JP2014137853A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】発光素子単体で光線の成形と方向制御とを可能とする発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子1は、発光層3と、発光層3の下側に設けられるn型半導体層4と、発光層3の上側に設けられるp型半導体層2とを合わせた発光素子層10と、p型半導体層2の表面に積層されるp電極層5と、発光素子層10からp電極層5まで貫通するように形成された穴状部61内に設けられる、発光素子層10よりも誘電率が低い材料でなる低誘電率部6と、低誘電率部6の表面に、低誘電率部6と同じ材料で、所定領域を取り囲むように突出して設けられ、先端の射出面から光を放射する複数の柱体8とを備える。3本の柱体81,82,83は、高さHで形成され、他の3本の柱体84,85,86は、高さH−dで形成されている。射出面のそれぞれの光の干渉効果によって光線を成形し、柱の高さの差dの高さHに対する割合で光線の放射方向を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子に係り、特に、立体映像表示装置に用いることができる発光素子に関する。
従来、像再生型立体表示の代表的な方式として、ホログラフィ、パララクスステレオグラム、レンチキュラシート、インテグラルフォトグラフィ(以下IPと称す)等が知られている。ホログラフィを除く、これらの方式の実用化に関しては、コヒーレント光を必要としない簡易な方式で早期に実現可能と考えられている。また、IPは水平方向に加え、垂直方向の視差情報も表現することができるため、自然な立体表示が可能な装置の早期実現に有望であると考えられている(例えば非特許文献1参照)。
IPの表示システムは、光線を再生する多数の微小なレンズ(要素レンズ)を配列したレンズアレイと、各レンズに対応した画像(要素画像)を多数並べて表示するディスプレイとによって構成される。観察者は、1つの要素レンズに対応する1つの要素画像から、観察者の位置に応じた部分的な情報を得、要素画像を要素レンズの数だけ並べた立体像を観察する。IPの表示システムにおいて、立体像の解像度は、要素レンズの解像度と、要素画像の解像度と、観視距離とで決まる。また、IPの表示システムの視域角については、要素レンズの性能が支配的な要因になる。このような事情から、実用的な立体像をIP方式で生成するには、発光素子と光学素子の高精細化・高機能化が不可欠である(例えば非特許文献2参照)。
しかし、発光素子と光学素子の高精細化が進んでも、レンズを使用する光学系には、レンズの回折限界や焦点距離のように原理的に取り除くことができない性能限界も存在する。例えばディスプレイの画素サイズが、要素レンズの最小スポットサイズより小さくなると、映像ボケが発生するため、同時にスポットサイズも小さくする必要があるが、スポットサイズをAbbeの回折限界より小さくすることは原理的に不可能である。
また、レンズを用いたシステムでの視域角は、要素レンズの焦点距離に反比例するが、視域角を大きくするために要素レンズの焦点距離を無限に小さくすることはできない。さらに、視域角は、要素レンズのピッチに比例もするため、要素レンズのピッチを大きくすれば視域角の拡大が可能であるが解像度が劣化するので、レンズを用いた光学系における解像度と視域角には、トレードオフの関係がある。
IPの表示システムとは直接関係ないものの、発光素子の分野においては、自発光素子であるLED(Light Emitting Diode)は、近年、その発光特性が飛躍的に進歩したことから、各種用途で注目を集めている。LEDは、放射される光の直進性が良いため、照明器具等への応用においては拡散させる仕組みが必要となる。LEDの放射光を拡散させる技術がさらに進み、光の放射される方位の制御が可能となれば、ディスプレイ等への応用も可能となる。
LEDを用いたディスプレイではないが、関連技術として、例えば特許文献1には、液晶ディスプレイからなる画像表示手段の手前に、液晶デバイスを用いた空間光変調素子等のビーム偏向手段を設けることで、画素からの光を偏向させて、視点位置の異なる複数の2次元画像から立体像を表示する立体表示装置が記載されている。
また、LEDから取り出す光の方向を制御する技術として、LED光の出射角度を調整可能な発光装置が特許文献2に記載されている。
特開平6−110374号公報 特開2008−147182号公報
「超高精細映像技術・立体映像技術」、電子情報通信学会誌、2010年5月、Vol.93, No.5, p.372-381 財団法人機械システム振興協会・財団法人光産業技術振興協会、「自然な立体視を可能とする空間像の形成に関する調査研究報告書−要旨−」、システム技術開発調査研究19-R-5、2008年3月、p.14-16
しかしながら、特許文献2に記載の発光装置は、LEDから取り出す光の方向を制御するために多種の部品が必要とされる。また、ディスプレイに応用して発光素子ごとの方位制御を行おうとする場合、多数の微細な発光素子を形成する必要がある。また、これら微細な発光素子の放射光を正面以外の方向へ出射することはきわめて困難である。
さらに、微細な構造を備えたLEDから取り出す光の方向を制御できる技術は知られていないのが現状である。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、発光素子単体で光線の成形と方向制御とを可能とする簡易な素子構造を有した発光素子を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載の発光素子は、発光層と、前記発光層の下側に設けられるn型半導体層と、前記発光層の上側に設けられるp型半導体層と、を合わせた発光素子層と、前記p型半導体層の表面に設けられる遮光性を有するp電極層と、前記発光素子層から前記p電極層まで貫通するように形成された穴状部内に設けられる低誘電率部と、前記低誘電率部の表面の所定領域を取り囲むように前記表面から突出して設けられ、先端の射出面から光を放射する複数の柱体と、を備え、前記低誘電率部は、前記発光素子層の材料よりも誘電率が低い材料で形成されており、前記複数の柱体は、前記低誘電率部と同じ材料で形成され、少なくとも1本の柱体の高さが、その他の柱体の高さと異なることを特徴とする。
かかる構成によれば、発光素子は、p電極層に正電圧が印加されることで、p電極層よりp型半導体層に正孔を注入する。発光素子は、これとともに、n型半導体層に接続された電極に負電圧が印加されることで、当該電極よりn型半導体層に電子が注入される。発光素子は、p型半導体層に注入された正孔がp型半導体層内を拡散しながらp型半導体層とn型半導体層との接合部である発光層へと移動し、一方、n型半導体層に注入された電子がn型半導体層内を接合部である発光層へと移動する。そして、発光素子は、発光層において正孔と電子とが再結合することにより発光する。
そして、発光素子は、発光層で発光した光の一部が低誘電率部に入射し、入射した光が低誘電率部内を伝搬し、その一部が複数の柱体に入射して、柱体を光導波路として伝搬し、先端(柱頭)の射出面からそれぞれ空気中に出射される。ここで、仮に、発光層と複数の柱体の柱頭の射出面との間に、p型半導体層よりも誘電率が小さい材料で形成された低誘電率部がない場合、発光層で発光し、p型半導体層内を伝搬されて複数の柱体に入射した光のうち、柱頭の射出面への入射角が臨界角よりも小さい光だけが、素子外部に取り出される。一方、本発明の発光素子は、発光層と複数の柱体の射出面との間に、p型半導体層よりも誘電率が小さい材料で形成された低誘電率部を備えるので、発光層で発光した光のうち、p型半導体層と低誘電率部との界面への入射角が臨界角よりも小さい光だけが、低誘電率部に入射し、低誘電率部から複数の柱体に入射した光のうち、射出面への入射角が臨界角よりも小さい光だけが、素子外部に取り出される。
仮に、発光層と複数の柱体との間に、p型半導体層よりも誘電率が小さい材料で形成された低誘電率部がない場合、発光層から水平方向に放射された光のように、発光層から放射され、直接柱体に到達しない光は、当然、素子外部に取り出すことはできない。
これに対し、本発明の発光素子は、発光層と複数の柱体との間に、p型半導体層よりも誘電率が小さい材料で形成された低誘電率部を備えるので、発光層から放射され、直接柱体に到達しない光であっても、低誘電率部に入射させることができる。そして、この放射光を、低誘電率部内を伝搬して複数の柱体に入射させ、柱頭の射出面から素子外部に取り出すことが可能となる。
つまり、本発明の発光素子によれば、発光層から低誘電率部の界面に入射した光の入射角が臨界角よりも小さければ、低誘電率部内に入射する。そして、入射した光が低誘電率部内で屈折されて伝搬され、一部の光が、複数の柱体の射出面に入射する。このときの光の入射角が臨界角よりも小さければ、この光が、射出面から素子外部に出射される。このように、本発明の発光素子は、発光層と複数の柱体の柱頭の射出面との間に低誘電率部を設けることで、発光層からの放射角(仰角)が小さく、直接、複数の柱体の柱頭の射出面に到達しない光についても、素子外部に取り出すことが可能となる。
このようにして、それぞれの柱体から素子外部に出射された光が空気中で干渉することによって、光線を形成する。ここで、発光素子は、複数の柱体のうち、少なくとも一つの柱体の高さを他の柱体の高さと異ならせているので、複数の柱体間での柱の高さの差に応じて、発光の方向を変えることができる。
仮に各柱体が全て同じ高さである場合には、光線は、素子表面における各柱体の位置をすべて繋いだ軌跡の平面図形の重心位置から、素子表面と垂直な方向に向かう線上に形成されることになる。一方、かかる本発明の発光素子は、複数の柱体のうち、少なくとも一つの柱体の高さを他の柱体の高さと異ならせているので、光の出射方向を素子表面と垂直な方向から傾斜させることができる。
また、発光素子は、平坦な表面に配置された複数の柱体間において各射出面から出射した光が干渉する。そのため、複数の柱体を適切に配置することで、相互の光の干渉効果によって、発光素子で成形される光線が広がらないようにすることができる。
さらに、発光素子は、p電極層が、素子表面において、低誘電率部以外の部分に設けられるので、発光層から放射された光の一部が、p電極層に入射したとしても、遮光性を有するp電極層によって遮蔽されることにより、空気中に出射されないようにすることができる。そのため、発光素子は、光線を成形する際に、低誘電率部の表面に設けられる複数の柱体の射出面からそれぞれ出射した光が、柱体以外の素子表面から出射される妨害光と余分な干渉を引き起こすことを抑制することができる。
また、さらに、発光素子は、柱体が、低誘電率部と同じ材料で形成されているので、言い換えれば、柱体が、p型半導体層の材料の誘電率よりも小さい材料で形成されているので、柱体の射出面の透過率をp型半導体層の表面よりも高くすることができる。これにより、背景雑音を低下させることができる。
また、本発明の請求項2に記載の発光素子は、請求項1に記載の発光素子において、前記低誘電率部の底面は、前記p型半導体層の下面よりも20nm以上下方に位置することとした。
かかる構成によれば、発光素子は、低誘電率部が、p型半導体層の下方に位置する発光層のさらに下側まで形成されているため、発光層から水平方向や下方向に放射された光を、低誘電率部に入射させることが可能となる。
また、本発明の請求項3に記載の発光素子は、請求項1または請求項2に記載の発光素子において、前記低誘電率部は、前記発光素子層を形成する材料の誘電率の1/2以下の誘電率を有する材料で形成されていることとした。
かかる構成によれば、発光素子は、低誘電率部の屈折率が、発光素子層の屈折率よりも小さくなるので、低誘電率部の透過率を、発光素子層の透過率よりも高くすることができる。これにより、背景雑音を低下させることができる。
また、本発明の請求項4に記載の発光素子は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光素子において、少なくとも前記p型半導体層および前記発光層の周囲に反射膜を設けることとした。
かかる構成によれば、発光素子は、p型半導体層および発光層の周囲に反射膜を設けているので、素子外部から放射され、素子内部に入射しようとする光を反射することができる。そのため、例えば、発光素子の発光層から素子外部に放出された放射光が、隣り合う発光素子の素子内部に入射するのを抑制することができる。そのため、発光素子に余分な放射光が入射することによる影響を低減することができる。また、発光素子は、発光層から、素子外側方向に放射された光を反射膜で反射することで、素子内側方向へと向かわせて低誘電率部に入射させることが可能となる。このように、発光素子は、反射膜を設けることで、発光層から、低誘電率部以外の方向に放射された光についても、低誘電率部に入射させることが可能となる。そして、この光を、低誘電率部内を伝搬して柱体に入射させることで、射出面から素子外部に取り出すことが可能となる。
また、本発明の請求項5に記載の発光素子は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発光素子において、前記複数の柱体は、前記低誘電率部上に所定領域を取り囲むように6本配置され、そのうちの3本の前記柱体の高さが、その他の3本の前記柱体の高さと異なり、前記3本の柱体の高さが互いに等しく、かつ、前記その他の3本の柱体の高さが互いに等しいこととした。
かかる構成によれば、6本の柱体の射出面から放射された光が干渉することで光線を形成することができ、6本の柱体のうちの3本の高さを相違させることで、当該3本の柱体の射出面から放射された光と、その他の3本の柱体の射出面から放射された光との間に位相差を設けることができ、当該位相差に応じた方向に光線を放射することができる。
また、本発明の請求項6に記載の発光素子は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光素子において、前記柱体の直径は、放射光の自由空間における波長以上であることとした。
かかる構成によれば、発光素子は、各柱体の直径が、放射光の自由空間における波長以上なので、発光層からの光が通るのに充分な太さを有する。
また、本発明の請求項7に記載の発光素子は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発光素子において、前記複数の柱体間の距離が、放射光の可干渉長以下であることとした。
かかる構成によれば、各柱体同士の距離が放射光の可干渉長以下なので、各柱体中を伝搬して柱頭の射出面から出射されたそれぞれの光が互いに干渉し、合成された光の進行方向は曲げられることになる。
請求項1に記載の発明によれば、発光素子は、素子単体で光線の成形と方向制御を可能とすることができる。また、発光素子は、素子外部に取り出し可能な光量を増大することができるとともに、背景雑音の影響を低下させることができるので、強度の高い光線を成形することができる。
さらに、発光素子は、発光の方向を柱体の高さの差で制御し、光線の成形を複数の柱体の配置で制御したものなので、光線が出射する方向を比較的大きくなるように制御したときに当該光線に生じやすいサイドローブを比較的小さく抑えることができる。つまり、発光素子は、妨害光を遮蔽できるのでS/N比の高い光線成形を行うことができる。
請求項2に記載の発明によれば、発光素子は、素子外部に取り出し可能な光量をより増大することができるので、より強度の高い光線を成形することができる。
請求項3に記載の発明によれば、発光素子は、素子外部に取り出し可能な光量をより増大することができるので、より強度の高い光線を成形することができる。
請求項4に記載の発明によれば、発光素子は、素子外部に取り出し可能な光量をより増大することができ、また、余分な光が素子内部に入射するのを抑制することができるので、より強度の高い光線を成形することができる。
請求項5に記載の発明によれば、6本の柱体を形成することで、それ以下の本数の場合と比較して、光線として形成される光以外の余分な光(妨害光)の発生を抑制することができ、6本の柱体のうちの3本の高さを異ならせることで、光線の放射方向を制御することができる。
請求項6に記載の発明によれば、発光素子は、光線の方向制御をより効果的に行うことができる。
請求項7に記載の発明によれば、発光素子は、光線の方向制御をより効果的に行うことができる。
本発明の実施形態の発光素子の構成を説明するための斜視図である。 (a)は、図1に示す発光素子を上から見た平面図であり、(b)は、(a)のA−A線矢視における断面図である。 本発明の実施形態に係る発光素子における高い柱体と低い柱体との高さの差に応じた光の干渉の概念図である。 (a)は、比較例の発光素子において、発光層からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の角度の範囲の説明図であり、(b)は、本発明の実施形態の発光素子において、発光層からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の角度の範囲の説明図である。 比較例の発光素子において、発光層からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の角度の範囲の説明図である。 本発明の実施形態の発光素子において、発光層からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の角度の範囲の説明図である。 (a)は、本発明の実施形態の発光素子の性能の一例を表すグラフであり、(b)は、本発明の実施形態の発光素子に用いる材料の一例を表す図である。 本発明の実施形態の発光素子の製造方法の一例の説明図である。 図8に続いて、本発明の実施形態の発光素子の製造方法の一例の説明図である。 (a)は、比較例の発光素子と本発明の実施形態の発光素子とを対比するシミュレーションの条件の説明図であり、(b)は、シミュレーション結果を示す図である。 本発明の実施形態の変形例である発光素子の構成を説明するための斜視図である。 本発明の実施形態の発光素子を用いたIP立体ディスプレイの全体構成を示す斜視図である。
以下、本発明の発光素子を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面が示す部材等の高さ、幅、大きさや間隔等の位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに、以下の説明において、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略する。
<発光素子の構造>
まず、発光素子の構造について、図1,2を参照して説明する。
図1に示す発光素子1は、例えばLEDのように、平坦な表面から光を放射するものである。
また、発光素子1は、指向性の高い光を発光する素子であって、特定の方向に光線を出射する光線指向型の発光素子である。
図1に示すように、発光素子1は、ここでは、p型半導体層2と、発光層3と、n型半導体層4と、p電極層5と、低誘電率部6と、n電極層7と、素子表面から突出して設けられた柱体8(81,82,83,84,85,86)と、を備えている。なお、以下では、p型半導体層2と、発光層3と、n型半導体層4とを合わせたものを「発光素子層10」と呼称する。この発光素子1が列方向および行方向に多数並列して設けることで、IP立体ディスプレイが構成される。図1では、IP立体ディスプレイの一部としての発光素子1を示している。
ここで、発光素子1を備えるIP立体ディスプレイ100の全体構成を図12に示す。図12に示すように、IP立体ディスプレイ100は、基板70上に、列ごとにn電極層7と発光素子層10とが形成されており、隣り合う発光素子1,1の発光素子層10,10の間には、間隙Sが形成されている。また、それぞれの発光素子1の発光素子層10の表面には、画素位置ごとに複数の柱体が形成されている。ここでは、基板70上に合計9個の発光素子1を画素として配置したので、ストライプ状の1つの発光素子層10上に画素位置ごとに合計3組の複数の柱体が形成されている。また、3本のストライプ状のそれぞれの発光素子層10のp型半導体層2の表面に、行ごとに発光素子層10およびn電極層7と直交するようにストライプ状にp電極層5が形成されている。つまり、図12に示すIP立体ディスプレイ100は、列ごとに1つのn電極層7を共通して用い、行ごとに1つのp電極層5を共通して用いている。
<p型半導体層>
再び、図1,2を参照して発光素子1の各構成について説明する。
図1および図2(b)に示すように、p型半導体層2は、発光層3の上側(光取り出し側)に設けられており、発光層3側から順に、例えば、p型GaN/InGaN障壁層と、p型GaN層と、が積層された構造とすることができる。
p型半導体層2は、表面に、後記するp電極層5が積層されている。
p型半導体層2の厚さtは、放射光の半導体中における波長λ以上とする。このp型半導体層2の厚さtは、後記するp電極層5の下面から発光層3の上面までの距離dと等しい。
<発光層>
発光素子1が青色発光素子である場合、発光層3は、例えば、InGaNの量子井戸層として形成される。
<n型半導体層>
図1および図2(b)に示すように、n型半導体層4は、発光層3の下側に設けられており、発光層3から遠い方から順に、例えば、n型GaN層と、n型GaN/InGaN障壁層とが積層された構造とすることができる。
<p電極層>
図1および図2に示すように、p電極層5は、p型半導体層2の表面に積層された薄膜状の金属電極であり、図示しない電源から正電圧が印加されると、p型半導体層2に正孔を注入するものである。p電極層5は、略中央部に開口部51を有し、この開口部51内を、後記する低誘電率部6が貫通している。
p電極層5は、図2(b)に示すように、p型半導体層2の表面に積層された状態で、表面が、柱体8の根元部分および低誘電率部6の表面と面一となっている。
また、p電極層5は、図12に示すように、間隙Sにより互いに分離された複数の発光素子1の発光素子層10に亘って設けられている。なお、図1では、便宜上、p電極層5を、発光素子1の端面と面一となる位置で切断して示している。
このp電極層5の下面から発光層3の上面までの距離dは、放射光の半導体中における波長λ以上とする。言い換えれば、p電極層5と発光層3との間に介在するp型半導体層2の厚さtを、放射光の半導体中における波長λ以上とする。
p電極層5は、p型半導体層2の仕事関数よりも小さな仕事関数を持つ材料で形成することができる。例えば、p型半導体層2がGaNであれば、電子親和力が2.9eV、エネルギーギャップが3.4eVであるので、仕事関数ψは6.3eVとなる。そのため、これより小さな仕事関数ψを持つAu(ψ=4.8eV)、Cu(ψ=4.18eV)やNi(ψ=4.0eV)等の金属、あるいは、TaNやHfN(ともにψ=4.8eV)等の化合物を用いるとよい。
p電極層5は、柱体8以外から出射される光をマスクするための遮光膜としても機能する。
つまり、p電極層5は、遮光性を有する金属材料で形成されているため、発光層3で発光し、p型半導体層2中を伝搬した光がp電極層5に到達すると、p電極層5によって遮蔽される。これにより、素子表面において、p電極層5を積層した領域から光が出射されないようにすることができる。p電極層5の厚さtは、p電極層5を形成する材料に応じて適宜設定することができる。
なお、p電極層5は、図示しないが、表面の一部にいわゆるパッド電極が形成されており、このパッド電極を介して電源(いずれも図示せず)の陽極に接続されている。
<低誘電率部>
図1に示すように、低誘電率部6は、p電極層5を貫通し、発光素子層10に所定深さまで凹設された穴状部61に設けられる、発光素子層10の材料よりも誘電率が低い材料で形成された柱状の層である。低誘電率部6は、ここでは、円柱状に形成されており、底面が平坦となっている。低誘電率部6の底面は、p型半導体層2の底面よりも下側に20nm以上離れて位置している。図2(b)に示すように、ここでは、所定深さ(p型半導体層2の表面からの深さd)とは、p型半導体層2の厚さtよりも20nm以上大きい深さである。したがって、低誘電率部6の深さ(p電極層5の表面からの深さd)は、p電極層5の厚さtとp型半導体層2の厚さtとを合わせた大きさよりも20nm以上大きい。これによれば、低誘電率部6は、底面が、発光層3よりもさらに下側に位置することとなるので、発光層3から水平方向や下方向に放射される光についても、その一部を、低誘電率部6内に入射させることが可能となる。
低誘電率部6の直径φは、柱体8(ここでは、6本)を内包できる大きさであればよく、適宜設定することができる。また、低誘電率部6は、表面が、p電極層5の表面と同じ高さとなっている。
低誘電率部6を形成する材料は、発光素子層10を形成する材料よりも誘電率の小さい誘電体材料であれば、特に限定されない。例えば、発光素子層10において、p型半導体層2を発光層3側から順に、p型GaN/InGaN障壁層と、p型GaN層と、が積層された構造とし、発光層3を、InGanの量子井戸層とし、n型半導体層4を、発光層3から遠い方から順に、n型GaN層と、n型GaN/InGaN障壁層とが積層された構造とした場合、低誘電率部6は、このような発光素子層10の材料よりも誘電率が小さいSiO等で形成することができる。低誘電率部6をSiOで形成することで、以下のような効果が期待できる。すなわち、SiOは、加工性に富むことから、結晶成長条件の制御等を行わなくてもよく、また、発光素子層10を構成する発光材料への物理的・化学的なダメージを抑制することができる。また、SiOは、透明な誘電体材料であるので、内部吸収を小さくすることができるので、背景雑音を低下させることができる。
なお、低誘電率部6は、発光素子層10を形成する材料の半分以下の誘電率を有する誘電体材料で形成するとより望ましい。これにより、低誘電率部6の透過率を高くすることができるので、光の内部吸収をより少なくすることができ、素子外部に取り出すことのできる光量をより増大することが可能となる。
また、発光素子1は、図1,図2(b)および図12に示すように、n型半導体層4の下側にn電極層7が設けられていてもよい。
n電極層7は、n型半導体層4の下側に設けられた金属電極であり、図示しない電源から負電圧が印加されると、n型半導体層4に電子を注入するものである。n電極層7は、ここでは図示しないが、表面の一部にいわゆるパッド電極が形成され、このパッド電極を介して電源(いずれも図示せず)の陰極に接続されている。n電極層7は、図12に示すように、複数の発光素子1に亘って設けられている。n電極層7は、n型半導体層4との接触抵抗が、p電極層5とp型半導体層2との接触抵抗よりも小さい材料で形成することができる。例えば、p電極層5をNi/Auで形成した場合、GaN−p層との接触抵抗が約13×10−3Ωcm−2であるので、n電極層7は、これよりも接触抵抗が小さい、例えば、pd/Auで形成することができる。pd/Auは、GaN−p層との接触抵抗が約8×10−3Ωcm−2であるので、条件を満たしている。
また、発光素子1は、n型半導体層4の下側に図示しない基板を備えた構成であっても構わない。基板は、例えば、サファイア、GaAs、SiやSiC等で形成することができる。
<柱体>
図1に示すように、柱体8は、ここでは、素子表面から突出して設けられた、第1の柱体81と、第2の柱体82と、第3の柱体83と、第4の柱体84と、第5の柱体85と、第6の柱体86とを含む。なお、ここでの素子表面とは、具体的に低誘電率部6の表面を意味している。柱体8は、低誘電率部6の表面から突出して設けられており、ここでは、低誘電率部6と同一の材料で一体的に形成されている。
したがって、柱体8は、発光素子層10よりも誘電率の小さい誘電体材料で形成されている。柱体8は、前記した低誘電率部6と同様に、例えば、SiO等で形成することができる。SiOは、透明な誘電体材料であるので、柱体8をSiOで形成することで、光の内部吸収を小さくすることができるので、背景雑音を低下させることができる。そのため、射出面から出射される光量の増大が期待できる。なお、柱体8は、低誘電率部6と同様に、発光素子層10を形成する材料の半分以下の誘電率を有する誘電体材料で形成するとより望ましい。これにより、柱体8の透過率を高くすることができるので、内部吸収をより少なくすることができ、素子外部に取り出すことのできる光量をより増大することが可能となる。ここで、素子表面に所定領域を取り囲むように環状に配置された6つの柱体81,82,83,84,85,86を図2(a)に示す。
図2(a)に示すように、柱体81の柱頭は射出面81aであり、柱体82の柱頭は射出面82aであり、柱体83の柱頭は射出面83aであり、柱体84の柱頭は射出面84aであり、柱体85の柱頭は射出面85aであり、柱体86の柱頭は射出面86aである。
<柱体の平面形状>
図2(a)では、柱体81,82,83,84,85,86の形状を円形で示した。つまり、各射出面81a,82a,83a,84a,85a,86aが素子表面に投影されたときの平面図形の形状は円形であるものとした。また、各射出面81a,82a,83a,84a,85a,86aは、素子表面に対し略平行である。
<柱体の直径>
図2(a)に示すように、各射出面81a,82a,83a,84a,85a,86aを素子表面に投影した平面図形の直径φはそれぞれ等しいものとした。直径φは、発光素子1の発光層3からの光が通るのに充分な太さを有する。ここで、充分な太さとは、発光素子1から出射される光の発光波長(以下、λと表記する)程度以上である。波長λは、放射光の自由空間における発光波長を示す。例えば、直径φをλとする。
<柱体の配置角度>
図2(a)に示すように、柱体81,82,83,84,85,86は、素子表面の原点M(詳しくは後記する)の周囲に環状に等間隔で配置されている。ここでは、柱体81,82,83,84,85,86の配置角度θを60度としている。これにより、柱体81,82,83,84,85,86の射出面81a,82a,83a,84a,85a,86aから光が放射された際に、光線として形成される光以外の余分な光(妨害光)が特定箇所に固まって妨害することがないため、形成される光線の品質を向上させることができる。詳しくは後記する。
<柱体の中心間の間隔>
柱体81,82,83,84,85,86において、環状に隣り合う柱体の中心間の間隔は、隣り合った柱体の射出面から出射された光が干渉できる程度の長さに予め設定されている。また、ここでは、各柱体の直径φをλとしており、光軸を挟んで正対する柱体、ここでは、柱体82,85間の間隔pを1.2λとした。なお、各柱体の直径φをλとしているので、環状に隣り合う柱体、例えば、柱体81,86間の間隔pは略0となる。
<複数の柱体の配置の原点>
図2(a)に示す例では、所定の原点Mとは、素子表面において6つの柱体81,82,83,84,85,86により環状に取り囲まれた所定領域に位置する点である。また、この原点Mは、柱体81の中心Oと、柱体82の中心Oと、柱体83の中心Oと、柱体84の中心Oと、柱体85の中心Oと、柱体86の中心Oとから等距離にある点であり、中心O,O,O,O,O,Oを頂点とする正六角形の重心(原点Mと表記する)のことである。ここで、6つの柱体81,82,83,84,85,86は、円環状かつ均等に配置されることが好ましい。なお、各柱体により取り囲まれた所定領域の形状やサイズは、柱体の直径φとバランスを取りながら所望のものとして適宜設計できる。
例えば、柱体の直径φが波長λの数波長程度分であれば、所定領域のサイズは、1〜数波長程度とすることができる。
<柱体の高さ>
柱体81,82,83,84,85,86は、少なくとも1つの柱体の高さが他の柱体の高さと異なっている。
図1および図2(a)に示す例では、柱体81,82,83,84,85,86のうち、3つの柱体84,85,86は、他の3つの柱体81,82,83に対し、高さが低いものとする。なお、3つの柱体81,82,83は、互いに同じ高さであり、他の3つの柱体84,85,86は、互いに同じ高さである。
ここで、発光素子1の柱体8の高さを説明するための概念図を図2(b)に示す。高い柱体81,82,83は互いに高さが等しく、低い柱体84,85,86は互いに高さが等しいので、図2(b)では、光軸を挟んで正対する高さの異なる柱体を1本ずつ(柱体82と柱体85)図示し、他の柱体については図示を省略している。
図2(b)に示すように、柱体82(81,83)の低誘電率部6の表面からの高さを、それぞれ基準となる高さHとする。そして、柱体82(81,83)の低誘電率部6の表面からの高さと、柱体85(84,86)の低誘電率部6の表面からの高さとの差をdとすると、柱体85(84,86)の低誘電率部6の表面からの高さは、「H−d」となる(図2(b)参照)。
本実施形態の発光素子1では、後記する実験結果に基づいて、柱体82(81,83)と柱体85(84,86)との高さの差dは、放射光の誘電体中における波長の長さ以下であることとした。ここで、放射光の誘電体中における波長とは、自由空間においてある波長の光を、誘電体中(柱体の内部)を光導波路として伝搬したときの波長である。
一般に、誘電体の誘電率は真空中(空気中)より高いため、誘電体中を伝搬する際の光の速度は、空気中を伝搬する速度に比べて遅くなる。具体的には、放射光の自由空間における発光波長λと誘電体中の放射光の発光波長λとの間には、「λ=λ/n」の関係がある。ここで、nは、誘電体の屈折率である。
なお、以下では、高い柱体81,82,83を「導波柱」と呼称し、柱体81,82,83と異なるように高さが調整された低い柱体84,85,86を「制御柱」と呼称して区別する場合もある。
<柱体の配置>
図2(a)に示すように、高い柱体81,82,83(導波柱)と、低い柱体84,85,86(制御柱)とは、光軸を挟んで正対して配置される。具体的には、柱体81と柱体84とが正対し、柱体82と柱体85とが正対し、柱体83と柱体86とが正対している。
<柱体の本数>
発光素子1における柱体は、光線の放射方向を制御するとともに、妨害光の発生を抑制するうえで合計6本とすることが最も好ましい。
すなわち、光は横波であるため、1本の柱体から放射された光の高調波を抑制するには光軸(重心)を対称軸とした反対側に発生する電界を打ち消す必要がある。しかし、例えば柱体を4本にすると、光軸を挟んで正対する導波柱と制御柱は2組となるが、光軸回りの対称性が向上して回転対称な成分が強め合うことになる。その一方で、軸回りに隣り合う2つの柱体の中間部分に生じる同偏光の高調波は柱体の配置によって強められるため、柱体を4本とすると妨害光の影響が大きくなるおそれがある。
また、柱体を5本とすると、導波柱と制御柱が光軸を挟んで正対しないため、同偏光の高調波が強められることがなく、妨害光が抑制される。しかし、柱体を5本とすると、光軸を含む面に対する対称性が柱体を6本とした場合よりも劣るので、干渉効果による放射方向の制御が難しくなるおそれがある。一方、発光素子1のように柱体を6本とすると、導波柱と制御柱が光軸を挟んで正対し、かつ光軸を含む面に対する対称性も良いため、妨害光の発生を抑制することができるとともに、光線の放射方向も制御することが可能になるため最も好ましい。
[発光素子の発光層の発光の原理]
次に、発光素子1の発光層3の発光の原理について説明する。
発光素子1は、電源からパッド電極(いずれも図示せず)を介してp電極層5に正電圧が印加され、電源からパッド電極(いずれも図示せず)を介してn電極層7に負電圧が印加されることで、p電極層5よりp型半導体層2に正孔が注入されるとともに、n電極層7よりn型半導体層4に電子が注入される。発光素子1は、p電極層5より注入された正孔がp型半導体層2中を拡散しながらp型半導体層2とn型半導体層4との接合部である発光層3へと移動し、一方、n電極層7より注入された電子がn型半導体層4内を接合部である発光層3へと移動する。そして、発光素子1は、発光層3の接合部において正孔と電子とが再結合することで生じるエネルギーによって発光する。
発光素子1は、p電極層5と発光層3との表面積が等しいため、p電極層5より注入された正孔が発光層3の全体に到達することから、発光層3の全体で発光する。
このようにして、発光層3から放射された光が、柱体8の直下からそれぞれ柱体8に入射し、柱体8中を伝搬して、それぞれの射出面から空気中に出射される。
一方、発光層3から放射され、p型半導体層2の上側に設けられたp電極層5に入射した光は、遮光性を有するp電極層5によって遮蔽されるので、空気中に放射されない。そのため、発光素子1は、柱体8の射出面から出射された光によって光線を成形する際に、妨害光の影響を受けないようにすることができる。
[発光素子の柱体から出射される光の干渉の原理]
続いて、発光素子1の柱体81,82,83,84,85,86から出射される光の干渉の原理について図3および下記の数式を適宜用いて説明する。なお、柱体81,82,83は互いに高さが同じであり、柱体84,85,86は互いに高さが同じであるので、図3および下記数式を用いる説明では、簡便のため、光軸を挟んで正対する高さの異なる2つの柱体82と柱体85から出射される光の干渉を例にとって説明する。なお、この説明では、簡便のため、発光層3から放射された光が、低誘電率部6内に入射した後、低誘電率部6の底面付近から鉛直方向に進んだ光が柱体82,85の中心軸を通って空気中に放射される場合を仮定する。
図3に示すように、発光素子1の表面を基準の位置とすると、柱体82の高さがHであり、柱体85の高さが(H−δH)である。ここで、柱体82の高さHに対する柱の高さの差d(図2(b)参照)の割合(=d/H)を「δ」とした場合、柱体82と柱体85との高さの差d(図2(b)参照)は、d=δHで表わすことができる。なお、以下の説明では、柱体82と柱体85との高さの差d(図2(b)参照)を「δH」として説明し、柱体82の高さHに対する、柱体82と柱体85との高さの差d(図2(b)参照)の割合δを「高さの差の割合δ」として説明する。
図3に示す例では、素子表面(p電極層5および低誘電率部6の上面)の位置を基準の高度hとする。また、柱体86の柱頭の射出面85aの位置を高度hとし、柱体82の柱頭の射出面82aの位置を高度hとする。つまり、h−h=δHの関係がある。光軸を挟んで正対する2つの柱体82,85間の間隔をpとする(図2(a)参照)。光軸を挟んで正対する2つの柱体82,85の中心軸から等距離に位置する鉛直中心軸上の所定地点Cを高度hとする。
図3に示した発光素子1において、発光層3から低誘電率部6に入射した光は、高い柱体(導波柱)82と低い柱体(制御柱)85とに分岐して出射される。また、高い柱体82を通る場合に、1つの光路(以下、光路Aという)として、柱体82中の点A1と柱体82の射出面82aの中心点A2とを経由して地点Cに達する光路を想定する。また、低い柱体85を通る場合に、柱体85の射出面85aの中心点B1と、点B1からδHだけ高い位置の点B2とを経由して地点Cに達する光路を想定する。
光路Aを通る光と光路Bを通る光とは、高度hまでは同じ媒質(低誘電率部6)を同じ距離だけ進むので同位相のままである。このときの位相を初期位相θとすると、光路Aでは点A1において位相はθであり、光路Bでは点B1において位相はθである。
これら光路Aを通る光と光路Bを通る光とは、高度hから高度hまで異なる媒質を進む。このとき、光路Aでは媒質は柱体82(誘電体)であり、光路Bでは媒質は空気である。前記したように、大気中または真空中の光の速度をc、半導体の屈折率をnとすると、半導体中の速度は、c/nで与えられる(例えばSiOであれば例えばn=1.5)。このため、発光素子層10中で発生した光を2つに分岐して、一方をそのまま大気中(もしくは真空中)に出射し、かつ、もう一方を誘電体中で伝搬させてから出射した場合、それら2つの光が出射された後に出会うと、光路が異なるため、光の位相は異なるようになる。したがって、光の誘電体中の波長をλとし、光路Aでは高度hから高度hまでの区間の誘電体(例えばSiO)中で位相がαだけ進むとすると、光路Aの点A2において位相は下記式(1)で表される。
Figure 2014137853
また、光の自由空間中の波長をλとし、光路Bでは高度hから高度hまでの自由空間中で位相がβだけ進むとすると、光路Bでは点B2において位相は下記式(2)で表される。
Figure 2014137853
さらに高度hから高度hまで自由空間なので、光路Aを通る光と光路Bを通る光とは同じ媒質(自由空間)を進む。また、このとき、光路Aの点A2から点Cまでの距離と、光路Bの点B2から点Cまでの距離とは同じである。したがって、光路Aを通る光の点A2における位相と、光路Bを通る光の点B2における位相との差は、点Cにおいても保存されることとなる。この位相差τは以下の式(3)で表される。すなわち、柱体82と柱体85との高さの差δHによって光路Aと光路Bとの位相差τを制御することができる。以下の式(3)を変形すると、高さの差δHは式(4)で表される。
したがって、以下の式(4)に示すように、柱体82と柱体85の高さの差δHを調整することで、柱体82と柱体85との位相差τを制御できることがわかる。そして、このように柱体82の射出面82aと柱体85の射出面85aからそれぞれ放射された光には、図3の高度hの地点において位相差τがあるため、これらの光が互いに干渉すると、前記した位相差τに応じて、素子表面と垂直な方向に対して制御角の分だけ傾いた方向に1本の光線が生成されることになる。したがって、柱体82と柱体85との高さの差δHを調整して位相差τを制御することで、光線を所望の制御角の方向に放射することができる。なお、柱体82と柱体85との高さの差δHにおけるHは固定値であるため、柱体82の高さHに対する柱体82と柱体85との高さの差δHの割合δを調整すれば、柱体82と柱体85の位相差τを制御することができる。
Figure 2014137853
そして、柱体82を通る光は、柱体85を通る光に比べて遅延するため、両者が混合されると、それら2つの光の波面とは全く異なる波面をもつ波が生成される。すなわち、柱体82,85から出射される光の波面は互いに干渉し、これら2つの柱体82,85の相対的な位置(3次元空間の位置)によって決定される方向(方向)に、光が出射されることになる。
続いて、3次元空間の位置rにある波源としての柱体82と、3次元空間の位置rにある波源としての柱体85から出射された光の干渉について説明する。
位置rにある波源と、位置rにある波源とからそれぞれ出射された光によって、3次元空間の位置rに時刻tにおいて成形される光の強度I(r)は、次の式(5)で与えられる。
Figure 2014137853
式(5)において、光の干渉を表す第3項が存在するために、発光層3から出射された光が、2つの波源からそれぞれ出射された後に重畳されて、波面を変えて波の進行方向を変えることが可能となる。式(5)では、式(6)のγの実部を利用する。式(6)のEは、Eの複素共役であることを示す。γは、式(6)で示すように、0から1までの値をとり、2つの波源から出射された光が時間的・空間的にどのくらい相関を持っているのかを示している。よって、γは、次の式(7)〜式(9)のように場合分けすることができる。
Figure 2014137853
式(7)の場合を完全コヒーレント、式(8)の場合をインコヒーレント、式(9)の場合を部分的なコヒーレントと呼ぶ。ここでは、発光素子として、LEDの光源を使用しているため、部分的なコヒーレントになっている。したがって、図3の発光素子1においては、光の強度において、前記式(5)の第3項の寄与が大きいため、光の進行方向を大きく曲げられる。
図3では、簡単のため、高さの異なる2つの柱体から出射される光の干渉による光線の方向について説明した。波源としての柱体が6つある場合についても、前記式(5)を拡張することが可能である。
[発光素子の外部に取り出し可能な放射光の割合]
次に、図4〜6を参照して、発光素子1の発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合について説明する。ここでは、説明をわかりやすくするために、低誘電率部6を備えない発光素子1(以下、「比較例の発光素子」という)を仮想的に設計し、本実施形態の発光素子と、比較例の発光素子とで、放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合を対比説明する。
具体的には、図4(a)に、比較例の発光素子1´の断面図を示し、図4(b)に、本実施形態の発光素子1の断面図を示している。以下では、図4(a)に示した比較例の発光素子1´と、図1,2および図4(b)に示した本実施形態の発光素子1とで共通する構成には同様の符号を付し、重複する説明を省略する。ここでは、まず、図4(a)に示す比較例の発光素子1´の構成について、簡単に説明する。なお、図4(b)に示した本実施形態の発光素子1は、図1,2を参照して説明したとおりであるので、ここでは、重複する説明を省略する。
図4(a)に示すように、比較例の発光素子1´は、n電極層7と、n型半導体層4と、発光層3と、p型半導体層2と、が積層され、さらに、p型半導体層2の表面において、p電極層5が積層された構成となっている。ただし、比較例の発光素子1´は、p電極層5が、略中央部に開口部51を有し、この開口部51内にp型半導体層2が設けられている。比較例の発光素子1´は、素子表面(開口部51内のp型半導体層2の表面)から突出して6本の柱体8(柱体81,82,83,84,85,86(ここでは、柱体82,85のみ図示))が設けられており、本実施形態の発光素子1と同様に、それぞれの柱体の中心から等距離に、所定の原点M(図示せず)をとっている。なお、図4(a)に示す比較例の発光素子1´は、図1,2および図4(b)に示す本実施形態の発光素子1と同様に、6本の柱体8のうち、柱体81,82,83が互いに同じ高さであり、柱体84,85,86が互いに同じ高さであることから、図4(a)では、代表して光軸を挟んで正対する柱体82,85のみを図示している。また、比較例の発光素子1´において、n型半導体層4と、発光層3と、p型半導体層2とを合わせたものを発光素子層10と呼称する。
比較例の発光素子1´は、発光層3がn型半導体層4の上面に一様に設けられており、また、柱体8(82,85)がp型半導体層2と同じ材料で、p型半導体層2の表面に一体的に形成されている。
ここで、比較例の発光素子1´において、柱体8(82,85)とは、p型半導体層2の表面から突出した部分のみを指すものとする。
比較例の発光素子1´は、図1,2を参照して前記した本実施形態の発光素子1と同様の原理で発光する。ここで、比較例の発光素子1´は、発光層3が一様に設けられている一方、p電極層5は、一部に設けられている。比較例の発光素子1´において、p電極層5より注入された正孔は、p型半導体層2内を拡散しながら伝搬されるため、p電極層5の直下の領域に加え、開口部51の直下の領域にも一部到達する。n型半導体層4中の電子の移動度が、p型半導体層2中の正孔の移動度よりもはるかに大きいので、正孔と電子との再結合は、比較例の発光素子1´の発光層3に正孔が到達した時点で発生する。言い換えれば、発光層3は、正孔が到達した領域でのみ発光することになる。したがって、比較例の発光素子1´の発光範囲は、発光層3の一部に制限される。
図4(a)に示す比較例の発光素子1´は、発光層3において、符号401で示す点の位置での発光を考えるものとする。また、比較例の発光素子1´において、発光素子層10の屈折率をnとする。さらに、比較例の発光素子1´において、p電極層5とp型半導体層2との界面に沿って下ろした垂線Lから発光位置401までの距離をxとする。
図4(b)に示す本実施形態の発光素子1は、発光層3において、符号402で示す点の位置での発光を考えるものとする。また、本実施形態の発光素子1において、p電極層5と低誘電率部6との界面に沿って下ろした垂線Lから発光位置402までの距離をxとする。
さらに、図4(b)に示す本実施形態の発光素子1は、発光素子層10の屈折率をnとし、低誘電率部6の屈折率をnとする。このとき、屈折率n>屈折率nの関係が成立するものとする。ここで、発光素子層10の屈折率nは、発光素子層10を形成する材料の誘電率の平方根で近似し、低誘電率部6の屈折率nは、低誘電率部6を形成する材料の誘電率の平方根で近似する。
次に、図4(a)に示す比較例の発光素子1´と、図4(b)に示す本実施形態の発光素子1のそれぞれについて、発光層3からの放射光が、素子外部に射出される原理について対比説明する。
図4(a)に示すように、比較例の発光素子1´は、発光層3の発光位置401からの放射光のうち、柱体8の射出面への入射角θが臨界角θよりも小さい放射光のみ、素子外部に放射されることとなる。
一方、図4(b)に示すように、本実施形態の発光素子1は、発光層3の発光位置402からの放射光のうち、発光層3と低誘電率部6との界面への入射角θが臨界角θABよりも小さい放射光だけが、低誘電率部6に入射する。そして、発光素子1は、低誘電率部6に入射された放射光のうち、柱体8の射出面への入射角θが臨界角θよりも小さい放射光だけが、素子外部に放射されることとなる。
このように、比較例の発光素子1´は、発光層3からの放射光のうち、柱体8の射出面に直接入射し、かつ、入射角θが臨界角θよりも小さい放射光のみ、素子外部に取り出される。これに対し、本実施形態の発光素子1は、低誘電率部6を備えるので、発光層3からの放射光が、低誘電率部6に水平方向に入射したときの入射角θが臨界角θABよりも小さく、かつ、低誘電率部6内を伝搬して柱体8の射出面に入射したときの入射角θが臨界角θよりも小さい場合、素子外部に取り出すことができる。
つまり、比較例の発光素子1´では、発光層3から柱体8の射出面に直接向かう光の一部しか、素子外部に取り出すことができない。したがって、発光素子1´では、素子外部に取り出し可能な光の角度範囲が極めて狭く限定的となる。
これに対し、本実施形態の発光素子1によれば、発光層3と柱体8の射出面との間に、発光素子層10と屈折率が異なる低誘電率部6を設けることで、発光層3から放射され、柱体8の射出面に直接入射する放射光だけでなく、より広い角度範囲の放射光を素子外部に取り出し可能となる。
この点について、図5,6を参照して、より詳しく説明する。具体的には、図5に示す比較例の発光素子1´および,図6に示す本実施形態の発光素子1のそれぞれについて、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合を対比説明する。
ここで、図5に示す比較例の発光素子1´は、図4(a)に示す発光素子1´と同様のものであり、また、図6に示す本実施形態の発光素子1は、図4(b)に示す発光素子1と同様のものである。図5に示す比較例の発光素子1´と図6に示す本実施形態に係る発光素子1とは、内部構造(2次元断面)が異なるものの形状は同一である。図5では、比較例の発光素子1´の2次元断面を示しているが、所定の原点M(図示せず)を含み基板に垂直な線を中心軸とした回転対称な構造となっている。同様に、図6では、本実施形態に係る発光素子1の2次元断面を示しているが、発光素子1は、図2(a)に示す所定の原点Mを含み基板に垂直な線を中心軸とした回転対称な構造となっている。
まず、図5に示す比較例の発光素子1´において、素子外部に取り出し可能な放射角の範囲、および、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合について説明する。
図5に示す比較例の発光素子1´において、発光素子層10の屈折率をnとし、柱体8の射出面への入射角に対する臨界角をθとすると、臨界角θは、次の式(10)のように定義される。
Figure 2014137853
図5に示す比較例の発光素子1´において、発光層3の発光が密度γの等方放射であり、かつ、発光層3におけるp電極層5とp型半導体層2との界面の直下の位置を基準の位置(距離0)としたときに、距離xだけ離れた発光位置での強度Iが次の式(11)で表されるとすると、発光層3からの放射光が素子外部に取り出される割合dIは、次の式(12)で表される。
Figure 2014137853
前記式(12)において、θは、比較例の発光素子1´において、素子外部に取り出し可能な放射光の放射角の最小値であり、θは、比較例の発光素子1´において、素子外部に取り出し可能な放射光の放射角の最大値である。ここで、最小値θおよび最大値θは、発光層3の表面を基準とした仰角で表される。また、最小値θから最大値θまでの範囲内の放射角Rで放射された放射光が、素子外部に取り出し可能なものとなる。
次に、図5に示す比較例の発光素子1´において、素子外部に取り出し可能な放射光の放射角の最小値θは、放射光の柱体8の射出面への入射角に対する臨界角θとの間で、次の式(13)で表される。
Figure 2014137853
図5に示す比較例の発光素子1´において、発光層3の上方に、発光層3からの放射光を遮蔽するp電極層5があることから、発光層3から素子上方に向かう放射光のうち、p電極層5に入射した光は、p電極層5で遮蔽される。したがって、比較例の発光素子1´において、素子外部に取り出し可能な放射光の放射角の最大値θは、次の式(14)に示すように、発光層3における、p型半導体層2の表面からの深さDと、発光位置501までの距離xとにより制限される。
Figure 2014137853
ここで、距離xの値が大きくなると、発光層3において、放射角の最小値θが最大値θを超える場合がある。そのような場合の距離xの地点から放射された放射光は、素子外部に取り出すことができない。したがって、距離xは、0≦x≦Dtanθの範囲内になければならない。
以上から、図5に示す比較例の発光素子1´において、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合Iは、次の式(15)のように表される。
Figure 2014137853
続いて、図6に示す本実施形態の発光素子1において、素子外部に取り出し可能な放射角の範囲、および、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合Iについて、説明する。
図6に示すように、本実施形態の発光素子1は、発光素子層10の屈折率をnとし、低誘電率部6の屈折率をn(ただし、n<n)とし、発光素子層10と低誘電率部6との界面への入射角に対する臨界角をθABとし、柱体8の射出面への入射角に対する臨界角をθとする。ただし、臨界角θABおよび臨界角θは、次の式(16),(17)によって定義されるものとする。
Figure 2014137853
図6に示す本実施形態の発光素子1において、発光層3からの放射光は、前記したように、一部が、低誘電率部6に入射され、次に、低誘電率部6に入射された光のさらに一部が、柱体8の射出面に入射されて、射出面から素子外部に出射される。
この場合、本実施形態の発光素子1において、発光層3からの放射光のうち、素子外部に取り出し可能な放射光の放射角の最小値θは、低誘電率部6への入射角が(π/2−θ)となる角度より、次の式(18),(19)によって表される。ここで、最小値θは、発光層3の表面を基準とした仰角で表され、最大値θは、p電極層5の底面を基準とした伏角で表される。
Figure 2014137853
つまり、本実施形態の発光素子1の最小値θは、比較例の発光素子1´の最小値θと異なる。
また、本実施形態の発光素子1において、発光層3からの放射光のうち、素子外部に取り出し可能な放射光の放射角の最大値θは、発光層3におけるp電極層5と低誘電率部6との界面の直下の位置を基準の位置(距離0)としたときの、発光位置までの距離xに応じて変化する。具体的には、最大値θは、距離xが大きくなると小さくなる。さらに、最大値θは、p電極層5による遮蔽を考慮すると以下のように表される。
つまり、本実施形態の発光素子1において、距離xの値が小さい場合、放射光はp電極層5に入射しないので遮蔽されない。したがって、この場合の最大値θmaxは、次の式(20)で表される。
一方、本実施形態の発光素子1において、距離xの値が大きくなると、放射光がp電極層5に入射して遮蔽されることとなる。したがって、この場合の最大値θmaxは、次の式(21)で表される。
Figure 2014137853
本実施形態の発光素子1において、発光位置から、最小値θから最大値θまでの範囲内の放射角Rで放射された放射光が、素子外部に取り出し可能なものとなる。
ただし、距離xがさらに大きくなり、次の式(22)に示す条件が成立する場合、最小値θが最大値θを超えてしまうため、この部分を除外する必要がある。
Figure 2014137853
以上から、本実施形態の発光素子1において、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合Iは、最終的に次の式(23)で表される。
Figure 2014137853
そして、図5に示す比較例の発光素子1´において、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合Iと、図6に示す本実施形態の発光素子1において、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合Iとの比は、次の式(24)で表される。
Figure 2014137853
ただし、式(24)において、θは、前記式(10)に示したものとし、θは、前記式(17)に示したものとし、θABは、前記式(16)に示したものとし、θは、前記式(19)に示したものとする。
ここで、図5に示した比較例の発光素子1´および図6に示した本実施形態に係る発光素子1において、放射地点が発光層3の全体に均一に分布していると仮定すれば、2次元断面において、中心軸から遠いほど放射地点の数が多くなるといえる。前記したように、本実施形態の発光素子1は、比較例の発光素子1´よりも、距離xが大きい放射地点、すなわち、中心軸から遠い放射地点からの放射光を素子外部に取り出すことができる。したがって、本実施形態に係る発光素子1は、比較例の発光素子1´よりも、多くの放射地点からの放射光を素子外部に取り出すことができ、よって、発光強度が高くなることがわかる。
次に、一例として、本実施形態の発光素子1の発光素子層10をGaN(屈折率n=2.6であるが、ここでは、近似的に屈折率n=3.0とする)で形成し、低誘電率部6を誘電率の異なる複数の材料でそれぞれ形成した場合において、発光層3からの放射光全体に対する、素子外部に取り出し可能な放射光の割合の比を確認した結果を図7に示す。
図7(a)に示すように、本実施形態の発光素子1(図1参照)は、低誘電率部6(図1参照)の屈折率nが1.64以下であるとき、素子外部への放射光の取り出し割合の比F(n,n)(ここでは、屈折率n=3.0)が1.0より大きくなるので、素子外部への放射光の取り出し強度を向上させることができる。また、図7(b)に示すように、低誘電率部6(図1参照)を、ZnO(屈折率n=1.30)で形成した場合、素子外部への放射光の取り出し割合の比F(n,n)が2.4以上となり、素子外部への放射光の取り出し強度が最も高くなり、以下、MgF(屈折率n=1.37)で形成した場合(取り出し割合の比F(n,n)が1.97以上)、Al(屈折率n=1.48)で形成した場合(取り出し割合の比F(3.0,n)が1.50以上)、SiO(屈折率n=1.50)で形成した場合(取り出し割合の比F(n,n)が1.35以上)、の順で続いている。このように、本実施形態の発光素子1(図1参照)によれば、低誘電率部6(図1参照)を、図7(b)に例示したいずれの材料によって形成した場合にも、取り出し割合の比F(n,n)を1.0より大きくすることができる。つまり、本実施形態の発光素子1(図1参照)は、低誘電率部6(図1参照)を備えることで、素子外部への放射光の取り出し強度を向上させることができるといえる。
以上のように、図4(a)および図5に示す比較例の発光素子1´と、図4(b)および図6に示す本実施形態の発光素子1とを対比すると、本実施形態の発光素子1は、比較例の発光素子1´に比べて、素子外部への放射光の取り出し強度を高くすることができるといえる。
[発光素子の製造方法]
発光素子1を製造する方法としては、公知の種々の微細加工技術を用いることができる。発光素子1は、例えばLEDのように平坦な放射面を有する発光素子を用意し、その表面を微細加工して作成することが可能である。
以下、図1に示す発光素子1を2次元状に複数並べ、かつ、n電極層7を設けた素子群を製造する方法を、図8,9を参照して説明する。
図8(a)に示すように、まずバッファ層21を介してGaN等からなる発光素子層10が形成された基板120を用意する。図8(a)に示すように、例えばバッファ層21が積層されたSi等の基板120の表面に、例えば分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法等の成膜方法により、n型半導体層4を積層し、次に、InGaNの量子井戸層からなる発光層3を形成し、さらに、p型半導体層2を積層する。
そして、図8(a)に示すように、レーザーリフトオフ法、ケミカルリフトオフ法またはボイド形成剥離法等により、基板120およびバッファ層21を剥離する。次に、図8(b)に示すように、発光素子層10のn型半導体層4の上(図8では下側)に、マスクを用いた金属蒸着法等によってn電極層7を、ストライプ状に1本以上形成する。なお、その際、n電極層7上にSn等の融着層を形成しても構わない。
次に、図8(c)に示すように、n電極層7が設けられた発光素子層10を、n電極層7を下にしてサファイア等の基板20上に配置し、表面活性化接合法等により、両者を接合する。なお、表面活性化接合法では、具体的にはArプラズマ等によって発光素子層10の表面を活性化させて基板20と圧着を行う。ただし、前記した図8(b)の工程において、n電極層7上にSn等の融着層を設けた場合は、この工程では加熱のみを行って発光素子層10と基板20とを接合する。
次に、図8(d)に示すように、p型半導体層2の表面の画素領域に熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂からなるフォトレジストfをパターニングして積層する。パターニングは、p型半導体層2の表面において、画素領域を円形に残し、その他を全て覆うパターンとする。例えば、p型半導体層2の表面の画素領域にフォトレジストfを塗布後、フォトマスクで皮膜し、紫外線を照射して現像することで形成することができる。
続いて、図8(e)に示すように、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングや薬液を用いたウェットエッチングにより、p型半導体層2(発光素子層10)のフォトレジストfの周囲を所定深さまでエッチングして穴状部61とする。具体的には、発光素子層10のフォトレジストfの周囲を、p型半導体層2の下面から20nm以上の深さまでエッチングする。
さらに、図8(f)に示すように、エッチングにより発光素子層10に凹設した穴状部61内に、発光素子層10を形成する材料よりも誘電率の低い材料を充填し、低誘電率部6を形成する。
次に、図9(a)に示すように、低誘電率部6の表面に熱可塑性樹脂または光硬化性樹脂からなるフォトレジストfをパターニングして積層する。フォトレジストfのパターニングは、図8(d)を参照して説明したのと同様の手法により行う。
さらに、図9(b)に示すように、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)等のドライエッチングや薬液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジストfの周囲のp型半導体層2をエッチングする。
続いて、図9(c)に示すように、発光素子層10をブロックごとに分割する。この分割の方法の一例について説明する。まず、図9(b)に示す状態において、分割する部分以外の発光素子層10および低誘電率部6の表面にフォトレジストを形成する。そして、反応性イオンエッチング等のドライエッチングや薬液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジストの周囲をn型半導体層4の下面の位置と同等の深さまでエッチングする。これによって、発光素子層10がブロックごとに分割され、隣り合うブロックとの間に間隙Sが形成される。なお、ここでは、発光素子層10の全体を分割したが、少なくとも、発光層3までが分割されていれば足りる。その場合、エッチングの深さを変えればよい。
さらに、続いて、図9(d)に示すように、金属材料を蒸着法、スパッタリング法等により複数のブロックに亘るように積層した後、フォトリソグラフィ法等によってp電極層5を作製する。これにより、p電極層5が、複数のブロックに亘って形成される。
そして、図9(e)に示すように、余分なp電極層5ごとフォトレジストfをリフトオフする。このようにして形成されたp電極層5は、ブロックごとに開口部51を有し、この開口部51内を、低誘電率部6が貫通している。
そして、図9(f)に示すように、反応性イオンエッチング等のドライエッチングや薬液を用いたウェットエッチングにより、複数の柱体8(81,82,83,84,85,86)を形成する。なお、図9(f)では、簡便のため、複数の柱体8の高さを全て等しくしている。
ここで、図9(e)に示す状態から、高い柱体81,82,83と低い柱体84,85,86とを形成する方法の一例について説明する。
まず、図9(e)に示す低誘電率部6の表面の、高い柱体81,82,83となる部分にフォトレジストを形成する。そして、反応性イオンエッチング等のドライエッチングや薬液を用いたウェットエッチングにより、フォトレジストの周囲をエッチングする。これによって、高い柱体81,82,83の上側の一部が形成される。次に、低誘電率部6の表面の、低い柱体84,85,86となる部分にフォトレジストfを形成する。そして、前記したようなエッチングにより、高い柱体81,82,83、および、低い柱体84,85,86となる柱体の表面に形成したフォトレジストの周囲をエッチングする。これにより、高い柱体81,82,83、および、低い柱体84,85,86以外の表面が削られ、高い柱体81,82,83、および、低い柱体84,85,86が形成される。なお、柱体8の形成後に、p電極層5の表面にSiO2等の絶縁性の保護膜を形成してもよい。
発光素子1は、以上のような構成を備えるので、柱体8に直接入射しない放射光についても、低誘電率部6を介して柱体8に入射させることができる。そして、柱体8内を光導波路として、より多くの放射光を柱体8の射出面に入射させることが可能となる。その結果、発光素子1は、放射光の素子外部への取り出し強度を向上させることができ、光線を形成するための光量を増大することができる。これによって、発光素子1は、強度の高い光線を形成することができる。なお、柱体8の射出面からの放射光は、発光層3を1つの光源として発生した光であるため、互いに干渉して合成され、光線が形成される。
発光素子1は、p型半導体層2の表面において、低誘電率部6以外の部分にp電極層5を積層しているので、発光層3において、p電極層5の直下で発光し、素子表面に向かう光をp電極層5で遮光することができ、これによって、妨害光の発生を抑制することができる。
さらに、発光素子1は、柱体のうちの少なくとも1本(ここでは3本)の高さをその他の柱体の高さと異なるように構成することで、それぞれの射出面から出射された光に位相差を設けることができ、当該位相差に応じた傾き方向に光線を放射することができる。
また、さらに、発光素子1は、6本の柱体81,82,83,84,85,86を形成することで、光線として形成される光以外の余分な妨害光の発生を効果的に抑制することができる。
さらに加えて、発光素子1は、隣り合う発光素子1との間に設けられた間隙Sによって、発光素子層10が、隣り合う発光素子1の発光素子層10と互いに分離されているので、発光素子層10の端面(GaN端面)が平坦であれば、GaNと素子外部の大気との界面において光を反射する。そのため、発光素子1は、隣り合う発光素子1の発光層3で発光し、素子外部に放出された放射光が発光素子1内に入射するのを抑制することができるので、余分な放射光による影響を低減することができる。
[発光素子の性能]
本実施形態の発光素子1の性能を確かめるために、FDTD(Finite-Difference Time-Domain)法によるシミュレーションを行った。ここでは、発光素子1の表面(p電極層5および低誘電率部6の上面)と平行な面の正方形領域(大きさ6000nm×6000nm)をベースとして想定した。また、発光素子1の垂直方向の原点を、低誘電率部6の底面にとり、原点の上方3000nmの地点の電界強度を評価することとした。
次に、シミュレーションにおける発光素子1の設計例を、図10(a)を参照して説明する。
[発光素子の設計の具体例]
図10(a)に示すように、発光素子1は、発光素子層10(p型半導体層2,発光層3およびn型半導体層4)が、GaNにInを添加したLED(屈折率n≒3.0)であるものとした。発光層3からの放射光の自由空間における発光波長λは405nmであるものとした。
p型半導体層2(図1参照)の厚さtは、約200nmとした。
p電極層5(図1参照)は、厚さtが200nmのAgの金属薄膜とした。
低誘電率部6の直径φは、1300nmとした。
低誘電率部6は、SiO(屈折率n=1.50)で形成した。
低誘電率部6のp型半導体層2の表面からの深さdは、400nmとした。つまり、低誘電率部6の深さdを、600nmとした。
低誘電率部6の外周面と発光素子層10の端面とを結んだ直線距離pを1200nmとした。
柱体81,82,83,84,85,86の直径φは、放射光の自由空間における発光波長λに相当する405nmとした。
柱体81,82,83,84,85,86の配置角度θ(図2(a)参照)は、60度とした。
光軸を挟んで正対する柱体間の間隔pは、約1.2λ(485nm)とした。
隣り合う柱体間の間隔p(図2(a)参照)は、略0とした。
柱体81,82,83(図10(a)では、柱体82のみ図示)の高さHは、526nmとした。
また、柱体84,85,86(図10(a)では、柱体85のみ図示)の高さ「H−d」は、柱体81,82,83の高さHから、柱体81,82,83と柱体84,85,86との高さの差「δH」[nm]を減じた高さとして、柱体81,82,83の高さHに対する柱体84,85,86の高さの差δHの割合δ(δ=d/H)の値を変化させることで、光線方向が制御される。
この発光素子層10の周囲には、大気(屈折率n=1.0)が流通しているものとする。
次に、前記したシミュレーション条件に基づくシミュレーションを行った結果を、図10(b)を参照して説明する。シミュレーションは、本実施形態の発光素子1の性能をわかりやすくするために、低誘電率部6を備えない仮想的な発光素子1´との対比により行った。発光素子1´の構成は、前記図4(a)を参照して説明したとおりである。発光素子1´は、柱体81,82,83および発光素子層10をGaNにInを添加したLED(屈折率n≒3.0)で形成するものとした。また、発光素子1´において、発光素子1と共通する構成については、図10(a)に示した発光素子1のシミュレーション条件と同様とした。
図10(b)に、発光素子1および発光素子1´において、高い柱体81,82,83に対する低い柱体84,85,86の高さの差の割合δを0.00〜0.50まで変化させたときの、素子外部への放射光の取り出し強度(ピーク強度)を比較した結果を示す。以下に記載する、発光素子1,1´の素子外部への放射光の取り出し強度の値の単位は[×10W/m2]とする。
発光素子1,1´において、高さの差の割合δを0.00とした場合、発光素子1´の素子外部への放射光の取り出し強度は、1.36であるのに対し、発光素子1の素子外部への放射光の取り出し強度は、6.87であることを確かめた。
発光素子1,1´において、高さの差の割合δを0.10とした場合、発光素子1´の素子外部への放射光の取り出し強度は、1.33であるのに対し、発光素子1の素子外部への放射光の取り出し強度は、7.21であることを確かめた。
発光素子1,1´において、高さの差の割合δを0.20とした場合、発光素子1´の素子外部への放射光の取り出し強度は、1.34であるのに対し、発光素子1の素子外部への放射光の取り出し強度は、7.85であることを確かめた。
発光素子1,1´において、高さの差の割合δを0.30とした場合、発光素子1´の素子外部への放射光の取り出し強度は、1.44であるのに対し、発光素子1の素子外部への放射光の取り出し強度は、9.02であることを確かめた。
発光素子1,1´において、高さの差の割合δを0.40とした場合、発光素子1´の素子外部への放射光の取り出し強度は、1.47であるのに対し、発光素子1の素子外部への放射光の取り出し強度は、9.91であることを確かめた。
発光素子1,1´において、高さの差の割合δを0.50とした場合、発光素子1´の素子外部への放射光の取り出し強度は、1.60であるのに対し、発光素子1の素子外部への放射光の取り出し強度は、11.30であることを確かめた。
以上のように、本実施形態の発光素子1および比較例の発光素子1´のそれぞれについて、柱体81,82,83の高さHに対する柱体84,85,86の高さの差δHの割合δを変化させることによる、放射光の素子外部への取り出し強度の変化について確かめた。
本実施形態の発光素子1および比較例の発光素子1´のそれぞれについて、柱体81,82,83の高さHに対する柱体84,85,86の高さの差δの割合δを0.10〜0.50まで変化させた場合、本実施形態の発光素子1は、比較例の発光素子1´に比べて、放射光の素子外部への取り出し強度(ピーク強度)を約5〜7倍向上できることを確かめた。
以上、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
ここで、本実施形態の変形例に係る発光素子を図11に示した。
図11に示す発光素子1Aは、図1に示す発光素子1に対し、発光素子層10の周面を覆うように、反射膜9を設けた点で相違する。この反射膜9は、発光層3から放射された放射光を反射する材料で形成される。例えば、反射膜9は、酸化アルミニウムや二酸化チタン等の白色の絶縁物で形成することが望ましい。発光素子1Aに反射膜9を設けることで、発光素子1Aの発光層3で発光し、素子外部に放出されて隣り合う発光素子1Aに向かった放射光を、当該隣り合う発光素子1Aの反射膜9によって反射することができる。そのため、発光素子1Aの発光層3からの放射光以外の余分な放射光が、隣り合う発光素子1A内に入射するのを、さらに有効に抑制することができる。これによって、発光素子1Aは、余分な放射光による影響をより低減することができる。
例えば、この発光素子1Aを基板上に多数並べてIP方式のディスプレイであるIP立体ディスプレイを構成した場合のように、隣り合う素子が独立して制御されるときに、発光すべきでない素子から光が放出されるのを有効に防止することができる。つまり、ONの画素(発光素子1A)の発光が発光層3と平行な方向に伝搬してOFFの画素(発光素子1A)に入射し、OFFの画素(発光素子1A)より外部へ放射されるのを防止することができる。そのため、このようなIP立体ディスプレイによれば、表示映像の雑音を低減することができる。
また、発光素子1Aの内部の発光層3から、発光素子1Aの外側に向かった放射光を反射膜9で反射させて、発光素子1Aの内側に向かわせることができるので、この反射光の一部を、発光素子1Aの内部の低誘電率部6に入射させることが可能となる。これによって、発光素子1Aは、放射光の素子外部への取り出し強度をさらに向上させることができる。
また、発光素子1,1Aは、発光素子層10をGaNで形成したが、本発明はこれに限らず、例えば、AlN、GaAlN、ZnO、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAlAsP等であってもよい。
さらに、発光素子1,1Aは、低誘電率部6をSiOで形成したが、本発明はこれに限らず、発光素子層10の材料よりも誘電率が低い誘電体材料であれば、材料は特に限定されない。例えば、低誘電率部6を、発光素子層10の材料よりも誘電率が低い絶縁体材料や半導体材料で形成してもよい。なお、低誘電率部6を、透明な誘電体材料で形成すると、光の内部吸収を抑えることができるので、より好ましい。
また、さらに、発光素子1,1Aは、LED素子のような注入型のEL素子に限らず、有機EL素子や無機EL素子のような真性EL素子であってもよい。
さらに、発光素子1,1Aは、図1,11に示すように、柱体が、断面円形状かつ円柱状に形成されていたが、これに限らず、断面多角形状かつ多角柱状であってもよい。また、すべての柱体の直径は必ずしも等しくなくてもよい。
なお、発光素子1,1Aは、最も好ましい例として柱体を低誘電率部6の表面に6本形成したが、この他に、柱体を低誘電率部6の表面に3本形成しても構わない。柱体の本数を3本とした場合、1本の柱体を制御柱とし、他の柱体を導波柱とするか、2本の柱体を制御柱とし、他の柱体を導波柱とする。3本の柱体の配置は図2(a)の角度αが120度となるようにすることが好ましい。
また、発光素子1,1Aは、光線の形成と放射方向の制御を必要とするデバイス一般にも応用することが可能であり、例えばプロジェクター用光源、空間光インターコネクションに用いる接続器、拡散板を必要としない照明用光源等にも利用することができる。
[発光素子の応用例]
本実施形態に係る発光素子1または1Aを基板上に多数並べることにより、IP方式のディスプレイであるIP立体ディスプレイを提供することが可能である。このように、本実施形態に係る発光素子1または1Aを基板上に複数並べてIP立体ディスプレイを構成することで、パッシブマトリクス駆動が可能となるので、IP立体ディスプレイの低消費電力化、低コスト化等を実現できる。
1,1A 発光素子
2 p型半導体層
3 発光層
4 n型半導体層
5 p電極層
51 開口部
6 低誘電率部
61 穴状部
7 n電極層
8 柱体
81,82,83 導波柱(柱体)
84,85,86 制御柱(柱体)
81a,82a,83a,84a,85a,86a 射出面
9 反射膜
10 発光素子層
20 基板
21 バッファ層

Claims (7)

  1. 発光層と、前記発光層の下側に設けられるn型半導体層と、前記発光層の上側に設けられるp型半導体層と、を合わせた発光素子層と、
    前記p型半導体層の表面に設けられる遮光性を有するp電極層と、
    前記発光素子層から前記p電極層まで貫通するように形成された穴状部内に設けられる低誘電率部と、
    前記低誘電率部の表面の所定領域を取り囲むように前記表面から突出して設けられ、先端の射出面から光を放射する複数の柱体と、を備え、
    前記低誘電率部は、前記発光素子層の材料よりも誘電率が低い材料で形成されており、
    前記複数の柱体は、前記低誘電率部と同じ材料で形成され、少なくとも1本の柱体の高さが、その他の柱体の高さと異なることを特徴とする発光素子。
  2. 前記低誘電率部の底面は、前記p型半導体層の下面よりも20nm以上、下側に位置することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記低誘電率部は、誘電率が、前記p型半導体層の材料の誘電率の1/2以下である材料で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  4. 少なくとも前記p型半導体層および前記発光層の周面に、光を反射する反射膜を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発光素子。
  5. 前記複数の柱体は、前記p型半導体層の表面に、前記所定領域を取り囲むように6本配置され、そのうちの3本の前記柱体の高さが、その他の3本の前記柱体の高さと異なり、前記3本の柱体の高さが互いに等しく、かつ、前記その他の3本の柱体の高さが互いに等しいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発光素子。
  6. 前記柱体の直径は、放射光の自由空間における波長以上であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の発光素子。
  7. 前記複数の柱体間の距離が、放射光の可干渉長以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の発光素子。
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