JP2009035892A - 漏出防止チューブ、漏出防止チューブの被覆方法、およびpc鋼棒の定着構造 - Google Patents

漏出防止チューブ、漏出防止チューブの被覆方法、およびpc鋼棒の定着構造 Download PDF

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Abstract

【課題】気温差によって、ブレーキングナットとポリエチレンシースとの接合部に生じる隙間から防錆剤の漏れを防止するために、当該接合部を被覆する漏出防止チューブ、漏出防止チューブの被覆方法、およびPC鋼棒の定着構造の提供。
【解決手段】PC鋼棒10と、PC鋼棒10を被覆するシース15と、PC鋼棒10とシース15との間に充填される防錆剤151と、PC鋼棒10に螺合する締結ナット11と、締結ナット11に当接され、PC鋼棒10が挿通する貫通孔を有するアンカープレート16と、PC鋼棒10に螺合するブレーキングナット14と、シース15とブレーキングナット14との接合部に被覆される漏出防止チューブ17とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、漏出防止チューブ、漏出防止チューブの被覆方法、およびPC鋼棒の定着構造の被覆方法に係り、例えば、土木・建築分野においてPC鋼棒に用いられるシースに使用する漏出防止チューブ、漏出防止チューブの被覆方法、およびPC鋼棒の定着構造に関する。
従来、引張強度の低いコンクリートの欠点を改善すべく、コンクリート中にPC(Prestressed Concrete)鋼棒を埋設し、そのPC鋼棒に引張応力を与え、あらかじめコンクリートに圧縮応力を与えることで、圧縮にも引張にも強いコンクリート構造として、プレストレスコンクリート構造が知られている。そのため、埋設されたPC鋼棒の腐食、錆びを防止する必要がある。そこで、シースによってPC鋼棒を被覆し、被覆したシースとPC鋼棒との隙間にグラウト樹脂等の防錆剤を充填したり、裏ナット(ブレーキングナット)をPC鋼棒に嵌合することで外部からの水等の浸入を防止することが知られている(特許文献1)。
特開平3−208965号公報
しかしながら、特許文献1において、PC鋼棒を被覆するシースがポリエチレン製の場合、気温差による熱膨張、収縮が顕著である。そうすると、PC鋼棒に嵌合され、かつポリエチレンシースに接合された裏ナット(ブレーキングナット)は、低温時にポリエチレンシースが収縮すると、裏ナット(ブレーキングナット)とポリエチレンシースとの接合部に隙間が生じ、ポリエチレンシースとPC鋼棒との隙間にPC鋼棒の腐食等を防止する目的で充填されたグラウト材が外部へ漏れるおそれがある。
本発明の目的は、気温差によって、ブレーキングナットとポリエチレンシースとの接合部に生じる隙間から防錆剤の漏れを防止するために、当該接合部を被覆する漏出防止チューブ、漏出防止チューブの被覆方法、およびPC鋼棒の定着構造を提供することである。
本発明に記載の漏出防止チューブは、PC鋼棒を被覆するとともに、前記PC鋼棒との隙間に充填された防錆剤を封止するシースと、前記PC鋼棒に螺合されたブレーキングナットとの接合部を少なくとも被覆することを特徴とする。
この発明では、シースが防錆剤を封止し、かつ漏出防止チューブが接合部に被覆されることで、気温差によって生じる接合部の隙間から、防錆剤が漏れ出すことが無い。したがって、接合部からの防錆剤の漏出を防止できる。
ここで、漏出防止チューブの発明は、熱収縮性を有していることが好ましい。
この発明では、漏出防止チューブは熱収縮性を有しているため、接合部に被覆し、加熱することで容易に密着する。したがって、接合部と漏出防止チューブとの密着性は高く、外部とは密閉された状態となる。したがって、防錆剤が、接合部から外部に漏れ出すことが無い。
また、漏出防止チューブの発明は、前記漏出防止チューブの内周面に接着剤を塗布することで、前記漏出防止チューブは、前記シースと前記ブレーキングナットとの接合部に接着されることが好ましい。
この発明では、漏出防止チューブの内周面に接着剤を塗布することで、接合部との密着性をより向上させることができる。したがって、防錆剤が、より接合部から外部に漏れ出すことが無い。
本発明に記載の漏出防止チューブの被覆方法は、PC鋼棒にシースを被覆するとともに、前記PC鋼棒と前記シースとの隙間に防錆剤を充填し、前記PC鋼棒にブレーキングナットを螺合し、前記シースと前記ブレーキングナットとの少なくとも接合部に熱収縮性を有する漏出防止チューブを被覆するとともに加熱処理することで密着させることを特徴とする。
この発明では、漏出防止チューブは熱収縮性を有するため、接合部に被覆し、加熱することで、容易に密着できる。そのため、接合部と漏出防止チューブとの密着性は高く、外部とは密閉された状態となる。したがって、本発明による方法で、漏出防止チューブを被覆すると、接合部から防錆剤が、外部に漏れ出すことを防止できる。
本発明に記載のPC鋼棒の定着構造は、PC鋼棒と、前記PC鋼棒を被覆するシースと、前記PC鋼棒と前記シースとの間に充填される防錆剤と、前記PC鋼棒に螺合する締結ナットと、前記締結ナットに当接され、前記PC鋼棒が挿通するアンカープレート貫通孔を有するアンカープレートと、前記PC鋼棒に螺合するブレーキングナットと、前記シースと前記ブレーキングナットとの接合部に被覆される請求項1から3のいずれかに記載された漏出防止チューブとを備えていることを特徴とする。
この発明では、漏出防止チューブをシースとブレーキングナットとの接合部に被覆することで、気温差によって生じる接合部の隙間から防錆剤が、外部に漏れ出すことを防止できる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、熱収縮チューブ17を被覆したPC鋼棒10の定着構造の概略図であり、図1に基づいてPC鋼棒10の定着構造について説明する。
PC鋼棒10の定着構造は、PC鋼棒10と、PC鋼棒10に螺合される締結ナットとしてのナット11と、PC鋼棒10を挿通させるためのアンカープレート貫通孔を有したアンカープレート16と、PC鋼棒10に嵌合し、アンカープレート16のアンカープレート貫通孔まで挿入されたブレーキングナット14とで構成される。
また、ナット11とアンカープレート16との間に座金12を備えている。
ここで、ポリエチレンシース15を被覆したPC鋼棒10は、コンクリート21に埋設され、両端をナット11によって締め付けられることで、アンカープレート16がコンクリート21に押圧する。そして、PC鋼棒10に緊張力が加えられるものである。これによって、コンクリート21にあらかじめ圧縮応力を与え、強度を向上させるものである。
また、PC鋼棒10がコンクリート21に埋設され、一端を固定端にし、ナット11によって締め付け、PC鋼棒10に緊張力を加える構造もある。
ブレーキングナット14は、PC鋼棒10に螺合されるものである。
ここで、図3のブレーキングナット14の側断面図に示すように、ブレーキングナット14は、締結部141と、係止部143とで構成される。また、ブレーキングナット14の材質は、高密度ポリエチレン等の合成樹脂である。なお、ブレーキングナット14は、締結部141と係止部143とで一体に構成されていても、また分離して構成されていてもよい。
ブレーキングナット14は、PC鋼棒10に緊張力を加えることにより、雌ねじ部142A,142Bが破壊され、PC鋼棒10とブレーキングナット14との密着性を向上させるものである。
締結部141は、円筒状に形成され、PC鋼棒10を挿通するための第1貫通孔141Aを有している。第1貫通孔141Aの内面部の端部には、PC鋼棒10と嵌合するための雌ねじ部142Aが設けられている。一方、雌ねじ部142Aが設けられていない部分については、第1貫通孔141Aの内径より、大きめの内径にて加工された凹部144が設けられている。
係止部143は、締結部141の外径よりも小さい外径にて円筒状に形成されている。この外径の大きさは、アンカープレート16のアンカープレート貫通孔に挿通できる外径である。また、締結部141と同様に、PC鋼棒10を挿通するための第2貫通孔143Aを有している。第2貫通孔143Aの内面部の端部には、PC鋼棒10と嵌合するための雌ねじ部142Bが設けられている。
凹部144は、図1に示すように、PC鋼棒10に被覆したポリエチレンシース15の一部を収納するための空間である。そのため、凹部144の内径は、PC鋼棒10の外径よりも大きく形成されている。
ポリエチレンシース15は、PC鋼棒10の腐食、錆び等を防止するために、PC鋼棒10を被覆するものである。また、PC鋼棒10と、ポリエチレンシース15との隙間にグラウト樹脂151を充填することで、腐食等の防止効果をさらに向上させる。ポリエチレンシース15は、ブレーキングナット14の凹部144に接合している。
気温の変化により、ポリエチレンシース15が収縮し、凹部144に接合されたポリエチレンシース15が外れる。そうすると、充填されていたグラウト樹脂151が外部に漏れるおそれがある。
熱収縮チューブ17は、ブレーキングナット14、およびPC鋼棒10を被覆するポリエチレンシース15の一部に装着するものである。図2に示すように、熱収縮チューブ17は、筒状に形成されている。熱収縮チューブ17は、ブレーキングナット14、およびPC鋼棒10を被覆したポリエチレンシース15の一部に被せられ、高温の温風を当てられることで、収縮し、簡単に被覆加工できる。ここでの温風の温度は、熱収縮チューブ17の材質によって温度差はあるが、100℃程度であればよい。
なお、熱収縮チューブ17の材質は、耐水性に優れ、熱収縮性の高いポリ塩化ビニルである。この材質を用いたものとして、例えば、商品名「ヒシチューブ」がある。他の材質には、ポリオレフィンもある。また、熱収縮チューブ17の内周面に接着剤を塗布してもよい。接着剤は、一般的に市販されている接着剤である。
従って、本実施形態では、次の作用効果を奏することができる。
(1)熱収縮チューブ17が、ブレーキングナット14と、ポリエチレンシース15との接合部に被覆されることで、気温差によって、ポリエチレンシース15が収縮し、ブレーキングナット14の凹部144から抜け出た場合に、グラウト樹脂151を外部に漏れ出すことを防止できる。
(2)熱収縮チューブ17は、熱収縮性の高いポリ塩化ビニルであり、加熱により容易に、ブレーキングナット14と、ポリエチレンシース15との接合部へ被覆でき、密着性が高く、グラウト樹脂151を外部に漏れ出すことを防止できる。
(3)熱収縮性の高いポリ塩化ビニルを使用することで、耐水性に強く、グラウト樹脂151を外部に漏れ出すことを防止できる。
(4)熱収縮チューブ17の内周面に接着剤を塗布することで、ブレーキングナット14と、ポリエチレンシース15との接合部との接着力を向上させることができ、グラウト樹脂151を外部に漏れ出すことをより確実に防止できる。
(5)PC鋼棒10とポリエチレンシース15との間にあらかじめグラウト樹脂151を充填しておくことで、作業工程の最後にグラウト樹脂151を充填する工程を省略でき、作業の工期をより短縮化できる。
(6)PC鋼棒10の外径よりも大きい内径を有する凹部144を締結部141に形成することで、PC鋼棒10を被覆するポリエチレンシース15を収納できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれるものである。
例えば、本発明は、熱収縮チューブ17の内周面にパッキン等を設けてもよく、これによって、さらに外部との遮断性を向上でき、グラウト樹脂151が漏れ出すことが無い。
前記実施形態では、締結部141は、円筒状であるが、作業工具で締め付けやすいように四角柱や六角柱等の多角柱であってもよい。
本発明は、土木、建築分野で用いられているPC鋼棒を被覆するシースが収縮する際に好適に利用できる。
本発明の一実施形態に係る熱収縮性チューブを被覆した概略図。 前記熱収縮性チューブの斜視図。 本実施形態に係るブレーキングナットの側断面図。
符号の説明
10…PC鋼棒、11…締結ナットとしてのナット、14…ブレーキングナット、144…凹部、15…シースとしてのポリエチレンシース、151…防錆剤としてのグラウト樹脂、16…アンカープレート、17…漏出防止チューブとしての熱収縮性チューブ。

Claims (5)

  1. PC鋼棒を被覆するとともに、前記PC鋼棒との隙間に充填された防錆剤を封止するシースと、前記PC鋼棒に螺合されたブレーキングナットとの接合部を少なくとも被覆する
    ことを特徴とする漏出防止チューブ。
  2. 請求項1に記載の漏出防止チューブにおいて、
    熱収縮性を有している
    ことを特徴とする漏出防止チューブ。
  3. 請求項1、または請求項2に記載の漏出防止チューブにおいて、
    前記漏出防止チューブの内周面に接着剤を塗布することで、前記漏出防止チューブは、前記シースと前記ブレーキングナットとの接合部に接着される
    ことを特徴とする漏出防止チューブ。
  4. PC鋼棒にシースを被覆するとともに、前記PC鋼棒と前記シースとの隙間に防錆剤を充填し、前記PC鋼棒にブレーキングナットを螺合し、前記シースと前記ブレーキングナットとの少なくとも接合部に熱収縮性を有する漏出防止チューブを被覆するとともに加熱処理することで密着させる
    ことを特徴とする漏出防止チューブの被覆方法。
  5. PC鋼棒と、
    前記PC鋼棒を被覆するシースと、
    前記PC鋼棒と前記シースとの間に充填される防錆剤と、
    前記PC鋼棒に螺合する締結ナットと、
    前記締結ナットに当接され、前記PC鋼棒が挿通するアンカープレート貫通孔を有するアンカープレートと、
    前記PC鋼棒に螺合するブレーキングナットと、
    前記シースと前記ブレーキングナットとの接合部に被覆される請求項1から請求項3のいずれかに記載された漏出防止チューブとを備えている
    ことを特徴とするPC鋼棒の定着構造。
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