JPH06158583A - 不燃性シート及びその製造方法 - Google Patents

不燃性シート及びその製造方法

Info

Publication number
JPH06158583A
JPH06158583A JP31191892A JP31191892A JPH06158583A JP H06158583 A JPH06158583 A JP H06158583A JP 31191892 A JP31191892 A JP 31191892A JP 31191892 A JP31191892 A JP 31191892A JP H06158583 A JPH06158583 A JP H06158583A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sepiolite
synthetic
water
sheet
swelling mica
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP31191892A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3577089B2 (ja
Inventor
Kenzo Hayashi
鍵三 林
Kozo Hayashi
宏三 林
Koji Tsuchiya
孝次 土屋
Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokiwa Electric Co Ltd
Original Assignee
Tokiwa Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokiwa Electric Co Ltd filed Critical Tokiwa Electric Co Ltd
Priority to JP31191892A priority Critical patent/JP3577089B2/ja
Publication of JPH06158583A publication Critical patent/JPH06158583A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3577089B2 publication Critical patent/JP3577089B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不燃性を付与し、かつ、表面における紙粉の
発生を防止して、ソフト感を付与する。 【構成】 水に分散した合成膨潤性雲母と、水に分散し
たセピオライトと、4種類のバインダーとを必須成分と
し、ガラス繊維及び木材パルプを添加したスラリーを抄
造し、乾燥した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は壁装材、耐熱化粧板等に
用いられる不燃性シート及びその製造方法に関するもの
で、特に、ソフトな肌触りを有する不燃性シート及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、汎用な燃えないシートとしては、
無機繊維では石綿繊維紙が代表とされていた。この石綿
繊維紙は難燃、耐熱、高強度、易生産性、廉価等すべて
の面で卓越しており、有機繊維では困難な応用の領域を
カバーし、幅広い用途を持っていた。
【0003】ところが、最近、石綿は健康を害する作用
があるとの理由で、日本においては徐々に使えなくなっ
た。また、西欧においてもほぼ使えない状態にある。こ
のような状況から、石綿繊維紙が使えない面を他の繊維
を利用して代替する開発が社会的、産業的見地から一層
強く要求されてきている。
【0004】こういった中で、既存の天然繊維物の中か
ら石綿代替として、セピオライトの利用可能性が着目さ
れている。そして、セピオライトを利用した不燃性シー
トの事例も多くなっている。
【0005】セピオライトは、通称、マウンテンレザー
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている粘土鉱物で、日本における海泡石もこの一種で
ある。一般には繊維性を持ったケイ酸マグネシウムの塊
であり、吸着性、揺変性、固結性に富む。
【0006】この特性を用いたシート化の事例として
は、例えば、特開昭51−88799号公報、特開昭5
6−165097号公報、特開昭58−95636号公
報、特開昭58−144196号公報、特開昭59−2
1800号公報、特開昭61−258099号公報、特
開昭63−235600号公報、特開昭64−6159
9号公報等に掲載の技術がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記各公報
は、維等の無機繊維や布、即ち、有機繊維またはこの両
者からなる繊維に吸着性、揺変性、固結性に富んだセピ
オライトを補助的に用いて混合、分散させて処理し、乾
燥したものが多い。これは、セピオライトが微細繊維で
あるため、抄造する場合に、濾水性が悪く、任意なシー
ト形成が困難であるのと、引裂強度が劣るなどの原因か
ら、セピオライトを主原料として抄造することが困難な
ことによる。このため、セピオライトの持つ優れた特性
が十分に生かされていないのが現状である。僅かに、特
開昭59−21800号公報において、セピオライト繊
維単独使用についての記載があるが、具体的な技術内容
についての記載がなく、実用性に欠ける。
【0008】また、セピオライト等の繊維をシートの成
分としたときは、一般に、シート表面が荒く、肌触りは
良くなかった。特に、シートの補強としてガラス繊維、
ロックウールなどを添加した場合には、その現象が著し
かった。更に、表面荒れだけでなく、こすられたときに
は、セピオライト繊維、ガラス繊維等の繊維材が剥れ落
ちて紙粉が発生し、施工時、使用時にその粉が目に入っ
たり、指に刺さったりして危険であり、また、「ちくち
く」した不快な痛みとかかゆみを感じる。そこで、前記
繊維材の紙粉の発生を防止するために、シートの表面に
紙粉止めのコーティング剤を塗布していたが、外部から
の接触などによって表層が剥離することもあり、また、
コーティング剤を塗布する手間を必要とした。このた
め、上記セピオライトを使用したシートは、不燃性とし
ての機能は果たされるものの、施工性、使用性などの点
から敬遠されがちであった。
【0009】そこで、本発明は、不燃性を有し、かつ、
表面における紙粉の発生を防止し、ソフト感を付与でき
る不燃性シート及びその製造方法の提供を課題とするも
のである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる不燃性シ
ートは、水に分散した合成膨潤性雲母及び/または合成
スメクタイトと、水に分散したセピオライトと、バイン
ダーとを必須成分としたスラリーを抄造してなるもので
ある。
【0011】そして、本発明にかかる不燃性シートの製
造方法は、合成膨潤性雲母及び/または合成スメクタイ
トを水に分散する第1水分散工程と、セピオライトを水
に分散する第2水分散工程と、合成膨潤性雲母及び/ま
たは合成スメクタイトの分散水溶液にセピオライトの分
散水溶液を混合する混合工程と、前記各分散水溶液を混
合した混合液にバインダーを添加、攪拌してフロックを
形成する凝集工程と、前記フロックの形成されたスラリ
ーを抄造する抄造工程と、前記抄造による湿紙成形体を
脱水乾燥してシート状に形成する乾燥工程とからなる。
【0012】ここにおいて、セピオライトは長繊維、短
繊維いずれも使用できる。
【0013】また、バインダーとしては、熱可塑性樹脂
からなるバインダー、熱硬化性樹脂からなるバインダー
等を2種類以上を組合せて使用し、或いは、単独で使用
することもできる。バインダーを単独で使用する場合に
は、例えば、ポリエチレンオキサイドが好適である。
【0014】
【作用】本発明においては、吸着性、揺変性、固結性に
富むセピオライトの分散水溶液と、吸着性に富み、無機
物、有機物を層間に入れて層間化合物の形成が可能な合
成膨潤性雲母或いは合成スメクタイトの分散水溶液とを
混合しているから、コロイドを形成することが容易で、
かつ、完成したシートは高い強度を示す。セピオライト
と合成膨潤性雲母或いは合成スメクタイトとのコロイド
の形成は、合成膨潤性雲母或いは合成スメクタイトを水
に分散させると、層間が膨潤して微細にへき開し、陰イ
オンに帯電するので、ここに、水に分散して陽イオンに
帯電しているセピオライトがインターカレートし、複合
体が形成されることによって行なわれる。
【0015】そして、このセピオライトのインターカレ
ーションによって、セピオライト繊維及び必要に応じて
添加されるガラス繊維等が鱗片状の合成膨潤性雲母或い
は合成スメクタイトによって包み込まれるので、シート
表面は滑らかな状態となり、紙粉となって剥がれること
がなく、また、表面がこすり取られたときには、繊維材
だけでなく、鱗片状の合成膨潤性雲母或いは合成スメク
タイトもともに剥離する。この結果、ソフトな肌触り感
が得られ、シートの施工時、或いは、使用時において
「ちくちく」した不快な痛み、かゆみを受けることがな
い。
【0016】更に、セピオライトの分散水溶液と、合成
膨潤性雲母及び/または合成スメクタイトの分散水溶液
とを混合した後にバインダーを添加しているので、フロ
ックの形成が一段と容易になり、簡単に抄造できる。し
かも、抄造し、乾燥、固化したシートは、主成分が無機
物であるセピオライトと合成膨潤性雲母及び/または合
成スメクタイトとで構成されているので、不燃性を有
し、また、普及された材料であるので、廉価に製造でき
る。
【0017】
【実施例】
〈第一実施例〉まず、本発明の第一実施例を説明する。
【0018】第一実施例の不燃性シートの組成は表1の
通りである。
【0019】
【表1】
【0020】なお、配合重量は全て乾燥重量を示す。
【0021】表1において、合成膨潤性雲母はコープケ
ミカル(株)製の膨潤性雲母ME−100を使用し、セ
ピオライトは昭和鉱業(株)製のミルコンSPを使用し
た。なお、補強材として繊維長3mmのガラス繊維を添加
した。
【0022】バインダーはセピオライトを必須成分とす
るスラリーの抄造を良好に行なうため、4種類使用し
た。
【0023】第1バインダーは紙力を増加するため、熱
可塑性樹脂である分子量80万〜100万のPAA(ポ
リアクリルアミド)を使用した。第2バインダーは凝集
性、耐水性を付与するために、網目状の三次元構造を持
った熱硬化性樹脂のEPA(ポリアミドポリアミンエピ
クロルヒドリン)を使用し、第3バインダーはアニオン
系の熱可塑性樹脂からなる凝集剤としてAA(アクリル
アミドアクリル酸共重合体)を、更に、第4バインダー
はカチオン系の熱可塑性樹脂からなる凝集剤としてDM
AEM(ジメチルアミノエチルメタクリレート)を使用
した。
【0024】次に、上記組成による不燃性シートの製造
を説明する。
【0025】図1は本発明の一実施例における不燃性シ
ートの製造工程を示す工程図である。
【0026】まず、第1水分散工程1で、水の中に合成
膨潤性雲母を投入し、分散した。このとき、合成膨潤性
雲母は、セピオライトを十分に吸着するために、完全に
水に分散させておくことが肝要である。
【0027】一方、第2水分散工程2において、別途、
水の中にセピオライトを投入し、解繊機によって解繊
し、繊維の分散を良くする。このセピオライトにおいて
も、前記合成膨潤性雲母と同様に、水に完全に分散させ
ておくことが肝要である。
【0028】次に、混合工程3において、前記合成膨潤
性雲母の分散水溶液の中にセピオライトの分散水溶液を
混合し、攪拌した。
【0029】その後、予め、水に浸漬し、所定時間ゆっ
くりと攪拌して解繊させておいたガラス繊維及び木材パ
ルプを合成膨潤性雲母とセピオライトとの混合液に投入
し、攪拌した。なお、有機溶剤と水の両方に溶解する弗
素系の表面張力減少剤を添加すると、ガラス繊維及び木
材パルプを容易に水に解繊分散させることができるが、
本実施例においては、これらの処理液を添加しなくて
も、合成膨潤性雲母とセピオライトとの混合液中では、
完全に分散するので、格別処理液を添加する必要はな
い。
【0030】前記混合工程3で合成膨潤性雲母とセピオ
ライトとを混合した後、凝集工程4で、前記混合液にバ
インダーを添加して、凝集させ、フロックを形成した。
ここで、バインダーは、紙力を増加するための第1バイ
ンダーとしてのPAA、凝集性、耐水性を付与するため
の第2バインダーとしてのEPA、凝集用の第3バイン
ダーとしてのAA及び凝集用の第4バインダーとしての
DMAEMをこの記載順に添加した。但し、必ずしもこ
の順序に限定されるものではない。スラリーの濃度は約
0.5%に調製した。
【0031】続いて、前記スラリーを定量ポンプで定量
ホッパーにポンプアップし、定量ホッパーで計量したス
ラリーを抄造工程5に導いた。
【0032】本実施例の抄造工程5では、長網式ウェッ
トマシンを用いた。この抄造工程5において、凝集フロ
ックが形成された前記水溶液を抄網を張った抄具に上方
から流入させると、前記凝集フロックを通して水が速か
に抄網から流下し、水分含有量が60〜70%の湿紙成
形体が得られた。
【0033】この後、乾燥工程6で、コールドプレス法
により前記湿紙成形体を加圧して脱水し、更に、約12
0℃の条件下に所定時間乾燥した。これによって、湿紙
成形体は内部の水分が蒸発し、乾燥固化した。なお、コ
ールドプレス法の代わりにホットプレス法で行なっても
よい。
【0034】このようにして、固化したシートを得るこ
とができた。
【0035】次に、上記製造で使用した合成膨潤性雲母
によるセピオライトとの複合化について説明する。
【0036】合成膨潤性雲母は熔融法、固相反応によっ
て合成された微粉ナトリウム・フッ素雲母であり、MB
吸着量が大きいため、層間に無機・有機物をインターカ
レートして複合体を形成する特性を有する。
【0037】今、合成膨潤性雲母を水中に分散させる
と、合成膨潤性雲母は水分を層間に吸着して膨潤し、層
間のナトリウムイオン或いはリチウムイオンなどの陽イ
オンが水中に溶解して、微細にへき開し始める。このた
め、合成膨潤性雲母は層間部分が陰イオンに帯電し、鱗
片の反対側の面が陽イオンに帯電することとなる。この
状態で、別途水に分散させた陽イオンのセピオライトを
加えると、合成膨潤性雲母の陰イオンに帯電している層
間に電気的に吸引されて複合化する。即ち、合成膨潤性
雲母の有する特異な吸着能及びイオン交換能によるコロ
イド形成能、複合体形成能によってセピオライトとの複
合体が形成され、コロイド化する。
【0038】ここで使用した合成膨潤性雲母は、MB吸
着量が70〜80meq/100gであり、平均粒径は1〜5μ
m、鱗片の厚さは10オングストローム程度である。
【0039】なお、上記実施例では、合成膨潤性雲母を
使用しているが、同様の特性を有する合成スメクタイト
を使用することもできる。
【0040】スメクタイトは粘土鉱物の一種であり、水
及び他の溶媒で膨潤し、粒子径が非常に小さいため、分
散してゾル・ゲルを形成する。また、吸着能、イオン交
換能を有し、無機物或いは有機物と層間化合物を形成す
るなど物理的・化学的に特異な性質を示すことから古く
から注目されてきている粘土鉱物である。合成スメクタ
イトはベントナイトからの水熱合成法による精製によっ
て得ることができ、粘性、吸着性、イオン交換性などの
特性を有する。その結晶構造は雲母に類似し、層状であ
るために配向して薄膜を形成しやすく、層間に金属多核
水酸化イオン、金属錯イオン、有機カチオン等をインタ
ーカレートして層間化合物を形成する。
【0041】ところで、上記実施例において、ガラス繊
維は、シートの強度、屈曲性に関する補強効果を与える
他、抄造時にフロックを大きくして濾水性を向上させる
作用もある。
【0042】このように形成された不燃性シートは、引
張り強度が大きく、また、合成膨潤性雲母及びガラス繊
維を使用していることにより、屈曲性に優れる。
【0043】LPGガスバーナーでの燃焼テストでは、
不燃性シートに5分間炎を当てても着火せず、炎にさら
された部分で剥離、脱落することがなく、強度低下が少
なかった。
【0044】耐摩耗性については、合成膨潤性雲母の混
合量を5、10、15%とした場合について摩耗量の測
定を行なった。
【0045】試験は、JISP8136板紙の耐摩耗強
さ試験方法に準拠して行ない、固定台と摩擦部材の各当
接面に供試シートを貼着して、一定の加圧下に前記摩擦
部材を固定台上で摺動させ、当接面に貼着された前記供
試シート同士が摩擦によって削り屑が発生する時の摩擦
回数を計測した。ここで、使用した固定台は中央部にL
約300×W30×D約5.6mmの寸法の溝を有し、外
形寸法がL約300×W90×H約11.2mmである。
また、摩擦部材は外形寸法がL86×W30×H25mm
で、重量は496gである。固定台側の供試シートは2
50×29mmの寸法に裁断して固定台の溝にテープで貼
着し、摩擦部材側の供試シートは125×28mmの寸法
に裁断して貼着した。摩擦速度は45回往復/分とし、
摩擦回数は1往復2回として計数した。
【0046】試験結果は、合成膨潤性雲母を添加してい
ないブランクが6.9回、5%添加した供試シートが8
回、10%添加した供試シートが9.5回、20%添加
した供試シートが13回で削り屑が発生した。これによ
り、合成膨潤性雲母の添加量を多くするに従って耐摩擦
性が向上することが分かる。但し、合成膨潤性雲母の添
加量が多過ぎると水に混合した状態でゲル化し、抄造困
難となるので、その添加量には限界がある。
【0047】また、耐水性については、水に7日間浸漬
した後、溶解はなく、高い耐水強度を示した。
【0048】このように、上記実施例の不燃性シート
は、水に分散した合成膨潤性雲母と、水に分散したセピ
オライトと、4種類のバインダーとを必須成分とし、ガ
ラス繊維及び木材パルプを補強材として添加したスラリ
ーを抄造し、乾燥したものである。
【0049】したがって、上記実施例によれば、吸着
性、揺変性、固結性に富むセピオライトの分散水溶液
と、吸着性に富み、無機物、有機物を層間に入れて層間
化合物の形成が可能な合成膨潤性雲母の分散水溶液とを
混合しているから、コロイドを形成することが容易で、
かつ、完成したシートは高い強度を示す。
【0050】そして、合成膨潤性雲母におけるセピオラ
イトのインターカレーションによって、セピオライト及
びガラス繊維が鱗片状の合成膨潤性雲母によって包み込
まれるので、シート表面は滑らかな状態となり、紙粉と
なって剥がれることがなく、また、表面がこすり取られ
たときに、これらの繊維材だけでなく、鱗片状の合成膨
潤性雲母もともに剥離する。この結果、ソフトな肌触り
感が得られ、シートの施工時、或いは、使用時におい
て、「ちくちく」した不快な痛み或いはかゆみから回避
できる。
【0051】更に、セピオライトの分散水溶液と合成膨
潤性雲母の分散水溶液とを混合した後、バインダーを添
加しているので、フロックの形成が一層容易となり、簡
単に抄造することができる。そして、抄造後、乾燥、固
化したシートは、主成分がセピオライトと合成膨潤性雲
母とで構成されているので、不燃性を有し、また、普及
された材料であるので、廉価に製造できる。
【0052】また、本発明にかかる不燃性シートの製造
方法は、合成膨潤性雲母を水に分散する第1水分散工程
1と、セピオライトを水に分散する第2水分散工程2
と、合成膨潤性雲母の分散水溶液にセピオライトの分散
水溶液を混合する混合工程3と、前記各分散水溶液を混
合した混合液にバインダーを添加、攪拌してフロックを
形成する凝集工程4と、前記フロックの形成されたスラ
リーを抄造する抄造工程5と、前記抄造による湿紙成形
体を脱水乾燥してシート状に形成する乾燥工程6とから
なる。
【0053】したがって、これらの工程により不燃性シ
ートを簡単にかつ高品質で製造することができる。
【0054】〈第二実施例〉次に、第二実施例の不燃性
シートについて説明する。
【0055】第二実施例の不燃性シートの組成は表2の
通りである。
【0056】
【表2】
【0057】第二実施例においては、バインダーはポリ
エチレンオキサイドの単独使用とした。
【0058】第二実施例の不燃性シートの製造は、第一
実施例と同一の、図1に示した工程によって行なった。
【0059】まず、第1水分散工程1で、水200gの
中に合成膨潤性雲母6gを投入し、液温を60℃に保持
した状態で、ホモジミクサーを使用して10,000r
pmで5分間攪拌した。このとき、合成膨潤性雲母は、
セピオライトを十分に吸着するために、完全に水に分散
させておくことが肝要であり、できれば、攪拌後更に2
〜3時間放置するのが望ましい。
【0060】一方、第2水分散工程2において、別途、
水200gの中にセピオライト6gを投入し、液温を6
0℃に保持した状態で、ホモジミクサーを使用して1
0,000rpmで2分間攪拌した。このセピオライト
においても、前記合成膨潤性雲母の場合と同様に、水に
完全に分散させておくことが肝要である。
【0061】次に、混合工程3において、前記合成膨潤
性雲母の分散水溶液の中にセピオライトの分散水溶液を
混合し、同じく、液温を60℃に保持した状態で、ホモ
ジミクサーを使用して10,000rpmで5分間攪拌
した。
【0062】その後、予め、水に浸漬し、所定時間ゆっ
くりと攪拌して解繊させておいたガラス繊維を前記合成
膨潤性雲母とセピオライトとの混合液に投入し、液温を
60℃に保持した状態で、ホモジミクサーを使用して
3,000rpmで5分間攪拌した。
【0063】前記混合工程3で合成膨潤性雲母とセピオ
ライトとを混合した後、凝集工程4で、前記混合液に水
を加えて2倍に稀釈し、混合液を緩やかに攪拌しなが
ら、1%濃度のポリエチレンオキサイド水溶液を少量添
加して、凝集させ、フロックを形成した。
【0064】続いて、抄造工程5で、フロックの形成さ
れたスラリーを約80メッシュの網を張った抄具に上方
から投入し、フロックを通して水を速やかに網から流下
させて湿紙成形体を形成した。
【0065】この後、乾燥工程6で、前記湿紙成形体に
プレスをかけて脱水し、約120℃の雰囲気温度で所定
時間乾燥した。
【0066】このようにして、本実施例においても、固
化したシートを得ることができた。即ち、第二実施例で
は、バインダーとしてポリエチレンオキサイドを単独で
使用しており、完成したシートは第一実施例における不
燃性シートと同様の物性を期待できる。
【0067】ところで、上記各実施例は、第1水分散工
程1では、合成膨潤性雲母を水に分散しているが、本発
明を実施する場合には、これに限定されるものではな
く、前述の合成スメクタイトを水に分散してもよく、或
いは、それらの両方を使用してもよい。
【0068】更に、上記各実施例の不燃性シートは、補
強材としてガラス繊維を混ぜているが、これに限定され
るものではなく、ロックウール繊維、ステンレス繊維、
ウィスカー等各種の補強材の使用が可能である。但し、
材料コスト、凝集効果等の点からガラス繊維が最適であ
る。なお、使用用途によっては、補強材を必ずしも混ぜ
る必要はない。この種の発明の実施例では、補強材の混
合工程を省略でき、作業を簡略化することができる。ま
た、ガラス繊維を混入して固い感じのする不燃性シート
に対して、一層滑らかな風合を与えることができる。
【0069】そして、上記実施例の各成分の混合比率
は、前記表の値に限定されるものではなく、物性、濾水
性、用途等に応じて最適なものを選定すればよい。
【0070】なお、本発明の不燃性シートは、壁装材、
耐熱化粧板等に使用でき、積層して断熱材とすることも
可能であり、絶縁材として使用することもできる。ま
た、厚くして、例えば不燃ボードとして使用することも
でき、更に、凹凸状に抄造することも可能であるから、
立体的な形状の不燃材としての使用も可能である。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる不燃性シ
ートは、水に分散した合成膨潤性雲母及び/または合成
スメクタイトと、水に分散したセピオライトと、バイン
ダーとを必須成分としたスラリーを抄造してなるもので
ある。したがって、合成膨潤性雲母及び/または合成ス
メクタイトにおけるセピオライトのインターカレーショ
ンによって、セピオライト及び必要に応じて添加される
ガラス繊維等が鱗片状の合成膨潤性雲母及び/または合
成スメクタイトにより包み込まれるので、シート表面は
滑らかな状態となり、紙粉となって剥がれることがな
く、また、表面がこすり取られたときに、これらの繊維
材だけでなく、鱗片状の合成膨潤性雲母及び/または合
成スメクタイトもともに剥離する。この結果、ソフトな
肌触り感が得られ、シートの施工時、或いは、使用時に
おいて、「ちくちく」した不快な痛み或いはかゆみから
回避できる。更に、完成したシートは、主成分が無機物
であるセピオライトと合成膨潤性雲母及び/または合成
スメクタイトとで構成されているので、不燃性を有す
る。
【0072】また、本発明にかかる不燃性シートの製造
方法は、合成膨潤性雲母及び/または合成スメクタイト
を水に分散する第1水分散工程と、セピオライトを水に
分散する第2水分散工程と、合成膨潤性雲母及び/また
は合成スメクタイトの分散水溶液にセピオライトの分散
水溶液を混合する混合工程と、前記各分散水溶液を混合
した混合液にバインダーを添加、攪拌してフロックを形
成する凝集工程と、前記フロックの形成されたスラリー
を抄造する抄造工程と、前記抄造による湿紙成形体を脱
水乾燥してシート状に形成する乾燥工程とからなる。し
たがって、これらの工程により不燃性シートを簡単にか
つ高品質で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例における不燃性シート
の製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
1 第1水分散工程 2 第2水分散工程 3 混合工程 4 凝集工程 5 抄造工程 6 乾燥工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 恭一 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水に分散した合成膨潤性雲母及び/また
    は合成スメクタイトと、水に分散したセピオライトと、
    バインダーとを必須成分としたスラリーを抄造してなる
    ことを特徴とする不燃性シート。
  2. 【請求項2】 合成膨潤性雲母及び/または合成スメク
    タイトを水に分散する第1水分散工程と、 セピオライトを水に分散する第2水分散工程と、 合成膨潤性雲母及び/または合成スメクタイトの分散水
    溶液にセピオライトの分散水溶液を混合する混合工程
    と、 前記各分散水溶液を混合した混合液にバインダーを添
    加、攪拌してフロックを形成する凝集工程と、 前記フロックの形成されたスラリーを抄造する抄造工程
    と、 前記抄造による湿紙成形体を脱水乾燥してシート状に形
    成する乾燥工程とを具備することを特徴とする不燃性シ
    ートの製造方法。
JP31191892A 1992-11-20 1992-11-20 不燃性シートの製造方法 Expired - Fee Related JP3577089B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31191892A JP3577089B2 (ja) 1992-11-20 1992-11-20 不燃性シートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31191892A JP3577089B2 (ja) 1992-11-20 1992-11-20 不燃性シートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06158583A true JPH06158583A (ja) 1994-06-07
JP3577089B2 JP3577089B2 (ja) 2004-10-13

Family

ID=18022992

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31191892A Expired - Fee Related JP3577089B2 (ja) 1992-11-20 1992-11-20 不燃性シートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3577089B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10131099A (ja) * 1996-10-18 1998-05-19 Oji Paper Co Ltd パルプモールド
JP2008163508A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Grandex Co Ltd 不燃紙、含浸紙及び複合紙
JP2008214779A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Hokuetsu Paper Mills Ltd 不燃シート又は不燃成形体
JP2009034898A (ja) * 2007-08-01 2009-02-19 Grandex Co Ltd 不燃複合板
JP2009084744A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Hokuetsu Paper Mills Ltd 不燃シート又は不燃成形体及びそれらの製造方法
JPWO2022009845A1 (ja) * 2020-07-10 2022-01-13

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10131099A (ja) * 1996-10-18 1998-05-19 Oji Paper Co Ltd パルプモールド
JP2008163508A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Grandex Co Ltd 不燃紙、含浸紙及び複合紙
JP2008214779A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Hokuetsu Paper Mills Ltd 不燃シート又は不燃成形体
JP2009034898A (ja) * 2007-08-01 2009-02-19 Grandex Co Ltd 不燃複合板
JP2009084744A (ja) * 2007-09-28 2009-04-23 Hokuetsu Paper Mills Ltd 不燃シート又は不燃成形体及びそれらの製造方法
JPWO2022009845A1 (ja) * 2020-07-10 2022-01-13
WO2022009845A1 (ja) * 2020-07-10 2022-01-13 株式会社巴川製紙所 難燃性シート
CN115768944A (zh) * 2020-07-10 2023-03-07 株式会社巴川制纸所 阻燃性片材
JP2023038335A (ja) * 2020-07-10 2023-03-16 株式会社巴川製紙所 難燃性シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP3577089B2 (ja) 2004-10-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPS59100182A (ja) 非石綿可撓性シ−ト材料およびそれよりなるガスケツト
US5294299A (en) Paper, cardboard or paperboard-like material and a process for its production
JPS58500902A (ja) 石膏ボ−ド製造用の無機充填剤含有紙
CA1207953A (en) Production of vermiculite products
US5679433A (en) Noncombustible sheet, noncombustible laminated sheet, noncombustible honey comb structural material, noncombustible board, noncombustible molded product, and manufacturing method thereof
US3904539A (en) Insulation having a reduced thermal conductivity
JPS6323318B2 (ja)
US4762643A (en) Binders and fibers combined with flocced mineral materials and water-resistant articles made therefrom
JPS6356342B2 (ja)
JPH06158583A (ja) 不燃性シート及びその製造方法
JP2505307B2 (ja) 不燃性紙
JPH07279090A (ja) 難燃性シート
FI93757B (fi) Paperi-, kartonki- tai pahvimainen raaka-aine ja menetelmä sen valmistamiseksi
JPS6197155A (ja) フロツクド鉱物材料およびその製造方法
JP2002176286A (ja) 不燃性電波吸収シート及び不燃性電波吸収三次元構造体
JP3128320B2 (ja) 不燃性シート及びその製造方法
JP2502236B2 (ja) 不燃性シ―ト
JP3026660B2 (ja) 不燃性シート及びその製造方法
JP2501058B2 (ja) 不燃性シ―ト
CA1257053A (en) Inorganic gels and asbestos-free sheet material made therefrom
JPH0238720B2 (ja)
JPH01104900A (ja) 高填料シ−ト
JPH05171595A (ja) シート成形品及びその製造方法
JP3056874B2 (ja) 難燃性シート
JPS6246680B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040520

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20040709

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees