JP2009034898A - 不燃複合板 - Google Patents

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Abstract

【課題】不燃複合板において、不燃ボードと、金属箔とを、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって不燃材料の発熱性試験に合格できること。
【解決手段】不燃複合板1は、第1層の中性紙2と、第2層のアルミニウム箔3と、第3層の不燃ボード4と、第4層のベニヤ合板5とを順次積層させて構成される。不燃ボード4の表面に金属箔3の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔3で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード4によって、ベニヤ合板5への熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えられる。この不燃複合板1について、不燃材料の発熱性試験を実施したところ、総発熱量は8.0MJ/m2以下であり、最高発熱速度が連続して200kW/m2 を超過した時間も10秒未満であって、変形もなく、不燃材料の発熱性試験に合格した。
【選択図】図1

Description

本発明は、壁装材・壁材等の建材として用いることができる不燃性を有する不燃複合板に関するものであり、特に、不燃性を付与することが困難であった木質ボード或いはフォーム材を基材としながら不燃性試験に合格できる不燃複合板に関するものである。
近年、建造物の火災事故の防止に関わる社会的要請に基づいて、建築内装材等について防炎・耐火・不燃の基準が厳しく設定され、壁装材・壁材を始めとする建材についても、「燃えない・熱に強い」いわゆる不燃材料の需要は極めて高い。従来、不燃複合板としては、石綿(アスベスト)繊維を主体とする不燃板が幅広い用途に用いられていたが、健康を害することからアスベストの使用が禁止されたため、ノンアスベストの不燃複合板が求められていた。特に、最近は、建築偽装問題が大きく取り上げられたことから、企業のコンプライアンスが強化され、量産製品における不燃性の保証が非常に重要となっている。
そこで、本発明者らは、特許文献1において、不燃性紙の特許発明について開示している。この特許文献1に記載の不燃性紙は、ノンアスベストの天然鉱物であるセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)を主成分とする無機質原紙であり、具体的にはセピオライトを80重量%以上含み、熱硬化性樹脂からなる固結用の第1バインダーと、分子量800万〜1000万のアニオン性ポリアクリルアミドからなる凝集用の第2バインダーと、分子量80万〜100万のアニオン性ポリアクリルアミドからなる紙力増強用の第3バインダーとを添加したスラリーを抄造してなるものである。
また、本発明者らは、特許文献2において、不燃性シートの特許発明について開示している。この特許文献2に記載の不燃性シートは、特許文献1の不燃性紙と同じくノンアスベストの天然鉱物であるセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)を主成分とし、ジメチルアミノエチルメタクリレートからなる強カチオン性ポリマーとアクリルアミドアクリル酸共重合体からなる強アニオン性ポリマーとの併用からなる高分子凝集剤を、原材料固形分に対して合計で0.2〜1.0重量%添加したスラリーを抄造してなるものである。
上記特許文献1に記載の不燃性紙及び上記特許文献2に記載の不燃性シートは、いずれもセピオライトを主成分(80重量%以上)とすることによって、防炎性、不燃性に加えて耐水性をも兼ね備えた不燃性紙及び不燃性シートとなる。また、特許文献1に記載の不燃性紙においては、第1バインダーから第3バインダーまでを配合することによって乾燥時及び湿潤時における紙力強度を確保することができ、特許文献2に記載の不燃性シートにおいては、高分子凝集剤を配合することによって生産性が向上して量産による抄造が可能となり、低コスト化を図ることができる。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された技術においては、上述した成分に加えてガラス繊維、更にはパルプが配合されているが、ガラス繊維及びパルプの最適な配合率が明確にされていなかったため、より優れた防炎性・不燃性を確実に得ることができなかった。
また、特許文献1及び特許文献2に記載された不燃性紙や不燃性シートや水酸化アルミニウム紙、炭酸カルシウム紙等の他の不燃性紙においては、JISに規格された難燃性試験の防炎1級をクリアするのが精一杯であり、不燃材料の発熱性試験においては20分の加熱により600℃近くになるため、結晶水が飛んで紙としての形状を留めることができず、不燃材料の発熱性試験に合格するものは得ることができなかった。
したがって、特許文献1及び特許文献2に記載された不燃性紙や不燃性シートを、近年木質ボードとしての使用量が増加しているベニヤ合板・パーティクルボード・MDF(中密度ファイバーボード)等の表面や、ウレタンフォーム・発泡スチロール等のフォーム材の表面に貼り付けても、不燃材料の発熱性試験をクリアすることはできないという問題点があった。現実に、火災の原因の殆どが、放火やコンロの引火、煙草の火の不始末によるものであり、不燃材料によって初期着火を防ぐことが火災予防に最も効果的である。
これに対して、特許文献3においては、合板や古紙成形体、木炭成形体、古紙ボード間に木チップを介装させた成形体等の、所定の不燃レベルに達していない可燃性材料を不燃化する方法として、可燃性材料の表面にガス遮蔽性及び高反射性を有する金属薄膜シートを貼り付ける可燃性材料の不燃化方法の発明について開示している。これによって、火災時の輻射熱を金属薄膜シートによって高反射させることができ、可燃性材料の熱分解を低減させることができ、また可燃性材料が熱分解して発生する可燃性ガスが表面に放出するのを防止できるため、可燃性材料を不燃化することができるとしている。
特許第2505307号公報 特許第2501058号公報 特開2007−030416号公報
しかしながら、上記特許文献3に係る発明においては、可燃性材料の表面に6.5μm〜70μmの厚さのアルミニウム箔を貼り付けるのみの構造であり、可燃性材料は木材や樹脂フォーム材等の有機物であるため、加熱によって次第に変形して凹凸が生じ、表面のアルミニウム箔に亀裂を生じさせて可燃性ガスが表面に放出されることから、不燃性を確保することができない。
また、室内用建材等として用いる場合、シックハウス症候群対策のために、化粧シートを貼る場合に水性接着剤を使用するケースが多く、表面がアルミニウム箔であると水性接着剤が乾燥せず、膨れを生じてしまうという問題点があった。したがって、可燃性材料の表面に金属薄膜シートを貼り付けるだけでは不十分であり、その上を更に化粧シートの貼付け等が可能な不燃材料で覆う必要があった。
そこで、本発明は、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、更には中性紙とを、上記木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板を提供することを課題とする。
請求項1の発明に係る不燃複合板は、中性紙からなる第1層と、金属箔からなる第2層と、含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第3層と、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第4層とを具備するものである。
ここで、「中性紙」とは、中性から弱アルカリ性領域で製造された紙で、充填材として炭酸カルシウムが主に使用され、製造された紙もJISに規定された紙のpH測定で中性から弱塩基性を示し、上質紙の殆どを占める紙のことである。また、「金属箔」としては、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔、金箔、銀箔、白金箔、銅箔、真鍮箔、錫箔、ニッケル箔等、種々の金属の箔を用いることができる。
更に、「含水ケイ酸マグネシウム化合物」としては、天然鉱物であるセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、アタパルジャイト(含水ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、タルク(滑石、含水ケイ酸マグネシウム)等があり、またこれらの含水ケイ酸マグネシウム化合物の合成物をも含む。また、「バインダー」とは、有機系バインダー、無機系バインダー、これらの混合物、及び有機無機複合バインダーを含む。
また、「リグノセルロースまたはこれを含む材料」とは、樹木・間伐材・木片チップ等の木質材料や草木の破片等を意味するものであり、「リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板」としては、天然の樹木から切り出した木板を始めとして、ベニヤ板等の構造用合板、ハードボード、MDF(中密度ファイバーボード)、インシュレーションボード、パーティクルボード、等がある。更に、「板状のフォーム材」としては、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、発泡スチロール、等がある。
請求項2の発明に係る不燃複合板は、含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第1層と、金属箔からなる第2層と、 中性紙からなる第3層と、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第4層とを具備するものである。
請求項3の発明に係る不燃複合板は、請求項1または請求項2の構成において、前記中性紙の厚さは20μm〜80μmの範囲内であるものである。
請求項4の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記金属箔の厚さは12μm〜30μmの範囲内であるものである。
請求項5の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記不燃ボードの厚さは0.2mm〜3mmの範囲内であるものである。
請求項6の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さは2mm〜18mmの範囲内であるものである。
請求項7の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記板状のフォーム材の厚さは10mm〜60mmの範囲内であるものである。
請求項8の発明に係る不燃複合板は、含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第1層と、金属箔からなる第2層と、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第3層とを具備するものである。
ここで、「含水ケイ酸マグネシウム化合物」としては、天然鉱物であるセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、アタパルジャイト(含水ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、タルク(滑石、含水ケイ酸マグネシウム)等があり、またこれらの含水ケイ酸マグネシウム化合物の合成物をも含む。また、「バインダー」とは、有機系バインダー、無機系バインダー、これらの混合物、及び有機無機複合バインダーを含む。更に、「金属箔」としては、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔、金箔、銀箔、白金箔、銅箔、真鍮箔、錫箔、ニッケル箔等、種々の金属の箔を用いることができる。
また、「リグノセルロースまたはこれを含む材料」とは、樹木・間伐材・木片チップ等の木質材料や草木の破片等を意味するものであり、「リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板」としては、天然の樹木から切り出した木板を始めとして、ベニヤ板等の構造用合板、ハードボード、MDF(中密度ファイバーボード)、インシュレーションボード、パーティクルボード、等がある。更に、「板状のフォーム材」としては、スチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、発泡スチロール、等がある。
請求項9の発明に係る不燃複合板は、請求項8の構成において、前記不燃ボードの厚さは0.2mm〜3mmの範囲内であるものである。
請求項10の発明に係る不燃複合板は、請求項8または請求項9の構成において、前記金属箔の厚さは12μm〜30μmの範囲内であるものである。
請求項11の発明に係る不燃複合板は、請求項8乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造される基板の厚さは2mm〜18mmの範囲内であるものである。
請求項12の発明に係る不燃複合板は、請求項8乃至請求項10のいずれか1つの構成において、前記板状のフォーム材の厚さは10mm〜60mmの範囲内であるものである。
請求項13の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項12のいずれか1つの構成において、前記金属箔はアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔のいずれかであるものである。
請求項14の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項13のいずれか1つの構成において、前記不燃ボードの材料である前記含水ケイ酸マグネシウム化合物の平均粒径は10μm〜25μmの範囲内であるものである。
請求項15の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項14のいずれか1つの構成において、前記不燃ボードの材料である前記含水ケイ酸マグネシウム化合物は、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)であるものである。
請求項16の発明に係る不燃複合板は、請求項1乃至請求項15のいずれか1つの構成において、前記不燃ボードの材料である前記ガラス繊維の長さが1mm〜3mmの範囲内であり、含有量が2重量%〜5重量%の範囲内であるものである。
請求項1の発明に係る不燃複合板は、中性紙からなる第1層と、金属箔からなる第2層と、含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第3層と、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第4層とを具備する。
ここで、「中性紙」とは、中性から弱アルカリ性領域で製造された紙で、充填材として炭酸カルシウムが主に使用され、製造された紙もJISに規定された紙のpH測定で中性から弱塩基性を示し、上質紙の殆どを占める紙のことである。また、「金属箔」としては、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔、金箔、銀箔、白金箔、銅箔、真鍮箔、錫箔、ニッケル箔等、種々の金属の箔を用いることができる。
更に、「含水ケイ酸マグネシウム化合物」としては、天然鉱物であるセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、アタパルジャイト(含水ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、タルク(滑石、含水ケイ酸マグネシウム)等があり、またこれらの含水ケイ酸マグネシウム化合物の合成物をも含む。また、「バインダー」とは、有機系バインダー、無機系バインダー、これらの混合物、及び有機無機複合バインダーを含む。
また、「リグノセルロースまたはこれを含む材料」とは、樹木・間伐材・木片チップ等の木質材料や草木の破片等を意味するものであり、「リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板」としては、天然の樹木から切り出した木板を始めとして、ベニヤ板等の構造用合板、ハードボード、MDF(中密度ファイバーボード)、インシュレーションボード、パーティクルボード、等がある。更に、「板状のフォーム材」としては、スチレンフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、発泡スチロール、等がある。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、不燃ボードとして含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有するものが、より不燃性及び防炎性に優れており、不燃材料の条件を満たすことを見出した。すなわち、上記組成からなる不燃ボードは、不燃材料の発熱性試験において20分の加熱により600℃近くになっても、総発熱量は僅かに0.8MJ/m2(総発熱量の合格値は8.0MJ/m2以下)であり、しかも僅か0.25mmの厚さで亀裂もなく形状を保持し、不燃材料として合格した。
しかし、かかる不燃ボードのみを、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材の表面に接着しただけでは、不燃ボードがガス透過性を有するため、不燃ボード側から火炎を当てた場合に、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材から加熱によって発生した可燃性ガスが、不燃ボードを透過して燃焼するため、不燃材料の発熱性試験に合格することができない。
そこで、本発明者らは、不燃ボードの表面に金属箔の層を設けることによって、可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れた金属箔の層で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボードによって、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材への熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えることによって、不燃材料の発熱性試験に合格することができる複合板を作製することに思い至った。
但し、表面に金属箔の層を設けただけでは、金属箔が薄い場合には、可燃性ガスが発生した際にガス圧で亀裂が入って可燃性ガスが漏れる可能性があるとともに、建材等として用いる場合に金属箔の表面では装飾を施すことが困難である。そこで、金属箔の層の表面に、更に中性紙の層を設けることによって、金属箔が薄い場合でもガス圧で亀裂が入って可燃性ガスが漏れるのを確実に防止するとともに、建材等として用いる場合に容易に装飾を施すことができるようにした。
ここで、第1層として中性紙を用いるのは、基材(第4層)がフォーム材の場合や、不燃複合板をコンクリートに打ち込む場合には、アルカリ性物質に触れることがあるため、中性紙が好ましいことと、建材等として表面に化粧を施す場合には、中性でないと変色や染み出し等の不具合が出ることがあるためである。
こうして得られた本発明に係る不燃複合板は、不燃材料の発熱性試験において総発熱量は8.0MJ/m2以下であり、最高発熱速度が連続して200kW/m2 を超過した時間も10秒未満であって、不燃材料の発熱性試験に合格した。
このようにして、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項2の発明に係る不燃複合板は、含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第1層と、金属箔からなる第2層と、 中性紙からなる第3層と、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第4層とを具備する。
すなわち、請求項2の発明に係る不燃複合板は、請求項1に係る不燃複合板の第1層と第3層とを入れ替えた構造を有している。これによって、請求項1に係る不燃複合板と同様の理由で、不燃材料の発熱性試験に合格することができる複合板を作製することができる。
ここで、第3層として中性紙を用いるのは、基材(第4層)がフォーム材の場合や、不燃複合板をコンクリートに打ち込む場合には、アルカリ性物質に触れることがあるため、中性紙が好ましいことと、建材等として表面に化粧を施す場合には、中性でないと変色や染み出し等の不具合が出ることがあるためである。
こうして得られた本発明に係る不燃複合板は、不燃材料の発熱性試験において総発熱量は8.0MJ/m2以下であり、最高発熱速度が連続して200kW/m2 を超過した時間も10秒未満であって、不燃材料の発熱性試験に合格した。
このようにして、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項3の発明に係る不燃複合板においては、中性紙の厚さが20μm〜80μmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、中性紙の厚さが20μm〜80μmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、中性紙の厚さが20μm未満であると、中性紙が薄過ぎて金属箔が薄い場合にガス圧で亀裂が入るのを抑えることができない場合があるとともに、破れ易くなるため積層するための施工が困難になり、一方、中性紙の厚さが80μmを超えると、中性紙が厚過ぎて下層または上層の金属箔による熱分散の効果が得られ難くなり、中性紙に熱が集中して中性紙自身が燃える恐れがある。したがって、中性紙の厚さは、20μm〜80μmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項4の発明に係る不燃複合板においては、金属箔の厚さが12μm〜30μmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、金属箔の厚さが12μm〜30μmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、金属箔の厚さが12μm未満であると、金属箔が薄過ぎてガス圧で亀裂が入るのを抑えることができない場合があるとともに、破れ易くなるため積層するための施工が困難になり、一方、金属箔の厚さが30μmを超えると、金属箔が厚過ぎて柔軟性を失い、積層するための施工が困難になるとともに、金属箔が高価になって不燃複合板のコストが高くなり、かつ重くなってしまう。したがって、金属箔の厚さは、12μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項5の発明に係る不燃複合板においては、不燃ボードの厚さが0.2mm〜3mmの範囲内、より好ましくは1mm〜3mmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、不燃ボードの厚さが0.2mm〜3mmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、不燃ボードの厚さが0.2mm未満であると、不燃ボードが薄過ぎて低熱伝導率による熱遮断効果が充分に得られない可能性があるとともに、不燃ボードが割れ易くなるため積層のための施工がし難くなり、一方、不燃ボードの厚さが3mmを超えると、不燃ボードが厚過ぎて、不燃複合板が重くなってしまう。したがって、不燃ボードの厚さは、0.2mm〜3mmの範囲内であることが好ましい。
更に、不燃ボードの厚さが1mm以上であれば、低熱伝導率による熱遮断効果がより確実に得られるとともに、不燃ボードの強度も充分に確保することができる。したがって、不燃ボードの厚さは、1mm〜3mmの範囲内であることが、より好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項6の発明に係る不燃複合板においては、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが2mm〜18mmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが2mm〜18mmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが2mm未満であると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として強度が不足する場合があり、一方、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが18mmを超えると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として重量が大きくなり過ぎて施工等がし難くなる恐れがある。したがって、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さは、2mm〜18mmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、木質ボードの表面に積層することによって、建材等として使用することが用意であって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項7の発明に係る不燃複合板においては、板状のフォーム材の厚さが10mm〜60mmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、板状のフォーム材の厚さが10mm〜60mmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、板状のフォーム材の厚さが10mm未満であると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として強度が不足する場合があり、一方、板状のフォーム材の厚さが60mmを超えると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として重量が大きくなり過ぎて施工等がし難くなる恐れがある。したがって、板状のフォーム材の厚さは、10mm〜60mmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔と、更には中性紙とを、板状のフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項8の発明に係る不燃複合板は、含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第1層と、金属箔からなる第2層と、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第3層とを具備する。
ここで、「含水ケイ酸マグネシウム化合物」としては、天然鉱物であるセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)、アタパルジャイト(含水ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、タルク(滑石、含水ケイ酸マグネシウム)等があり、またこれらの含水ケイ酸マグネシウム化合物の合成物をも含む。また、「バインダー」とは、有機系バインダー、無機系バインダー、これらの混合物、及び有機無機複合バインダーを含む。更に、「金属箔」としては、アルミ箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔、金箔、銀箔、白金箔、銅箔、真鍮箔、錫箔、ニッケル箔等、種々の金属の箔を用いることができる。
また、「リグノセルロースまたはこれを含む材料」とは、樹木・間伐材・木片チップ等の木質材料や草木の破片等を意味するものであり、「リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板」としては、天然の樹木から切り出した木板を始めとして、ベニヤ板等の構造用合板、ハードボード、MDF(中密度ファイバーボード)、インシュレーションボード、パーティクルボード、等がある。更に、「板状のフォーム材」としては、ウレタンフォーム、フェノールフォーム、発泡スチロール、等がある。
本発明者らは、鋭意実験研究の結果、不燃ボードとして含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有するものが、より不燃性及び防炎性に優れており、不燃材料の条件を満たすことを見出した。すなわち、上記組成からなる不燃ボードは、不燃材料の発熱性試験において20分の加熱により600℃近くになっても、総発熱量は僅かに0.8MJ(総発熱量の合格値は8.0MJ以下)であり、しかも僅か0.25mmの厚さで亀裂もなく形状を保持し、不燃材料として合格した。
しかし、かかる不燃ボードのみを、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材の表面に接着しただけでは、不燃ボードがガス透過性を有するため、不燃ボード側から火炎を当てた場合に、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材から加熱によって発生した可燃性ガスが、不燃ボードを透過して燃焼するため、不燃材料の発熱性試験に合格することができない。
そこで、本発明者らは、不燃ボードと、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材との間に、金属箔の層を設けることによって、可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れた金属箔の層で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボードによって、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材への熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えることによって、不燃材料の発熱性試験に合格することができる複合板を作製することに思い至った。
こうして得られた本発明に係る不燃複合板は、不燃材料の発熱性試験において総発熱量は8.0MJ以下であり、最高発熱速度が連続して200kW/m2 を超過した時間も10秒未満であって、不燃材料の発熱性試験に合格した。
このようにして、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項9の発明に係る不燃複合板においては、不燃ボードの厚さが0.2mm〜3mmの範囲内、より好ましくは1mm〜3mmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、不燃ボードの厚さが0.2mm〜3mmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、不燃ボードの厚さが0.2mm未満であると、不燃ボードが薄過ぎて低熱伝導率による熱遮断効果が充分に得られない可能性があるとともに、不燃ボードが割れ易くなるため積層のための施工がし難くなり、一方、不燃ボードの厚さが3mmを超えると、不燃ボードが厚過ぎて、不燃複合板が重くなってしまう。したがって、不燃ボードの厚さは、0.2mm〜3mmの範囲内であることが好ましい。
更に、不燃ボードの厚さが1mm以上であれば、低熱伝導率による熱遮断効果がより確実に得られるとともに、不燃ボードの強度も充分に確保することができる。したがって、不燃ボードの厚さは、1mm〜3mmの範囲内であることが、より好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項10の発明に係る不燃複合板においては、金属箔の厚さが12μm〜30μmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、金属箔の厚さが12μm〜30μmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、金属箔の厚さが12μm未満であると、金属箔が薄過ぎてガス圧で亀裂が入るのを抑えることができない場合があるとともに、破れ易くなるため積層するための施工が困難になり、一方、金属箔の厚さが30μmを超えると、金属箔が厚過ぎて柔軟性を失い、積層するための施工が困難になるとともに、金属箔が高価になって不燃複合板のコストが高くなり、かつ重くなってしまう。したがって、金属箔の厚さは、12μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項11の発明に係る不燃複合板においては、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造される基板の厚さが2mm〜18mmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが2mm〜18mmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが2mm未満であると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として強度が不足する場合があり、一方、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さが18mmを超えると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として重量が大きくなり過ぎて施工等がし難くなる恐れがある。したがって、リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さは、2mm〜18mmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、木質ボードの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項12の発明に係る不燃複合板においては、板状のフォーム材の厚さが10mm〜60mmの範囲内である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、板状のフォーム材の厚さが10mm〜60mmの範囲内である場合に、より確実に不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板が得られることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
すなわち、板状のフォーム材の厚さが10mm未満であると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として強度が不足する場合があり、一方、板状のフォーム材の厚さが60mmを超えると、建材等として使用する場合に不燃複合板全体として重量が大きくなり過ぎて施工等がし難くなる恐れがある。したがって、板状のフォーム材の厚さは、10mm〜60mmの範囲内であることが好ましい。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、板状のフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項13の発明に係る不燃複合板においては、金属箔がアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔のいずれかである。これらのアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔のうち、アルミニウム箔、鋼板箔は汎用品であり入手が容易で、またアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔はいずれも錆び難いため、建材として用いた場合により水分に強い不燃複合板となる。そして、鋼板箔としては、100μm(0.1mm)以下の薄いものを用いることによって、カッターナイフでも切断することができ、施工性に優れたものとなる。
このようにして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できるとともに、水分にも強い優れた不燃複合板となる。
請求項14の発明に係る不燃複合板においては、不燃ボードの材料である含水ケイ酸マグネシウム化合物の平均粒径が10μm〜25μmの範囲内、より好ましくは平均粒径が12μm〜18μmの範囲内である。なお、ここで、「平均粒径」は、ベックマンコルター社製レーザー粒度測定器LS13−320型を用いてエタノール分散で測定した値である。本発明者らは、鋭意実験研究の結果、含水ケイ酸マグネシウム化合物の平均粒径が10μm〜25μmの範囲内である場合に、不燃複合板を構成する不燃ボードがより不燃性及び防炎性に優れていることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
更に、本発明者らは、鋭意実験研究の結果、含水ケイ酸マグネシウム化合物の平均粒径が12μm〜18μmの範囲内である場合に、不燃複合板を構成する不燃ボードがより不燃性及び防炎性に優れているとともに、含水ケイ酸マグネシウム化合物を含むスラリーの粘度が適切な値となり、抄紙がよりスムーズに行えるため、より好ましいことを見出した。したがって、含水ケイ酸マグネシウム化合物の平均粒径は10μm〜25μmの範囲内であることが好ましく、12μm〜18μmの範囲内であることが、より好ましい。
このようにして、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項15の発明に係る不燃複合板においては、不燃ボードの材料である含水ケイ酸マグネシウム化合物が、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)である。セピオライトは、含水ケイ酸マグネシウム化合物の中でも、吸着性・揺変性・固結性を有し、不燃性と耐水性を兼ね備えた不燃ボードを抄造することができる無機化合物である。そこで、不燃ボードの材料である含水ケイ酸マグネシウム化合物として、セピオライトを用いることによって、より優れた不燃性と耐水性を得ることができる。
このようにして、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できる不燃複合板となる。
請求項16の発明に係る不燃複合板においては、不燃ボードの材料であるガラス繊維の長さが1mm〜3mmの範囲内であり、含有量が2重量%〜5重量%の範囲内である。
このように、配合するガラス繊維の長さを1mm〜3mmの範囲内とすることによって、不燃ボードの密度が極めて高くなり、その結果不燃ボードの表面が平滑となって、文字や模様等の印刷が容易に美しくできるようになる。また、短いガラス繊維を配合することによって、柔軟性に富んだ不燃ボードとなり、曲げても折れてしまうようなことがない。
但し、ガラス繊維の長さを3mm以下と短くした場合には、凝縮し易くなるため、含有量を5重量%以下とする必要がある。一方、含有量を2重量%未満とした場合には、ガラス繊維による補強の効果が殆ど得られなくなるため、長さが1mm〜3mmの範囲内のガラス繊維の含有量は、2重量%〜5重量%の範囲内とすることが好ましい。
このようにして、セピオライトを始めとする含水ケイ酸マグネシウム化合物の粒度と含有量、ガラス繊維の長さと含有量及びパルプの配合率を最適にして、不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボードを開発して、この不燃ボードと、金属箔とを、更には中性紙とを、木質ボードやフォーム材の表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格できるより優れた不燃性及び防炎性が得られるとともに、表面が平滑であって文字・模様等の印刷が容易であり、柔軟性があって折れ難い不燃複合板となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、実施の形態2以降において、実施の形態1の部分と同一の記号及び同一の符号は、実施の形態1と同一または相当する機能部分を意味し、実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1に係る不燃複合板について、図1乃至図17を参照して説明する。
図1(a)は本発明の実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図2(a)は比較例1に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例1に係る複合板の積層構造を示す断面図である。図3(a)は比較例2に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例2に係る複合板の積層構造を示す断面図である。
図4(a)は本発明の実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図5(a)は比較例3に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例3に係る複合板の積層構造を示す断面図である。図6(a)は比較例4に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例4に係る複合板の積層構造を示す断面図である。
図7(a)は本発明の実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図8は本発明の実施の形態1の実施例1に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図9は本発明の実施の形態1の実施例2に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図10は比較例1に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図11は比較例2に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。
図12は本発明の実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図13は比較例3に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図14は比較例4に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図15は本発明の実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。
図16は本発明の実施の形態1に係る不燃複合板を構成する不燃ボードの製造方法を示すフローチャートである。図17は本発明の実施の形態1に係る不燃複合板を構成する不燃ボードに用いられる含水ケイ酸マグネシウム化合物としてのセピオライトの粒度分布を示すグラフである。
図1(a),(b)に示されるように、本実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る不燃複合板1は、第1層の中性紙2と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔3と、第3層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード4と、第4層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのベニヤ合板5とを順次積層させて構成される。
図1(b)には示されていないが、本実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る不燃複合板1においては、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。すなわち、実施例1に係る不燃複合板1においては、第1層の中性紙2と、第2層のアルミニウム箔3と、第3層の不燃ボード4と、第4層のベニヤ合板5とが、接着剤としてのポリエチレン樹脂によって互いに接着されることによって積層されている。
なお、接着剤としてはポリエチレン樹脂に限られるものではなく、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を始めとして、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることもでき、アクリルゴム等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
また、本実施の形態1の実施例1においては、中性紙2の厚さは50μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さは1mm、そしてベニヤ合板5の厚さは5mmである。したがって、本実施の形態1の実施例1に係る不燃複合板1は、請求項1,請求項3乃至請求項6の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、本実施の形態1の実施例2においては、中性紙2の厚さは50μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さは1mm、そしてベニヤ合板5の厚さは9mmである。すなわち、実施例1と実施例2との相違点は、ベニヤ合板5の厚さが5mmか9mmかという点のみである。したがって、本実施の形態1の実施例2に係る不燃複合板1は、請求項1,請求項3乃至請求項6の発明に係る不燃複合板に該当する。
これに対して、図2(a),(b)に示されるように、比較例1に係る複合板7は、ベニヤ合板5の表面に不燃ボード4を貼り付けたものである。また、図3(a),(b)に示されるように、比較例2に係る複合板8は、ベニヤ合板5の表面に、無機フィルム剤9を塗布した不燃ボード4を貼り付けたものである。
また、図4(a),(b)に示されるように、本実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板1Aは、第1層の中性紙2と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔3と、第3層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード4と、第4層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのMDF(中密度ファイバーボード)5Aとを順次積層させて構成される。
そして、図4(b)には示されていないが、本実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板1Aにおいても、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。中性紙2の厚さは40μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さは1mm、そしてMDF5Aの厚さは9mmである。したがって、本実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板1Aは、請求項1,請求項3乃至請求項6の発明に係る不燃複合板に該当する。
これに対して、図5(a),(b)に示されるように、比較例3に係る複合板7Aは、MDF5Aの表面に不燃ボード4を貼り付けたものである。また、図6(a),(b)に示されるように、比較例4に係る複合板8Aは、MDF5Aの表面に、無機フィルム剤9を塗布した不燃ボード4を貼り付けたものである。
更に、図7(a),(b)に示されるように、本実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板1Bは、第1層の中性紙2と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔3と、第3層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード4と、第4層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのパーティクルボード5Bとを順次積層させて構成される。
そして、図7(b)には示されていないが、本実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板1Bにおいても、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。中性紙2の厚さは60μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さは1mm、そしてパーティクルボード5Bの厚さは6mmである。したがって、本実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板1Bは、請求項1乃至請求項5の発明に係る不燃複合板に該当する。
上述した本実施の形態1の実施例1乃至実施例4に係る不燃複合板1,1A,1B及び比較例1乃至比較例4に係る複合板7,7A,8,8Aについて、不燃材料の発熱性試験を実施して評価した。具体的には、木質ボードであるベニヤ合板5,MDF5A,パーティクルボード5Bの反対側の面から、輻射強度50kW/m2 で加熱して、総発熱量と発熱速度を測定した。その結果を、図8乃至図15に示す。
図8,図9,図15に示されるように、本実施の形態1の実施例1,実施例2及び実施例4に係る不燃複合板1,1Bにおいては、総発熱量は20分の加熱時間の間、ずっと2MJ/m2 を下回っており、また実施例3に係る不燃複合板1Aにおいては、総発熱量は10分まではずっと2MJ/m2 を下回っている。そして、発熱速度は、実施例1乃至実施例4に係る不燃複合板1,1A,1Bのいずれについても極めて小さい。
これに対して、図10,図11,図13,図14に示されるように、比較例1乃至比較例4に係る複合板7,7A,8,8Aにおいては、総発熱量はいずれも加熱開始後2分前後で2MJ/m2 を大きく上回っており、発熱速度についてもいずれも大きくなっている。これらの測定結果を、数値データとして表1にまとめて示す。
Figure 2009034898
表1に示されるように、本実施の形態1の実施例1,実施例2及び実施例4に係る不燃複合板1,1Bにおいては、総発熱量は試験開始後10分で1.5MJ/m2 及び1.7MJ/m2 、試験開始後20分(試験終了時点)で1.8MJ/m2 及び1.8MJ/m2 、といずれも合格値の8MJ/m2 を大きく下回っている。また、最高発熱速度が継続して200kW/m2 を超過した時間もいずれも0秒(なし)であり、合格値の10秒未満という条件を満たしている。
更に、防火上有害な変形(20分の試験終了時点において観察)についても、いずれも「なし」であり、また、着火時間も8〜16秒及び9〜21秒とごく短くなっている。この結果、本実施の形態1の実施例1,実施例2及び実施例4に係る不燃複合板1,1Bは、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
また、表1に示されるように、本実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板1Aにおいては、総発熱量は試験開始後10分では1.3MJ/m2 であるが、試験開始後20分(試験終了時点)においては16.3MJ/m2 と大きくなり、合格値の8MJ/m2 を上回ってしまう。しかし、試験開始後10分までは合格値の8MJ/m2 を大きく下回っているため、準不燃材料の基準を満たす可能性がある。
そこで、最高発熱速度が継続して200kW/m2 を超過した時間についてみると0秒(なし)であり、合格値の10秒未満という条件を満たしている。また、防火上有害な変形(20分の試験終了時点において観察)についても「なし」であり、更に、着火時間も試験開始後10分までは、8〜16秒とごく短くなっている。この結果、本実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板1Aは、準不燃材料の発熱性試験に合格し、準不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
これに対して、表1に示されるように、比較例1乃至比較例4に係る複合板7,7A,8,8Aにおいては、総発熱量は試験開始後10分で既に15.2MJ/m2 、15.5MJ/m2 、23.6MJ/m2 、18.9MJ/m2 、と合格値の8MJ/m2 を大きく上回っており、試験開始後20分(試験終了時点)においては、19.8MJ/m2 、16.4MJ/m2 、28.3MJ/m2 、20.2MJ/m2 と、いずれについても更に大きくなってしまう。
また、最高発熱速度が継続して200kW/m2 を超過した時間についても、それぞれ22秒、28秒、38秒、28秒と、いずれも合格値の10秒未満という条件を満たしておらず、防火上有害な変形についても、比較例1及び比較例2については「なし」であるが、比較例3及び比較例4については「あり(変形により点火装置にふれる)」となっている。更に、着火時間についても、それぞれ71〜167秒、72〜185秒、88〜205秒、88〜229秒と、大きな値となっている。
この結果、ベニヤ合板5またはMDF5Aの表面に不燃ボード4を貼り付けただけの比較例1及び比較例3に係る複合板7,7A、また不燃ボード4のガス透過性を抑えるために不燃ボード4の表面に無機フィルム剤9を塗布して、ベニヤ合板5またはMDF5Aの表面に貼り付けた比較例2及び比較例4に係る複合板8,8Aにおいては、不燃性も準不燃性も得られないことが明らかとなった。
ここで、本実施の形態1に係る不燃複合板1,1A,1Bを構成する不燃ボード4の製造方法について、図16を参照して説明する。図16に示されるように、ステップS10の解繊工程においては、主原料であるセピオライト等の含水ケイ酸マグネシウム化合物と、補強材としてのガラス繊維・パルプとを解繊機に入れて、攪拌によって微細繊維の塊からなるセピオライト等を十分に解繊して、その分散性を良くするとともに、ガラス繊維・パルプと均質に混合する。
次に、ステップS11の原料混合工程においては、解繊されガラス繊維・パルプと混合されたセピオライト等の含水ケイ酸マグネシウム化合物をバインダー・軟化剤・安定剤等とともに混合タンクに入れ、水と混合してスラリーを作製する。ここで、バインダーとしては、紙力増強用の分子量80万〜100万のポリアクリルアミドを使用した。作製されたスラリーは、紙料化処理工程(ステップS12)において、紙料集束化反応装置によって集束化処理される。この紙料化処理工程によって、粗大化されたフロックが形成され、抄造性が向上したスラリーが形成される。
紙料化処理工程(ステップS12)で紙料化調製されたスラリーは、ストックタンクに送出され、沈降分離や調製紙料の崩壊等が生じないように、混合状態が常に均一化されるように維持する蓄積工程に入る(ステップS13)。蓄積工程においてストックタンクに蓄積されたスラリーは、定量ホッパーにポンプアップされ、定量ホッパーで計量されたスラリーは次いで抄造工程に入る(ステップS14)。
この抄造工程(ステップS14)において、セピオライト等の含水ケイ酸マグネシウム化合物を主材として含み、粗大化した良好なフロックが形成されたスラリーは、連続抄紙機等によって抄造される。本実施の形態1においては、丸網式抄紙機を用いて抄造した。このとき、スラリー濃度は0.5%〜1.0%であり、抄紙機には60〜80メッシュの抄紙網を使用した。凝集フロックが形成されたスラリーを抄紙網に流し込むと、その凝集フロックを通して水が速やかに抄紙網から流れ落ちて、紙層が形成される。
その後、この紙層を乾燥工程(ステップS15)においてプレスを掛けて脱水し、脱水された湿紙を例えばスチーム回転ドライヤーによって、約120℃の温度で所定時間乾燥する。この加熱乾燥によって、紙層の内部の水分が蒸発して、バインダーの凝縮と硬化が促進されて乾燥固化される。乾燥された不燃ボードは、スチーム回転ドライヤーのドライヤー面から剥離されて、巻取紙に形成される。以上のステップS10〜ステップS15の工程によって、厚さが0.2mm〜3mmの不燃ボード4が完成する。
次に、本実施の形態1の実施例1,2,3,4に係る不燃複合板1,1A,1Bを構成する不燃ボード4の原料配合について説明する。本実施の形態1の実施例に係る不燃ボード4は、含水ケイ酸マグネシウム化合物としてセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム、「マウンテンレザー(山皮)」、「マウンテンウッド」とも呼ばれる。)のみを用いたものである。実施例に係る不燃ボード4の原料配合を、表2に示す。
Figure 2009034898
表2に示されるように、実施例に係る不燃ボード4は、主成分としての含水ケイ酸マグネシウム化合物としてセピオライトを80.0重量%含有している。ここで、セピオライトとしては水澤化学工業(株)のセピオライトを使用した。また、ガラス繊維(長さが1mm〜3mm)を5.0重量%、パルプを10.0重量%、バインダー類を5.0重量%含有している。
また、バインダー類としては、紙力増強剤として、セピオライトとの相性が良い昭和高分子化学工業(株)製の湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤とを合わせて使用し、無機バインダーとして王子製紙(株)製の硫酸アルミニウムを使用している。更に、高分子凝集剤を使用している。
このように、含水ケイ酸マグネシウム化合物としてのセピオライト75重量%〜85重量%、パルプ7重量%〜12重量%、長さが1mm〜3mmのガラス繊維2重量%〜5重量%、及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードとすることによって、耐熱性・不燃性が一段と向上し、実施例に係る不燃ボード4も、不燃性かつ防炎性で、ガスバーナーの炎にかざしても僅かな発煙を発生して黒色化するだけで、炎が貫通することなく形状を維持するものであり、防炎1級の認定を受けている。
また、実施例に係る不燃ボード4は、不燃材料の発熱性試験において20分の加熱により600℃近くになっても、発熱量は僅かに0.8MJであり、しかも僅か0.25mmの厚さで亀裂もなく形状を保持し、不燃材料として合格しており、極めて優れた不燃性を有している。更に、実施例に係る不燃ボード4においては、後述する変形例に係る不燃ボードと異なり、長さが1mm〜3mmのガラス繊維を用いていることによって、内部組織が密になり、その結果表面が平滑になるという作用効果が得られる。
次に、変形例に係る不燃ボードの原料配合について説明する。変形例に係る不燃ボードにおいても、含水ケイ酸マグネシウム化合物としてセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)を用いている。但し、ガラス繊維の長さが平均6mmと長いものを用いている点が異なっている。変形例に係る不燃ボードの原料配合を、表3に示す。
Figure 2009034898
表3に示されるように、変形例に係る不燃ボードは、主成分としてセピオライトを77.0重量%含有し、ガラス繊維(平均長さ6mm)を10.0重量%、パルプを8.0重量%、バインダー類を5.0重量%含有している。ここで、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)としては、水澤化学工業(株)のセピオライトを使用した。
また、バインダー類としては、紙力増強剤として、セピオライトとの相性が良い昭和高分子化学工業(株)製の湿潤紙力増強剤と乾燥紙力増強剤とを合わせて使用し、無機バインダーとして王子製紙(株)製の硫酸アルミニウムを使用している。更に、高分子凝集剤を使用している。
このように、含水ケイ酸マグネシウム化合物としてのセピオライト75重量%〜85重量%、パルプ7重量%〜12重量%、ガラス繊維2重量%〜10重量%、及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードとすることによって、耐熱性・不燃性が一段と向上し、変形例に係る不燃ボードも、不燃性かつ防炎性で、ガスバーナーの炎にかざしても僅かな発煙を発生して黒色化するだけで、炎が貫通することなく形状を維持するものであり、防炎1級の認定を受けている。
更に、変形例に係る不燃ボードも、不燃材料の発熱性試験において20分の加熱により600℃近くになっても、発熱量は僅かに0.8MJであり、しかも僅か0.25mmの厚さで亀裂もなく形状を保持し、不燃材料として合格しており、極めて優れた不燃性を有している。
以上説明したように、本実施の形態1の不燃複合板1,1A,1Bに用いられる実施例に係る配合においては、厚さ約0.25mmの少なくとも片面が平滑な不燃ボード4が得られるが、変形例に係る配合においては、同じ条件で加圧乾燥を行っているにも関わらず、両面とも表面に細かい凹凸が形成されて平滑な面が得られない。
変形例に係る不燃ボードにおいては、平均長さ6mmのガラス繊維を用いているため、長いガラス繊維が嵩張って、セピオライトやパルプの充填密度も疎となり、この結果、不燃ボードの表面に細かい凹凸が一面に形成されて、平滑でないため、文字・模様等の印刷がし難いという問題点があった。
これに対して、本実施の形態1の実施例に係る不燃ボード4においては、最大長さ3mm(1mm〜3mmの範囲内)のガラス繊維を用いているため、ガラス繊維もセピオライトやパルプも密に充填されて、その結果不燃ボード4の表面が平滑となり、文字・模様等の印刷が容易に美しくできるという作用効果が得られる。
しかしながら、変形例に係る不燃ボードも、表面の平滑性においては劣るものの、実施例に係る不燃ボード4と同等の極めて優れた不燃性を有しているため、本実施の形態1の不燃複合板1,1A,1Bにおいて、実施例に係る不燃ボード4の代わりに変形例に係る不燃ボードを用いても、同等の不燃性を有する不燃複合板を得ることができるものと考えられる。
次に、本実施の形態1の実施例及び変形例に係る不燃ボードに用いられるセピオライトの粒度分布について、図17を参照して説明する。図17は実施例及び変形例に係る不燃ボードに用いられるセピオライトの粒度分布をベックマンコルター社製レーザー粒度測定器LS13−320型を用いてエタノール分散で測定した結果を示すものである。
図17に示されるように、実施例及び変形例に係る不燃ボードに用いられるセピオライトは、いずれも美しい正規分布曲線を描く粒度分布を有しており、実施例に係るセピオライトの平均粒径は12.0μmであり、変形例に係るセピオライトの平均粒径は17.2μmである。これらのセピオライトを含むスラリーの粘度は適切な値となり、図16のステップS14に示される抄造工程をよりスムーズに行うことができる。したがって、セピオライトの平均粒径は、12μm〜18μmの範囲内であることが、より好ましい。
また、セピオライトの平均粒径が10μm〜25μmの範囲内である場合に、不燃ボードがより不燃性及び防炎性に優れたものとなることが分かった。したがって、セピオライトの平均粒径は10μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態1の実施例1,2,3,4に係る不燃複合板1,1A,1Bにおいては、不燃ボード4の表面にアルミニウム箔3の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔3で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード4によって、ベニヤ合板5,MDF5A,パーティクルボード5Bへの熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えられる。
但し、表面にアルミニウム箔3の層を設けただけでは、アルミニウム箔3が薄い場合には、可燃性ガスが発生した際にガス圧で亀裂が入って可燃性ガスが漏れる可能性があるとともに、化粧板等の建材として用いる場合にアルミニウム箔3の表面では表面に化粧を施すことが困難である。そこで、アルミニウム箔3の層の表面に、更に中性紙2の層を設けることによって、アルミニウム箔3が薄くてもガス圧で亀裂が入って可燃性ガスが漏れるのを確実に防止するとともに、化粧板等の建材として用いる場合に容易に表面に化粧を施すことができるようにした。
このようにして、本実施の形態1の実施例1,2,3,4に係る不燃複合板1,1A,1Bにおいては、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボード4と、金属箔としてのアルミニウム箔3と、中性紙2とを、木質ボード5,5A,5Bの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格する優れた不燃性を有するものとなる。
なお、本実施の形態1においては、金属箔として厚さ20μmのアルミニウム箔3を用いているが、アルミニウム箔3単体では扱い難いため、厚さ12μmのアルミニウム箔と厚さ12μmの薄洋紙を貼り合わせたものを用いても良い。
更に、本実施の形態1に固有の効果として、基材(第4層)として木質ボード5,5A,5Bを使用しているために、建材を扱う大多数の木材加工業者にとって、非常に扱い易いという作用効果が得られる。従来の不燃材は、石膏ボード・ケイカル板・火山性ガラス質板・無石綿セメント板・水酸化アルミニウム板、等であって、いずれも重くて欠け易く、切断には特殊な工具を使用する必要があった。これに対して、本実施の形態1の実施例1,2,3,4に係る不燃複合板1,1A,1Bにおいては、木材と同様に切断・釘打ち等の加工を行うことができ、汎用性に優れている。
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2に係る不燃複合板について、図18乃至図23を参照して説明する。
図18(a)は本発明の実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図19(a)は本発明の実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図20(a)は本発明の実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。
図21は本発明の実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図22は本発明の実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。図23は本発明の実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。
図18(a),(b)に示されるように、本実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板11は、第1層の中性紙2と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔3と、第3層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード4と、第4層の板状のフォーム材としてのスチレンフォーム板15とを順次積層させて構成される。
図18(b)には示されていないが、本実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板11においては、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。中性紙2の厚さは50μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さは1mm、そしてスチレンフォーム板15の厚さは40mmである。したがって、本実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板11は、請求項1,請求項3乃至請求項5及び請求項7の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、図19(a),(b)に示されるように、本実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板11Aは、第1層の中性紙2と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔3と、第3層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード4と、第4層の板状のフォーム材としての発泡スチロール板15Aとを順次積層させて構成される。
そして、図19(b)には示されていないが、本実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板11Aにおいては、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。中性紙2の厚さは50μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さは2mm、そして発泡スチロール板15Aの厚さは50mmである。したがって、本実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板11Aは、請求項1,請求項3乃至請求項5及び請求項7の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、図20(a),(b)に示されるように、本実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板11Bは、第1層の中性紙2と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔3と、第3層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード4と、第4層の板状のフォーム材としてのスチレンフォーム板15Bと、更にスチレンフォーム板15Bの裏側にも不燃ボード4を、順次積層させて構成される。
そして、図20(b)には示されていないが、本実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板11Bにおいては、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。中性紙2の厚さは50μm、アルミニウム箔3の厚さは20μm、不燃ボード4の厚さはいずれも2mm、そしてスチレンフォーム板15Bの厚さは60mmである。したがって、本実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板11Aは、請求項1,請求項3乃至請求項5及び請求項7の発明に係る不燃複合板に該当する。
これらの本実施の形態2のうち、実施例5及び実施例6に係る不燃複合板11,11Aについて、不燃材料の発熱性試験を実施して評価した。具体的には、板状のフォーム材であるスチレンフォーム板15,発泡スチロール板15Aの反対側の面から、輻射強度50kW/m2 で加熱して、総発熱量と発熱速度を測定した。その結果を、図21及び図22に示す。
図21,図22に示されるように、本実施の形態2の実施例5及び実施例6に係る不燃複合板11,11Aにおいては、総発熱量は20分の加熱時間の間、ずっと8MJ/m2 をはるかに下回っている。そして、発熱速度は、実施例5及び実施例6に係る不燃複合板11,11Aのいずれについても極めて小さい。これらの測定結果を、数値データとして表4にまとめて示す。
Figure 2009034898
表4に示されるように、本実施の形態2の実施例5及び実施例6に係る不燃複合板11,11Aにおいては、総発熱量は試験開始後10分で2.3MJ/m2 及び1.8MJ/m2 、試験開始後20分(試験終了時点)で3.9MJ/m2 及び2.5MJ/m2 、といずれも合格値の8MJ/m2 を大きく下回っている。また、最高発熱速度が継続して200kW/m2 を超過した時間もいずれも0秒(なし)であり、合格値の10秒未満という条件を満たしている。
更に、着火時間も7〜13秒及び5〜13秒とごく短くなっている。この結果、本実施の形態2の実施例5及び実施例6に係る不燃複合板11,11Aは、数値的には、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。但し、防火上有害な変形(20分の試験終了時点において観察)については、いずれも「あり」という結果が出ている。
この点については、スチレンフォーム板15,発泡スチロール板15Aの表面だけでなく裏面側にも不燃ボード4を貼ることによって、解決することができる。すなわち、スチレンフォーム板15,発泡スチロール板15Aのような熱可塑性の板状のフォーム材は、発熱性試験の加熱によって溶けてしまい、これが「防火上有害な変形」と見做されるが、板状のフォーム材の両面に不燃ボード4を貼ることによって、フォーム材の変形を防ぐことができる。
これを具現化したのが、上記図20に示される本実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板11Bである。すなわち、図20(a),(b)に示されるように、本実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板11Bにおいては、板状のフォーム材としてのスチレンフォーム板15Bの裏側にも、不燃ボード4を接着している。したがって、板状のフォーム材としてのスチレンフォーム板15Bの両面に不燃ボード4が貼られていることによって、フォーム材の変形を防ぐことができる。
この結果、図23及び表4に示されるように、本実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板11Bにおいては、総発熱量は試験開始後20分(試験終了時点)で1.9MJ/m2 と、合格値の8MJ/m2 を大きく下回っている。また、最高発熱速度が継続して200kW/m2 を超過した時間も0秒(なし)であり、合格値の10秒未満という条件を満たしている。更に、着火時間も7〜13秒及び6〜13秒とごく短くなっている。そして、防火上有害な変形についても、「なし」という結果が得られている。
この結果、本実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板11Bは、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
このように、本実施の形態2の実施例5,6,7に係る不燃複合板11,11A,11Bにおいては、不燃ボード4の表面にアルミニウム箔3の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔3で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード4によって、スチレンフォーム15,発泡スチロール15Aへの熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えられる。
但し、表面にアルミニウム箔3の層を設けただけでは、アルミニウム箔3が薄い場合には、可燃性ガスが発生した際にガス圧で亀裂が入って可燃性ガスが漏れる可能性があるとともに、建材等として用いる場合にアルミニウム箔3の表面では装飾を施すことが困難である。そこで、アルミニウム箔3の層の表面に、更に中性紙2の層を設けることによって、アルミニウム箔3が薄くてもガス圧で亀裂が入って可燃性ガスが漏れるのを確実に防止するとともに、建材等として用いる場合に容易に装飾を施すことができるようにした。
このようにして、本実施の形態2の実施例5,6,7に係る不燃複合板11,11A,11Bにおいては、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボード4と、金属箔としてのアルミニウム箔3と、中性紙2とを、板状のフォーム材15,15A,15Bの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格する優れた不燃性を有するものとなる。
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3に係る不燃複合板について、図24及び図25を参照して説明する。
図24(a)は本発明の実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図25(a)は本発明の実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。
図24(a),(b)に示されるように、本実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板21は、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード22と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔23と、第3層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのベニヤ合板24とを順次積層させて構成される。
図24(b)には示されていないが、本実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板21においては、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。不燃ボード22の厚さは3mm、アルミニウム箔23の厚さは20μm、そしてベニヤ合板24の厚さは6mmである。したがって、本実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板21は、請求項8乃至請求項11及び請求項13の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、図25(a),(b)に示されるように、本実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板21Aは、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード22と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔23と、第3層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのパーティクルボード24Aとを順次積層させて構成される。
そして、図25(b)には示されていないが、本実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板21Aにおいては、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。不燃ボード22の厚さは3mm、アルミニウム箔23の厚さは20μm、そしてパーティクルボード24Aの厚さは9mmである。したがって、本実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板21Aは、請求項8乃至請求項11及び請求項13の発明に係る不燃複合板に該当する。
なお、本実施の形態3の実施例8,9に係る不燃複合板21,21Aにおいては、不燃ボード22として、上記実施の形態1で説明した二種類の配合に係る不燃ボードのうち、実施例の配合(表2)に係る不燃ボードを使用した。
上記実施の形態1で説明したように、二種類の配合に係る不燃ボードは、実施例の配合(表2)に係るものも変形例の配合(表3)に係るものも、不燃性については同等の性能を有しているが、変形例の配合に係る不燃ボードは表面に凹凸が生じるのに対して、実施例の配合に係る不燃ボードは表面のうち少なくとも片面が平滑である。
したがって、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る不燃複合板の場合には、表層(第1層)として中性紙を用いており、不燃ボードは第3層として用いられるため、必ずしも表面の平滑性を必要とせず、二種類の配合に係る不燃ボードのいずれを用いても大差はないが、本実施の形態3の実施例8,9に係る不燃複合板21,21Aにおいては、表層(第1層)として不燃ボード22を用いるため、実施例の配合に係る不燃ボードの平滑な面を表面として用いるのが好ましい。
これらの本実施の形態3の実施例8及び実施例9に係る不燃複合板21,21Aについて、不燃材料の発熱性試験を実施して評価した。具体的には、木質ボードであるベニヤ合板24,パーティクルボード24Aの反対側の面から、輻射強度50kW/m2 で加熱して、総発熱量と発熱速度を測定した。その結果、本実施の形態3の実施例8及び実施例9に係る不燃複合板21,21Aにおいては、総発熱量は20分の加熱時間の間、ずっと8MJ/m2 をはるかに下回っている。そして、発熱速度は、実施例8及び実施例9に係る不燃複合板21,21Aのいずれについても極めて小さい。
この結果、本実施の形態3の実施例8及び実施例9に係る不燃複合板21,21Aは、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
このように、本実施の形態3の実施例8,9に係る不燃複合板21,21Aにおいては、不燃ボード22の下面にアルミニウム箔23の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔23で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード22によって、ベニヤ合板24,パーティクルボード24Aへの熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えることができる。
このようにして、本実施の形態3の実施例8,9に係る不燃複合板21,21Aにおいては、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボード22と、金属箔としてのアルミニウム箔23とを、木質ボード24,24Aの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格する優れた不燃性を有するものとなる。
実施の形態4
次に、本発明の実施の形態4に係る不燃複合板について、図26及び図27を参照して説明する。
図26(a)は本発明の実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図27(a)は本発明の実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。
図26(a),(b)に示されるように、本実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板26は、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード22と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔23と、第3層の板状のフォーム材としてのスチレンフォーム板29とを順次積層させて構成される。
図26(b)には示されていないが、本実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板26においては、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。不燃ボード22の厚さは3mm、アルミニウム箔23の厚さは20μm、そしてスチレンフォーム板29の厚さは40mmである。したがって、本実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板26は、請求項8乃至請求項10及び請求項12,13の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、図27(a),(b)に示されるように、本実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板26Aは、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード22と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔23と、第3層の板状のフォーム材としての発泡スチロール板29Aとを順次積層させて構成される。
そして、図27(b)には示されていないが、本実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板26Aにおいては、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。不燃ボード22の厚さは3mm、アルミニウム箔23の厚さは20μm、そして発泡スチロール板29Aの厚さは50mmである。したがって、本実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板26Aは、請求項8乃至請求項10及び請求項12,13の発明に係る不燃複合板に該当する。
なお、本実施の形態4の実施例10,11に係る不燃複合板26,26Aにおいては、不燃ボード22として、上記実施の形態1で説明した二種類の配合に係る不燃ボードのうち、実施例の配合(表2)に係る不燃ボードを使用した。
上記実施の形態1で説明したように、二種類の配合に係る不燃ボードは、実施例の配合(表2)に係るものも変形例の配合(表3)に係るものも、不燃性については同等の性能を有しているが、変形例の配合に係る不燃ボードは表面に凹凸が生じるのに対して、実施例の配合に係る不燃ボードは表面のうち少なくとも片面が平滑である。
したがって、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る不燃複合板の場合には、表層(第1層)として中性紙を用いており、不燃ボードは第3層として用いられるため、必ずしも表面の平滑性を必要とせず、二種類の配合に係る不燃ボードのいずれを用いても大差はないが、本実施の形態4の実施例10,11に係る不燃複合板26,26Aにおいては、表層(第1層)として不燃ボード22を用いるため、実施例の配合に係る不燃ボードの平滑な面を表面として用いるのが好ましい。
これらの本実施の形態4の実施例10及び実施例11に係る不燃複合板26,26Aについて、不燃材料の発熱性試験を実施して評価した。具体的には、板状のフォーム材であるスチレンフォーム板29,発泡スチロール板29Aの反対側の面から、輻射強度50kW/m2 で加熱して、総発熱量と発熱速度を測定した。その結果、本実施の形態4の実施例10及び実施例11に係る不燃複合板26,26Aにおいては、総発熱量は20分の加熱時間の間、ずっと8MJ/m2 をはるかに下回っている。そして、発熱速度は、実施例10及び実施例11に係る不燃複合板26,26Aのいずれについても極めて小さい。
この結果、本実施の形態4の実施例10及び実施例11に係る不燃複合板26,26Aは、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
このように、本実施の形態4の実施例10,11に係る不燃複合板26,26Aにおいては、不燃ボード22の下面にアルミニウム箔23の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔23で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード22によって、スチレンフォーム29,発泡スチロール29Aへの熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えることができる。
このようにして、本実施の形態4の実施例10,11に係る不燃複合板26,26Aにおいては、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボード22と、金属箔としてのアルミニウム箔23とを、板状のフォーム材29,29Aの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格する優れた不燃性を有するものとなる。
実施の形態5
次に、本発明の実施の形態5に係る不燃複合板について、図28及び図29を参照して説明する。
図28(a)は本発明の実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図29(a)は本発明の実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。
図28(a),(b)に示されるように、本実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板31は、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード32と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのベニヤ合板35とを順次積層させて構成される。
図28(b)には示されていないが、本実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板31においては、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。すなわち、実施例12に係る不燃複合板31においては、第1層の不燃ボード32と、第2層のアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層のベニヤ合板35とが、接着剤としてのポリエチレン樹脂によって互いに接着されることによって積層されている。
なお、接着剤としてはポリエチレン樹脂に限られるものではなく、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を始めとして、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることもでき、アクリルゴム等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
また、不燃ボード32の厚さは1mm、アルミニウム箔33の厚さは20μm、中性紙34の厚さは50μm、そしてベニヤ合板35の厚さは5mmである。したがって、本実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板31は、請求項2乃至請求項6の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、図29(a),(b)に示されるように、本実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板31Aは、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード32と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層のリグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板としてのパーティクルボード35Aとを順次積層させて構成される。
図29(b)には示されていないが、本実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板31Aにおいても、各層の間に接着剤としてのポリエチレン樹脂が塗布されている。すなわち、実施例13に係る不燃複合板31Aにおいては、第1層の不燃ボード32と、第2層のアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層のパーティクルボード35Aとが、接着剤としてのポリエチレン樹脂によって互いに接着されることによって積層されている。
また、不燃ボード32の厚さは1mm、アルミニウム箔33の厚さは20μm、中性紙34の厚さは50μm、そしてパーティクルボード35Aの厚さは9mmである。したがって、本実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板31Aは、請求項2乃至請求項6の発明に係る不燃複合板に該当する。
なお、本実施の形態5の実施例12,13に係る不燃複合板31,31Aにおいては、不燃ボード32として、上記実施の形態1で説明した二種類の配合に係る不燃ボードのうち、実施例の配合(表2)に係る不燃ボードを使用した。
上記実施の形態1で説明したように、二種類の配合に係る不燃ボードは、実施例の配合(表2)に係るものも変形例の配合(表3)に係るものも、不燃性については同等の性能を有しているが、変形例の配合に係る不燃ボードは表面に凹凸が生じるのに対して、実施例の配合に係る不燃ボードは表面のうち少なくとも片面が平滑である。
したがって、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る不燃複合板の場合には、表層(第1層)として中性紙を用いており、不燃ボードは第3層として用いられるため、必ずしも表面の平滑性を必要とせず、二種類の配合に係る不燃ボードのいずれを用いても大差はないが、本実施の形態5の実施例12,13に係る不燃複合板31,31Aにおいては、表層(第1層)として不燃ボード32を用いるため、実施例の配合に係る不燃ボードの平滑な面を表面として用いるのが好ましい。
これらの本実施の形態5の実施例12及び実施例13に係る不燃複合板31,31Aについて、不燃材料の発熱性試験を実施して評価した。具体的には、木質ボードであるベニヤ合板35,パーティクルボード35Aの反対側の面から、輻射強度50kW/m2 で加熱して、総発熱量と発熱速度を測定した。その結果、本実施の形態5の実施例12及び実施例13に係る不燃複合板31,31Aにおいては、総発熱量は20分の加熱時間の間、ずっと8MJ/m2 をはるかに下回っていた。そして、発熱速度は、実施例12及び実施例13に係る不燃複合板31,31Aのいずれについても極めて小さかった。
この結果、本実施の形態5の実施例12及び実施例13に係る不燃複合板31,31Aは、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
このように、本実施の形態5の実施例12,13に係る不燃複合板31,31Aにおいては、不燃ボード32の下層にアルミニウム箔33の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔33で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード32によって、ベニヤ合板35,パーティクルボード35Aへの熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えられる。
このようにして、本実施の形態5の実施例12,13に係る不燃複合板31,31Aにおいては、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボード32と、金属箔としてのアルミニウム箔33と、中性紙34とを、木質ボード35,35Aの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格する優れた不燃性を有するものとなる。
なお、本実施の形態5においては、金属箔として厚さ20μmのアルミニウム箔33を用いているが、アルミニウム箔33単体では扱い難いため、厚さ12μmのアルミニウム箔と厚さ12μmの薄洋紙を貼り合わせたものを用いても良い。
更に、本実施の形態5に固有の効果として、基材(第4層)として木質ボード35,35Aを使用しているために、建材を扱う大多数の木材加工業者にとって、非常に扱い易いという作用効果が得られる。従来の不燃材は、石膏ボード・ケイカル板・火山性ガラス質板・無石綿セメント板・水酸化アルミニウム板、等であって、いずれも重くて欠け易く、切断には特殊な工具を使用する必要があった。これに対して、本実施の形態5の実施例12,11に係る不燃複合板31,31Aにおいては、木材と同様に切断・釘打ち等の加工を行うことができ、汎用性に優れている。
実施の形態6
次に、本発明の実施の形態6に係る不燃複合板について、図30及び図31を参照して説明する。
図30(a)は本発明の実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。図31(a)は本発明の実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。
図30(a),(b)に示されるように、本実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板36は、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード32と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層の板状のフォーム材としてのスチレンフォーム板39とを順次積層させて構成される。
図30(b)には示されていないが、本実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板36においては、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。すなわち、実施例14に係る不燃複合板36においては、第1層の不燃ボード32と、第2層のアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層のスチレンフォーム板39とが、接着剤としてのエポキシ樹脂によって互いに接着されることによって積層されている。
なお、接着剤としてはエポキシ樹脂に限られるものではなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を始めとして、フェノール樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることもでき、アクリルゴム等の熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
また、不燃ボード32の厚さは3mm、アルミニウム箔33の厚さは20μm、中性紙34の厚さは50μm、そしてスチレンフォーム板39の厚さは40mmである。したがって、本実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板36は、請求項2乃至請求項5及び請求項7の発明に係る不燃複合板に該当する。
また、図31(a),(b)に示されるように、本実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板36Aは、第1層の含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボード32と、第2層の金属箔としてのアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層の板状のフォーム材としての発泡スチロール39Aとを順次積層させて構成される。
図31(b)には示されていないが、本実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板36Aにおいても、各層の間に接着剤としてのエポキシ樹脂が塗布されている。すなわち、実施例15に係る不燃複合板36Aにおいては、第1層の不燃ボード32と、第2層のアルミニウム箔33と、第3層の中性紙34と、第4層の発泡スチロール39Aとが、接着剤としてのエポキシ樹脂によって互いに接着されることによって積層されている。
また、不燃ボード32の厚さは3mm、アルミニウム箔33の厚さは20μm、中性紙34の厚さは50μm、そして発泡スチロール39Aの厚さは60mmである。したがって、本実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板36Aは、請求項2乃至請求項5及び請求項7の発明に係る不燃複合板に該当する。
なお、本実施の形態6の実施例14,15に係る不燃複合板36,36Aにおいては、不燃ボード32として、上記実施の形態1で説明した二種類の配合に係る不燃ボードのうち、実施例の配合(表2)に係る不燃ボードを使用した。
上記実施の形態1で説明したように、二種類の配合に係る不燃ボードは、実施例の配合(表2)に係るものも変形例の配合(表3)に係るものも、不燃性については同等の性能を有しているが、変形例の配合に係る不燃ボードは表面に凹凸が生じるのに対して、実施例の配合に係る不燃ボードは表面のうち少なくとも片面が平滑である。
したがって、上記実施の形態1及び実施の形態2に係る不燃複合板の場合には、表層(第1層)として中性紙を用いており、不燃ボードは第3層として用いられるため、必ずしも表面の平滑性を必要とせず、二種類の配合に係る不燃ボードのいずれを用いても大差はないが、本実施の形態6の実施例14,15に係る不燃複合板36,36Aにおいては、表層(第1層)として不燃ボード32を用いるため、実施例の配合に係る不燃ボードの平滑な面を表面として用いるのが好ましい。
これらの本実施の形態6の実施例14及び実施例15に係る不燃複合板36,36Aについて、不燃材料の発熱性試験を実施して評価した。具体的には、板状のフォーム材であるスチレンフォーム39,発泡スチロール39Aの反対側の面から、輻射強度50kW/m2 で加熱して、総発熱量と発熱速度を測定した。その結果、本実施の形態6の実施例14及び実施例15に係る不燃複合板36,36Aにおいては、総発熱量は20分の加熱時間の間、ずっと8MJ/m2 をはるかに下回っていた。そして、発熱速度は、実施例14及び実施例15に係る不燃複合板36,36Aのいずれについても極めて小さかった。
この結果、本実施の形態6の実施例14及び実施例15に係る不燃複合板36,36Aは、不燃材料の発熱性試験に合格し、不燃材料としての認定を受けられることが明らかになった。
このように、本実施の形態6の実施例14,15に係る不燃複合板36,36Aにおいては、不燃ボード32の下面にアルミニウム箔33の層を設けて可燃性ガスを遮断するとともに、熱伝導性に優れたアルミニウム箔33で熱を分散させて局所的な加熱にも強くし、更に熱伝導性の小さい不燃ボード32によって、スチレンフォーム39,発泡スチロール39Aへの熱伝導を遮断して可燃性ガスの発生を抑えることができる。
このようにして、本実施の形態6の実施例14,15に係る不燃複合板36,36Aにおいては、含水ケイ酸マグネシウム化合物・パルプ・ガラス繊維及びバインダーの配合率を最適にして不燃材料の発熱性試験に合格するより優れた不燃性及び防炎性を有する不燃ボード32と、金属箔としてのアルミニウム箔33と、中性紙34とを、板状のフォーム材39,39Aの表面に積層することによって、不燃材料の発熱性試験に合格する優れた不燃性を有するものとなる。
なお、本実施の形態6においては、金属箔として厚さ20μmのアルミニウム箔33を用いているが、アルミニウム箔33単体では扱い難いため、厚さ12μmのアルミニウム箔と厚さ12μmの薄洋紙を貼り合わせたものを用いても良い。
上記各実施の形態においては、金属箔としてアルミニウム箔を用いた場合のみについて説明したが、金属箔としてはこれら以外にも、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔、金箔、銀箔、銅箔、白金箔、錫箔、真鍮箔、ニッケル箔等、種々の金属の箔を用いることができる。
また、上記各実施の形態においては、不燃ボードの主成分である含水ケイ酸マグネシウム化合物としてセピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)を用いた場合について説明したが、セピオライト以外にも、またセピオライトと混合して、アタパルジャイト(含水ケイ酸マグネシウムアルミニウム)、タルク(滑石、含水ケイ酸マグネシウム)等を用いることもできる。
本発明を実施するに際しては、不燃複合板のその他の部分の構成、構造、材質、成分、配合、数量、形状、大きさ、製造方法等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。なお、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な好適値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
図1(a)は本発明の実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の実施例1及び実施例2に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図2(a)は比較例1に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例1に係る複合板の積層構造を示す断面図である。 図3(a)は比較例2に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例2に係る複合板の積層構造を示す断面図である。 図4(a)は本発明の実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図5(a)は比較例3に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例3に係る複合板の積層構造を示す断面図である。 図6(a)は比較例4に係る複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は比較例4に係る複合板の積層構造を示す断面図である。 図7(a)は本発明の実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図8は本発明の実施の形態1の実施例1に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図9は本発明の実施の形態1の実施例2に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図10は比較例1に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図11は比較例2に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図12は本発明の実施の形態1の実施例3に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図13は比較例3に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図14は比較例4に係る複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図15は本発明の実施の形態1の実施例4に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図16は本発明の実施の形態1に係る不燃複合板を構成する不燃ボードの製造方法を示すフローチャートである。 図17は本発明の実施の形態1に係る不燃複合板を構成する不燃ボードに用いられる含水ケイ酸マグネシウム化合物としてのセピオライトの粒度分布を示すグラフである。 図18(a)は本発明の実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図19(a)は本発明の実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図20(a)は本発明の実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図21は本発明の実施の形態2の実施例5に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図22は本発明の実施の形態2の実施例6に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図23は本発明の実施の形態2の実施例7に係る不燃複合板の不燃材料の発熱性試験の結果を示すグラフである。 図24(a)は本発明の実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態3の実施例8に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図25(a)は本発明の実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態3の実施例9に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図26(a)は本発明の実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態4の実施例10に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図27(a)は本発明の実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態4の実施例11に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図28(a)は本発明の実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態5の実施例12に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図29(a)は本発明の実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態5の実施例13に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図30(a)は本発明の実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態6の実施例14に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。 図31(a)は本発明の実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板の製造方法を示す斜視図、(b)は本発明の実施の形態6の実施例15に係る不燃複合板の積層構造を示す断面図である。
符号の説明
1,1A,1B,11,11A,11B,21,21A,26,26A 不燃複合板
2 中性紙
3,23 金属箔
4,22 不燃ボード
5,24 ベニヤ合板
5A 中密度ファイバーボード(MDF)
5B,24A パーティクルボード
15,15A,15B,29,29A 板状のフォーム材

Claims (16)

  1. 中性紙からなる第1層と、
    金属箔からなる第2層と、
    含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第3層と、
    リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第4層と
    を具備することを特徴とする不燃複合板。
  2. 含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第1層と、
    金属箔からなる第2層と、
    中性紙からなる第3層と、
    リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第4層と
    を具備することを特徴とする不燃複合板。
  3. 前記中性紙の厚さは20μm〜80μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の不燃複合板。
  4. 前記金属箔の厚さは12μm〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  5. 前記不燃ボードの厚さは0.2mm〜3mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  6. 前記リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さは2mm〜18mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  7. 前記板状のフォーム材の厚さは10mm〜60mmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  8. 含水ケイ酸マグネシウム化合物75重量%〜85重量%・パルプ7重量%〜12重量%・ガラス繊維2重量%〜10重量%及びバインダー3重量%〜8重量%を含有する不燃ボードからなる第1層と、
    金属箔からなる第2層と、
    リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板、或いは板状のフォーム材からなる第3層と
    を具備することを特徴とする不燃複合板。
  9. 前記不燃ボードの厚さは0.2mm〜3mmの範囲内であることを特徴とする請求項8に記載の不燃複合板。
  10. 前記金属箔の厚さは12μm〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の不燃複合板。
  11. 前記リグノセルロースまたはこれを含む材料から製造された基板の厚さは2mm〜18mmの範囲内であることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  12. 前記板状のフォーム材の厚さは10mm〜60mmの範囲内であることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  13. 前記金属箔はアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、鋼板箔のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  14. 前記不燃ボードの材料である前記含水ケイ酸マグネシウム化合物の平均粒径は10μm〜25μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  15. 前記不燃ボードの材料である前記含水ケイ酸マグネシウム化合物は、セピオライト(含水ケイ酸マグネシウム)であることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の不燃複合板。
  16. 前記不燃ボードの材料である前記ガラス繊維の長さが1mm〜3mmの範囲内であり、含有量が2重量%〜5重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1つに記載の不燃複合板。
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