JP7219362B1 - 不燃下地材 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007219362000001
【課題】ビスの保持力に優れると同時に木質板状基材の使用量も最小限にして高い防火性を確保し、しかも安価に製造できる不燃下地材を提供する。
【解決手段】不燃下地材1は、木質板状基材10と、該木質板状基材10の片面に積層された無機質板状基材20と、該無機質板状基材20の表面に積層され、遮熱層となる金属箔複合シート30とで構成されている。無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比が、無機質板状基材20:木質板状基材10=1:1~1:4とすれば、ビス保持力と不燃性能の両方を満足させる不燃下地材1を得ることが出来る。
【選択図】図1

Description

本発明は、高いビス保持力と防火性を具備する不燃下地材に関する。
建造物の内装材や内装下地材には無機質材料や有機質(木質)材料が用いられる。火災事故防止の観点から、これら内装材や内装下地材に用いられる素材には不燃性能を求められる。これに伴い、建築基準法には不燃性能を担保する基準が設けられている。また、建築物によっては基準法を超えるレベルでの不燃性能を求められる場合もあり、その場合には表面化粧板のみならず、その下地材にまで不燃性能が求められる場合がある。
上記無機質材料としては、ロックウール板、火山性ガラス質複層板、ケイカル板、メラミン化粧板などが用いられ、有機質材料としては、不燃木材や不燃合板が用いられている。
これら内装材や内装下地材が壁装材として使用される場合、絵画や写真の額、壁掛け時計、壁面収納ラック、壁掛けテレビなど家具の壁固定や手すりの固定のためにフックやビスなどの固定具(以下、ビスをその代表例とする。)が使用される。壁装材が、無機質材料だけで形成されている場合はビス保持力が低くビスが抜けやすいという問題がある。壁装材として木質材料だけを用いた場合は不燃薬剤を用いることになるが、不燃薬剤は溶脱に伴う白華現象が生じたり、不燃薬剤がそもそも高価であって積極的に使用されることはなかった。
そこで、壁装材として使用される内装材や内装下地材にビス保持力を持たせるためには、その一部として裏面側に木質材料を用いることになるが、不燃薬剤を用いないこのような内装材としては特許文献1に示すようなものがある。
特許文献1に記載の内装材(防火性木質複合材:下記の内装下地材に壁紙のような可燃性表面シートが設けられた壁装材)は、木質板状基材の表面に第1金属(アルミ)箔を貼り、第1金属箔の表面側に第2金属(アルミ)箔を貼り付けて2重の金属箔による防火層を設け、この防火層の表面に、更に可燃性表面シート(例えば、壁紙)を設けている。これらの構成部材は接着により積層されている。ここで、木質板状基材に第1金属箔及び第2金属箔を貼り付けたものが内装下地材となる。
この内装下地材では、木質板状基材側の第1金属箔の厚み(例えば、80μm)が表面側の第2金属箔の厚み(例えば、13μm)よりも厚く、防火層は接着層を介して上記のように金属箔の2重層となっている。この防火層は可燃性表面シート側の面から輻射強度50kW/mで10分間又は20分間加熱した時に、第2金属箔には穴が開くが、第1金属箔には穴が開かず、総発熱量は1.9~2.38MJ/mと規定値8MJ/mを大幅に下回り、また、最高発熱速度も42.5~50.2kW/mと規定値200kW/mを大幅に下回って前記規定値を越える時間が0秒を記録している。更に防災上有害な変形もなく、防火性に優れていることが示されている。
特開2018-187815号公報
しかしながら上記のような家具類の壁固定のために、壁面施工された特許文献1の内装材(防火性木質複合材)にビスを打ち付けると、ビスが可燃性表面シート及び2層の金属箔層を突き破り、木質板状基材に打ち込まれることになる。木質板状基材は打ち込まれたビスと突き破られた可燃性表面シート及び2層の金属箔層の孔との隙間を通して表面に繋がる。可燃性表面シートや2層の金属箔層は極薄いものであるから、木質板状基材は内装材の表面に極近接しており、火炎の熱がビスとビス孔の間の隙間を通して入り込む恐れがあり、これによって防火性を損なう恐れがある。
そして、特許文献1の内装材(防火性木質複合材)は、壁紙のような可燃性表面シートや2層の金属箔層以外の部分は木質板状基材で構成されているため、上記隙間を通して木質板状基材に火が回ると火を止められない恐れがある。なお、金属箔層を2層とすれば、それだけ手間が掛りコスト高にもなる。
本発明の課題は、ビスの保持力に優れると同時に木質板状基材の使用量も最小限にして高い防火性を確保し、しかも安価に製造できる不燃下地材を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、
木質板状基材10と、該木質板状基材10の片面に積層された無機質板状基材20と、該無機質板状基材20の表面に積層され、遮熱層となる金属箔複合シート30とで構成された不燃下地材1において、
金属箔複合シート30は、20μm以上の厚みを持つ金属箔31と、該金属箔31の両面或いは無機質板状基材非接着面に積層したチタン紙32とで構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の不燃下地材1において、
木質板状基材10と無機質板状基材20との間にガラス繊維紙15が更に介装されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の不燃下地材1において、
無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比が、無機質板状基材20:木質板状基材10=1:1~1:4となるように構成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれかに記載の不燃下地材1において、
木質板状基材10は、その気乾密度が300kg/m 以上であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1~4のいずれかに記載の不燃下地材1において、
無機質板状基材20は、ロックウール板、または火山性ガラス質複層板からなることを特徴とする
本発明は上記のような構成なので、ビスの保持力に優れると同時に木質板状基材の使用量も最小限にして高い防火性を確保し、しかも安価に製造できた。
本発明の第1実施形態に係る不燃下地材の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る不燃下地材の断面図である。 本発明と比較例のビス保持力試験結果比較表である。 本発明における発熱試験結果表である。
本発明を図示実施例に従って説明する。本発明の不燃下地材(第1実施形態:図1)は、木質板状基材10と、該木質板状基材10の表面に積層された無機質板状基材20と、該無機質板状基材20の表面に積層された単層の金属箔複合シート30よりなる遮熱層で構成され、(第2実施形態:図2)は、木質板状基材10と無機質板状基材20との間にガラス繊維紙15が更に介装され接着されている。以下、順次説明する。
木質板状基材10は、例えば、無垢の木材(ブロックボード)、木質繊維板(MDF等)、パーティクルボード(PB)、OSB(Oriented Strand Board)、集成材、合板、単板積層材(LVL)等が挙げられる。木質繊維板としては、MDF(中密度繊維板)、ハードボード(HB)、インシュレーションボードなどが挙げられる。
無機質板状基材20は、ロックウール板、火山性ガラス質複層板(火山性ガラス質材料と鉱物繊維が主原料)、ケイカル板、メラミン化粧板などである。主成分が無機質なので、火災発生時に熱変形しない。
金属箔複合シート30は金属箔31とその表裏(或いは片面)に積層された20~30g/mの目付量のチタン紙32(紙に酸化チタンを抄き込み、隠蔽性を持たせた特殊紙)とで構成されている。チタン紙目付量が20g/mを下回る場合、チタン紙そのものの強度が低下し、30g/mを上回る場合、可燃物の増加に伴い不燃性能下地としての性能を確保し難くなることが予想されることからチタン紙の目付量は20~30g/mであることが望ましい。チタン紙表面金属箔31は、アルミニウム、鉄、ステンレス、チタン、ニッケル、銅等が使用される。加工しやすく安価である点からアルミ箔とすることが好ましい。
金属箔複合シート30は、壁面が火災時に火炎に曝された時、金属箔31により輻射熱が反射され、且つ該金属箔31を通して熱が周囲に素早く拡散されて遮熱層として働く。
金属箔31の厚みは、火災時の加熱によって孔が開くことがないように、且つ、金属箔複合シート30を無機質板状基材20に接着した接着剤(接着層41)の燃焼によるガス発生によって金属箔複合シート30が無機質板状基材20から離間する方向に膨らむことがないようにする観点から、20μm以上であることが好ましい。しかしながら、余り厚くするとコストが嵩むだけでなく、加工性(切断しにくい)の問題や、不燃下地材1の重量が過大とならないようにする観点から150μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下であり、更に好ましくは80μm以下である。80μm以下であることが特に好ましい。
金属箔複合シート30と無機質板状基材20の接着(接着層41)や、第1実施形態の無機質板状基材20と木質板状基板10との接着(接着層43)、第2実施形態の無機質板状基材20とガラス繊維紙15の接着(接着層42)及びガラス繊維紙15と木質板状基材10との接着(接着層43)に練り合わせ接着剤(例えば、ビニルウレタン系接着剤)が用いられる。その他の接着剤としては、接着性の確保と扱いやすさの観点から、レゾルシノール樹脂系接着剤、ポリエステル樹脂系接着剤などを使用することが好ましい。
なお、金属箔複合シート30の表面には、内装の仕上げ材が貼着され、若しくは石膏ボードなどの内装仕上げ下地材が貼着される。
上記の不燃下地材1の製造手順の一例(第1実施形態:図1)を示すと、無機質板状基材20の片面に、金属箔複合シート30をビニルウレタン系接着剤で(接着層41)接着して複層基材5を得る。
次いで、この複層基材5の無機質板状基材20の残る他方の面をビニルウレタン系接着剤(接着層43)で木質板状基材10を接着し、不燃下地材1を得る。
(第2実施形態:図2)では、無機質板状基材20の片面に、金属箔複合シート30をビニルウレタン系接着剤で(接着層41)接着し、残る他方の面をビニルウレタン系接着剤でガラス繊維紙15を接着(接着層42)して複層基材5を得る。
次いで、この複層基材5のガラス繊維紙15の残る他方の面をビニルウレタン系接着剤(接着層43)で木質板状基材10を接着し、不燃下地材1を得る。
不燃下地材1を構成する木質板状基材10及び無機質板状基材20の厚みは数種類ある。
無機質板状基材20では例えば、3mm厚、6mm厚、9mm厚であり、不燃性能の観点から適切な厚みのものが選ばれる。
木質板状基材10はビス保持力の観点から適切な厚みのものが選ばれる。
本発明の不燃下地材1は、ビス保持力と不燃性の両方を同時に満足する組み合わせを選択することになる。特に、上記ビス保持力と不燃性能を満足するように木質板状基材10と無機質板状基材20の厚みの比が決められる。以下、本発明の不燃下地材1の例を示す。
(実施例1)
3mm厚の無機質板状基材20の片面に、20μm厚の金属箔複合シート30を接着し(接着層41)、複層基材5を得る。なお、本実施例1~3の複層基材5の金属箔31はアルミ箔である。
次に、9.3mm厚の木質板状基材10(ヒノキ合板、気乾密度0.51g/cm)の表面にビニルウレタン系接着剤を塗布した後(接着層43)、この面に複層基材5の金属箔複合シート非接着面を積層接着し(接着層43)、12.3mm厚前後の複数枚の不燃下地材1を得た。この不燃下地材1の無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比は、1:3である。
ここで、気乾密度(気乾比重)であるが、含水率15%以下の木質(板状)基材の比重である。数値が大きい程堅い材質となる。通常の木質基材の場合は0.40~0.55g/cmである。
(実施例2)
3mm厚の無機質板状基材20の片面に、20μm厚の金属箔複合シート30を接着し、残る他方の面に50g/mの目付量のガラス繊維紙15を接着(接着層42)して複層基材5を得た。
次に、9.3mm厚の木質板状基材10(ヒノキ合板、気乾密度0.51g/cm)の表面にビニルウレタン系接着剤を塗布した後、この面にガラス繊維紙15を接着した面を積層接着し(接着層43)、12.5mm厚前後の複数枚の不燃下地材1を得た。この不燃下地材1の無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比は、1:3である。
(実施例3)
6mm厚の無機質板状基材20の片面に、20μm厚の金属箔複合シート30を接着して複層基材5を得た。
次に、9.3mm厚の木質板状基材10(ヒノキ合板、気乾密度0.51g/cm)の表面にビニルウレタン系接着剤を塗布した後、この面に金属箔複合シート非接着面を積層接着し(接着層43)、15.3mm厚の複数枚の不燃下地材1を得た。この不燃下地材1の無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比は、1:1.5である。
(実施例4)
3mm厚の無機質板状基材20の片面に、20μm厚の金属箔複合シート30を接着して複層基材5を得た。
次に、12.0mm厚の木質板状基材10(ヒノキ合板、気乾密度0.51g/cm)の表面にビニルウレタン系接着剤を塗布した後、この面に金属箔複合シート非接着面を積層接着し(接着層43)、15.0mm厚の複数枚の不燃下地材1を得た。この不燃下地材1の無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比は、1:4である。
ビス保持力試験の比較例として、強化石膏ボード、及び12mm厚の針葉樹合板を採用した。
(ビス保持力試験)
ビス保持力試験の試験方法は、直径4mmのビス60を不燃下地材1の金属箔複合シート30側から打ち込み、木質板状基材10を貫通させる。打ち込んだビス60を垂直方向に2mm/分で引き抜き、引き抜き時の不燃下地材1の保持力の最大値(単位はN)を複数回測定し、その平均値と標準偏差を算出した。同時に、比較例1(強化石膏ボード)の保持力を100とし、それぞれの保持力の平均値と標準偏差を算出した。測定結果を図3に示す。
測定結果
ビス保持力が最も弱い比較例1を100とすると、木質板状基材(12mm厚針葉樹合板)だけで構成された比較例2は約3.5倍、無機質板状基材を積層した実施例1、2は約4.5倍、無機質板状基材が実施例1、2より厚い実施例3は約4.8倍のビス保持力を示した。
比較例2は、比較例1に対して約3.5倍程度のビス保持力を示すが、参考例の不燃合板の7割弱程度であり、不十分であると判断される。
実施例1~3は、9.3mm厚と比較例2に比べて薄い木質板状基材10を用いているが、無機質板状基材20のビス保持力が木質板状基材10のビス保持力に加算され、参考例の不燃合板とほぼ同程度のビス保持力を示す。
換言すれば、薄い木質板状基材10を用いても無機質板状基材20の働きにより、十分なビス保持力を示すようになる。
(不燃性評価試験(発熱性試験))
実施例1~3の各不燃下地材について、(ISO5660)に準拠して不燃性評価試験を行った。
不燃性材料基準は以下の通りであり、(1)~(3)を同時に満たすことが必要である。
(1)20分間の加熱時間の総発熱量が8MJ/m以下であること。
(2)20分間加熱時間中、最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/mを超えないこと。
(3)20分間の加熱時間中、防火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷を生じないものであること。
ISO5660に準拠した発熱性試験に従い、試験ではコーンカロリーメータを使用し、各試料(10cm×10cm)において、遮熱層である金属箔複合シート30が貼着された面に輻射電気ヒータで50kW/mの輻射熱を20分間照射した。
判定結果を図4に示す。実施例1~4は(1)~(3)を同時に満たす。
なお、上記発熱性試験ではビス60を打ち込んだ場合での測定(測定試験なし)がなされていないが、上記実施例の不燃下地材では、3mm又は6mm厚と従来例の金属箔に比べて遥かに厚く、燃えることのない無機質板状基材20を室内側に配置して施工することになるので、ビス60と打ち込み孔との間に隙間が発生せず、室内側に火が発生しても該火炎が木質板状基材10側に回り込むことはない。
以上から、無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比が、無機質板状基材20:木質板状基材10=1:1~1:4とすることで、ビス保持力と不燃性能の両方を満足させる不燃下地材1を得ることが出来た。
1:不燃下地材、5:複層基材、10:木質板状基材、15:ガラス繊維紙、20:無機質板状基材、30:金属箔複合シート、31:金属箔、32:チタン紙、41・42.43:接着層、60:ビス

Claims (5)

  1. 木質板状基材10と、該木質板状基材10の片面に積層された無機質板状基材20と、該無機質板状基材20の表面に積層され、遮熱層となる金属箔複合シート30とで構成された不燃下地材において、
    金属箔複合シート30は、20μm以上の厚みを持つ金属箔31と、該金属箔31の両面或いは無機質板状基材非接着面に積層したチタン紙32とで構成されていることを特徴とする不燃下地材。
  2. 木質板状基材10と無機質板状基材20との間にガラス繊維紙15が更に介装されていることを特徴とする請求項1に記載の不燃下地材。
  3. 無機質板状基材20と木質板状基材10の厚みの構成比が、無機質板状基材20:木質板状基材10=1:1~1:4となるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の不燃下地材。
  4. 木質板状基材10は、その気乾密度が300kg/m 以上であることを特徴とする請求項1~3に記載のいずれかに記載の不燃下地材。
  5. 無機質板状基材20は、ロックウール板、または火山性ガラス質複層板からなることを特徴とする請求項1~4に記載のいずれかに記載の不燃下地材。
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