JP3155143B2 - 不燃性シート - Google Patents

不燃性シート

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JP3155143B2
JP3155143B2 JP05214294A JP5214294A JP3155143B2 JP 3155143 B2 JP3155143 B2 JP 3155143B2 JP 05214294 A JP05214294 A JP 05214294A JP 5214294 A JP5214294 A JP 5214294A JP 3155143 B2 JP3155143 B2 JP 3155143B2
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鍵三 林
宏三 林
恭一 藤本
孝次 土屋
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株式会社常盤電機
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、壁装材、耐熱化粧板の
表装材、或いは各種建材のコア材等に用いられる不燃性
シートに関するもので、特に、石綿紙代替品としての不
燃性と耐熱性を有し、しかも、表面の平滑性に優れた不
燃性シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、火災事故の防止に係わる社会的ニ
ーズのもとに、建築素材などと共に建築内装材などで防
炎・耐火といった問題が取上げられ、かなり厳しく規制
されるようになった。壁装材を始めとする紙等のシート
材料もその例にもれず、「燃えない・熱に強い」いわゆ
る防炎性・不燃性シート(紙)の市場の要求は高い。
【0003】従来、汎用な燃えない紙とは、無機繊維で
は石綿繊維紙が代表とされていた。この石綿繊維紙は難
燃、耐熱、高強度、易生産性、廉価等すべての面で卓越
しており、有機繊維では困難な応用の領域をカバーし、
幅広い用途を持っていた。
【0004】石綿は通常かんらん石や輝石などの鉱石
が、高圧下の地殻中で地熱と地下水の水熱作用によっ
て、蛇紋岩や角閃岩となって繊維状に晶結したものであ
る。そのなかで、製紙原料として用いられる品種は、蛇
紋岩系のクリソタイル石綿が多く、その化学式は、3M
gO・2SiO2 ・2H2 Oである。繊維直径は20〜
40nmと極めて細く、柔軟性である。硬度は2.5〜
4.0と低く、ブレーキなどの摩擦材に使われていたの
もこの点にある。また、これを抄紙する場合、結晶水を
包含しているので水とのなじみが良い。他の添加物との
混合においては、クリソタイルは水中での帯電がカチオ
ンであるので、吸着、補集性が良い。この物性は紙シー
トにすると、強く、燃えなく、柔かく、平滑性があって
抄き易いなど無機繊維としての利点がある。
【0005】ところが、周知のように、石綿は健康を害
する作用があるため、日本においてはその使用が徐々に
規制されるようになった。また、西欧においてはほぼ全
面的に使えない状態にある。
【0006】そのため、石綿繊維が使えない面を他の繊
維を利用して代替する開発が社会的、産業的見地から急
務とされ、高性能な無機繊維或いはウィスカ等の新素材
の開発と共に、各所において盛んな研究がなされてい
る。そして、現在では、例えば、ピッチ系汎用炭素繊
維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ−シリカ繊維、ガ
ラス繊維等が普及的に使われている。他に、石膏繊維、
塩基性硫酸マグネシウム繊維、リン酸繊維、ピロホウ酸
マグネシウム繊維等も使用されている。しかしながら、
これらの繊維は用途、生産性、価格等において石綿の代
替となる域には達していないのが実状である。
【0007】こうした中で、本出願人は、繊維状のケイ
酸マグネシウム鉱物であるセピオライトに着目し、これ
を主材として抄造した不燃性シートを開発し、先の出願
において提案した(特開平5−280121号公報)。
また、同様に、繊維状の水酸化マグネシウム鉱物を主材
として抄造した不燃性シートも提案した(特開平5−2
79986号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本出願人の提案にかか
るこれらの不燃性シートは、無機物を主材とするために
不燃性、耐火性に優れ、しかも、天然に産出する鉱物を
使用できるために廉価に製造することができる。また、
それらの天然鉱物の繊維粒子は水分散性がよく、また固
結性にも優れているので、抄造が容易であり、それよっ
て低コストでシートを製造することができる。
【0009】このように、これらの不燃性シートは、優
れた不燃性、耐火性を有し、しかも低コストで製造でき
る等、石綿繊維紙の代替品として優れた効果を有するも
のであった。しかしながら、それらの不燃性シートにお
いて主材とされるセピオライトまたは水酸化マグネシウ
ム鉱物の繊維は、石綿繊維と同程度には細くなく、ま
た、柔軟性においても劣っている。そのため、抄造によ
って得られたそれらの不燃性シートはその表面の木目が
粗くなる傾向があり、特に表装材として使用する用途等
においては、石綿繊維紙と同程度には表面の平滑性にお
いてなお不十分な傾向にあった。
【0010】そこで、本発明は、優れた不燃性、耐火性
を有すると共に低コストで製造でき、しかも表面の平滑
性に優れた不燃性シートの提供を課題とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる発明の
不燃性シートは、板状粒子からなるブルーサイトを主材
として含むスラリーを抄造してなるものである。
【0012】ここで、ブルーサイト(brucite
水滑石)は、主に蛇紋岩地域に脈状または塊状に産出す
る水酸化マグネシウム(Mg(OH)2 )鉱物である。
このブルーサイトの原石としては、中国遼寧省で産出さ
れるものが代表的であり、クリソタイル石綿を含有しな
い高品質なものとして知られている。そして、本発明に
おいて、このブルーサイトは、原石をジェット粉砕機等
で微粒子状に粉砕した不定形板状(偏平状)の粒子形態
のものとして用いられる。その粒子の大きさは、得られ
る不燃性シートの平滑性、可撓性等の点で、平均粒径に
おいて一般に0.5〜20μm程度であることが好まし
く、より好ましくは、2〜10μm程度である。
【0013】そして、この板状粒子からなるブルーサイ
トは、その水酸基によって固結性、吸着性に優れている
と共に、水とのなじみ性にも優れ、水中においてカチオ
ンに帯電して容易に分散する。このため、抄造によって
容易にシートを形成することができ、また、形成された
シートは十分な形状保持性を有する。したがって、この
板状粒子からなるブルーサイトは単独で使用されること
もできるが、好ましくは、以下のようにバインダ等と合
わせて使用される。
【0014】すなわち、請求項2にかかる発明の不燃性
シートは、請求項1おけるスラリーに、高分子化合物か
らなるバインダを更に添加したものである。
【0015】このバインダとしては、グアーガム、でん
ぷん等の天然高分子化合物も使用可能であるが、好まし
くは、合成物である合成樹脂が使用される。そして、合
成樹脂としては、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂脂のいず
れも適宜に用いることができ、好ましくは、凝集剤とし
ての作用を合わせて有するカチオン系、アニオン系、ま
たはノニオン系のものが使用される。熱可塑性樹脂は、
主に不燃性シートの乾燥時の紙力を高め、例えば、ポリ
アミド、ポリアクリルアミド等が代表的である。また、
熱硬化性樹樹脂は、主に不燃性シートの湿潤時の紙力を
高め、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン
−ホルムアルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリア
ミド樹脂、等が代表的である。そして、これらの高分子
化合物からなるバインダはそれぞれ単独で、または組合
わせて使用されることができるが、不燃性シートにおい
て一般に5重量%までの割合で含まれるように調整され
る。5重量%を越えると一般に不燃性シートの可撓性が
低下し、また不燃性が不十分となる傾向にあるからであ
る。しかし、これは限定的ではなく、用いる高分子化合
物によっては5重量%以上の割合で含まれることもでき
る。
【0016】また、請求項3にかかる発明の不燃性シー
トは、請求項1または請求項2におけるスラリーに、セ
ピオライトを必須成分として追加したものである。
【0017】このセピオライトは、通称、マウンテンレ
ザー(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと
呼ばれている粘土鉱物で、日本における海泡石もこの一
種である。外観はコルク状であったり、レザー状であっ
たり、まっ白な柔かい塊であったりするが、一般には繊
維性を持ったケイ酸マグネシウムの塊である。そして、
その表面には反応性に富んだ水酸基を有し、吸着性、揺
変性、固結性などの基本的な性質がある。本発明におい
て、このようなセピオライトは、主に不燃性シートの固
結性をより高めるために用いられ、主材としての板状粒
子からなるブルーサイトに対して、その等量以下の任意
の割合で使用することができる。
【0018】更に、請求項4にかかる発明の不燃性シー
トは、請求項1乃至4におけるスラリーに、補強繊維を
必須成分として追加したものである。
【0019】この補強材としての繊維は、ガラス繊維、
ロックウール繊維、カーボン繊維、ステンレス繊維等の
無機繊維が好ましく、不燃性シートに一般に3〜20重
量%の割合で配合することができる。木材パルプまたは
これを難燃化したリン酸パルプ、或いはアラミド繊維等
の有機繊維も使用することができるが、その配合量は、
不燃性と熱分解後の保形性を十分なものとするために、
5重量%以下であることが好ましい。しかし、5重量%
以上とすることも必要に応じて可能であり、要求される
不燃性と耐火性の度合によっては、30重量%程度の配
合も可能である。ただし、この場合は、主材としてのブ
ルーサイトの板状粒子は、パルプ等の紙材におけるフィ
ラとして作用することになる。
【0020】なお、これらの発明の詳細と更なる態様に
ついては、後の実施例と共に更に詳細に説明する。
【0021】
【作用】請求項1の発明にかかる不燃性シートにおいて
は、板状粒子からなるブルーサイトを主材とするため、
優れた不燃性、耐火性を有する。特に、水酸化マグネシ
ウム鉱物であるブルーサイトは加熱時の熱分解によって
水分を発生するために、その消炎作用によって優れた不
燃性、耐火性が発揮される。また、ブルーサイトは天然
に多量に産出する鉱物として安価に入手でき、しかも、
固結性、吸着性に優れ、水中分散性もよいので、その不
燃性シートを抄造によって低コストで製造することがで
きる。更に、ブルーサイトは板状の粒子の形態であるた
めに、充填性がよく、木目細かな、平滑性に優れた表面
を形成することができる。
【0022】また、請求項2の発明にかかる不燃性シー
トにおいては、請求項1におけるスラリーに、高分子化
合物からなるバインダを更に添加したので、上記の作用
に加えて、抄造された不燃性シートの紙力を増強させる
ことができる。
【0023】請求項3の発明にかかる不燃性シートにお
いては、請求項1または請求項2におけるスラリーに、
セピオライトを必須成分として追加したので、上記の作
用に加えて、抄造された不燃性シートの固結性を更に高
めることができる。
【0024】請求項4の発明にかかる不燃性シートにお
いては、請求項1乃至請求項3におけるスラリーに、補
強繊維を必須成分として追加したので、上記の作用に加
えて、抄造された不燃性シートの物理的強度を更に高め
ることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0026】図1は本発明の不燃性シートの一般的な製
造工程の概略を示す工程図である。図1のように、本発
明の不燃性シートは抄造によって製造され、板状粒子か
らなるブルーサイトを主材とする原材料を水中に均一に
分散させ、抄紙のためのスラリーを形成するスラリー形
成工程Aと、形成したスラリーを抄紙機を用いて抄紙す
る抄紙工程Bと、抄紙工程で形成された湿った紙層を圧
搾して脱水し、次いで乾燥する乾燥工程Cとからなる。
【0027】本実施例においては、主材として、平均粒
径2.5μm(325メッシュ)の板状(偏平状)粒子
からなるブルーサイトを使用した(昭和鉱業株式会社製
フォートライトPC−1000)。この板状粒子から
なるブルーサイト(以下、単に板状ブルーサイトとい
う)は、中国遼寧省で産出されたブルーサイト原石をジ
ェット粉砕機によって微細な粒子に粉砕したもので、次
の化学分析値を有し、クリソタイル石綿を含有しないも
のである。
【0028】
【表1】
【0029】そして、スラリー形成工程Aにおいて、上
記の板状ブルーサイト4重量部と、予め解繊したセピオ
ライト1重量部と、水300重量部とを混合タンクに入
れ、均一な分散が得られまで十分混合した。次いで、こ
の板状ブルーサイトとセピオライトが均一に分散したス
ラリーに、主に凝集のためのバインダとして、ノニオン
系であるポリエチレンオキシド(PEO)0.5%水溶
液を10重量部配合し、更に混合した。これによって、
板状ブルーサイトとセピオライトの凝集フロックが容易
に形成された。なお、このように形成したスラリーの配
合は、まとめると、次のものである。
【0030】
【表2】
【0031】次に、抄紙工程Bにおいて、板状ブルーサ
イトとセピオライトの凝集フロックが形成されたスラリ
ーを抄紙機によって抄紙した。ここでは、短網式抄紙機
を用い、また、80メッシュの抄網を使用した。そし
て、この抄紙工程Bにおいて、上記のスラリーをその抄
網の上方から流下させると、スラリー中の凝集フロック
と水とは抄網上で速やかに分離して、紙層が形成され
た。なお、ここでは抄紙機として短網式のものを用いた
が、長網式等の他の形式の抄紙機も任意に使用すること
ができる。また、抄網の目の大きさは、板状ブルーサイ
トの粒径等に応じて、適宜選定することができる。
【0032】そして、次の乾燥工程Cにおいて、抄紙工
程Bで得られた湿った紙層を、プレスをかけて脱水し、
オーブン中で120℃で5分間乾燥した。これによっ
て、その紙層の内部の水分が揮散し、板状ブルーサイト
とセピオライトが乾燥固化した厚さ約0.5mmのシート
が得られた。
【0033】得られたシートは、表面の平滑性に優れ、
木目細かで、ソフト感があり、また滑り性を有するもの
であった。また、このシートは紙材としの柔軟性を有
し、曲げにも容易に追従し、しかも、その際シートを形
成する材料が粉状に剥れ落ちるようなことはなかった。
更に、ガスバーナの炎を当てて着火の有無を確認したと
ころ、完全な不着火性を示した。また、耐熱試験を行っ
たところ、600℃、800℃の加熱後にも形状を保持
し、板状ブルーサイトの脱落は見られなかった。ただ
し、そのシート強度は低下した。
【0034】このように、本実施例の不燃性シートは、
板状ブルーサイトを主材として含むスラリーを抄造して
なるものである。このため、優れた不燃性、耐火性を有
している。また、この板状ブルーサイトは、天然鉱物で
あるために安価に入手でき、しかも、水中分散性、凝集
フロック形成性がよくスラリーの調整が容易であると共
に抄紙時の水との分離性(濾水性)もよいので、シート
の抄造を容易に行うことができる。このため、この板状
ブルーサイトを主材とする不燃性シートは、低コストで
製造することができる。更に、主材としてのブルーサイ
トは板状粒子からなるために、充填性がよく、緻密な組
織構造を形成すると共に、シートの表面において良好に
配向する。このため、平滑性に優れた表面を形成するこ
とができる。
【0035】また、本実施例では、主材としの板状ブル
ーサイトに更にセピオライトが加えられている。このた
め、シートの固結性がより高められ、その強度が増強さ
れている。また、ブルーサイトは300〜400℃で熱
分解して酸化マグネシウムに変るが、セピオライトは、
800℃以上の熱安定性を有するので、高温加熱時のシ
ートの形状保持性にも優れた作用を発揮する。なお、本
実施例では、板状ブルーサイト4重量部に対してセピオ
ライトを1部加えているが、このセピオライトは、板状
ブルーサイトに対してその等量以下であれば、適宜な割
合において配合することができる。ただ、セピオライト
の多い配合はシート表面の平滑性を低下させる傾向があ
り、したがって、その配合は、板状ブルーサイト100
重量部に対して10〜40重量部程度が好ましい。
【0036】なお、上記の実施例のスラリーには更に補
強繊維を加えることができ、それによって、不燃性シー
トの物理的強度を更に高めることができる。そのスラリ
ーの配合例を以下に示す。
【0037】
【表3】
【0038】このスラリー配合例2は、配合例1のスラ
リーに、補強繊維としてのガラス繊維を更に0.5重量
部加えたものであり、ここでは、繊維長さ約6mmのガラ
ス繊維が使用されている。そして、ガラス繊維が無機質
であるために、得られた不燃性シートは、その不燃性、
耐火性が維持される一方、物理的強度、特に曲げに対す
る強度が高められる。また、ガラス繊維が混入されるこ
とによって、固い感じの不燃性シートに対して、柔らか
な風合が与えられている。なお、補強繊維としては、こ
のガラス繊維に限らず、各種の繊維を使用することがで
きる。例えば、カーボン繊維、ロックウール繊維等の鉱
物繊維、ステンレス繊維等の金属繊維、チタン酸カリウ
ム繊維等のセラミック繊維またはウィスカー、石膏繊維
等の無機化合物繊維、等である。しかし、材料コスト、
凝集効果等の点からガラス繊維が最適である。そして、
これらの無機質繊維は、不燃性シート全体に対して、一
般に3〜20重量%配合することができる。また、補強
繊維としては、無機質繊維だけでなく、木材パルプ、ま
たはこれを難燃化したリン酸パルプ、アラミド繊維等の
織物繊維、等の有機質繊維も使用することができる。た
だし、その配合量は、不燃性、耐火性と熱分解後の保形
性を十分なものとするために、不燃性シート全体に対し
て5重量%以下であることが好ましい。しかし、パルプ
等は、繊維が細くまた柔軟であるために、無機質繊維の
ようにシートの表面の平滑性を損ねることがないので、
要求される不燃性と耐火性の度合によっては、30重量
%程度の配合も可能である。そして、実際に、板状ブル
ーサイト70重量部とパルプ30重量部からなるシート
を作成し、ガスバーナによる燃焼試験を行ったが、僅か
な黒煙を発生し黒色化するだけで、完全な不着火性を示
した。これは、ブルーサイトが消炎効果を有し、加熱時
に水分を発生するからである。
【0039】また、上述のスラリーの配合例において
は、バインダとしてのポリエチレンオキシドは、スラリ
ーを凝集させ、またフロックが抄網上に保持されるため
に必要な最小限度で使用されている。この場合において
も、形成されたシートにはポリエチレンオキシドが僅か
ではあるが含まれ、紙力は増強されている。しかしなが
ら、紙力の増強を積極的に図るために、この種の高分子
化合物からなるバインダを更に多く加えることもでき
る。その例を示す。
【0040】
【表4】
【0041】この配合例3は、配合例2のスラリーに、
ポリビニルアルコール(PVA)の10%水溶液を0.
5重量部更に加えたものである。そして、この例の場
合、ポリビニルアルコールは、主にその接着作用によ
り、抄紙直後の紙層の強度を高める作用も有している。
このため、この配合例によるスラリーは、特に、高速で
抄紙する場合に適したものである。
【0042】
【表5】
【0043】この配合例4は、配合例2のスラリーに、
熱可塑性樹脂であるポリエステルの水性エマルジョン
(20%)を0.5重量部更に加えたものである。この
配合によれば、ポリエステルは板状ブルーサイト等と共
に抄紙され、その後の乾燥工程において融着することに
よって、得られる不燃性シートの紙力を増強する。
【0044】バインダとしては、これらの例以外にも、
種々の高分子化合物を使用することができる。特に、不
燃性シートの紙力を増強するためには、合成の高分子化
合物である熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を好適に使
用することができ、熱可塑性樹脂は主に乾燥時の不燃性
シートの紙力を増強することができ、また、熱硬化性樹
脂は主に乾燥時だけでなく、湿潤時の不燃性シートの紙
力を増強することができる。そして、熱可塑性樹脂とし
ては、上記のポリエステルの他に、ポリアミド、ポリア
クリルアミド等のアクリル系重合体または共重合体、等
を使用することができる。また、熱硬化性樹樹脂として
は、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−
ホルムアルデヒド樹脂、エピクロルヒドリン系ポリアミ
ド樹脂、等を使用することができる。なお、これらの樹
脂は、凝集剤としての作用を生じるために、必要に応じ
てカチオン性又はノニオン性に変性することができる。
そして、これらのバインダはそれぞれ単独で、または組
合わせて使用されることができるが、不燃性シートにお
いて一般に5重量%までの割合で含まれるように調整さ
れる。
【0045】なお、板状ブルーサイトを主材として含む
スラリーには、これまでに説明した高分子化合物からな
るバインダ、セピオライト、補強繊維の他にも、種々の
材料を加えることができる。例えば、コロイドシリカを
添加することができ、それによって、不燃性シートの白
色度を増し、また、シートを強化することができる。ま
た、合成膨潤性雲母または合成スメクタイトを添加する
ことができ、それによって、不燃性シートの表面の平滑
性を高め、ソフト感を高めることができる。
【0046】以上のように、本発明の不燃性シートは、
優れた不燃性、耐火性を有し、また、表面の平滑性にも
優れているので、幅広い種々の分野に利用できる。例え
ば、壁装材等の建築内装材、建材表装材等として使用で
き、また、建材或いは炉壁等の芯材として使用されるハ
ニカムコア、ロールコア等のコアを形成するための紙材
として利用することができる。更に、シール材、ガスケ
ット、パッキング、アスファルトルーヒング、クッショ
ンフロアー等の用途にも利用することができる。そし
て、それらの用途に応じて、本発明の不燃性シートには
適宜の表面処理等を施すことができる。また、本発明の
不燃性シートは、金属箔或いはガラス繊維クロス等を積
層することによって、強度の高い不燃性のシート材料と
することができる。更に、本発明の不燃性シートは消炎
作用を有するので、これをパルプ紙等の可燃性のシート
材料に積層することによって、その可燃性のシート材料
に不着火性或いは非燃焼性を付与することもできる。
【0047】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明にかかる
不燃性シートは、板状粒子からなるブルーサイトを主材
として含むスラリーを抄造してなるものである。
【0048】したがって、この不燃性シートは、水酸化
マグネシウム鉱物であるブルーサイトの板状粒子を主材
とするため、優れた不燃性、耐火性を有する。また、板
状粒子からなるブルーサイトは、天然に多量に産出する
安価な鉱物であり、しかも、固結性に優れ、水中分散性
等もよいので抄造が容易であるために、低コストで不燃
性シートを製造することができる。そして、ブルーサイ
トが板状の粒子からなるために、緻密で、平滑性に優れ
た表面を形成することができる。
【0049】また、請求項2の発明にかかる不燃性シー
トにおいては、請求項1におけるスラリーに、高分子化
合物からなるバインダを更に添加したので、上記の効果
に加えて、抄造された不燃性シートの紙力をより増強さ
せることができる。
【0050】請求項3の発明にかかる不燃性シートにお
いては、請求項1または請求項2におけるスラリーに、
セピオライトを必須成分として追加したので、上記の効
果に加えて、抄造された不燃性シートの固結性を更に高
めることができる。
【0051】請求項4の発明にかかる不燃性シートにお
いては、請求項1乃至請求項3におけるスラリーに、補
強繊維を必須成分として追加したので、上記の効果に加
えて、抄造された不燃性シートの強度物性を更に高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の不燃性シートの一般的な製造工
程を示す工程図である。
【符号の説明】
A スラリー形成工程 B 抄紙工程 C 乾燥工程
フロントページの続き (72)発明者 土屋 孝次 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会 社常盤電機内 (56)参考文献 特開 平5−279986(JP,A) 特開 平6−134901(JP,A) 特開 平6−136688(JP,A) 特開 平5−148798(JP,A) 特開 平3−220393(JP,A) 特開 平4−185799(JP,A) 特開 昭60−27639(JP,A) 特開 昭61−179400(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 11/00 - 27/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状粒子からなるブルーサイトを主材と
    して含むスラリーを抄造してなることを特徴とする不燃
    性シート。
  2. 【請求項2】 前記スラリーに、高分子化合物からなる
    バインダを更に添加したことを特徴とする請求項1に記
    載の不燃性シート。
  3. 【請求項3】 前記スラリーに、セピオライトを必須成
    分として追加したことを特徴とする請求項1または請求
    項2に記載の不燃性シート。
  4. 【請求項4】 前記スラリーに、補強繊維を必須成分と
    して追加したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれか1項に記載の不燃性シート。
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