トナー26をキャリア27から引き離す、或いは現像ローラ22表面から引き剥がすことが困難となることが知られている。そこで、トナー26の体積平均粒子径Dtを4.0μm≦Dt≦7.0μmの範囲に規定することが好ましい。
Dtが4.0μm未満では、付着力が強固過ぎるため、現像性及び現像ローラからのトナーの回収性が低下するおそれがある。逆に、この7μm超では、1ドットの再現性が困難となり、高画質を達成することが難しい。また、トナー26の個数粒度分布におけるCV値を25.0%以下とすることが好ましい。CV値が25.0%超では、粒子径の分布の広がりが大きく選択現像性が顕著になる。
キャリア27は、現像ローラ22上の現像残トナーの回収とその後のトナー供給の役割を有している。キャリア27としては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系、樹脂中に磁性体を分散した樹脂キャリアなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。
現像ローラ22と磁気ローラ23間で強固に静電的に付着したトナー26を磁気ブラシ28で引き剥がし、現像に必要なトナー26を供給するためには、体積固有抵抗率が106Ωcm〜1013Ωcmの範囲のキャリア27を用いることが好ましい。また、重量平均粒子径が50μm以下のキャリア27を用いることによって、キャリア27の表面積を大きくし、トナーとの接点を増やすことができる。
現像ローラ22は、磁気ブラシ28から供給されたトナー26によるトナー層29を担持して、トナー層29からトナー26を飛翔させて感光体ドラム1a上の静電潜像を現像する。現像ローラ22の表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成される。
現像ローラ22の表面に樹脂をコーティングすることにより、リークマージンを確保することができる。かかる樹脂として、トナー26の離形性が良いフッ素樹脂やウレタン系樹脂を塗布することにより、膜厚20μm以下の薄膜のα−Si感光体ドラム1aを用いた場合でも、リークを抑制することができ、感光体ドラム1aの黒点などの不具合を抑制することができる。
また、特にトナー26が正帯電性の場合は、同極性である、例えばシリコン変性ウレタン樹脂等のウレタン系樹脂を用いることにより、トナー付着性を低減させることができるため、現像ローラ22からトナー26が飛翔しやすくなって現像性を向上させ、また、現像ローラ22から磁気ローラ23へのトナーの引き剥がし性(回収性)を向上させることができる。しかし、コーティング材料やコーティング条件は、トナーの特性等に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。
現像ローラ22に印加するバイアスを第1のバイアス、磁気ローラ23に印加するバイアスを第2のバイアスとする。現像ローラ22のシャフト部には、直流電源30aと交流電源30bとからなる第1の電源30が接続されており、これにより第1のバイアスが印加される。
磁気ローラ23は、非磁性金属材料で回転可能な円筒状に形成され、内部に複数の固定磁石が配設されて、その磁石によって現像剤に含まれるキャリア27による磁気ブラシ28を発生させ、磁気ブラシ28の層厚が穂切りブレード25により規制されている。そしてそのシャフト部には、第1の電源30に加えて、第1の電源30と共通のグランドに電気的接続され、直流電源31aと交流電源31bとからなる第2の電源31が接続されている。これにより、第1のバイアスにさらに重畳して、第2のバイアスが印加される。第1のバイアス及び第2のバイアスの詳細については後述する。
そして、現像容器20内の第1、第2攪拌スクリュー21a、21bによってトナーコンテナから供給される現像剤が攪拌されつつ現像容器20内を循環し、トナーとキャリアとの摩擦によりトナーを帯電させ、第2攪拌スクリュー21bによって現像剤が磁気ローラ23に搬送される。
かかる現像剤により磁気ローラ23上に磁気ブラシ28が形成され、この磁気ブラシ28は穂切りブレード25によって層厚規制され、一定の層厚で現像ローラ22に接触又は近接し、第1及び第2のバイアスによって磁気ローラ23と現像ローラ22との間に形成される電位差により現像ローラ22にトナー層(トナー薄層)が形成される。また、現像ローラ22と磁気ローラ23との電位差により、現像ローラ22上へのトナー層29の形成及び現像ローラ22上の未現像トナーの磁気ローラ23への回収が行われる。
現像ローラ22上のトナー層29の層厚は、トナーの抵抗や現像ローラ22と磁気ローラ23との回転速度差等によって変化するが、現像ローラ22と磁気ローラ23との電位差ΔVによって制御することが可能である。トナー層29は、ΔVを大きくすることによ
って厚くなり、ΔVを小さくすることによって薄くなる傾向にある。これらを考慮し、上
記トナー層29の層厚を得るためには、ΔVの範囲を100V〜350Vとすることが好
ましい。
現像ローラ22上のトナーは、第1のバイアスによって現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間に形成される電位差により、感光体ドラム1aに飛翔し、ドラム表面に形成された静電潜像に担持され、トナー像が形成される。トナーの飛散を防ぐために、第1及び第2の交流電源30b及び31bからの交流電圧は、現像の直前に印加することが好ましい。
現像ローラ22上に残った現像残トナーは、掻き取りブレードなどの特別な装置を設けることなく、磁気ローラ23上の磁気ブラシ28が現像ローラ22上のトナー層29に接触し、磁気ローラ23と現像ローラ22との周速差で生じるブラシ効果によっても回収される。回収されたトナー26は攪拌スクリュー21a(図2参照)で撹拌されて、トナー26の入れ替えが促進される。
この時、磁気ブラシ28の幅が、現像ローラ22上のトナー26を回収する幅に相当するため、現像ローラ22の幅を磁気ブラシ28の幅より短くすることにより、確実にトナー26の未回収領域をなくすことができる。これにより、現像ローラ22のスリーブにおいて、磁気ブラシ29領域外に付着するトナー26がなくなり、現像ローラ22の両端部のトナー飛散をなくすことができる。
トナーの入れ替えを促進するための方法として、磁気ローラ23の回転速度を現像ローラ22の速度に対し、1.0〜2.0倍に設定することによって、現像ローラ22上のトナー26を回収すると共に適切な濃度に設定されたトナーを現像ローラ22に供給することができ、均一なトナー層29を形成することが可能になる。
また、均一な画像濃度を維持するためには、画像形成前後、次の画像形成までの間や装置の起動時等の非画像形成時において、現像ローラ22と磁気ローラ23間の電位差ΔV
をなくして等電位とすることにより、磁気ブラシ28のみによる回収が可能となり、トナーに負担をかけず現像ローラ22上のトナーを磁気ローラ23に回収することもできる。
また、感光体ドラム1aの感光材料としてα−Siを用いる場合には、前述したα−Si感光体の特性により、感光体の膜厚を25μm以下、さらに好ましくは20μm以下とした場合には、例えば、第1のバイアスのVdc1を150V以下、Vpp1を200〜2000V、周波数を1〜5kHzに設定し、現像することができる。また、感光材料として、正OPCを用いた場合は、トナーに強い電界をかけることを防止するため、第1のバイアスのVdc1を400V以下、さらに好ましくは300V以下に設定することができる。また、リークを防止するためには、感光体ドラム1aとの電位差が1500Vを超えない程度にVdc1、Vpp1を設定することが好ましい。
図4(a)に示すように、第1のバイアスは、第1の直流電源30aの直流電圧Vdc1に、第1の交流電源30bのピーク間電圧(交流電圧)Vpp1、デューティ比Dslv及び周波数fからなる矩形波を重畳した合成波形Vslv(実線)を有する。また、第2のバイアスは、第2の直流電源31aの直流電圧Vdc2に、第2の交流電源31bのピーク間電圧(交流電圧)Vpp2、デューティ比Dmag及び周波数f2からなる矩形波を重畳した合成波形Vmag(破線)を有する。
なお、デューティ比Dslvは、現像ローラ22から感光体ドラム1aにトナー26を飛翔させる側(トナーと同極性側)のデューティ比を示し、デューティ比Dmagは、磁気ローラ23から現像ローラ22にトナー26を飛翔させる側(トナーと同極性側)のデューティ比を示す。次に、かかるデューティ比について説明する。
図5には、例えば、正帯電トナーを用い、図の上方向を正電位、下方向を負電位とする場合において、第1のバイアスが印加されたときの現像ローラ22又は第2のバイアスが印加されたときの磁気ローラ23の合成波形を示す。このとき、現像ローラ22又は磁気ローラ23からトナーが飛翔する電界が印加される時間をa、現像ローラ22又は磁気ローラ23へとトナーを引き戻す電界が印加される時間をbとすると、デューティ比Dpは、Dp={a/(a+b)}×100で表される。すなわち、全体の印加時間に対する正電位が印加されている時間の百分率で表される。なお、負帯電トナーを用いた場合には、デューティ比は、Dp={b/(a+b)}×100となる。
次に、第1及び第2のバイアスの調整方法について、図3及び図4を用いて説明する。上記の通り、第1のバイアスは、直流電圧がVdc1、交流電圧Vpp1、デューティ比がDslv、周波数fの合成波形Vslvである。また、第2のバイアスは、直流電圧がVdc2、交流電圧がVpp2、デューティ比がDmag、周波数fの合成波形Vmagである。また、第2のバイアスの交流成分は、第1のバイアスの交流成分と同周波数、逆位相であり、第1のバイアスよりデューティ比が大きくなるよう設定している。
また、第1のバイアスの周波数fは、例えば1〜5kHzに設定することができ、例えば第2の交流バイアスの周波数と等しくすることができる。しかし、デューティ比や周波数は、特に限定されるものではなく、現像ローラ22へのトナー層29の形成状態や、感光体ドラム1a上の静電潜像への現像状態等により適宜設定すれば良い。
図3に示すように、現像ローラ22には、第1のバイアスが印加される。また、磁気ローラ23には、第1のバイアスに、第2のバイアスが重畳して印加されるため、磁気ローラ23に印加される合成波形Vmag−Vslvは、図4(b)に示すようなV(max)とV(min)を有する。しかし、現像ローラ22及び磁気ローラ23間の電界では第1のバイアスが相殺されるため、磁気ローラ23と現像ローラ22との間には第2のバイアスのみが印加される状態となっている。このとき、現像ローラ22と感光体ドラム1a間には第1のバイアスのみが印加される状態となっている。
これにより、第1の電源30と第2の電源31とで、バイアスの周期やデューティ比を異なるものとしても、現像ローラ22と磁気ローラ23との間に形成されるバイアスの合成波形が第2の電源31の第2のバイアスによる影響を受けることがない。
一方、第2の電源31に対して、第1の電源30を重畳することも可能である。しかし、かかる構成では、現像ローラ22及び磁気ローラ23間の電界は第2のバイアスが相殺されて第1のバイアスのみが印加されている状態となるが、現像ローラ22及び感光体ドラム1a間には第1のバイアス及び第2のバイアスが印加されるため、第1及び第2のバイアスを独自に変化させることが困難となり、現像性を均一にすることが困難となる。
よって、現像ローラ22の第1の電源30と、磁気ローラ23の第2の電源31とを共通のグランドに電気的に接続し、磁気ローラ23に第1の電源30と第2の電源31とを重畳させる接続構成にすることが好ましい。
また、図6に示すように、現像ローラ22及び磁気ローラ23に印加する第1及び第2のバイアスを、別個のグランドに電気的に接続することも可能である。図6は、現像ローラ及び磁気ローラを別個のグランドに電気的に接続した状態を示す模式図である。また、図7(a)は、別個のグランドに電気的接続したときの現像ローラ及び磁気ローラに印加される第1及び第2のバイアスの波形であり、図7(b)は、これらの合成波形を示す摸式図である。図7(a)では、第1の電源30のVslv(実線)と第2の電源31のVmag(破線)とでデューティ比を異なるものとし、Vslvと同周期、同周波数で逆位相の交流バイアスを印加する。
しかし、かかる構成でDmagとDslvを異なるものとすると、現像ローラ22及び磁気ローラ23間の合成波形が図7(b)のようになり、VmaxとVminの間に電圧Viが現れる。このため、Viの印加時間の分だけVmaxとVminの印加時間が短くなり、現像ローラへのトナー薄層形成時間が短くなると共に、現像ローラからの未現像トナーの回収時間も短くなる為、効率が悪くなる。
また、第1のバイアスのVpp1若しくは第2のバイアスのVpp2の設定を変化させた場合、現像ローラ22にはVpp2が、磁気ローラ23にはVpp2が、それぞれ不可避的に印加されるため、Vpp1とVpp2とを独立して変化させた場合、互いに影響を及ぼすためバイアス設定が困難となる。
本実施形態では、現像ローラ22には第1の電源30のバイアスを印加して、磁気ローラ23には第1の電源30のバイアスに第2の電源31のバイアスを重畳して印加することにより、現像ローラ22と磁気ローラ23間に形成されるバイアスの合成波形が第2の電源31のバイアスに等しくなり、現像ローラ22に印加する第1の電源31のバイアスによる影響を受けることがない。
また現像ローラ22と感光体ドラム1a間に形成される第1のバイアスも第2の電源31のバイアスによる影響を受けることなく、第1の電源30のバイアスのみで制御することになり、第1及び第2のバイアスは、互いに独立させて各バイアスの電圧とデューティ比等を設定することができる。このとき、現像ローラ22から磁気ローラ23への未現像トナーの回収は、第2のバイアスのみに依存している。
このように、第1の電源30に第2の電源31を重畳させることにより、第1のバイアスと第2のバイアスとを、独立して設定できるため、トナー層29の形成状態に応じてより詳細な設定が可能となる。
従って、第1のバイアスの電圧とデューティ比を大きく設定して現像性を向上させ、また現像ローラ22へのトナー層29の形成及び現像ローラ22からのトナー回収を良好に維持するように、第2のバイアスの電圧及びデューティ比を設定することができ、現像ローラ22と感光体ドラム1aとの間、及び、現像ローラ22と磁気ローラ23との間のバイアスのバランスを容易に取ることができる。
また、第1の電源30と第2の電源31とを共通のグランドに電気的に接続した場合には、上記図7(b)に示すように別個のグランドに電気的に接続した場合と異なり、第1のバイアスにはVpp2が印加されない。このため、図7(b)の場合よりも、VmaxとVminの絶対値が小さく、トナーを移動させる電界が弱くなる。従って、共通のグランドに電気的接続する場合には、別個のグランドに電気的接続した場合よりも第1のバイアスのVpp1を大きくすることが好ましい。
一方、単位時間当たりの現像ローラ22へ印加している時間を長くすると、磁気ローラ23によるトナーの回収が困難になる場合がある。そこで、前述のように、現像ローラ22表面に、例えばシリコン変性ウレタン樹脂をコーティングすることが好ましい。
そして、現像ローラ22上の現像残トナーを、連続印刷の際、各現像終了後に、トナーが適度に残るよう回収し、所定現像間隔後には、各現像終了後よりも多くのトナーを回収することとした。以下、現像ローラ22から磁気ローラ23に現像残トナーを回収した後、現像ローラ22上に残ったトナーを回収残トナー、その量を回収残トナー量Q(残留トナー量)とする。
すなわち、現像ローラ22上の現像残トナーを、各現像終了後には、回収残トナー量Qが第1の所定量Q1となるよう回収すると共に、所定現像間隔毎には、回収残トナー量Qが、Q1より小さい第2の所定量Q2となるよう回収することとした。なお、Q1は、最初の現像終了後に行われるトナー回収後の回収残トナー量とし、Q2は、現像開始から所定現像間隔T経過後、第1回目に行われるトナー回収後の回収残トナー量とする。かかるトナーの回収について説明する。
前述の通り、現像終了後、第1及び第2のバイアスの印加によって生じる現像ローラ22と磁気ローラ23との間の電位差により、現像ローラ22上の現像残トナーは、磁気ローラ23へと回収される。また、トナー回収後、磁気ブラシ28には、次の現像に必要な量のトナーが担持される。
しかし、各現像終了後において現像ローラ22から磁気ローラ23へ回収するトナーの量が多過ぎると、磁気ローラ23に形成された磁気ブラシ28の間にトナーが入り込み、回収されたトナーは磁気ブラシ28に担持されるのみならず磁気ローラ23の表面にも直接担持される場合がある。
かかる場合、次の現像の際に、磁気ブラシ28及び磁気ローラ23の表面に担持されたトナーが現像ローラ22へ飛翔するため、現像ローラ22上に該ローラ上のトナー量が飽和するまで過剰なトナーが供給される。これにより、次ページの転写紙Pの搬送方向(感光体ドラム1aの回転方向)先端部の濃度が転写紙Pの他の部分より大きくなる。
一方、現像ローラ22から磁気ローラ23へ回収するトナーの量が少な過ぎると、回収残トナーが多くなる場合があり、かかる場合、現像ローラ22から感光体ドラム1aへのトナー供給量に変動が生じ易くなるため、画像濃度推移が生じる。
そこで、各現像終了後に、回収残トナー量Qが第1の所定量Q1となるよう、現像残トナーを回収することにより、次ページの転写紙Pにおける搬送方向先端部の画像濃度の増大及び画像濃度推移不良を防止することができる。回収残トナー量Qが形成画像に及ぼす上記不具合を考慮し、Q1の取り得る値Qxを、例えば0.3mg/cm2以上0.6/cm2以下とすることができる。
Q1を0.3mg/cm2以上とすることにより、上記先端部濃度の増大を十分に防止することができ、一方、0.6mg/cm2以下とすることにより、画像濃度推移不良を十分に防止することができる。よって、現像ローラ22上により適量のトナーを残すことができる。しかし、Q1は、上記先端部濃度の増大及び画像濃度推移不良を防止することができれば特に限定されず、画像濃度、転写紙Pの種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができる。
上記先端部濃度の評価方法は、特に限定されないが、例えば目視により評価することができる。画像濃度推移の評価方法は、特に限定されないが、例えば反射濃度の推移により評価することができる。また、反射濃度の推移は、例えば、現像開始後、1分間ごとに転写紙Pの反射濃度を測定し、許容変動幅を1%以下として評価することができる。
また、このように回収残トナー量QをQ1に設定しても、各現像終了後の回収残トナーが現像ローラ22の表面に付着すると、摩擦等によりトナーがチャージアップし、画像ムラ等の画像不良が生じるおそれがある。
そこで、所定現像間隔T毎には、現像ローラ22上の回収残トナー量Qが、Q1より小さいQ2となるよう現像残トナーを回収することとした。Q2をQ1より小さくすることにより、各現像終了後の回収残トナーを、さらに回収することができる。これにより、現像ローラ22上に回収残トナーが蓄積し、付着することを防止することができる。なお、トナーの付着状態の評価方法は、特に限定されないが、例えば目視や手指で触ったときの剥がれ易さ等で評価することができる。
また、Q2をQxの下限値Qx(min)以下とすることにより、各現像終了後の回収残トナーを、より多く回収することができる。これにより、回収残トナーの現像ローラ22への付着を、より防止することができる。また、Q2を0.3mg/cm2以下とすることが好ましい。Q2を0.3cm2以下とすることにより、特に低温低湿度条件下においても十分にトナーの付着を防止することができる。
しかし、Q2は、Q1より小さければ特に限定されず、画像濃度、転写紙Pの種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができる。なお、所定現像間隔T毎のトナーの回収においては、Q2が0mg/cm2の場合も本発明に含まれるが、この場合において、トナーの回収能力等により現像ローラ22上に不可避的にトナーが残留することは許容される。
また、所定現像間隔Tは、例えば現像駆動時間により設定することができ、例えば所定現像間隔Tを1分間に1回とすることができる。所定間隔時間Tが小さければ、印字効率が低下し、大きければ、回収残トナー量QをQ2に調整することが困難となるおそれがある。従って、所定現像間隔Tは、例えばこれらを考慮して適宜設定することができる。また、所定現像間隔Tは、その他、画像濃度、転写紙Pの種類、印刷速度等に応じて適宜設定することができ、また、例えば、所定現像回数(所定印字枚数)ごとに1回とすることもできる。
また、所定現像間隔T毎のトナーの回収では、回収残トナー量Qが小さくなると、直後の現像初期において感光体ドラム1aへのトナー供給量が不足し、次ページの転写紙Pの搬送方向先端部濃度が低下するおそれがある。かかる場合、トナー回収後、例えば現像ローラ22を、感光体ドラム1aへトナーを飛翔させることなく所定回転数だけ回転(空運転)させた後、現像を行うことができる。
これにより、現像ローラ22上のトナー量をより安定させることができるため、感光体ドラム1aへのトナー供給不足を解消し、上記先端部濃度が低下することを防止することができる。一方、長時間回転させると、印字効率が低下する。従って、かかる回転数は、例えばこれらを考慮して設定することができ、例えば2回転〜4回転程度とすることができる。
回収残トナー量QをQ1及びQ2に調整する方法は、第1及び第2のバイアスVslv、Vmagの印加条件を適宜設定することにより行うことができる。
かかる調整は、例えば、現像時から第1のバイアスVslvを現像時と非現像時とで変更せず、第2のバイアスVmagの交流成分Vpp2のうち、トナーと同極性側(トナーが磁気ローラ23から現像ローラ22へと向かう側)のピーク電圧値Vpp2(max)の現像時からの低下量を変化させることによって行うことができる。非現像時のVpp2(max)の低下に応じて、トナーは現像ローラ22から磁気ローラ23へと戻り易くなるため、トナーの回収量が多くなる。従って、Vpp2(max)の低下量を適宜変化させることにより、現像ローラ22上の回収残トナー量Qを調整することができる。
このとき、例えば、トナーと逆極性側(トナーが現像ローラ22から磁気ローラ23へ戻る側)のピーク電圧値Vpp2(min)は、現像時と非現像時とで一定とすることができる。また、Vpp2(min)を小さくする程、トナーが現像ローラ22から磁気ローラ23へ戻り易くなるが、Vslvとの電位差が大きくなり、磁気ローラ23と現像ローラ22との間にリークが発生し易くなる。従って、例えばこれらを考慮してVpp2(min)を設定することができる。また、Vpp2(max)とVpp2(min)の両方を現像時から変化させることもできる。
このように、例えば非現像時に、Vmagを現像時から適宜変更することにより、回収残トナー量QがQ1及びQ2となるよう調整することができる。しかし、かかる設定方法は、回収残トナー量QをQ1及びQ2とすることができれば、特に限定されるものではない。その他、例えばVmagの低下量に応じてVslvを適宜変更することもできる。また、かかる印加条件は、予備実験等により予め設定しておくことができる。
この際、図3及び図4に示すようにVslvとVmagを共通グランドに電気的に接続し、VslvにVmagを重畳させて磁気ローラ23に印加すれば、Vslv及びVmagを、互いに影響を及ぼすことなく独立して設定することができるため、回収残トナー量QをQ1に設定する際の、Vslv及びVmagの条件設定がより容易になる。
次に、本発明の現像装置の動作について図3及び図4を用いて説明する。図3に示した帯電されたトナー26とキャリア27からなる現像剤によって磁気ローラ23上に磁気ブラシ28を形成し、磁気ブラシ28は穂切りブレード25によって層規制され、図4(a)に示す第2のバイアスの合成波形Vmagが印加され、磁気ローラ23と現像ローラ22との間の電位差によって現像ローラ22にトナー26のみのトナー層29を形成する。
次に、露光されて感光体ドラム1a上に形成された潜像は、図4(a)に示す第1のバイアスの合成波形Vslvが印加されて、感光体ドラム1aへトナー26が飛翔して現像され、トナー像が感光体ドラム1a上に形成される。そして、感光体ドラム1aのトナー像が中間転写ベルト8に1次転写され、中間転写ベルト8に搬送された用紙にトナー像が2次転写されて、定着部7で定着されて排紙される。
そして各現像終了後、図4(b)に示す第2のバイアスの合成波形Vmagにより、現像ローラ22上の回収残トナー量QがQ1となるよう現像ローラ22上の現像残トナーを剥ぎ取って磁気ローラ23に回収する。また、所定現像間隔T毎には、該当する現像終了後、現像ローラ22上の回収残トナー量QがQ2となるよう現像ローラ22上の現像残トナーを剥ぎ取って磁気ローラ23に回収する。
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では帯電方向が正(プラス側)である正帯電トナーを用いる現像装置を例に挙げて説明したが、帯電方向が負(マイナス側)である負帯電トナーを用いる現像装置にも全く同様に適用可能である。その場合、コーティング材料として、負帯電性樹脂を用いれば良い。
また、ここでは中間転写ベルトを用いたタンデム式のカラー画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明は、トナーを飛翔させて現像可能な現像ユニットを備えた画像形成装置であれば、搬送ベルト上の記録媒体に直接転写するタンデム式のカラー画像形成装置や、デジタル複合機、アナログ方式のモノクロ画像形成装置、或いはファクシミリやプリンタ等の他の画像形成装置にも全く同様に適用することができる。
以下、本発明について実施例によりさらに具体的に説明する。