JPH05280121A - 強化不燃シート - Google Patents

強化不燃シート

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JPH05280121A
JPH05280121A JP4039910A JP3991092A JPH05280121A JP H05280121 A JPH05280121 A JP H05280121A JP 4039910 A JP4039910 A JP 4039910A JP 3991092 A JP3991092 A JP 3991092A JP H05280121 A JPH05280121 A JP H05280121A
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JP
Japan
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binder
sheet
sepiolite
slurry
combustible
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JP4039910A
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English (en)
Inventor
Kenzo Hayashi
鍵三 林
Kozo Hayashi
宏三 林
Koji Tsuchiya
孝次 土屋
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Tokiwa Electric Co Ltd
Original Assignee
Tokiwa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 不燃性及び耐水性を兼ね備えるとともに、高
い強度を有し、かつ、低コストの強化不燃シートを提供
する。 【構成】 主材としてのセピオライトと、補強材として
の無機繊維であるガラス繊維と、熱可塑性樹脂であるP
AAからなる第1バインダーと、熱硬化性樹脂であるE
PAからなる第2バインダーとを必須成分としたスラリ
ーを抄造して湿シートを形成し、上下2層の前記湿シー
トの間にガラスクロスからなる無機クロスを挟着してか
ら乾燥固化した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、壁装材、耐熱化粧板等
に用いられる強化不燃シート(紙)に関するもので、特
に、石綿代替紙としての不燃性を有し、かつ、耐水性と
高い強度を有する強化不燃シートに関するものである。
この種の強化不燃シートは、建材用としての強度及び安
全性を有するものであるが、他に、家庭用紙製品の代替
用、レリーフ等の工芸品、パッキング、フィルター、ク
ラッチまたはブレーキ等の摩擦材、航空機、自動車等の
工業用品など各種紙料成形品の代替用として使用され、
特に、自動車、航空機においては、本体を形成する板体
の内部の強度補強及び/または断熱材、暖房機及び/ま
たは冷房機の断熱材として使用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、火災事故の防止に係わる社会的ニ
ーズのもとに、建築素材などとともに建築内装材などで
防炎・耐火といった問題が取上げられ、かなり厳しく規
制されるようになった。建築内装材として使用されてい
る紙等のシート材もその例にもれず、「燃えない・熱に
強い」いわゆる防炎性・不燃性紙(シート)の市場の要
求は多い。
【0003】従来、汎用な燃えない紙は、無機繊維では
石綿繊維紙が代表とされていた。この石綿繊維紙は難
燃、耐熱、高強度、易生産性、廉価等すべての面で卓越
しており、有機繊維では困難な応用の領域をカバーし、
幅広い用途を持っていた。
【0004】ところが、最近、石綿は健康を害する作用
があるため、日本においては徐々に使えなくなった。ま
た、西欧においてもほぼ使えない状態にある。この状況
から、現在、新素材の発達とともに、石綿に類した代替
材の開発は盛んに研究されており、高性能な無機繊維或
いはウイスカーが次々と開発されている。しかし、これ
らの繊維は用途、生産性、価格等において石綿の代替と
なる域には達していないのが現状である。
【0005】他に、燃え難いシート材を作る方法とし
て、防炎化の手段がある。これは壁紙、障子紙、紙製熱
交換器等にみられる方法で、着火をしない処理方法と言
える。基材はクラフト紙等の木材パルプ紙に防炎剤を含
浸または塗布するもので、含アンモニウム塩型水性無機
塩、含燐窒素化合物、含燐ハロゲン化合物、三酸化アン
チモン−ハロゲン化合物、ホウ素化合物、ハロゲン化合
物などが用いられる。しかし、この処理は所詮有機物が
主体であり完全不燃とは言えない。また、高性能繊維と
して芳香族ポリアミド繊維もあるが汎用的でない。
【0006】このような状況から、既存の天然繊維物の
中から石綿代替として、セピオライトの利用可能性が着
目されている。そして、セピオライトを利用した不燃性
シートの事例も多い。
【0007】セピオライトは、通称、マウンテンレザー
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている粘土鉱物で、日本における海泡石もこの一種で
ある。外観はコルク状であったり、レザー状であった
り、まっ白な柔かい塊であったりするが、一般には繊維
性を持ったケイ酸マグネシウムの塊である。一応、一次
元構造粘土に分類されているものの、見方によってはあ
る方向に削れ易いレンガ積みの結晶性三次元構造とみる
こともでき、ケイ素、マグネシウム、酸素、水酸基、結
晶水からなる晶形群を形成している。物性は吸着性、揺
変性、固結性の基本的な性質がある。
【0008】この特性を用いた製紙の事例としては、例
えば、特開昭51−88799号公報、特開昭56−1
65097号公報、特開昭58−95636号公報、特
開昭58−144196号公報、特開昭59−2180
0号公報、特開昭61−258099号公報、特開昭6
3−235600号公報、特開昭64−61599号公
報等に掲載の技術がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記公報はセラミック
繊維等の無機繊維や布、即ち、有機繊維またはこの両者
からなる繊維に吸着性、揺変性、固結性に富んだセピオ
ライトを補助的に用いて混合、分散させて処理し、乾燥
したものが多い。これは、セピオライトが微細繊維であ
るために、紙に抄造する場合、濾水性が悪く、任意なシ
ート形成性が困難あるのと、引裂強度が劣るなどの原因
からセピオライトを主原料として抄紙することが困難な
ことによる。このため、セピオライトの持つ優れた特性
が十分に生かされていない。僅かに、特開昭59−21
800号公報において、セピオライト繊維単独使用につ
いての記載があるが、具体的な技術内容についての記載
がなく、実用性に欠ける。
【0010】ところで、前述のような壁装紙等のシート
材は、各用途に使用され、高い強度を要求される場合も
多い。また、我国のような多湿な国においては、水分を
吸収して膨潤し、膨潤、乾燥の繰返しによって変形した
り、破断する恐れがある。したがって、防炎性、不燃性
に加えて、高強度、耐水性も要求される。
【0011】ところが、上記公報においては、耐水性に
関する技術の記載はほとんどない。僅かに前記特開昭5
9−21800号公報において、無機濾過紙として、シ
リコーン、テフロン等の樹脂を少量混入し、耐水性、耐
熱性、耐薬品性を向上させる技術が記載されているが、
用途が濾過紙であり、また、具体的な技術内容について
明示されておらず、前記と同様に実用性に欠ける可能性
がある。
【0012】そこで、本発明は、不燃性及び耐水性を兼
ね備えるとともに、高い強度を有し、かつ、低コストの
強化不燃シートの提供を課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる強化不
燃シートは、主材としてのセピオライトと、熱可塑性樹
脂からなる固着用の第1バインダーと、熱硬化性樹脂か
らなる凝集、耐水用の第2バインダーとを必須成分とし
たスラリーを抄造してなる不燃シートと、この不燃シー
トの層間に挟着された無機クロスとからなるものであ
る。
【0014】請求項2にかかる強化不燃シートは、主材
としてのセピオライトと、アニオン系の熱可塑性樹脂か
らなる固着用の第1バインダーと、カチカン系の熱硬化
性樹脂からなる凝集、耐水用の第2バインダーと、アニ
オン系の熱可塑性樹脂からなる凝集用の第3バインダー
と、カチオン系の熱可塑性樹脂からなる凝集用の第4バ
インダーとを必須成分としたスラリーを抄造してなる不
燃シートと、前記不燃シートの層間に挟着された無機ク
ロスとからなるものである。
【0015】請求項3にかかる強化不燃シートは、請求
項1または請求項2に記載のスラリーに、補強材として
の無機繊維を必須成分として追加したものである。
【0016】
【作用】請求項1においては、セピオライトに第1バイ
ンダー及び第2バインダーを加えて抄造した不燃シート
は、主成分が無機繊維であるセピオライトであることに
より、不燃性を有するとともに、廉価に製造できる。ま
た、第1バインダーの熱可塑性樹脂はセピオライトの固
着性に寄与し、シートの強度を向上する。更に、第2バ
インダーの熱硬化性樹脂であるEPAは、網目状の三次
元構造をもった高分子化合物であって原子が強い共有結
合で結ばれているので、水に対して安定で、シートに耐
水性を与えるるとともに、抄造における濾水性を向上さ
せてシートの形成を容易にする。更に、前記不燃シート
の層間に無機クロスが挟着されているので、強度物性が
向上する。
【0017】また、請求項2においては、第1バインダ
ー及び第2バインダーを加えた後、カチオンサイドにな
っているスラリーにアニオン系の凝集剤である第3バイ
ンダーを加えることによりフロックは粗大化し、次い
で、カチオン系の凝集剤である第4バインダーを加える
ことにより疎水化して強固となる。これによって、濾水
性は更に向上する。
【0018】請求項3においては、請求項1または請求
項2の作用に加えて、補強材としての無機繊維を混ぜた
ことにより、更に不燃シートの強度物性が向上する。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図5に基づ
いて説明する。
【0020】本実施例においては、セピオライトの特性
を十分に生かすために、セピオライトを80%以上と
し、これにバインダー等を加えてスラリー化して抄造し
た。
【0021】まず、本実施例における強化不燃シートの
製造工程について説明する。
【0022】図1は本発明の一実施例における強化不燃
シートの製造工程の概略を示す説明図である。
【0023】図において、解繊工程1では主原料である
セピオライトと補強材としてのガラス繊維とを解繊機に
入れて、撹拌によって解繊し、繊維の分散を良くする。
【0024】次に、原料混合工程2では解繊されたセピ
オライト、第1バインダー、第2バインダー、軟化剤、
安定剤等を混合タンクに入れて混合し、スラリーを作製
する。ここで使用する第1バインダーは、紙力を増加す
るため、熱可塑性樹脂である分子量80万〜100万の
PAA(ポリアクリルアミド)を使用し、第2バインダ
ーは、凝集性、耐水性を付与ため、網目状の三次元構造
を持った熱硬化性樹脂を用い、このうちEPA(ポリア
ミドポリアミンエピクロルヒドリン)を使用した。
【0025】なお、ここで、各バインダーを加える順序
としては、先に第1バインダーを添加し、その後、第2
バインダーを加えるのが望ましいが、必ずしもこれに限
定されるものではなく、先に第2バインダーを、後に第
1バインダーを混合しても抄紙可能である。
【0026】原料混合工程2で混合されたスラリーは、
処理工程3で集束化反応装置により集束化を行なう。集
束化においては、前記第1バインダー及び第2バインダ
ーのスラリーへの定着を促進し、併せて、抄紙時の濾水
性を改良するために、分子量800万〜1000万のア
ニオン系のPAAを加えた。
【0027】処理工程3でシート化調製されたスラリー
はストックタンクに送出され、沈降分離または調製シー
トの崩壊等が生じないように、混合状態が常に均一化さ
れるように維持する蓄積工程4に入る。
【0028】そして、蓄積工程4のスラリーは定量ホッ
パーにポンプアップし、定量ホッパーで計量されたスラ
リーは抄造工程5に導かれる。
【0029】本実施例の抄造工程5では、短網式抄紙機
を用いて抄造した。このとき、スラリー濃度は0.2〜
0.5%であり、抄紙機は60〜80メッシュの抄網を
使用した。
【0030】抄造工程5でスラリーを脱水してなる湿シ
ートは、クロス挟着工程6で、コンベアによって移送さ
れる間に、ガラスクロスよりなる無機クロスが載置され
る。この後、前記無機クロスの上部に別の湿シートが載
置され、上下2層の湿シートの間に前記ガラスクロスが
挟着された積層体が形成される。このとき、前記ガラス
クロスは粘性のある湿シートに挟着されるので、特別に
接着剤等を用いなくても所定の接合強度が付与される。
なお、ガラスクロスはガラス繊維を縦、横にクロスさせ
たものであり、その繊維太さ、密度、クロス形態は任意
に設定できる。
【0031】このようにして形成された湿シート状態に
ある積層体は、乾燥工程7で、乾燥炉内に搬送され、所
要温度で所定時間乾燥されることにより、内部の水分が
蒸発し、バインダーの反応が促進して乾燥固化する。即
ち、上下2層の湿シートは層間にガラスクロスを挟着し
た状態で乾燥固化して不燃シートとなる。
【0032】以上により、板厚が0.7〜1.5mmの積
層板状に形成された強化不燃シートが完成する。
【0033】次に、上記抄造において、まず、濾水性の
改良を図るために行なうスラリーの凝集化を説明する。
【0034】凝集剤は、セピオライトの組成中の金属イ
オンであるカルシウムイオンやマグネシウムイオンまた
はカチオン物質と結合して、繊維と凝集結束する前述の
アニオンであるPAAを選定した。セピオライトとPA
Aとの結合は、セピオライトのマグネシウムイオンとP
AAのアミド基とが反発して直鎖状に伸びた橋架け構造
も形成されていると考えられる。
【0035】この開発研究のPAAの配合割合について
の検討結果は、図2の本発明の一実施例における湿シー
トのPAAによる変化を示す表図の通りで、PAAを
0.3重量%加えたものは濾水性は良かったが、集束塊
が大きすぎて、シートの地合が悪かった。したがって、
0.2重量%周辺が良い。
【0036】このときの処理条件としては、抄具150
×150mm判、抄網80メッシュを用い、原料はセピオ
ライト85重量%に補強材としてガラス繊維を15重量
%加え、この2.5gを100mlの水に解繊分散させ
た。これにカチオン系のEPAを固定条件として各試料
に固形分換算で2.0重量%加え、PAAの配合量を図
2の如く変えた。そして、抄シート濃度として2.5g
/1000ml(0.25%)に稀釈した。
【0037】次に、紙力増強剤の添加と濾水性について
述べる。
【0038】紙力増強剤として、前述のごとく第1バイ
ンダーのアニオンである分子量80万〜100万のPA
Aを選定した。
【0039】この凝集用PAAの配合割合の検討結果
は、図3の本発明の一実施例における湿シートの紙力増
強剤の添加と濾水性による変化を示す表図の通りで、N
o.4以上になると、凝集体がゲル化し、濾水性が良く
ないので、1.0〜2.0重量%が好ましい。
【0040】このときの固定条件として、凝集用のPA
Aは前記の試験によって濾水性の良い0.2重量%に、
また、EPAは前記と同じく2.0重量%にした。処理
条件は前記に準じた。
【0041】次に、EPA(熱硬化性樹脂)の増減によ
る物性の傾向を調べた。
【0042】結果は、図4の本発明の一実施例における
不燃シートのEPAの増減による物性傾向を示す表図の
通りで、No.5が最も湿潤引張強さが高く、EPAとし
ては2.0重量%が好ましい。なお、2.0重量%を越
えると有機成分が多くなって不燃の意図から外れてくる
ので、2.0重量%を上限とした。
【0043】このときの固定条件として、PAA(凝集
用)は0.2重量%に、PAA(紙力増強用)は2.0
重量%にした。処理条件は前記に準じた。
【0044】ところで、本試験においては、紙力強度を
より向上させるために、補強材であるガラス繊維を加え
ている。
【0045】このガラス繊維について、セピオライトに
対する混合割合と繊維長を変え、強度及び濾水性を調べ
た。具体的には、繊維長として3、6、13mmを設定
し、それぞれについて混合割合を5、10、15、20
重量%と変えた。
【0046】その結果、繊維長は13mm、混合割合は1
5〜20重量%のものが強度及び濾水性を総合的に比較
して最も良かった。ガラス繊維はフィラーとして凝集を
促進する作用もあると考えられる。
【0047】次に、耐水性について、本実施例のNo.4
の試料と市販の試料(木材パルプと水酸化アルミ粉から
なる水酸化アルミシート)とを比較した事例を図5に示
す。図5は本発明の一実施例における試料と市販の試料
との水中伸度を比較した表図である。
【0048】縦方向については、1時間浸漬後と24時
間浸漬後のいずれにおいても本発明の実施例の試料と市
販の試料とで差はないが、横方向については本発明の実
施例の試料の伸びは明らかに少なく、総合的に本発明の
実施例の試料は優れた耐水性を示している。
【0049】なお、市販の試料において縦と横の伸びが
著しく異なるのは、抄シートのときに、木材パルプの繊
維配向が縦に並び易く、繊維の絡み度合が大きくなって
伸びが小さくなるのに対し、横は繊維の絡み度合が小さ
いために伸びは大きくなるためと考えられる。一方、本
発明の実施例の試料は、木材パルプを使っておらず、セ
ピオライトが主材で相対的に繊維長が短いために、繊維
方向性が小さく、かつ、微細なガラス繊維が一体となっ
た集束繊維を形成しているので、縦と横の差が小さくな
っていると考えられる。
【0050】このように、上記実施例の強化不燃シート
は、主材としてのセピオライトと、補強材としての無機
繊維であるガラス繊維と、熱可塑性樹脂であるPAAか
らなる第1バインダーと、熱硬化性樹脂であるEPAか
らなる第2バインダーとを必須成分としたスラリーを抄
造して湿シートを形成し、上下2層の前記湿シートの間
にガラスクロスからなる無機クロスを挟着してから乾燥
固化したものである。
【0051】したがって、上記実施例によれば、セピオ
ライトに第1バインダー及び第2バインダーを加えて抄
造したシートは、主成分が無機繊維であるセピオライト
であることにより、不燃性を有する。また、第1バイン
ダーのPAAはセピオライトの固着性に寄与し、湿シー
トの強度を向上させることができる。更に、第2バイン
ダーの熱硬化性樹脂であるEPAは、網目状の三次元構
造をもった高分子化合物であって原子が強い共有結合で
結ばれているので、水に対して安定で、不燃シートに耐
水性を与えるとともに、抄紙における濾水性を向上させ
て湿シートの形成を容易にする。加えて、補強材として
ガラス繊維を混ぜたことにより、更に強度物性が向上す
る。
【0052】特に、上下2層の不燃シート間にガラスク
ロスが折込まれているので、全体的な強度物性が著しく
向上する。
【0053】そして、原料、バインダーとして、普及さ
れた材料を使用しているので、廉価に製造することがで
きる。
【0054】なお、この実施例は請求項1及び請求項3
の態様に相当するものである。
【0055】次に、別の実施例を説明する。
【0056】この別の実施例では、前記実施例の第1バ
インダー、第2バインダー及びアニオン系の熱可塑性樹
脂である凝集用のPAAにカチオン系の熱可塑性樹脂を
加え、前記凝集用のPAA(分子量800万〜1000
万)を第3バインダーとし、前記カチオン系の熱可塑性
樹脂を第4バインダーとしたものである。
【0057】これらの第3バインダー及び第4バインダ
ーは凝集剤として作用し、前記実施例で述べた第1バイ
ンダーと第2バインダーを加えて定着及び凝集したもの
に対して、更に、フロックを粗大化させて抄紙性を向上
させることができる。即ち、原料混合工程2において、
第1バインダー及び第2バインダーを前記実施例と同様
に加えた後、カチオンサイドになっているスラリーにア
ニオン系の熱可塑性樹脂である第3バインダーを混合し
てフロックを粗大化させ、次いで、カチオン系の凝集剤
である第4バインダーを加えて疎水性フロックとするこ
とにより、強固なフロックを形成させることができる。
【0058】ここで、第3バインダーとしては、前述の
凝集用のPAAの他に、例えば、AA(アクリルアミド
アクリル酸共重合体)を、また、第4バインダーとして
は、例えば、DMAEM(ジメチルアミノエチルメタク
リレート)を挙げることができる。
【0059】各バインダーの配合量は、第1バインダー
が固形分換算で2重量%以下、第2バインダーが2重量
%以下、第3バインダー及び第4バインダーは原材料固
形分で合計0.2〜1.0重量%で、かつ、第3バイン
ダー及び第4バインダー中の第3バインダーの比率が2
5〜75%としたものが好ましい。
【0060】なお、この実施例においても、第1バイン
ダーと第2バインダーの添加順序は、第1バインダーが
先、第2バインダーは後が好ましいが、この逆であって
もよく、また、第3バインダーと第4バインダーとの間
の添加順序においても、第3バインダーが先が望ましい
が、その逆であっても抄紙可能である。
【0061】この別の実施例は請求項2の態様に相当す
るものであるが、請求項3の態様に相当するとすること
もできる。
【0062】以上のように、セピオライトを主材とした
不燃シートの層間にガラスクロスが折込まれた本実施例
の強化不燃シートは、建築内装材等各種不燃、耐火シー
ト材としての用途がある。例えば、壁装材、シール材、
建築表装シート、鉄板、石膏板等の裏打材などへの使用
が可能であり、他にも、断熱材の両面に貼着することに
よって、断熱材の繊維のケバ立ちや剥れ落ちを防止する
ような使い方もできる。また、表面にカップリング処理
等を施すことによって撥水性を付与し、不燃性テントシ
ートとして使用できる可能性もある。更に、強化不燃シ
ートの厚さは10mm程度に形成することも可能であるの
で、例えば、防火壁等の不燃ボード、家屋壁材のコア材
等の建材関係及び乾燥炉壁材等の設備関係の強化不燃構
造体として使用することも可能である。なお、従来使用
されている不燃ボードは、重量が大きいのに対し、本実
施例の不燃ボードは比重が約0.7と軽量であるので、
建造物の軽量化に寄与し、運搬作業性等が向上する。
【0063】ところで、上記実施例の不燃シートは、補
強材としてガラス繊維を混ぜているが、使用用途によっ
ては、補強材を必ずしも混ぜる必要はない。この種の発
明の実施例では、補強材の混合工程を省略でき、作業を
簡略化することができる。また、ガラス繊維を混入して
固い感じのする不燃シートに対して、滑らかな風合を与
えることができる。
【0064】また、上記実施例の不燃シート間に挟着し
て強度を高める無機クロスは、ガラスクロスを使用して
いるが、本発明を実施する場合には、これに限定される
ものではなく、不燃性を有し、強度を向上できる各種無
機クロスを使用することが可能である。
【0065】更に、上記ガラスクロスは、これを挟着す
る不燃シートが湿シート状態にあるときにその粘性を利
用して層間に接合しているが、前記湿シートを乾燥さ
せ、不燃シートを形成してから、接着剤等を使用して貼
着することもできる。
【0066】そして、上記実施例の強化不燃シートは、
上下2層の不燃シートの間にガラスクロスを挟着した3
層構造としているが、ガラスクロスを複数層設けた積層
構造としてもよく、この場合、剛性がより向上する。
【0067】なお、上記実施例では、熱可塑性樹脂から
なる第1バインダーは紙力増強用のPAAを、熱硬化性
樹脂からなる第2バインダーはEPAを、熱可塑性樹脂
からなる第3バインダーはPAA、AAを、熱可塑性樹
脂からなる第4バインダーはDMAEMを使用している
が、本発明を実施する場合には、これに限定されるもの
ではなく、それぞれ他の合成高分子、天然高分子を使用
することもできる。そして、熱可塑性樹脂及び熱硬化性
樹脂に用いる樹脂はそれぞれ1種類でもよく、或いは2
種類以上混合してもよい。
【0068】また、上記実施例のセピオライト、補強
材、各バインダーの混合比率は、これに限定されるもの
ではなく、物性、濾水性、製法、用途等に応じて最適な
ものを選定すればよい。
【0069】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明の強化不
燃シートは、主材としてのセピオライトと、熱可塑性樹
脂からなる固着用の第1バインダーと、熱硬化性樹脂か
らなる凝集、耐水用の第2バインダーとを必須成分とし
たスラリーを抄造してなる不燃シートと、この不燃シー
トの層間に挟着された無機クロスとからなるものであ
る。したがって、セピオライトに第1バインダー及び第
2バインダーを加えて抄造したシートは、主成分が無機
繊維であるセピオライトであることにより、不燃性を有
するとともに、水に対して安定で、廉価に製造できる。
また、各バインダーによりシートの強度を向上でき、抄
造における濾水性を向上させてシートの形成を容易化で
きる。更に、不燃シートの層間に無機クロスが挟着され
ているので、強度物性が向上する。
【0070】また、請求項2の発明の不燃性シートは、
主材としてのセピオライトと、アニオン系の熱可塑性樹
脂からなる固着用の第1バインダーと、カチオン系の熱
硬化性樹脂からなる凝集、耐水用の第2バインダーと、
アニオン系の熱可塑性樹脂からなる凝集用の第3バイン
ダーと、カチオン系の熱可塑性樹脂からなる凝集用の第
4バインダーとを必須成分としたスラリーを抄造してな
る不燃シートと、この不燃シートの層間に挟着された無
機クロスとからなるものである。したがって、第1バイ
ンダー及び第2バインダーを加えた後、カチオンサイド
になっているスラリーにアニオン系の凝集剤である第3
バインダーを加えると、フロックは粗大化し、次いで、
カチオン系の凝集剤である第4バインダーを加えると、
前記フロックは疎水化し、強固となる。これによって、
シート形成における濾水性を更に向上することができ
る。
【0071】更に、請求項3の発明の強化不燃シート
は、請求項1または請求項2に記載のスラリーに補強材
としての無機繊維を必須成分として加えたものである。
したがって、請求項1または請求項2の効果に加えて、
強度物性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例の強化不燃シートにお
ける強化不燃シートの製造工程の概略を示す説明図であ
る。
【図2】図2は本発明の一実施例の強化不燃シートにお
ける湿シートのPAAによる変化を示す表図である。
【図3】図3は本発明の一実施例の強化不燃シートにお
ける湿シートの紙力増強剤の添加と濾水性による変化を
示す表図である。
【図4】図4は本発明の一実施例の強化不燃シートにお
ける不燃シートのEPAの増減による物性傾向を示す表
図である。
【図5】図5は本発明の一実施例の強化不燃シートにお
ける試料と市販の試料との水中伸度を比較した表図であ
る。
【符号の説明】
1 解繊工程 2 原料混合工程 3 処理工程 4 蓄積工程 5 抄造工程 6 クロス挟着工程 7 乾燥工程

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主材としてのセピオライトと、熱可塑性
    樹脂からなる固着用の第1バインダーと、熱硬化性樹脂
    からなる凝集、耐水用の第2バインダーとを必須成分と
    したスラリーを抄造してなる不燃シートと、 前記不燃シートの層間に挟着された無機クロスとを具備
    することを特徴とする強化不燃シート。
  2. 【請求項2】 主材としてのセピオライトと、アニオン
    系の熱可塑性樹脂からなる固着用の第1バインダーと、
    カチカン系の熱硬化性樹脂からなる凝集、耐水用の第2
    バインダーと、アニオン系の熱可塑性樹脂からなる凝集
    用の第3バインダーと、カチオン系の熱可塑性樹脂から
    なる凝集用の第4バインダーとを必須成分としたスラリ
    ーを抄造してなる不燃シートと、 前記不燃シートの層間に挟着された無機クロスとを具備
    することを特徴とする強化不燃シート。
  3. 【請求項3】 前記スラリーに、補強材としての無機繊
    維を必須成分として追加したことを具備することを特徴
    とする強化不燃シート。
JP4039910A 1991-03-16 1992-02-27 強化不燃シート Pending JPH05280121A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-51774 1991-03-16
JP5177491 1991-03-16

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ID=12896296

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JP4039910A Pending JPH05280121A (ja) 1991-03-16 1992-02-27 強化不燃シート

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6259394B1 (en) 1998-09-04 2001-07-10 Tdk Corporation Electric wave absorber

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US6259394B1 (en) 1998-09-04 2001-07-10 Tdk Corporation Electric wave absorber

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