JP2006109831A - 魚釣用電動リール - Google Patents
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Abstract
【課題】容易にリール本体に組み込めると共に、簡単な構造で低速駆動と高速駆動の切り換えを可能にする変速装置を備えた魚釣用電動リールを提供する。
【解決手段】魚釣用電動リール1は、リール本体4に回転自在に支持されたスプール7を回転駆動する駆動モータ10と、駆動モータ10からの回転駆動力を減速してスプール7に伝達する減速機構63と、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を備え、この複数の動力伝達機構のいずれか一つを選択的に動力伝達可能としてスプール7の回転速度を変化させる変速装置19とを有する。そして、変速装置における少なくとも複数の動力伝達機構をリール本体4から独立した状態でユニット化したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】魚釣用電動リール1は、リール本体4に回転自在に支持されたスプール7を回転駆動する駆動モータ10と、駆動モータ10からの回転駆動力を減速してスプール7に伝達する減速機構63と、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を備え、この複数の動力伝達機構のいずれか一つを選択的に動力伝達可能としてスプール7の回転速度を変化させる変速装置19とを有する。そして、変速装置における少なくとも複数の動力伝達機構をリール本体4から独立した状態でユニット化したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、リール本体に回転自在に支持されたスプールを回転駆動する駆動モータを備えた魚釣用電動リールに関する。
一般に、魚釣用電動リールは、状況に応じた巻取り操作を行なうべく、変速装置を備えている。このような変速装置としては、駆動モータへ供給される電流量を制御して、モータ出力の増減調節を行ない、これによってスプールの回転速度を変化させる電気式の変速装置が一般的に知られている。
しかし、電気式の変速装置では、噛み合う歯車のギヤ比を高速状態に設定するか低速状態に設定するかによって、低速回転時にトルクが不足したり、高速巻取り性能が劣ったりするという課題が指摘されている。すなわち、魚が掛かったときは、大きいトルクで巻取り操作が行なえ、また、単に仕掛けを回収する際には、高速で巻取り操作が行なえるようになっていることが好ましいが、上記した電気式の変速装置では、設定したギヤ比によっては、いずれかの操作性を向上させると、他方の操作性が劣ってしまうという問題が生じる。
そこで、例えば、特許文献1に開示されているように、駆動モータの回転を減速する遊星歯車からなる減速機構の駆動系統の一部を、外部操作によってON/OFFして、噛み合う歯車のギヤ比を変化させて、スプールの回転速度を機械的に低速状態と高速状態の2段階に切り換える機械式の変速装置が提案されている。
また、例えば、特許文献2には、駆動モータの回転方向を切り換えることで、高速用と低速用の動力伝達機構を選択するようにした変速装置が提案されている。この変速装置の構成は、駆動モータの回転方向で変速装置の高速と低速を切り換える構成であり、駆動モータの回転方向の制御のみで切り換えが行なえるため、ソレノイドやカムのような別体の切換機構が不要になり、構造が簡素化されるという優れた効果が得られる。
実開昭64−41270号公報
特開2001−148978号公報
上記した特許文献1に開示されているような機械式の変速装置では、減速機構の駆動系統をON/OFFするための構造が必要となるため、部品点数が多くなって構造が複雑化し、リール全体が大型化、重量化して携帯性が低下してしまう。特に、多数枚の遊星機構を重ねた構造であることから、ギヤ等の組み込み性がきわめて悪く、また、低回転駆動時にはハンドルの巻取り操作ができない構造であることから、トラブルを誘発したり、巻取り及び繰り出し等の魚釣操作性が低下してしまう等の問題がある。
上記した特許文献2に開示されているような、モータの回転方向を切り換えることで高速用と低速用の動力伝達機構を切り換える変速装置は、複数の動力伝達機構を備えていることから、リール本体に対する組み付け作業は容易ではなく、製造コストが高騰してしまう。すなわち、上記したような変速装置をリール本体に組み付けるには、数多くの部品(ワンウェイクラッチや各種のギヤ等)を、相互の関連性をもって精度良く組み込む必要があり、組み付け作業には熟練が必要になるとともに組み付けにも時間が掛かってしまい、コストが高騰してしまう。また、メンテナンス等を目的として分解すると、一般ユーザでは正確に組み直すことがきわめて困難となり、メンテナンス性が悪いという問題もある。
さらに、リール本体に対して、上記した変速装置を直接組み付ける構造であるため、変速装置を設けるには、新たにフレームを作り直す必要があり、新規のリールにしか組み込むことができない。すなわち、既存のリールのフレームに対して、変速装置を組み込むことはできない。
本発明は、上記した問題に基づいてなされたものであり、容易にリール本体に組み込めると共に、簡単な構造で低速駆動と高速駆動の切り換えを可能にする変速装置を備えた魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用電動リールは、リール本体に回転自在に支持された釣糸巻取り用のスプールを回転駆動する駆動モータと、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を備え、前記複数の動力伝達機構のいずれか一つを選択的に動力伝達可能としてスプールの回転速度を変化させる変速装置とを有しており、前記変速装置における少なくとも複数の動力伝達機構を、前記リール本体から独立した状態でユニット化したことを特徴とする。
上記した構成の魚釣用電動リールによれば、変速装置における少なくとも複数の動力伝達機構がユニット化されていることから、製造工程における変速装置の部組みが可能となり、作業時間の短縮化が図れ、製造コストを低減することが可能となる。また、特に、構造が複雑な複数の動力伝達機構がユニット化されているため、その部分については分解等する必要が無くなってメンテナンスが容易に行なえるようになる。更に、ユニット化した変速装置を組み込むスペースを予め設けておくことで、変速装置の有無を選択することが可能となり、様々な用途に合わせて巻取り性能が異なるリール構成にすることが可能になる。また、異なる変速比で構成されたユニットと容易に交換することが可能となり、一台のリールで用途の異なる様々な釣法に対応させることが可能となる。
なお、ユニット化した変速装置は、リール本体の所定位置に装着したり、駆動モータを収容しているモータ収容部(モータケース)に対して回り止め固定されるものであれば良い。また、ユニット化された変速装置には、複数の動力伝達機構以外の部材、例えば、いずれかの動力伝達機構を選択するために設けられる部材(ソレノイドやカム部材等)、或いはワンウェイクラッチ等を含んでいても良い。
本発明によれば、リール本体への組み込み及びメンテナンスが容易に行なえると共に、簡単な構造で低速駆動と高速駆動の切り換えを可能にする変速装置を備えた魚釣用電動リールが得られるようになる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1〜図8は、本発明に係る魚釣用電動リールの第1の実施形態を示しており、図1は、駆動モータが配設される部分を示す部分断面平面図、図2は、駆動モータ部分の構成を示す図、図3は、ユニット化された変速装置部分の拡大図、図4は、図3のA−A線に沿った断面図、図5は、図3のB−B線に沿った断面図、図6は、図3のC−C線に沿った断面図、図7は、高速駆動時の動力伝達経路を説明する模式図、そして、図8は、低速駆動時の動力伝達経路を説明する模式図である。
本実施形態の魚釣用電動リール1は、手動ハンドル2が取り付けられたリール本体4を備えている。このリール本体4を構成する左右のフレーム間には、軸受を介してスプール軸6が回転可能に支持されるとともに、このスプール軸6を囲繞するようにしてスプール7が配置されている。
また、リール本体4の左右のフレーム間には、スプール7の前方に、回転方向の切り換えが可能な駆動用モータ10が保持されている。この駆動モータ10は、図2に示すように、リール本体4に対して固定された円筒状のモータケース12内に設置されており、ロータ(図示せず)によって回転駆動される駆動軸15を備えている。なお、モータケース12は、リール本体に予め形成されたモータ収容部としてリール本体の左右側板間に固定される。
モータケース12の一方の側壁13には、中央に円形の開口13aが形成されると共に、径方向外側に後述する変速装置を収容したユニットを回り止め固定する係止部13bが形成されている。また、モータケース12の他方は開口されており、ここに駆動モータ10を収容した状態で蓋体16が閉塞されるようになっている。蓋体16の外周領域には、シール部材16aが取着されており、蓋体16をモータケース12に取着することで、内部がシールされるようになっている。また、蓋体16の中央部分には、軸受18が設置されており、収容される駆動モータ10の駆動軸15の一端部を回転可能に支持する。
前記駆動モータ10と側壁13との間には、予め変速装置19を組み込んでユニット化された変速装置ユニット20(以下、変速ユニットと称する)が設置されている。変速装置19は、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を備えており、いずれかの動力伝達機構が選択されることで、スプールの回転速度を変化(高速域の駆動又は低速域の駆動)させるように構成されている。
上記した変速装置19を組み込んだ変速ユニット20は略円筒形状を成しており、その本体フレーム(以下、フレーム)21の開口部21aを閉塞する蓋体22の径方向外側の端部には凹部22aが形成されて、前記係止部13bに嵌め込まれることにより、変速ユニット20は、モータケース12の内部に回り止め固定されるようになっている。
変速ユニット20内に収容されたギヤ比の異なる複数の動力伝達機構は、前記駆動モータ10の駆動軸15からの回転駆動力を、異なる回転特性にして単一の出力軸から出力できるように構成されたものであれば良く、全く異なる経路で動力を伝達するよう構成したものであっても良いし、経路の一部(又は全部)を共用して動力を伝達するよう構成したものであっても良い。本実施形態では、動力伝達経路の一部を共用する2つの動力伝達機構を備えており、駆動モータ10の回転方向を切り換える(正転/逆転)ことで、いずれかの動力伝達機構を選択し、回転速度の異なる出力(高速モード/低速モード)が得られるように構成されている。
以下、変速ユニット20内に配設される動力伝達機構の構成について説明する。
前記変速ユニット20を構成するフレーム21には、後述する動力伝達機構を構成する部材を組み込むための開口部21aが設けられると共に開口部21aの反対側に設けられた壁部21dの略中央には、駆動モータ10の駆動軸15(駆動軸15に装着された歯車15a)が挿入される開口21bが形成されている。また、開口部21aは蓋体22によって閉塞されており、この蓋体22は、フレーム21に回り止め固定されている。前記変速ユニット20の内部には、所定距離離間させて2つの回転軸30及び回転軸40が設置されており、各回転軸30,40の両端部は、夫々壁部21d側の軸受31a,41a及び蓋体22側の軸受31b,41bによって回転可能に支持されている。これらの回転軸30,40は、上記した異なる動力伝達経路を構成しており、前記回転軸30及び回転軸40には、夫々、前記駆動モータ10の駆動軸15に装着された歯車15aに噛合する入力歯車32,42が設けられている。
前記変速ユニット20を構成するフレーム21には、後述する動力伝達機構を構成する部材を組み込むための開口部21aが設けられると共に開口部21aの反対側に設けられた壁部21dの略中央には、駆動モータ10の駆動軸15(駆動軸15に装着された歯車15a)が挿入される開口21bが形成されている。また、開口部21aは蓋体22によって閉塞されており、この蓋体22は、フレーム21に回り止め固定されている。前記変速ユニット20の内部には、所定距離離間させて2つの回転軸30及び回転軸40が設置されており、各回転軸30,40の両端部は、夫々壁部21d側の軸受31a,41a及び蓋体22側の軸受31b,41bによって回転可能に支持されている。これらの回転軸30,40は、上記した異なる動力伝達経路を構成しており、前記回転軸30及び回転軸40には、夫々、前記駆動モータ10の駆動軸15に装着された歯車15aに噛合する入力歯車32,42が設けられている。
前記入力歯車32と回転軸30との間には、一方向クラッチ33が配設されており、入力歯車42と回転軸40との間には、一方向クラッチ43が配置されている。これらの一方向クラッチ33,43は、図4に示すように、互いの向きが異なる状態で設置されており、駆動軸15の回転方向の切り換え(正転/逆転)によって、歯車15aに噛合する入力歯車32,42を介して、いずれか一方の回転軸に駆動力が伝達されるようになっている(以下の説明では、図3の矢印方向からみた状態で時計回り方向の回転を正転とし、反時計回り方向の回転を逆転とする)。
具体的には、図4に示すように、駆動軸15(歯車15a)が正転駆動されると、その駆動力は、入力歯車42を介して一方向クラッチ43に伝達される。このとき、一方向クラッチ43の転がり部材は楔領域に移行し、駆動力を回転軸40に伝達する。一方、入力歯車32は、逆転駆動されるが、一方向クラッチ33の転がり部材は、フリースペースに移行するため、駆動力を回転軸30に伝達することはない。
また、駆動軸15(歯車15a)が逆転駆動されると、その駆動力は、入力歯車32を介して一方向クラッチ33に伝達される。このとき、一方向クラッチ33の転がり部材は楔領域に移行し、駆動力を回転軸30に伝達する。一方、入力歯車42は、正転駆動されるが、一方向クラッチ43の転がり部材は、フリースペースに移行するため、駆動力を回転軸40に伝達することはない。
前記回転軸30には、中間歯車35,36が重合するように固定されており、前記回転軸40には、中間歯車35に噛合するように、大径歯車44が固定されている。大径歯車44と中間歯車35との間の噛合関係は、その径差によるギヤ比によって、回転軸40の回転を増速して中間歯車35に伝達する。
また、変速ユニット20のフレーム21の駆動モータ側に形成された壁部21dと反対側の壁面を形成する蓋体22には、出力軸50が軸受51を介して回転可能に支持されている。この出力軸50の変速ユニット内における突出端には、前記中間歯車36に噛合する歯車55が固定されている。また、出力軸50は、変速ユニット20の蓋体22から突出しており、その突出側には出力歯車56が固定されている。この場合、本実施形態の出力軸50は、リール本体のフレームに配置された軸受57に支持されると共に、前記開口21bから挿入される駆動モータ10の駆動軸15と同軸上となるように設定されている。
上記した構成の変速ユニット20によれば、駆動モータ10を正転駆動、或いは逆転駆動しても、それぞれの駆動力は、上記した回転軸30,40を備えた2つの動力伝達機機構のいずれか一方を介して伝達され、最終的に出力歯車56を一定の方向(反時計回り方向)に駆動する。具体的には、駆動モータ10が正転駆動されたとき、回転軸40側から駆動力が伝達され、上記した大径歯車44と中間歯車36のギヤ比の関係で、出力歯車56は高速駆動される(高速モード)。また、駆動モータ10が逆転駆動されたとき、回転軸30側から駆動力が伝達され、上記した中間歯車35,36を介して出力歯車56は低速駆動される(低速モード)。なお、大径歯車44と中間歯車36とのギヤ比は、高速モードにおけるスプール7の回転と、低速モードにおけるスプール7の回転速度との比率が所望の値となるように設定される。
また、前記変速ユニット20の蓋体22には、出力軸50との間に一方向クラッチ58が配設されている。この一方向クラッチ58は、手動ハンドル2が巻取り駆動された際、出力軸50の正転駆動(時計回り方向の駆動)を阻止する役目を果たし、駆動モータ10とは関係なく、手動巻取りによってスプールを巻取り駆動可能にする。
また、前記変速ユニット20の蓋体22は、出力軸50が配設される部分が軸方向に膨出形成されており、この部分の表面領域にシール材59が取着されている。このシール材59は、上記したモータケース12の側壁13に形成された円形の開口13aの内周面と密着しており、モータケース12の内部をシールする。
上記したリール本体4の左フレーム側には、上記した出力歯車56と順次噛合する歯車60,61が回転可能に支持されており、歯車61には、上記したスプール軸6が取り付けられている。また、スプール軸6のハンドル側の端部には、遊星歯車を備えた公知の減速機構63が配設されており、その遊星歯車は、スプール7の端面に刻設された内歯に噛合されている。
以上のように構成された魚釣用電動リールにおける変速ユニット20の動力伝達機構の作用について説明する。
[高速モード]
駆動モータ10が正転駆動されると(図7の矢印方向の回転)、駆動軸15(歯車15a)も正転駆動され、その駆動力は、入力歯車42及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される(回転軸40は逆転駆動される)。このとき、歯車15aに噛合する入力歯車32は、逆転駆動されるが、上記したように一方向クラッチ33の転がり部材がフリースペースに移行するため、駆動力を回転軸30に伝達することはない。
駆動モータ10が正転駆動されると(図7の矢印方向の回転)、駆動軸15(歯車15a)も正転駆動され、その駆動力は、入力歯車42及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される(回転軸40は逆転駆動される)。このとき、歯車15aに噛合する入力歯車32は、逆転駆動されるが、上記したように一方向クラッチ33の転がり部材がフリースペースに移行するため、駆動力を回転軸30に伝達することはない。
回転軸40が逆転駆動することにより、その駆動力は、大径歯車44を介して中間歯車35に伝達され、増速した状態で回転軸30を正転駆動させる。回転軸30の正転駆動により、その駆動力は、中間歯車36及びこれに噛合する歯車55に伝達され、出力軸50及び出力歯車56を増速した状態で逆転駆動する。なお、回転軸30が正転駆動するにあたって、歯車15aによって逆転駆動される入力歯車32との関係では、回転軸30が正転駆動し、かつ入力歯車32が逆転駆動することで、双方の回転が一方向クラッチ33の転がり部材をフリースペースに移行させるように作用する。この結果、入力歯車32と回転軸30との間は空回り状態となり、入力歯車32側からは駆動力が伝達されることはない。
[低速モード]
駆動モータ10が逆転駆動されると(図8の矢印方向の回転)、駆動軸15(歯車15a)も逆転駆動され、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される(回転軸30は正転駆動される)。このとき、歯車15aに噛合する入力歯車42は、正転駆動されるが、上記したように一方向クラッチ43の転がり部材がフリースペースに移行するため、駆動力を回転軸40に伝達することはない。
駆動モータ10が逆転駆動されると(図8の矢印方向の回転)、駆動軸15(歯車15a)も逆転駆動され、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される(回転軸30は正転駆動される)。このとき、歯車15aに噛合する入力歯車42は、正転駆動されるが、上記したように一方向クラッチ43の転がり部材がフリースペースに移行するため、駆動力を回転軸40に伝達することはない。
回転軸30が正転駆動することにより、その駆動力は、中間歯車35,36に伝達され、中間歯車36に噛合する歯車55を介して、出力軸50及び出力歯車56を増速することなく低速で逆転駆動する。なお、回転軸30が正転駆動するにあたって、中間歯車35に噛合する大径歯車44は逆転駆動され、回転軸40を逆転駆動するが、前記正転駆動状態にある入力歯車42との関係では、回転軸40が逆転駆動し、かつ入力歯車42が正転駆動することで、双方の回転が一方向クラッチ43の転がり部材をフリースペースに移行させるように作用する。この結果、入力歯車42と回転軸40との間は空回り状態となり、入力歯車42側からは駆動力が伝達されることはない。
以上のように、高速モード/低速モードのいずれの場合においても、最終的に駆動力が出力される出力軸50(出力歯車56)は、逆転駆動された状態となる。この出力歯車56の逆転駆動は、図1に示すリール本体4の左フレーム側に配設された歯車60,61を介して、上記したスプール軸6を逆転駆動する。そして、スプール軸6が逆転駆動される際、減速機構63を構成する各遊星歯車を支持しているキャリアは固定されており、スプール軸6の逆転駆動は、スプール軸6に取り付けられた太陽歯車、及び遊星歯車を介してスプール7の端面に刻設された内歯に伝達され、スプール7を正転駆動(釣糸巻取り方向の駆動)する。
なお、このとき手動ハンドル2は、公知の逆転防止機構によって回転駆動されることはない。また、手動ハンドル2を釣糸巻取り方向に回転駆動すると、スプール軸6に固定された太陽歯車は、上記した変速ユニット20内に設けられた一方向クラッチ58によって正転駆動が阻止されていることから回転駆動することはなく、手動ハンドル2の巻取り駆動力は太陽歯車の回りを公転する遊星歯車を介して、スプール7の端面に刻設された内歯に伝達され、スプール7を正転駆動(釣糸巻取り方向の駆動)する。
以上説明したように、本実施形態の魚釣用電動リール1は、複数の動力伝達機構を備えた変速装置をユニット化したこと、すなわち、構造上、最も複雑な部分をユニット化しているため、製造工程における変速装置の部組みが可能となり、組み立て時における作業時間の短縮化が図れ、製造コストを低減することができる。また、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構は精度の高い組み付けが要求されるが、この部分を予めユニット化したことによって、メンテナンスも容易に行なえるようになる。
また、上記した構成では、変速ユニット20をモータケース12の内部に回り止め固定する構成のため、単にモータケース12内に、変速ユニット用のスペースを予め設けておくことで、そのような変速装置を容易に組み込むことが可能となる。すなわち、リール本体の内部フレームを、変速装置を構成する各部品が組み込まれるような特別な形状に形成することなく、単に変速ユニット用のスペースをモータケース12に設けておくことで、そのまま変速装置を組み込むことが可能となり、コストを低減することが可能となる。また、予め変速ユニット用のスペースを設けておくことで、変速装置の有無を選択することが可能となり、様々な用途に合わせてリールを用いることが可能となる。なお、上記した変速ユニット20は、モータケース12に対して回り止め固定するのではなく、リール本体の所定の位置に回り止め固定するような構成であっても良い。
また、予めリール本体4に設置されているモータケース12内に、ユニット化された変速装置19を組み込み、かつ蓋体16を変更して組み込むようにしたことで、他の部分の構成を従来の電動リールと変更することがなくなる。すなわち、従来からある既存の電動リールのモータケース12の収容空間を利用して、変速装置19(変速ユニット20)を組み込み、変速ユニットのスペース分突出するモータを覆ってモータケース内部をシールできるよう構成した蓋体を用いることで、手持ちの電動リールを、複雑に分解等することなく、容易に、高トルクの低速巻取りモード又は高速巻取りモードの切り換えが可能な電動リールに変更することが可能となる。また、変速装置19をユニット化し、モータケース12に着脱可能としたことで、他の部分の構成を一切変更することなく、変速比の異なる変速装置19と容易に交換することが可能となる。また、このような変速装置(変速ユニット)を組み込むことによって、駆動モータを小型化しても、従来よりも高いトルクと高い巻き上げ速度を得ることが可能となる。
また、モータケース12内に、ユニット化した変速装置と駆動モータ10を一体化して組み込んでいることから、より組み込み性の向上が図れると共に、メンテナンス性の向上が図れるようになる。
さらに、上記した構成では、変速ユニット20における出力軸50を、駆動モータ10の駆動軸15と同一軸上となるように構成したことで、構造を複雑化することなく、内部スペースを効率的に利用して、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を配設することが可能となる。特に、出力軸50を、駆動モータ10の駆動軸15と同一軸上となるように構成したことで、モータケース12における組付け部分の構成を大幅に変更することなく、変速装置19をモータケース12内に容易に組み込むことが可能となる。
そして、上記した変速装置では、駆動モータ10の回転方向を切換制御するだけで、スプール7の回転速度(巻取り速度)を高速モードと低速モードとに切り換えることができるようになっている。すなわち、歯車の噛み合い状態を変化させる(ギヤ比を変える)ための特別な操作機構を設けることなく、単に、駆動モータ10の回転方向を切り換えて一方向クラッチ33,43の連結作用を利用することにより、高速用歯車機構と低速用歯車機構のいずれか一方に、駆動モータ10の回転力を選択的に伝達させるようになっているため、構造が複雑化することもなく、リール全体の小型化・軽量化が可能となり、魚釣操作性および携帯性が向上する。この場合、駆動モータ10の回転方向の切り換えは、例えば、リール本体4の適所に切り換えスイッチを設けておけば良い。この切り換えスイッチを操作することにより、実釣時の状況に合わせて、高速モードと低速モードとの切り換え(巻取り速度の切り換え)を容易に設定でき、幅広い巻取り操作が容易に行なえるようになる。
また、本実施形態の変速装置は、噛み合う歯車のギヤ比が、高速状態または低速状態のいずれか一方のみに設定されているのではなく、低速用歯車機構と高速用歯車機構の両方を兼ね備えているため、低速回転時にトルクが不足したり、高速巻取り性能が劣ったりするといった問題が生じることはない。
本発明は、上記したように構成される電動リール以外にも、例えば、図9及び図10に示すように、駆動モータ10を、スプール7の内部に形成されたモータ収容部7a内に配設した形式の電動リールにも適用することが可能である。
以下、図9及び図10を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。なお、これらの図において、図9は、駆動モータが配設される部分を示す部分断面図、図10は、駆動モータ部分の構成を示す図である。また、以下に説明する実施形態では、上記した第1の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
この実施形態では、駆動モータ10を収容する円筒状のモータケース12は、基端部がリール本体4の左フレーム側に取り付けられた状態でスプール7の内部に形成されたモータ収容部7a内に突出するように配設されている。
モータケース12の基端部は、左フレーム自身、又は左フレームと一体化された蓋体70によって閉塞されており、蓋体70の中央部分には、駆動モータ10のロータ(図示せず)によって回転駆動される駆動軸15を回転可能に支持する軸受(メタル軸受)70aが配設されている。また、モータケース12の先端側の外周には、雄ネジ部12aが形成されており、ここに、変速ユニット20のフレーム21に形成された雌ネジ部21cが螺合されて、変速ユニット20は、モータケース12の外部に回り止め固定された状態となっている。すなわち、変速ユニット20は、モータ収容部7a内に配置された状態となっている。
変速ユニット20は、上記した第1の実施形態と同様、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を備えており、その蓋体22の中央部は膨出形成されて、スプール7のモータ収容部7a内に設けられた区画壁7bの中央開口7cに、シール材71を介して密着されている。
また、変速ユニット20から突出する出力軸50は、その基端側が軸受51を介して変速ユニット20の蓋体22に回転可能に支持され、先端側がドラグ回転軸72の基端部に回り止め固定されているキャリア73に装着された軸受74に回転可能に支持されている。この出力軸50には、公知のように遊星歯車を二段重合させた減速機構75が連結されており、駆動モータ10を正転又は逆転することによる出力軸50からの回転駆動力(高速モードによる回転駆動力又は低速モードによる回転駆動力)は、減速した状態でスプール7に伝達されるようになっている。
その構成及び動作を簡単に説明すると、上記した減速機構75は、出力軸50に固定される太陽歯車76とこれに噛合する遊星歯車77、及びこれらに重合して、出力軸50に回転可能に装着される太陽歯車78とこれに噛合する遊星歯車79を備えており、前記遊星歯車77と太陽歯車78は、キャリア80によって連結されると共に、各遊星歯車77,79は、スプール7の内周面に形成された内歯7dに噛合されている。そして、出力軸50から出力される回転駆動力は、太陽歯車76の回りを公転する遊星歯車77、キャリア80、太陽歯車78、遊星歯車79及び内歯7dを介して、減速された状態でスプール7に伝達されるようになっている。
また、上記した構成の変速ユニット20においては、前記実施形態と同様、駆動モータ10の駆動軸15と出力軸50とは、同軸上となるように設定されており、更には、変速ユニット20の出力軸50は、スプール7の回転軸芯と一致するように設定されている。すなわち、スプール7の内部に駆動モータを収容する形式の電動リールでは、減速機構を構成する遊星歯車77,79を、スプール7の内周面に形成された内歯7dに噛合させる構成であることから、太陽歯車の軸芯は、スプールの回転軸芯に一致するようになる。このため、組み込まれる変速ユニット20の出力軸50を、予めスプール7の回転軸芯に一致するように設定しておくことにより、変速ユニットの設置スペースを効率的に利用できると共に、既存の電動リールに対しても組み込み性の向上が図れるようになる。
以上のようなスプール7の内部に形成された空洞状のモータ収容部7a内に駆動モータ10を配置する電動リールにおいても、変速装置をユニット化して、モータ収容部7aの内部の所定位置に配置することが可能となる。そして、このような構成では、上述した実施形態と同様な作用効果が得られると共に、スプールの軸芯とスプール端面に形成された内歯との間に遊星歯車からなる減速機構を配置した電動リールに対しても、変速装置を容易に組み込むことが可能となる。
以上、本発明に係る電動リールの実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
変速ユニット20は、リール本体4とは独立して、所定の構成部品を組み込んでユニット化されており、このユニットがリール本体やモータケース、モータ収容部等に組み付けできるように構成されたものであれば良い。また、変速ユニット20は、上述したギヤ比が異なる複数の動力伝達機構(駆動モータ10の駆動軸15からの出力を、高速回転モード又は低速回転モードで出力できるような動力伝達経路を構成する構成部材)以外の構成部材を組み込んだものであっても良い。例えば、高速回転モードと低速回転モードの切り換えを、カム部材やソレノイドなどの切換部材を利用して行なうものである場合、そのような切換部材を収容したものであっても良い。また、変速ユニット20内に、駆動モータ10の回転を減速させる減速機構の全部又は一部を収容したものであっても良い。すなわち、このような構成部材についても、予めユニット化しておくことにより、リール本体やモータケース等に対する組み付け、メンテナンス等が容易に行なえるようになる。
また、変速ユニット内における複数の動力伝達機構の配置構成については、適宜変形することが可能である。上記した実施形態においては、駆動モータ10の駆動軸15と出力軸50は、同軸上となるように構成したが、例えば組み付けられる電動リールの構成に応じて、出力軸50の設置位置については、適宜変形することが可能である。例えば、図11及び図12に示すように、出力軸50を、動力伝達経路を構成する回転軸30又は回転軸40と同軸上になるように構成してもよい。
以下、図11及び図12を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。なお、これらの図において、図11は、変速装置周辺の構成を示す図であり、図12は、変速装置部分の拡大図である。なお、図11及び図12においては、出力軸50を、回転軸30と同軸上になるように構成する場合について示している。また、以下に説明する実施形態では、上記した第1及び第2の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
この実施形態では、回転軸30の先端部が、変速ユニット20の蓋体22を、リール本体4の左フレーム側に突出するように配設されている。出力軸50は、この変速ユニット20の蓋体22から突出する回転軸30と同軸上となるように連結されると共に、リール本体4の左フレームに配置された軸受57に支持されている。
出力軸50には、出力歯車56が回り止め嵌合されている。出力歯車56に、歯車64,61が順次噛合する(図11において歯車61は不図示)。歯車64は、図11に示すように、その回転中心にリール本体4の左フレーム側に突出形成された軸部64aを有し、その先端部がリール本体4の左フレームに配置された軸受け65に回転可能に支持されている。軸部64aの反対側の側面に形成された収容部64bに、蓋体22に連結された連結軸22bが収容される。歯車64は、収容部64b側の軸受け64cによって連結軸22bを軸支し、連結軸22bに対して回転可能に取り付けられている。
また、収容部64bには、連結軸22bとの間に一方向クラッチ64dが配設されている。この一方向クラッチ64dは、手動ハンドル2が巻取り駆動された際、出力軸50の逆転駆動(反時計回り方向の駆動)を阻止する役目を果たし、駆動モータ10とは関係なく、手動巻取りによってスプールを巻取り駆動可能にする。
この実施形態では、上記実施形態で蓋体22に配設された一方向クラッチ58の代わりに、これと同一の機能を有する一方向クラッチ64dを、歯車64の収容部64bに配設している。また、上記実施形態と異なり、回転軸30には、大径歯車37が固定され、回転軸40には大径歯車37と噛合するように、中間歯車45が固定されている。
さらに、一方向クラッチ33及び43は、上記実施形態と異なる回転方向に駆動力を伝達するように設定されている。すなわち、駆動軸15aが正転駆動されると、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される。このとき、入力歯車42は、逆転駆動されるが、その駆動力は一方向クラッチ43の作用により回転軸40に伝達されることはない。一方、駆動軸15aが逆転駆動されると、その駆動力は、入力歯車43及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される。このとき、入力歯車32は、正転駆動されるが、その駆動力は一方向クラッチ33の作用により回転軸30に伝達されることはない。
以上のように構成された魚釣用電動リールにおける変速ユニット20の動力伝達機構の作用について説明する。
[高速モード]
駆動モータ10が正転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も正転駆動され、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される(回転軸30は逆転駆動される)。回転軸30が逆転駆動することにより、その駆動力は、大径歯車37及び出力歯車56に伝達され、出力歯車56は逆転駆動される。
駆動モータ10が正転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も正転駆動され、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される(回転軸30は逆転駆動される)。回転軸30が逆転駆動することにより、その駆動力は、大径歯車37及び出力歯車56に伝達され、出力歯車56は逆転駆動される。
[低速モード]
駆動モータ10が逆転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も逆転駆動され、その駆動力は、入力歯車42及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される(回転軸40は正転駆動される)。回転軸40が正転駆動することにより、その駆動力は、中間歯車45を介して大径歯車37に伝達され、減速した状態で回転軸30を逆転駆動させる。回転軸30の逆転駆動により、その駆動力は、出力軸50及び出力歯車56を減速した状態で逆転駆動する。
駆動モータ10が逆転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も逆転駆動され、その駆動力は、入力歯車42及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される(回転軸40は正転駆動される)。回転軸40が正転駆動することにより、その駆動力は、中間歯車45を介して大径歯車37に伝達され、減速した状態で回転軸30を逆転駆動させる。回転軸30の逆転駆動により、その駆動力は、出力軸50及び出力歯車56を減速した状態で逆転駆動する。
以上のように、低速モード/高速モードのいずれの場合においても、最終的に駆動力が出力される出力軸50(出力歯車56)は、逆転駆動された状態となる。この出力歯車56の逆転駆動は、リール本体4の左フレーム側に配設された歯車64,61を介して、上記したスプール軸6を逆転駆動する。そして、スプール軸6が逆転駆動される際、減速機構63を構成する各遊星歯車を支持しているキャリアは固定されており、スプール軸6の逆転駆動は、スプール軸6に取り付けられた太陽歯車、及び遊星歯車を介してスプール7の端面に刻設された内歯に伝達され、スプール7を正転駆動(釣糸巻取り方向の駆動)する。
なお、このとき手動ハンドル2は、公知の逆転防止機構によって回転駆動されることはない。また、手動ハンドル2を釣糸巻取り方向に回転駆動すると、スプール軸6に固定された太陽歯車は、上記した歯車64内に設けられた一方向クラッチ64dによって正転駆動が阻止されていることから回転駆動することはなく、手動ハンドル2の巻取り駆動力は太陽歯車の回りを公転する遊星歯車を介して、スプール7の端面に刻設された内歯に伝達され、スプール7を正転駆動(釣糸巻取り方向の駆動)する。
このように、出力軸50を、動力伝達経路を構成する回転軸30と同軸上に構成する場合においては、変速ユニット20内で噛合する歯車の大きさ、組み合わせに関わらず、出力軸50の位置を一定の位置に配置することが可能なる。このため、変速ユニット20内で噛合する歯車の大きさ等を変更することで、出力軸50の位置を変更することなく、変速ユニット20における変速比を変更することができる。この結果、電動リールにおいて、変速ユニット20以外の構成を変更することなく、変速比の異なる変速ユニット20に交換することが可能となる。
さらに、変速ユニット20からの駆動力の伝達経路については、適宜変形することが可能である。上記実施形態においては、動力伝達経路を構成する回転軸30(40)と別に用意された出力軸50から駆動力を伝達するように構成したが、例えば組み付けられる電動リールの構成に応じて、変速ユニット20からの駆動力の伝達経路を適宜変形することが可能である。例えば、図13及び図
14に示すように、出力軸50を配設せず、動力伝達経路を構成する回転軸30(40)に固定された歯車から直接駆動力を伝達するように構成してもよい。
14に示すように、出力軸50を配設せず、動力伝達経路を構成する回転軸30(40)に固定された歯車から直接駆動力を伝達するように構成してもよい。
以下、図13及び図14を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。なお、これらの図において、図13は、変速装置周辺の構成を示す図であり、図14は、変速装置部分の拡大図である。また、以下に説明する実施形態では、上記した第1〜第3の実施形態と同様な構成要素については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
この実施形態では、回転軸40に固定された大径歯車44に直接、歯車64,61が順次噛合する(図13において歯車61は不図示)。歯車64は、上記第3の実施形態と同様に、リール本体4の左フレームに回転可能に支持されると共に、手動ハンドル2が巻取り駆動された際、大径歯車44の正転駆動(時計回り方向の駆動)を阻止する一方向クラッチを備えている。
出力軸50及びこの出力軸50に固定される出力歯車56が配設されていないため、リール本体4の左フレームにこれらを収容するスペースや、出力軸50を支持する軸受け57を配設する必要がない。このため、リール本体4の左フレームを変速ユニット20の蓋体22の近傍に配置することができ、リール本体4の小型化を実現することが可能である。
以上のように構成された魚釣用電動リールにおける変速ユニット20の動力伝達機構の作用について参照しながら説明する。
[高速モード]
駆動モータ10が正転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も正転駆動され、その駆動力は、入力歯車42及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される(回転軸40は逆転駆動される)。回転軸40が逆転駆動することにより、大径歯車44も逆転駆動する。大径歯車44が逆転駆動することにより、その駆動力は、歯車64を正転駆動させる。
駆動モータ10が正転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も正転駆動され、その駆動力は、入力歯車42及び一方向クラッチ43を介して回転軸40に伝達される(回転軸40は逆転駆動される)。回転軸40が逆転駆動することにより、大径歯車44も逆転駆動する。大径歯車44が逆転駆動することにより、その駆動力は、歯車64を正転駆動させる。
[低速モード]
駆動モータ10が逆転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も逆転駆動され、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される(回転軸30は正転駆動される)。回転軸30が正転駆動することにより、その駆動力は、歯車35を介して大径歯車44に伝達され、大径歯車44を減速した状態で逆転駆動させる。大径歯車44が逆転駆動することにより、その駆動力は、減速した状態で歯車64を正転駆動させる。
駆動モータ10が逆転駆動されると、駆動軸15(歯車15a)も逆転駆動され、その駆動力は、入力歯車32及び一方向クラッチ33を介して回転軸30に伝達される(回転軸30は正転駆動される)。回転軸30が正転駆動することにより、その駆動力は、歯車35を介して大径歯車44に伝達され、大径歯車44を減速した状態で逆転駆動させる。大径歯車44が逆転駆動することにより、その駆動力は、減速した状態で歯車64を正転駆動させる。
以上のように、低速モード/高速モードのいずれの場合においても、最終的に駆動力を伝達する大径歯車44は、逆転駆動された状態となる。この大径歯車44の逆転駆動は、リール本体4の左フレーム側に配設された歯車64,61を介して、上記したスプール軸6を逆転駆動する。そして、スプール軸6が逆転駆動される際、減速機構63を構成する各遊星歯車を支持しているキャリアは固定されており、スプール軸6の逆転駆動は、スプール軸6に取り付けられた太陽歯車、及び遊星歯車を介してスプール7の端面に刻設された内歯に伝達され、スプール7を正転駆動(釣糸巻取り方向の駆動)する。
なお、このとき手動ハンドル2は、公知の逆転防止機構によって回転駆動されることはない。また、手動ハンドル2を釣糸巻取り方向に回転駆動すると、スプール軸6に固定された太陽歯車は、上記した歯車64内に設けられた一方向クラッチ64dによって正転駆動が阻止されていることから回転駆動することはなく、手動ハンドル2の巻取り駆動力は太陽歯車の回りを公転する遊星歯車を介して、スプール7の端面に刻設された内歯に伝達され、スプール7を正転駆動(釣糸巻取り方向の駆動)する。
このように、出力軸50を配設せず、動力伝達経路を構成する回転軸30(40)に固定された歯車から直接駆動力を伝達する場合においては、大径歯車44に歯車64を噛合させるので、変速ユニット20の構造を簡素化することができると共に、ユニット内の部品点数を削減することができる。これにより、変速ユニット20を製造する際に要するコストを低減することが可能となる。
また、リール本体4の左フレームに出力軸50及び出力歯車56を収容するスペースを配設する必要がないため、変速ユニット20の幅方向の収容スペースを縮小することができる。これにより、リール本体4自体を小型化することが可能となる。
なお、上記した実施形態では、高速回転モードと低速回転モードの切り換えを、駆動モータの正転/逆転で行なうように構成したが、駆動モータ10の回転方向を同じにして、切換部材を切り換え操作すること等によって、いずれかの動力伝達機構を選択するようにしても良い。
1 魚釣用電動リール
4 リール本体
7 スプール
10 駆動モータ
15 駆動軸
19 変速装置
20 変速ユニット
30,40 回転軸
50 出力軸
63 減速機構
4 リール本体
7 スプール
10 駆動モータ
15 駆動軸
19 変速装置
20 変速ユニット
30,40 回転軸
50 出力軸
63 減速機構
Claims (6)
- リール本体に回転自在に支持された釣糸巻取り用のスプールを回転駆動する駆動モータと、ギヤ比の異なる複数の動力伝達機構を備え、前記複数の動力伝達機構のいずれか一つを選択的に動力伝達可能としてスプールの回転速度を変化させる変速装置と、を有する魚釣用電動リールにおいて、
前記変速装置における少なくとも複数の動力伝達機構を、前記リール本体から独立した状態でユニット化したことを特徴とする魚釣用電動リール。 - 前記複数の動力伝達機構は、前記駆動モータの回転方向を切り換えることで、いずれか一つが選択されることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用電動リール。
- 前記ユニット化された変速装置は、モータ収容部内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用電動リール。
- 前記ユニット化された変速装置は、前記駆動モータの回転駆動を異なる回転速度で出力する出力軸を備えており、この出力軸を前記駆動モータの駆動軸と同一軸上に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
- 前記ユニット化された変速装置は、前記駆動モータの回転駆動を異なる回転速度で出力する出力軸を備えており、この出力軸を、前記複数の動力伝達機構における動力伝達経路を構成する動力伝達軸のいずれか一つと同一軸上に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
- 前記ユニット化された変速装置は、前記複数の動力伝達機構における動力伝達経路上に配設されたギヤのいずれか一つから動力伝達することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用電動リール。
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JP2005049135A JP2006109831A (ja) | 2004-09-14 | 2005-02-24 | 魚釣用電動リール |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2005049135A JP2006109831A (ja) | 2004-09-14 | 2005-02-24 | 魚釣用電動リール |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005049135A Pending JP2006109831A (ja) | 2004-09-14 | 2005-02-24 | 魚釣用電動リール |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2014033650A (ja) * | 2012-08-09 | 2014-02-24 | Shimano Inc | モータホルダ、モータ組立体及びモータ組立体を備える電動リール |
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-
2005
- 2005-02-24 JP JP2005049135A patent/JP2006109831A/ja active Pending
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