JP2011082930A - D級アンプ、および、d級増幅方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】PDM(パルス密度変調)のような、単位時間当たりのスイッチング回数が一定でない変調方式に対しても、デッドタイム歪みを適切に補償することのできる補償回路を備えたD級アンプを実現する。
【解決手段】本発明のD級アンプ1は、出力信号#4の電流値ILの向きを推定するするとともに、電流値ILの向きが第1の向きであると推定されたときに、各パルスの立ち上がりをトリガにして、入力信号#1の値に第1の補償値を加算し、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、各パルスの立ち下がりをトリガにして、入力信号#1の値に第2の補償値を加算する補償回路14を備えている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のD級アンプ1は、出力信号#4の電流値ILの向きを推定するするとともに、電流値ILの向きが第1の向きであると推定されたときに、各パルスの立ち上がりをトリガにして、入力信号#1の値に第1の補償値を加算し、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、各パルスの立ち下がりをトリガにして、入力信号#1の値に第2の補償値を加算する補償回路14を備えている。
【選択図】図1
Description
本発明は、音声信号の電力増幅等に用いられるD級アンプに関する。
近年、音声信号の電力増幅を高効率かつ低損失に行うことのできるアンプとしてD級アンプが盛んに用いられている。D級アンプの構成として、入力される音声信号をパルス信号に変換した後に電力スイッチに導く構成が知られている。また、ΔΣ変調を用いることによって可聴帯域における量子化ノイズを抑制する手法が知られている。
D級アンプの電力スイッチは、電源側のスイッチ素子およびグラウンド側のスイッチ素子によって構成されているが、それらのスイッチ素子は有限のターンオン時間および有限のターンオフ時間をもつ。したがって、双方のスイッチ素子を同じタイミングで切り替えようとすると、双方のスイッチ素子が共にオンとなる期間が生じ、その期間において、電源側からグラウンドへの貫通電流が発生する。貫通電流の発生は、ノイズの原因となるのみならず、スイッチ素子が破壊される原因ともなる。貫通電流を防止するためには、スイッチ素子の駆動に一定の時間的空白、すなわち、デッドタイムを設ける必要がある。しかしながら、デッドタイムは、出力信号の歪みの原因となるという問題を有している。
音声入力がアナログ信号であるD級アンプにおいては、負帰還をかけることにより、この歪みを低減することができるが、PCM信号などのデジタル信号を音声入力とするD級アンプにおいては、そのような負帰還をかけることができないため、歪みを抑制することは難しい。
特許文献1には、ΔΣ変調器の前段に補償手段を配置し、デジタル音声入力に対し、電力スイッチ手段のデッドタイムに起因する歪みを予め打ち消す処理を行うD級増幅器が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、単位時間当たりのスイッチング回数が一定である通常のPWM変調方式、すなわち、単位時間当たりのパルスの立ち上がり、立ち下がりの回数が一定であるような変調方式への適用を前提としているため、例えば、PDM(パルス密度変調)のような、単位時間当たりのスイッチング回数が一定でない変調方式には適用することができないという問題を有している。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、PWMのような単位時間当たりのスイッチング回数が一定である変調方式のみならず、PDM(パルス密度変調)のような、単位時間当たりのスイッチング回数が一定でない変調方式に対しても、出力信号に含まれるデッドタイムに起因した歪みを適切に補償することのできる補償回路を備えたD級アンプを実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係るD級アンプは、入力信号により変調されたパルス信号を生成するパルス信号生成回路と、上記パルス信号をD級増幅するスイッチング回路とを備えたD級アンプであって、上記スイッチング回路に接続された負荷を流れる負荷電流の向きを推定する推定手段と、上記推定手段によって、上記負荷電流の向きが第1の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に第1の補償値を加算し、上記推定手段によって、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下がりをトリガにして、上記入力信号の値に第2の補償値を加算する補償手段と、を備えていることを特徴としている。
一般に、D級アンプに用いられるスイッチング回路を構成するスイッチ素子を駆動するための駆動信号には、当該スイッチ素子を経由して高電圧源から低電圧源へと流れる貫通電流を防止するため、空白期間、すなわち、デッドタイムが設けられる。デッドタイムはD級アンプから出力される出力信号の歪み(デッドタイム歪み)の原因となる。より具体的には、出力信号は、上記スイッチング回路に接続された負荷を流れる負荷電流の値が正である場合には、デッドタイムがない場合に比べて、自身の値が減少するデッドタイム歪み(負のデッドタイム歪み)を含み、上記負荷電流の値が負である場合には、デッドタイムがない場合に比べて、自身の値が増加するデッドタイム歪み(正のデッドタイム歪み)を含む。
また、上記負荷電流の値が正である場合のデッドタイム歪みは、上記スイッチング回路に入力されるパルス信号のローレベルからハイレベルへの立ち上がりに伴って生じる。同様に、上記負荷電流の値が負である場合のデッドタイム歪みは、上記スイッチング回路に入力されるパルス信号のハイレベルからローレベルへの立ち下がりに伴って生じる。
上記のように構成された本発明のD級アンプは、上記負荷電流の向きを推定し、上記負荷電流の向きが第1の向き(例えば正)であると推定されたときには、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に上記第1の補償値(例えば正)を加算する。また、上記負荷電流の向きが第2の向き(例えば負)であると推定されたときには、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に上記第2の補償値(例えば負)を加算する。
したがって、上記のように構成された本発明のD級アンプによれば、上記負荷電流の値が正であるときには、上記負のデッドタイム歪みの発生に伴って、上記負のデッドタイム歪みを打ち消すように上記入力信号の値を増加させ、上記負荷電流の値が負であるときには、上記正のデッドタイム歪みの発生に伴って、上記正のデッドタイム歪みを打ち消すように上記入力信号の値を減少させることができる。
したがって、上記のように構成された本発明のD級アンプによれば、デッドタイムの発生をトリガにして、適切なデッドタイム補償を行うことができるという効果を奏する。これによって、上記パルス信号がPWM(パルス幅変調)のように、単位時間当たりのスイッチング回数が一定であるパルス信号である場合のみならず、PDM(パルス密度変調)のような、単位時間当たりのスイッチング回数が一定でないパルス信号である場合であっても、デッドタイム歪みを適切に補償することができるという効果を奏する。
上記推定手段は、上記入力信号を参照し、上記入力信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記入力信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定することが好ましい。
上記の構成によれば、上記入力信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記入力信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定することができるので、上記第1の閾値、および、上記第2の閾値を実測などにより最適化することによって、より適切なデッドタイム補償を行うことができるという更なる効果を奏する。
また、本発明に係るD級アンプは、上記入力信号に作用するデジタルフィルタであって、負荷を含む当該D級アンプの伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタを更に備えており、上記推定手段は、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号を参照し、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号は、上記負荷電流を模擬したものになる。したがって、上記デジタルフィルタを経ていない上記入力信号の値に基づいて負荷電流の向きを推定する場合と比べて、より正確に上記負荷電流の向きを推定することができる。すなわち、上記入力信号と上記負荷電流との間の位相差を考慮したデッドタイム補償を行うことができるという効果を奏する。
また、本発明に係るD級アンプは、上記パルス信号を平滑化するフィルタ回路を更に備えており、上記推定手段は、上記フィルタ回路によって平滑化された上記パルス信号を参照し、上記フィルタ回路によって平滑化された上記パルス信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記フィルタ回路によって平滑化された上記パルス信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記パルス信号生成回路から出力されたパルス信号に基づいて上記負荷電流の向きを推定することができるので、上記パルス信号生成回路での信号処理において位相遅れ、および、非線形性が生じるような場合であっても、適切にデッドタイム補償を行うことができる。しかも、上記推定手段により参照されるパルス信号は、上記フィルタ回路により平滑化されたパルス信号なので、その値を閾値と比較することにより容易に上記負荷電流の向きを推定することができる。すなわち、上記パルス信号の低域周波数成分と上記負荷電流との間の位相差を考慮したデッドタイム補償を行うことができるという更なる効果を奏する。
なお、上記フィルタ回路としては、例えば、上記パルス信号の低周波数成分を抽出するローパスフィルタや、そのようなローパスフィルタと上記パルス信号生成回路に接続された負荷の伝達関数を再現するデジタルフィルタとを組み合わせたフィルタなどを挙げることができる。
また、上記パルス信号生成回路は、上記入力信号によって変調されたマルチビット信号を生成するマルチビット信号生成回路と、上記マルチビット信号を上記パルス信号に変換する変換回路とを含み、上記推定手段は、上記マルチビット信号を参照し、上記マルチビット信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記マルチビット信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記入力信号によって変調されたマルチビット信号に基づいて上記負荷電流の向きを推定することができるので、上記マルチビット信号を生成する際に生じる位相遅れが生じるような場合であっても、適切にデッドタイム補償を行うことができるという更なる効果を奏する。また、上記マルチビット信号の低周波数成分を取り出すことなく、上記負荷電流の向きを推定することができるので、フィルタを用いない簡単な構成によって上記推定手段を実現できるという更なる効果を奏する。
上記パルス信号生成回路は、上記入力信号によって変調されたマルチビット信号を生成するマルチビット信号生成回路と、上記マルチビット信号を上記パルス信号に変換する変換回路とを含み、当該D級アンプは、上記マルチビット信号に作用するデジタルフィルタであって、上記マルチビット生成回路に接続された負荷の伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタを更に備えており、上記推定手段は、上記デジタルフィルタを経た上記マルチビット信号を参照し、上記デジタルフィルタを経た上記マルチビット信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記デジタルフィルタを経た上記マルチビット信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記マルチビット信号と上記負荷電流との間の位相差を考慮したデッドタイム補償を行うことができるという更なる効果を奏する。
また、上記補償手段は、上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第1の補償値を、当該パルスの直前のパルスのパルス幅に応じて設定し、上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第2の補償値を、当該パルスと当該パルスの直前のパルスとのパルス間隔に応じて設定する、ことが好ましい。
一般に、デッドタイム補償を行うために上記入力信号に加算すべき補償値は上記パルス信号のハイレベル区間の長さ、および、ローレベル区間の長さに応じて決まる。PWM変調のような、パルス信号のハイレベル区間の長さとローレベル区間の長さとの和が一定であるような変調方式に対しては、ハイレベル区間の長さ、又は、ローレベル区間の長さのどちらか一方がわかれば、もう一方の区間の長さを算出することができるので、デッドタイム補償を行うために上記入力信号に加算すべき補償値を、ハイレベル区間の長さに応じて決めることができる。
上記の構成によれば、第1の補償値を、当該パルスの直前のパルスのパルス幅、すなわち、ハイレベル区間の長さに応じて設定し、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下りタイミングにおいて上記入力信号の値に加算すべき第2の補償値を、当該パルスと当該パルスの直前のパルスとのパルス間隔、すなわち、ローレベル区間の長さに応じて設定することができる。従って、上記の構成によれば、PWM変調のような、パルス信号のハイレベル区間の長さとローレベル区間の長さとの和が一定であるような変調方式の場合に、補償値を適切に算出することができる。
したがって、上記パルス信号に含まれるパルスのパルス幅が変動するような場合であっても、適切なデッドタイム補償を行うことができるという更なる効果を奏する。
なお、各パルスのエッジをトリガにして補償値を設定するとは、(1)そのパルスの立ち上がりをトリガとして補償値を設定すること、(2)そのパルスの立ち下がりをトリガとして補償値を設定すること、または、(3)そのパルスの立ち上がりおよび立ち下がりをトリガとして補償値を設定することを意味する。
上記補償手段は、上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第1の補償値を、更に、当該パルスと上記直前のパルスとのパルス間隔に応じて設定し、上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第2の補償値を、更に、当該パルスのパルス幅に応じて設定する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、PDM変調のように、上記パルス信号のハイレベル区間の長さとローレベル区間の長さとの和が一定でないような変調方式に対しても、最適に補償値を設定することができる。
したがって、上記の構成によれば、上記パルス信号のハイレベル区間の長さとローレベル区間の長さとの和が一定でないような変調方式の場合であって、上記パルス信号に含まれるパルスのパルス幅が変動するような場合であっても、適切なデッドタイム補償を行うことができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るD級増幅方法は、入力信号により変調されたパルス信号を生成するパルス信号生成ステップと、スイッチング回路を用いて上記パルス信号をD級増幅するスイッチングステップとを含むD級増幅方法であって、上記スイッチング回路に接続された負荷を流れる負荷電流の向きを推定する推定ステップと、上記推定ステップによって、上記負荷電流の向きが第1の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に第1の補償値を加算し、上記推定ステップによって、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下がりをトリガにして、上記入力信号の値に第2の補償値を加算する補償ステップと、を含むことを特徴としている。
上記の方法によれば、上記のD級アンプと同様の効果を奏することができる。
以上のように、本発明に係るD級アンプは、入力信号により変調されたパルス信号を生成するパルス信号生成回路と、上記パルス信号をD級増幅するスイッチング回路とを備えたD級アンプであって、上記スイッチング回路に接続された負荷を流れる負荷電流の向きを推定する推定手段と、上記負荷電流の向きが第1の向きであるときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に第1の補償値を加算し、上記負荷電流の向きが第2の向きであるときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下がりをトリガにして、上記入力信号の値に第2の補償値を加算する補償手段と、を備えている。
上記のように構成された本発明に係るD級アンプは、上記パルス信号がPWM(パルス幅変調)のように、単位時間当たりのスイッチング回数が一定であるパルス信号である場合のみならず、PDM(パルス密度変調)のような、単位時間当たりのスイッチング回数が一定でないパルス信号である場合であっても、デッドタイム歪みを適切に補償することができる。
〔実施形態1〕
本実施形態に係るD級アンプ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るD級アンプ1の構成を示したブロック図である。
本実施形態に係るD級アンプ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るD級アンプ1の構成を示したブロック図である。
D級アンプ1は、図1に示すように、変調回路11、増幅回路12、ローパスフィルタ(以下「LPF」と略記)13、補償回路14、及び、加算器15を備えている。D級アンプ1に入力される入力信号#1は、マルチビット(例えば24ビット)のデジタル音声信号(例えばPCM信号)であり、D級アンプ1から出力される出力信号#4は、アナログ音声信号である。この出力信号#4は、例えば、スピーカSPに供給される。
D級アンプ1において、変調回路11は、入力信号#1から1ビット信号#2を生成し、増幅回路12は、変調回路11にて生成された1ビット信号#2を電力増幅し、LPF13は、増幅回路12にて増幅された1ビット信号#3を平滑化する。ここで、平滑化とは、入力された信号の低周波数成分のみを抽出することを言う。補償回路14は、入力信号#1と1ビット信号#2とに基づいて、デットタイム歪みを補償するための補償信号#5を生成する。補償回路14にて生成された補償信号#5は、加算器15にて入力信号#1に加算され、変調回路11に入力される。したがって、変調回路11は、より正確には、入力信号#1と補償信号#5との和信号から1ビット信号#2を生成することになる。
図2は、変調回路11の構成例を示すブロック図である。この変調回路11は、1ビット信号#2としてPWM信号(パルス幅変調信号)を生成するものであり、図2に示すように、ΔΣ変調回路(マルチビット信号生成回路)111、及び、PWM変換回路(変換回路)112を備えている。ΔΣ変調回路111は、周知のように、積分器111a、量子化器111b、遅延器111c、及び、減算器111dにより構成することができる。
変調回路11において、ΔΣ変調回路111は、入力信号#1をΔΣ変調することによって、マルチビット信号#11を生成する。ΔΣ変調回路111にて生成されるマルチビット信号#11は、入力信号#1よりもビット数が小さく、かつ、入力信号#1よりもサンプリング周期の短いマルチビット(例えば6ビット)のデジタル音声信号である。
PWM変換回路112は、ΔΣ変調回路111にて生成されたマルチビット信号#11からPWM信号を生成する。PWM変換回路112にて生成されるPWM信号は、マルチビット信号#11のサンプリング周期ごとに、マルチビット信号#11の値に応じたパルス幅をもつパルスを含む1ビット信号である。
なお、図2においては、1ビット信号#2としてPWM信号を生成する変調回路11を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、変調回路11は、入力信号#1の値に応じたデューティ比をもつ1ビット信号#2を生成するものであればよく、例えば、1ビット信号#2としてPDM信号(パルス密度変調信号)を生成するものであってもよい。
図3は、増幅回路12およびLPF13の構成例を示すブロック図である。
増幅回路12は、PWM信号である1ビット信号#2を電力増幅するためのものであり、図3に示すように、タイミング調整回路121、及び、スイッチング回路122を備えている。スイッチング回路122は、(1)ドレイン端子が電圧源Vcc(電位Vcc)に接続され、ソース端子がトランジスタTr2のドレイン端子に接続されたトランジスタTr1と、(2)ドレイン端子がトランジスタTr1のソース端子に接続され、ソース端子が電圧源−Vccに接続されたトランジスタTr2と、(3)アノード端子がトランジスタTr1のソース端子に接続され、カソード端子がトランジスタTr1のドレイン端子に接続されたダイオードD1と、(4)アノード端子がトランジスタTr2のソース端子に接続され、カソード端子がトランジスタTr2のドレイン端子に接続されたダイオードD2とを含んでいる。
また、トランジスタTr1のソース端子からは、増幅された1ビット信号#3が出力される。
なお、トランジスタTr1及びトランジスタTr2は、電界効果トランジスタ、より具体的にはMOSFET(Metal‐Oxide‐Semiconductor Field‐Effect Transister)である。また、ダイオードD1及びダイオードD2は、それぞれ、トランジスタTr1及びトランジスタTr2の内部に形成された寄生ダイオードであってもよい。
タイミング調整回路121は、PWM信号である1ビット信号#2から、スイッチング回路122を駆動するための駆動信号#21〜#22を生成する。駆動信号#21は、トランジスタTr1を駆動するための信号であり、トランジスタTr1のゲート端子に供給される。同様に、駆動信号#22は、トランジスタTr2を駆動するための信号であり、トランジスタTr2のゲート端子に供給される。
トランジスタTr1は、駆動信号#21がハイレベルのとき、オンとなり、駆動信号#21がローレベルのとき、オフとなる。同様に、トランジスタTr2は、駆動信号#22がハイレベルのとき、オンとなり、駆動信号#22がローレベルのとき、オフとなる。
一方、LPF13は、増幅回路12にて増幅された1ビット信号#3を平滑化し、出力信号#4を出力するためのものである。換言すれば、LPF13は、増幅された1ビット信号#3に含まれる高周波数成分を抑制し、低周波数成分のみを出力信号#4として出力するためのものである。図3に示すように、LPF13は、例えば、インダクタL1およびコンデンサC1により構成することができる。
図4(a)は、補償回路14の構成例を示すブロック図であり、図4(b)は、補償回路14を構成するエッジ検出器142の構成例を示すブロック図である。
補償回路14は、入力信号#1と1ビット信号#2とに基づいて、デットタイム歪みを補償するための補償信号#5を生成するためのものである。
図4(a)に示すように、補償回路14は、3値コンパレーター141、エッジ検出器142、論理回路143、論理回路144、補償量選択器145、および、メモリ146を備えている。
図4(a)に示すように、3値コンパレータ141は、入力信号#1の値、および、予め定められた閾値αp(第1の閾値)、および、閾値αm(第2の閾値)(αm<αpとする)に基づき、3値のコンパレータ出力信号#41を出力する。具体的には、3値コンパレーター141は、入力信号#1の値Sinと、閾値αmおよびαpとを比較し、Sin≦αmであれば、値が−1である判別信号#41を出力し、αm<Sin<αpであれば、値が0である判別信号#41を出力し、αp≦Sinであれば、値が+1である判別信号#41を出力する。出力された判別信号#41は論理回路143および144に入力される。
なお、上記の閾値αmは、入力信号#1の最低レベルと最高レベルの中間値(以下、単に「中間値」と呼ぶ。)より小さく、閾値αpは、上記中間値よりも大きいものとする。
また、閾値αmおよび閾値αpの最適値は、デッドタイムの大きさ、増幅回路12の特性、LPF13の特性、スピーカSPの特性など、多くの条件によって異なるが、理論計算や実測などにより予め決定しておくことができるものである。
エッジ検出器142は、入力される1ビット信号#2のエッジを検出し、エッジ検出信号#42を出力する。具体的には、エッジ検出器142は、入力される1ビット信号#2がローレベルからハイレベルに立ち上がると、一定期間の間ハイレベルである立ち上がり検出信号#42aを生成し、論理回路#143に対して出力する。また、エッジ検出器142は、入力される1ビット信号#2がハイレベルからローレベルに立ち下がると、一定期間の間ハイレベルである立ち下がり検出信号#42bを生成し、論理回路#144に対して出力する。
なお、エッジ検出器142において、入力される1ビット信号#2にエッジが検出されない期間においては、立ち上がり検出信号#42aおよび立ち下がり検出信号#42bは、いずれもローレベルである。
論理回路143は、判別信号#41と、立ち上がり検出信号#42aとに基づき、判別信号#43を生成し、出力する。具体的には、立ち上がり検出信号#42aがハイレベルであり、かつ、判別信号#41の値が+1である場合に、ハイレベルの判別信号#43を出力し、それ以外の場合には、ローレベルの判別信号#43を出力する。換言すれば、論理回路143は、入力信号#1の値Sinが閾値αp以上であり、かつ、1ビット信号#2がローレベルからハイレベルに立ち上がった場合に、ハイレベルの判別信号#43を出力する。
同様に、論理回路144は、判別信号#41と、立ち下がり検出信号#42bとに基づき、判別信号#44を生成し、出力する。具体的には、立ち下がり検出信号#42bがハイレベルであり、かつ、判別信号#41の値が−1である場合に、ハイレベルの判別信号#44を出力し、それ以外の場合には、ローレベルの判別信号#44を出力する。換言すれば、論理回路144は、入力信号#1の値Sinが閾値αm以下であり、かつ、1ビット信号#2がハイレベルからローレベルに立ち下がった場合に、ハイレベルの判別信号#44を出力する。
補償量選択器145は、判別信号#43と、判別信号#44とに基づき、補償信号#5を生成し、出力する。具体的には、補償量選択器145は、判別信号#43がハイレベルであって、かつ、判別信号#44がローレベルである場合に、補償値βp(βpは正とする)である補償信号#5を生成し、加算器15に対して出力する。また、補償量選択器145は、判別信号#43がローレベルであって、かつ、判別信号#44がハイレベルである場合に、補償値βm(βmは負とする)である補償信号#5を生成し、加算器15に対して出力する。
補償量選択器145から出力された補償信号#5は、加算器15において、入力信号#1と加算され、変調回路11に入力される。
なお、補償値βpおよび補償値βmの具体的な値は、デッドタイムの大きさ、増幅回路12の特性、LPF13の特性、スピーカSPの特性など、多くの条件によって異なるが、予め、理論計算や実測などによりそれらの最適値を決定しておくことができる。
メモリ146には、閾値αm、閾値αp、補償値βp、補償値βmの具体的な値が格納されており、3値コンパレータ141および、補償量選択器145は、それぞれ、閾値αm、閾値αp、補償値βp、補償値βmを読み出すことができるような構成となっている。また、異なった増幅回路、LPF、スピーカ等を用いる場合には、それらの組み合わせに対して最適な閾値αm、閾値αp、補償値βp、補償値βmを予めメモリ146に格納しておくことが望ましい。これにより、異なった増幅回路、LPF、スピーカ等を用いる場合であっても、3値コンパレータ141および、補償量選択器145は、それらの組み合わせに対して最適な閾値αm、閾値αp、補償値βp、補償値βmの値を用いて最適な歪み補償を行うことができる。
なお、図4(b)に示すように、上記のエッジ検出器142は、D−フリップフロップ(以下「DFF」と略記)151、DFF152、AND型ゲート回路(以下「ゲート回路」と略器)153、および、ゲート回路154によって構成することができる。
DFF151は、入力される1ビット信号#2、および、図示しないクロックから供給されるクロック信号#CLに基づき、DFF出力信号#51を生成し、DFF152、ゲート回路153、および、ゲート回路154に対して出力する。
DFF152は、入力されるDFF出力信号#51、および、クロック信号#CLに基づき、DFF出力信号#52を生成し、ゲート回路153および154に対して出力する。なお、クロック信号#CLの周期は、1ビット信号#2の最短パルス幅以下であるものとする。
ゲート回路153は、DFF出力信号#51およびDFF出力信号#52に基づき、立ち上がり検出信号#42aを生成し、出力する。具体的には、ゲート回路153は、DFF出力信号#51と、DFF出力信号#52を反転(否定演算)したものとの論理積をとることによって立ち上がり検出信号#42aを生成する。
ゲート回路154は、DFF出力信号#51およびDFF出力信号#52に基づき、立ち下がり検出信号#42bを生成し、出力する。具体的には、ゲート回路154は、DFF出力信号#51を反転したものと、DFF出力信号#52との論理積をとることによって立ち下がり検出信号#42bを生成する。
このように、DFF151、DFF152、ゲート回路153およびゲート回路154を組み合わせることにより、1ビット信号#2の立ち上がりに伴い、一定期間ハイレベルである立ち上がり検出信号#42aを出力し、1ビット信号#2の立ち下がりに伴い、一定期間ハイレベルである立ち下がり検出信号#42bを出力することができる。
以上が本実施形態に係るD級アンプ1の構成である。以下では、D級アンプ1の動作について、特に、タイミング制御回路121、スイッチング回路122、および、補償回路14の動作を中心に説明を行う。
(タイミング制御回路121の動作)
まず、タイミング制御回路121の動作について、図5を参照しつつ説明を行う。
まず、タイミング制御回路121の動作について、図5を参照しつつ説明を行う。
図5は、タイミング制御回路121の動作を説明するためのものであって、図5(a)は、タイミング制御回路121に入力される1ビット信号#2の値を示すタイミングチャートであり、図5(b)は、タイミング制御回路121の内部において生成される遅延信号#DLの値を示すタイミングチャートであり、図5(c)は、タイミング制御回路121が出力する駆動信号#21の値を示すタイミングチャートであり、図5(d)は、タイミング制御回路121が出力する駆動信号#22の値を示すタイミングチャートである。図5(a)〜(d)において、横軸は時間を表し、縦軸は電位を表す。
まず、タイミング制御回路121に対し、図5(a)に示すような1ビット信号#2が入力されると、タイミング制御回路121は、1ビット信号#2に基づき、図5(b)に示すような、1ビット信号#2に比べて時間Δt遅れた遅延信号#DLを生成する。この遅延信号#DLは、例えば、1ビット信号#2を抵抗、コンデンサによる積分回路に通した後、適当な閾値を設定したコンパレータに通し再び2値化することにより得ることができる。
続いて、タイミング制御回路121は、1ビット信号#2および遅延信号#DLに基づき、図5(c)に示すような駆動信号#21、および、図5(d)に示すような駆動信号#22を生成し、後段のスイッチング回路122に対して出力する。
駆動信号#21は、例えば、1ビット信号#2と遅延信号#DLとの論理積をとることによって生成することができる。また、駆動信号#22は、例えば、1ビット信号#2および遅延信号#DLをそれぞれ反転(否定演算)した後に、両者の論理積をとることによって生成することができる。
図5(c)および図5(d)に示すように、駆動信号#21は、駆動信号#22がローレベルに転じてから時間Δtを隔てた後にハイレベルに転じ、駆動信号#22は、駆動信号#21がローレベルに転じてから時間Δtを隔てた後にハイレベルに転じる。
このように、駆動信号#21がハイレベルとなる区間と、駆動信号#22がハイレベルとなる区間の間に、デッドタイムΔtを設けることにより、後段のスイッチング回路122において、高電圧源から低電圧源へ貫通電流の発生を確実に防止することができる。
(補償回路14をオフにした場合のD級アンプ1の動作)
続いて、本発明の特徴である補償回路14の効果を説明するための比較対象として、補償回路14をオフにした場合のスイッチング回路122の動作について、図6を参照しつつ説明を行う。
続いて、本発明の特徴である補償回路14の効果を説明するための比較対象として、補償回路14をオフにした場合のスイッチング回路122の動作について、図6を参照しつつ説明を行う。
図6は、補償回路14をオフにした場合のスイッチング回路122を駆動するための駆動信号#21〜#22、LPF13が出力する出力信号#4の電流値IL、および、増幅回路12が出力する増幅された1ビット信号#3の値を模式的に示すタイミングチャートであって、図6(a)は、タイミング調整回路121に入力される1ビット信号#2のデューティ比が0.5に近く、電流値ILが交互に正負の値をとる場合を示した図であり、図6(b)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合を示した図であり、図6(c)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より小さく、電流値ILが負の値のみをとる場合を示した図である。
なお、出力信号#4の電流値ILとは、増幅回路12の後段に接続されている負荷(スピーカSP)を流れる電流(以下、「負荷電流」と呼ぶ)の値に等しい。
また、電流値ILが正であるとは、出力信号#4の電流がLPF13からLPF13の後段に接続されたスピーカSPに向かって流れる場合を指し、電流値ILが負であるとは、出力信号#4の電流がスピーカSPからLPF13に向かって流れる場合を指す。
まず、図6(a)に示すように、1ビット信号#2のデューティ比が0.5に近く、電流値ILが交互に正負の値をとる場合を考える。この場合、駆動信号#22がハイレベルからローレベルになる時点、すなわち、図6(a)に示す時刻T11において、電流値ILは負である。
図6(a)に示す時刻T11において、駆動信号#22がハイレベルからローレベルに転じると、トランジスタTr2はオンからオフに転じる。この時点において駆動信号#21はローレベルのままであり、したがって、トランジスタTr1はオフのままである。一方で、インダクタL1の有するインダクタンスの効果により、トランジスタTr2がオフとなった後にも、電流値ILは負であり続けようとする。その結果、誘導起電力によってインダクタL1の端子電圧が上昇し、インダクタL1からダイオードD1を経由し電圧源Vccに向かって流れる電流が生じる。これによって、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源Vccに等しくなる。また、それに伴い、電流値ILは増加に転じる。
続いて、図6(a)に示す時刻T12において、駆動信号#21がローレベルからハイレベルに転じる。すると、トランジスタTr1はオンとなり、電流値ILは増加を続け、正となる。
次いで、図6(a)の時刻T13において、駆動信号#21がハイレベルからローレベルに転じる。すると、トランジスタTr1がオフとなる。この時点において、駆動信号#22もローレベルのままであり、したがって、トランジスタTr2はオフのままである。一方で、インダクタL1の有するインダクタンスの効果により、トランジスタTr1がオフとなった後にも、電流値ILは正であり続けようとする。その結果、誘導起電力によってインダクタL1の端子電圧が下降し、電圧源−VccからダイオードD2を経由してインダクタL1へと流れる電流が発生する。これによって、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源−Vccに等しくなる。また、それに伴い、電流値ILは減少に転じる。
このように、1ビット信号#2のデュ−ティ比が0.5に近く、電流値ILが交互に正負の値をとる場合には、1ビット信号#3の電位は常にデッドタイムの開始時点において変化する。このため、1ビット信号#3は、デッドタイムに起因した位相差を除き、1ビット信号#2とほぼ相似となる。従って、このような場合には、ほぼ歪みのない1ビット信号#3が出力されることになり、D級アンプ1から出力される出力信号#4の波形は、入力信号#1の波形にほぼ等しくなる。
次に、図6(b)に示すように、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合を考える。
まず、図6(b)に示す時刻T21において、駆動信号#22がハイレベルからローレベルに転じると、トランジスタTr2はオンからオフに転じる。この時点において駆動信号#21はローレベルのままであり、したがって、トランジスタTr1はオフのままである。一方で、インダクタL1の有するインダクタンスの効果により、トランジスタTr2がオフとなった後にも、電流値ILは正であり続けようとする。その結果、誘導起電力によってインダクタL1の端子電圧が維持され、電圧源−VccからダイオードD2を経由し、インダクタL1へと流れる電流が発生する。したがって、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源−Vccに等しいままである。また、電流値ILは減少を続ける。
続いて、図6(b)に示す時刻T22において、駆動信号#21がローレベルからハイレベルに転じる。すると、トランジスタTr1はオンとなり、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源Vccに等しくなる。また、電流値ILは増加に転じる。
次いで、図6(b)に示す時刻T23において、駆動信号#21がハイレベルからローレベルに転じる。すると、トランジスタTr1はオフとなる。この時点において、駆動信号#22もローレベルのままであり、したがって、トランジスタTr2はオフのままである。一方で、インダクタL1の有するインダクタンスの効果により、トランジスタTr1がオフとなった後にも、電流値ILは正であり続けようとする。その結果、誘導起電力によってインダクタL1の端子電圧が下降し、電圧源−VccからダイオードD2を経由してインダクタL1へと流れる電流が発生する。これによって、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源−Vccに等しくなる。また、それに伴い、電流値ILは減少に転じる。
このように、1ビット信号#2のデュ−ティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合には、1ビット信号#3の電位レベルは、駆動信号#21のレベル変化に伴い変化する。したがって、1ビット信号#3の電位がVccとなる期間が、時刻T21と時刻T22との差、すなわち、デッドタイムΔtの分だけ、1ビット信号#2より短くなる。これに伴い、D級アンプ1から出力される出力信号#4は、デッドタイムが無い場合に比べて、自身の電圧値が減少する方向の歪みを含むことになる。
最後に、図6(c)に示すように、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より小さく、電流値ILが負の値のみをとる場合を考える。
まず、図6(c)に示す時刻T31において、駆動信号#21がハイレベルからローレベルに転じると、トランジスタTr1はオンからオフに転じる。この時点において駆動信号#22はローレベルのままであり、したがって、トランジスタTr2はオフのままである。一方で、インダクタL1の有するインダクタンスの効果により、トランジスタTr1がオフとなった後にも、電流値ILは負であり続けようとする。その結果、誘導起電力によってインダクタL1の端子電圧が維持され、インダクタL1からダイオードD1を経由し電圧源Vccへと流れる電流が発生する。したがって、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源Vccに等しいままである。また、電流値ILは増加を続ける。
続いて、図6(c)に示す時刻T32において、駆動信号#22がローレベルからハイレベルに転じる。すると、トランジスタTr2はオンとなり、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源−Vccに等しくなる。また、電流値ILは減少に転じる。
次いで、図6(c)に示す時刻T33において、駆動信号#22がハイレベルからローレベルに転じる。すると、トランジスタTr2はオフとなる。この時点において、駆動信号#21もローレベルのままであり、したがって、トランジスタTr1はオフのままである。一方で、インダクタL1の有するインダクタンスの効果により、トランジスタTr2がオフとなった後にも、電流値ILは負であり続けようとする。その結果、誘導起電力によってインダクタL1の端子電圧が上昇し、インダクタL1からダイオードD1を経由して電圧源Vccへと流れる電流が発生する。これによって、増幅回路12から出力される1ビット信号#3の電位は、電圧源Vccに等しくなる。また、それに伴い、電流値ILは増加に転じる。
このように、1ビット信号#2のデュ−ティ比が0.5より小さく、電流値ILが負の値のみをとる場合には、1ビット信号#3の電位レベルは、駆動信号#22のレベル変化に伴い変化する。したがって、1ビット信号#3の電位が−Vccとなる期間が、時刻T31と時刻T32との差、すなわち、デッドタイムΔtの分だけ、1ビット信号#2より短くなる。これに伴い、D級アンプ1から出力される出力信号#4は、デッドタイムが無い場合に比べて、自身の電圧値が増加する方向の歪みを含むことになる。
(補償回路14をオンにした場合のD級アンプ1の動作)
上記のように、出力信号#4の電流値ILが正である場合には、出力信号#4は、デッドタイムがないとした場合に比べて、自身の電圧値が減少する方向の歪みを含み、出力信号#4の電流値ILが負である場合には、出力信号#4は、デッドタイムがないとした場合に比べて、自身の電圧値が増加する方向の歪みを含む。
上記のように、出力信号#4の電流値ILが正である場合には、出力信号#4は、デッドタイムがないとした場合に比べて、自身の電圧値が減少する方向の歪みを含み、出力信号#4の電流値ILが負である場合には、出力信号#4は、デッドタイムがないとした場合に比べて、自身の電圧値が増加する方向の歪みを含む。
したがって、原理的には、出力信号#4の電流値ILをモニタすることによって、出力信号#4に含まれるデッドタイム歪みを補償することが考えられる。しかしながら、ILはアナログ信号であるため、直接デジタル信号としては取得できない。
本実施形態においては、出力信号#4の電流値ILと、入力信号#1の値Sinとの間に、正の相関が存在することに着目し、入力信号#1の値Sinに基づき、補償回路14によって出力信号#4に含まれるデッドタイム歪みを補償する。
より具体的には、出力信号#4の電流値ILが、第一近似として、入力信号#1の値Sinの1次関数であり、入力信号#1の値Sinが中間値より大きいとき出力信号#4の電流値ILは正となり、入力信号#1の値Sinが中間値より小さいとき出力信号#4の電流値ILは負となることに着目し、補償回路14によって、出力信号#4に含まれるデッドタイム歪みを補償する。
すなわち、補償回路14は、入力信号#1の値Sinが、予め定められた閾値αm以下である場合であって、かつ、1ビット信号#2がハイレベルからローレベルに立ち下がる場合に、補償値βm(βmは負)である補償信号#5を加算器15に対して出力する。補償信号#5は、加算器15において、入力信号#1に加算され、変調回路11に入力される。したがって、D級アンプ1は、入力信号#1の値Sinが、予め定められた閾値αm以下である場合には、1ビット信号#2の立ち下がりに伴って、入力信号#1に対し、入力信号#1の値が減少するように補償を行う。
同様に、補償回路14は、入力信号#1の値Sinが、予め定められた閾値αp以上である場合であって、かつ、1ビット信号#2がローレベルからハイレベルに立ち上がる場合に、補償値βp(βpは正)である補償信号#5を加算器15に対して出力する。補償信号#5は、加算器15において、入力信号#1に加算され、変調回路11に入力される。したがって、補償回路14は、入力信号#1の値Sinが、予め定められた閾値αp以上である場合には、1ビット信号#2の立ち上がりに伴って、入力信号#1に対し、入力信号#1の値が増加するように補償を行う。
補償回路14は、上述のように、入力信号#1の値Sinと、1ビット信号#2のエッジの状況とに応じて、出力信号#1に対し補償を行う。1ビット信号#2のエッジ状況に応じた補償を行うことによって、変調回路11が1ビット信号#2としてPWM信号のような単位時間当たりのスイッチング回数が一定である信号を生成する場合のみならず、PDM信号のような単位時間当たりのスイッチング回数が変化する信号を生成する場合であっても、デッドタイムに起因した出力信号#4の歪みを適切に補償することができる。
換言すれば、補償回路14を用いることにより、単位時間当たりの補正量が変動するような場合であっても、デッドタイムに起因した出力信号#4の歪みを適切に補償することができる。
図7は、単位時間当たりのスイッチング回数が変動する場合の駆動信号#21、駆動信号#22、電流値ILを示すものであって、図7(a)は、タイミング調整回路121に入力される1ビット信号#2のデューティ比が0.5に近く、電流値ILが交互に正負の値をとる場合を示した図であり、図7(b)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合を示した図であり、図7(c)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より小さく、電流値ILが負の値のみをとる場合を示した図であり、図7(d)〜(f)は、それぞれ、図7(a)〜(c)に比べて、単位時間当たりのスイッチング回数が少ない場合を示した図である。
単位時間当たりのスイッチング回数が一定であることを前提とした従来技術では、たとえ、図7(a)〜(c)の場合に対してデッドタイムに起因した出力信号の歪みを補償することができたとしても、図7(d)〜(f)の場合には、出力信号の歪みを適切に補償することはできない。
一方で、本実施形態に係るD級アンプ1は、図7(a)〜(f)のいずれの場合に対しても、デッドタイムに起因した出力信号#4の歪みを適切に補償することができる。
以上のように、D級アンプ1は、入力信号#1により変調されたパルス信号(1ビット信号#2)を生成するパルス信号生成回路(変調回路11)と、上記パルス信号をD級増幅するスイッチング回路(増幅回路12)とを備えたD級アンプであって、上記スイッチング回路に接続された負荷(LPF13およびスピーカSP)を流れる負荷電流(出力信号#4の電流値IL)の向きを推定する推定手段(3値コンパレータ141)と、上記推定手段によって、上記負荷電流の向きが第1の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりタイミングにおいて、上記入力信号の値に第1の補償値(補償値βp)を加算し、上記推定手段によって、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下がりタイミングにおいて、上記入力信号の値に第2の補償値(補償値βm)を加算する補償手段(エッジ検出器142、論理回路143、論理回路144、補償量選択器145、メモリ146、および、加算器15)と、を備えていることを特徴としている。
上記のように構成されたD級アンプ1によれば、負荷電流の値が正であると推定されたときには、負のデッドタイム歪みが生じるタイミングで、上記負のデッドタイム歪みを打ち消すように上記入力信号の値を増加させ、上記負荷電流の値が負であると推定されたときには、正のデッドタイム歪みが生じるタイミングで、上記正のデッドタイム歪みを打ち消すように上記入力信号の値を減少させることができる。
したがって、D級アンプ1によれば、デッドタイムが生じるタイミングで、適切なデッドタイム補償を行うことができるという効果を奏する。これによって、上記パルス信号がPWM(パルス幅変調)のように、単位時間当たりのスイッチング回数が一定であるパルス信号である場合のみならず、PDM(パルス密度変調)のような、単位時間当たりのスイッチング回数が一定でないパルス信号である場合であっても、デッドタイム歪みを適切に補償することができるという効果を奏する。
<変形例1>
上記の実施形態では、補償回路14に3値コンパレータ141を用いた構成について説明を行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、3値コンパレータを用いない補償回路によっても、本発明を実現することができる。
上記の実施形態では、補償回路14に3値コンパレータ141を用いた構成について説明を行ったが、本発明はこれに限られるものではなく、3値コンパレータを用いない補償回路によっても、本発明を実現することができる。
以下では、3値コンパレータを用いない補償回路24について説明を行う。
図8は、本変形例に係る補償回路24の構成を示すブロック図である。
図8に示すように、補償回路24は、MSB検出器241、エッジ検出器242、ゲート回路243、ゲート回路244、および、補償量選択器245を備えている。
MSB検出器241は、入力信号#1のMSB(Most Significant Bit)を検出し、MSBが0であれば、ローレベルの判別信号#241を出力し、MSBが1であれば、ハイレベルの判別信号#241を出力する。換言すれば、MSB検出器241は、入力信号#1の値Sinが中間値以上のとき、ローレベルの判別信号#241を出力し、入力信号#1の値Sinが中間値より小さいとき、ハイレベルの判別信号#241を出力する。MSB検出器241は、後述のゲート回路243、244を用いれば、実質的には必要なく、#1をそのままスルーさせて#241とすることが可能である。
エッジ検出器242は、上述したエッジ検出器142と同様であり、エッジ検出器242から出力される立ち上がり検出信号#242aは、立ち上がり検出信号#42aと同様であり、立ち上がり検出信号#242bは、立ち上がり検出信号#42bと同様である。
ゲート回路243は、判別信号#241および立ち上がり検出信号#242aに基づき、判別信号#243を生成し、出力する。具体的には、ゲート回路243は、判別信号#241を反転(否定演算)したものと、立ち上がり検出信号#242aとの論理積をとることによって、判別信号#243を生成する。
ゲート回路244は、判別信号#241および立ち下がり検出信号#242bに基づき、判別信号#244を生成し、出力する。具体的には、ゲート回路244は、判別信号#241と、立ち下がり検出信号#242bとの論理積をとることによって、判別信号#244を生成する。
補償量選択器245は、補償量選択器145と同様に、判別信号#243と判別信号#244とに基づき補償信号#5を生成し、出力する。ここで、判別信号#243は、判別信号43に対応し、判別信号#244は、判別信号#44に対応する。
上記のように構成された補償回路24は、入力信号#1の値Sinが中間値より小さい場合であって、かつ、1ビット信号#2がハイレベルからローレベルに立ち下がる場合に、補償値βm(βmは負)である補償信号#5を加算器15に対して出力する。また、補償回路24は、入力信号#1の値Sinが中間値以上の場合であって、かつ、1ビット信号#2がローレベルからハイレベルに立ち上がる場合に、補償値βp(βpは正)である補償信号#5を加算器15に対して出力する。
このように、補償回路24は3値コンパレータを必要としない単純な構成である。したがって、補償回路24を用いることにより、消費電力の削減、部品コストの削減等を行うことができる。
本発明は、デジタル音声信号の増幅に限らず、電力増幅器など、あらゆるスイッチング回路に適用することが可能である。
<変形例2>
上記の実施形態では、出力信号#4の電流値ILは、第一近似として、入力信号#1の値Sinの1次関数であり、入力信号#1の値Sinが中間値より大きいとき、出力信号#4の電流値ILは正であり、入力信号#1の値Sinが中間値より小さいとき、出力信号#4の電流値ILは負であるとして説明を行った。しかし、実際上は、増幅回路12の後段に接続されている負荷の電気的特性、すなわち、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因して、電流値ILには入力信号#1の値Sinに比べて若干の位相遅れが生じる。したがって、その位相遅れの影響により、入力信号#1の値Sinが中間値よりも大きい場合であっても、出力信号#4の電流値ILが負であるような場合や、入力信号#1の値Sinの値が中間値より小さい場合であっても、出力信号#4の電流値ILが正であるような場合が生じる。
上記の実施形態では、出力信号#4の電流値ILは、第一近似として、入力信号#1の値Sinの1次関数であり、入力信号#1の値Sinが中間値より大きいとき、出力信号#4の電流値ILは正であり、入力信号#1の値Sinが中間値より小さいとき、出力信号#4の電流値ILは負であるとして説明を行った。しかし、実際上は、増幅回路12の後段に接続されている負荷の電気的特性、すなわち、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因して、電流値ILには入力信号#1の値Sinに比べて若干の位相遅れが生じる。したがって、その位相遅れの影響により、入力信号#1の値Sinが中間値よりも大きい場合であっても、出力信号#4の電流値ILが負であるような場合や、入力信号#1の値Sinの値が中間値より小さい場合であっても、出力信号#4の電流値ILが正であるような場合が生じる。
上記のような位相遅れが存在すると、入力信号#1の値Sinをそのまま用いるのみでは、出力信号#4に含まれるデッドタイム歪みの補償を適切に行うことができないという問題が生じる。
したがって、より適切に出力信号#4の補償を行うためには、上記の位相遅れの影響を考慮した補償を行うことが好ましい。
以下では、本発明の変形例として、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因した位相遅れの影響を模倣するエミュレータ25(デジタルフィルタ)を具備したD級アンプ102について説明する。
まず、エミュレータ25の具体的な構成としては、例えば、デジタルフィルタによってLPF13やスピーカSP等の伝達関数を再現するような構成とすることができる。より具体的には、エミュレータ25は、負荷を含む当該D級アンプの伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタである。
図9は、本変形例に係るD級アンプ102の構成を示すブロック図を示している。また、D級アンプ1の構成と同様の構成については同じ符号を付している。
図9に示すように、エミュレータ25には、入力信号#1が入力される。エミュレータ25は、その入力信号#1に基づき、上記の位相遅れの影響を含んだ出力信号#25を生成する。エミュレータ25によって生成された出力信号#25は、補償回路14における3値コンパレータ141に入力される。
出力信号#25には、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因した位相遅れが含まれている。したがって、D級アンプ102を用いることにより、入力信号#1の値Sinと、出力信号#4の電流値ILとの間に位相遅れが存在するような場合であっても、出力信号#4に含まれるデッドタイム歪みを適切に補償することができる。
<変形例3>
また、一般に、変調回路11での信号処理における遅延時間の蓄積により、出力信号#4には位相遅れが生じる。さらに、変調回路11を構成しているPWM変換回路112の特性により、一般に、入力信号#1の値Sinの変化と出力信号#4の電流値ILの変化との間には非線形性が生じる。
また、一般に、変調回路11での信号処理における遅延時間の蓄積により、出力信号#4には位相遅れが生じる。さらに、変調回路11を構成しているPWM変換回路112の特性により、一般に、入力信号#1の値Sinの変化と出力信号#4の電流値ILの変化との間には非線形性が生じる。
したがって、出力信号#4に含まれるデッドタイム歪みをより適切に補償するためには、変調回路11での信号処理に起因した位相遅れ、および、PWM変換回路112の特性により生じる非線形性を考慮した補償を行うことが好ましい。
以下では、本発明の更なる変形例として、入力信号#1を参照せず、変調回路11の出力信号である1ビット信号#2のみに基づくことによって、変調回路11での信号処理に起因した位相遅れを考慮した補償を行うことのできるD級アンプ103について、図10を参照しつつ説明する。
図10は、D級アンプ103の構成を示すブロック図である。D級アンプ1の構成と同様の構成については同じ符号を付している。
図10に示すように、D級アンプ103は、D級アンプ1とほぼ同様の構成であるが、LPF35を備えている点で異なっている。LPF35(フィルタ回路)は、1ビット信号#2に含まれる高周波数成分を抑制し、低周波数成分のみを出力信号#35として出力する。すなわち、LPF35は1ビット信号#2の平滑化を行う。
補償回路14には、入力信号#1に代えて、LPF35からの出力信号#35が入力される。換言すれば、補償回路14を構成する3値コンパレータ141には、出力信号#35が入力される。また、補償回路14を構成するエッジ検出器142には、1ビット信号#2が入力される。
出力信号#35には、変調回路11での信号処理に起因した位相遅れ、および、PWM変換回路112の特性により生じた非線形性の効果が含まれている。
したがって、D級アンプ103を用いることにより、変調回路11での信号処理に起因した位相遅れ、および、PWM変換回路112の特性により生じる非線形性を考慮した補償を行うことができる。
<変形例4>
続いて、本発明の更なる変形例を図11を参照して説明する。
続いて、本発明の更なる変形例を図11を参照して説明する。
図11は、本変形例に係るD級アンプ104の構成を示している。D級アンプ104は、D級アンプ103におけるLPF35に代えて、エミュレータ45(フィルタ回路)を具備している。
エミュレータ45は、LPF35と同様の機能、すなわち、1ビット信号#2に含まれる高周波数成分を抑制し、低周波数成分のみを出力する機能を有しつつ、LPF13やスピーカ35の電気的特性に起因した位相遅れの影響を模倣する機能を有している。
換言すれば、エミュレータ45は、1ビット信号#2を平滑化すると共に、変調回路11の後段に接続された負荷(増幅回路12、LPF13、スピーカSP)の伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタである。
D級アンプ104によれば、変調回路11での信号処理に起因した位相遅れ、PWM変換回路112の特性により生じる非線形性、および、LPF13やスピーカ35の電気的特性に起因した位相遅れの影響を考慮したデッドタイム歪みの補償を行うことができる。
<変形例5>
続いて、本発明の更なる変形例を図12を参照して説明する。
続いて、本発明の更なる変形例を図12を参照して説明する。
図12は、本変形例に係るD級アンプ105の構成を示している。D級アンプ105においては、補償回路14に対し、ΔΣ変調回路111にて生成されるマルチビット信号#11が入力されている。より詳しく言うと、補償回路14を構成する3値コンパレータ141に対してマルチビット信号#11が入力されている。
D級アンプ105によれば、ΔΣ変調回路111での信号処理に起因した位相遅れを考慮したデッドタイム補償を行うことができる。
また、ΔΣ変調回路111から出力されるマルチビット信号#11は直接コンパレータ141に入力することが可能であるため、D級アンプ103におけるLPF35や、D級アンプ104におけるエミュレータ45のような低周波数成分抽出手段を用いる必要がないため、回路の構成を簡素化することができる。
<変形例6>
続いて、本発明の更なる変形例を図13を参照して説明する。
続いて、本発明の更なる変形例を図13を参照して説明する。
図13は、本変形例に係るD級アンプ106の構成を示している。D級アンプ106は、D級アンプ106の構成に加えて、エミュレータ65(デジタルフィルタ)をさらに備えている。
エミュレータ65は、ΔΣ変調回路111に接続された負荷(PWM変換回路112、増幅回路12、LPF13、スピーカSP)の伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタである。
エミュレータ65は、ΔΣ変調回路111にて生成されるマルチビット信号#11に基づき、PWM変換回路112、増幅回路12、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因した位相遅れの影響を含んだ出力信号#65を生成する。出力信号#65は、補償回路14における3値コンパレータ141に入力される。
出力信号#65には、PWM変換回路112、増幅回路12、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因した位相遅れが含まれている。したがって、D級アンプ106を用いることにより、ΔΣ変調回路111での信号処理に起因した位相遅れ、および、LPF13およびスピーカSPの電気的特性に起因した位相遅れを考慮したデッドタイム補償を行うことができる。
〔実施形態2〕
実施形態1における補償回路14が出力する、補償値βmおよび補償値βpは、入力信号#1の値Sinや、1ビット信号#2のパルス幅には依存しないものとして説明を行った。
〔実施形態2〕
実施形態1における補償回路14が出力する、補償値βmおよび補償値βpは、入力信号#1の値Sinや、1ビット信号#2のパルス幅には依存しないものとして説明を行った。
しかしながら、一般に、デッドタイム補償を行うために加算器15において加算すべき補償値は電流値ILの具体的な値に依存する。換言すれば、加算すべき補償値は入力信号#1の値Sinに依存する。また、一般に、加算器15において加算すべき補償値は、1ビット信号#2のパルス幅にも依存する。
以下では、入力信号#1の値Sin、および1ビット信号#2のパルス幅に基づいて、補償値を算出することのできる補償回路34を備えたD級アンプ3について説明を行う。
D級アンプ3は、補償回路34を具備することによって、入力信号#1の値Sin、および1ビット信号#2のパルス幅が変動するような場合であっても、出力信号#4に含まれるデッドタイムの影響を適切に補償することのできるD級アンプを実現することができる。
以下では、補償回路34を備えたD級アンプ3について、図14から図21(a)〜(d)を参照しつつ説明を行う。
図14は、本実施形態に係るD級アンプ3の構成例を示すブロック図である。D級アンプ3は、D級アンプ1と異なり、互いに逆相の出力信号#4aおよび出力信号#4bを出力する差動型のD級アンプである。以下では、D級アンプ1の構成と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略することにする。
図14に示すように、D級アンプ3は、D級アンプ1における増幅回路12に代えて、増幅回路32を備えており、D級アンプ1におけるLPF13に代えて、LPF33を備えており、D級アンプ1における補償回路14に代えて、補償回路34を備えている。
補償回路34は、1ビット信号#2および入力信号#1の値に基づいて補償信号#5を生成し、加算器15に対して出力する。補償回路34の具体的な構成については後述するため、ここでは説明を省略する。
増幅回路32からは、増幅された1ビット信号であって、互いに逆相である1ビット信号#3aおよび1ビット信号#3bが出力される。LPF33は、増幅回路32から出力される1ビット信号#3aおよび1ビット信号#3aをそれぞれ平滑化し、出力信号#4aおよび出力信号#4bを出力する。
LPF33から出力された出力信号#4aおよび出力信号#4bは、例えば、差動型スピーカSP’に供給される。
なお、以下の説明では、電流値ILは、出力信号#4aの電流値のことを指すものとし、電流値ILが正であるとは、出力信号#4aの電流がLPF33からスピーカSP’に向かって流れる場合を指し、電流値ILが負であるとは、出力信号#4aの電流がスピーカSP’からLPF33に向かって流れる場合を指すものとする。
図15は、増幅回路32およびLPF33の構成例を示すブロック図である。
増幅回路32は、1ビット信号#2の値に基づき、互いに逆相の1ビット信号#3aおよび1ビット信号#3bを出力する差動型の増幅回路である。
図15に示すように、増幅回路32は、タイミング調整回路321およびタイミング調整回路323を備えており、タイミング調整回路321は、1ビット信号#2が入力され、タイミング調整回路323には、1ビット信号#2が反転回路320によって反転された後に入力される。
図15に示すように、スイッチング回路322およびスイッチング回路324は、スイッチング回路122と同様の構成である。スイッチング回路322におけるトランジスタTr31、トランジスタTr32、ダイオードD31、およびダイオード32は、それぞれ、スイッチング回路122におけるトランジスタTr1、トランジスタTr2、ダイオードD1、およびダイオードD2に対応する。同様に、スイッチング回路324におけるトランジスタTr33、トランジスタTr34、ダイオードD33、およびダイオード34は、それぞれ、スイッチング回路122におけるトランジスタTr1、トランジスタTr2、ダイオードD1、およびダイオードD2に対応する。
また、図15に示すように、トランジスタTr31のゲート端子には、タイミング調整回路321から駆動信号#321が供給され、トランジスタTr32のゲート端子には、タイミング調整回路321から駆動信号#322が供給されている。また、トランジスタTr33のゲート端子には、タイミング調整回路323から駆動信号#323が供給され、トランジスタTr34のゲート端子には、タイミング調整回路323から駆動信号#324が供給されている。
図15に示すように、トランジスタTr31のソース端子(トランジスタTr32のドレイン端子)からは、増幅された1ビット信号#3aが出力され、トランジスタTr33のソース端子(トランジスタTr34のドレイン端子)からは、増幅された1ビット信号#3aに逆相の1ビット信号#3bが出力される。また、LPF33は、増幅された1ビット信号#3aおよび、増幅された1ビット信号#3bを平滑化し、それぞれ、出力信号#4aおよび出力信号#4bを出力する。
図16は、補償回路34の構成例を示すブロック図である。
図16に示すように、補償回路34は、エッジ検出器342、パルス幅検出器343、補償量算出回路344、および、メモリ345を備えている。
エッジ検出器342はD級アンプ1におけるエッジ検出器142と同様の機能を有しており、1ビット信号#2がローレベルからハイレベルに立ち上がると、立ち上がり検出信号#342aを出力し、1ビット信号#2がハイレベルからローレベルに立ち上がると、立ち下がり検出信号#342bを出力する。立ち上がり検出信号#342aおよび立ち下がり検出信号#342bは、補償量算出回路344に入力される。また、補償量算出回路344には、入力信号#1も入力されている。
パルス幅検出器343は、入力される1ビット信号#2のハイレベル区間が終了したタイミングでそのハイレベル区間の長さに応じた多ビット信号信号#343aを出力し、入力される1ビット信号#2のローレベル区間が終了したタイミングでそのローレベル区間の長さに応じた多ビット信号#343bを出力する。出力された多ビット信号#343a、および多ビット信号#343bは、補償量算出回路344に入力される。すなわち、補償量算出回路344は、多ビット信号#343aを受けることによって、パルス幅検出器343に入力されていた1ビット信号#2のハイレベル区間であって、多ビット信号#343aを受けたタイミングの直前に終了したハイレベル区間の長さを取得することができる。同様に、補償量算出回路344は、多ビット信号#343bを受けることによって、パルス幅検出器343に入力されていた1ビット信号#2のローレベル区間であって、多ビット信号#343bを受けたタイミングの直前に終了したローレベル区間の長さを取得することができる。
メモリ345には、デッドタイムの長さTdead、時定数τ、漸近電流値Vcc/R、閾値αm、閾値αpが格納されている。また、入力信号#1の値Sinと電流値ILとの対応関係を表すテーブルTb1、すなわち、入力信号の値Sinがわかれば、それに応じた電流値ILがわかるようなテーブルTb1が格納されている。また、後述する歪み電流値と、入力信号#1の値に加算すべき補償値との対応関係を表すテーブルTb2も格納されている。なお、デッドタイムの長さTdead、時定数τ、および、漸近電流値Vcc/Rは理論計算や実測などにより予め決定しておくことができるものである。
補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinを検出し、その値と閾値αmおよび閾値αpとの比較を行うとともに、入力信号#1の値Sin、パルス幅信号#343、デッドタイムの長さTdead、時定数τ、および漸近電流値Vcc/R、閾値αmおよび閾値αpに基づいて、補償信号#5を生成し、出力する。
以下では、補償回路34における補償信号#5の値の算出動作について、入力信号#1の値Sinが閾値αp以上である場合と入力信号#1の値Sinが閾値αm以下である場合とに分けて説明を行う。また、出力信号#4の電流値ILに含まれる歪み電流値の算出の原理については、その後に図面を参照しつつ説明を行う。
(入力信号#1の値Sinが閾値αp以上である場合)
まず、補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinが閾値αp以上であると検出している状態で、エッジ検出器342から立ち上がり検出信号#342aを受けると、それに引き続いてパルス幅測定器から入力されるビット信号#343aおよび多ビット信号#343bから、それぞれ、1ビット信号#2のハイレベル区間の長さ(長さをThiとする)およびそれに引き続くローレベル区間の長さ(長さをTloとする)を取得し始める。
まず、補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinが閾値αp以上であると検出している状態で、エッジ検出器342から立ち上がり検出信号#342aを受けると、それに引き続いてパルス幅測定器から入力されるビット信号#343aおよび多ビット信号#343bから、それぞれ、1ビット信号#2のハイレベル区間の長さ(長さをThiとする)およびそれに引き続くローレベル区間の長さ(長さをTloとする)を取得し始める。
また、立ち上がり検出信号#342aを受けた補償量算出回路344は、その時点からデッドタイムTdead経過後の入力信号#1の値Sinの値を取得し、あらかじめメモリ345に格納されているテーブルに基づき、取得した値Sinに対応する電流値ILの値(大きさをIL1とする)を決定する。尚、デッドタイムは十分短いので、実質的には立ち上がり検出信号#342aを受けた時点での入力信号#1の値Sinの値を、デッドタイムTdead経過後の入力信号#1の値Sinの値として扱うことが出来る。
続いて、補償量算出回路344は、関係式
IL2=ILp1(t1)=(IL1−Vcc/R)exp(−t1/τ)+Vcc/R ...(A1)
IL3=ILp2(t2)=(IL2+Vcc/R)exp(−t2/τ)−Vcc/R ...(A2)
IL4=ILp3(t3)=(IL3+Vcc/R)exp(−t3/τ)−Vcc/R ...(A3)
IL5=ILp4(t4)=(IL4+Vcc/R)exp(−t4/τ)−Vcc/R ...(A4)
に基づいて、電流値IL2〜IL5を決定する。上記の式(A1)〜(A4)において、t1=Thi−Tdead、t2=Tdead、t3=Tlo−Tdead、t4=Tdeadである。また、デッドタイムの長さTdeadの値、Vcc/Rの値、τの値はメモリ345から読み出される。
ここで、(t1+t2+t3+t4)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL1=IL5とおくことができる。
IL2=ILp1(t1)=(IL1−Vcc/R)exp(−t1/τ)+Vcc/R ...(A1)
IL3=ILp2(t2)=(IL2+Vcc/R)exp(−t2/τ)−Vcc/R ...(A2)
IL4=ILp3(t3)=(IL3+Vcc/R)exp(−t3/τ)−Vcc/R ...(A3)
IL5=ILp4(t4)=(IL4+Vcc/R)exp(−t4/τ)−Vcc/R ...(A4)
に基づいて、電流値IL2〜IL5を決定する。上記の式(A1)〜(A4)において、t1=Thi−Tdead、t2=Tdead、t3=Tlo−Tdead、t4=Tdeadである。また、デッドタイムの長さTdeadの値、Vcc/Rの値、τの値はメモリ345から読み出される。
ここで、(t1+t2+t3+t4)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL1=IL5とおくことができる。
続いて、補償量算出回路344は、上記ILp1(t1)〜ILp4(t4)の式、およびIL1=IL5の仮定に基づいて、以下の関係式より、(t1+t2+t3+t4)の区間における実際の平均電流値ILave_dを算出する。
また、補償量算出回路344は、関係式
IL3’=ILp1’(t1’)=(IL1−Vcc/R)exp(−t1’/τ)+Vcc/R ...(C1)
IL5’=ILp3’(t3’)=(IL3’+Vcc/R)exp(−t3’/τ)−Vcc/R ...(C2)
に基づいて、電流値IL3’、および電流値IL5’を決定する。ここで、t1’=Thi、t3’=Tloである。
ここで、(t1’+t3’)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL3’=IL5’とおくことができる。
IL3’=ILp1’(t1’)=(IL1−Vcc/R)exp(−t1’/τ)+Vcc/R ...(C1)
IL5’=ILp3’(t3’)=(IL3’+Vcc/R)exp(−t3’/τ)−Vcc/R ...(C2)
に基づいて、電流値IL3’、および電流値IL5’を決定する。ここで、t1’=Thi、t3’=Tloである。
ここで、(t1’+t3’)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL3’=IL5’とおくことができる。
さらに、補償量算出回路344は、上記ILp1’(t1’)およびILp3’(t3’)の式、およびIL3’=IL5’の仮定に基づいて、以下の関係式より、(t1‘+t3’)の区間におけるデッドタイムがなかった場合の平均電流値ILave_iを算出する。
続いて、補償量算出回路344は、歪み電流値ILave_i−ILave_dを算出する。ここで、歪み電流値ILave_i−ILave_dは、入力信号#1の値Sinが閾値αp以上である場合に、デッドタイムの存在に起因して出力信号#4の電流値に含まれる歪みを表している。
続いて、補償量算出回路344は、あらかじめメモリ345に格納されているテーブルTb2基づき、歪み電流値ILave_i−ILave_dに対応した補償値(大きさをβp’とする)を決定し、加算器15に対して出力する。ここで、補償値βp’は、出力信号#4の電流値に含まれる歪み電流値ILave_i−ILave_d分の電流を補償するために加算器15において入力信号#1に加算すべき補償値である。
このように、補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinが閾値αp以上である場合には、1ビット信号#2のパルス幅、および、入力信号#1の具体的な値に応じて、入力信号#1の値に加算すべき補償値βp’を算出し、加算器15に対して出力する。
なお、歪み電流値と補償値との関係は、実測により予め定めておくことができるものである。
(入力信号#1の値Sinが閾値αm以下である場合)
一方、補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinが閾値αm以下であると検出している状態で、エッジ検出器342から立ち下がり検出信号#342bを受けると、それに引き続いてパルス幅測定器から入力される多ビット信号#343bおよび多ビット信号#343aから、それぞれ、1ビット信号#2のローレベル区間の長さ(長さをTlo’とする)およびそれに引き続くハイレベル区間の長さ(長さをThi’とする)を取得する。
一方、補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinが閾値αm以下であると検出している状態で、エッジ検出器342から立ち下がり検出信号#342bを受けると、それに引き続いてパルス幅測定器から入力される多ビット信号#343bおよび多ビット信号#343aから、それぞれ、1ビット信号#2のローレベル区間の長さ(長さをTlo’とする)およびそれに引き続くハイレベル区間の長さ(長さをThi’とする)を取得する。
また、立ち下がり検出信号#342bを受けた補償量算出回路344は、その時点からデッドタイムTdead経過後の入力信号#1の値Sinの値を取得し、あらかじめメモリ345に格納されているテーブルに基づき、取得した値Sinに対応する電流値ILの値(大きさをIL31とする)を決定する。尚、デッドタイムは十分短いので、実質的には立ち上がり検出信号#342aを受けた時点での入力信号#1の値Sinの値を、デッドタイムTdead経過後の入力信号#1の値Sinの値として扱うことが出来る。
続いて、補償量算出回路344は、関係式
IL32=ILp31(t31)=(IL31+Vcc/R)exp(−t31/τ)−Vcc/R ...(E1)
IL33=ILp32(t32)=(IL32−Vcc/R)exp(−t32/τ)+Vcc/R ...(E2)
IL34=ILp33(t33)=(IL33−Vcc/R)exp(−t33/τ)+Vcc/R ...(E3)
IL35=ILp34(t34)=(IL34−Vcc/R)exp(−t34/τ)+Vcc/R ...(E4)
に基づいて、電流値IL32〜IL35を決定する。上記の式(E1)〜(E4)において、t31=Tlo’−Tdead、t32=Tdead、t33=Thi’−Tdead、t34=Tdeadである。また、デッドタイムの長さTdeadの値、Vcc/Rの値、τの値はメモリ345から読み出される。
ここで、(t31+t32+t33+t34)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL31=IL35とおくことができる。
IL32=ILp31(t31)=(IL31+Vcc/R)exp(−t31/τ)−Vcc/R ...(E1)
IL33=ILp32(t32)=(IL32−Vcc/R)exp(−t32/τ)+Vcc/R ...(E2)
IL34=ILp33(t33)=(IL33−Vcc/R)exp(−t33/τ)+Vcc/R ...(E3)
IL35=ILp34(t34)=(IL34−Vcc/R)exp(−t34/τ)+Vcc/R ...(E4)
に基づいて、電流値IL32〜IL35を決定する。上記の式(E1)〜(E4)において、t31=Tlo’−Tdead、t32=Tdead、t33=Thi’−Tdead、t34=Tdeadである。また、デッドタイムの長さTdeadの値、Vcc/Rの値、τの値はメモリ345から読み出される。
ここで、(t31+t32+t33+t34)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL31=IL35とおくことができる。
続いて、補償量算出回路344は、上記ILp31(t31)〜ILp34(t34)の式、およびIL31=IL35の仮定に基づいて、以下の関係式より、(t31+t32+t33+t34)の区間における実際の平均電流値ILave_d’を算出する。
また、補償量算出回路344は、関係式
IL33’=ILp31’(t31’)=(IL31−Vcc/R)exp(−t31’/τ)+Vcc/R ...(G1)
IL35’=ILp33’(t33’)=(IL33’+Vcc/R)exp(−t33’/τ)−Vcc/R ...(G2)
に基づいて、電流値IL33’、および電流値IL35’を決定する。ここで、t31’=Tlo’、t3’=Thi’である。
ここで、(t31’+t33’)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL33’=IL35’とおくことができる。
IL33’=ILp31’(t31’)=(IL31−Vcc/R)exp(−t31’/τ)+Vcc/R ...(G1)
IL35’=ILp33’(t33’)=(IL33’+Vcc/R)exp(−t33’/τ)−Vcc/R ...(G2)
に基づいて、電流値IL33’、および電流値IL35’を決定する。ここで、t31’=Tlo’、t3’=Thi’である。
ここで、(t31’+t33’)の時間は、例えば、一般的なPWMのキャリア周期の場合、1/(数100kHz) 秒であり、通常のオーディオPCM信号のサンプリング周期に比べ十分に短いため、近似的に、IL33’=IL35’とおくことができる。
さらに、補償量算出回路344は、上記ILp31’(t31’)およびILp33’(t33’)の式、およびIL33’=IL35’の仮定に基づいて、以下の関係式より、(t31‘+t33’)の区間におけるデッドタイムがなかった場合の平均電流値ILave_i’を算出する。
続いて、補償量算出回路344は、歪み電流値ILave_i’−ILave_d’を算出する。ここで、歪み電流値ILave_i’−ILave_d’は、入力信号#1の値Sinが閾値αm以下である場合に、デッドタイムの存在に起因して出力信号#4の電流値に含まれる歪みを表している。
続いて、補償量算出回路344は、あらかじめメモリ345に格納されているテーブルTb2基づき、歪み電流値ILave_i’−ILave_d’に対応した補償値(大きさをβm’とする)を決定し、加算器15に対して出力する。ここで、補償値βm’は、出力信号#4の電流値に含まれる歪み電流値ILave_i’−ILave_d’分の電流を補償するために加算器15において入力信号#1に加算すべき補償値である。
このように、補償量算出回路344は、入力信号#1の値Sinが閾値αm以下である場合には、1ビット信号#2のパルス幅、および、入力信号#1の具体的な値に応じて、入力信号#1の値に加算すべき補償値βm’を算出し、加算器15に対して出力する。
以上のように、本実施形態に係るD級アンプ3は、入力信号#1の値Sin、および、1ビット信号#2のパルス幅に応じた歪み電流値を算出し、それに対応する補償値である補償信号#5を出力する。
このような構成をとることによって、D級アンプ3は、入力信号#1の値Sin、および、1ビット信号#2のパルス幅が変動するような場合であっても、デッドタイム歪みを適切に補償することができる。
なお、上記の説明では、1ビット信号#2の1周期、すなわち、1対のハイレベル区間およびローレベル区間に対して、補償値を算出する構成としたが、本発明はこれに限られない。すなわち、1ビット信号#2におけるハイレベル区間およびローレベル区間のそれぞれに対して、補償値を算出するような構成としてもよい。または、αp以上かαm以下であるかに関わらず、ある立ち上がり検出信号#342aから次の立ち上がり検出信号#342a’までの1周期に対して、補償値を算出するような構成にしても良い。さらには、αp=αm=0とすることも可能である。
また、実際上は、補償量算出回路344にて、必ずしも上記の計算を行わなくてもよい。すなわち、入力された1ビット信号#2のハイレベル区間の長さ、1ビット信号#2のローレベル区間の長さ、および入力信号#1の値に対応する補償値を上記算出方法で予め計算しておき、その結果をメモリ345に格納しておけば、上記の値が入力された段階で直ちに補償値を決定することが可能である。
また、上記の構成では、1ビット信号#2のハイレベル区間の長さ、1ビット信号#2のローレベル区間の長さ、および入力信号#1の値をインプットとして補償値を算出したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、PWM変調のように、ハイレベル区間の長さとローレベル区間の長さとの和が予め分かっているような場合には、ローレベル区間の長さ、もしくは、ハイレベル区間の長さのどちらか一方が入力されれば、もう一方の長さを算出することができる。したがって、そのような場合には、1ビット信号#2のハイレベル区間の長さ、もしくは、1ビット信号#2のローレベル区間の何れか一方と、入力信号#1の値をインプットとして、補償値を算出することができる。
また、実施形態1における変形例2〜変形例6のように、エミュレータを経た入力信号#1や、入力信号#1以外の信号に基づいて、補償値を算出するような構成としてもよい。
(歪み電流値の算出原理)
以下では、歪み電流値の算出原理について、図17(a)〜(b)から図21(a)〜(d)を参照しつつ説明を行う。
以下では、歪み電流値の算出原理について、図17(a)〜(b)から図21(a)〜(d)を参照しつつ説明を行う。
図17は、電流値ILに対するデッドタイムの影響を説明するためのものであり、図17(a)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5に近く、電流値ILが交互に正負の値をとる場合の、増幅回路32の内部を流れる電流の方向を示した図であり、図17(b)は、その場合の、電流値ILと、駆動信号#321〜#324の値の変化を示したタイミングチャートである。図17(a)におけるI11〜I14は、それぞれ、図17(b)における区間t11〜t14において、増幅回路32の内部を流れる電流の向きを表している。
また、図18は、電流値ILに対するデッドタイムの影響を説明するためのものであり、図18(a)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合の、増幅回路32の内部を流れる電流の方向を示した図であり、図18(b)は、その場合の、電流値ILと、駆動信号#321〜#324の値の変化を示したタイミングチャートである。図18(a)におけるI21〜I24は、それぞれ、図18(b)における区間t21〜t24において、増幅回路32の内部を流れる電流の向きを表している。
また、図19は、電流値ILに対するデッドタイムの影響を説明するためのものであり、図19(a)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より小さく、電流値ILが負の値のみをとる場合の、増幅回路32の内部を流れる電流の方向を示した図であり、図19(b)は、その場合の、電流値ILと、駆動信号#321〜#324の値の変化を示したタイミングチャートである。図19(a)におけるI31〜I34は、それぞれ、図19(b)における区間t31〜t34において、増幅回路32の内部を流れる電流の向きを表している。
まず、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合の電流値ILに対するデッドタイムの影響について、図20(a)〜(f)を参照しながら説明する。
図20(a)〜(f)は、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合の電流値ILに対するデッドタイムの影響を具体的に説明するためのものであって、図20(a)は、電流値ILの経時変化をより詳しく示すものである。図18(b)における区間t21、区間t22、区間t23、区間t24は、それぞれ、図20(a)における区間t1(時間の長さt1)、区間t2(時間の長さt2)、区間t3(時間の長さt3)、区間t4(時間の長さt4)に対応している。また、区間t1における電流値ILの値をILp1(t)(0≦t≦t1)と表し、区間t2における電流値ILの値をILp2(t)(0≦t≦t2)と表し、区間t3における電流値ILの値をILp3(t)(0≦t≦t3)と表し、区間t4における電流値ILの値をILp4(t)(0≦t≦t4)と表す。また、区間t1〜t4の開始時点における電流値を、それぞれ、IL1〜IL4と表し、区間t4の終了時点における電流値をIL5と表す。また、図20(b)〜(e)は、それぞれ、ILp1(t)〜ILp4(t)を算出するためのモデルの回路図であり、図20(f)は、その算出に用いるパラメータを示す表である。
図20(b)〜(e)に示すように、ILp1(t)〜ILp4(t)を算出するためのモデルは、インダクタL(インダクタンスL)と抵抗R(抵抗値R)の直列回路によって表される。
図20(b)〜(e)に示したモデルにおいて、ILpの初期値をI0とし、無限時間経過後の値をI∞とすると、時間t経過後のILpは、ILp=(I0−I∞)exp(−t/τ)+I∞ と表すことができる。ここで、時定数τは、インダクタンスLと抵抗値Rをp用いて、τ=L/Rと表される。また、区間t1〜t4に対するI0およびI∞の具体的な値は図20(f)に示されている。図20(f)に示すように、I∞の具体的な値は、漸近電流値Vcc/Rによって定まる。
これらを用いて、IL2〜IL5は、上記式(A1)〜(A4)のように表すことができる。また、区間t1〜t4において、デッドタイムの影響を受けつつ、実際に流れた電流の平均電流値ILave_dは、上記式(B)で表される。
一方で、デッドタイムの影響がないと仮定した場合の電流値ILの変化は、図21(a)〜(d)を参照して説明すれば以下のようになる。
図21は、1ビット信号のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合であって、デッドタイムがないと仮定した場合の電流値ILの変化を具体的に説明するためのものであって、(a)は、電流値ILの経時変化をより詳しく示すものであり、(b)〜(c)は、電流値ILを算出するためのモデルの回路図であり、(d)は、その算出に用いるパラメータを示す表である。
デッドタイムの影響がない場合には、上記電流値ILp1〜ILp4に対応した電流値をILp1’〜ILp4’とおき、上記時間t1〜t4に対応した時間をt1’〜t4’(t2’=t4’=0)とおき、上記電流値IL1〜IL5に対応した電流値をIL1’〜IL5’とおくと、電流値IL3’、IL5’は、上記式(C1)においてILをIL’に置き換えたもの、および(C2)のように表される。また、IL2’はIL3’に等しく、IL4’はIL5’に等しくなる。
以上から、区間t1’〜t4’において、デッドタイムの影響を受けずに流れたと仮定される電流の平均電流値ILave_iは、上記式(D)により表される。
上記式(B)および(D)より、デッドタイムに起因した歪み電流値は、ILave_i−ILave_dと求まる。
以上が、1ビット信号#2のデューティ比が0.5より大きく、電流値ILが正の値のみをとる場合の歪み電流値の算出原理である。
1ビット信号#2のデューティ比が0.5より小さく、電流値ILが負の値のみをとる場合についても、図19(a)〜(b)を参照することによって、歪み電流値を同様に算出することができる。
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項で示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、音声信号の電力増幅等に用いられるD級アンプに好適に用いることができる。
1 D級アンプ
11 変調回路(パルス信号生成回路)
111 ΔΣ変調回路(マルチビット信号生成回路)
112 PWM変換回路(変換回路)
12 増幅回路(スイッチング回路)
13 ローパスフィルタ
14 補償回路(推定手段、補償手段)
25 エミュレータ(デジタルフィルタ)
#1 入力信号
#4 出力信号
IL 出力信号#4の電流値(負荷電流)
βp 補償値(第1の補償値)
βm 補償値(第2の補償値)
αp 閾値(第1の閾値)
αm 閾値(第2の閾値)
11 変調回路(パルス信号生成回路)
111 ΔΣ変調回路(マルチビット信号生成回路)
112 PWM変換回路(変換回路)
12 増幅回路(スイッチング回路)
13 ローパスフィルタ
14 補償回路(推定手段、補償手段)
25 エミュレータ(デジタルフィルタ)
#1 入力信号
#4 出力信号
IL 出力信号#4の電流値(負荷電流)
βp 補償値(第1の補償値)
βm 補償値(第2の補償値)
αp 閾値(第1の閾値)
αm 閾値(第2の閾値)
Claims (9)
- 入力信号により変調されたパルス信号を生成するパルス信号生成回路と、上記パルス信号をD級増幅するスイッチング回路とを備えたD級アンプであって、
上記スイッチング回路に接続された負荷を流れる負荷電流の向きを推定する推定手段と、
上記推定手段によって、上記負荷電流の向きが第1の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に第1の補償値を加算し、上記推定手段によって、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下がりをトリガにして、上記入力信号の値に第2の補償値を加算する補償手段と、
を備えていることを特徴とするD級アンプ。 - 上記推定手段は、
上記入力信号を参照し、上記入力信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記入力信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のD級アンプ。 - 上記入力信号に作用するデジタルフィルタであって、負荷を含む当該D級アンプの伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタを更に備えており、
上記推定手段は、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号を参照し、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記デジタルフィルタを経た上記入力信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のD級アンプ。 - 上記パルス信号を平滑化するフィルタ回路を更に備えており、
上記推定手段は、上記フィルタ回路によって平滑化された上記パルス信号を参照し、上記フィルタ回路によって平滑化された上記パルス信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記フィルタ回路によって平滑化された上記パルス信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のD級アンプ。 - 上記パルス信号生成回路は、上記入力信号によって変調されたマルチビット信号を生成するマルチビット信号生成回路と、上記マルチビット信号を上記パルス信号に変換する変換回路とを含み、
上記推定手段は、上記マルチビット信号を参照し、上記マルチビット信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記マルチビット信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のD級アンプ。 - 上記パルス信号生成回路は、上記入力信号によって変調されたマルチビット信号を生成するマルチビット信号生成回路と、上記マルチビット信号を上記パルス信号に変換する変換回路とを含み、
当該D級アンプは、上記マルチビット信号に作用するデジタルフィルタであって、上記マルチビット信号生成回路に接続された負荷の伝達関数を模擬する伝達関数を有するデジタルフィルタを更に備えており、
上記推定手段は、上記デジタルフィルタを経た上記マルチビット信号を参照し、上記デジタルフィルタを経た上記マルチビット信号の値が予め定められた第1の閾値以上であるとき、上記負荷電流の向きは上記第1の向きであると推定し、上記デジタルフィルタを経た上記マルチビット信号の値が予め定められた第2の閾値以下であるとき、上記負荷電流の向きは上記第2の向きであると推定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のD級アンプ。 - 上記補償手段は、
上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第1の補償値を、当該パルスの直前のパルスのパルス幅とそのときの信号振幅に応じて設定し、
上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第2の補償値を、当該パルスと当該パルスの直前のパルスとのパルス間隔とそのときの信号振幅に応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のD級アンプ。 - 上記補償手段は、
上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第1の補償値を、更に、当該パルスと上記直前のパルスとのパルス間隔に応じて設定し、
上記パルス信号に含まれる各パルスのエッジをトリガにして、上記入力信号の値に加算すべき第2の補償値を、更に、当該パルスのパルス幅に応じて設定する、
ことを特徴とする請求項7に記載のD級アンプ。 - 入力信号により変調されたパルス信号を生成するパルス信号生成ステップと、スイッチング回路を用いて上記パルス信号をD級増幅するスイッチングステップとを含むD級増幅方法であって、
上記スイッチング回路に接続された負荷を流れる負荷電流の向きを推定する推定ステップと、
上記推定ステップにて、上記負荷電流の向きが第1の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち上がりをトリガにして、上記入力信号の値に第1の補償値を加算し、上記推定ステップにて、上記負荷電流の向きが第2の向きであると推定されたときに、上記パルス信号に含まれる各パルスの立ち下がりをトリガにして、上記入力信号の値に第2の補償値を加算する補償ステップと、
を含むことを特徴とするD級増幅方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009235731A JP2011082930A (ja) | 2009-10-09 | 2009-10-09 | D級アンプ、および、d級増幅方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009235731A JP2011082930A (ja) | 2009-10-09 | 2009-10-09 | D級アンプ、および、d級増幅方法 |
Publications (1)
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---|---|
JP2011082930A true JP2011082930A (ja) | 2011-04-21 |
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ID=44076497
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2009235731A Pending JP2011082930A (ja) | 2009-10-09 | 2009-10-09 | D級アンプ、および、d級増幅方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012235412A (ja) * | 2011-05-09 | 2012-11-29 | Seiko Epson Corp | 容量性負荷駆動回路及び流体噴射装置 |
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KR20160054003A (ko) * | 2013-09-10 | 2016-05-13 | 메루스 오디오 에이피에스 | 클래스 d 오디오 증폭기들에 대한 다중위상 펄스폭 변조기 |
WO2018066215A1 (ja) * | 2016-10-03 | 2018-04-12 | ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 | 制御回路、および、制御回路の制御方法 |
-
2009
- 2009-10-09 JP JP2009235731A patent/JP2011082930A/ja active Pending
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