JP2009033335A - 増幅回路および増幅回路の制御方法、増幅装置、ならびに、再生装置 - Google Patents

増幅回路および増幅回路の制御方法、増幅装置、ならびに、再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】音量調整のためにD級増幅回路の出力段に供給する電圧を変化させても、歪率が一定に保たれるようにする。
【解決手段】LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGaは、VG生成部により電圧値が固定的に生成された電圧VGを用いる。HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGは、電圧VGと、音量調整に応じて可変される電源電圧VDVとを加算回路11で加算することで生成する。電源電圧VDVの変化に関わらず、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGの振幅域が一定電圧VGに維持される。HiサイドおよびLoサイドのトランジスタQ10およびQ11におけるON抵抗のバランスを、電源電圧VDVに関わらず一定に保てるので、歪率が電源電圧VDVの変化に対して安定化される。
【選択図】図2

Description

この発明は、D級動作でオーディオ信号の増幅を行う増幅回路および増幅回路の制御方法、増幅装置、ならびに、再生装置に関し、特に、出力段に供給される電源電圧を可変することで音量調整を行う構成に関する。
近年では、オーディオ信号を増幅する増幅方式として、オーディオ信号をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)やPDM(Pulse Density Modulation:パルス密度変調)して時間情報を持つ2値化された1ビットディジタル信号に変換し、この1ビットディジタル信号を増幅するようにした、所謂D級増幅方式が普及している。増幅された1ビットディジタル信号は、ローパスフィルタにより積分され、スピーカなどに出力される。D級増幅方式による増幅回路(以下、D級増幅回路と呼ぶ)は、リニアアンプと比べて電力変換効率が高く、また、原理上は無歪、無雑音であるので、携帯用の音楽再生装置から大型アンプに至るまで、広汎に利用されるようになってきている。特許文献1には、より電力効率を高めたD級増幅回路の構成例が記載されている。
特開2005−130061号公報
図16は、従来の技術によるD級増幅回路の一例の構成を概略的に示す。この例では、PWMにより1ビットディジタル信号を得ている。ディジタルオーディオ信号が端子200から入力され、PWM回路201に入力される。PWM回路201は、ディジタルオーディオ信号を振幅(レベル)に応じたデューティーのPWM信号に変調する。PWM信号は、ドライブ回路202に供給される。ドライブ回路202は、デッドタイム生成回路、レベルシフタ、ゲートドライブ回路などからなり、入力されたPWM信号を、出力段のスイッチング素子としてのトランジスタを駆動するのに適した、互いに反転し振幅を増幅された2本の駆動信号として出力する。
出力段は、この例では、2個のトランジスタQ110およびQ111を組み合わせ、単電源で電源を供給するハーフブリッジ型が用いられる。トランジスタQ110およびQ111は、例えば、それぞれNチャンネルのパワーMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられ、スイッチング素子として駆動される。HiサイドのトランジスタQ110に対して、ドレイン電極に単電源による電源電圧VDDが供給される。トランジスタQ110のソース電極がLoサイドのトランジスタQ111のドレイン電極に接続され、トランジスタQ111のソース電極が接地電位GNDに接続される。また、トランジスタQ110およびQ111のゲート電極には、ドライブ回路202から出力された、互いに反転する駆動信号がそれぞれ入力される。
出力段に入力されたPWM信号は、トランジスタQ110およびQ111において電源電圧VDDまで振幅を引き上げられる。この振幅がVDDまで引き上げられたPWM信号が、トランジスタQ110およびQ111の結合点から出力として取り出され、LCフィルタで構成されるフィルタ回路203に供給される。この出力PWM信号は、フィルタ回路203で積分されて高調波成分が取り除かれアナログオーディオ信号とされ、例えばスピーカ204などに出力される。
D級増幅回路において、音量調整を行うためには、入力されるディジタルオーディオ信号のレベルを可変とする方法と、出力段においてトランジスタQ110に供給される電源電圧VDDを可変とする方法とが考えられる。これらの方法のうち、電源電圧VDDを可変とする方法は、データ解像度の劣化が生じないため、入力ディジタルオーディオ信号のレベルを可変にする方法に対して有利である。
ここで、上述した図16の構成において、音量調整のために電源電圧VDDを可変とした場合について考える。図17に例示されるように、電源電圧VDDは、0V〜2Vの範囲で可変とされるものとする。また、トランジスタQ110およびQ111は、ON電圧が2Vであるものとする。
駆動するトランジスタQ110およびQ111のゲート電圧は、HiサイドのトランジスタQ110が完全にON状態にできる電圧にする必要がある。そのため、従来では、トランジスタQ110およびQ111のゲート電極に対して常に同じ一定のゲート駆動電圧を加えていた。この方式の場合、LoサイドのトランジスタQ111は、ソース電極が接地電圧となっているので、ゲート電極に対してON電圧の2Vをゲート駆動電圧として加えればよい。
一方、HiサイドのトランジスタQ110は、ソース電極に出力が現れるため、ソース電極の電圧が0Vから電圧VDDの間で変化する。VDDの最大値VDDMAXは、2Vなので、ゲート電極に対して電圧VGb=VDDMAX(2V)+ON電圧(2V)=4Vを加える。
この条件の下で、音量調整のために電圧VDDを変化させ、例えば電圧VDD=1Vにすると、トランジスタQ110のソース電極の電圧が1Vとなる。そのため、トランジスタQ110のゲート−ソース間電圧VGSは、3Vとなり、トランジスタQ110のゲート−ソース間電圧VGSを可変したことになってしまう。これにより、トランジスタQ110のON抵抗が変化することになる。
ここで、D級増幅回路の出力特性として、歪率が決定される要因の一つに、HiサイドのトランジスタQ110のON抵抗と、LoサイドのトランジスタQ111のON抵抗とのバランスがある。これらトランジスタQ110およびQ111との間でON抵抗のバランスが崩れると、歪率も悪化する。すなわち、音量調整のためにVDDを可変とすると、Hiサイド側のトランジスタQ110のON抵抗が大きく変化してしまい、出力信号における歪率が悪化してしまうという問題点があった。この歪率の悪化は、電源電圧を変化させることで、ゲート入力をオンする入力が入ってきても、トランジスタが完全なオン状態にならず、アナログ領域での動作になってしまうことに起因すると考えられる。
図18は、HiサイドのトランジスタQ110に供給する電源電圧VDDと、出力される信号の歪率との、実測値に基づく一例の関係を示す。縦軸が歪率THD%、横軸が電圧VDDを示す。なお、電圧VDD、トランジスタQ110およびQ111のON電圧の条件は、上述の図17の例と同等である。このように、電圧VDDの変化に対し、歪率THD%が略0.04%〜略0.2%の間で大きく変化している。HiサイドのトランジスタQ110のON抵抗と、LoサイドのトランジスタQ111のON抵抗とのバランスが良い状態で、歪率が最小となる。なお、歪率が最小となる点がトランジスタQ110およびQ111のON電圧である2Vからずれているのは、各素子間の特性のバラツキなどの要因によるものである。
このように、音量調整で音量を変化させることで歪率が変わってしまうことは、オーディオ製品に適用した場合に、好ましくないという問題点があった。
したがって、この発明の目的は、音量調整のためにD級増幅回路の出力段に供給する電圧を変化させても、歪率が一定に保たれるようにした増幅回路および増幅回路の制御方法、増幅装置、ならびに、再生装置を提供することにある。
第1の発明は、上述した課題を解決するために、1ビットディジタル信号処理されたオーディオ信号をD級動作で増幅する増幅回路において、電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子と、第1および第2のスイッチング素子のうち電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、電源電圧に対応して可変的に設定する駆動信号設定部とを有し、第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、電源電圧を可変させることで調整することを特徴とする増幅回路である。
また、第2の発明は、1ビットディジタル信号処理されたオーディオ信号をD級動作で増幅する増幅回路の制御方法において、電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、電源電圧を可変させることで調整するようにされ、第1および第2のスイッチング素子のうち電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、電源電圧に対応して可変的に設定するようにしたことを特徴とする増幅回路の制御方法である。
また、第3の発明は、オーディオ信号を1ビットディジタル信号に変調する1ビットディジタル信号処理部と、電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子と、第1および第2のスイッチング素子のうち電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、電源電圧に対応して可変的に設定する駆動信号設定部とを備え、第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、電源電圧を可変させることで調整するようにされ、1ビットディジタル信号処理部で1ビットディジタル信号に変調されたオーディオ信号を第1および第2のスイッチング素子を用いてD級動作で増幅する増幅部と、増幅部で増幅された1ビットディジタル信号に変調されたオーディオ信号から高調波成分を取り除くフィルタ部とを有することを特徴とする増幅装置である。
また、第4の発明は、記録媒体からオーディオデータを再生する再生部と、再生部で再生されたオーディオデータを1ビットディジタル信号に変調する1ビットディジタル信号処理部と、電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子と、第1および第2のスイッチング素子のうち電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、電源電圧に対応して可変的に設定する駆動信号設定部とを備え、第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、電源電圧を可変させることで調整するようにされ、1ビットディジタル信号処理部で変調された信号を第1および第2のスイッチング素子を用いてD級動作で増幅する増幅部と、増幅部で増幅された1ビットディジタル信号に変調された信号から高調波成分を取り除くフィルタ部とを有することを特徴とする再生装置である。
上述したように、この発明は、1ビットディジタル信号処理されたオーディオ信号をD級動作で増幅する際に、電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、電源電圧を可変させることで調整するようにされ、第1および第2のスイッチング素子のうち電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、電源電圧に対応して可変的に設定するようにしているため、電源電圧の変化に関わらず電源電圧側に接続されるスイッチング素子の振幅域を一定に設定することができ、それにより第1および第2のスイッチング素子のON抵抗のバランスを電源電圧の変化に関わらず良好に維持することができるため、歪率が電源電圧の変化に対して略一定に保たれる。
この発明は、上述のように、1ビットディジタル信号処理されたオーディオ信号をD級動作で増幅する際に、電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、電源電圧を可変させることで調整するようにされ、第1および第2のスイッチング素子のうち電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、電源電圧に対応して可変的に設定するようにしているため、電源電圧の変化に関わらず電源電圧側に接続されるスイッチング素子の振幅域を一定に設定することができ、それにより第1および第2のスイッチング素子のON抵抗のバランスを電源電圧の変化に関わらず良好に維持することができるため、歪率が電源電圧の変化に対して略一定に保たれる効果がある。
以下、この発明の実施の第1の形態を、図面を参照しながら説明する。この発明では、図1に概略的に示されるように、D級増幅回路の出力段のHiサイドのトランジスタQ10のゲート−ソース間電圧Vgsと、LoサイドのトランジスタQ11のVgsとにおいて、ゲート−ソース間電圧Vgsとが、トランジスタQ10およびQ11に対する電源電圧Vの変化に関わらず互いに等しくなるように、ゲート駆動電圧の制御を行う。換言すれば、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧の振幅域を、電源電圧Vの変化に関わらず一定とする。
図1を参照し、LoサイドのトランジスタQ11は、ソース電極が接地電圧GNDとされるため、ゲート駆動電圧VGは、一義的に決定される。一方、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGは、電源電圧Vと連動している。そのため、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGと、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGとの間には、下記の式(1)の関係が成り立つ。
VG=VG+V ・・・(1)
すなわち、ゲート駆動電圧VGを一定とし、電源電圧Vの電圧値をゲート駆動電圧VGに加算した電圧値の電圧をゲート駆動電圧VGとして用いることで、この式(1)が実現されることになる。
図2は、上述の式(1)を実現するための、D級増幅回路の出力段における一例の構成を概略的に示す。D級増幅回路の出力段においては、HiサイドのトランジスタQ10とLoサイドのトランジスタQ11は、互いに反転したスイッチング動作を行うスイッチング素子として機能される。電源電圧VDVが、HiサイドのトランジスタQ10のドレイン電極に供給されると共に、加算回路11の一方の入力端に入力される。この電源電圧VDVは、音量調整のために可変とされている。ここでは、電源電圧VDVが0V〜2Vの範囲で可変されるものとする。HiサイドのトランジスタQ10のソース電極と、LoサイドのトランジスタQ11のドレイン電極とが接続され、接続点から出力が取り出される。LoサイドのトランジスタQ11のソース電極は、接地電圧GNDに接続される。
VG生成回路10は、固定値の電圧VGを発生させる。ここでは、電圧VGを、トランジスタQ10およびQ11のON電圧(例えば2V)と等しく設定している。VG生成回路10で生成された電圧VGは、加算回路11の他方の入力端に入力されると共に、LoサイドのトランジスタQ11を駆動するゲート駆動電圧VGとしてゲート駆動回路13に供給される。
加算回路11は、一方の入力端に入力された電源電圧VDVと、他方の入力端に入力された電圧VGとを加算する。加算回路11で電源電圧VDVと電圧VGとが加算された電圧が、HiサイドのトランジスタQ10を駆動するためのゲート駆動電圧VGとしてゲート駆動回路12に供給される。これにより、ゲート駆動電圧VGは、電源電圧VDVの変化に関わらず0V〜電圧VGの振幅域が維持されることになる。ゲート駆動回路12および13には、図示されない前段の回路から、互いに反転する1ビットディジタル信号がそれぞれ供給される。
なお、1ビットディジタル信号は、オーディオ信号を、例えばPWM(Pulse Width Modulation)またはPDM(Pulse Density Modulation)といった1ビットディジタル信号処理により変調して得る。
出力段において、HiサイドのトランジスタQ10が、ゲート駆動電圧VGに基づくゲート駆動回路12の出力で駆動される。同様に、LoサイドのトランジスタQ11が、ゲート駆動電圧VGに基づくゲート駆動回路13の出力で駆動される。出力段の出力がトランジスタQ10およびQ11の中点から取り出される。
図3は、上述の図2において、加算回路11の一例の構成をより具体的に示す。なお、図3において、図2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。この例では、加算回路11を2個のオペアンプOP1およびOP2を用いて構成している。アンプOP2は、アンプOP1の反転入力端に入力され反転されて出力される信号を、さらに反転して出力するために設けられる。
抵抗R2を介して供給される電源電圧VDVと、VG生成回路10から抵抗R1を介して供給される電圧VGとがアンプOP1の反転入力端に入力される。アンプOP1の非反転入力は、接地電圧GNDと接続される。また、アンプOP1の出力と反転入力との間に抵抗R3が接続される。アンプOP1の出力が抵抗R4を介してアンプOP2の反転入力端に入力される。アンプOP2の出力と反転入力との間に抵抗R5が接続される。アンプOP2は、反転入力端に入力された信号を反転して出力する。このアンプOP2の出力が、ゲート駆動電圧VGとしてゲート駆動回路12に供給される。
図4は、上述した図3の回路で、電源電圧VDVを0Vから最大値(この例では2V)まで変化させた場合の、各トランジスタQ10およびQ11におけるゲート駆動電圧VGおよびVGの変化をシミュレートした一例の結果を示す。これは、音量調整において音量を0から最大まで変化させた場合に相当する。なお、図4において、横軸が電源電圧VDVを示し、縦軸が各測定点での電圧値を示す。
図4から分かるように、電源電圧VDVを変化させても、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGは、2Vの電位で一定となっている。一方、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGは、電源電圧VDVの変化に伴い、電源電圧VDVと2V(すなわち電圧VG=ゲート駆動電圧VG)の電位差を保ちながら変化している。換言すれば、ゲート駆動電圧VGは、電源電圧VDVの変化に関わらず2V(電圧VG)の振幅域が保たれる。これにより、図3の回路構成で上述した式(1)が実現されることが確認できる。
図5は、上述した図3の回路に対応し、電源電圧VDVと出力される信号の歪率との実測値に基づく一例の関係を示す。縦軸が出力されるオーディオ信号の歪率THD%、横軸が電源電圧VDVを示す。図5から、電源電圧VDVの変化に対して、歪率THD%が略一定となっていることが分かる。このように、この発明の実施の第1の形態により、出力段のトランジスタに供給する電源電圧を変化させることで音量調整を行う構成において、音量調整に対する歪率を略一定とすることが可能とされ、オーディオ機器として適当な特性を得ることができた。
すなわち、既に説明したように、出力段に対する電源電圧VDVの値と、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGの値とを加算回路11により加算して、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGとすることで、当該ゲート駆動電圧VGの電圧が電源電圧VDVの電圧の変化に応じて変化する。したがって、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGは、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGよりも、常に電源電圧VDVの分だけ高い電圧を得ることができる。
これにより、トランジスタQ10およびQ11におけるゲート−ソース電圧Vgsが等しくなり、トランジスタQ10およびQ11のON抵抗が等しくなる。その結果、音量調整により出力段に対する電源電圧VDVを変化させても、HiサイドおよびLoサイドそれぞれのトランジスタQ10およびQ11におけるON抵抗のバランスが崩れることが無く、電源電圧VDVの変化に対して歪率を略一定に保つことが可能となる。
次に、この発明の実施の第2の形態について説明する。この実施の第2の形態は、実施の第1の形態で説明した、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGと、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGとを、電源投入時などに所定に漸増させるようにしたものである。これにより、電源投入時などに出力に現れるポップノイズを低減させることが可能となる。
電源投入時に発生するポップノイズについて、概略的に説明する。図6に例示されるように、単電源、ハーフブリッジタイプのD級増幅回路の出力段は、電源電圧Vに対して縦列接続されたHiサイドおよびLoサイドのトランジスタからなり、これらのトランジスタの接続点から取り出された1ビットディジタル信号による出力は、インダクタLとキャパシタC1とからなるLCフィルタ回路で積分され高調波成分が取り除かれる。ここで、単電源、ハーフブリッジタイプにおいては、出力が出力段の中点から取り出されるので、出力段に対する電源電圧Vの1/2の直流電圧が出力されることになる。そのため、大容量の電解コンデンサをカップリングコンデンサC2として出力に挿入し、このカップリングコンデンサC2で直流成分を取り除いた信号を、例えばスピーカである負荷SPに供給する。
電源投入時や起動時など、回路に最初に1ビットディジタル信号が入力されるときや、電源切断時やスリープ状態への移行時など、回路に入力されていた1ビットディジタル信号が途絶えるときなどは、入力される1ビットディジタル信号のデューティーが急激に変化する。LCフィルタ回路は、時定数が存在するので、デューティーの急激な変化に伴い電源電圧Vの波高値が過渡的にLCフィルタ回路を通過する。カップリングコンデンサC2が充電されていない場合、このようにしてLCフィルタ回路から供給された電圧は、瞬間的にカップリングコンデンサC2の出力側に現れることになる。すなわち、カップリングコンデンサC2の出力には、電圧が0Vから電源電圧Vの波高値まで急激に変化する信号が現れ、それがポップノイズとなる。
そこで、この実施の第2の形態では、出力段に入力される1ビットディジタル信号のデューティーが急激に変化する際にカップリングコンデンサC2に印加される電圧が、図7Aに例示されるように、0Vから例えば指数関数的に漸増するように制御する。この制御を、ゲート駆動回路12および13にそれぞれ供給されるゲート駆動電圧VGおよびVGを制御することで行う。なお、図7Bに例示されるように、電源投入直後の電圧の変化が急激であると、ポップノイズが発生してしまう。
図8は、実施の第2の形態による制御を実現するための一例の構成を示す。なお、図8において、上述した図2および図6と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。ランプ(ramp)生成回路20がVG生成回路10’に接続される。このランプ生成回路20は、図9Aに例示されるように、立ち上がり時および立ち下がり時に出力電圧がリニアに変化するようにされている。例えば、立ち上がり時には、電圧が0Vから所定時間で所定電圧までリニアに上昇され、一定値に保たれる。0Vから所定電圧まで上昇される時間は、例えばカップリングコンデンサC2の充電時間に対応し、数10msecなどとされる。立ち下がり時についても、同様とする。
なお、図9Aのような、時間に対してリニアに変化する波形は、例えば定電流でコンデンサを放電させることで生成することができる。これに限らず、例えばこの回路が組み込まれる機器を制御するマイクロプロセッサなどにより発生させてもよい。
ランプ生成回路20の出力は、VG生成回路10’に供給される。VG生成回路10’は、ランプ生成回路20の例えば立ち上がり時や立ち下がり時においてリニアに変化する波形を整形し、図9Bに例示されるような、0Vから例えば指数関数的に漸増する(立ち上がり時の場合)ような変化の波形に変換する。この、図9Aに例示されるリニアに変化する波形の信号を、図9Bに例示される指数関数的に変化する信号に変換する回路を、以下では、ゲート電圧波形整形回路と呼ぶ。
具体例は後述するが、ゲート電圧波形整形回路は、例えば大容量のコンデンサとダイオードとを用いて実現可能である。これに限らず、例えばこの回路が組み込まれる機器を制御するマイクロプロセッサなどにより、図9Bのような波形を発生させてもよい。
このVG生成回路10’で生成された電圧VGは、LoサイドのトランジスタQ11を駆動するゲート駆動回路13にゲート駆動電圧VGとして供給されると共に、加算回路11に供給され電源電圧VDVと加算され、ゲート駆動電圧VGとしてHiサイドのトランジスタQ10を駆動するゲート駆動回路12に供給される。ゲート駆動回路12および13には、図示されない前段の回路から、互いに反転する1ビットディジタル信号がそれぞれ供給される。
出力段において、HiサイドのトランジスタQ10が、ゲート駆動電圧VGに基づくゲート駆動回路12の出力で駆動される。同様に、LoサイドのトランジスタQ11が、ゲート駆動電圧VGに基づくゲート駆動回路13の出力で駆動される。出力段の出力がトランジスタQ10およびQ11の中点から取り出され、インダクタLおよびキャパシタC1からなるフィルタ回路で積分され高調波成分を取り除かれ、カップリングコンデンサC2に印加される。
この実施の第2の形態の構成によれば、電源電圧VDVと、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGの値とを加算回路11により加算して、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGとしているので、電源電圧VDVの変化に関わらずトランジスタQ10およびQ11におけるON抵抗が等しくなり、電源電圧VDVの変化に対して歪率を略一定に保つことが可能となる。また、電源投入時や電源切断時など、出力段に入力される1ビットディジタル信号のデューティーが急激に変化するときに、ゲート駆動電圧VGおよびVGとを指数関数的に徐々に変化させるようにしている。これにより、トランジスタQ10およびQ11に入力される1ビットディジタル信号の波高値の変化が制御され、1ビットディジタル信号のデューティーの急激な変化に伴うポップノイズの発生が抑制される。
図10は、上述の図8の構成をより具体的な例を用いて示す。なお、図10において、上述した図3および図8と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
ランプ生成回路20の出力が抵抗R10を介してVG生成回路10’に入力される。この図10の例では、VG生成回路10’は、オペアンプOP3と、オペアンプOP3に接続される抵抗R11、R12およびR13と、例えば電解コンデンサからなるコンデンサC10と、ダイオードD1とからなる。コンデンサC10とダイオードD1とにより、上述したゲート電圧波形整形回路が構成される。
ランプ生成回路20から抵抗R10を介して供給された信号は、電解コンデンサC10の正極およびダイオードD1のアノードに供給されると共に、抵抗R11を介してオペアンプOP3の反転入力端に入力される。電解コンデンサC10の負極およびダイオードD1のカソードは、それぞれ接地電位GNDに接続される。また、オペアンプOP3において、非反転入力端は抵抗R12を介して接地電位GNDに接続されると共に、抵抗R1を介して加算回路11の他方の入力端(すなわちオペアンプOP1の反転入力端)に入力される。
ゲート電圧波形整形回路は、コンデンサC10の充電特性と、ダイオードD1の電圧−電流特性とを利用することで、上述した図9Aに例示される、時間に対して電圧がリニアに変化する特性を、図9Bに例示される、立ち上がり時において指数関数的に電圧が上昇する特性に変換することができる。すなわち、ダイオードD1のスレショルド電圧V以下では、コンデンサC10の充電のためにコンデンサC10に対して電流が流れ込み、コンデンサC10の正極側の電圧値が指数関数的に漸増する。そして、ダイオードD1のスレショルド電圧V以上でダイオードD1による電圧降下が一定となり、また、コンデンサC10の充電が完了し、コンデンサC10の両端の電圧値が所定値で飽和する。
このゲート電圧波形整形回路で得られた信号を、飽和時の電圧がトランジスタQ10およびQ11のON電圧と等しくなるように、オペアンプOP3で所定に増幅する。このオペアンプOP3の出力は、LoサイドのトランジスタQ11のゲート駆動電圧VGとしてゲート駆動回路13に供給されると共に、抵抗R1を介して加算回路11に供給される。加算回路11では、図3を用いて既に説明したのと同様にして、電源電圧VDVとVG生成回路10’の出力とを加算してHiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGを生成し、ゲート駆動回路12に供給する。
この図10の例では、HiサイドのトランジスタQ10を駆動するためのゲート駆動回路12がPチャンネルのトランジスタQ20とNチャンネルのトランジスタQ21とを組み合わせたプッシュプル回路として構成される。トランジスタQ20のソース電極とトランジスタQ21のドレイン電極とが接続され、接続点が抵抗R20を介してトランジスタQ10のゲート電極に接続される。トランジスタQ20のドレイン電極に対し、加算回路11の出力(すなわちオペアンプOP2の出力)が接続される。また、トランジスタQ21のソース電極がトランジスタQ10のソース電極と接続される。
同様に、LoサイドのトランジスタQ11を駆動するためのゲート駆動回路13がPチャンネルのトランジスタQ22とNチャンネルのトランジスタQ23とを組み合わせたプッシュプル回路として構成される。トランジスタQ22のソース電極とトランジスタQ23のドレイン電極とが接続され、接続点が抵抗R21を介してトランジスタQ11のゲート電極に接続される。トランジスタQ22のドレイン電極に対し、後述するVG生成回路10’の出力(すなわちオペアンプOP3の出力)が接続される。また、トランジスタQ23のソース電極がトランジスタQ11のソース電極と接続され、接地電位GNDとされる。
出力段において、HiサイドのトランジスタQ10のソース電極と、LoサイドのトランジスタQ11のドレイン電極とが接続され、HiサイドのトランジスタQ10のドレイン電極に対して、音量調整により可変とされる電源電圧VDVが供給され、LoサイドのトランジスタQ11のソース電極が接地電位GNDと接続される。トランジスタQ10のソース電極とトランジスタQ11のドレイン電極との接続点から1ビットディジタル信号が出力として取り出され、インダクタLとキャパシタC1とからなるフィルタ回路に供給され、積分されて高調波成分を取り除かれ、カップリングコンデンサC2を介して負荷に供給される。
図11は、図10の構成において、VG生成回路10’から出力される電圧VG(ゲート駆動電圧)の変化と、この電圧VGにより駆動されるゲート駆動回路の1ビットディジタル信号の変化とをシミュレートした一例の結果を示す。ゲート駆動電圧VGは、0Vから時間の経過に伴い指数関数的に漸増し、所定時間経過後に所定電圧で飽和し安定化する。ゲート駆動回路から出力される1ビットディジタル信号の波高値は、このゲート駆動電圧VGの変化に追随して変化しているのが分かる。すなわち、ゲート駆動回路の1ビットディジタル信号の波高値は、0Vから時間の経過に伴い指数関数的に漸増し、所定の時間経過後に所定値で安定化する。
なお、図10に例示される構成において、電源電圧VDVは、VG生成回路10’の出力電圧が所定電圧で安定するまで、0Vに制御される(図示しない)。この場合、上述した式(1)により、ゲート駆動回路12に供給されるゲート駆動電圧VGと、ゲート駆動回路13に供給されるゲート駆動電圧VGとが等しくされる。したがって、ゲート駆動回路12および13から出力される1ビットディジタル信号の波高値は、共に、この図11に例示されるような、0Vから徐々に指数関数的に漸増するように制御される。これにより、電源投入時などにおいて、カップリングコンデンサC2に対して徐々に電流が流れ込むことになり、ポップノイズを抑制できる。
図12および図13は、VG生成部10’から出力される電圧VGを上述のようにして漸増させて変化させた際の、ゲート駆動電圧VGおよびVGの変化をシミュレートした一例の結果を示す。なお、この図12および図13では、簡単のため、VG生成部10’からの出力電圧VGがリニアに変化するものとして、シミュレーションを行っている。また、図12および図13における電圧VGは、図10におけるランプ生成回路20の出力電圧であって、VG生成回路10は、この電圧VGの安定時の電圧をトランジスタQ10およびQ11のON電圧まで引き上げて出力する。
図12は、出力段に供給される電源電圧VDVが0Vの場合の一例のシミュレーション結果を示す。HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGと、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGとが、VG生成部10’から出力される電圧VGの変化に応じて、全く等しく変化しているのが分かる。
図13は、電源電圧VDVが最大値の場合、すなわち、音量調整において音量が最大に調整された場合の一例のシミュレーション結果を示す。HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGと、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGaとが、電源電圧VDVに対応する電位差を維持しつつ、VG生成部10’から出力される電圧VGの変化に応じて、全く等しく変化しているのが分かる。
この図12および図13に例示するシミュレーション結果から、ゲート駆動電圧VGおよびVGを0Vから所定値まで変化させた場合であっても、電源電圧VDVと、LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGの値とを加算回路11により加算して、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGとすることで、電源電圧VDVの変化に関わらずトランジスタQ10およびQ11におけるON抵抗を等しくできることが分かる。したがって、この実施の第2の形態の構成でも、電源電圧VDVの変化に対して歪率を略一定に保つことが可能となる。
次に、この発明の実施の第3の形態について説明する。上述の実施の第1および第2の形態では、出力段に供給される電源電圧VDVを直接的に用いて、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGを得ている。この実施の第3の形態では、音量調整のために所定に設定されたボリューム値に基づき、当該ゲート駆動電圧VGを生成するようにしている。
図14は、この発明の実施の第3の形態によるD級増幅回路の出力段における一例の構成を概略的に示す。なお、図14において、上述した図2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。端子31に対して、音量調整によるボリューム値が入力される。例えば、この図14に示す回路が組み込まれた機器に対して設けられた、音量調整を行うための操作子に対するユーザの操作に応じて、図示されないボリューム値生成部によりボリューム値が生成され、端子31に対して入力される。ボリューム値は、端子31から電圧設定部30に供給される。電圧設定部30は、供給されたボリューム値に基づき、制御信号を所定に生成する。
電源電圧VDDが電圧制御部33を介してHiサイドのトランジスタQ10に供給される。VG生成回路10から出力された電圧VGが電圧制御部32を介してゲート駆動回路12に供給される。電圧設定部30で生成された制御信号は、電圧制御部32および33にそれぞれ供給される。電圧制御部32および33は、この制御信号に基づき、入力された電圧をボリューム値に応じた電圧に変換して出力する。電圧制御部32から出力される電圧は、ゲート駆動電圧VGとしてゲート駆動回路12に供給される。また、電圧制御部33から出力される電圧は、ボリューム値に応じて電圧値が可変される電源電圧VDVとして、HiサイドのトランジスタQ10に供給される。
一例として、電源電圧VDDが2Vであって、トランジスタQ10およびQ11のON電圧がそれぞれ2Vであり、VG生成回路10は、電圧VGとして2Vを出力するものとする。この場合、電圧制御部33は、制御信号に基づき、出力される電圧VDVをボリューム値に応じて0V〜2Vの間で可変させる。一方、電圧制御部32は、制御信号に基づき、出力されるゲート駆動電圧VGを2V〜4Vの間で可変させる。LoサイドのトランジスタQ11に対するゲート駆動電圧VGは、VG生成回路10から出力される電圧VGが直接的に供給される。
このような構成でも、HiサイドのトランジスタQ10に供給される電源電圧VDVが、最小値(0V)から音量の最大値に対応する電圧(例えば2V)に変化されるのに伴い、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧VGが、当該電圧VDVに対してON電圧に対応する電位差を維持しつつ変化される。そのため、上述したように、音量の変化に対して歪率を略一定に保つことが可能となる。
なお、図示は省略するが、上述の実施の第2の形態で説明した、ランプ生成回路20と、ゲート電圧波形整形回路を含んだVG生成回路10’を有する構成に、この実施の第3の形態を適用させることもできる。
また、この実施の第3の形態は、上述した図14の構成に限らず、例えばゲート駆動電圧VGをボリューム値に応じて直接的に生成して、HiサイドのトランジスタQ10のゲート駆動回路12に供給するようにしてもよい。LoサイドのトランジスタQ11のゲート駆動回路13には、固定的な電圧値をゲート駆動電圧VGとして所定に供給する。この場合には、ゲート駆動電圧VGaとVGbとの供給源が異なるため、実施の第2の形態によるランプ生成回路20と、VG生成回路10’とを適用するためには、工夫が必要となる。
次に、この発明の実施の第4の形態について、図15を用いて説明する。図15は、この発明が適用された再生装置100の一例の構成を概略的に示す。再生部101は、圧縮符号化されて記録媒体に記録された圧縮オーディオデータを記録媒体から再生する。記録媒体は、オーディオデータを記録可能であれば、特に限定されない。例えば、MD(Mini Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)といったディスク記録媒体、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリ、ハードディスク、磁気テープなどを記録媒体として用いることが考えられる。再生部101は、記録媒体から読み出したデータに対して復調処理、記録符号の復号処理などを所定に施して、再生圧縮オーディオデータとして出力する。
再生部101から出力された再生圧縮オーディオデータは、例えばデコーダ部102に供給される。デコーダ部102は、再生圧縮オーディオデータに対して圧縮符号化方式に対応する復号処理を行い、圧縮オーディオデータを伸長しベースバンドのオーディオデータとして出力される。
デコーダ部102から出力されたベースバンドのオーディオデータは、変調部103に供給される。変調部103は、供給されたオーディオデータに対して1ビットディジタル信号処理を施し、オーディオデータを1ビットディジタル信号に変換して出力する。例えば変調部103は、供給されたオーディオデータに対してPWMを施し、振幅情報が時間情報に変換されたPWM波を生成する。これに限らず、変調部103は、時間軸に対しても変調を行うΔ−Σ変調方式を用いてオーディオデータの変調を行ってもよいし、PWMとΔ−Σ変調とを併用してもよい。ここでは、変調部103は、PWMを行うものとする。
変調部103でPWM信号に変調されたオーディオデータは、この発明が適用されるアンプ部104に供給される。アンプ部104において、出力段の構成は、上述した実施の第1、第2および第3の形態の何れの構成も適用可能である。すなわち、アンプ部104は、例えばデッドタイム生成回路、レベルシフタおよびゲート駆動回路からなるドライブ回路と、ドライブ回路から出力されるゲート駆動電圧で駆動され、電源電圧に応じてPWM信号を増幅する出力段と、出力段から取り出されたPWM信号を積分し高調波成分を取り除いて、PWM信号をアナログオーディオ信号に変換して出力するフィルタ回路とを有する。アンプ部104から出力されたアナログオーディオ信号は、例えばスピーカ105に供給され、スピーカ105の駆動部を駆動する。
出力段は、例えばNチャンネルのMOSFETを電源電圧に対して縦列接続して用いる、単電源、ハーフブリッジタイプの構成が適用される。これに限らず、ハーフブリッジタイプを2つ組み合わせ、それぞれにゲート駆動回路を設けた、単電源、ブルブリッジタイプの構成を適用することもできる。なお、フルブリッジ構成の場合、出力段から取り出される出力に対してカップリングコンデンサを用いないので、実施の第2の形態の構成は、適用されない。
また、アンプ部104は、ボリュームコントローラ106に対する操作に応じて出力段に供給する電源電圧を変化させることで、出力信号の音量調整を行うようにされている。このとき、Hiサイドのトランジスタに対するゲート駆動電圧が電源電圧の値に応じて設定される。これにより、Hiサイドのトランジスタに供給される電源電圧が、最小値(0V)から音量の最大値に対応する電圧に変化されるのに伴い、Hiサイドのトランジスタに対するゲート駆動電圧が、当該電源電圧に対してON電圧に対応する電位差を維持しつつ変化される。そのため、既に説明したように、音量の変化に対して歪率を略一定に保つことが可能となる。
なお、アンプ部104に対して実施の第1または第2の形態が適用されている場合には、出力段に供給される電源電圧が直接的に検出されて、HiサイドのトランジスタQ10に対するゲート駆動電圧が設定される。一方、アンプ部104に対して実施の第3の形態が適用されている場合には、出力段の電源電圧がボリュームコントローラ106に対する操作に応じて設定された例えばボリューム値に基づき制御されると共に、当該ボリューム値に基づきHiサイドのトランジスタに対するゲート駆動電圧が制御される。
また、アンプ部104に対して実施の第2の形態が適用される場合には、電源投入時など出力段に入力されるPWM信号のデューティーが急激に変化する際に、Hiサイドのトランジスタに対するゲート駆動電圧が0Vから指数関数的に徐々に上昇するように制御される。そのため、電源投入時などに、PWM信号のデューティーが急激に変化することで発生されるポップノイズを抑制することができる。
なお、上述では、再生装置100が記録媒体に圧縮符号化されて記録された圧縮オーディオデータを再生するように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、この実施の第4の形態は、記録媒体に非圧縮で記録されたオーディオデータを再生するような再生装置に適用することもできる。例えば、CD−DA(Compact Disc-Digital Audio)を再生するような再生装置にこの発明を適用することが考えられる。この場合には、例えば図15の構成からデコーダ部102を省略した構成が考えられる。
さらに、上述では、再生装置100が記録媒体から圧縮または非圧縮のオーディオデータを再生するように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、再生装置100は、インターネットなどを介して有線または無線で伝送された圧縮または非圧縮のオーディオデータを再生するような装置であってもよい。さらに、アナログまたはディジタル方式で入力されたオーディオ信号を増幅して出力するアンプ装置に。この発明を適用するようにできる。この場合には、例えば図15の構成から再生部101およびデコーダ部102を省略した構成が考えられる。
上述では、この発明が単電源タイプの出力段を有するD級増幅回路に適用されるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、この発明は、Hiサイドのトランジスタに正電源を供給し、Loサイドのトランジスタに負電源を供給する、両電源タイプの出力段を有するD級増幅回路にも適用可能なものである。両電源タイプの出力段では、HiサイドにNチャンネルのトランジスタを用い、LoサイドにPチャンネルのトランジスタを用いる。これらNチャンネルのトランジスタとPチャンネルのトランジスタでは特性が異なり、それぞれのゲート駆動電圧が同じではない。そこで、この発明を適用して、Nチャンネルのトランジスタの駆動と、Pチャンネルのトランジスタの駆動とにそれぞれ適するようにゲート駆動電圧を調整することで、出力特性を改善可能である。
この発明を概略的に説明するための略線図である。 発明の実施の第1の形態によるD級増幅回路の出力段における一例の構成を概略的に示す回路図である。 D級増幅回路の出力段における加算回路の一例の構成をより具体的に示す回路図である。 実施の第1の形態の構成において、電源電圧VDVを0Vから最大値まで変化させた場合の、各トランジスタにおけるゲート−ソース間電圧Vsgの変化をシミュレートした一例の結果を示す略線図である。 実施の第1の形態の構成における、電源電圧VDVと出力される信号の歪率との実測値に基づく一例の関係を示す略線図である。 電源投入時に発生するポップノイズについて概略的に説明するための図である。 発明の実施の第2の形態によるゲート駆動電圧の一例の制御方法を示す略線図である。 実施の第2の形態による制御を実現するための一例の構成を示す回路図である。 実施の第2の形態による制御を説明するための略線図である。 実施の第2の形態による制御を実現するためのより具体的な構成例を示す回路図である。 実施の第2の形態による、電圧VGの変化と電圧VGにより駆動されるゲート駆動回路の1ビットディジタル信号出力の変化とをシミュレートした一例の結果を示す略線図である。 実施の第2の形態による、電圧VGを漸増させて変化させた際のゲート駆動電圧の変化をしミュートした一例の結果を示す略線図である。 実施の第2の形態による、電圧VGを漸増させて変化させた際のゲート駆動電圧の変化をしミュートした一例の結果を示す略線図である。 発明の実施の第3の形態によるD級増幅回路の出力段における一例の構成を概略的に示す回路図である。 発明の実施の第4の形態に適用できる再生装置の一例の構成を概略的に示すブロック図である。 従来の技術によるD級増幅回路の一例の構成を概略的に示す回路図である。 従来の技術によるD級増幅回路において、音量調整のために電源電圧VDDを可変とした場合について説明するための略線図である。 従来の技術における、Hiサイドのトランジスタに供給する電源電圧VDDと、出力される信号の歪率との、実測値に基づく一例の関係を示す略線図である。
符号の説明
10,10’ VG生成回路
11 加算回路
12 Hiサイドのゲート駆動回路
13 Loサイドのゲート駆動回路
20 ランプ生成回路
101 再生部
102 デコーダ部
103 変調部
104 アンプ部
106 ボリュームコントローラ
Q10 Hiサイドのトランジスタ
Q11 Loサイドのトランジスタ
C2 カップリングコンデンサ

Claims (7)

  1. 1ビットディジタル信号処理されたオーディオ信号をD級動作で増幅する増幅回路において、
    電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子と、
    上記第1および第2のスイッチング素子のうち上記電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、上記電源電圧に対応して可変的に設定する駆動信号設定部と
    を有し、
    上記第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、上記電源電圧を可変させることで調整する
    ことを特徴とする増幅回路。
  2. 請求項1に記載の増幅回路において、
    上記駆動信号設定部は、
    上記電源電圧側に接続されるスイッチング素子がON時の該スイッチング素子を駆動する駆動信号の上記振幅域を、上記第1および第2のスイッチング素子のうち上記接地電圧側に接続されるスイッチング素子がON時の該スイッチング素子を駆動する駆動信号の電圧値と、上記電源電圧の電圧値とを加算することで求める
    ことを特徴とする増幅回路。
  3. 請求項1に記載の増幅回路において、
    上記電源電圧の電圧値を可変的に設定するための出力レベル調整値が入力される出力レベル調整値入力部をさらに有し、
    上記駆動信号設定部は、
    上記電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の該スイッチング素子がON時の電圧値を上記出力レベル調整値に応じて求め、該電圧値に基づき該駆動信号の上記振幅域を求める
    ことを特徴とする増幅回路。
  4. 請求項3に記載の増幅回路において、
    上記駆動信号設定部は、
    上記振幅域を、上記接地電圧側に接続されるスイッチング素子がON時の該スイッチング素子を駆動する駆動信号の電圧値と、上記出力レベル調整値に応じて設定される上記電源電圧の電圧値とを加算した値に基づき求める
    ことを特徴とする増幅回路。
  5. 1ビットディジタル信号処理されたオーディオ信号をD級動作で増幅する増幅回路の制御方法において、
    電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、上記電源電圧を可変させることで調整するようにされ、
    上記第1および第2のスイッチング素子のうち上記電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、上記電源電圧に対応して可変的に設定するようにした
    ことを特徴とする増幅回路の制御方法。
  6. オーディオ信号を1ビットディジタル信号に変調する1ビットディジタル信号処理部と、
    電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子と、該第1および第2のスイッチング素子のうち該電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、該電源電圧に対応して可変的に設定する駆動信号設定部とを備え、該第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、該電源電圧を可変させることで調整するようにされ、上記1ビットディジタル信号処理部で上記1ビットディジタル信号に変調された上記オーディオ信号を該第1および第2のスイッチング素子を用いてD級動作で増幅する増幅部と、
    上記増幅部で増幅された上記1ビットディジタル信号に変調された上記オーディオ信号から高調波成分を取り除くフィルタ部と
    を有する
    ことを特徴とする増幅装置。
  7. 記録媒体からオーディオデータを再生する再生部と、
    上記再生部で再生されたオーディオデータを1ビットディジタル信号に変調する1ビットディジタル信号処理部と、
    電源電圧と接地電圧との間に縦列接続される第1および第2のスイッチング素子と、該第1および第2のスイッチング素子のうち該電源電圧側に接続されるスイッチング素子を駆動する駆動信号の振幅域を、該電源電圧に対応して可変的に設定する駆動信号設定部とを備え、該第1および第2のスイッチング素子の中点から取り出される出力信号のレベルを、該電源電圧を可変させることで調整するようにされ、上記1ビットディジタル信号処理部で変調された信号を該第1および第2のスイッチング素子を用いてD級動作で増幅する増幅部と、
    上記増幅部で増幅された上記1ビットディジタル信号に変調された信号から高調波成分を取り除くフィルタ部と
    を有する
    ことを特徴とする再生装置。
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