以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の内部構造を概略的に示す。画像形成装置10は、例えばタンデム式のカラープリンタであり、箱形を呈する装置本体11を含む。装置本体11は、内部に、コンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づき画像を形成する画像形成部12と、画像形成部12によって形成され、用紙P(シート)に転写された画像に定着処理を施す定着部13と、転写用の用紙Pを貯留する用紙貯留部14とを含む。装置本体11の上部には、定着処理後の用紙Pが排出される用紙排出部15が設けられている。
画像形成部12は、用紙貯留部14から給紙された用紙Pにトナー画像を形成するものであって、本実施形態では、上流側(図1の紙面の右方)から下流側へ向けて順次配設された、マゼンタ色のトナー(現像剤)を用いるマゼンタ用ユニット12Mと、シアン色のトナーを用いるシアン用ユニット12Cと、イエロー色のトナーを用いるイエロー用ユニット12Yと、ブラック色のトナーを用いるブラック用ユニット12Kとを含む。
各ユニット12M,12C,12Y,12Kは、感光体ドラム121および現像装置122を含む。感光体ドラム121は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像(可視像)を形成するものであって、図1において反時計方向に回転しつつ対応する現像装置122からトナーの供給を受ける。各現像装置122は、装置本体11内に装着された図略のトナーカートリッジからトナーの補給を受ける。
各感光体ドラム121の直下位置には、帯電装置123が設けられているとともに、各帯電装置123の下方位置には露光装置124が設けられている。各感光体ドラム121は、帯電装置123によって周面が一様に帯電され、コンピュータ等から入力された画像データに基づく各色に対応したレーザー光が露光装置124から帯電後の感光体ドラム121の周面に照射される。これにより、各感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成される。そして、現像装置122が静電潜像にトナーを供給すると、感光体ドラム121の周面にトナー像が現像される。
感光体ドラム121の上方には、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間に張設された転写ベルト125が配設されている。転写ベルト125は、各感光体ドラム121に対応して設けられた転写ローラ126によって感光体ドラム121の周面に押し付けられた状態で、各感光体ドラム121と同期しながら駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。
駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間であって、従動ローラ125b側へ寄った位置にテンションローラ125cが設けられている。テンションローラ125cは、転写ベルト125に張力を与えるものであり、図略の付勢部材の付勢力で上方に付勢されている。
転写ベルト125の周回と共に、転写ベルト125の表面に対して、まず、マゼンタ用ユニット12Mの感光体ドラム121によるマゼンタのトナー像の一次転写が行なわれる。ついで、転写ベルト125におけるマゼンタトナー像の転写位置に、シアン用ユニット12Cの感光体ドラム121によるシアンのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。以下同様にして、イエロー用ユニット12Yによるイエローのトナー像の転写、およびブラック用ユニット12Kによるブラックのトナー像の転写が重ね塗り状態で行なわれる。これにより、転写ベルト125の表面にカラーのトナー像が形成される。
各感光体ドラム121の図1における左方位置には、感光体ドラム121の周面上の残留トナーを除去して清浄化するドラムクリーニング装置127が設けられている。ドラムクリーニング装置127によって清浄化処理された感光体ドラム121の周面は、新たな帯電処理のために帯電装置123へ向かう。ドラムクリーニング装置127で感光体ドラム121の周面から取り除かれた廃トナーは、所定の経路を通って図略のトナー回収ボトルに回収される。
画像形成部12の図1における左方位置には、上下方向に延びる用紙搬送路111が形成されている。用紙搬送路111には、適所に搬送ローラ対112が設けられており、用紙貯留部14からの用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で転写ベルト125へ向けて搬送される。また、用紙搬送路111には、駆動ローラ125aと対向した位置で転写ベルト125の表面と当接した二次転写ローラ113(転写部材)が設けられている。二次転写ローラ113は転写ベルト125の表面との間で転写ニップ部を形成する。用紙Pは、転写ニップ部において転写ベルト125と二次転写ローラ113とに押圧挟持され、これにより、転写ベルト125上のトナー像が用紙Pに二次転写される。
用紙貯留部14は、装置本体11の図1における右側壁に開閉自在に設けられた手差しトレイ141と、装置本体11内における露光装置124より下方位置に挿脱可能に装着された用紙トレイ142とを含む。用紙トレイ142には複数枚の用紙Pが積層されてなる用紙束P1が貯留される。用紙トレイ142は、上方に開口した箱体で構成され、用紙束P1が貯留可能になっている。用紙トレイ142に貯留された用紙束P1の最上位の用紙Pは、ピックアップローラ143の駆動で用紙搬送路111へ向けて1枚ずつ繰り出される。用紙トレイ142から繰り出された用紙Pは、搬送ローラ対112の駆動で用紙搬送路111を通って前記転写ニップ部へ向けて搬送される。
定着部13は、二次転写された用紙P上のトナー像に対して定着処理を施す。定着部13は、内部に加熱源である通電発熱体を有する加熱ローラ131と、加熱ローラ131と対向配置された定着ローラ132と、定着ローラ132および加熱ローラ131間に張設された定着ベルト133と、定着ベルト133を介して定着ローラ40と対向配置された加圧ローラ134とを含む。定着部13へ供給された用紙Pは、加圧ローラ134と高温の定着ベルト133との間を通過しながら定着ベルト133からの熱を得て定着処理が施される。定着処理の完了したカラー印刷済みの用紙Pは、定着部13の上部から延設された排紙搬送路114を通って用紙排出部15の排紙トレイ151へ向けて排出される。
図2は、現像装置122の内部構造を概略的に示す断面図である。現像装置122は、該現像装置122の内部空間を画定する現像容器40を含む。現像装置122は、現像容器40内に、非磁性体のトナーおよび磁性体のキャリアを含む現像剤を貯留すると共に、現像剤を攪拌しつつ搬送することが可能とされた現像剤貯留部41と、現像剤貯留部41の上方に配置されたマグネットローラ42(現像剤担持体)と、マグネットローラ42の斜め上方位置でマグネットローラ42に対向配置された現像ローラ43(トナー担持体)と、マグネットローラ42に対向配置された現像剤規制ブレード44(規制部材)とを含む。
現像剤貯留部41は、現像装置122の長手方向に延びる2つの隣り合う現像剤貯留室41a,41bから構成されており、現像剤貯留室41a,41bは、現像容器40に一体に形成された仕切り板47によって長手方向において互いに仕切られているが、長手方向における両端部において互いに連通されている。また、各現像剤貯留室41a,41bには、回転により現像剤を攪拌するスクリューフィーダ45,46が回転可能に装着されている。スクリューフィーダ45,46は、回転方向が互いに逆方向に設定されているので、現像剤は、現像剤貯留室41aおよび現像剤貯留室41b間を攪拌されつつ搬送される。この攪拌により、トナーとキャリアとが混合され、トナーが例えばマイナスに帯電される。
マグネットローラ42は、現像装置122の長手方向に延びるように配設されており、図2では時計回りに回転可能である。マグネットローラ42は第1駆動源M1によって所定の回転速度(第1回転速度)で回転する。マグネットローラ42の内部には、固定式の所謂磁石ロール(図示せず)が配置されている。磁石ロールは複数の磁極を有しており、例えば汲上極50、規制極51、主極52を有する。汲上極50は現像剤貯留部41に対向し、規制極51は現像剤規制ブレード44に対向し、主極52は現像ローラ43に対向している。
マグネットローラ42は、汲上極50の磁力によって現像剤貯留部41から現像剤を周面48上に磁気的に汲み上げる。汲み上げられた現像剤は、マグネットローラ42の周面48上に磁気的に現像剤層(磁気ブラシ層)として保持され、マグネットローラ42の回転に伴って現像剤規制ブレード44に向けて搬送される。
現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の回転方向から見て現像ローラ42よりも上流側に位置し、マグネットローラ42の周面48に磁気的に付着した現像剤層の層厚を規制する。現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の長手方向に沿って延びる磁性材料からなる板部材であり、現像容器40の適所に固定された所定の支持部材54によって支持されている。また、現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の周面48との間で所定の寸法の規制ギャップGを形成する規制面53(つまり現像剤規制ブレード44の先端面)を有する。規制ギャップGは例えば約370μmに設定されている。
磁性材料から形成された現像剤規制ブレード44は、マグネットローラ42の規制極51によって磁化されて、現像剤規制ブレード44の規制面53と規制極51との間に、つまり規制ギャップGにおいて磁路が形成される。汲上極50によってマグネットローラ42の周面48上に付着した現像剤層がマグネットローラ42の回転に伴って規制ギャップG内に搬送されると、現像剤層の層厚は規制ギャップGにおいて規制されて、周面48上に、所定厚さの均一な現像剤層が形成される。
現像ローラ43は、現像装置122の長手方向に延びるように、かつマグネットローラ42に対して平行に延びるように配設されており、図2では時計回りに回転可能である。現像ローラ43は第2駆動源M2によって所定の回転速度(第2回転速度)で回転される。現像ローラ43の周面55とマグネットローラ42の周面48との間には、所定の寸法の隙間Dが形成されている。隙間Dは例えば約280μmに設定されている。現像ローラ43は、現像容器40に形成された開口を通して感光体ドラム121に臨むように配設されており、周面55と感光体ドラム121の周面との間にも所定の寸法の隙間が形成されている。前記隙間は例えば約120μmに設定されている。
次に、図3を参照して現像装置122の現像動作について説明する。現像装置122は、磁気ローラ42および現像ローラ43のそれぞれにバイアスを印加することで現像動作を行うように構成されており、バイアス印加手段として、第1印加手段56と、第2印加手段57とをさらに含む。同図に示すように、第1印加手段56は、直列に接続された直流電圧源61と交流電圧源62とを有し、マグネットローラ42に接続されている。直流電圧源61から出力された直流バイアスに交流電圧源62から出力された交流バイアスが重畳されてマグネットローラ42に印加される。また、第2印加手段57は、直列に接続された直流電圧源63と交流電圧源64とを有し、現像ローラ43に接続されている。直流電圧源63から出力された直流バイアスに交流電圧源64から出力された交流バイアスが重畳されて現像ローラ42に印加される。
マグネットローラ42の周面48上の磁気ブラシ層は、現像剤規制ブレード44によって層厚が均一に規制された後、マグネットローラ42の回転に伴って現像ローラ43に向けて搬送され、磁気ブラシ層中の多数の磁気ブラシDBが回転中の現像ローラ43の周面55に接触する。このとき、第1印加手段56および第2印加手段57は、重畳された直流バイアスおよび交流バイアスをマグネットローラ42および現像ローラ43に印加する。これにより、マグネットローラ42の周面48と現像ローラ43の周面55との間に所定の電位差を生じさせている。この電位差により、周面48と周面55との対向位置において(主極52(図2)と周面55との対向位置において)磁気ブラシDBからトナーTのみが周面55に移動し、磁気ブラシDBのキャリアCは周面48上に残る。これにより、現像ローラ43の周面55上に所定厚さのトナー層TLが担持される。
周面55上のトナー層TLは、現像ローラ43の回転に伴って感光体ドラム121の周面に向けて搬送される。感光体ドラム121にも、重畳された状態の直流電圧と交流電圧が印加されているので、感光体ドラム121の周面と現像ローラ43の周面55との間には所定の電位差が生じている。この電位差により、トナー層TLのトナーTが感光体ドラム121の周面に移動する。これにより、感光体ドラム121の周面上の静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
トナー層TL中のトナーTのうち、感光体ドラム121に移動せず、周面55上に残留している残留トナーRTは、現像ローラ43の回転に伴って周面55とマグネットローラ42の周面48との対向位置に搬送されたとき、磁気ブラシDBによって回収される。回収したトナーRTを有する磁気ブラシDBは、マグネットローラ42の回転に伴って主極52よりも下流側に搬送されると、前記磁石ロールの剥離極(図示せず)の磁力によって周面48から剥離し、現像剤貯留部41(図2)に戻される。つまり、残留トナーRTは現像剤貯留部41に戻される。
現像剤貯留部41に戻った残留トナーRTは、キャリアCと共に攪拌されて帯電する。そして、帯電した残留トナーRTは、新たな現像動作のためにマグネットローラ42によって汲み上げられて磁気ブラシ層中に再び担持され、現像剤規制ブレード44(つまり規制ギャップG)に搬送される。残留トナーRTは、現像剤規制ブレード44を通過する際にも現像剤規制ブレード44の規制力によってキャリアCと混合されて帯電する。
ところで、現像剤規制ブレード44は、磁気ブラシ層の層厚を規制する際にトナーTに少なからずストレスを与える。トナーTは、該トナーTに帯電性を付与するシリカ等の外添剤を有しているが、現像剤規制ブレード44から受けるストレスに起因して外添剤がトナーTから剥がれる場合がある。外添剤が剥がれると、トナーTの帯電能が低下するため、トナーTは現像剤貯留部41においてキャリアCと共に攪拌されても帯電し難くなる。そのため、十分な層厚のトナー層TLを現像ローラ43の周面55上に形成すること、ひいては十分なトナー濃度を有するトナー像を現像することができない不都合が生じる。
上記のような不都合は、特に、低印字率のトナー像が連続的に現像される場合に生じやすい。具体的には、低印字率(例えば1%や5%の印字率)のトナー像の現像時では、現像ローラ43の周面55上のトナー層TLから感光体ドラム121に移動するトナーTの量は低いため、多量のトナーTが周面55上に残留トナーRTとして残る。一方、高印字率(例えば10%や30%の印字率)のトナー像の現像時では、トナー像から感光体ドラム121に移動するトナーTの量は大きいため、低印字率の現像時よりも残留トナーRTの量が大幅に減少する。残留トナーRTは、上述したように、現像剤貯留部41に戻された後、マグネットローラ42によって再び汲み上げられて現像剤規制ブレード44に搬送される。そのため、低印字率時の残留トナーRTが感光体ドラム121に移動せず現像剤貯留部41に戻される回数、ひいては現像剤規制ブレード44を通過する回数は、高印字率時の残留トナーRTよりも大きくなる。
通過回数の増加は、残留トナーRTが現像剤規制ブレード44によるストレスに曝される機会が多くなることを意味する。そのため、低印字率時の残留トナーRTは、高印字率時の残留トナーRTよりも、外添剤が剥がされた状態となって劣化しやすい。
そこで、本実施形態では、良好な画質のトナー像の形成を確保しつつ残留トナーRTの劣化を抑制するために、現像装置122は、図4に示すように、印字率取得部65と制御部Uとをさらに含む。以下、制御部Uによる制御について図3および図4を参照しながら説明する。
印字率取得部65は、トナー像の現像動作が開始される前に、現像されるトナー像の印字率(トナー像の印字ドット数)をコンピュータ等の外部機器から伝送された画像情報に基づいて予め取得する。
制御部Uは、印字率取得部65が取得した印字率に応じて、マグネットローラ42を第1回転速度V1で回転させる第1駆動源M1および現像ローラ43を第2回転速度V2で回転させる第2駆動源M2を制御する。本実施形態では、制御部Uは、第2駆動源M2を制御して第2回転速度V2を固定しつつ、印字率に応じて第1駆動源M1を制御して第1回転速度V1を変化させることにより、第1回転速度V1の第2回転速度V2に対する速度比を適宜変更する。
まず、速度比を変更することで発生し得る現象について説明する。速度比が大きくなると、つまり、マグネットローラ42の第1回転速度V1が大きくなると、マグネットローラ42上の磁気ブラシ層から現像ローラ43の周面55に供給されるトナー量が増加すると共に、現像剤貯留部41に戻った残留トナーRTがマグネットローラ42によって磁気ブラシ層中に再び担持されて現像剤規制ブレード44を通過する通過回数が増加する。トナー量の増加により、現像されるトナー像のトナー濃度が確保される。これに対し、通過回数の増加により、残留トナーRTが現像剤規制ブレード44によって規制される回数が増加するので、残留トナーRTの帯電量が増加するものの、残留トナーRTの劣化が生じやすい。上述したように、トナー劣化の度合いは高印字率の現像動作時よりも低印字率の現像動作時のほうが大きい。
一方、速度比が小さくなると、つまり、マグネットローラ42の第1回転速度V1が小さくなると、マグネットローラ42上の磁気ブラシ層から現像ローラ43の周面に供給されるトナー量が減少すると共に、現像剤貯留部41に戻った残留トナーRTがマグネットローラ42によって磁気ブラシ層中に再び担持されて現像剤規制ブレード44を通過する通過回数が減少する。通過回数の減少により、残留トナーRTの帯電量の増加は得られないものの、残留トナーRTの劣化が抑制される。これに対し、トナー量の減少により、トナー像のトナー濃度が確保され難くなる。
上述したように、速度比の変更は、トナーTの供給量、残留トナーRTの劣化の度合い、残留トナーRTの帯電量に影響する。そのため、本実施形態の現像装置122では、制御部Uは、トナー量の増減と残留トナーRTの通過回数との間でバランスが取れるように、印字率に応じて第1駆動源M1を制御して速度比を適切に変更する。そして、そのバランスにより、トナー像のトナー濃度を確保しつつ(つまり、良好な画質のトナー像を確保しつつ)、トナー劣化を抑制する。
具体的には、制御部Uは、印字率が低くなるにつれて速度比が小さくなるように第1駆動源M1を制御する一方、印字率が高くなるにつれて速度比が大きくなるように第1駆動源M1を制御する。
印字率が低くなるにつれ、現像ローラ43上のトナー層TLから感光体ドラム121に供給されるトナーTの量は減る。言い換えれば、現像ローラ43の周面55上に残留する残留トナーRTの量が増加する。そのため、低印字率のトナー像が連続的に現像される場合、現像剤貯留部41内のトナー量において残留トナーRTが占める割合が多くなり、同一の残留トナーRTが現像剤規制ブレード44を多数回通過する可能性が大きくなる。そのため、残留トナーRTの帯電量は増加するものの、トナー劣化が生じやすい。
しかしながら、本実施形態では、印字率が低くなるにつれ、速度比を小さくする、つまりマグネットローラ42の第1回転速度V1を下げるので、残留トナーRTが現像剤規制ブレード44を通過する回数を抑えることができる。これにより、トナー劣化が抑制される。なお、速度比を小さくした場合、マグネットローラ42上の磁気ブラシ層が現像ローラ43の周面55と接触する時間が短くなるので、トナーTの現像ローラ43への供給量が減るが、印字率が低いので、トナー像のトナー濃度を確保することは容易である。
一方、印字率が高くなるにつれ、現像ローラ43上のトナー層TLから感光体ドラム121に供給されるトナーTの量は増える。言い換えれば、現像ローラ43の周面55上に残留する残留トナーRTの量が減る。そのため、高印字率のトナー像が連続的に現像される場合、現像剤貯留部41内のトナー量において残留トナーRTが占める割合が小さくなり、同一の残留トナーRTが現像剤規制ブレード44を多数回通過する可能性が小さくなる。その分、残留トナーRTの劣化は抑制される。しかしながら、残留トナーRTの量が減少する分、新たなトナーが補給されるため、残留トナーRTおよび新たなトナーを含むトナー全体の帯電量が低下しやすい。
しかしながら、本実施形態では、印字率が高くなるにつれ、速度比を大きくする、つまりマグネットローラ42の第1回転速度V1を上げるので、残留トナーRT(この場合、新たなトナーが補給される前から存在する残留トナーRTと、新たなトナーが残留トナーRTとなったものとが含まれる)が現像剤規制ブレード44を通過する回数を増加させることができる。これにより、残留トナーRTの帯電量が増加し、トナーTの現像ローラ43への供給量が増える。なお、高印字率の現像動作時ではトナーTの消費量が大きいので、残留トナーRTのほとんどは、現像剤規制ブレード44を複数回通過した場合であっても劣化する前に現像に用いられる。
また、マグネットローラ42の第1回転速度V1を上げることで、マグネットローラ42上の磁気ブラシ層が現像ローラ43の周面55と接触する時間が長くなるので、トナーTの現像ローラ43への供給量が増える。このように、速度比を大きくすることで、トナーTの現像ローラ43への供給量が増加するので、現像ローラ43上に十分な層厚のトナー層TLを形成すること、ひいては十分なトナー濃度を有するトナー像を形成することができる。
本実施形態では、制御部Uは、印字率が1%以上のとき、速度比が0.5程度に設定される、印字率が5%以上のとき、速度比が0.75〜1.0に設定される、印字率が10%以上のとき、速度比が1.25〜1.50に設定される、印字率が30%以上のとき、速度比が1.25〜1.50に設定されるように第1駆動源M1を制御する。印字率と、その印字率に対応する速度比とに関するデータは、速度比テーブルとして記憶部66に記憶されている。制御部Uは、印字率取得部65が印字率を取得する度に記憶部66の速度比テーブルを参照して、印字率に対応する速度比を選択し、第1駆動源M1を制御する。
以下、印字率に応じて適切な速度比を見つけるために行った実験について説明する。実験では、印字率を1%、5%、10%、30%に設定し、印字率毎に、速度比を、0.36、0.5、0.66、0.75.1.0、1.25、1.5に変え、現像ローラ43上でのトナー層の形成、現像されたトナー像のトナー濃度、トナーの帯電量について調べた。また、実験では、現像ローラ43の第2回転速度を336mm/sに設定すると共に、感光体ドラム121の回転速度を210mm/sに設定した。また、現像剤規制ブレード44およびマグネットローラ42間のギャップG、マグネットローラ42および現像ローラ43間の隙間D,現像ローラ43および感光体ドラム121間の隙間を、それぞれ約370μm、約280μm、約120μmに設定した。
トナー層形成、トナー濃度、帯電量の評価は各速度比につき100枚の印字が終了した後に行った。その評価結果を以下の表1〜表4に示している。なお、トナー層形成の評価基準は次の通りである。トナー層の層厚が目標値であった場合、◎として評価し、許容範囲ではあるが多少のばらつきが見られた場合、○として評価し、許容範囲外であった場合、×として評価した。トナー層の層厚は顕微鏡観察で行った。また、トナー濃度の評価基準は次の通りである。トナー濃度が目標濃度であった場合、◎として評価し、規格値を満たしている場合、○として評価し、規格値を満たしていない場合、×として評価した。トナー濃度はトナー像が感光体ドラム121上に形成された後に反射濃度計を用いて測定された。また、表1〜4では、マグネットローラ42の第1回転速度をM、現像ローラ43の第2回転速度をSで表している。
表1に示すように、印字率1%の場合、速度比M/Sが大きくなるにつれて、トナー層形成は良好であったが、トナー濃度は低下した。速度比M/Sが0.36のとき、トナー層の層厚は許容範囲外となった。これは、マグネットローラ42の第1回転速度が遅すぎて、十分な量のトナーが現像ローラ43に供給されなかったためである。また、速度比M/Sが0.66以上となったとき、トナー濃度は規格値を満たさなかった。これは、速度比M/Sが0.66以上になると、残留トナーRTが現像剤規制ブレード44を通過する回数が増えて劣化したためである。表1に示す結果から分かるように、速度比M/Sが0.5のとき、トナー層形成およびトナー濃度の両方が良好であった。また、速度比M/Sが0.5のとき、トナーの帯電量は約25μC/gであった。
また、表2に示すように、印字率5%の場合、速度比M/Sが大きくなるにつれて、トナー層形成は良好であったが、トナー濃度は低下した。速度比M/Sが0.66以下のとき、トナー層の層厚は許容範囲外となった。これは、マグネットローラ42の第1回転速度が遅すぎて、十分な量のトナーが現像ローラ43に供給されなかったためである。また、速度比M/Sが1.25以上となったとき、トナー濃度は規格値を満たさなかった。これは、速度比M/Sが1.25以上になると、残留トナーRTが現像剤規制ブレード44を通過する回数が増えて劣化したためである。表2に示す結果から分かるように、速度比M/Sが0.75〜1.0のとき、トナー層形成およびトナー濃度の両方が良好であった。また、速度比M/Sが0.75〜1.0のとき、トナーの帯電量は25〜27μC/gであった。
さらに、表3に示すように、印字率10%の場合、速度比M/Sが1.25〜1.5のとき、トナー層形成は良好であった。一方、トナー濃度は、全ての速度比M/Sにおいて良好であった。速度比M/Sが1.0以下のとき、トナー層の層厚は許容範囲外となった。これは、マグネットローラ42の第1回転速度が遅すぎて、十分な量のトナーが現像ローラ43に供給されなかったためである。表3に示す結果から分かるように、速度比M/Sが1.25〜1.5のとき、トナー層形成およびトナー濃度の両方が良好であった。また、速度比M/Sが1.25〜1.5のとき、トナーの帯電量は27〜29μC/gであった。
さらに、表4に示すように、印字率30%の場合、速度比M/Sが1.25〜1.5のとき、トナー層形成は良好であった。一方、トナー濃度は、全ての速度比M/Sにおいて良好であった。速度比M/Sが1.0以下のとき、トナー層の層厚は許容範囲外となった。これは、マグネットローラ42の第1回転速度が遅すぎて、十分な量のトナーが現像ローラ43に供給されなかったためである。表4に示す結果から分かるように、速度比M/Sが1.25〜1.5のとき、トナー層形成およびトナー濃度の両方が良好であった。また、速度比M/Sが1.25〜1.5のとき、トナーの帯電量は25〜27μC/gであった。
表1〜表4に示す結果に基づき、制御部Uは、印字率に応じて速度比M/Sを適切に変更することで、トナー量の増減と残留トナーRTの通過回数の増減との間でバランスを取っており、そのバランスにより、トナー濃度を確保しつつ(つまり、良好な画質のトナー像を確保しつつ)、トナー劣化を抑制している。