JP2009039066A - 魚釣用電動リール - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は魚釣用電動リールに関し、スプールのフリー回転性能に支障を来すことなく、リール全体の小型化を図った魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【解決手段】 リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動し、正逆両方向へ回転可能なスプール駆動モータと、該スプール駆動モータの回転をスプール軸に伝達する動力伝達機構と、スプールを巻取り駆動する手動ハンドルとを備え、前記動力伝達機構の連結歯車に一方向クラッチを装着し、手動ハンドルの駆動力を該一方向クラッチでスプール駆動モータ側へ伝達不能としてスプールを駆動回転可能とした魚釣用電動リールに於て、前記スプール駆動モータの駆動力を動力伝達機構に出力するスプール駆動モータ側の出力歯車と、動力伝達機構を構成する歯車を直列状に配置して噛合連結すると共に、前記一方向クラッチを介して前記連結歯車を支持する支軸の基部を、反スプール側に配置した支持板に固着したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リール本体に回転自在に取り付くスプールを巻取り駆動するスプール駆動モータの正逆両方向への回転を利用して、巻取り速度の高/低速の変速やクラッチの切換制御を可能とした魚釣用電動リールに関する。
船釣り等、深場の魚層を対象とした魚釣りを行う場合、魚釣用電動リール(以下、「電動リール」という)が広く使用されているが、昨今では、スプールを巻取り駆動するスプール駆動モータ(以下、「モータ」という)の動力を単に通常の巻取り駆動力として使用するだけでなく、図5に示すように正逆両方向へ回転可能なモータaのモータ軸(モータ出力部)bと、モータaの駆動力をスプールcに伝達する動力伝達機構dとの間に、ギヤ比の異なる高速用歯車伝達機構eと低速用歯車伝達機構fからなる機械式変速機構gを装着し、操作パネルh上の変速スイッチiの操作でモータaの回転方向を正逆両方向へ切り換えることにより、高速用歯車伝達機構eと低速用歯車伝達機構fを選択的に動力伝達可能として、スプールcの巻取り速度を高/低速に変速可能とした手動併用型の電動リールjが特許文献1で知られている。
前記動力伝達機構dは、スプール軸kに取り付くスプール軸駆動歯車lと、機械式変速機構gの出力歯車mに噛合する連結歯車nとで構成されている。そして、ハンドルoの巻き取り操作でスプールcを駆動回転し、且つモータaの正逆両方向の回転を可能にするため、前記連結歯車nに一方向クラッチpが装着されており、ハンドルoの巻取り操作時に該一方向クラッチpの楔作用で連結歯車nの回転が阻止され、その反力でハンドルoの駆動力が遊星歯車減速機構qを介してスプールcに伝達されるようになっている。
而して、図示するように連結歯車nは、支持板(セットプレート)rに固着した支軸sに軸受tを介して回転自在に支持されると共に、軸受tの軸方向に隣接して離間配置した一方向クラッチpによって、一方向の回転が規制された構造となっている。
特開2006−325481号公報
このように、前記電動リールjは、ハンドルoの巻き取り操作によるスプールcの駆動とモータaの正逆両方向の回転を可能にするため、動力伝達機構gの連結歯車nに一方向クラッチpを装着してその一方向回転規制を行っているが、前記軸受tと一方向クラッチpを支軸sの軸方向に隣接して離間配置した構造上、連結歯車nの支持部が軸方向に長くなって電動リールj全体が大型化しているのが実情であった。
また、楔作用による回転止めの機能上、鉄系材で焼き入れ処理した硬質材からなる一方向クラッチpを支持する支軸sは、基部uがスプールc側に向けて支持板rに固定されていたため、該基部uがスプールフランジvに装着したスプール回転検出用のマグネットwに近接配置された構造となっている。
このため、スプールcと一体回転するマグネットwの磁気作用の影響で、スプールcのフリー回転性能を低下させてしまう等の課題も残されていた。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、スプールのフリー回転性能に支障を来すことなく、リール全体の小型化を図った電動リールを提供することを目的とする。
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動し、正逆両方向へ回転可能なモータと、該モータの回転をスプール軸に伝達する動力伝達機構と、スプールを巻取り駆動する手動ハンドルとを備え、前記動力伝達機構の連結歯車に一方向クラッチを装着し、手動ハンドルの駆動力を該一方向クラッチでモータ側へ伝達不能としてスプールを駆動回転可能とした電動リールに於て、前記モータの駆動力を動力伝達機構に出力するモータ側の出力歯車と、動力伝達機構を構成する歯車を直列状に配置して噛合連結すると共に、前記一方向クラッチを介して前記連結歯車を支持する支軸の基部を、反スプール側に配置した支持板に固着したことを特徴とする。
そして、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電動リールに於て、前記動力伝達機構を構成する歯車は、モータの駆動力を出力する前記出力歯車に噛合する連結歯車と、スプール軸に一体的に取り付き、該連結歯車に噛合するスプール軸駆動歯車とからなり、前記出力歯車と連結歯車及びスプール軸駆動歯車を直列状に配置したことを特徴とする。
各請求項に係る発明によれば、モータ側の出力歯車と、動力伝達機構を構成する歯車を直列状に配置して噛合連結し、連結歯車を支持する支軸の基部を反スプール側に配置した支持板に固着したので、軸方向の短縮化によってリール全体の小型化が可能となり、握持保持性が向上し、魚釣り操作性が向上する利点を有する。
また、支軸の基部を反スプール側の支持板に固着することで、スプール回転検出用のマグネットから基部が離間し、この結果、磁力線の影響を回避してスプールのフリー回転性能に支障を来すことなく、スプールの側面に前記マグネットをリール全体の小型化を図り乍ら装着することが可能となった。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図4は請求項1及び請求項2に係る電動リールの一実施形態を示し、図1に於て、1,3はフレーム5の左右に取り付く側板で、両側板1,3とフレーム5とで本実施形態に係る電動リール7のリール本体9が構成され、両側板1,3間にスプール軸11を介してスプール13が回転可能に支持されている。
スプール軸11はスプール13の軸心を貫通し、その側板1側の一端が、フレーム5に一体的に取り付く支持板(セットプレート)15に軸受17を介して回転可能に支持されている。そして、スプール軸11の側板1側に、動力伝達機構19のスプール軸駆動歯車21が回り止め嵌合されている。
スプール13は、モータ23の駆動と手動ハンドル(以下、「ハンドル」という)25の巻取り操作で回転して釣糸が巻回され、モータ23は、スプール13前方のフレーム5に一体形成された筒状のモータケース27内に収納されている。そして、側板1側のモータケース27内とリール本体9に、第1の遊星歯車減速機構29と機械式変速機構31,前記スプール軸駆動歯車21を含む動力伝達機構19が、モータ23のモータ軸33とスプール軸11との間に順次装着されており、モータ23の回転速度が遊星歯車減速機構29,機械式変速機構31で減速/変速されて、動力伝達機構19からスプール軸11に伝達されるようになっている。
図2は遊星歯車減速機構29,機械式変速機構31及び動力伝達機構19の拡大断面図、図3は遊星歯車減速機構29と機械式変速機構31の拡大断面図、図4は機械式変速機構31と動力伝達機構19の動力伝達経路の模式図を示し、図2中、35はモータ軸33に回り止め嵌合された遊星歯車減速機構29の太陽歯車で、モータ23は正逆両方向へ回転可能に構成され、これに伴い太陽歯車35も正,逆両方向へ回転する。
そして、モータケース27の反ハンドル側の内周に、環状の支持部材が圧入されてモータ23の軸受37を支持する第1壁部39が形成されると共に、該第1壁部39から軸方向へ離間して第2壁部41がモータケース27内に一体形成されており、第2壁部41の中央には、モータ軸33を中心軸として筒状の支持部43が設けられている。
図2及び図3に示すように遊星歯車減速機構29は、前記第1壁部39と第2壁部41との間に装着されており、該遊星歯車減速機構29は、前記太陽歯車35と、第1壁部39と第2壁部41とで区画形成された収納部45の内周に形成された内歯47(金属材で別体形成して、モータケース27内に一体化することが好ましい)と、該内歯47と太陽歯車35とに噛合する複数の遊星歯車49とで構成されている。そして、前記遊星歯車49は、支軸51を介して断面略Y字状に形成された遊星歯車支持体53に回転可能に支持され、該遊星歯車支持体53は、軸受55,56を介して第2壁部41の支持部43とモータ軸33とに回転可能に支持されている。
そして、モータ23が正転(時計回りの回転;以下、同様)して太陽歯車35が同方向へ回転すると、遊星歯車49が反時計回りに自転し乍ら太陽歯車35の周囲を公転して、遊星歯車支持体53を時計回りへ回転させるようになっている。
また、モータ23が逆転(反時計回りの回転;以下、同様)して太陽歯車35が同方向へ回転すると、遊星歯車49が時計回りに自転し乍ら太陽歯車35の周囲を公転して、遊星歯車支持体53を反時計回りに回転させるようになっている。
そして、前記支持部43に支持された遊星歯車支持体53の突出端側に出力歯車57が一体的に取り付き、該出力歯車57に、低速用歯車伝達機構59の低速用入力歯車(機械式変速機構31の入力部)61と高速用歯車伝達機構63の高速用入力歯車(機械式変速機構31の入力部)65が噛合しており、機械式変速機構31は、この低速用歯車伝達機構59と高速用歯車伝達機構63とで構成されている。
図2及び図3に示すように、低速用入力歯車61と高速用入力歯車65は外径が同一で出力歯車57とのギヤ比が同一に設定されており、低速用入力歯車61は、第1の支軸(低速用出力軸)67に装着された一方向クラッチ69の外輪71に回り止め嵌合され、高速用入力歯車65は、第2の支軸(高速用出力軸)73に装着された一方向クラッチ75の外輪77に回り止め嵌合されている。
そして、一方向クラッチ69,75は、力を伝達するその回転方向が互いに逆向きに設定されており、低速用入力歯車61側の支軸67に装着された一方向クラッチ69は、モータ23が逆転して低速用入力歯車61が正転すると、その楔作用で低速用入力歯車61の回転力を支軸67に伝達し、モータ23が正転して低速用入力歯車61が逆転すると、その回転力を支軸67に伝達しない(支軸67が空回りする)ように構成されている。
一方、高速用入力歯車65側の支軸73に装着された一方向クラッチ75は、モータ23が逆転して高速用入力歯車65が正転すると、その回転力を支軸73に伝達せず(支軸73が空回りする)、モータ23が正転して高速用入力歯車65が逆転すると、その楔作用で高速用入力歯車65の回転力を支軸73に伝達させるようになっている。
尚、図3に示すように支軸67,73は、夫々、モータケース27の反ハンドル側開口部を閉塞する蓋体75と、該蓋体75を覆ってフレーム5に取り付く支持板15、そして、前記支持部43の外周とモータケース27の内周との間に夫々装着された軸受78,79,81等で回転可能に支持されている。そして、蓋体75の中央に突設した筒状の支持部83内に、遊星歯車支持体53の突出端がメタル軸受85で支持され、また、該蓋体75に設けた2つの筒状の支持部87の外周に、前記低速用入力歯車61と高速用入力歯車65が、夫々、軸受88で支持されている。
そして、図3に示すように前記蓋体75から突出する支軸67に、低速用歯車伝達機構59の小径な低速用出力歯車(モータ23側の出力歯車)89が回り止め嵌合され、蓋体75から突出する支軸73に、高速用歯車伝達機構63の大径な高速用出力歯車(モータ23側の出力歯車)91が回り止め嵌合されており、図3及び図4に示すようにこれらは直列状に配置されて噛合している。そして、図2及び図4に示すように前記高速用出力歯車91に、動力伝達機構19の連結歯車93が噛合している。
図1及び図2に示すように動力伝達機構19は、前記スプール軸駆動歯車21と、該スプール軸駆動歯車21と前記高速用出力歯車91との間に配置されてこれらに噛合する連結歯車93とで構成されており、スプール軸駆動歯車21と連結歯車93は前記低速用出力歯車,高速用出力歯車9と直列状に配置されている。そして、軸受78,17を介して支軸67,73やスプール軸11を支持する支持板15は、直列状に配置されて噛合している低速用出力歯車89,高速用出力歯車91,連結歯車93,スプール軸駆動歯車21に沿ってフラットな形状とされている。
而して、図2に示すように前記連結歯車93は、支持板15に支軸95を介して取り付く一方向クラッチ97の外輪99に回り止め嵌合されて、該支持板15の支持部100に軸受101で回転可能に支持されており、図5の電動リールjと同様、ハンドル25の巻取り操作時に、前記一方向クラッチ97の楔作用で連結歯車93の回転が阻止、即ち、モータ23側へのハンドル25の駆動力が伝達不能とされて、その反力でハンドル25の駆動力が、後述する遊星歯車減速機構(動力伝達機構)102をからスプール13に伝達されてスプール13が巻取り方向に回転するようになっている。
そして、本実施形態は、図5の電動リールjに用いた支軸sに代え、連結歯車93を支持する支軸95の基部103を、該支軸95を挟んで反スプール側に配置した支持板15に固着したことを特徴としている。尚、支軸95は前記支軸sと同一材料で形成されている。
即ち、高速用出力歯車91や連結歯車93等に沿ってフラットな形状とされた支持板15には、支軸95の基部103の回り止め部104を備えた支軸取付孔105が設けられており、該支軸取付孔105に支軸95を外方から挿入して、基部103を回り止め部104に固着できるようになっている。そして、支軸95の外周に一方向クラッチ97のコロ98が当接し、一方向クラッチ97の径方向外方に、連結歯車93を支持板15に支持する軸受101を配置した構造となっている。
このため、軸受tと一方向クラッチpを支軸sの軸方向に隣接して離間配置した図5の従来構造に比し支軸95の短寸化(連結歯車93の支持部の短寸化)が図れると共に、基部103を反スプール側の支持板15に固着したことで、図5の従来構造に比し、後述する回転検出手段135のマグネット139から基部103が離間配置した構造となっている。
そして、図1に示すようにスプール軸11は、スプール13の中央を貫通してその他端側が側板3内に突出し、その突出端に、モータ23の駆動力とハンドル25操作の回転力をスプール13に伝達させる第2の遊星歯車減速機構102が装着されている。
従来と同様、遊星歯車減速機構102は、スプール軸11の突出端に回り止め嵌合された太陽歯車106とこれに噛合する複数の遊星歯車107、そして、スプール13の一端に装着された内歯歯車109を備え、内歯歯車109と太陽歯車106に遊星歯車107が噛合している。そして、遊星歯車107は支軸111を介して遊星歯車支持体113に取り付けられており、遊星歯車支持体113はスプール13に取り付けたブラケット115に嵌合し、軸受117を介してピニオン軸119に回転可能に支持されている。
また、図1中、25は既述した釣糸巻取り操作用のハンドルで、該ハンドル25は側板3に回動可能に挿着したハンドル軸121の側板3外突出端に連結されており、ハンドル軸121にはラチェット123が側板3内で固着され、更にドライブギヤ125が回転可能に取り付けられている。そして、ドライブギヤ125とハンドル軸121は、ハンドル軸121に装着した周知のドラグ装置127で摩擦結合されており、ドラグ力調節レバー129の操作でドラグ装置127のドラグ力が調節できるようになっている。
そして、既述したようにハンドル25の巻取り操作時に、前記一方向クラッチ97の楔作用でスプール軸駆動歯車21に噛合する連結歯車93の回転が阻止されるため、ハンドル25の回転力が遊星歯車減速機構102からスプール13に伝達されて、スプール13が巻取り方向へ回転するようになっている。
また、図示しないが前記ラチェット123には、ばねで付勢された周知の係止爪が係止しており、斯様にラチェット123に係止爪が係止してスプール13の逆転止めが図られている。そして、このラチェット123には、図示しないクラッチ復帰用突部が設けられて、ハンドル25の回転による周知のクラッチ復帰機構が構成されている。更に、ハンドル軸121と側板3との間に一方向クラッチ130が装着されて、ハンドル軸121の逆転防止機構を構成している。
更に、図示しないが本実施形態の電動リール7には、既述した機械式変速機構31に加え、特許第2977978号公報で開示された電動リールと同様の電気式変速機構が装着されており、ハンドル25側の側板3の側部前方に、レバー形状のモータ出力調節体(以下、「パワーレバー」という)が、リール本体9の前後方向へ所定の角度(例えば、120°の範囲)に亘って回転操作可能に取り付けられている。
パワーレバーは、側板3に内蔵されたポテンショメータの操作軸に連結され、パワーレバーの回転操作によるポテンショメータの抵抗値の変化が、リール本体9上部の図示しない周知の制御ボックス内に装着したマイクロコンピュータに入力されている。
そして、マイクロコンピュータは、パワーレバーの変位量に応じたパルス信号のデューティ比として、モータ駆動電流通電時間率をモータ23のモータ駆動回路中に接続したスィッチング素子で可変制御して、モータ23のモータ出力を増減調節するようになっている。
更にまた、スプール13後方の側板1,3間には、側板3内に装着された周知のクラッチ機構131を操作するクラッチレバー133が下方向へ押圧操作可能に取り付けられており、該クラッチレバー133の押圧操作で、クラッチ機構131がクラッチON状態からクラッチOFF状態に切り換わるようになっている。そして、このクラッチOFF状態でハンドル25を巻取り方向へ回転させると、既述したクラッチ復帰機構を介してクラッチ機構131がクラッチON状態に復帰するように構成されており、このクラッチレバー133とハンドル25のクラッチON/OFFの切換え操作で、スプール13が釣糸巻取り状態とスプールフリー状態とに切り換わって、スプール13へのモータ23やハンドル25の回転力が伝達/遮断されるようになっている。
また、図1中、135はスプール13の回転数とその回転方向を検出する回転検出手段で、該回転検出手段135は、支持板15に装着されたホール素子やリードスイッチからなる磁気センサ137と、これに対向してスプール13の一端側周縁部に固着された複数のマグネット139とで構成されており、磁気センサ137はマイクロコンピュータに接続されている。
而して、マイクロコンピュータのCPUは、特開平5−103567号公報で開示された糸長計測プログラムと同様、磁気センサ137から出力されるスプール13の正転,逆転の判定信号を取り込んで釣糸の繰出しか巻取りかを判定すると共に、磁気センサ137から取り込むスプール13の回転パルス信号をカウントして、この計数値を基にマイクロコンピュータのROMに記憶された糸長計算式を演算実行するようになっている。
そして、マイクロコンピュータは、この演算結果(糸長)を制御ボックスの操作パネル上に設けた表示器(図示せず)に表示させるようになっており、釣人は斯かる表示を確認し乍ら、所定の水深に仕掛けを繰り出したり、ハンドル25やパワーレバーの操作で釣糸を巻き取ることが可能となる。
更に、リール本体9上部の図示しない操作パネル上には、表示器に隣接して図示しない変速HI/LOWスイッチが装着されており、変速HI/LOWスイッチはマイクロコンピュータに接続されている。そして、変速HI/LOWスイッチを押圧操作すると、マイクロコンピュータは先ず、モータ23を正転させ、以後、変速HI/LOWスイッチの押圧操作に応じ、モータ23の回転を正逆両方向へ交互に切り換えるように構成されており、このモータ23の正転,逆転への切換制御で、機械式変速機構31が、低速用歯車伝達機構59による低速動力伝達状態と高速用歯車伝達機構63による高速動力伝達状態とに交互に切り換わるように構成されている。
そして、変速HI/LOWスイッチによる機械式変速機構31の高速動力伝達状態と低速動力伝達状態の切換え制御に応じ、前記表示器に「HI」,「LOW」の文字が表示されるようになっている。
本実施形態に係る電動リール7はこのように構成されており、クラッチレバー133のクラッチOFF操作で釣糸がスプール13から繰り出され、また、ハンドル25の巻取り方向への回転操作やクラッチレバー133のクラッチON操作でクラッチ機構131がクラッチON状態に復帰し、パワーレバーによるモータ23の巻取り駆動やハンドル25の巻取り操作でスプール13に釣糸が巻回され、釣糸の繰出しや巻取りに伴い、回転検出手段135の検出値を基に糸長が計測されて表示器に表示されるが、パワーレバーの操作で駆動制御されるモータ23の回転が、遊星歯車減速機構29で減速されて機械式変速機構31に伝達される。
そして、変速HI/LOWスイッチの押圧操作で、機械式変速機構31が、低速用歯車伝達機構59による低速動力伝達状態と高速用歯車伝達機構63による高速動力伝達状態とに切り換わる。
即ち、変速HI/LOWスイッチが操作されると、マイクロコンピュータは先ず、モータ23の回転を高速用歯車伝達機構63を介してスプール13に伝達させるべく、モータ駆動回路に指令を送出してモータ23を正転させる。
このとき、モータ23は、パワーレバーの操作量に応じたモータ出力で回転駆動し、パワーレバーがモータ停止状態にあるとき、変速HI/LOWスイッチを操作してもモータ23は駆動しない。
而して、斯様にモータ23が正転すると、遊星歯車減速機構29の太陽歯車35が同方向へ回転し、遊星歯車49が反時計回りに自転し乍ら太陽歯車35の周囲を公転して遊星歯車支持体53を正転させる。
そして、遊星歯車支持体53の正転によって出力歯車57が同方向に回転するため、これに噛合する低速用入力歯車61と高速用入力歯車65が共に逆転し、高速用歯車伝達機構63側の一方向クラッチ75の楔作用で、高速用入力歯車65の回転が支軸73に伝わる。一方、低速用歯車伝達機構59側の一方向クラッチ69は、低速用入力歯車61の回転を支軸67に伝えず、支軸67とこれに取り付く低速用出力歯車89は空回り状態となる。
斯様に高速用入力歯車65の回転が支軸73に伝わると、これに回り止め嵌合された高速用出力歯車91が回転し、支軸73の駆動力が動力伝達機構19の連結歯車93とスプール軸駆動歯車21からスプール軸11へと伝達されて、スプール13が高速動力伝達状態で駆動する。このとき、高速用出力歯車91に噛合する低速用出力歯車89は空回りして、低速用歯車伝達機構59は機能しない。
そして、この高速動力伝達状態で変速HI/LOWスイッチが操作されると、マイクロコンピュータは、モータ駆動回路に指令を送出してモータ23を一旦停止させた後、モータ23を逆転させる。
而して、斯様にモータ23が逆転すると、遊星歯車減速機構29の太陽歯車35が同方向へ回転し、遊星歯車49が時計回りに自転し乍ら太陽歯車35の周囲を公転して遊星歯車支持体53を反時計回りに回転させ、これと一体の出力歯車57が同方向へ回転する。
出力歯車57の逆転に伴い、これに噛合する低速用入力歯車61と高速用入力歯車65が共に正転し、低速用歯車伝達機構59側の一方向クラッチ69の楔作用で低速用入力歯車61の回転が支軸67に伝わる。そして、高速用歯車伝達機構63側の一方向クラッチ75は、高速用入力歯車65の回転を支軸73に伝えず、支軸73とこれに取り付く高速用出力歯車91は空回り状態となる。
このように低速用入力歯車61の回転が支軸67に伝わると、これに回り止め嵌合された低速用出力歯車89が回転し、これに噛合する空回り状態の高速用出力歯車91を介して、支軸67の駆動力が動力伝達機構19を経てスプール軸11へと伝達されて、スプール13が低速動力伝達状態で駆動する。
以後、機械式変速機構31は、変速HI/LOWスイッチの押圧操作に応じ、高速用歯車伝達機構63による高速動力伝達状態と、低速用歯車伝達機構59による低速動力伝達状態とに交互に切り換わることとなる。
そして、反ハンドル側のモータケース27内を、第1壁部39と第2壁部41とで区画して収納部45を形成し、該収納部45内に遊星歯車減速機構29を収納した構造上、遊星歯車減速機構29や機械式変速機構31等の歯車の収納空間が分割されて、特許文献1の従来例に比し歯車同士の噛合音共鳴が抑制,低減される。
また、前記従来例は、高速用歯車伝達機構eと低速用歯車伝達機構fの噛合伝達機構を介して最終的に一つの出力歯車mから動力伝達機構dへモータaの駆動力を伝達させる構造上、介在する歯車数が多く動力伝達部の静音化が十分ではなかったが、本実施形態は、低速用歯車伝達機構59の支軸67と高速用歯車伝達機構63の支軸73という2つの出力軸を設けて、夫々の低速用出力歯車89と高速用出力歯車91から出力させたため、介在する歯車数が減少して静音化が図られる。
更に、既述したように本実施形態は、低速用出力歯車89,高速用出力歯車91,連結歯車93,スプール軸駆動歯車21を直列状に配置して噛合連結し、これらを支持する支持板15を各歯車89,91,93,21に沿ってフラットな形状にすると共に、支軸95を支持板15に固着し、該支軸95の外周に一方向クラッチ97を装着してその径方向外方に、連結歯車93を支持板15に支持する軸受101を配置した構造上、図5の従来構造に比し支軸95の短寸化(連結歯車93の支持部の短寸化)が図られる。
従って、本実施形態によれば、軸方向の短縮化によって電動リール7全体の小型化が可能となって、握持保持性が向上し、魚釣り操作性が向上する利点を有する。
更にまた、本実施形態は、支持板15に設けた支軸取付孔105に、鉄系材で焼き入れ処理した硬質材からなる支軸95を外方から挿入して、その基部103を支持板15の回り止め部104に固着したため、図5の従来構造に比し回転検出手段135のマグネット139から基部103が離間する。
従って、本実施形態によれば、磁力線の影響を回避して、スプール13のフリー回転性能に支障を来すことなく、スプール13の側面にスプール回転検出用のマグネット139をリール全体の小型化を図り乍ら装着することが可能となった。
尚、前記実施形態は、モータ23の正逆両方向への回転を利用して、巻取り速度の高/低速の変速を行う電動リール7に本発明を適用したが、例えば特開2006−238736号公報に開示されるように、モータの正逆両方向への回転を利用してクラッチの切換制御を図る電動リールにも適用できることは勿論である。
請求項1及び請求項2の一実施形態に係る電動リールの要部切欠き平面図である。 遊星歯車減速機構と機械式変速機構,動力伝達機構の拡大断面図である。 遊星歯車減速機構と機械式変速機構の拡大断面図である。 機械式変速機構と動力伝達機構の動力伝達経路の模式図である。 従来の電動リールの要部切欠き平面図である。
符号の説明
1,3 側板
5 フレーム
7 電動リール
9 リール本体
11 スプール軸
13 スプール
15 支持板
19 動力伝達機構
21 スプール軸駆動歯車
23 モータ
25 ハンドル
27 モータケース
29,102 遊星歯車減速機構
31 機械式変速機構
33 モータ軸
39 第1壁部
41 第2壁部
43 支持部
45 収納部
53,113 遊星歯車支持体
57 出力歯車
59 低速用歯車伝達機構
61 低速用入力歯車
63 高速用歯車伝達機構
65 高速用入力歯車
67 第1の支軸
69,75,97,130 一方向クラッチ
73 第2の支軸
89 低速用出力歯車
91 高速用出力歯車
93 連結歯車
95 支軸
103 基部
104 回り止め部
105 支軸挿入孔
127 ドラグ装置
131 クラッチ機構
133 クラッチレバー
135 回転検出手段
137 磁気センサ
139 マグネット

Claims (2)

  1. リール本体に回転自在に支持されたスプールを巻取り駆動し、正逆両方向へ回転可能なスプール駆動モータと、
    該スプール駆動モータの回転をスプール軸に伝達する動力伝達機構と、
    スプールを巻取り駆動する手動ハンドルとを備え、
    前記動力伝達機構の連結歯車に一方向クラッチを装着し、手動ハンドルの駆動力を該一方向クラッチでスプール駆動モータ側へ伝達不能としてスプールを駆動回転可能とした魚釣用電動リールに於て、
    前記スプール駆動モータの駆動力を動力伝達機構に出力するスプール駆動モータ側の出力歯車と、動力伝達機構を構成する歯車を直列状に配置して噛合連結すると共に、
    前記一方向クラッチを介して前記連結歯車を支持する支軸の基部を、反スプール側に配置した支持板に固着したことを特徴とする魚釣用電動リール。
  2. 前記動力伝達機構を構成する歯車は、スプール駆動モータの駆動力を出力する前記出力歯車に噛合する連結歯車と、スプール軸に一体的に取り付き、該連結歯車に噛合するスプール軸駆動歯車とからなり、前記出力歯車と連結歯車及びスプール軸駆動歯車を直列状に配置したことを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
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