JP2009036254A - 流体軸受装置の組立方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸部材のストローク量を高精度かつ低コストに管理することのできる流体軸受装置の組立方法を提供する
【解決手段】軸部材2のストローク量となるシール部9と軸部材2の肩面2cとの間の軸方向隙間Lを、スリーブ部8を基準として設定するのではなく、シール部9をハウジング7に対して移動させることにより設定する。
【選択図】図4

Description

本発明は、軸受隙間に生じる流体膜で、軸部材を回転可能に支持する流体軸受装置の組立方法に関する。
流体軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器、例えばHDD等の磁気ディスク駆動装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク駆動装置、MD、MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ用、プロジェクタのカラーホイールのモータ用、あるいは電気機器の冷却等に使用されるファンモータなどの小型モータ用として好適に使用可能である。
例えば、特許文献1に示されている流体軸受装置は、軸部材を段付き状とすると共に、ハウジング開口部内周に環状のシール部を設け、このシール部を軸部材の段部(肩面)と軸方向で係合させることにより、軸部材の抜け止めを行っている。
特開2005−113987号公報
この流体軸受装置では、シール部と軸部材の肩面との間に形成された軸方向隙間の分だけ軸部材の軸方向の移動が許容される。この軸方向隙間が大きすぎると、軸部材の軸方向移動量(ストローク量)が過大となり、軸部材に装着されるHDDのディスク等に軸方向のガタツキが生じ、ディスクの読み取り精度を悪化させたり、ディスクとヘッドとの干渉を招く恐れがある。従って、シール部と軸部材の肩面との間に形成される軸方向隙間は高精度に設定する必要がある。
しかしながら、上記の流体軸受装置では、ハウジングの内周に固定されたスリーブ部と当接させることによりシール部の位置決めを行っているため、シール部のハウジングへの固定精度はスリーブ部の軸方向寸法の加工精度に依存する。従って、軸部材のストローク量を精度良く管理するためには、スリーブ部を高精度に加工する必要があり、加工コストの高騰を招くこととなる。
本発明の課題は、軸部材のストローク量を高精度かつ低コストに管理することのできる流体軸受装置の組立方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は、小径外周面、大径外周面、及びこれらの間に形成された肩面を有する軸部材と、軸部材を内周に収容したハウジングと、ハウジングの内周に固定され、軸部材の小径外周面との間に軸受内部の潤滑流体の外部への漏れ出しを防止するシール空間を形成すると共に、軸部材の肩面と軸方向で係合して軸部材の抜け止めを行うシール部と、軸部材の大径外周面が面するラジアル軸受隙間とを備えた流体軸受装置の組立方法であって、シール部をハウジングに対して軸方向に移動させることにより、シール部と軸部材の肩面との間の軸方向隙間を設定することを特徴とする。
このように、本発明の流体軸受装置の組立方法では、軸部材のストローク量となるシール部と軸部材の肩面との間の軸方向隙間を、スリーブ部を基準として設定するのではなく、シール部をハウジングに対して軸方向に移動させることにより設定する。これにより、スリーブ部の形状精度によらずに軸部材のストローク量を管理することができるため、スリーブ部の加工精度が緩和され、加工コストの低減が図られる。
このようなシール部の移動による前記軸方向隙間の設定は、例えば、ハウジングの内周に軸部材及びシール部を収容し、シール部を軸部材の肩面と当接させた後、軸部材でシール部を所定量だけハウジングの開口側へ移動させることにより行うことができる。
この流体軸受装置において、軸部材の小径外周面、大径外周面、及び肩面を一体加工すると、これらの面の直角度や同軸度等を精度良く加工することができる。従って、大径外周面が面するラジアル軸受隙間や小径外周面が面するシール空間を精度良く設定することができ、優れた軸受性能やシール機能を得ることができる。
また、軸部材は、軸部と、軸部の外周面に固定したスリーブ部とで形成することができる。このとき、スリーブ部の端面で軸部材の肩面が構成される。これにより、軸部材を構成する軸部及びスリーブ部の形状を単純化することが可能となり、各部材の加工コストの低減が図られる。また、このように軸部材を軸部及びスリーブ部で構成する場合、軸部をインサート部品としてスリーブ部を型成形すれば、軸部とスリーブ部の組み付け工程が不要となるため、軸部材の製造コストをさらに低減することができる。
シール部をハウジングに対して移動させる際、シール部とハウジングとの嵌合面に潤滑剤を介在させておくと、シール部をスムーズに移動させることができ、より高精度な隙間設定が可能となる。このとき、潤滑剤として接着剤を用いると、上記の効果に加えて、シール部とハウジングとの固定強度を向上させることができる。
また、シール部を位置決めした後、シール部とハウジングとの嵌合面の大気開放側を接着封止することにより、シール部とハウジングとの嵌合面から軸受内部の潤滑流体が外部へ漏れ出すことを確実に防止できる。
以上のように、本発明の組立方法によると、軸部材のストローク量を高精度かつ低コストに管理することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る流体軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、ディスクハブ3を取付けた軸部材2を回転自在に支持する流体軸受装置1と、例えば半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられている。流体軸受装置1のハウジング7は、モータブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスク状情報記録媒体(以下、単にディスクという。)Dが1又は複数枚(図1では2枚)保持される。このように構成されたスピンドルモータにおいて、ステータコイル4に通電すると、ステータコイル4とロータマグネット5との間に発生する電磁力でロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
流体軸受装置1は、図2に示すように、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入したスリーブ部8と、スリーブ部8を外周から保持した有底筒状のハウジング7と、ハウジング7の開口部に設けられたシール部9とを主に備える。尚、以下の説明において、軸方向でハウジング7の開口側を上側、閉口側を下側とする。
軸部材2は、大径外周面2aと、小径外周面2bと、これらの間に形成された肩面2cと、下端部に形成された球面状凸部2dとを有し、例えばSUS鋼などの金属材料の旋削加工により一体加工される。大径外周面2aはスリーブ部8の内周面8aとの間にラジアル軸受隙間を形成し、小径外周面2bはシール部9の内周面9aとの間にシール空間Sを形成する。
スリーブ部8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。この他、スリーブ部8を他の金属や樹脂、あるいはセラミック等で形成することも可能である。
スリーブ部8の内周面8aの全面又は一部円筒領域には、ラジアル動圧発生部として、例えば図3に示すように、複数の動圧溝G1、G2をヘリングボーン形状に配列した領域が軸方向に離隔して2箇所形成される。この動圧溝G1、G2の形成領域(図2に点線で示す)は、ラジアル軸受面として軸部材2の大径外周面2aと対向し、軸部材2の回転時には、大径外周面2aとの間に後述するラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間を形成する。また、上側の動圧溝G1は、上下の傾斜溝間に形成された環状の平滑部に対して軸方向非対称に形成されており、環状平滑部より上側領域の軸方向寸法X1が下側領域の軸方向寸法X2よりも大きくなっている(X1>X2)。
スリーブ部8の外周面8dには、軸方向に延びる溝8d1が軸方向全長に亘って1又は複数本形成される。また、スリーブ部8の下側端面8cには、径方向に延びる溝8c1が1又は複数本形成される。これら軸方向溝8d1及び径方向溝8c1は、スリーブ部8をハウジング7の内周に固定した状態では、対向するハウジング7の内周面7a1及び内底面7b1との間に潤滑油の連通経路を構成する(図2を参照)。これら軸方向溝8d1及び径方向溝8c1は、例えばスリーブ部8本体をなす圧粉体の成形型に予め軸方向溝8d1及び径方向溝8c1に対応する箇所を設けておくことで、スリーブ部8本体の圧粉体成形と同時に成形することができる。
ハウジング7は、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂、あるいはポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物で射出成形され、有底筒状に形成される。本実施形態では、図2に示すように、側部7aと、側部7aの下端部を閉塞する底部7bとが一体に成形される。ハウジング7を形成する上記樹脂組成物としては、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボン繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材を、目的に応じて上記ベース樹脂に適量配合したものが使用可能である。
ハウジング7の射出材料は上記に限らず、例えば、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の低融点金属材料が使用可能である。また、金属紛とバインダーの混合物で射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形や、金属材料、例えば真ちゅう等の軟質金属のプレス成形でハウジング7を形成することもできる。また、ハウジング底部7bは、必ずしも側部7aと一体にする必要はなく、側部7aと別体に形成することもできる。
ハウジング7の内周面7a1には、スリーブ部8の外周面8dが、例えば接着(ルーズ接着や圧入接着を含む)、圧入、溶着等の適宜の手段で固定される。
ハウジング7の内底面7b1は、軸部材2の下端部の球面状凸部2dを接触支持するスラスト受けTとして機能する。本実施形態では、このようにハウジング7に直接スラスト受けTを形成しているが、これに限らず、例えば金属材料等で別途形成したスラストワッシャをハウジング7の内底面7b1に配置し、このスラストワッシャでスラスト受けTを構成しても良い。この場合、ハウジング7は軸部材2と接触摺動することがなくなるため、ハウジング7に耐摩耗性が不要となり、ハウジング7の材料選択の幅が広がる。
シール部9は、金属材料や樹脂材料で環状に形成され、ハウジング7の側部7aの上端部内周に例えば圧入により固定される。シール部9の内周面9aは、上方へ向けて漸次拡径したテーパ面状に形成される。シール部9をハウジング7の内周に固定した状態で、シール部9の内周面9aは軸部材2の小径外周面2bと対向し、これらの間に下方へ向けて半径方向寸法が漸次縮小する環状のシール空間Sが形成される。シール部9で密封されたハウジング7の内部空間には、潤滑流体として例えば潤滑油が注油され、ハウジング7内が潤滑油で満たされる(図2中の散点領域)。この状態で、潤滑油の油面はシール空間Sの範囲内に維持される。このとき、図2の拡大図で示すように、シール部9の下側端面9bの内周チャンファ9b1と軸部材2の小径外周面2bとの間の空間や、スリーブ部8の上側端面8bの内周チャンファ8b1と軸部材2の大径外周面2aとの間の空間も潤滑油で満たされる。
シール部9の下側端面9bと軸部材2の肩面2cとの間には軸方向隙間Lが形成され、この軸方向隙間Lが軸部材2のストローク量となる。本実施形態のように、流体軸受装置1をHDDのスピンドルモータ用として使用する場合は、ディスクとヘッドとの干渉を防止するために、軸方向隙間Lを30μm以下、好ましくは20μm以下に設定することが望ましい。さらに、軸方向隙間Lは、シール空間Sのうち最も小さい径方向寸法L’と同じかそれよりも小さく設定することが望ましい(L≦L’)。これにより、軸方向隙間Lにおいて、シール空間Sと同等かそれよりも大きな毛細管力が得られるため、潤滑油の外部への漏れ出しをより確実に防止することができる。また、図2に示すように、軸部材2の肩面2cはスリーブ部8の上側端面8bよりも軸方向上方に位置しているため、シール部9の下側端面9bとスリーブ部8の上側端面8bとの間には、前記軸方向隙間Lよりも大きな軸方向隙間L’’が形成される。
上記構成の流体軸受装置1において、軸部材2の回転時、スリーブ部8のラジアル軸受面(内周面8aの動圧溝G1、G2形成領域)は、軸部材2の大径外周面2aとラジアル軸受隙間を介して対向する。軸部材2の回転に伴い、上記ラジアル軸受隙間の潤滑油が動圧溝G1、G2の軸方向中心の環状平滑部側に押し込まれ、その圧力が上昇する。このような動圧溝G1、G2の動圧作用によって、軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1と第2ラジアル軸受部R2とが構成される。
同時に、軸部材2の下端に設けられた球面状凸部2dとスラスト受けTとしてのハウジング7の内底面7b1とが接触摺動することにより、軸部材2がスラスト方向に接触支持される。
また、スリーブ部8の外周面8dに形成された軸方向溝8d1、及び下側端面8cに形成された径方向溝8c1により、スリーブ部8とハウジング7との間に連通経路が形成される。この連通経路の一端は、シール部9とスリーブ部8との間の軸方向隙間L’’に開口し、他端はスラスト受けT(ハウジング7の内底面7b1)と軸部材2の球面状凸部2dとの間の空間Pに開口する。これにより、ハウジング閉塞側に形成された前記空間Pが、前記連通経路、軸方向隙間L’’及びLを介してシール空間Sと連通するため、前記空間Pに満たされた潤滑油に局部的な負圧が発生する事態が回避され、気泡の生成による軸受性能の低下を防止することができる。
また、この実施形態では、第1ラジアル軸受部R1の動圧溝G1は、軸方向中間部の環状平滑部に対して軸方向非対称(X1>X2)に形成されているため(図3参照)、軸部材2の回転時、動圧溝G1による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は上側領域が下側領域に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、スリーブ部8の内周面8aと軸部材2の大径外周面2aとの間の隙間に満たされた潤滑油が下方に流動し、ハウジング7の閉塞側の空間P→径方向溝8c1→軸方向溝8d1→軸方向隙間L’’という経路を循環して、第1ラジアル軸受部R1のラジアル軸受隙間に再び引き込まれる。このように、軸受内部の潤滑油を強制的に流動循環させることで、潤滑油に局部的な負圧が発生する事態をより効果的に防止することができる。尚、潤滑油を上記経路と逆向きに循環させたい場合は、例えば動圧溝G1のアンバランスを図3に示す例とは反対向き、すなわちX1<X2となるように形成すればよい。また、上記のように軸受内部の潤滑油を強制的に循環させる必要がない場合は、動圧溝G1、G2の双方をそれぞれ軸方向対称に形成してもよい。
以下、本発明に係る流体軸受装置の組立方法の一実施形態を、シール部9の組み付け方法を中心に図4を用いて説明する。
まず、図4(a)に示すように、ハウジング7の内周にスリーブ部8及び軸部材2を収容し、ハウジング7の内底面7b1にスリーブ部8の下側端面8c及び軸部材2の下端の球面状凸部2dを当接させる。この状態で、軸部材2の肩面2cがスリーブ部8の上側端面8bよりも上方(ハウジング開口側)に位置するように、軸部材2の大径外周面2a及びスリーブ部8の軸方向寸法を予め設計しておく。
次いで、図4(b)に示すように、シール部9をハウジング7の内周面7a1に上方から挿入し、下側端面9bを軸部材2の肩面2cに当接させる。その後、図4(b)に矢印で示すように軸部材2をハウジング7に対して引き上げることにより、軸部材2の肩面2cと係合したシール部9を、図2に示す軸方向隙間Lの分だけハウジング7に対して上方へ移動させる。この状態で、シール部9をハウジング7の内周面7a1に固定することにより、軸方向隙間Lが設定される。シール部9とハウジング7は、例えば圧入により固定され、この場合、軸部材2を所定量だけ引き上げた時点でシール部9の位置決め及び固定が完了する。このとき、両者の嵌合面に潤滑剤を介在させておくと、シール部9をハウジング7に対してスムーズに移動させることができ、より高精度に軸方向隙間Lを設定することができる。この潤滑剤として接着剤を使用すれば、上記の効果に加えて、両者の固定強度が高めることができる。さらに、シール部9を位置決めした後、シール部9とハウジング7との嵌合面の大気開放側、すなわち図2におけるシール部9の上側端面の外周チャンファとハウジング7の内周面7a1とで形成される環状空間を接着封止することにより、シール部9とハウジング7の嵌合面から軸受内部の潤滑流体が外部へ漏れ出すことを確実に防止できる。
この方法によると、軸部材2の許容ストローク量となる軸方向隙間Lを、軸部材2の引き上げ量により高精度に設定することができる。すなわち、軸部材2のストローク量を、スリーブ部8の加工精度ではなく、軸部材2の引き上げ量により直接的に管理することができる。従って、軸部材2のストローク量を精度良く管理できると共に、スリーブ部8の加工精度が緩和され、製造コストを低減できる。
本発明の組立方法は上記の実施形態に限られない。尚、以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成、機能を有する部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図5に、他の実施形態にかかるシール部9の位置決め方法を示す。まず、図5(a)に示すように、ハウジング7の内周にスリーブ部8及び軸部材2を収容し、シール部9をハウジング7の内周の基準位置(例えば、シール部9の上側端面9cがハウジング7の上端面7cと面一になる位置)に配する。このとき、シール部9とスリーブ部8との間には、図2に示す軸方向隙間L’’よりも大きい隙間が設けられる。
次いで、シール部9を下方へ所定量だけ押込む。例えば、図5(b)に示すように、基部10a、及び円筒部10bを有する押込み部材10により、シール部9を下方(矢印方向)へ押込む。基部10aには、押込み量を規定する基準面10a1が形成され、円筒部10bは、内周が軸部材2の小径外周面2bと嵌合すると共に、その下側端面10b1がシール部9の上側端面9cを押込む押込み面となる。そして、図5(c)に示すように、押込み部材10の基準面10a1が軸部材2の上端部2b2に当接した時点で、押込みが完了する。この場合、軸部材2の小径外周面2bの軸方向寸法をY1、押し込み部材10の基準面10a1と押込み面10b1との軸方向間隔をY2、シール部9の軸方向寸法をY3としたとき、Y1とY2+Y3との差が軸方向隙間Lとなる(L=Y1−(Y2+Y3))。従って、Y1、Y2、及びY3を精度良く設定することにより、軸部材2のストローク量を高精度に管理することができる。
また、本発明の組立方法が適用される流体軸受装置の構成は上記に限らず、例えば図6に示すような流体軸受装置21に適用することもできる。上記の実施形態では、軸部材2を一体品としているが、流体軸受装置21では、軸部材2を、円筒状の軸部20とスリーブ部8とで構成している。この軸部材2は、軸部20の外周面20aとスリーブ部8の内周面8aとを、圧入、接着、圧入接着等の適宜の手段で固定することにより形成される。この軸部材2では、スリーブ部8の上側端面8bが軸部材2の肩面2cを、スリーブ部8の外周面8dが軸部材2の大径外周面2aを、軸部20の外周面20aが軸部材2の小径外周面2bをそれぞれ構成し、球面状凸部2dは軸部20の下端部に形成される。
この軸部材2の大径外周面2a(スリーブ部8の外周面8d)には、上下に離隔した2箇所にラジアル動圧発生部としての動圧溝G1、G2が形成され(図6に点線で示す)、ハウジング7の内周面7a1との間にラジアル軸受隙間を形成する。また、軸部材2の肩面2c(スリーブ部8の上側端面8b)とシール部9の下側端面9bとの間には、軸部材2のストローク量となる軸方向隙間Lが形成される(図6拡大図参照)。スリーブ部8の内周面8aには軸方向溝8a1が形成され、軸部20の外周面20aとの間に連通経路を形成する。この連通経路が、ハウジング7の閉塞側に形成された空間P、詳しくは、軸部20の下端部に形成された球面状凸部2d及びスリーブ部8の下側端面8cと、ハウジング7の内底面7b1との間に形成された空間Pを、シール空間Sと連通する。
このように、軸部材2を軸部20とスリーブ部8とで構成することにより、図2に示す軸部材2のような段付状の加工が不要となるため、各部材の加工コストを低減することができる。また、スリーブ部8の外周面8dで軸部材2の大径外周面2aを構成することにより、図2に示す流体軸受装置1と比べ、大径外周面2aが面するラジアル軸受隙間を大径化し、ラジアル軸受部R1、R2を拡大することができるため、ラジアル方向の軸受性能を高めることができる。
また、本発明の組立方法は、図7に示すような流体軸受装置31に適用することもできる。この流体軸受装置1では、軸部材2のスラスト方向の支持を非接触支持としている点で、図7に示す実施形態と構成を異にする。詳しくは、スリーブ部8の下側端面8cとハウジング7の内底面7b1との間にスラスト軸受隙間を形成し、軸部材2の回転時には、スリーブ部8の下側端面8cに形成されたスパイラル形状やステップ形状等の動圧溝G3がスラスト軸受隙間の潤滑油に動圧作用を発生させ、軸部材2をスラスト方向に指示するスラスト軸受部Tが構成される。この場合、シール部9の下側端面9bと軸部材2の肩面2c(スリーブ部8の上側端面8b)との間の軸方向隙間Lは、スラスト軸受部Tのスラスト軸受隙間よりも大きくなるように設定される。
図6及び図7に示すように、軸部材2を軸部20とスリーブ部8とで構成する場合、上記のようにこれらを別途形成した上で固定する他、軸部20をインサート部品としてスリーブ部8を型成形してもよい。これにより、軸部20とスリーブ部8との組み付け工程が不要となり、軸部材2の製造工程を簡略化することができる。
また、図2に示す実施形態では、ハウジング7とスリーブ部8とが別体に形成されているが、これらを一体に形成してもよい。例えば、ハウジング7及びスリーブ部8を射出成形により一体に形成すれば、製造工程を省くことができるため、低コスト化を図ることができる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受隙間の潤滑流体に動圧作用を発生させる動圧発生部として、スリーブ部8の内周面8aにヘリングボーン形状の動圧溝G1、G2が形成されているが、これに限らず、例えばスパイラル形状の動圧溝やステップ軸受、あるいは多円弧軸受を採用してもよい。あるいは、スリーブ部8の内周面8a及び軸部材2の大径外周面2aを共に円筒面状に形成し、いわゆる真円軸受を構成してもよい。
また、以上の実施形態では、スリーブ部8の内周面8aに動圧溝G1、G2を形成しているが、この面と軸受隙間を介して対向する軸部材2の大径外周面2aに動圧溝を形成してもよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1、R2が軸方向で離隔して設けられているが、これらを軸方向で連続的に設けてもよい。あるいは、これらの何れか一方のみを設けてもよい。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置1の内部に充満し、ラジアル軸受隙間に動圧作用を生じる流体として潤滑油を例示したが、それ以外にも各軸受隙間に動圧作用を発生可能な流体、例えば空気等の気体や、磁性流体、あるいは潤滑グリース等を使用することもできる。
また、本発明の動圧軸受装置は、上記のようにHDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータに限らず、光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ等、高速回転下で使用される情報機器用の小型モータ、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用、あるいは電気機器の冷却ファン用のファンモータとしても好適に使用することができる。
流体軸受装置を組み込んだHDD用スピンドルモータを示す断面図である。 流体軸受装置の断面図である。 スリーブ部の断面図である。 (a)、(b)は、本発明にかかる組立方法を示す断面図である。 (a)〜(c)は、本発明にかかる組立方法の他の例を示す断面図である。 他の例にかかる流体軸受装置の断面図である。 他の例にかかる流体軸受装置の断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 大径外周面
2b 小径外周面
2c 肩面
2d 球面状凸部
7 ハウジング
8 スリーブ部
9 シール部
L 軸方向隙間
G1、G2 動圧溝
R1、R2 ラジアル軸受部
T スラスト受け(スラスト軸受部)
S シール空間

Claims (8)

  1. 小径外周面、大径外周面、及びこれらの間に形成された肩面を有する軸部材と、軸部材を内周に収容したハウジングと、ハウジングの内周に固定され、軸部材の小径外周面との間に軸受内部の潤滑流体の外部への漏れ出しを防止するシール空間を形成すると共に、軸部材の肩面と軸方向で係合して軸部材の抜け止めを行うシール部と、軸部材の大径外周面が面するラジアル軸受隙間とを備えた流体軸受装置の組立方法であって、
    シール部をハウジングに対して軸方向に移動させることにより、シール部と軸部材の肩面との間の軸方向隙間を設定することを特徴とする流体軸受装置の組立方法。
  2. ハウジングの内周に軸部材及びシール部を収容し、シール部と軸部材の肩面とを当接させた後、軸部材でシール部をハウジング開口側へ移動させる請求項1記載の流体軸受装置の組立方法。
  3. 小径外周面、大径外周面、及び肩面が一体加工された軸部材を用いる請求項1記載の流体軸受装置の組立方法。
  4. 軸部材が、軸部と、軸部の外周面に固定されたスリーブ部とを有し、スリーブ部の端面で肩面を構成する請求項1記載の流体軸受装置の組立方法。
  5. 軸部材が、軸部と、軸部をインサート部品として型成形したスリーブ部とを有し、スリーブ部の端面で肩面を構成する請求項1記載の流体軸受装置の組立方法。
  6. シール部とハウジングとの嵌合面に潤滑剤を介在させた状態でシール部を移動させる請求項1記載の流体軸受装置の組立方法。
  7. 潤滑剤が接着剤である請求項6記載の流体軸受装置の組立方法。
  8. シール部を位置決めした後、シール部とハウジングとの嵌合面の大気開放側を接着封止する請求項1記載の流体軸受装置の組立方法。
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