JP2009038319A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光領域を十分確保しつつ、光取り出し方向以外の方向への光の出射が低減され、光取り出し面側での光出力が向上し、光取り出し効率に優れるとともに、コストが掛かる工程を必要としないため、安全面で問題なく、低コストで作製することができる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層の間に介設された発光層とを有する半導体発光部は、基板に対してほぼ垂直に形成された端部側面を有し、半導体発光部の側面に、その積層方向に積層された少なくとも2層以上の透光性層膜からなる透光性膜を有し、前記透光性膜は、前記光の取り出し方向に対して逆テーパー状に形成された端部側面を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光素子に関するものである。
近年、半導体発光素子が、その特性を活かして各種の分野で利用されている。例えば、大型ディスプレイや信号機、携帯電話のバックライト光源などへの普及が顕著である。特に、窒化ガリウム等の窒化物系半導体を用いた半導体発光素子は、紫外光、青色光、緑色光等の発光が可能であり、長寿命で信頼性が高い等の利点を有することから、各方面での利用が進んでいる。
この半導体発光素子は、n型半導体層と、p型半導体層との間に発光層を介設して半導体発光部を有し、n型半導体層とp型半導体層から発光層に注入される正孔および電子の再結合によって発生する光を利用するものである。この半導体発光素子においては、発光層で発光した光を外部に取り出して有効利用できるように、光の取り出し効率を高めることが重要となる。
この半導体発光素子の一例として、図9に示すGaN系半導体発光素子61を示す。このGaN系半導体発光素子61においては、サファイア基板上に、n型GaN層63、発光層64およびp型GaN層65が順次積層されて半導体積層構造が形成されている。そして、p型GaN層65上に透明電極66が、更にその透明電極66の上面の一部にp側電極67が形成され、エッチングにより露出されたn型GaN層63の上面68上にn側電極69が形成されている。さらに、前記半導体積層構造の表層を覆うように絶縁保護膜70が形成されている。この絶縁保護膜70は、p側電極67とn側電極69の上部がエッチングにより除去されて開口した構造を有する。このGaN系半導体発光素子61において、n型GaN層63の上層部、発光層64およびp型GaN層65は、エッチングにより、図10(A)に示すように、サファイア基板の面に対して垂直に近い角度の端面71aを有する柱状形状、もしくは図10(B)に示すように、サファイア基板の面と端面71bとのなす角度が鈍角に形成された順テーパー形状となっている。
こうした従来の半導体発光素子61においては、発光層64の端面64aより絶縁保護膜70へ進行する光は、絶縁保護膜70と外部との界面、すなわち、絶縁保護膜70の端面70aで反射、または端面70aを透過して外部に出射する。このとき、図10(A)および図10(B)に示すように、端面71a,71bが垂直もしくは順テーパー形状となっているため、絶縁保護膜70の端面70aを透過した光は、取り出し方向(矢印Bの方向)には向かわず、出射光L1のように直進するか、または出射光L2のように取り出し方向とは反対の方向に進む。そして、直進した光は、GaN系半導体発光素子61の周囲に設けられた封止用モールド樹脂に吸収され、また、白色用LEDであれば、青色光を白色に変換するYAG等の蛍光体を含む樹脂材料に向けて進み、実装反射面に入射して一部は取り出し方向に向かうがそれ以外は吸収され、光取り出し方向に出射せず、発光層で発光した光の全てが半導体発光素子から有効に取り出されないことになる。
そこで、特許文献1には、光の取り出し効率の向上等を目的として、半導体積層構造の側面が、主面(光の取り出し方向に直交する面)に対して角度θ傾斜した順テーパ状の傾斜面を有し、さらに、その主面に対して角度θより小さい角度θで傾斜した傾斜端面を有する反射体が積層された構造を有する発光ダイオードが開示されている。
さらに、特許文献2には、光の取り出し効率の向上等を目的として、半導体積層構造の側面が光の取り出し方向に向かって広がった形状を有し、さらに、その側面の外側に光反射材料からなる光反射部を設けた構造を有する発光ダイオードが開示されている。
また、特許文献3には、発光領域端面から出射する出射光を拡散させることによって、出射光の特定部分への集中を低減することを目的として、半導体積層構造の側面に、2つの異なる均一膜厚の絶縁膜が形成されている構造を有する発光素子が開示されている。
特開2007−19467号公報 特開2002−26382号公報 特開2001−284644号公報
しかし、特許文献1または特許文献2に開示されている構造では、半導体積層構造自体が光の取り出し方向に向かって順テーパーまたは広がった形状を有し、その半導体積層構造の側面が傾斜した形態を有するため、発光領域が減少して、発光領域からの光出力自体が減少する問題がある。また、このような側面が傾斜した半導体積層構造を形成するための加工は難しく、コストが掛かるRIE(反応性イオンエッチング)、もしくはリン酸系の高温の強酸を用いる工程が必要となり、コスト、安全面で問題がある。さらに、特許文献4に開示されている発光素子は、半導体積層構造の側面に2つの異なる絶縁膜が形成され、発光領域端面から出射する出射光を拡散させることが開示されている。
そこで、本発明の課題は、半導体積層構造の側面から出る光を光取出し方向に反射することによって、発光領域を十分確保しつつ、光取り出し方向以外の方向への光の出射が低減され、光取り出し面側での光出力が向上し、光取り出し効率に優れるとともに、コストが掛かるRIEや強酸等を用いる工程を必要としないため、安全面で問題なく、低コストで作製することができる半導体発光素子を提供することにある。
請求項1に係る発明は、基板上に、第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層の間に介設された発光層とが順に積層されてなる半導体発光部を備える半導体発光素子であって、前記半導体発光部は、前記基板に対してほぼ垂直に形成された端部側面を有し、前記半導体発光部の端部側面に、前記半導体発光部の積層方向に積層された少なくとも2層以上の透光性層からなる透光性膜を有し、前記透光性膜は、前記光の取り出し方向に対して逆テーパー状に形成された端部側面を有することを特徴とする。本発明において、光の取出し方向に対して「逆テーパー状」とは、光の取出し方向に対して直交する方向の透光性膜の厚さが、光の取出し方向に沿って大きくなるように、端部側面11が光の取出し方向に対して傾斜していることを言う。
この半導体発光素子では、半導体発光部の端部側面に設けた2層以上の透光性層からなる透光性膜が有する、逆テーパー状に形成された端部側面によって、発光領域を十分確保しつつ、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
請求項2に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記透光性層のうち少なくとも1層が、絶縁材料で形成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、透光性層のうち少なくとも1層を絶縁材料とすることによって、電流リークの防止や保護膜として形成する絶縁膜を用いて、新たな材料からなる層を設けることなく、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光吸収によるロスが少なく、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
請求項3に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記透光性層のうち少なくとも1層が、導電材料で形成され、前記透光性膜と前記半導体発光部の間に絶縁膜が介設されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、透光性層のうち少なくとも1層が、導電材料で形成され、さらに透光性膜と半導体発光部の間に絶縁膜が介設されていることによって、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
請求項4に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記透光性膜が、エッチングレートが異なる2層以上の透光性層で構成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、エッチングレートが異なる2層以上の透光性層で構成されることによって、前記光の取り出し方向に対して逆テーパー状に形成する透光性層の端部側面を、コストが掛かる工程を必要とせず、安全面で問題なく、低コストで作製することができる。
請求項5に係る発明は、請求項4に係る半導体発光素子において、前記透光性膜が、異なる材料からなる2層以上の透光性層で構成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、異なる材料からなる2層以上の透光性層で構成されることによって、容易にかつ安定にエッチングレート差を設けることができる。
請求項6に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記透光性層の少なくとも1つが、前記第2導電型半導体層の表面に設けられた第2導電側電極を延設して形成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、透光性層の少なくとも1つを、第2導電型半導体層の表面に設けられた第2導電側電極を延設して形成することによって、新たな材料からなる層を形成することなく、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
請求項7に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記透光性層の少なくとも1つが、前記第2導電型半導体層の表面に設けられた第2導電側電極の一部を被覆していることを特徴とする。
この半導体発光素子では、透光性膜の少なくとも1つが、第2導電型半導体層の表面に設けられた第2導電側電極の一部を被覆していることによって、第2導電側電極の表面が保護されると共に、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
請求項8に係る発明は、前記半導体発光素子において、前記光の取り出し方向に直交した前記第1導電型半導体層の露出面と当該露出面上に第1導電側電極とを有し、前記透光性膜が、少なくとも前記露出面から連続した半導体発光部の端部側面に形成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、半導体発光部の端部に、前記光の取り出し方向に直交した前記第1導電型半導体層の露出面と該露出面上に第1導電側電極とが形成され、透光性膜が少なくとも前記露出面から連続した半導体発光部の端部側面に形成されていることによって、第1導電側電極における光の吸収を低減して、光の取り出し効率を向上することができる。
請求項9に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記透光性膜が、前記半導体発光部の端部側面の全体に亘って設けられていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、透光性膜が半導体発光部の端部側面の全体に亘って設けられていることによって、半導体発光部の端部側面から出射するほぼすべての光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
請求項10に係る発明は、前記の半導体発光素子において、前記基板が、光取出し方向に直交した露出面を有し、該露出面から連続した第1導電型半導体層の端部側面に、逆テーパー状の端部側面を有する透光性膜が形成されていることを特徴とする。
この半導体発光素子では、基板の露出面から連続した第1導電型半導体層の端部側面にも逆テーパー状の端部側面を有する透光性膜を形成することで、第1導電型半導体層の端部側面から出射する光を光取出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光の取出し方向に有効に取り出すことができるため、光取出し効率が向上する。
本発明の半導体発光素子は、十分な発光領域を維持しつつ、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。また、コストが掛かるRIEや強酸等を用いる工程を必要としないため、安全面で問題なく、低コストで作製することができる。
以下、本発明の半導体発光素子について詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体発光素子1の層構成を示す模式断面図、図1(B)は、半導体発光素子1の模式平面図である。
この半導体発光素子1は、図1(A)に示すように、基板2の上に、第1導電型半導体層3、発光層4、第2導電型半導体層5の順に積層された層構成を有する半導体発光部8と、第2導電型半導体層5の上に積層された第2導電側電極、この第2導電側電極としては透光性導電膜6およびパッド電極7とを備え、さらに、半導体発光部8の側面に形成された透光性膜9を備える。
基板2は、第1導電型半導体層3を構成する半導体をエピタキシャル成長させることが可能な格子整合性を有する材料で構成され、その面積および厚さ等は特に制限されない。基板2を構成する材料としては、例えば、サファイア、スピネル等の絶縁性材料、炭化ケイ素、SiO、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、ニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウム等の酸化物材料などが挙げられる。
基板2の上に形成される第1導電型半導体層3と、その第1導電型半導体層3の上部に発光層4を介して形成される第2導電型半導体層5とは、必要に応じて半導体材料からなる層にドーパントをドープして、n型またはp型の半導体層を形成する。この第1導電型半導体層および第2導電型半導体層を構成する半導体材料の具体例としては、GaN、AlN、もしくはInN、又はこれらの混晶であるIII−V族窒化物半導体(InαAlβGa1−α−βN、0≦α、0≦β、α+β≦1)、III族元素として一部若しくは全部にBなどを用いたり、V族元素としてNの一部をP、As、Sbなどで置換した混晶、AlGaAs、InGaAs等のGaAs系材料、AlGaInP等のInP系材料、これらの混晶であるInGaAsP等の他のIII−V族化合物半導体などが挙げられる。また、半導体材料にドープされるドーパントとしては、n型ドーパントとして、Si、Ge、Sn、S、O、Ti、Zr等のIV族、若しくはVI族元素、p型ドーパントとして、Be、Zn、Mn、Cr、Mg、Caなどが挙げられる。第1導電型半導体層3および第2導電型半導体層5を窒化物半導体材料で構成する場合には、第1導電側電極10または第2導電側電極7との接触抵抗を低くすることができる点で、第1導電型半導体層3および第2導電型半導体層5は、Siを含むInαAlβGa1−α−βN、Mgを含むInαAlβGa1−α−βNが好ましく、さらにこれらのInαAlβGa1−α−βNはGaNとすることが最も好ましい。また、この第1導電型半導体層10および第2導電型半導体層7の膜厚は、発光層4を合わせた半導体発光部の総膜厚として、1000nm〜5000nm程度である。
また、これらの第1導電型半導体層3および第2導電型半導体層5は、それぞれ多層構造に形成されていてもよい。例えば、第1導電型半導体層3は、基板2の上に、コンタクト層、クラッド層の順に積層された多層構造を有していてもよい。また、第2導電型半導体層5は、発光層4の上にクラッド層、コンタクト層の順に積層された多層構造を有していてもよい。また、基板2と第1導電型半導体層3との間、第2導電型半導体層5とその上の上層との間に、バッファ層を形成してもよい。さらに、第1導電型半導体層3および第2導電型半導体層5が多層構造を有する場合、多層構造は、アンドープの半導体材料またはドープされた半導体材料で形成された層とを交互に積層して構成されていてもよい。
さらに、第1導電型半導体層3には、発光層4を積層した上面を除き、その第1導電型半導体層の上面を一部切り欠いて形成された露出面3aの上に、第1導電側電極10が設けられる。前記第2導電側電極7と、この第1導電側電極10との間に電圧を印加することによって、第1導電型半導体層3および第2導電型半導体層5から、発光層4に正孔と電子が注入される。
また、発光層4は、n型またはp型の半導体層である、第1導電型半導体層3と、第2導電型半導体層5とから注入される正孔および電子の再結合に生成するエネルギを光として放出するものである。この発光層4は、前記第1導電型半導体層3の上面に形成される。
この発光層4は、井戸層と障壁層とを含む量子井戸構造を有するものが好ましい。また、この発光層4を構成する半導体材料は、ノンドープ、n型不純物ドープ、p型不純物ドープのいずれのものでもよい。なかでも、ノンドープまたはn型不純物ドープの半導体材料で形成されることが好ましい。さらに、例えば、井戸層をアンドープとし、障壁層をn型不純物ドープとしてもよい。さらにまた、井戸層にドープするドーパントの種類およびドープ量を選択することによって、半導体発光素子の目的、用途等に応じて発光層4で生成する光の波長を調整することができる。例えば、窒化物半導体からなる発光層4では、60nm〜650nm付近、好ましくは380nm〜560nmの波長の光を発光することができるが、井戸層にAlをドープすることによって、従来のInGaNの井戸層では困難な波長域、具体的には、GaNのバンドギャップエネルギーである波長365nm付近、もしくはそれより短い波長を得ることができる。
第2導電側の電極として用いられる透光性導電膜6は、第2導電型半導体層5の上面の略全面に形成され、パッド電極7から第2導電型半導体層5に電流を注入するとともに、発光層4からの光を透過して外部に放出するためのものである。ここで、透光性とは、発光層4で発生する光が透過可能であることを意味する。
この透光性導電体膜6は、特に制限されないが、In、Zn、SnおよびGaから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物からなるものが好ましい。具体的には、ITO(錫がドープされた酸化インジウム)、ZnO、GZO(亜鉛がドープされた酸化ガリウム)、In、SnO等、Zn、In、Snの酸化物等で形成することができる。
パッド電極7および第1導電側電極10は、Ag、Al、Ti、Pt、Rh等で形成される。
透光性膜9は、半導体発光部8の側面(端部側面)に、第1導電型半導体層3の露出面3aの上に光の取り出し方向(矢印Aの方向)に露出面3aの側から順に積層された2層の透光性層9a,9bで構成されている。この透光性膜9(透光性層9a,9b)は、前記の光の取り出し方向に対して、逆テーパー状に形成された端部側面11を有する。これにより発光領域を十分確保しつつ、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができ、光取り出し効率が向上する。なお、本発明において、透光性膜9は、2層の透光性層で構成されるものに限られず、3層以上の透光性層で構成されていてもよい。また、透光性膜9は、透光性膜9の端部側面での隣接する材料または空気に対し、屈折率が透光性膜の方が高くなるようにすることが好ましい。これにより、端部側面で光が好ましく反射され、この屈折率差が大きいほど好ましい。例えば、端部側面が空気に接しているときは、空気の屈折率1よりも大きい材料を選択することが好ましい。
透光性膜9を構成する透光性層9a,9bは、絶縁材料または導電材料で形成されていることが好ましい。特に、透光性層9a,9bを、絶縁材料で形成することによって、電流リークの防止や発光部の保護のために形成する絶縁膜を用いて、新たな材料からなる層を設けることなく、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光吸収によるロスが少なく、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができるため、好ましい。さらに、絶縁材料は、Si、TiおよびAlから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物で形成されていることが好ましい。これによって、電流リークの防止や発光部の保護のために信頼性の高い膜が形成できる。
また、透光性膜9を構成する透光性層9a,9bを導電材料で形成する場合は、導電材料で構成される透光性層9a,9bと、半導体発光部8との間に絶縁膜を介設することが、半導体発光部8の側面を十分に絶縁できることから、好ましい。
透光性層を形成する導電材料は、透光性導電膜6と同様に、In、Zn、SnおよびGaから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物で形成されていることが好ましい。これによって、吸収によるロスを低減できるため、有効である。特に、透光性層9a,9bを形成する導電材料が、第2導電型半導体層5の上面に設けられる透明導電体膜6を延設して形成されていることが好ましい。これによって、新たな材料からなる膜を設けることなく、半導体発光部の端部側面から出射する光を、光吸収によるロスが少なく、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光取り出し方向に有効に取り出すことができる。
さらに、透光性膜9を構成する透光性層9a,9bは、同一の材料または異なる材料で形成されていていてもよく、エッチングレートが異なる2層以上の透光性層であることが好ましい。特に、下層の透光性層9aを、上層の透光性層9bよりもエッチングレートが大きい材料で形成することによって、光の取り出し方向に対して逆テーパー状に形成する端部側面11を、コストが掛かる工程を必要とせず、安全面で問題なく、低コストで作製することができるため、好ましい。
さらにまた、透光性膜9を構成する透光性層9a,9bが、異なる材料からなる2層以上の透光性層で構成されている場合には、エッチングレートが異なるため、光の取り出し方向に対して逆テーパー状に形成する端部側面11を、容易かつ安定して形成でき、また、エッチングレート差が大きく設定できること、2種類以上のエッチング液を使用することができるなどの利点もある。
また、図1(A)に示すように、透光性膜9は、半導体発光素子において光の取り出し方向に直交した第1導電型半導体層の露出面と該露出面上に第1導電側電極とが形成され、少なくとも基板の露出面から連続した半導体発光部の端部側面に形成されていることが好ましい。つまり逆テーパー状の透光性膜を第1導電側電極10と対面する半導体発光部8の端部側面8aに少なくとも形成することによって、光が取り出し方向に反射され、第1導電側電極における光の吸収を低減することができるため、好ましい。
さらにまた、透光性膜9は、図2に示すように、半導体発光部8の端部側面の全体に亘って設けられていることが、半導体発光部8の端部側面から出射するほぼすべての光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
また、透光性膜9が、図1(A)に示すように、第2導電型半導体層5の表面に設けられた第2導電側電極の透光性導電膜6の表面およびパッド電極7の一部の表面を被覆していることが、好ましい。これによって、絶縁材料を電極表面まで設けることができ、絶縁性が高められ、電極露出部にパッドを信頼性よく形成可能である。なお、透光性膜9を逆テーパー状に形成すると同時にパッド電極7の上部の開口部を形成すると、図1(A)に示すとおり、パッド電極上部の一部を被覆している透光性膜9に、逆テーパー状の開口部12が形成されているが、逆テーパー状に限るものではなく、例えばパッド電極7の上部の開口部の形成を、逆テーパー状の透光性膜9の形成と同時ではなく、別の工程で形成すれば、逆テーパー状の開口部12は形成されず、パッド電極7の上部の開口部は、通常の断面略円柱状の形状に形成される。
次に、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子21の層構成を示す模式断面図である。
この半導体発光素子21は、基板2の上に、第1導電型半導体層3、発光層4、第2導電型半導体層5の順に積層された層構成を有する半導体発光部8と、第2導電型半導体層5の上に積層された第2導電側電極としての、透光性導電膜6およびパッド電極7とを備える点で、前記第1の実施形態にかかる半導体発光素子1と同様の構成を有する。そして、第2の実施形態に係る半導体発光素子21は、第1の実施形態に係る半導体発光素子1に対して、透光性導電膜6が、半導体発光部8の側面に延設され、その透光性導電膜6の延設された部分が、逆テーパー状の端部側面11を有する透光性膜13を形成する点が異なる。したがって、この相違点について主に説明する。なお、図3に示す、透光性導電膜6を延設して形成される透光性膜13は、説明の便宜のために、単一の層として図示してあるが、単一層の場合は、逆テーパーを形成する透光性膜9の一部がこれにより形成されるものであり、また第1の実施形態における透光性膜9と同様に、2層以上の透光性層で構成されるものでもよい。
この半導体発光素子21においては、少なくとも透光性膜13と第1導電型半導体層3との間、もしくは発光層4の端面および第2導電型半導体層5の端面と透光性膜13との間に絶縁膜14を設ける。好ましくは第1導電型層3の端面、発光層4の端面および第2導電型半導体層5の端面、すなわち半導体発光部の端部側面と透光性膜13との間に絶縁膜14を設ける。さらに、第2導電型半導体層5の上部、第1導電側電極10の一部に、絶縁膜14が設けられていてもよい。この絶縁膜14によって、半導体発光部8の端部側面での電流短絡を回避するとともに、透光性膜13を導電性の材料で形成することができる利点がある。
次に、本発明の第3の実施形態に係る半導体発光素子について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る半導体発光素子31の層構成を示す模式断面図である。
この半導体発光素子31は、基板2の上に、第1導電型半導体層3、発光層4、第2導電型半導体層5の順に積層された層構成を有する半導体発光部8と、第2導電型半導体層5の上に積層された第2導電側電極としての透光性導電膜6およびパッド電極7とを備え、さらに、半導体発光部8の端部側面に形成された透光性膜9を備える点で、前記第1の実施形態にかかる半導体発光素子1と同様の構成を有する。そして、第3の実施形態に係る半導体発光素子31は、第1の実施形態に係る半導体発光素子1に対して、光の取り出し方向(矢印Aの方向)に直交する方向に基板2の露出面2aが形成され、その基板の露出面2aと基板の露出面2aに連続する第1導電型半導体層の端部側面に、逆テーパー状の端部側面31を有する透光性膜39が形成されていることが相違する。このとき、透光性膜39は、透光性膜39の端部側面での隣接する材料または空気に対し、屈折率が透光性膜の方が高くなるようにすることが好ましい。これにより、端部側面で光が好ましく反射され、この屈折率差が大きいほど好ましい。例えば、端部側面が空気に接しているときは、空気の屈折率1よりも大きい材料を選択することが好ましい。
この半導体発光素子31では、半導体発光部8の側面に形成された透光性膜9の端部側面11によって、半導体発光部8の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すとともに、基板2の露出面2a上に形成された透光性膜39端部側面31によって、基板表面と連続する第1導電型半導体層の端部側面から出射する光も有効に光取出し方向に反射して、光の取出し効率を向上することができる。以上のように、第1、第2、第3の実施形態を説明したが、2層以上の透光性層は、絶縁材料と導電材料とを組み合わせて用いてもよく、少なくとも1層が絶縁材料であれば他が導電材料を用いてもよく、また少なくとも1層が導電材料であれば他が絶縁材料であってもよい。
次に、第1の実施形態の半導体発光素子1および第3の実施形態の半導体発光素子31の透光性膜9、ならびに第2の実施形態の半導体発光素子21の透光性膜13における形態および作用について、図5、図6、図7および図8によって説明する。なお、これらの図5、図6、図7および図8に示す透光性膜9は、説明の便宜のために、単一の層として図示してあるが、第1の実施形態における透光性膜9と同様に、2層以上の透光性膜で構成されるものである。
図5に示す透光性膜9は、光の取り出し方向(矢印Aの方向)に対して逆テーパー状に形成された端部側面11Aを有する。この端部側面11Aは、第1導電側電極3が形成される第1導電型半導体層の露出面3aに対して、鋭角θの角度で傾斜している逆テーパー状に形成されている。
この端部側面11Aによって、発光層4で生じた光L1,L2,L3は、端部側面11Aで反射されて反射光L12,L22,L32として、光の取り出し方向に出射する。これによって、半導体発光部8の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。このとき、θは、好ましくは30〜60度、最も好ましくは45度である。
図6に示す透光性膜9は、光の取り出し方向(矢印Aの方向)に対して逆テーパー状に形成された端部側面11Bを有する。この端部側面11Bは、第1導電側電極3が形成される第1導電型半導体層の露出面3aに対して、鋭角θの角度で傾斜している傾斜面15aと、その傾斜面15aに連設され、第1導電型半導体層3の露出面3aに対して、点16における法線Cのなす角度が鋭角θである曲面15bとで構成されている。
この端部側面11Bによって、発光層4で生じた光L1,L2は、端部側面11Bで反射されて反射光L12,L22として、光の取り出し方向に出射する。これによって、半導体発光部8の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
図7に示す透光性膜9は、光の取り出し方向(矢印Aの方向)に対して逆テーパー状に形成された端部側面11Cを有する。この端部側面11Cは、第1導電側電極3の露出面3aに対して、鋭角θの角度で傾斜している傾斜面17aと、第1導電側電極3が形成される第1導電型半導体層の露出面3aに対して、鋭角θの角度で傾斜している傾斜面17bとが連設され、かつθ<θである形状を有するものである。
この端部側面11Cによって、発光層4で生じた光L1,L2は、端部側面11C(傾斜面17a,17b)で反射されて反射光L12,L22として、光の取り出し方向に出射する。これによって、半導体発光部8の端部から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
図8に示す透光性膜9は、光の取り出し方向(矢印Aの方向)に対して逆テーパー状に形成された端部側面11Dを有する。この端部側面11Dは、第1導電側電極3が形成される第1導電型半導体層の露出面3aに対して、鋭角θの角度で傾斜している傾斜面18aと、第1導電型半導体層3の露出面3aに対して、鋭角θの角度で傾斜している傾斜面18bとが連設され、かつθ>θである形状を有するものである。
この端部側面11Dによって、発光層4で生じた光L1,L2は、端部側面11D(傾斜面18a,18b)で反射されて反射光L12,L22として、光の取り出し方向に出射する。これによって、半導体発光部8の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
本発明の半導体発光素子は、下記の工程(1)〜(4)およびその他の工程を順次行うことによって製造することができる。
(1)基板上に、第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層の間に介設された発光層とを有する半導体発光部を形成する工程
(2)第2導電型半導体層の上に、第2導電側電極として透光性導電膜およびパッド電極を形成する工程
(3)第1導電型半導体層に接する第1導電側電極を形成する工程
(4)透光性膜を形成する工程
本発明の半導体発光素子を製造する方法は、前記の工程のみに制限されず、必要に応じて、他の工程を行うことができる。例えば、これらの工程(1)〜(4)の他に、基板の洗浄工程、熱処理工程等を前記の(1)〜(5)の前工程、途中の工程または後工程として行うことができる。
第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層の間に介設された発光層とを有する半導体発光部を形成する工程(1)は、洗浄された基板の上表面に、所要の半導体材料、ドーパントなどを含むガスを供給して、MOVPE(有機金属気相成長法)、HDVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、MOMBE(有機金属分子線気相成長法)等の気相成長装置を用いて、気相成長させることにより行うことができる。このとき、形成する導電型半導体層の種類、例えば、n型半導体層、p型半導体層および発光層4の各層の層構成および構成材料、層の膜厚等に応じて、供給するガスが含有する半導体材料およびドーパントの成分種、組成等を切り換えて、窒素ガス等の不活性ガスをキャリアガスとして用いて基板上に供給することによって形成することができる。
また、第2導電型半導体層の上に、透光性導電膜およびパッド電極を形成する工程(2)は、第2導電型半導体層の上表面に、レジスト膜の上からRIE(reactive ion etching)やイオンミリング(ion milling)、リフトオフ等の方法により形成するフォトマスクを用いてスパッタリング法等によって、例えば、In、Zn、SnおよびGaから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物を積層することによって行うことができる。さらに、パッド電極は、透光性導電膜の上表面に、フォトマスクを用いてスパッタリング等によって、金属材料を積層することによって行うことができる。
また、第1導電型半導体層に接する第1導電側電極を形成する工程(3)は、発光層および第2導電型半導体層、さらに、第1導電型半導体層の一部を選択的にエッチング等によって除去して露出される第1導電型半導体層の露出面に、スパッタリング法等によって、金属材料を積層することによって行うことができる。
透光性膜を形成する工程(4)は、第2導電側電極および第1導電側電極を形成した半導体発光部および透光性導電膜の上に、スパッタリングやCVD等によって、透光性膜を構成する2種以上の透光性材料を順次積層した後、ウェットエッチングもしくはドライエッチングによって、光の取り出し方向に向かって逆テーパー状の端部側面を有する透光性膜を形成することによって行うことができる。このとき、エッチングレートの異なる同一材料または異種材料で2層以上の透光性層を形成し、これをエッチングすることによって、図5〜図8に示す各種形状の端部側面を有する透光性膜を形成することができる。すなわち、ウェットエッチングの場合には、1種または2種以上のエッチング液でエッチングすることによって、図5〜図8に示す各種形状の端部側面を有する透光性膜を形成することができる。また、ドライエッチングの場合には、エッチング条件、エッチャント種等を変えてエッチングすることによって、図5〜図8に示す各種形状の端部側面を有する透光性膜を形成することができる。また、エッチングレートの異なる透光性層は、例えばスパッタリング、CVD等における条件によって調整することによって、密度の異なる2種以上の透光性層を形成することによっても形成することができる。
以下、本発明の半導体発光素子およびその製造方法について、窒化物半導体発光素子に関する第4実施形態および第5実施形態を説明する。
まず、第4実施形態として、図1に示す構造の窒化物半導体発光素子について説明する。
洗浄したサファイア基板(直径:2インチ(5.08cm)、(0001)C面を主面とする)上に、TMG(トリメチルガリウム)ガス、TMI(トリメチルインジウム)ガス、NHおよびドーパントガスをキャリアガスと共に流し、MOCVD法によって窒化物半導体を成膜する。このとき、ドーパントガスとしてSiH4とビシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を切り替えることによって、下記の方法によって、基板面上に、基板と窒化物半導体層との格子定数の不整合を緩和させるバッファ層、n電極(第1導電側電極)とオーミック接触を得るためのn型コンタクト層、キャリア結合により光を発生させる活性層(発光層)、キャリアを活性層に閉じ込めるためのp型クラッド層およびp電極(第2導電側電極)とオーミック接触を得るためのp型コンタクト層を順次形成し、第1導電型半導体層(バッファ層、n型コンタクト層、n型クラッド層)3、活性層(発光層4)および第2導電型半導体層(p型クラッド層、p型コンタクト層)5で構成される半導体発光部8、さらに、第1導電側電極7、透明導電体層6、第2導電側電極10等を有する半導体発光素子を形成する。
まず、サファイア基板上に、500℃にてGaNよりなるバッファ層を10Å〜500Åの膜厚にて成長させた後、温度を1050℃にしてアンドープGaN層を5μmの膜厚に成長させる。
次に、n型コンタクト層、およびn型窒化ガリウム系化合物半導体層を形成する。まず、1050℃で、同じく原料ガスTMG、アンモニアガス、不純物ガスにシランガスを用い、Siを4.5×1018/cmドープしたGaNよりなるn型コンタクト層を形成する。次に、シランガスの供給を止め、1050℃で、TMG、アンモニアガスを用い、アンドープGaN層を7.5nmの膜厚で成長させる。続いて、同温度にてシランガスを追加してSiを4.5×1018/cmドープしたGaN層を2.5nmの膜厚で成長させる。n型コンタクト層は膜厚1〜20μm、好ましくは2〜6μmのSiドープGaNから構成される。このn型コンタクト層上に、例えば、SiがドープされたAl0.2Ga0.8Nから構成されるn型クラッド層を膜厚100〜500Åの厚さで形成してもよい。
次に、発光層(活性層)を、膜厚25〜300ÅのIn0.2Ga0.8Nで構成してもよいし、膜厚50ÅのGaN層/膜厚30ÅのIn0.2Ga0.8N層の組合せの複合層を1〜10層形成し、最後に膜厚50ÅのGaNwp形成した単一あるいは多重量子井戸層として構成してもよい。また、InxGa1-xN(0≦x≦1)の混晶比は、所望の発光波長に応じて適宜選択される。
p型クラッド層は、膜厚100Å〜0.2μmのMgがドープされたAl0.2Ga0.8Nから構成される。また、このp型クラッド層は活性層へのキャリアの閉じ込めが十分であれば省略可能である。p型コンタクト層は膜厚0.01〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.2μmのMgがドープされたGaNから構成される。
その後、半導体発光部をn型コンタクト層が露出するまでエッチングを行い、半導体発光部の積層面とほぼ平行な露出面を形成する。このとき、露出させるn型コンタクト層の露出面は、活性層の下面から0.05〜0.2μm程度とすることが好ましい。また、露出面の幅w、すなわち活性層の端部を含む半導体発光部の端面から露出面を有するn型コンタクト層の端面Cまでの距離wとしては1〜30μm程度とする。さらにn電極が形成される部分以外の露出面は、ダイサー等を用いることによって形成してもよい。
上記のように形成されたp型コンタクト層上に、Niを10〜30Åの厚さで、さらに、その上にPtを20〜50Åの厚さでスパッタリング等によって形成し、透光性のp電極(第2導電側電極)とする。このNi/Ptの組み合わせは、Ni/Au、Co/AuおよびPd/Ptとしてもp型コンタクト層と良好なオーミック接触が得られる。
また、露出したn型コンタクト層の一部に、Wを10〜100Åの厚さで、その上にAlを20Å〜1μmの厚さでスパッタリング等によって形成してn電極とし、その後、アニーリングを行う。
その後、露出させたn型コンタクト層の露出面にCVD等によってSiO2等の絶縁膜を形成し、これを第1の絶縁層(透光性層9a)とする。次に、第1の絶縁層(透光性層9a)の上に続けて膜質の異なる第2の絶縁層(透光性層9b)を形成する。この2種類の絶縁層の膜質を制御することにより、その後のウェットエッチングにおけるエッチングレートの差を生じさせ、すなわち、第2の絶縁層の方が第1の絶縁層よりもエッチングレートを遅くすることによって端部側面の形状を逆テーパー形状となるように形成することができる。膜質の制御方法については、例えば、CVDを用いる場合であれば、チャンバー内の温度、圧力、RF出力等の制御が挙げられる。また、第1絶縁層/第2絶縁層がSiO/TiO、SiO/ITOの異なる材料からなる組合せの膜としてもよい。さらに、同一の材料で膜質が異なる2層の絶縁層を形成する場合は、SiOで、密度が第1絶縁層>第2絶縁層となるように形成してもよい。第1の絶縁層と第2の絶縁層を合わせた膜厚は、半導体発光部8のP型半導体層(第2導電型半導体層5)より高くなるようにする。この2層から成る絶縁層の上に、リソグラフィー工程で所望のパターニングを行い、その後のエッチング工程において、例えば、バッファードフッ酸(BHF)を用いるウェットエッチングによって、例えば、図5〜図7に示すような断面形状を有する透光性膜9を形成する。このとき、光取り出し方向への光取出しを増加させるためには、第2絶縁層が発光領域の側面に位置することが好ましい。
このようにして形成された窒化物半導体発光素子では、光の取り出し方向に向かって逆テーパー状に形成された透光性膜の端部側面によって、半導体発光部8の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
次に、第5の実施形態として、図3に示す構造を有する窒化物半導体発光素子について説明する。
まず、第1導電型半導体層(バッファ層、n型コンタクト層、n型クラッド層)3、発光層4(活性層)および第2導電型半導体層(p型クラッド層、p型コンタクト層)5で構成される半導体発光部8の形成は、前記の第4の実施形態と同様の工程によって行う。そして、半導体発光部8の端部側面を被覆する絶縁膜を形成し、第2導電型半導体層5の表面以上の領域に透光性導電膜を形成する導電材料としてITO膜を積層する。このとき、ITO膜は、2層以上の膜質の異なる構造とし、下層側の方がエッチングレートが速くなるように構成する。具体的には、例えば、2層でITO膜を構成する場合、蒸着による1000Åの第1のITO膜、さらに、その上にスパッタによる1000Åの第2のITO膜の二層構造のITO膜を形成する。これを所定の形状に形成されたフォトマスクにてレジストを覆い、王水系エッチング液でエッチングする。このとき、第1のITO膜の密度<第2のITO膜の密度となるため、王水系エッチング液を用いるエッチングによって、第2のITO膜の方が第1のITO膜よりもエッチングレートが遅くなることによって端面の形状を逆テーパー形状となるように形成することができる。
このようにして形成された窒化物半導体発光素子では、透光性導電膜6を延設して、半導体発光部8の端部側面に形成された透光性膜13の逆テーパー状に形成された端部側面によって、半導体発光部8の端部側面から出射する光を、光取り出し方向に反射して、半導体発光部8で生じた光を光の取り出し方向に有効に取り出すことができるため、光取り出し効率が向上する。
ここで、比較のために、本発明に係る窒化物半導体発光素子(図1に示す構造)と、従来の半導体発光素子(図9に示す構造)とについて、素子の上面(図1または図9において、紙面上方)からの発光強度分布をCCDカメラで測定した。
図11(A)は、半導体発光部8の端部側面に形成された透光性膜13の逆テーパー状に形成された端部側面を有する窒化物半導体発光素子の光の出射状態を示す図である。図11(B)は図11(A)に示す半導体発光素子の模式平面図である。図11(B)に示す、第1導電型半導体層3、パッド電極7、半導体発光部8、透光性膜9および第1導電側電極11が、図11(A)に対応する。
図12は、従来の窒化物半導体発光素子の光の出射状態を示す図である。
図11(a)と、図12とを対比すると、図11に示す本発明の窒化物半導体発光素子では、半導体発光部からの光のみならず、半導体発光部の外周部分(図11(a)のA)において、透光性膜の端部側面からの光が観測され、素子上面の方向(光の取り出し方向)への光の出射が多いことが分かった。図12ではこの外周部分からの光は観測されなかった。したがって、半導体発光部8の端部側面に形成された透光性膜13の逆テーパー状に形成された端部側面を有する、本発明の半導体発光素子は、光取り出し面側での光出力が向上し、光取り出し効率に優れるものであることが分かる。
(A)は、本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の模式断面図、(B)は、その半導体発光素子の模式平面図である。 本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の変形例を示す模式平面図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の模式断面図である。 本発明の第3実施形態に係る半導体発光素子の模式断面図である。 本発明の半導体発光素子の透光性膜の構造例を示す断面概略図である。 本発明の半導体発光素子の透光性膜の構造例を示す断面概略図である。 本発明の半導体発光素子の透光性膜の構造例を示す断面概略図である。 本発明の半導体発光素子の透光性膜の構造例を示す断面概略図である。 従来の半導体発光素子の模式断面図である。 (A)および(B)は、従来の半導体発光素子における絶縁保護膜を示す断面概略図である。 (A)は本発明に係る窒化物半導体発光素子における光の出射状態を示す図、(B)は(A)に示す窒化物半導体発光素子を説明する模式平面図である。 従来の窒化物半導体発光素子における光の出射状態を示す図である。
符号の説明
1 半導体発光素子
2 基板
3 第1導電型半導体層
4 発光層
5 第2導電型半導体層
6 透光性導電膜
7 パッド電極
8 半導体発光部
9,13,39 透光性膜
10 第1導電側電極
11,31 透光性膜の端部側面

Claims (10)

  1. 基板上に、第1導電型半導体層と、第2導電型半導体層と、前記第1導電型半導体層と前記第2導電型半導体層の間に介設された発光層とが順に積層されてなる半導体発光部を備える半導体発光素子であって、
    前記半導体発光部は、前記基板に対してほぼ垂直に形成された端部側面を有し、前記半導体発光部の端部側面に、前記半導体発光部の積層方向に積層された少なくとも2層以上の透光性層からなる透光性膜を有し、前記透光性膜は、前記光の取り出し方向に対して逆テーパー状に形成された端部側面を有することを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記透光性層のうち少なくとも1層が、絶縁材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記透光性層のうち少なくとも1層が、導電材料で形成され、前記透光性膜と前記半導体発光部の間に絶縁膜が介設されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  4. 前記透光性膜が、エッチングレートが異なる2層以上の透光性層で構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  5. 前記透光性膜が、異なる材料からなる2層以上の透光性層で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の半導体発光素子。
  6. 前記透光性層の少なくとも1つが、前記第2導電型半導体層の表面に設けられた第2導電側電極を延設して形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  7. 前記透光性層の少なくとも1つが、前記第2導電型半導体層の表面に設けられた第2導電側電極の一部を被覆していることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 前記光の取り出し方向に直交した前記第1導電型半導体層の露出面と当該露出面上に第1導電側電極とを有し、前記透光性膜が、少なくとも前記露出面から連続した半導体発光部の端部側面に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  9. 前記透光性膜が、前記半導体発光部の端部側面の全体に亘って設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  10. 前記基板が、光取出し方向に直交した露出面を有し、該露出面から連続した第1導電型半導体層の端部側面に、逆テーパー状の端部側面を有する透光性膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
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