JP2009035570A - 亜鉛−マグネシウムアート錯体を含む求核試薬及びそれを使用する求核付加体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】THF中で、塩化亜鉛(0.335mmol)とEtMgCl(4.35mmol)の存在下、ベンゾフェノン(3.35mmol)を加え、0℃にて2時間攪拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、室温下3分攪拌した。続いて、酢酸エチルを加え、通常の分液処理を行った。抽出した有機層を洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。中性シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて生成物を分取し、対応する3級アルコールを収率84%で得た。
【選択図】なし
Description
Organic Lettters, 2005, vol7, No.4, p573-576
よい))で表されるグリニャール試薬を含んでいてもよい。
対して1当量以上のRMgX(R,Xは前出のとおり)で表されるグリニャール試薬と反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して0.05当量以上1当量以下の有機亜鉛又は無機亜鉛を使用するようにしてもよい。こうすれば、少量の有機亜鉛又は無機亜鉛を用いることにより、グリニャール試薬の求核付加反応の高効率化を図ることができる。ここで、有機亜鉛としては、例えばR1R2Zn(R1,R2は前述のとおり)などが挙げられ、無機亜鉛としては、例えばハロゲン化亜鉛などが挙げられるが、コスト等を考慮すれば無機亜鉛、特にハロゲン化亜鉛を使用するのが好ましい。ハロゲン化亜鉛を用いる場合には、グリニャール試薬は、反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して1当量分とハロゲン化亜鉛に対して3当量分との和以上使用することが好ましい。なお、有機亜鉛又は無機亜鉛は、反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して0.1当量以上であることがより好ましく、また、経済性を考慮すれば、0.5当量以下が好ましく、0.2当量以下であることがより好ましい。
[実施例1]
加熱減圧乾燥後、窒素置換した30mL反応容器に、ジエチル亜鉛(1.0M n−ヘキサン溶液、3.69mL、3.69mmol)、EtMgCl(0.87M エチル−グリニャール試薬テトラヒドロフラン(THF)溶液、4.24mL,3.69mmol)を加えて、室温で1時間攪拌した。その後、混合液を0℃に冷却し、ベンゾフェノン(0.610g,3.35mmol)を加え、引き続き0℃にて2時間攪拌した。反応終了をTLCで確認し、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加え、室温下3分攪拌した。酢酸エチル(10mL)を加え、通常の分液処理を行った。水層からさらに酢酸エチル抽出(10mL)を2回行った。抽出した有機層は水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。中性シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて生成物を分取し、対応する3級アルコールを収率85%で得た。この実施例1は、ジエチル亜鉛とグリニャール試薬とを反応させることにより亜鉛−マグネシウムアート錯体(Et3ZnMgCl)を調製し、この亜鉛−マグネシウムアート錯体を求核試薬として用いた例である。
実施例2〜4及び比較例1〜7につき、表1に示すアルキル化剤を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果を表1に示す。ここで、実施例2は、ジエチル亜鉛とグリニャール試薬(ジエチル亜鉛に対して1当量)とから亜鉛−マグネシウムアート錯体(10mol%)を調製し、この亜鉛−マグネシウムアート錯体とグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。実施例3は、塩化亜鉛とグリニャール試薬(塩化亜鉛に対して3当量)とから亜鉛−マグネシウムアート錯体(10mol%)を調製し、これとグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。実施例4は、塩化亜鉛とグリニャール試薬(塩化亜鉛に対して3当量)とから亜鉛−マグネシウムアート錯体(5mol%)を調製し、この亜鉛−マグネシウムアート錯体とグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。
[実施例5]
加熱減圧乾燥後、窒素置換した30mL反応容器に、塩化亜鉛(45.6mg,0.335mmol)、EtMgCl(0.87M エチル−グリニャール試薬テトラヒドロフ
ラン(THF)溶液、5.0mL,4.35mmol)を加えて、室温で1時間攪拌した。その後、混合液を0℃に冷却し、ベンゾフェノン(0.610g,3.35mmol)を加え、引き続き0℃にて2時間攪拌した。反応終了をTLCで確認し、飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)を加え、室温下3分攪拌した。酢酸エチル(10mL)を加え、通常の分液処理を行った。水層からさらに酢酸エチル抽出(10mL)を2回行った。抽出した有機層は水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。中性シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて生成物を分取し、対応する3級アルコールを収率84%で得た。この実施例5は、10mol%の亜鉛−マグネシウムアート錯体を調製し、これとグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。その結果を表2に示す。なお、表2において、実施例4の直下に記載したカッコ内の実験データは、塩化亜鉛を使用しなかった(つまり亜鉛−マグネシウムアート錯体を用いなかった)以外は実施例5と同じ条件で反応を行った例である。
実施例6〜12につき、表2に示す種々のグリニャール試薬を用いた以外は実施例5と同様にして反応を行った。その結果を表2に示す。これらの実施例6〜12は、10mol%の亜鉛−マグネシウムアート錯体を調製し、これと種々のグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。ここで、各実施例の直下に記載したカッコ内の実験データは、塩化亜鉛を使用しなかった(つまり亜鉛−マグネシウムアート錯体を用いなかった)以外はその直上の実施例と同じ条件で反応を行った例である。
[実施例13〜24]
実施例13〜24につき、表3に示す種々のケトンを反応基質とし共通のグリニャール試薬(i−PrMgCl)を用いた以外は実施例5と同様にして反応を行った。その結果を表3に示す。これらの実施例13〜24は、塩化亜鉛とグリニャール試薬とから10mol%の亜鉛−マグネシウムアート錯体を調製し、これとグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。ここで、各実施例の直下に記載したカッコ内の実験データは、塩化亜鉛を使用しなかった(つまり亜鉛−マグネシウムアート錯体を用いなかった)以外はその直上の実施例と同じ条件で反応を行った例である。
が得られた。なお、実施例23,24は反応基質としてシクロヘキサノンを用いた例であるが、塩化亜鉛のほかに塩化リチウムを加えた実施例24では、塩化リチウム未添加の実施例23に比べて更なる収率の向上が見られた。
加熱減圧乾燥後、窒素置換した30mL反応容器に、塩化亜鉛(40.8mg,0.30mmol)、EtMgCl(1.0M エチル−グリニャール試薬テトラヒドロフラン(THF)溶液、3.90mL,3.90mmol)を加えて、室温で1時間攪拌した。その後、N−フェニルベンジリデンアミン(0.547g,3.0mmol)を加え、引き続き0℃にて2時間攪拌した。反応終了をTLCで確認し、飽和塩化アンモニウム水溶液(5mL)を加え、室温下3分攪拌した。酢酸エチル(10mL)を加え、通常の分液処理を行った。水層からさらに酢酸エチル抽出(10mL)を3回行った。抽出した有機層は飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。中性シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて生成物を分取し、対応するアミンを収率81%で得た。この実施例25は、塩化亜鉛とグリニャール試薬とから10mol%の亜鉛−マグネシウムアート錯体を調製し、これとグリニャール試薬とを求核試薬として用いた例である。その結果を表4に示す。なお、表4において、実施例25の直下に記載したカッコ内の実験データは、塩化亜鉛を使用しなかった(つまり亜鉛−マグネシウムアート錯体を用いなかった)以外は実施例25と同じ条件で反応を行った例である。
実施例26〜34につき、表4に示す種々のグリニャール試薬を用いた以外は実施例25と同様にして反応を行った。その結果を表4に示す。ここで、各実施例の直下に記載したカッコ内の実験データは、塩化亜鉛を使用しなかった(つまり亜鉛−マグネシウムアート錯体を用いなかった)以外はその直上の実施例と同じ条件で反応を行った例である。
[実施例35]
加熱減圧乾燥後、窒素置換した30mL反応容器に、ジエチル亜鉛(1.0M n−ヘキサン溶液、0.90mL,0.90mmol)、塩化リチウム(139mg,3.3mmol)、EtMgCl(1.0M エチル−グリニャール試薬テトラヒドロフラン(THF)溶液、3.3mL,3.3mmol)を加えて、室温で1時間攪拌した。その後、混合液を0℃に冷却し、2−アダマンタノン(0.451g,3.0mmol)を加え、引き続き0℃にて2時間攪拌した。反応終了をTLCで確認し、飽和塩化アンモニウム水
溶液(10mL)を加え、室温下3分攪拌した。酢酸エチル(10mL)を加え、通常の分液処理を行った。水層からさらに酢酸エチル抽出(10mL)を2回行った。抽出した有機層は水(10mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(10mL)の順に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮した。中性シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)にて生成物を分取し、求核付加体である3級アルコールを収率81%で得た。この実施例35は、系内で10mol%のEt3ZnMgClを調製し、これとEtMgClとLiClとを求核試薬として用いた例である。その結果を表5に示す。
実施例36につき、表5に示すように塩化リチウムを使用しなかった以外は実施例35と同様にして反応を行った。その結果を表5に示す。
比較例8につき、表5に示すようにジエチル亜鉛や塩化リチウムを使用せずグリニャール試薬を1.5当量使用した以外は実施例35と同様にして反応を行った。その結果を表5に示す。
[実施例37,比較例9]
表6に示すように、実施例37については、安息香酸エチルを反応基質としグリニャール試薬(i−PrMgCl)を用いた以外は実施例5と同様にして反応を行い、比較例9については、塩化亜鉛を用いなかった以外は実施例37と同様にして反応を行った。その結果を表6に示す。表6から明らかなように、安息香酸エチルのカルボニル炭素にイソプロピル基を付加するにあたって、触媒量のi−Pr3ZnMgClを用いた場合には、i−Pr3ZnMgClを用いなかった場合に比べて高収率で求核付加体である3級アルコ
ールが得られた。
[実施例38]
実施例38については、ジエチル亜鉛の代わりにジメチル亜鉛を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。ここで、実施例38は、ジメチル亜鉛とグリニャール試薬(ジメチル亜鉛に対して1当量)とから亜鉛−マグネシウムアート錯体EtMe2ZnMgClを調製し、この亜鉛−マグネシウムアート錯体を求核試薬として用いた例である。また、実施例39〜41については、表7に示すアルキル化剤を用いた以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果を表7に示す。なお、表7には比較例2の結果も併せて示す。表7から明らかなように、ベンゾフェノンのカルボニル炭素にエチル基を付加するにあたって、EtMe2MgClを用いた場合(実施例38〜41)には、EtMe2MgClを用いなかった場合(比較例2)に比べて高収率でEt付加体が得られた。
nCl2、LiClは和光純薬工業(株)から購入した。ジエチルエーテル、THF、Et2Zn(1.0M ヘキサン溶液)、Me2Zn(1.0M ヘキサン溶液)、EtMgCl(1.0M THF溶液)、EtMgBr(1.0M THF溶液)、n−BuMgCl(1.0M THF溶液)、s−BuMgCl(1.0M THF溶液)、(vinyl)MgCl(1.5M THF溶液)、BnMgCl(1.0M THF溶液)は関東化学(株)から購入した。EtLi(0.5M ベンゼン/シクロヘキサン溶液)、MeMgCl(3.0M THF溶液)、n−PrMgCl(2.0M エーテル溶液)、i−PrMgCl(2.0M THF溶液)、c−HexMgCl(2.0M エーテル溶液)、n−OctMgCl(2.0M THF溶液)、(allyl)MgCl(2.0M THF溶液)はアルドリッチ社から購入した。
Claims (13)
- カルボニル炭素又はイミノ炭素を含む反応基質の前記カルボニル炭素又は前記イミノ炭素に置換基を有していてもよい炭化水素基を付加する求核付加反応に用いられる求核試薬であって、
R1R2R3ZnMgX1(R1,R2,R3は置換基を有していてもよい炭化水素基(三者はすべて同じであってもよいし1つだけ異なっていてもよいしすべて異なっていてもよい)、X1はハロゲン)で表される亜鉛−マグネシウムアート錯体を含む求核試薬。 - 前記カルボニル炭素は、ケトンのカルボニル炭素である、請求項1に記載の求核試薬。
- 前記イミノ炭素は、アルジミンのイミノ炭素である、請求項1に記載の求核試薬。
- 前記亜鉛−マグネシウムアート錯体とR4MgX2(R4は置換基を有していてもよい炭化水素基(R1,R2,R3のいずれかと同じであってもよいし異なっていてもよい),X2はハロゲン(X1と同じであってもよいし異なっていてもよい))で表されるグリニャール試薬とを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の求核試薬。
- カルボニル炭素又はイミノ炭素を含む反応基質の前記カルボニル炭素又は前記イミノ炭素に置換基を有していてもよい炭化水素基を付加することにより求核付加体を製造する方法であって、
前記炭化水素基を付加する際にはR1R2R3ZnMgX1(R1,R2,R3は置換基を有していてもよい炭化水素基(三者はすべて同じであってもよいし1つだけ異なっていてもよいしすべて異なっていてもよい)、X1はハロゲン)で表される亜鉛−マグネシウムアート錯体を使用する、求核付加体の製造方法。 - 前記炭化水素基を付加する際に、前記反応基質に対して1当量以上の前記亜鉛−マグネシウムアート錯体を使用する、請求項5に記載の求核付加体の製造方法。
- 前記炭化水素基を付加する際に、前記反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して1当量以上のR4MgX2(R4は置換基を有していてもよい炭化水素基(R1,R2,R3のいずれかと同じであってもよいし異なっていてもよい),X2はハロゲン(X1と同じであってもよいし異なっていてもよい))で表されるグリニャール試薬と前記反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して0.05当量以上1当量以下の前記亜鉛−マグネシウムアート錯体を使用する、請求項5に記載の求核付加体の製造方法。
- カルボニル炭素又はイミノ炭素を含む反応基質の前記カルボニル炭素又は前記イミノ炭素に置換基を有していてもよい炭化水素基を付加することにより求核付加体を製造する方法であって、
前記炭化水素基を付加する際に、前記反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して1当量以上のRMgX(Rは置換基を有していてもよい炭化水素基、Xはハロゲン)で表されるグリニャール試薬と前記反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して0.05当量以上1当量以下の有機亜鉛又は無機亜鉛を使用する、求核付加体の製造方法。 - 前記無機亜鉛は、ハロゲン化亜鉛であり、前記グリニャール試薬は、前記反応基質のカルボニル炭素又はイミノ炭素に対して1当量分と前記ハロゲン化亜鉛に対して3当量分との和以上使用する、
請求項8に記載の求核付加体の製造方法。 - 前記カルボニル炭素は、ケトンのカルボニル炭素である、請求項5〜9のいずれかに記
載の求核付加体の製造方法。 - 前記イミノ炭素は、アルジミンのイミノ炭素である、請求項5〜9のいずれかに記載の求核付加体の製造方法。
- 反応溶媒としてエーテル系溶媒を使用する、請求項5〜11のいずれかに記載された求核付加体の製造方法。
- 反応温度を0〜30℃とする、請求項5〜12のいずれかに記載された求核付加体の製造方法。
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