JP2009035578A - 防振ゴム組成物およびその製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低動倍率であり、減衰特性の高い防振ゴム組成物およびその製法を提供する。
【解決手段】シランカップリング剤とともに、ミルにより粉砕処理してメカノケミカル反応させたカーボンブラックを含有するゴム組成物であって、その硬化体の体積固有抵抗が1×106 Ω・cm以上であり、かつ、周波数100Hz、歪み0.05%における貯蔵弾性率を〔E'(100Hz*0.05%)〕、周波数15Hz、歪み4.5%における貯蔵弾性率を〔E'(15Hz*4.5%)〕としたときの動倍率〔E'(100Hz*0.05%)/E'(15Hz*4.5%)〕が3以下である防振ゴム組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、防振ゴム組成物およびその製法に関するものであり、詳しくは、自動車等のエンジンの支持、および振動伝達を抑制するためのエンジンマウントやサスペンションブッシュ等に使用される、低動倍率・高減衰の防振ゴム組成物およびその製法に関するものである。
産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用エンジンマウント、ストラットマウント、サスペンションブッシュ等の防振ゴム、特に自動車等の車輌用防振ゴムにあっては、支持する重量物の振動を吸収して抑制する防振機能と、重量物を支える強度特性が要求される。すなわち、防振ゴムには動的特性の向上、特に動倍率の低位化(低動倍率化)が必要とされており、一方で、エンジン等の振動体を支持するために、ある程度の耐疲労性(静的弾性率)を確保することが必要である。
従来、ゴムの低動倍率、高減衰特性の両立は非常に難しく、これら特性の制御は、主に、カーボンブラックの添加量等を調整することにより行っている。しかしながら、カーボンブラックの添加量を増加させると、静的弾性率増加の効果が見られ、支持機能を満足させるという点では有効であるが、カーボンブラックの添加量増は静的弾性率増加だけでなく、動倍率増加にも影響を及ぼし、特に後者へ与える影響が大きい。
また、カーボンブラック配合系で動倍率を下げていくと、通常、減衰特性も低下してしまう。このような減衰特性の低下を改善する手法としては、例えば、防振ゴム組成物中に、ブチルゴム等の高減衰性ポリマーをブレンドする方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2006−143860公報
しかしながら、上記のように高減衰性ポリマーをブレンドすると、防振ゴム組成物のベースポリマーと上記高減衰性ポリマーとの相溶性が悪い場合、ゴムの物性が低下するため、この方法で減衰特性を高めるのには限界がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、低動倍率であり、減衰特性の高い防振ゴム組成物およびその製法の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、シランカップリング剤とメカノケミカル反応させたカーボンブラックを含有するゴム組成物であって、その硬化体の体積固有抵抗が1×106 Ω・cm以上であり、かつ、周波数100Hz、歪み0.05%における貯蔵弾性率を〔E'(100Hz*0.05%)〕、周波数15Hz、歪み4.5%における貯蔵弾性率を〔E'(15Hz*4.5%)〕としたときの動倍率〔E'(100Hz*0.05%)/E'(15Hz*4.5%)〕が3以下である防振ゴム組成物を第1の要旨とする。
また、本発明は、上記第1の要旨の防振ゴム組成物の製法であって、カーボンブラックを、シランカップリング剤とともに、ミルにより粉砕処理してメカノケミカル反応させ、このものを、防振ゴム組成物の材料中に配合する防振ゴム組成物の製法を第2の要旨とする。
ここで、「メカノケミカル反応」とは、原材料を微粒子に粉砕する際に強力なエネルギーを与えることで化学反応を起こすことをいう。
すなわち、本発明者は、高減衰性ポリマーをブレンドしなくとも、減衰特性が高く、優れた低動倍率化効果を奏する防振ゴム組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。その研究の過程で、材料となるカーボンブラックを、シランカップリング剤とともに、ミルにより粉砕処理してメカノケミカル反応させる(メカノケミカル処理する)と、防振ゴム組成物へのカーボンブラック添加量増に伴う動倍率の上昇が緩やかとなり、ゴムの低動倍率、高減衰特性の両立に寄与するようになることを見いだした。この理由は明らかではないが、上記メカノケミカル処理により、防振ゴム組成物のベースポリマーとの反応性が上がるようになり、カーボンブラック周辺にベースポリマーが化学的付着するようになって、(1)カーボンブラック同士の相互作用低減によるペイン効果の低下や、(2)カーボンブラック周辺に厚いベースポリマー相が形成されることによる減衰性の付与(バウンドラバー量の増加)がなされたことによるものと推測される。ここで、「ペイン効果」とは、動的試験法において微小振幅では高弾性率になるが大きな振幅になると低弾性率となるひずみ振幅依存性のことをいい特に高充填配合ゴムで顕著に現れる現象のことをいう。また、「バウンドラバー量」とは、充填剤を混練した未加硫ゴムをポリマーが可溶な溶剤で溶剤抽出した際、充填剤と結合したまま抽出されずに残ったポリマー量のことをいう。なお、ゴム組成物へカーボンブラックとシランカップリング剤とを単に加えただけでは、このような作用効果は得られなかった。そして、この知見にもとづき、実験に実験を重ねた結果、そのゴム組成物硬化体の体積固有抵抗および動倍率が特定の範囲になるよう、上記処理を施したカーボンブラックをゴム組成物中に配合したとき、所望の低動倍率および高減衰特性が得られることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の防振ゴム組成物は、シランカップリング剤とともに、ミルにより粉砕処理してメカノケミカル反応させたカーボンブラックを含有するゴム組成物であって、その硬化体の体積固有抵抗および動倍率が特定の範囲になるよう設定されている。そのため、ゴムの低動倍率、高減衰特性の両立を達成することができる。そして、本発明の防振ゴム組成物は、特に、自動車等の車輌用防振ゴムの用途に有利に用いることができる。また、上記処理によりメカノケミカル反応させたカーボンブラックは、ゴム組成物中に均一に分散させることができ、しかも、経時的に生じるカーボンブラックとベースポリマーとの分離や、カーボンブラックの再凝集を抑制できることから、高品質の防振ゴムを製造することができる。
特に、上記カーボンブラックが、シランカップリング剤とともに、遊星ミルによる10分以上の粉砕処理によってメカノケミカル反応させたものであると、上記カーボンブラックが、ゴム組成物中でより凝集しにくくなるため、ゴム組成物の体積固有抵抗の制御等をより実施しやすくなるという効果が得られる。
また、上記メカノケミカル反応させたカーボンブラックの配合量を、上記ゴム組成物中に配合されるゴム100重量部に対して30〜170重量部の範囲に設定すると、低動倍率化効果がさらに向上する。
つぎに、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の防振ゴム組成物は、シランカップリング剤とメカノケミカル反応させたカーボンブラックを含有するゴム組成物であって、その硬化体の体積固有抵抗が1×106 Ω・cm以上となり、かつ、周波数100Hz、歪み0.05%における貯蔵弾性率を〔E'(100Hz*0.05%)〕、周波数15Hz、歪み4.5%における貯蔵弾性率を〔E'(15Hz*4.5%)〕としたときの動倍率〔E'(100Hz*0.05%)/E'(15Hz*4.5%)〕が3以下となるよう設定されたものである。なお、メカノケミカル反応とは、先に述べたように、原材料を微粒子に粉砕して化学反応を起こすことをいい、通常、ミルによる粉砕処理により行われる。本発明では、上記カーボンブラックの粉砕処理(メカノケミカル処理)の際に、カーボンブラックとともにシランカップリング剤が配合される。このように、シランカップリング剤をカーボンブラック粉砕時に配合することにより、このシランカップリング剤がカーボンブラック表面に付着し、カーボンブラックの粉砕処理後の特性において、その処理済みカーボンブラックをゴム材料に混練した際、カーボンブラックが凝集構造をとり難くなり、結果、減衰性を高めるためカーボンブラックの添加量を増やしても、低動倍率を維持することが可能となる。そして、ゴムの低動倍率、高減衰特性の両立の観点から、上記体積固有抵抗が1×108 〜1×1013Ω・cmの範囲内であり、上記動倍率〔E'(100Hz*0.05%)/E'(15Hz*4.5%)〕が1.1〜2.3の範囲内であることが好ましい。なお、上記貯蔵弾性率は、例えば、ユービーエム社製のRheogel−E4000により測定することができる。また、上記体積固有抵抗は、JIS K6271に準じて測定される。
上記ゴム組成物のベースポリマーとしては、特に限定されるものではなく、例えば、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、クロロプレンゴム(CR)、NBRとポリ塩化ビニル(PVC)のブレンドゴム(NBR−PVC)、水素化NBR(H−NBR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CPE)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、シリコーンゴム(Q)等のゴム(原料ゴム)があげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。なかでも、物性の観点から、ジエン系ゴムが好ましく用いられる。
上記の、メカノケミカル反応の対象物として用いられるカーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、SAF級,ISAF級,HAF級,MAF級,FEF級,GPF級,SRF級,FT級,MT級等の種々のグレードのカーボンブラックがあげられる。これらは単独であるいは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、コスト、耐久性等の点から、FEF級カーボンブラックが好適に用いられる。
上記メカノケミカル反応の際に用いられるシランカップリング剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロプルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−β−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等があげられる。特に、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、4,4,13,13−テトラエトキシ−3,14−ジオキサ−8,9−ジチア−4,13−ジシラ−ヘキサデカン、4,4,15,15−テトラエトキシ−3,16−ジオキサ−8,9,10,11−テトラチア−4,15−ジシラ−オクタデカン、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等の含イオウ系シランカップリング剤や、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シランカップリング剤は、本発明において好適に用いることができる。これらのシランカップリング剤は、単独であるいは二種以上併せて用いられる。
そして、カーボンブラックの粉砕処理(メカノケミカル処理)の際に配合されるシランカップリング剤の配合量は、カーボンブラックとの比率において、重量基準で、カーボンブラック:シランカップリング剤=10:1〜5:1の範囲に設定することが、低動倍率化効果の向上の点で好ましい。なお、上記シランカップリング剤の配合量が少なすぎると、カーボンブラックの分散性が悪化する等の傾向がみられ、また、シランカップリング剤の配合量を多くすると、ゴムが軟化する等の諸問題が生じるおそれがある。
先にも述べたように、カーボンブラックのメカノケミカル反応は、通常、ミルによる粉砕処理により行われる。上記カーボンブラックの粉砕処理に使用されるミルとしては、特に限定はないが、例えば、遊星ミル、撹拌ミル、振動ミルが、乾式処理が実施できることから、本発明において有利に用いることができる。なかでも、遊星ミルは、短時間に処理できることから、本発明において、より好ましく用いることができる。
上記遊星ミルは、公転するミル本体と、同方向および逆方向に自転するミルポットで構成されており、自転するミルポットの中に、粉砕媒体であるビーズと粉砕処理対象物(本発明ではカーボンブラック)とを投入し、公転・自転時に発生する遠心力でビーズを運転させ、粉砕処理する装置である。上記のように、ミルポットが自転・公転すなわち遊星運転することから、遊星ミルと呼ばれる。具体的には、栗本鉄工所社製のバッチ式高速遊星ミル「クリモトハイジー」BX384E等があげられる。
そして、上記遊星ミルの粉砕媒体であるビーズとしては、特に限定するものではないが、ステンレス球等の金属球が好適に用いられる。そして、その直径は1〜4mm程度のものが好ましく用いられ、特に直径2〜3mmのものが好ましく用いられる。
上記遊星ミルによる粉砕処理条件としては、粉砕媒体であるビーズに対して、遠心加速度を10〜150Gの範囲に設定することが好ましく、より好ましくは100〜150Gである。さらに、上記粉砕機による粉砕処理時間は、10分間以上に設定することが好ましく、より好ましくは15〜30分間である。すなわち、遠心加速度が10G未満では、カーボンブラックの凝集を解きより微細な粉砕処理がなされず、所望のカーボンブラックを得難く、逆に150Gを超えると、設備自体の耐久性に問題が生じるおそれがあるからである。また、粉砕処理時間が10分未満では、処理効果が充分に現れないからである。
このようにして得られたカーボンブラックは、凝集が解かれ極微細であり、水/エタノール/界面活性剤の混合溶媒に分散させ遠心沈降法で求めたストークス径が60nm〜130nmの範囲となる。そして、このものは再凝集が抑制されている。
上記粉砕処理(メカノケミカル処理)後のカーボンブラックの、ベースポリマー(ゴム)への配合割合は、上記ゴム100重量部(以下、「部」と略す)に対し、30〜170部の範囲で配合することにより、低動倍率化効果がさらに向上するため好ましい。
なお、本発明の防振ゴム組成物においては、その材料として、シランカップリング剤とメカノケミカル反応させたカーボンブラックと、ベースポリマーのみを用いたものであってもよく、また、必要に応じ、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、老化防止剤、プロセスオイル、充填剤等を適宜に配合してもよい。
そして、これらの材料を、ニーダー、ロール、ミキサー等の混練機により混練することにより、所望の防振ゴム組成物を得ることができる。つぎに、このように調製されたゴム組成物を、押出成形等した後、加熱加硫したり、あるいは、プレス加硫したりして、所望の形状に形成することにより、目的とする防振ゴム(部材)を製造することができる。なお、上記加硫成形時の加熱条件等は、特に限定されず、製造する製品の大きさや、使用するゴム等により、適宜設定される。
本発明の防振ゴム組成物は、例えば、産業用防振パッド、防振マット、鉄道用スラブマット、パッド類、自動車用エンジンマウント、ストラットマウント、サスペンションブッシュ等の防振ゴム、特に自動車等の車輌用防振ゴムの材料として、好適に用いられる。
つぎに、本発明を実施例に基づいて詳しく説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
〔天然ゴム(NR)〕
RSS#3、JSR社製
〔カーボンブラック〕
シーストSO、東海カーボン社製
〔シランカップリング剤〕
4,4,13,13−テトラエトキシ−3,14−ジオキサ−8,9−ジチア−4,13−ジシラ−ヘキサデカン(Si75、デグサ社製)
〔ステアリン酸〕
ルナックS30、花王社製
〔プロセスオイル〕
ダイアナプロセスNM300、出光興産社製
〔酸化亜鉛〕
酸化亜鉛二種、三井金属鉱業社製
〔加硫促進剤〕
サンセラーCZ−G、大内新興化学工業社製
〔硫黄〕
サルファックス200S、鶴見化学社製
〔処理カーボンブラック(a)〜(c)の調製〕
上記カーボンブラックおよびシランカップリング剤を用い、これらを、下記の表1に示す割合で、同表に示すビーズ径(粒径)のビーズとともに、遊星ミル(栗本鉄工所社製のバッチ式高速遊星ミル「クリモトハイジー」BX384E)に投入(投入容積全体の30%を占めるよう投入)した。その後、上記遊星ミルにより、下記の表1に示す条件(遠心加速度、処理時間)にてカーボンブラックの粉砕処理を行った。これにより、処理カーボンブラック(a)〜(c)を製造した。
Figure 2009035578
〔実施例1〕
NR100部と、処理カーボンブラック(a)を54部と、ステアリン酸1部と、酸化亜鉛5部とを、密閉式小型混練機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)を用いて混練した。その後、上記混練物に、加硫促進剤1.5部と、硫黄2部をロールを用いて混練して、防振ゴム組成物を調製した。
〔実施例2〜3、比較例1〜3〕
下記の表2に示すように、各成分の配合量等を変更する以外は、実施例1に準じて、防振ゴム組成物を調製した。
Figure 2009035578
このようにして得られた実施例および比較例の防振ゴム組成物を用い、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、後記の表3に併せて示した。
〔動倍率〕
各防振ゴム組成物を用いて、150℃で20分間加硫して、厚み2mmの加硫ゴムシートを作製し、このシートから幅5mm×長さ30mm程度の短冊状の試験片を切り出して、室温(25℃)にてユービーエム社製のRheogel−E4000を用い、周波数100Hz、歪み0.05%のときの貯蔵弾性率〔E'(100Hz*0.05%)〕、および周波数15Hz、歪み4.5%のときの貯蔵弾性率〔E'(15Hz*4.5%)〕をそれぞれ測定した。そして、E'(100Hz*0.05%)/E'(15Hz*4.5%)=動倍率として示した。
〔体積固有抵抗〕
各防振ゴム組成物を、150℃×20分の条件でプレス成形し、厚み2mmのゴムシートを作製した。そして、このゴムシートを用い、その体積固有抵抗を、JIS K6271に準じて測定した。
〔減衰性〕
各防振ゴム組成物を、150℃×20分の条件でプレス成形し、厚み2mmのゴムシートを作製した。そして、このゴムシートを用い、周波数15Hz、歪み4.5%の条件で、ユービーエム社製のRheogel−E4000を用いて、tanδMAXを測定した。
Figure 2009035578
上記の結果から、シランカップリング剤とメカノケミカル反応させた(粉砕処理した)カーボンブラックを用いた実施例1は、同量のカーボンブラック(未処理のもの)を用いた比較例1に比べ、カーボンブラックの分散が良く、低動倍率・高減衰を達成していることがわかる。また、実施例1は、同量のカーボンブラック(未処理のもの)およびシランカップリング剤をゴム組成物へ単に加えただけの比較例2に比べ、顕著な低動倍率化効果が得られている。このような低動倍率効果は、実施例2と比較例3との対比から明らかなように、カーボンブラックの配合量が多くなるに従い、顕著となる。なお、比較例3は、カーボンブラックの多量配合により、動倍率が3を超え、体積固有抵抗も低い。これに対し、実施例3は、比較例3よりも多量のカーボンブラックを配合しているが、動倍率が3以下で、体積固有抵抗も高いことからもカーボンブラックの分散が良好であることが推察される。
なお、本発明者は、実施例のNRに代えて、IR、ECO、NBR、EPDM等の他のゴムを用いた場合も、他の実施例と同様に、カーボンブラックの分散が良く、低動倍率・高減衰を達成していることを実験により確認している。
本発明の防振ゴム組成物は、自動車の車両等に用いられるエンジンマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ等の防振材料として、好適に用いられる。

Claims (7)

  1. シランカップリング剤とメカノケミカル反応させたカーボンブラックを含有するゴム組成物であって、その硬化体の体積固有抵抗が1×106 Ω・cm以上であり、かつ、周波数100Hz、歪み0.05%における貯蔵弾性率を〔E'(100Hz*0.05%)〕、周波数15Hz、歪み4.5%における貯蔵弾性率を〔E'(15Hz*4.5%)〕としたときの動倍率〔E'(100Hz*0.05%)/E'(15Hz*4.5%)〕が3以下であることを特徴とする防振ゴム組成物。
  2. 上記カーボンブラックが、シランカップリング剤とともに、遊星ミルによる10分以上の粉砕処理によってメカノケミカル反応させたものである請求項1記載の防振ゴム組成物。
  3. 上記ゴム組成物中に配合されるゴム100重量部に対して、上記メカノケミカル反応させたカーボンブラックの配合割合が30〜170重量部の範囲に設定されている請求項1または2記載の防振ゴム組成物。
  4. 上記ゴム組成物中に配合されるゴムが、ジエン系ゴムである請求項1〜3のいずれか一項に記載の防振ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の防振ゴム組成物の製法であって、カーボンブラックを、シランカップリング剤とともに、ミルにより粉砕処理してメカノケミカル反応させ、このものを、防振ゴム組成物の材料中に配合することを特徴とする防振ゴム組成物の製法。
  6. 上記カーボンブラックの粉砕処理が、遊星ミルによる10分以上の粉砕処理により行われる請求項5記載の防振ゴム組成物の製法。
  7. 上記カーボンブラックの粉砕処理が、カーボンブラックとシランカップリング剤とを、重量比で、カーボンブラック:シランカップリング剤=10:1〜5:1の割合で投入して行われる請求項5または6記載の防振ゴム組成物の製法。
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