JP2501058B2 - 不燃性シ―ト - Google Patents

不燃性シ―ト

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JP2501058B2 JP3327837A JP32783791A JP2501058B2 JP 2501058 B2 JP2501058 B2 JP 2501058B2 JP 3327837 A JP3327837 A JP 3327837A JP 32783791 A JP32783791 A JP 32783791A JP 2501058 B2 JP2501058 B2 JP 2501058B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は壁装材、耐熱化粧板シー
ト等として用いられる不燃性シートに関するもので、特
に、石綿代替品として不燃性を有し、しかも、生産性に
優れた不燃性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、火災事故の防止に係わる社会的ニ
ーズのもとに、プラスチックや衣料等と共に、建築内装
材等で防炎・耐火といった問題が取上げられ、かなり厳
しく規制されるようになった。紙材もその例にもれず、
壁装材を始めとして「燃えない・熱に強い」、いわゆ
る、防炎性・不燃性紙(不燃性シート)の市場の要求は
多い。
【0003】従来、汎用な燃えない紙とは、無機繊維で
は石綿繊維紙が代表とされていた。この石綿繊維紙は難
燃、耐熱、高強度、易生産性、廉価等の全ての面で卓越
しており、有機繊維では困難な応用の領域をカバーし、
幅広い用途を持っていた。
【0004】ところが、最近、石綿は健康を害する作用
があるため、日本においては徐々に使えなくなった。ま
た、西欧においてもほぼ使えない状態にある。この状況
から、現在、新素材の発達とともに、石綿に類した代替
材の開発は、各所において盛んに研究されており、高性
能な無機繊維或いはウイスカーが次々と開発されてい
る。例えば、ピッチ系汎用炭素繊維、チタン酸カリウム
繊維、アルミナ−シリカ繊維、ガラス繊維等がやや普及
的に使われている。他に、石膏繊維、塩基性硫酸マグネ
シウム繊維、リン酸繊維、ピロホウ酸マグネシウム繊維
等もある。ところが、これらの繊維は用途、生産性、価
格等において石綿の代替となる域には達していないのが
実状である。
【0005】他に、燃えにくい紙を作る方法として、防
炎化の手段がある。これは壁紙、障子紙、紙製熱交換器
等にみられる方法で、着火しない処理方法と言える。基
材はクラフト紙等の木材パルプ紙に防炎剤を含浸または
塗布するもので、含アンモニウム塩型水性無機塩、含燐
窒素化合物、含燐ハロゲン化合物、三酸化アンチモン−
ハロゲン化合物、ホウ素化合物、ハロゲン化合物などが
用いられる。しかし、この処理は所詮有機物が主体であ
り完全不燃とは言えない。また、高性能繊維として芳香
族ポリアミド繊維もあるが汎用的でない。
【0006】このような状況から、石綿繊維紙が使えな
い面を他の繊維を利用して代替する開発が社会的、産業
的見地から一層強く要求されてきている。汎用的な用途
からみると、壁装材、シール材、ガスケット、パッキン
グ、アスファルトルーヒング、クッションフロアー、不
燃コアー、建材表装紙、積層紙、断熱材等あらゆる用途
でのニーズがある。
【0007】こういった中で、既存の天然繊維物の中か
ら石綿の代替繊維として、セピオライトの利用可能性が
着目されている。そして、セピオライトを利用した不燃
性シートの事例も多い。
【0008】セピオライトは、通称、マウンテンレザー
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている粘土鉱物で、日本における海泡石もこの一種で
ある。一般には繊維性を持ったケイ酸マグネシウムの塊
であり、吸着性、揺変性、固結性に富む。
【0009】この特性を用いた製紙の事例としては、例
えば、特開昭51−88799号公報、特開昭56−1
65097号公報、特開昭58−95636号公報、特
開昭58−144196号公報、特開昭59−2180
0号公報、特開昭61−258099号公報、特開昭6
3−235600号公報、特開昭64−61599号公
報等に掲載の技術がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記公報はセラミック
繊維等の無機繊維や布、即ち、有機繊維またはこの両者
からなる繊維に吸着性、揺変性、固結性に富んだセピオ
ライトを補助的に用いて混合、分散させて処理し、乾燥
したものが多い。これは、セピオライトが微細繊維であ
るために、シートに抄造する場合、濾水性が悪く、一般
的な濾水性の良い木材パルプ、合成繊維、無機繊維等か
らなるスラリーにおいて添加されている対原材料比0.
01〜0.1%の凝集剤の添加量では任意のシート形成
が困難であるのと、引裂強度が劣るために、製紙工程に
おいて、ポンプアップ、攪拌、乱流等の機械的な衝撃に
耐えることができない等の要因から、セピオライトを主
原料として抄造することが困難なことによる。なお、凝
集剤の添加量を対原材料比0.1%以上としても濾水性
は向上しないだけでなく、過剰の添加はスラリーの粘性
が大きくなり、かえって抄造性を低下させてしまう。こ
のようなことから、従来、実験室的な少量生産の場合に
は可能としても、量産ベースに合致した工業生産は極め
て困難であり、セピオライトの持つ優れた特性は十分に
生かされていなかった。僅かに、特開昭59−2180
0号公報において、セピオライト繊維単独使用について
の記載があるが、具体的な技術内容についての記載がな
く、実用性に欠けている。
【0011】ところで、前記のように、壁装紙には、防
災の面から防炎性、不燃性が要求される。一方、建築材
は、我国のような多湿な国においては、水分を吸収して
膨潤し、膨潤、乾燥の繰返しによって壁装紙が変形した
り、破断する恐れがある。したがって、防炎性、不燃性
に加えて、耐水性も要求される。
【0012】しかし、上記公報においては、耐水性に関
する技術の記載はほとんどない。僅かに前記特開昭59
−21800号公報において、無機濾過紙として、シリ
コーン、テフロン等の樹脂を少量混入し、耐水性、耐熱
性、耐薬品性を向上させる技術が記載されているが、用
途が濾過紙であり、また、具体的な技術内容について明
示されておらず、前記と同様に実用性に欠ける恐れがあ
る。
【0013】そこで、本発明は、セピオライトを主原料
とすることによって不燃性と耐水性を兼ね備え、しか
も、生産性を向上して量産による抄造が可能な低コスト
の不燃性シートの提供を課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる不燃性シ
ートは、セピオライトを主材として含み、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート(DMAEM)からなる強カチ
オン性ポリマーとアクリルアミドアクリル酸共重合体
(AA)からなる強アニオン性ポリマーとの併用からな
る高分子凝集剤を、原材料固形分に対して合計で0.2
〜1.0重量%添加したスラリーを抄造してなるもので
ある。
【0015】なお、ここで、強カチオン性ポリマー(D
MAEM)と強アニオン性ポリマー(AA)とを併用し
た上記高分子凝集剤中におけるその強カチオン性ポリマ
ー(DMAEM)の併用比率は、一般に25〜75%が
好ましい。
【0016】
【作用】本発明においては、凝集剤はジメチルアミノエ
チルメタクリレート(DMAEM)からなる強カチオン
性ポリマーとアクリルアミドアクリル酸共重合体(A
A)からなる強アニオン性ポリマーとを併用したもので
あるから、その強イオン性によってスラリー中に分散し
た主材としてのセピオライトが良好に凝集され、粗大化
した良好なフロックが形成されると共に、それらの凝集
剤はイオンコンプレックスを形成し、不溶化して付着水
が減少し、親水性が低下するため、生成したフロックが
引締められる。この結果、抄造工程における機械的な衝
撃に耐え得る強固な、かつ、高収率のフロックが形成さ
れて抄造性が向上し、生産性、経済性に合致したセピオ
ライトを主原料とする不燃性シートの量産化が可能とな
る。なお、この場合、それらの強カチオン性ポリマーと
強アニオン性ポリマーの合計の添加量については、原材
料固形分に対し0.2重量%より少ない場合には一般に
その使用効果が少なく、また逆に1.0重量%より多い
とスラリーの粘性が大きくなって抄造困難となるため、
0.2〜1.0重量%の範囲とされる。
【0017】そして、上記によって抄造された不燃性シ
ートは、主原料が無機質であり、天然鉱物として廉価な
セピオライトであるため、不燃性及び耐水性を有すると
共に、安価に製造できる。
【0018】なお、上記の強カチオン性ポリマー(DM
AEM)と強アニオン性ポリマー(AA)との併用から
なる高分子凝集剤において、その強カチオン性ポリマー
の配合比率は、後述する実施例の試験結果からも明らか
なように、一般に25〜75%が好ましい。これによっ
て、上記のイオンコンプレックスが効果的に形成され、
スラリーの良好な濾水性が得られる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の一実施例を説明する。
【0020】まず、本実施例の原材料組成を示す。
【0021】
【表1】
【0022】表中、DMAEMはジメチルアミノエチル
メタクリレート(以下同じ)、AAはアクリルアミドア
クリル酸共重合体(以下同じ)であり、それぞれ強カチ
オン性ポリマー及び強アニオン性ポリマーとして本実施
例で使用したものである。
【0023】これらの凝集剤は本実施例の特徴とするも
のであり、液状の高分子ポリマーであって、配合割合は
いずれもポリマー純分即ち固形分の重量%を示す。
【0024】なお、一般に、「強カチオン性ポリマ
ー」、「強アニオン性ポリマー」の厳密な定義はない
が、本発明では、「強カチオン性ポリマー」とは、カチ
オンが3.5meq/g 以上のものを言うものとし、また、
「強アニオン性ポリマー」とは、アニオン性高分子凝集
剤の種類が限定されているので、一般的な用途からイオ
ン性を判断して、水中でアニオンに解離する割合が20
%以上、即ち、解離していない割合が80%以下のもの
を言うものとした。
【0025】なお、これらの凝集剤の併用比については
後述する。
【0026】この実施例においては、上記配合比の原材
料に水を加えて0.5〜1.0%に稀釈し、これを抄紙
濃度とした。
【0027】次に、上記組成による不燃性シートの製造
を説明する。
【0028】図1は本発明の一実施例における不燃性シ
ートの製造工程の概略を示す説明図である。
【0029】図において、解繊工程Aでは主原料である
セピオライトと、補強材としてのガラス繊維と補助繊維
(補強繊維)の木材パルプと合成繊維とを解繊機に入れ
て、攪拌によって解繊し、繊維の分散を良くする。な
お、この実施例において、木材パルプ量は、5重量%以
上とすると、不燃性に支障をきたすこととなるので、5
重量%以下に抑えている。
【0030】次に、原料混合工程Bでは解繊されたシー
ト原料、軟化剤、安定剤等を混合タンクに入れて混合し
てスラリーを作製する。
【0031】原料混合工程Bで混合されたスラリーは、
抄造に適した凝集処理を行なうために、処理工程Cで集
束化反応装置により集束化を行なう。ここで使用する凝
集剤は、上記表の如く、ジメチルアミノエチルメタクリ
レート(DMAEM)からなる強カチオン性ポリマー
と、アクリルアミドアクリル酸共重合体(AA)からな
る強アニオン性ポリマーとを併用している。
【0032】次いで、処理工程Cで調製されたスラリー
をストックタンクに送出し、沈降分離または抄造後のシ
ートの崩壊等が生じないように、混合状態が常に均一化
されるように維持する蓄積工程Dに入る。
【0033】そして、蓄積工程Dで均一な混合状態に維
持されたスラリーを定量ホッパーに定量ポンプでポンプ
アップし、抄造工程Eに導く。
【0034】本実施例の抄造工程Eでは、短網式抄紙機
を用いて抄造した。このときのスラリー濃度は0.5〜
1.0%であり、短網式抄紙機は60〜80メッシュの
抄網を使用した。この抄造工程Eにおいて、凝集フロッ
クが形成された前記スラリーを約80メッシュの網を張
った抄具に上方から流入すると、フロックを通して水が
速やかに網から流下して紙層が形成される。
【0035】この後、この紙層を、乾燥工程Fで、プレ
スをかけて脱水し、約120℃の雰囲気温度で所定時間
乾燥することにより、紙層は内部の水分が蒸発し、成分
の凝縮が促進して乾燥固化する。
【0036】以上により、厚さが0.1〜1.0mmの
不燃性シートが完成する。この不燃シート性は高い耐熱
性を有し、バーナの火を接近させても僅かな発煙と黒色
化するだけで、初期の形状をそのまま維持できる。つま
り、実質上完全に不燃であり、高熱時にも形状保持性を
有する。
【0037】次に、本実施例の特徴である凝集剤につい
て説明する。
【0038】一般に、主原料が濾水性の良い木材パル
プ、合成繊維等である場合には、原材料固形分に対して
0.01〜0.1重量%の凝集剤を添加することにより
定着が行なわれ、良好にフロックが形成されるため、量
産的に抄造することが可能である。
【0039】ところが、主原料がセピオライトの場合に
は、前述のように、濾水性が悪く、引裂き強度が弱いた
めに製紙工程におけるポンプアップ、攪拌、乱流等の機
械的衝撃に耐えることができず、したがって、従来、量
産化は困難であった。
【0040】本実施例では、凝集剤として強カチオン性
ポリマー(DMAEM)と強アニオン性ポリマー(A
A)を併用し、かつ、所定の合計の添加割合とすること
によって、スラリー中のセピオライトが良好に凝集され
ると共に、それらのポリマーのイオンコンプレックスが
生成し、不溶化してセピオライトと共にネットワークが
形成され、この結果、量産レベルでの抄造が可能となっ
た。
【0041】以下に、この詳細について図2乃至図4に
示した実験データに基づいて説明する。
【0042】図2は本発明の一実施例における凝集剤の
添加量と濾水度との関係を表わすグラフ、図3は本発明
の一実施例における凝集剤の添加量と濁度との関係を表
わす特性図、図4は本発明の一実施例における凝集ポリ
マーの併用比率と濾水度との関係を表わす特性図であ
る。
【0043】図2は各種凝集剤の添加量を変化させたと
きの生産性の指標となる濾水度を調べたものであり、こ
の濾水度は80メッシュの金網をセットした円筒型の容
器内に稀釈した紙料を1000cc流入させ、30秒間に
おけるスラリーの濾過量を測定することにより評価し
た。
【0044】図において、細い実線は、高分子ポリマー
のノニオン、「強」、「中」、「弱」のカチオン、
「強」、「中」、「弱」のアニオンなどの各凝集剤を
「単独」で使用した場合を代表して示したもので、前記
各凝集剤のいずれも特性図に代表される細い実線に近似
した曲線を描いた。
【0045】一方、高分子ポリマーのカチオンとアニオ
ンとをほぼ等量で併用した場合には、「弱カチオン+弱
アニオン」の組合せではほぼ「単独」のものと同様の破
線で示す曲線を描き、「中カチオン+中アニオン」の組
合せではこれらよりも僅かに濾水度は大きな値を示し
た。しかし、この「中カチオン+中アニオン」の濾水度
では工業的に生産することは困難である。なお、これら
の組合せにおいては添加量の数値はカチオン、アニオン
の両方を合計した添加量を示す(以下において同じ)。
【0046】これに対して、「強カチオン+強アニオ
ン」の場合には、ピークにおいては「中カチオン+中ア
ニオン」の約4倍の濾水度を示し、この程度の数値であ
れば十分に量産可能なレベルにある。図の曲線から0.
2重量%程度以上であれば工業生産可能と考えられる。
但し、1.0重量%を越えると、スラリーの粘性が非常
に大きくなるため抄造困難となる。このため、0.2〜
1.0重量%が量産可能な添加量と判断される。
【0047】一方、抄造性の指標となり、濾水度との整
合性を有する濾過後の濁度についても調べた。濁度は濾
過されたスラリーを散乱光(反射)光電式濁度計を使用
して測定した。
【0048】図3において、濾水度が大きい場合には抄
網の濾過性が良いということであり、当然濾過後のスラ
リーの濁度は低い値を示すこととなる。この図からも明
らかなように、図2と同様の「単独」ポリマー、「弱カ
チオン+弱アニオン」、「中カチオン+中アニオン」の
場合と比較して「強カチオン+強アニオン」の場合には
非常に低い値を示していることが分る。
【0049】このように、「強カチオン+強アニオン」
の組合せの抄造性が良いのは、強カチオン性ポリマー
(DMAEM)と強アニオン性ポリマー(AA)が、そ
の強イオン性によってスラリー中の主材としてのセピオ
ライトを良好に凝集すると共に、イオンコンプレックス
を形成し、不溶化して付着水が減少し、親水性が低下す
ることによってフロックが引締められるためと考えられ
る。なお、「弱カチオン+弱アニオン」、「中カチオン
+中アニオン」の場合にはその併用効果が十分に現われ
てこないためと思われる。
【0050】次に、「強カチオン+強アニオン」の場合
における強カチオン性ポリマー(DMAEM)と強アニ
オン性ポリマー(AA)の併用比率について述べる。
【0051】図4は強カチオン性ポリマーと強アニオン
性ポリマーとを併用した凝集剤中の各ポリマーの併用比
率を示しており、「強カチオン+強アニオン」の合計添
加量が0.3重量%、0.5重量%のいずれにおいて
も、強カチオン性ポリマーと強アニオン性ポリマーの併
用比率が共にほぼ50%、即ち、強カチオン性ポリマー
と強アニオン性ポリマーのモル比がほぼ1:1のときに
イオンコンプレックスの生成率及びそれに伴なう濾水度
は最大であった。これは、理論的に強カチオン性ポリマ
ーと強アニオン性ポリマーとが等モル反応するためと考
えられる。なお、図から、強カチオン性ポリマーの併用
比率が25〜75%程度の範囲内にあれば、つまり、強
カチオン性ポリマーと強アニオン性ポリマーの比が2
5:75〜75:25の範囲にあれば、量産のために好
ましいと判断される。
【0052】このように、上記実施例の不燃性シート
は、セピオライトを主材として含み、ジメチルアミノエ
チルメタクリレート(DMAEM)からなる強カチオン
性ポリマーとアクリルアミドアクリル酸共重合体(A
A)からなる強アニオン性ポリマーとを併用して、これ
らの高分子凝集剤を原材料固形分に対して合計で0.2
〜1.0重量%添加したスラリーを抄造して製造される
ものである。
【0053】したがって、上記実施例によれば、凝集剤
として強カチオン性ポリマーと強アニオン性ポリマーと
を併用して使用しているため、主材であるセピオライト
のフロックが良好に形成されると共に、それらの凝集剤
がイオンコンプレックスを形成し、不溶化して付着水が
減少し、親水性が低下してフロックが引締められる。こ
の結果、ポンプアップ、攪拌、乱流等の機械的な衝撃に
耐え得る強固な、かつ、高収率のフロックが形成されて
抄造性が向上し、生産性、経済性に合致した、セピオラ
イトを主原料とする不燃性シートの量産化が可能とな
る。
【0054】なお、この場合、強カチオン性ポリマーと
強アニオン性ポリマーの合計の添加量が原材料固形分に
対し0.2重量%より少ない場合にはその併用効果は少
なく、また逆に1.0重量%より多いとスラリーの粘性
が大きくなって抄造困難となるので、合計添加量を0.
2〜1.0重量%とすることにより、上記高収率のフロ
ック化を達成できる。
【0055】また、強カチオン性ポリマーと強アニオン
性ポリマーとを併用した前記高分子凝集剤におけるカチ
オン性ポリマー(または、強アニオン性ポリマー)の併
用比率は25〜75%が好ましく(最も好ましくは、約
50%)、それによりイオンコンプレックスの生成率を
高め、濾水度を大きくすることができ、高収率のフロッ
ク化を達成できる。
【0056】そして、上記によって抄造された不燃性シ
ートは主原料が廉価なセピオライトであるので、不燃性
及び耐水性を有すると共に、安価に製造できる。
【0057】ところで、上記実施例の不燃性シートで
は、補強材としてガラス繊維を混合しているが、本発明
を実施する場合には、これに限定されるものではなく、
ロックウール繊維、ステンレス繊維、ウィスカー等各種
の補強材の使用が可能である。但し、材料コスト、凝集
効果等の点からガラス繊維が最適である。また、ガラス
繊維を混入することにより、固い感じのする不燃性シー
トに対して滑らかな風合を与えることができる。なお、
不燃性シートの使用用途によっては、補強材を必ずしも
使用する必要はない。そして、補強材の使用を省くこと
によって、その混合工程を省略でき、作業を簡略化する
ことができる。同様に、補強繊維としての木材パルプ、
合成繊維についても必ずしも使用する必要はなく、抄造
性、不燃性シートの使用用途等を考慮して適宜使用すれ
ばよい。
【0058】なお、本発明の不燃性シートは、壁装材、
シール材、建築表装紙等への使用が可能であるが、他に
も、断熱材の両面に貼着することによって、断熱材の繊
維のケバ立ち或いは剥れ落ちを防止するような使い方も
できる。或いは、積層して断熱材とすることも可能であ
り、絶縁材として使用することもできる。
【0059】また、厚くして、例えば不燃ボードとして
使用することもでき、更に、凹凸状に抄造することも可
能であるから、立体的な形状の不燃材としての使用も可
能である。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる不燃性シ
ートは、セピオライトを主材として含み、ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート(DMAEM)からなる強カチ
オン性ポリマーとアクリルアミドアクリル酸共重合体
(AA)からなる強アニオン性ポリマーとの併用からな
る高分子凝集剤を、原材料固形分に対して合計で0.2
〜1.0重量%添加したスラリーを抄造してなるもので
ある。
【0061】したがって、この不燃性シートとその製造
方法によれば、凝集剤として強カチオン性ポリマーと強
アニオン性ポリマーとを併用し、適切な合計の割合で原
料固形分に対して添加しているので、その強イオン性に
より主材であるセピオライトが良好に凝集されると共
に、それらの高分子凝集剤はイオンコンプレックスを形
成し、不溶化して付着水が減少し、親水性が低下するの
で、生成したフロックが引締められる。この結果、機械
的な衝撃に耐え得る強固な、かつ、高収率のフロックが
形成されて抄造性が向上するので、生産性、経済性に合
致した、セピオライトを主原料とした不燃性シートの量
産が可能である。そして、上記によって抄造された不燃
性シートは、主原料が天然鉱物であり、廉価なセピオラ
イトであるため、不燃性及び耐水性を有すると共に、安
価に製造できる。
【0062】なお、本発明にかかる不燃性シートの実施
態様において、上記の強カチオン性ポリマー(DMAE
M)と強アニオン性ポリマー(AA)との併用からなる
高分子凝集剤におけるその強カチオン性ポリマーの配合
比率は、25〜75%が好ましい。そして、この範囲と
することにより、上記のイオンコンプレックスの生成を
高め、濾水度をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施例の不燃性シートの製
造工程の概略を示す説明図である。
【図2】 図2は本発明の一実施例の不燃性シートにお
ける凝集剤の添加量と濾水度との関係を表わす特性図で
ある。
【図3】 図3は本発明の一実施例の不燃性シートにお
ける凝集剤の添加量と濁度との関係を表わす特性図であ
る。
【図4】 図4は本発明の一実施例の不燃性シートにお
ける凝集ポリマーの併用比率と濾水度との関係を表わす
特性図である。
【符号の説明】
A 解繊工程 B 原料混合工程 C 処理工程 D 蓄積工程 E 抄造工程 F 乾燥工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−231899(JP,A) 特開 昭63−201048(JP,A) 特開 昭54−3868(JP,A) 特開 平5−214700(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セピオライトを主材として含み、 ジメチルアミノエチルメタクリレートからなる強カチオ
    ン性ポリマーとアクリルアミドアクリル酸共重合体から
    なる強アニオン性ポリマーとの併用からなる高分子凝集
    剤を、原材料固形分に対して合計で0.2〜1.0重量
    %添加したスラリーを抄造してなる ことを特徴とする不
    燃性シート。
  2. 【請求項2】 前記ジメチルアミノエチルメタクリレー
    トからなる強カチオン性ポリマーと前記アクリルアミド
    アクリル酸共重合体からなる強アニオン性ポリマーとを
    併用した前記高分子凝集剤中における前記強カチオン性
    ポリマーの併用比率は、25〜75%であることを特徴
    とする請求項1に記載の不燃性シート。
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