以下、本は発明の実施形態を、図1〜図14に基づき、詳説する。図1は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の要部縦断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の要部外観斜視図である。図3は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の従動側円筒状マグネット体及びポンプランナーの分解した状態をポンプランナー側から見た斜視図である。図4は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の従動側円筒状マグネット体及びポンプランナーの分解した状態を従動側円筒状マグネット体側から見た斜視図である。図5は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置におけるポンプカバーに仕切り体が取り付けられた状態を示す要部斜視図である。図6は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置におけるポンプカバーから仕切り体及び封止ばねを取り外した状態を示す要部斜視図である。図7は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置における仕切り体の渦巻き壁が設けられた側から見た要部斜視図である。図8は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置における仕切り体の凹みが設けられた側から見た要部斜視図である。図9は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置における従動側円筒状マグネット体及びポンプランナーの部組状態での平面図である。図10は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置における従動側円筒状マグネット体及びポンプランナーの部組状態での要部断面図である。図11は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置のポンプランナー及び従動側円筒状マグネット体の分解要部斜視図である。図12は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の駆動側円筒状マグネット体の分解要部斜視図である。図13は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の支持軸に止めリングを取り付ける際のポンプランナーの円筒状取り付け部材に設けた工具挿入開口と止めリング装着用工具との関係を示す図である。図14は、本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置の支持軸に止めリングを取り付ける際のポンプランナーと止めリング装着用工具との関係を示す図である。
図1〜図2に示す本発明の一実施形態に係わる自吸式ポンプ装置1は、モータ部材2が取り付けられたポンプケーシング3と、このポンプケーシング3に水密的に取り付けられたポンプカバー4と、このポンプカバー4の内壁に取り付けられて吸込み室5とポンプランナー収納室6と気水分離室7とに仕切るための仕切り体8と、ポンプランナー収納室6内に支持軸9によって回転自在に設けたクローズブレード方式のポンプランナー10と、このポンプランナー10を回転させることで吸込み室5とポンプランナー収納室6と気水分離室7内に水を吸込ませるための吸水口11と、ポンプランナー10を回転させることで吸込み室5とポンプランナー収納室6と気水分離室7内の水をポンプカバー4の外方に吐出させるための吐出口12と、吸込み室5とポンプランナー収納室6と気水分離室7内に呼び水を注入するための呼び水口13と、吸込み室5から吸水口11側への水の逆流を阻止する逆流防止弁14と、ポンプランナー10に一体に設けた従動側円筒状マグネット体15と、モータ部材2の後述する回転軸20Aに取り付けられた駆動側円筒状マグネット体16を、少なくとも備えている。なお、ここで、気水分離室7とは、ポンプカバー4側内の仕切り体8外周に形成される第1気水分離室7Aと、ポンプケーシング3側内に形成される第2気水分離室7Bとからなるものであって、ポンプケーシング3とポンプカバー4が水密的に固定されることで、第1気水分離室7Aと第2気水分離室7Bが連結されることにより構成されるものとする。
ポンプケーシング3は、合成樹脂からなり、図1に示すように、ポンプカバー4側内の仕切り体8外周に形成される第1気水分離室7Aに連結される第2気水分離室7Bと、この第2気水分離室7Bに併設されてポンプケーシング3の反ポンプカバー側に設けたモータ挿入開口3Aからモータ部材2の一部及び駆動側円筒状マグネット体16が収納される駆動側円筒状マグネット収納室17と、ポンプケーシング3のポンプランナー収納室6に対向する外壁(以下、対向外壁と称する。)に形成されて従動側円筒状マグネット体15が収納される従動側円筒状マグネット収納室18となる円筒状凹部3Bとが、一体的に形成されている。第2気水分離室7Bは、駆動側円筒状マグネット収納室17の外周に併設され、かつ、モータ部材2の後述する回転軸20Aの軸方向(長手方向)に長く延びる形状としてある。ポンプケーシング3は、図2に示すように、外郭形状を略箱状としてある。第2気水分離室7Bの内壁には、気水分離板7B−1が設けられている。ポンプケーシング3には、図1に示すように、駆動側円筒状マグネット収納室17で発生した結露水をポンプケーシング3の外部に流出させるための結露用流出口3Kが設けられている。
モータ部材2は、図1及び図2に示すように、円筒状のモータケース19と、このモータケース19内に収納支持されたモータ本体20と、モータケース19の後述するモータ本体挿入開口19Bに装着した合成樹脂製のモータキャップ21と、モータケース19の外周に一体的に設けられた複数個の取り付け片22を有する構成としてある。モータ部材2は、モータケース19の一部を駆動側円筒状マグネット収納室17内に挿入した状態で、取り付け片22をポンプケーシング3の反ポンプカバー側外壁面3Cに固定することにより、ポンプケーシング3に取り付けられる。本実施形態例では、モータケース19の約半分を、駆動側円筒状マグネット収納室17内に挿入するようにしている。モータケース19及び複数個の取り付け片22は、合成樹脂によって、一体成形される。
モータ部材2のモータケース19は、モータ本体20が挿入される有底筒状のモータ挿入円筒部19Aと、このモータ挿入円筒部19Aにモータ本体20を挿入するためのモータ本体挿入開口19Bと、モータ本体20の回転軸20Aをポンプケーシング3の駆動側円筒状マグネット収納室17内に位置させるための貫通孔19Cとからなっている。モータ部材2のモータケース19は、取り付け片22の取り付け穴22Aに嵌合させた螺子23を、ポンプケーシング3に設けた螺子穴3Dに螺着させることにより、ポンプケーシング3に固定される。本実施形態例では、モータケース19の外円周上に3個の取り付け片22が設けられている。
モータ部材2のモータ本体20は、外郭形状を円筒状とした小形のブラシレスモータとしてある。モータ本体20は、28V以下のDC電圧で約7000r/分の回転数が得られるように設定されている。ポンプランナー10の最外径は、約26mmに設定されている。ポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの隔壁部分の厚さは、約1mmとしてある。
モータケース19のモータ本体挿入開口19Bには、図1に示すように、モータ本体20の軸方向のがたつきを押さえるモータパッキング24を介してモータキャップ21が装着されている。モータケース19のモータ本体挿入開口19Bとモータキャップ21との間からは、モータ本体20に接続されたリード線からなる電気的接続体25が、モータケース19の外方に引き出される。なお、電気的接続体25は、接続端子とするようにすることも可能である。
ポンプカバー4は、ポンプランナー10を回転させることでポンプカバー4に水を吸込ませるための吸水口11と、ポンプランナー10を回転させることで吸込み室5内及びポンプランナー収納室6内の水を吐出させるための吐出口12と、吸込み室5内及びポンプランナー収納室6内に呼び水を注入するための呼び水口13と、吸込み室5から前記吸水口11側への逆流を阻止するところの後述する逆流防止弁14の封止弁座4Aと、後述する逆流防止弁14の取り付け片部14Bが嵌合する取り付け凹部4Bと、仕切り板8をポンプカバー4内壁に取り付けるための棒状の係止突起体4Cと、ポンプカバー4内壁に設けられてパッキングなどの弾性封止部材26を介して仕切り板8に設けた凹み8Gに押圧されるループ状の凸状リブ4Dと、支持軸9の他端側9Bが嵌合する筒状凹部4Eと、ポンプケーシング3のポンプカバー側端縁全周に形成された取り付けフランジ3Eに水密的に取り付けられる取り付けフランジ4Fが、合成樹脂で一体成形されている。吸水口11から封止弁座4Aまでの水通路部4Gの破断面(切断端面)形状は、横長楕円状としてある。封止弁座4Aは、水通路部4Gの破断面(切断端面)形状に合わせて横長楕円状としてある。封止弁座4Aは、その封止弁座4Aの横長方向が、モータ部材2の回転軸20Aの軸方向(長手方向)に対して直角方向であって水平に延びるように配設されている。
ポンプカバー4の上面部分には、図2に示すように、吸水口11、吐出口12及び呼び水口13が配設されている。ポンプカバー4の吐出口12及び呼び水口13は、図2に示すように、水平方向(モータ本体20の回転軸20Aに軸方向と水平の方向)に延在させるように形成されている。ポンプカバー4の上面に形成された吸水口11には、その開口端に円筒状の取り付けフランジ11Aが形成されている。ポンプカバー4の吸水口11には、図1の一点鎖線で示すように、取り付けフランジ11Aを利用して、揚水用の可撓性のある吸水ホース27が着脱可能に取り付けられる。吸水ホース27の自由端側は、浴槽(図示せず)内に投入されている。ポンプカバー4内の吸水口11の内方には、図1に示すように、風呂水に含まれている細塵を除去するフイルター28が着脱自在に設けられている。ポンプカバー4側内の仕切り体8外周に形成される第1気水分離室7Aには、図5及び図6に示すように、複数個の気水分離板7A−1が設けられている。
仕切り体8は、封止弁座4Aに対向する位置に形成された逆流防止弁14の開閉ストローク確保用の袋部8Aと、この袋部8Aの内壁に設けた2個の封止ばね受け凹部8Bと、ポンプケーシング3の対向外壁に圧接する渦巻き壁8Cと、ポンプカバー4内壁に設けた係止突起体4Cに係合することで仕切り板8をポンプカバー4内壁に取り付けるための嵌合突起溝部8Dと、後述する逆流防止弁14の取り付け片部14Bをポンプカバー4の取り付け凹部4Bに押圧するための押圧リブ8Eと、ポンプランナー10の中央開口10Aに対向する位置に形成された略ベルマウス状の流入開口8Fと、ポンプカバー4内壁に設けた凸状リブ4Dが弾性封止部材26を介して押圧されるループ状の凹み8Gが、合成樹脂で一体成形されている(図5〜図8を参照)。
仕切り体8の袋部8A及び渦巻き壁8Cは、図1に示すように、逆流防止弁14及びポンプカバー4に形成された封止弁座4Aが、仕切り体8の流入開口8Fと吸込み室5との境界部位から外周方向へ延びる延長線近傍であって、かつ、ポンプランナー収納室6内の外周に配置されるように、形成されている。仕切り体8の袋部8Aの内壁に設けた2個の封止ばね受け凹部8B内には、図6及び図8に示すように、それぞれ十字状の傾斜突起8B−1が形成されている。後述する封止ばね29の一端を逆流防止弁14の筒状突起部14Cに嵌合させ、かつ、その封止ばね29の他端を仕切り体8の封止ばね受け凹部8Bに嵌合させた状態では、図1に示すように、一直線状に均等に圧縮されるべく、傾斜突起8B−1の上面と筒状突起部14Cの内底面が略平行となるように設定されている。
逆流防止弁14は、ゴム製であって、図6に示すように、横長楕円状の弁体部14Aと、この弁体部14Aに上部に一体的に形成された取り付け片部14Bと、弁体部14Aの反封止弁座側の面に一体的に形成された2個の筒状突起部14Cとからなっている。仕切り体8と逆流防止弁14との間には、図1に示すように、その逆流防止弁14をポンプカバー4内に形成された封止弁座4Aに押し付ける2個の封止ばね29が設けられている。封止ばね29は、ポンプランナー10の回転時にそのポンプランナー10の回転により発生した負圧によって逆流防止弁14の弁体部14Aが封止弁座4Aから離れることで逆流防止弁14が開いた状態となり、かつ、ポンプランナー10の停止時に逆流防止弁14の弁体部14Aが封止弁座4Aに押し付けられることで逆流防止弁14が閉じた状態にする押圧力を、逆流防止弁14に働かせる機能を有している。封止ばね29は、コイル状であって、その封止ばね29の一端側を逆流防止弁14の筒状突起部14Cに、かつ、封止ばね29の他端側を仕切り体8の封止ばね受け凹部8B内に装着した状態で、仕切り体8の上端に設けた嵌合突起溝部8Dを、ポンプカバー4の内壁に設けた係止突起体4Cに一体化することによって、仕切り体8をポンプカバー4の内壁に取り付けることにより、図1に示すように、仕切り体8と逆流防止弁14との間に保持される。なお、逆流防止弁14は、その逆流防止弁14の横長方向が、モータ部材2の回転軸20Aの軸方向(長手方向)に対して直角方向であって水平に延びるように配設されている。
ポンプカバー4と仕切り体8とは、図1に示すように、ポンプカバー4内壁に設けた凸状リブ4Dに仕切り体8の側壁に設けた凹み8G(図6参照)に、弾性封止部材26を介して押圧させることによって、水密的に保持される。ポンプケーシング3とポンプカバー4は、ポンプケーシング3の取り付けフランジ3Eの端面全周に設けた溶着用リブ3Fを、ポンプカバー4の取り付けフランジ4Fの端面全周に設けた溶着用溝4Hに嵌合した後、その溶着用溝4Hの全周に予め挿入したステンレス線41に電気を流すことで溶着用リブ3Fを溶着用溝4H内で熱溶着させることにより、一体的に取り付けられる。なお、ポンプケーシング3の取り付けフランジ3Eとポンプカバー4の取り付けフランジ4Fとを、リング状のパッキング部材を介して複数個の螺子で締結することにより、若しくは超音波溶着により、ポンプケーシング3とポンプカバー4は一体化されるようにしてもよい。
ポンプランナー収納室6は、ポンプケーシング3の外壁に設けた渦巻き状嵌合溝3Gと、この渦巻き状嵌合溝3Gに圧入されるところの仕切り体8に形成した渦巻き壁8Cとによって、形成される。ポンプランナー収納室6には、図1に示すように、モータ本体の回転軸の長手方向と同方向に延びる支持軸9によってポンプランナー10が回転可能に設けられている。支持軸9は、一端側であるDカット形状部9Aをポンプケーシング3の外壁に設けたDカット状嵌合穴3Hに挿入し、かつ、他端側9B(Dカット形状部を形成しない側)を、仕切り体8の流入開口8Fを通してポンプカバー4の内壁に設けた筒状凹部4Eに挿入した後、ポンプケーシング3とポンプカバー4を水密的に一体保持された状態にすることにより、ポンプケーシング3とポンプカバー4との間に回動不可の状態で挟持固定される(図1参照)。ポンプケーシング3には、Dカット状嵌合穴3Hを形成するために、そのポンプケーシング3の駆動側円筒状マグネット収納室側に向って突出させた突出円筒部3Jが形成されている。この突出円筒部3Jは、図1に示すように、モータ本体20の回転軸20Aと対向するように配設されている。Dカット状嵌合穴3Hは、突出円筒部3Jの中央部に形成されている。
ポンプランナー10の軸体10Bの中心に圧入されるカーボン製の軸受30は、図4に示すように、支持軸9に嵌合する中空円筒部30Aと、この中空円筒部30Aに端縁に形成した円形状鍔部30Bとから構成される。支持軸9には、図1に示すようにポンプランナー10のスラスト方向の移動を規制する2個のスラスト受け部材31、32が設けられている。2個のスラスト受け部材31、32のうち、一方のスラスト受け部材31(以下、第1スラスト受け部材31と称する)は、ポンプケーシングの対向外壁とポンプランナー10の軸体10Bとの間に位置して軸受30の円形状鍔部30Bに摺接するように、かつ、他方のスラスト受け部材32(以下、第2スラスト受け部材32と称する)は、仕切り体8とポンプランナー10の軸体10Bとの間に位置して中空円筒部30Aに摺接するようにしてある。
第1スラスト受け部材31と第2スラスト受け部材32は、それぞれ、支持軸9に挿入されたワッシャー群33と、このワッシャー群33が支持軸9の外方への移動を止める止めリング33Aとからなっている。ワッシャー群33は、2枚以上のワッシャーからなり、本実施形態例では、図3及び図4に示すように、3枚のワッシャーからなっている。それらワッシャーは、厚み寸法を0.35mmとしたものが用いられている。支持軸9の外周には、この止めリング33Aを支持軸9に嵌合固定するための2個の止めリング装着溝9C、9Dが設けられている。ポンプランナー10は、そのポンプランナー10のスラスト方向のクリアランスが、ワッシャー群33のうちの一枚のワッシャーの厚さ寸法よりも小さく設定されるように、支持軸9に取り付けられる。支持軸9にポンプランナー10を回転自在に取り付けられた状態では、支持軸9に取り付けた止めリング33A及び2枚以上のワッシャー33により、ポンプランナー10のスラスト方向のクリアランスが、約0.3mmとなるように設定されている。また、ポンプランナー10の中心に圧入された軸受30の内径と、支持軸9の外周径とのクリアランスは、最大0.2mmとなるように設定されている。止めリング装着溝9C、9D止めリング33Aとしては、EリングやCリングなどが用いられる。本実施形態例では、止めリング33AをEリングとし、かつ、止めリング装着溝9C、9DをEリング溝としてある。なお、第2スラスト受け部材32の外径は、ポンプランナー10の中央開口10Aの内径や仕切り体8の流入開口8Fの内径よりも小さく設定されている。
従動側円筒状マグネット体15は、図11に示すように、ポンプランナー10の側面に一体的に設けられた合成樹脂製の円筒状取り付け部材34と、この円筒状取り付け部材34の外周壁に嵌めた等方性若しくは異方性のフェライトからなる円筒状の従動側円筒状マグネット35とからなり、円筒状取り付け部材34に複数個の弾性爪部34Aを、かつ、従動側円筒状マグネット35に複数個の係止凹部35Aを、それぞれ形成して、弾性爪部34Aを係止凹部35Aに係止させることで、従動側円筒状マグネット35を円筒状取り付け部材34の外周壁に取り付けられる構成にしてある。従動側円筒状マグネット35は、弾性爪部34Aによって、円筒状取り付け部材34の周方向及び左右方向に移動することがないように、円筒状取り付け部材34に取り付けられる。弾性爪部34Aは、円筒状取り付け部材34にスリットを入れることによって形成される。ポンプランナーの円筒状取り付け部材には、止めリング33Aを支持軸に装着するための止めリング装着用工具40を挿入するための工具挿入開口34Bが複数個設けられている。
円筒状取り付け部材34と従動側円筒状マグネット35は、従動側円筒状マグネット35の内周を円筒状取り付け部材34の外周に嵌め込ませて弾性爪部34Aを内方に撓ませた状態とした後、その弾性爪部34Aが従動側円筒状マグネット35の係止凹部35Aに達するまで、従動側円筒状マグネット35を円筒状取り付け部材34に押し込むと、弾性爪部34Aが外方に広がって係止凹部35Aに係止することで、取り付けられる。なお、円筒状取り付け部材34の外側と従動側円筒状マグネット35の内側の間を、接着剤により、補強固着するようにしてもよい。
駆動側円筒状マグネット体16は、図12に示すように、合成樹脂製の円筒容器状収納ケース36と、この円筒容器状収納ケースの底中央部に形成されてモータ本体の回転軸に圧入固定される合成樹脂製の中空ボス部37と、この中空ボス部37の外周に圧入された金属製の抜け止め筒部材38と、円筒容器状収納ケース36の内周壁に嵌めた等方性若しくは異方性のフェライトからなる円筒状の駆動側円筒状マグネット39とからなり、円筒容器状収納ケース36に複数個の弾性爪部36Aを、かつ、駆動側円筒状マグネット39に複数個の係止凹部39Aを、それぞれ形成して、弾性爪部36Aを係止凹部39Aに係止させることで、駆動側円筒状マグネット39を円筒容器状収納ケース36の内周壁に取り付けられる構成にしてある。駆動側円筒状マグネット39は、弾性爪部36Aによって、円筒容器状収納ケース36の周方向及び左右方向に移動することがないように、円筒容器状収納ケース36に取り付けられる。弾性爪部36Aは、円筒容器状収納ケース36にスリットを入れることによって形成される。また、抜け止め筒部材38の外周には、図1に示すように、駆動側円筒状マグネット収納室17で発生した結露水をモータケース19の貫通孔19C内に浸入するのを阻止するための水切り部材42が設けられている。
円筒容器状収納ケース36と駆動側円筒状マグネット39は、円筒容器状収納ケース36の内周を駆動側円筒状マグネット39の外周に嵌め込ませて弾性爪部36Aを外方に撓ませた状態とした後、その弾性爪部36Aが駆動側円筒状マグネット39の係止凹部39Aに達するまで、円筒容器状収納ケース36を駆動側円筒状マグネット39に押し込むと、弾性爪部36Aが内方に縮まって係止凹部39Aに係止することで、取り付けられる。円筒容器状収納ケース36には、弾性爪部36Aの型抜きが容易に行えるようにするための、型抜き孔36Bが形成されている。なお、円筒容器状収納ケース36の内側と駆動側円筒状マグネット39の外側の間を、接着剤により、補強固着するようにしてもよい。
モータ本体20の回転軸20Aに固定された駆動側円筒状マグネット体16が、ポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの外方に配設された状態では、その駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39の内周面と円筒状凹部3Bの外周面との間に隙間が保持されるように、駆動側円筒状マグネット体16及び円筒状凹部3Bの大きさが設定されている。駆動側円筒状マグネット16の内周面と円筒状凹部3Bの外周面との間の隙間は、最大1mmとし、本実施形態例では、約0.5mmとしてある。
支持軸9にポンプランナー10が取り付けられ、かつ、従動側円筒状マグネット体15がポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの内方に配設された状態では、その従動側円筒状マグネット体15の従動側円筒状マグネット35の外周面と円筒状凹部3Bの内周面との間に隙間が保持されるように、従動側円筒状マグネット体15及び円筒状凹部3Bの大きさが設定されている。従動側円筒状マグネット35の外周面と円筒状凹部3Bの内周面との間の隙間は、最大1mmとし、本実施形態例では、約0.5mmとしてある。支持軸9の一端側であるDカット形状部9A側は、円筒状凹部3B内の中央部に位置するDカット状嵌合穴3Hに嵌合されている。支持軸9の他端側9Bは、仕切り体8の流入開口8Fを通してポンプカバー4の内壁に形成した筒状凹部4Eに嵌合されている。
支持軸9の一端側であるDカット形状部9A側を、円筒状凹部3Bの中央部に設けたDカット状嵌合穴3Hに挿入し、かつ、支持軸9の他端側9Bを、仕切り体8の流入開口8Fを通してポンプカバー4の内壁面に設けた筒状凹部4Eに挿入した後、ポンプケーシング3とポンプカバー4を水密的に一体化させることで、ポンプケーシング3とポンプカバー4との間に支持軸9を挟持固定した際は、第1スラスト受け部材31がポンプケーシング3の外壁に非接触となり、かつ、第2スラスト受け部材32がポンプカバー4の内壁に非接触となるように、ポンプランナー10のスラスト方向のクリアランスが設定されている。
駆動側円筒状マグネット39と従動側円筒状マグネット35は、モータ部材2におけるモータ本体20の回転軸20Aに駆動側円筒状マグネット体16が取り付けられた状態でその駆動側円筒状マグネット体16は、ポンプケーシング3の反ポンプカバー側に設けたモータ挿入開口3Aから駆動側円筒状マグネット収納室17に挿入することによりその駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39をポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの外周に配設させ、かつ、その円筒状凹部3B内に従動側円筒状マグネット体15の従動側円筒状マグネット35を配設させることで、ポンプケーシング3の外壁を介して同心円筒状に対向させることにより、磁気結合させる。
上記実施形態の自吸式ポンプ装置1を使用する場合には、始めに、吸水ホース27をポンプカバー4の吸水口11に装着した後、呼び水口13から仕切り体8によって仕切られる吸込み室5及びポンプランナー収納室6並びに気水分離室7に、呼び水Wを注入する。
次いで、自吸式ポンプ装置1の内部に、呼び水Wが注入された状態で、モータ本体20を回転させて、モータ本体20の回転軸20Aに設けた駆動側円筒状マグネット体16を回転させると、ポンプランナー10と一体に設けた従動側円筒状マグネット体15が、駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39の磁力で吸引されて同期回転するため、ポンプランナー10が高速で回転して、ポンプランナー10の中心は負圧となる。なお、この場合、支持軸9は、一端側であるDカット形状部9Aがポンプケーシング3の外壁に設けたDカット状嵌合穴3Hに挿入されているので、回転することがない。
そして、ポンプランナー10の中心が負圧になると、この負圧に引かれて吸水ホース27内の空気が、ポンプランナー10側に吸込まれて、呼び水Wと気水混合された状態となり、ポンプランナー収納室6を高速で通過し、気水分離室7へと導かれる。この場合、ポンプランナー収納室6の狭い空間を高速で通過した空気を含んだ呼び水Wは、広い空間の気水分離室7に導かれて流速が低下する。そのため、呼び水Wに混合された空気は、その呼び水Wから分離してポンプカバー4の吐出口12及び呼び水口13から排出される。そして、吸水ホース27内の空気が完全に排出されると、ポンプカバー4の吸水口11より揚水された水が、吸込み室5を介してポンプランナー収納室6から気水分離室7に流入して、吐出口12及び呼び水口13から、所定の流量で吐出されるようになる。
次に、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1の組立手順を、詳説する。
まず、モータ本体20をモータケース19のモータ本体挿入開口19Bからモータケース19内に挿入して、そのモータ本体20の回転軸20Aがモータケース19の貫通孔19Cから外方に突出した状態となるように、かつ、モータケース19内でモータ本体20が回動しないように、モータケース19内にモータ本体20を固定する。この場合、複数個の小螺子(図示せず)でモータケース19にモータ本体20を取り付けるようにしてもよい。
次いで、モータケース19の貫通孔19Cから外方に突出した回転軸20Aを上に向けた状態で、その回転軸20Aに駆動側円筒状マグネット体16を構成する中空ボス部37を圧入固定することにより、モータ部材2に駆動側円筒状マグネット体16が取り付けられる。その後、モータパッキング24及びモータキャップ21を、モータケース19のモータ本体挿入開口19Bに、かつ、電気的接続体25がモータケース19の外に引き出されるように、装着することによって、モータ部材2及び駆動側円筒状マグネット体16の組み立て作業を完了させる。なお、この場合、モータ本体20の回転軸20Aに駆動側円筒状マグネット体16の中空ボス部37を圧入した場合に、その中空ボス部37が金属製の抜け止め筒部材38によって広がることがないので、モータ本体20の回転軸20Aと中空ボス部37との固定が確実に行われる。
次いで、モータ部材2に取り付けられた駆動側円筒状マグネット体16を、ポンプケーシング3の駆動側円筒状マグネット収納室17に、ポンプケーシング3のモータ挿入開口3Aから挿入して、駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39をポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの外周方向に配設させる。この状態では、モータケース19の略半分が駆動側円筒状マグネット収納室17に挿入されて、モータケース19の外周に設けられた複数個の取り付け片22を、ポンプケーシング3の反ポンプカバー側外壁面3Cに当接させて、その取り付け片22を螺子23でポンプケーシング3の反ポンプカバー側外壁面3Cに固定することにより、ポンプケーシング3にモータ部材2が取り付けられる。
次いで、図9及び図10に示すように、予めポンプランナー10に従動側円筒状マグネット体15及び支持軸9が組み立てられた状態で、その支持軸9のDカット形状部9A側を、ポンプケーシング3のDカット状嵌合穴3Hに嵌合させることによって、従動側円筒状マグネット体15の従動側円筒状マグネット34を、ポンプケーシング3のポンプランナー収納室6に対向する対向壁面に設けた円筒状凹部3B内に配設される。これにより、従動側円筒状マグネット35が駆動側円筒状マグネット39と対向した状態となる。この場合、駆動側円筒状マグネット39と従動側円筒状マグネット35との間の磁気吸引作用により、従動側円筒状マグネット体15が従動側円筒状マグネット収納室18(円筒状凹部3B)内に収納された状態が維持されるので、ポンプケーシング3の外壁側にポンプランナー10が取り付けられた状態が維持される。
次いで、ポンプカバー4の取り付け凹部4Bに逆流防止弁14の取り付け片部14Bを圧入した後、その逆流防止弁14における弁体部14Aの筒状突起部14Cと仕切り体8の封止ばね受け凹部8Bとに封止ばね29を装着した状態で、ポンプカバー4の内壁に設けた凸状リブ4Dに、弾性封止部材26を介して仕切り体8の側壁に設けた凹み8Gを押圧させ、その後、ポンプカバー4の内壁に設けた円柱状の係止突起体4Cに、仕切り体8の上端側に設けた嵌合突起溝部8Dを挿入した状態で、その係止突起体4Cを嵌合突起溝部8Dにカシメ若しくは溶着させることにより、ポンプカバー4の内壁側に仕切り体8を一体的に取り付ける。
次いで、支持軸9の他端側9Bを、仕切り体8の流入開口8Fを通してポンプカバー4の筒状凹部4Eに嵌合させつつ、ポンプケーシング3の外壁に設けた渦巻き状嵌合溝3Gに、仕切り体8に形成した渦巻き壁8Cを嵌合されることで、ポンプランナー収納室6を形成する。なお、この場合、支持軸9を仕切り体8の流入開口8Fを通してポンプカバー4の筒状凹部4Eに嵌合させる作業は、支持軸9のDカット形状が形成されていない他端側9Bを筒状凹部4Eに嵌めるようにしたので、その作業を円滑に行うことができる。
最後に、ポンプケーシング3の取り付けフランジ3Eとポンプカバー4の取り付けフランジ4Fを、そのポンプカバー4の溶着用溝4Hの全周に予め挿入したステンレス線41に電気を通電することによって熱溶着させる若しくはリング状のパッキング部材を介して複数本の螺子で締結させることで、ポンプケーシング3とポンプカバー4が水密的に一体化されることにより、自吸式ポンプ装置1の組立作業が終了する。なお、上記実施形態の組立手順におけるポンプカバー4の内壁側に仕切り体8を一体的に取り付ける工程は、それ以前の工程の実施前に、実施するようにしてよい。
次に、上記実施形態のポンプランナー10と従動側円筒状マグネット体15を、1つの部組とする組立手順を、詳説する。
まず、支持軸9の止めリング装着溝9Dに第2スラスト受け部材32側の止めリング33Aに装着した後、支持軸9のDカット形状部9A側から3枚のワッシャーからなる第2スラスト受け部材32側のワッシャー群33を、支持軸9に嵌め込み、そのワッシャー群33を止めリング装着溝9Dの位置まで移動させる。
次いで、ポンプランナー10の軸体10Bに軸受30を圧入した後、その軸受30にポンプランナー10の中央開口10Aから第2スラスト受け部材32を装着してなる支持軸9を、その支持軸9のDカット形状部9A側から挿入することにより、支持軸9の止めリング装着溝9Cの位置を円筒状取り付け部材34の工具挿入開口34Bに臨む位置まで移動させる。
次いで、軸受30に挿入した状態の支持軸9に、その支持軸9のDカット形状部9A側から3枚のワッシャーからなる第1スラスト受け部材31側のワッシャー群33を、支持軸9に嵌め込み、そのワッシャー群33を軸受30の円形状鍔部30Bに接する位置まで移動させる。
次いで、第1スラスト受け部材31側の止めリング33Aを、円筒状取り付け部材34の工具挿入開口34Bより、止めリング装着用工具40を用いて、支持軸9の止めリング装着溝9Cに装着する(図13及び図14を参照)。
最後に、ポンプランナー10の円筒状取り付け部材34の外周に、従動側円筒状マグネット体15を挿入して、従動側円筒状マグネット体15の従動側円筒状マグネット35に設けた係止凹部35Aに、円筒状取り付け部材34に設けた弾性爪部34Aを係止させることにより、ポンプランナー10と従動側円筒状マグネット体15を、1つの部組(図9及び図10を参照)とする組立作業が終了する。なお、ポンプランナー10と従動側円筒状マグネット体15を1つの部組とする上記実施形態の組立手順では、従動側円筒状マグネット体15をポンプランナー10の円筒状取り付け部材34に取り付けるようにしているが、支持軸9をポンプランナー10の軸受30を挿入する以前に、予め、従動側円筒状マグネット体15をポンプランナー10の円筒状取り付け部材34に取り付けた後に、支持軸9をポンプランナー10に取り付けるようにしてもよい。また、予め、ポンプランナー10の軸体10Bに軸受30を圧入してから、そのポンプランナー10に支持軸9を取り付けるようにしてもよい。
上記実施形態の自吸式ポンプ装置1の組立手順によれば、一つとしては、駆動側円筒状マグネット39をポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの外周方向に配設させた状態で、円筒状凹部3B内に従動側円筒状マグネット35が配設されるので、その従動側円筒状マグネット35と駆動側円筒状マグネット36が吸引し合うため、円筒状凹部3B内(従動側円筒状マグネット収納室18)への従動側円筒状マグネット体15の装着作業が円滑に行われる。二つとしては、モータケース19の貫通孔19Cから外方に突出した回転軸20Aに駆動側円筒状マグネット体16を構成する中空ボス部37を圧入固定することにより、モータ部材2に駆動側円筒状マグネット体16を取り付けるようにしたので、駆動側円筒状マグネット39の内周面と円筒状凹部3Bの外周面との間の隙間を所定寸法に、精度良く出すことができる。三つとしては、ポンプカバー4の内壁に取り付けられた仕切り体8によって封止ばね29が、ポンプカバー4と仕切り体8との間に挟持された状態が維持されているので、ポンプケーシング3とポンプカバー4を一体化させる作業が円滑に行われる。四つとして、モータ部材2を一体化したポンプケーシング3の円筒状凹部3Bが上に向くように、ポンプケーシング3をセットした状態とすることにより、ポンプランナー10と従動側円筒状マグネット体15の部組、ポンプカバー4の順で、ポンプケーシング3上に組み上げることができるなどの理由で、すべての部品の組立作業を、流れ作業で円滑に難なく行うことができ、自吸式ポンプ装置1の生産性を向上させることができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、モータ本体20を回転させると、ポンプケーシング3の駆動側円筒状マグネット収納室17内で、駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39が高速回転する。駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39が高速回転すると、従動側円筒状マグネット体15を設けたポンプランナー10が高速回転して、吸水口11からポンプカバー4内に揚水した水を吐出口12から効率よく吐出させることができる。この場合、ポンプカバー4内の水が、ポンプケーシング3の外壁により遮断されて、駆動側円筒状マグネット収納室17側に浸入することがないので、モータ本体20及びモータ本体20の周りの電気部品を水で濡らすことがないとともに、吸水口11からポンプカバー4内に揚水した水がポンプケーシング3及びポンプカバー4から外部に流出して、自吸式ポンプ装置1の周囲に一緒に設置されている電気部品を濡らしてしまうようなことがなくなるので、安全性が高く、かつ、長寿命化が図られる。しかも、上記自吸式ポンプ装置1によれば、駆動側円筒状マグネット39と従動側円筒状マグネット35を磁気結合させる構造であっても、縦寸法約120mm×横寸法約56mm×高さ約91mmという小形化された外郭形状とすることが可能であり、かつ、小形化されても、揚程約1.2mのときに、吐出流量10リットル/分というポンプ性能が得られる。また、上記自吸式ポンプ装置1によれば、全体重量を、330g以下にすることができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、第1スラスト受け部材31がポンプケーシング3の対向外壁とポンプランナー10の軸体10Bとの間に位置して軸受30の円形状鍔部30Bに摺接し、かつ、第2スラスト受け部材32が仕切り体8とポンプランナー10の軸体10Bとの間に位置して中空円筒部30Aに摺接するとともに、ポンプケーシング3とポンプカバー4との間に支持軸9を挟持固定した際、第1スラスト受け部材31がポンプケーシング3の外壁に非接触となり、かつ、第2スラスト受け部材32がポンプカバー4の内壁に非接触となる構成としたので、第1スラスト受け部材31がポンプケーシング3の対向外壁に回転接触することなく、かつ、第2スラスト受け部材32が仕切り体8及びポンプカバー4の内壁に回転接触することないので、異常音を発生させることがないとともに、実験によると、騒音値を従来品に比べて約2dB低下させ、かつ、振動平均値を従来品の約半分に低下させることができ、しかも、第1スラスト受け部材31がポンプケーシング3の対向外壁に回転接触し、かつ、第2スラスト受け部材32がポンプカバー4の内壁に回転接触することによって、ポンプケーシング3の対向外壁及びポンプカバー4の内壁が損傷することを防止できる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、円筒状取り付け部材34に、第1スラスト受け部材31側の止めリング33Aを支持軸9に装着するために使用する止めリング装着用工具41を挿入するための工具挿入開口34Bを設けたので、円筒状取り付け部材34を側面に一体形成した構成のポンプランナー10であっても、止めリング装着用工具40を円筒状取り付け部材34の工具挿入開口34Bに挿入することによって、支持軸9の止めリング装着溝9Cに止めリング33Aを簡単に装着することができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、ポンプケーシング3のモータ挿入開口3Aからモータ部材2の回転軸20Aに取り付けられた駆動側円筒状マグネット体16を、挿入するようにしたので、モータ部材2のモータケース19が駆動側円筒状マグネット収納室17の内壁に案内されるため、駆動側円筒状マグネット体16の駆動側円筒状マグネット39を円筒状凹部3Bに衝突させることなく、その駆動側円筒状マグネット39を円筒状凹部3Bの外方に、円滑に配設させることができ、組立性が優れている。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、支持軸9の一端側を、ポンプケーシング3の外壁に設けたDカット状嵌合穴3Hに挿入し、かつ、支持軸9の他端側を、仕切り体8の流入開口8Fを通しポンプカバー4の内壁面に設けた筒状凹部4Eに挿入した後、ポンプケーシング3とポンプカバー4を水密的に一体保持された状態にすることにより、ポンプケーシング3とポンプカバー4との間に挟持固定されるようにしたので、支持軸9が、回動することなく、確実に固定される。しかも、第1スラスト受け部材31及び第2スラスト受け部材32を、少なくとも2枚以上からなる前記支持軸に挿入されたワッシャー群33と、このワッシャー群33が支持軸9の外方への移動を止める止めリング33Aと、この止めリング33Aを支持軸9に固定するために支持軸9の外周に設けた止めリング装着溝9C、9Dとにより、ポンプランナーのスラスト方向のクリアランスを、ワッシャー群33のうちの一枚のワッシャーの厚さ寸法よりも小さく設定されるようにしてあるので、従動側円筒状マグネット35がポンプケーシング3の円筒状凹部3Bの内周壁に接触することが阻止されるとともに、ポンプランナー10をロックさせることなく、支持軸9を軸としてポンプランナー10を円滑に回転させることができる。また、自吸式ポンプ装置1の組立作業時に、組立作業者が誤って、ワッシャーの枚数を設定以上に支持軸9に嵌め込んで、自吸式ポンプ装置1の組立を完了させてしまった場合、例えば、3枚のところ4枚を支持軸9に嵌め込んで、自吸式ポンプ装置1の組立を完了させてしまった場合は、その自吸式ポンプ装置1のポンプランナー10がロックしてしまう。したがって、組立作業完了、自吸式ポンプ装置1のポンプランナー10の回転試験をすることで、支持軸9に設定枚数以上のワッシャーを嵌め込んでしまったことによる自吸式ポンプ装置1の不良品を抽出することができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、モータ本体20は、円筒状のモータケース19とモータキャップ24とに覆われているので、湿気の高い環境中でも使用することができる。また、モータ部材2のモータケース19の外周は、第2気水分離室7Bで覆われるので、その第2気水分離室7Bの水によってモータ本体20の温度上昇が抑えられる。また、モータケース19の一部を駆動側円筒状マグネット収納室17内に挿入した状態で、取り付け片22をポンプケーシング3の反ポンプカバー側外壁面3Cに締結すればよく、モータ部材2のポンプケーシング3への取り付け作業が容易に行える。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、逆流防止弁14、封止弁座4A及び水通路部4Gの形状を、横長楕円状とするとともに、逆流防止弁14及び封止弁座4Aが、仕切り体8の流入開口8Fと吸込み室5との境界部位から外周方向へ延びる延長線近傍であって、かつ、ポンプランナー収納室6内の外周に配置されるようにしたので、支持軸9の長手方向の長さ及び自吸式ポンプ装置1全体の縦寸法(回転軸20Aの長手方向の自吸式ポンプ装置1の寸法)を小さくすることができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、駆動側円筒状マグネット体16は、円筒容器状収納ケース36と、この円筒容器状収納ケース36の底中央部に形成されてモータ本体20の回転軸20Aに圧入固定される中空ボス部37と、円筒容器状収納ケース36の内周壁に嵌めた駆動側円筒状マグネット39とからなり、円筒容器状収納ケース36に複数個の弾性爪部36Aを、かつ、駆動側円筒状マグネット39に複数個の係止凹部39Aを、それぞれ形成して、弾性爪部36Aを係止凹部39Aに係止させることによって、駆動側円筒状マグネット39を円筒容器状収納ケース36の内周壁に、周方向への回動及び軸方向への移動が行われることなく、取り付けるようにしたので、駆動側円筒状マグネット39の円筒容器状収納ケース36への取り付け作業が容易に行える。また、円筒容器状収納ケース36内に駆動側円筒状マグネット39を埋設させる構造としていないので、駆動側円筒状マグネット体16の低コスト化を図ることができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、従動側円筒状マグネット体15は、ポンプランナー10の側面に設けられた円筒状取り付け部材34と、この円筒状取り付け部材34の外周壁に嵌めた従動側円筒状マグネット35とからなり、円筒状取り付け部材34に複数個の弾性爪部34Aを、かつ、従動側円筒状マグネット35に複数個の係止凹部35Aを、それぞれ形成して、弾性爪部34Aを係止凹部35Aに係止させることによって、従動側円筒状マグネット35を円筒状取り付け部材34の外周壁に、周方向への回動及び軸方向への移動が行われることなく、取り付けるようにしたので、従動側円筒状マグネット35の円筒状取り付け部材34への取り付け作業が容易に行える。また、円筒状取り付け部材34内に従動側円筒状マグネット35を埋設させる構造としていないので、従動側円筒状マグネット体15の低コスト化を図ることができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1のポンプカバー4及び仕切り体8によれば、特開2006−144620号公報に記載された自吸式ポンプ装置のような軸封装置(シール装置)によりポンプランナー収納室内の水がモータ本体側に漏れないようにした構造のポンプカバー及び仕切り体にも兼用することができるので、便利である。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、封止ばね受け凹部8B内に設けた傾斜突起8B−1の上面と逆流防止弁14における筒状突起部14Cの内底面が略平行となるように設定されているとともに、逆流防止弁14が開閉する際、逆流防止弁14が横長楕円状であっても、2個(複数個)の封止ばね29によって、逆流防止弁14の弁体部14Aをポンプカバーの封止弁座4Aに押し付けるようにしたので、その封止弁座4A全体に弁体部14Aが略均一に強く押し付けられるため、吸込み室5から吸水口11側への水の逆流を確実に阻止することができる。また、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、ポンプケーシング3の外壁に設けた渦巻き状嵌合溝3Gに仕切り体8に形成した渦巻き壁8Cが嵌合するようにしているので、渦巻き状嵌合溝3Gと渦巻き壁8Cとの間から気水分離室7内の水が、ポンプランナー収納室6内に逆流することを簡単に阻止できる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1では、逆流防止弁14と封止ばね29によって、自吸後、ポンプランナー10の回転を停止させた場合に、吸込み室5の水が吸水口11側に逆流することなく、吸込み室5及びポンプランナー収納室6に水が満たされているので、再度、ポンプランナー10を回転させると、例えば、浴槽(風呂)から洗濯槽への風呂水(洗濯水)の給水を、直ちに行わせることができので、例えば、洗濯作業において、洗濯工程終了後、給水工程を経由してすすぎ工程に移行する場合に、ポンプ自吸時間を要することなく、給水開始指令と同時に洗濯槽への風呂水(洗濯水)の給水を行わせることができるため、洗濯作業時間を短縮させることができる。
さらに、上記実施形態の自吸式ポンプ装置1によれば、ポンプランナー10の回転を停止した状態で、呼び水口13から気水分離室7、ポンプランナー収納室6及び吸込み室5内に流入させた水道水を、吐出口12から吐出用ホース(図示せず)を介して洗濯槽へ流出させるようにした場合であっても、逆流防止弁14が封止ばね29によって確実に閉じており、その水道水が吸水口11側からポンプカバー41の外に溢れてしまうことがないとともに、その水道水が、駆動側円筒状マグネット収納室17と、従動側円筒状マグネット収納室18及びポンプランナー収納室6が、ポンプケーシング3による隔壁(外壁面)によって遮断されているために、駆動側円筒状マグネット収納室17に侵入することがなく、前記水道水がモータ部材2を介してポンプケーシング3の外に漏れることがない。したがって、洗濯作業時に、自吸式ポンプ装置1を利用して、水道水栓に直結された給水電磁弁(図示せず)から吐出された水道水を、開放状態で所定の管路を介して上記実施形態のポンプカバー4の呼び水口13に注入させるようにしても、その水道水が、自吸式ポンプ装置1を設置したトップカバー等の上に流出することがない。
上記した弾性爪部34Aを係止凹部35Aに係止させることで、従動側円筒状マグネット35を円筒状取り付け部材34の外周壁に固定する構成及び弾性爪部36Aを係止凹部39Aに係止させることで、駆動側円筒状マグネット39を円筒容器状収納ケース36の内周壁に固定する構成は、呼び水口13及び逆流防止弁14を備えた本実施形態の自吸式ポンプ装置1に限定させるものではなく、駆動側円筒状マグネット39と従動側円筒状マグネット35を、ポンプケーシング3を介して同心円筒状に対向させることによって磁気結合させることによりポンプランナーを回転させるようにしたポンプ装置や呼び水口13及び逆流防止弁14を備えない構成のポンプ装置であっても採用できる。
さらに、上記した支持軸9の一端側であるDカット形状部9Aを、円筒状凹部3Bの中央部に設けたDカット状嵌合穴3Hに挿入し、かつ、支持軸9の他端側9Bを、仕切り体8の流入開口8Fを通してポンプカバー4の内壁面に設けた筒状凹部4Eに挿入した後、ポンプケーシング3とポンプカバー4を水密的に一体化させた状態にすることで、ポンプケーシング3とポンプカバー4との間に支持軸9を挟持固定した際、第1スラスト受け部材31がポンプケーシング3の外壁に非接触となり、かつ、第2スラスト受け部材32がポンプカバー4の内壁に非接触となる構成は、本実施形態のように、モータ本体20の回転軸20Aが水平方向に延びるように配置した横型の自吸式ポンプ装置1に限定させるものではなく、モータ本体20の回転軸20Aが垂直方向に延びるように配置した縦型のポンプ装置であっても採用できる。